物色日記−2003年10月

※頻出語句解説はこちら
  10月30-31日
▼30日は常々噂に聞いていた、深夜25〜29時しか営業していないという今池のラーメン屋・大丸に行ってきました。モヤシが麺の2倍くらいある、ガタイのよい男が行くと何も言わなくても麺が2玉になる、異常に狭い、店主のオールラウンド・トークが割と凄い、等々、予備知識として蓄えていたものが全部現実になってお釣りの来る驚愕の店でした。モヤシを食べ尽くしたあたりで既に腹八分目になってしまって、残りの麺(2玉分)を「無償の愛とはこのことか…」と噛み締めながら何とかキレイに平らげることができましたが、食べ残さないのに必死だったのと、甘辛くて濃い目の味付けをされた肉の味がスープより支配的だったこともあり、味をほとんど覚えていません。常連と化している人々曰く「3回目くらいから美味くなる」「肉はモヤシと一緒に消化しておくべし」とのこと。修行を積んで高みに行けるのは良いことなので私も頑張ってリトライしようかと思います。収穫はなし

▼31日は大須・円盤屋洋楽店の閉店30%OFFセールに行ってきました。本日の収穫、全て新品でPITCHFORK「EUCALYPTUS+SATURN OUTHOUSE」(DRIVE LIKE JEHUの前身バンド、SWAMIからリマスター再発!)、IDA「YOU ARE MY FLOWER」「SHHH....」、JULIE DOILON「DESORMAIS」、JULIE DOILON AND THE WOODEN STARS「JULIE DOILON AND THE WOODEN STARS」、BORN AGAINST「THE REBEL SOUND OF SHIT & FAILURE」、THE MOST SECRET METHOD「GET LOVELY」「OUR SUCCESS」、THE DISMEMBERMENT PLAN「IS TERRIFIED」「CHANGE」。全部1300円前後にてゲット!これは熱い。

【只今のBGM:JULIE DOILON AND THE WOODEN STARS「JULIE DOILON AND THE WOODEN STARS」】


既に閉鎖してしまっていることもあって、TREEは何だか聖地というイメージを勝手に持っています。てことでこれはTREEリリースの99年作。今はJAGJAGUWARからリイシューされているというのがシックリ来る、ポストロックとスローコアのテイストを併せ持ったフルバンドSSWアルバムです。変拍子禁止を条件にOWLS他のヴィクター君がイーディス・フロストみたいなのに感化され中のIDAに入ったらこうなるかも、って感じでしょうか。歌ものの割には結構シカゴ的なギターが頑張ってて、和み系とも言い切れない変なスキマ・ポジションを射止めています。私が最近聴いたからってだけかも知れませんが、ジョニ・ミッチェルが今若かったら絶対こういうことやってると思います。USインディフォーク〜スローコアを心で感じる体質になってきたらマスト。

  10月29日
収穫はなし。電気カミソリをご使用の男性の皆様に朗報を。スイッチをONにして動かした状態で普通に頬に当て、口をオの形にすぼめて徐々に縦に広げていって下さい。ハーモニクスが出ます。男なら誰しも一度くらいホーミーに憧れますよね。

【只今のBGM:DISCORDANCE AXIS「THE INALIENABLE DREAMLESS」】


かなり前に買ったのに、変形ケースゆえに平積みの山からよけられてそのまんまになってたのに久し振りに気がついて、やっと聴いてます。HYDRAHEADからの2000年作です。私が唯一持っていた92〜95年の音源集と比べると、何だか知りませんがえらく進化してて驚きました。ド迫力のワンバスブラストに乗せてブラックメタルとケイオティックコアの間をいく異様なギターが刻まれ、ヴォーカルはひたすらダニ・フィルスを必死にしたような高音わめき絶叫型。ヴォリューム奏法とかのトリッキーな小技との組み合わせによってグラインドの紋切り型から抜け出す試みはもう卒業したのか、終始自信に満ちたユニークな世界を完成させています。グラインドがここまでスペイシーかつサイコパシックだと感じたのは初めてかも。アートワークでのコンセプト演出の巧みさも多分に効いてるんですけどね。ジャケは見てのとおりこの晴天、見やすい曲目一覧はどこにもなく、裏ジャケには手書きで「i will live forever alone.」と書いてあるのみ、しかもカパッと開くと中のブックレット表紙にはいきなり日本語で「気持ち悪い」と一言。んなこと言われても…。昔ダン・リルカがインタビューで「僕達みたいな音楽はホルモン異常があったり精神を病んでたりするキッズに支持されてるんだ」みたいなことを語っていたことがあるように記憶してますが、これは正にそういう若者の歪んだ破壊衝動を音にしたような危ない作品です。人によっては注意が必要。

  10月28日
本日の収穫、FILE-UNDERでSHIPPING NEWS「SAVE EVERYTHING」「VERY SOON, AND IN PLEASANT COMPANY」、MAKE-UP「I WANT SOME」。今月20日の日記で触れたドラマ「誰にも言えない」の再放送(東海地区)がそろそろ佳境を迎えてきて、かなりアツい感じです。平日・夜のたかだか22時台に、山咲千里に木製のいかついお仕置き棒を持たせて「お尻出しなさい!」と叫ばせた(叫ばれたのは佐野史郎)のは後にも先にもこの番組だけでしょう。今や「旅倶楽部すみれ会」でしっとり司会をこなす野際陽子もART BEARSばりに暗黒でむちゃコワイです。

【只今のBGM:SHIPPING NEWS「VERY SOON, AND IN PLEASANT COMPANY」】


「SPIDERLAND」の暗黒夢心地を今日に受け継ぐザッツ・ルイヴィル・サウンド!な三人組の2nd。当然の如く最高です。ジェフ・ミュラーはRODANでもJUNE OF 44でも最高でしたから、心配するこたないんですが、それにしてもど真ん中でズバッと来る名盤にしてくれました。低速マスロッキンなカクカク・スカスカ感とドロ〜ンなアシッドフォークテイストを見事に折衷させるのはいつものことながら、このアルバムは特にその塩梅が激・親切でして、修行はえーからサラッと楽しくルイヴィル入門したいわという人にはもってこいの仕上がりになってます。今時全7曲ってのもシブい。直球の名盤はシノゴノ説明しにくいですが、とにかく全員買いということで。

  10月26-27日
▼26日は大学のサークル主催の野外コンサートに出演してました。天気が良かったから良かったッス。打ち上げて二次会も行って、29時までやってる店に27時くらいまでいたんですが、歳を重ねるごとに無理はできなくなりますもので、26時頃にはもう壁に寄りかかって眠っておりました。このペースでいくと三十路を迎える頃には20時に寝て5時に起きる老人のようになってしまうじゃないですか。帰路でミッキー吉野家こと吉野家に寄って並・タマゴ・けんちん汁を食っていったら凄く幸せだったなあ。ミッキー吉野家好きよ。あ、収穫はなし

▼27日はバイト帰りに上前津に寄りました。本日の収穫TODD RUNDGREN「THE EVER POPULAR TORTURED ARTIST EFFECT」(82年作リマスター)、ZAMLA MAMMAZ MANNA「FAMILY CRACKS」、BLUE OYSTER CULT「AGENTS OF FORTUNE」。

【只今のBGM:ZAMLA MAMMAZ MANNA「FAMILY CRACKS」】


北欧レコメンの巨頭・サムラ、とうとう中古外盤で入手しました!いや〜感動的ですね。(買えたことが。)これは「家庭のひび割れ」なる物凄い邦題のついた80年作です。一度解散しての再結成作らしく、一般によく言われるアホ、バカといったイメージは少々控えめに、構造的な複雑さはGENTLE GIANTでテンションはAREA、と評されるとおりの、やり過ぎが笑いに変わる境界線上ギリギリのバカテクジャズロックを真面目にやっております。一応ユーモラスな音の断片程度は出て来るんだけど、結果的には完成度追求型に終わっている印象。世界の希少なサムラ・ファンにとってはSOFT MACHINEにおける「BUNDLES」的な、すなわちいくらホールズワースが超絶で曲の出来が良くてもワイアットがカワイかった頃の方が好きと言われがちなちょっと損なアルバム、みたいな位置付けで受け止められてるんじゃないでしょうか。後半のヴォーカル入りの曲のアホさ加減で多少持ち直すものの、チャレンジャーが初サムラとして買うには恐らく不向きな1枚だと想像します。だが多分ファンがこれ1枚だけ持ってないのは許されまい。

  10月25日
本日の収穫、昨日からバーゲン中のバナナ名駅店でBIRDFLESH「NIGHT OF THE ULTIMATE MOSH」、RICHARD DEVINE「LIPSWITCH」、五輪真弓「残り火」(78年)、SONNY ROLLINS「SONNY MEETS HAWK!」、久々の千種HALFWAYでMAL WALDRON「MAL/3 SOUNDS」、PACO DE LUCIA「ALMORAIMA」。そんでHALFWAYにて、現在絶版のはずの、マーキームーンが残した悪の教典として名高い国内最強のプログレ図鑑「ユーロロック集成」を中古2500円にてゲット!有名バンドの紹介はそこそこに、全員納得の基本盤から87年の刊行当時LPが5桁で取り引きされていたような激マイナー盤まで十把一絡に国籍別A〜Z順でひたすら並べただけの構成ゆえ、プログレ入門者が買っても全く活用の仕方が判らないという、真のプログレッシャーのためだけのコア過ぎる名著です。これが愛知県図書館にありましてね、大学入試の勉強をしに行った帰りがけによく読んで「AMON DUUL、ヨシ」とかいって悦に入っていたのは懐かしい思い出です。フィリップ・キャンデロロが長野で銀メダル取ってた頃ですわ。おお、それってスゲー昔。

【只今のBGM:BIRDFLESH「NIGHT OF THE ULTIMATE MOSH」】


タチの悪いMISFITSかぶれかと思うようなジャケですがさにあらず、MOTORHEADばりのロックンローリンな馬力を持った完全メタル・ルールのバカグラインドです。3rd〜4thの頃のTHE CROWNに非常に近く、むちゃくちゃ優秀!これは良い。スラッシーなリフのキレがとにかく抜群。NUCLEAR BLASTやRELAPSEから出てても全くおかしくないレベルの極悪さを誇りながらも根底にfunなノリがあって、常にスポーティでアッパーな爽やかさが溢れます。バンド名がトリ肉ですからね、こういう風にやって然るべきっつーか、この名前でちゃんと名前負けしない内容にできたのがスゴイじゃないですかと。今後も陰ながら応援していこうと思います。

  10月24日
収穫はなし。皆様「達人こくでーる」をご存知ですか?新手の旨味調味料だそうなんですが、魚醤・雑穀酵素・焼酎の3つの発酵パワーで旨味を上乗せするのではなく食材から自然に引き出し、しかも完全天然原料につきむちゃ健康的らしいです。これをバイト先の調理場の人が「今、料理人の間では話題の品らしい」ということで仕事用に1本、私用に1本購入されてまして、詳細を聞いてへーっと思った、という話です。しかし元経済学部経営学科としては、このネーミングセンスには着目せずにいられません。小林製薬風のそのまんまインパクト系で堂々と「こくでーる」と打って出たのは、会社としてもかなりの勝負だったんじゃないでしょうか。一瞬何それと面食らって、よくよく考えるとやっぱりそれしかないよなという結論に至り、ナルホド成功、と私は思いました。近頃はズバッと体を表わす、あるいはイメージを植えつける名前が成功する風潮っぽいですね。フェルナンデスとかアリアプロとかも開き直って「そこそこひずーむ」「すごいやまびーこ」「いろいろはいってーる」みたいなエフェクターを作ったら流行らんかな?

【只今のBGM:PHAROAH SANDERS「KARMA」】


69年のアルバム。IMPULSEのデジパックリマスターは、横オビのオレンジ色の部分が焼けてない限りすこぶる買う気がしますね〜。ツルツルしていい感じだし、情報量を大胆に削ぎ落とした裏ジャケがシブい。それはさておき内容の方はというと、ハッピーなMAGMA(「MDK」のへん)みたいな雰囲気です。ヴァンデもコルトレーンを聴いて啓示が下りてコバイア・ストーリーの伝道者に目覚めたというから、実際軽く異母兄弟的なところはありますね。ピアノやパーカッションで賑やかなのに不気味なリズム隊が常に重心を低く持ち、展開することを拒むかの如き反復に次ぐ反復でトランスを呼ぶという、プログレッシャーにも全然OKなあっち側度。そんで更にパーカッショニスト兼シンガーのレオン・トーマス氏が、デメトリオ・ストラトスがトレードマーク的に使う「おひょほおひょほおひょほ」という変な唱法を同じくばっちり使いこなす人でして、こうなるともう全然ジャズ聴いてる感じがしません。ボアダムス関連プロジェクトで恍惚に浸るのが好きなナウ・ヤング諸氏からCD棚にSEVENTH RECORDSの黒赤白のCDがびっしり並んでる危険な人、単純に昔の音楽に新鮮な驚きを求めている探検家オタクリスナーまで、どちら様も楽しく聴けそうなアルバムです。

  10月23日
▼ポスト・モダン時代の記号集積型エンターテインメントは動物的かつオタク的らしいっす。消費主体のイデオロギーが消える代わりに消費対象の方が各々のイデアそのものに近づいていくとはこれまた言葉的に皮肉な。本日の収穫、本店にてIDA「WILL YOU FIND ME」、LOGH「THE RAGING SUN」、GRAMM「PERSONAL ROCK」。そして突発的にギター用のエフェクターが欲しくなって、コメ兵を物色してみたけど中古で安くて凄く良さそうなのも特になくて、新品でDANELECTROの2780円(定価!)のオーヴァードライブをブースターとして買ってみました。赤くてちゃちいプラスチックの函で、名前は「パストラミ」だそーで。凄く普通でした。それと470円のカズーを買った。

【只今のBGM:IDA「WILL YOU FIND ME」】


TIGERSTYLEからの激・名盤4thです。長らく所望の品だっただけに感無量。いや〜良いんですよ、実際。3rdまでの幸せエモフォーク路線と5thでの弱刺激性スローコアタッチがかなり理想的なバランスでクロスしてる上、メジャーで出るという話もあったというだけあって割と親切な時間感覚でまとめられていて、このアルバムが世間で散々金字塔扱いを受けているのもわかります。死臭漂う音楽がデスメタル、若者の激情パンクがエモなら、IDAは単体でラブ・フォークと呼びたいくらい、何か知らんけど愛が溢れてるんですな。男女間のものだけじゃなくておばーちゃんとか、近所の子供とかにも向けられた、無指向性の寛大な愛ですわ。こんな音楽がどこからも沸いて来ないような人間が聴いても、憧れるような形で同意できる、それこそ「愛な音楽」のイデアに限りなく近いものだと思います。誰もが買い。

  10月22日
収穫はなし。「鈴虫の泣き声は電話では聞こえない」が今週の金の脳を見事獲得してましたが、補足として説明された「電話の音声の周波数帯は300Hzから3.4kHzまで」の方が激しくためになりました。そんだけ分シェルビングでばっさり落とせば電話の声作れるんスね。全国の宅録ッカーの皆様、今すぐやってみましょう。

【只今のBGM:STARS OF THE LID「AVEC LAUDENUM」】


テキサスの恐るべき宇宙ドローンユニットの99年作。KRANKYの人っていうイメージでしたがこれはベルギーのSUBROSAからのリリースです。相変わらず、小学生向けの理科系教育番組で植物の開花VTRを早回しするとき、あるいはNHK特集で宇宙の起源をCGで再現しているときに流れそうな、オーケストラルかつ深遠っぽい激・悠長なポリフォニーがアルバム一枚に渡って延々横たわっているだけの内容です。こわい。初期ジャーマン音響に酷似しているように見えて、こちらの方がより確信的に無駄を削ぎ落としているように感じます。伊達に30年も隔ててないってことでしょうか。これ系のが出てくると毎度同じこと書いてる気がしますが、この時間感覚に乗るか否か、60分を越す何もなさに対価を支払おうと思うかどうかが全てでしょう。GYBE!みたいに暗黒じゃないしLABRADFORDみたいに悲愴でもないので、比較的聴きやすい部類ではあるはずです。敢えてこれを曲とか音楽とか捉えずに、とりあえずノッてみると、案外楽しいと思うんですけどね。

  10月21日
収穫はなし。天気予報にはいつも勝つつもりでいるので地下鉄は使わないことに決めていますが、今日はちょいと負けました。銅像、馬、負け、血糖、右脳、牛、シワ、倭寇、嘘、嘘と参ります。(最近シリトリしかしない歌を作ったので。)

【只今のBGM:V.A.「SOUND CHECK」】


SUBPOPの98年の2枚組サンプラーです。HEROIC DOSES(EUPHONEのライアン&ニックとFIVE STYLEのビルのバンド)が2曲入ってて、それが単独フルアルバムに入ってたかどうか店頭で思い出せなかったからとりあえず買って帰ったものです。(結局それらの曲は既発曲でした。)今のSUBPOPの歌心系てれてれポップ+ひと回り経過ガレージというレーベルカラーを端的に切り取ったグッドなチョイスをしておりまして、前身のSCUD MOUNTAIN BOYSしか聴いたことのなかったPERNICE BROTHERSはいい具合に過度のアメリカーナ臭が抜けて良質なインディポップに、レベッカ・ゲイツがいるTHE SPINANESはフルバンドで女OWEN(特に2nd)状態、昔のアルバムはただのパンクだったLES THUGS(元SEBADOHのエリックがいるはず)はいつの間にか和みシューゲイザー化、その他MARK LANEGANやELEVATOR TO HELLなど名前すら知らなかった連中もクオリティが高く、最近の雰囲気をざっと掴むにはかなり手頃といえるんじゃないでしょうか。どの程度未発表音源が入っているのか謎なので、探して買えとまでは言いませんが、ポッと見つけたら勢いで買ってしまって下さい。

  10月20日
収穫はなし。日本のテレビドラマ史に残る不朽の奇作「誰にも言えない」が現在東海地区で絶好調再放送中ですね!恋人・佐野史郎に政略結婚で捨てられ二度目の中絶で不妊症になった主人公・賀来千香子が、高校時代にサッカー部のホモの先輩に対して傷害事件を起こしたという過去をもつ(これは話の中盤以降で明らかになります)アウトドア派の頼れる旦那・羽場裕一と結婚し、平和に二人暮しを始めようというところに佐野史郎夫妻が逆玉パワーで突然マンションの隣の部屋に越してきて、妻・山咲千里やその母・野際陽子(両方異常)、その他団地の住民(incl.そのまんま東)も巻き込んでドロドロの賀来千香子奪還劇を展開、と思いきや最終回で佐野史郎が実は賀来千香子の腹違いの兄の腹違いの弟だったことが語られ、という暗黒フルコースのエログロゴアグラインドみたいな陰惨極まりない内容なんですよ。賀来千香子のスピード裏返りヨーデル嗚咽、山咲千里の名場面「持って帰ってよ」、同じく佐野史郎の「男ーなら〜」など、ストーリーの後半に進むに従って増える各出演陣本気の怪演の数々はホントに見逃せません。午前中なんか家にいねーよという人はタイマー録画で見て下さい、どうしても!

【只今のBGM:GRAND PRIX「GRAND PRIX」】


バナナ四ツ谷でリマスターが700円くらいで投げ売られていたから買ったこのバンド、実はMSGのロビン・マッコーリーが在籍したことで知られる人達とのことでした。不勉強でお恥ずかしい。でこれは別のシンガー(のちにPRAYING MANTISやURIAH HEEPに加入したらしい)が歌っている1st。80年リリースで、一応NWOBHM扱いだそうですが、産業ロック〜プログレハード(死語!)をよく学習した非哀愁ダサ美メロ・胸キュン転調の嵐で大変素晴らしいです。同じ時期のDEF LEPPARDと比べても遜色ないどころかこちらの方が洗練度は勝るほど。この嘘みたいな都合の良さが何だかTHE STORMみたいです。BON JOVIは"She Don't Know Me"が一番名曲、というのを持論とする私にはタマランですわ。3rd「SAMURAI」が一般的には名盤とされていますが、きっとそっちにはない愛すべき何かがこの1stにはあるはず。

  10月19日
収穫はなし。最近突然ツーカーから携帯の機種変更の優待の案内が送られてきたので、2年半くらい使っている今の携帯ともそろそろオサラバする気になって色々最新機種のスペックを見てみたんですが、今のやつは着信音をユーザが編集できる機能が滅多についてないんですね?自作のTRANS AMやDON CABALLEROを愛用してる身としては大変困ります!機種変更にあたって何が最大の争点かといったらそこでしょう、誰でも!違うの?

【只今のBGM:KING CRIMSON「THREE OF A PERFECT PAIR」】


ポップな奇数拍子の上にコーラスがかったクリーントーンギターの神経質なフレーズ群が正にframe by frame状態で折り重なるこの様、余りにRHYTHM OF BLACK LINESやILIUMそのまんまなので驚いてます。この人達がマスロックの偉大な父であるということは忘れられがち、見過ごされがちですが揺るがぬ真理だと考えます。何も「宮殿」や「レッド」だけが聴くべき作品ということはなく、スロー叙情チェンバーな「アイランズ」はシリアス系スローコア、ヘヴィ・エクスペリメンタル・マスロッキンな「太陽と戦慄」はDON CABALLEROとそのフォロワー一派、そしてこのアルバムを含む80年代のいわゆるディシプリン・クリムゾンはSIX GUN LOVERあたりにいる変拍子ニューウェーブオマージュな連中にしっかりと影を落としております。(逆にそうやって後の流れを踏まえないと意味のわかりにくい音ではあるかも。)実はやっぱり凄かったのねと見直すには既にマニアから駄作の烙印を押され過ぎてしまっている感もありますが、30周年記念エディションで一気に出来の良い装丁になったことだし、一度先入観をリセットして是非皆さん手を出してみて下さい。もっぱら悪評の根源扱いをされているエイドリアン・ブリューも、思えばパンク以降の時代にするべきことを判ってた人だったのかなあという気がします。

  10月18日
本日の収穫、パルコ店にて90 DAY MEN「(IT(IS)IT) CRITICAL BAND」、HUMBLE PIE「TOWN AND COUNTRY」、円盤屋中古店にてVIRSUS「HURRAH」、V.A.「HEY DRAG CITY」(94年)、グレイテストヒッツ大須店にてTHE SOFTIES「THE SOFTIES」、KING CRIMSON「ISLANDS」(30周年リマスター)、DEREK AND THE DOMINOS「LAYLA」(リマスター)、BARNEY KESSEL「SWINGIN' PARTY AT CONTEMPORARY」。久し振りにフラッと行った円盤屋中古店は閉店セール中で、何と50%OFFでした。あんまり行かない店だったけど、USインディー系のぞんざいな値付けが魅力的だっただけに惜しい。明日日曜でラストだそうですよ。

【只今のBGM:BARNEY KESSEL「SWINGIN' PARTY AT CONTEMPORARY」】


60年録音の作品ですがリリース年は2001年となっています。パッケージは至って普通のOJCスタイルなので、最近初めてCD化されたマイナー盤ということでしょうか。ECMでの活躍が有名なゲイリー・ピーコック(B.)が参加してます。オリジナルは一切なく、ベタベタ・スタンダードっぽいのもなくて、ミルト・ジャクソンやクリフォード・ブラウンなど比較的年代の近い人の、まあ普通にスウィングできる感じの曲ばかりを取り上げています。POLL WINNERSでのあの各メンバーが熱く静かにしのぎを削る感じはやっぱりPOLL WINNERSだけのものだったのか、ここではピアノつきのカルテットで気楽にスウィングしてるよという雰囲気です。例のンペッ!というロックなタメもビッグバンドばりにカラフルな高速和音移動もあんまり堪能できなくて残念。目玉曲らしき曲もないし(ミッドテンポで哀愁ブルーズするパーカー作"Now's The Time"とかはちょっとぐぐっと来ます)、ゲイリー・ピーコックが参加しているという事実以外の部分は確かに地味なアルバムだと感じます。ただ楽器ごとにバッサリと定位を振り分けてそれぞれを飽くまでクリアに録るロイ・デュナン・サウンドの冴えもあり、バーニー・ケッセルの標準的な仕事のクオリティの高さを確認するには恰好でしょう。ファンの人が中古で出会ったらとりあえず拾っといていいんじゃないでしょうか。

  10月17日
収穫はなし。私はこっそり「コメダは意外とメシが食える」論者なんですが、賛同されることがあまりありません。コメダの良い所は、ひとつには、メニューの写真の縮尺が実は激しくて、何を頼んでも実物を目の当たりにすると予想以上のデカさにビックリできることだと思っています。昨今のデフレ旋風とは無縁の時代から変わらぬ費用対効果を提供してきたコメダ珈琲店をもっと応援すべきと思いました。

【只今のBGM:THE FORMS「ICARUS」】


素性はよくわかりませんがアルビニ先生録音の若手バンドのようです。アルバム前半のみMELVINSの「THE MAGGOT」と同じ要領でCDプレイヤーの表示上の2トラックで1曲、という無駄なこだわりを見せる作品。内容は、NORTH OF AMERICAとATOMBOMBPOCKETKNIFEを足して多少エモくしたような、割と微妙な立ち位置を確保するヘンなポストコアです。この無気力におぇーと張り上げる声はMODEST MOUSEあたりから脈々と来てる系譜っぽくもあります。是非SOUTHERNから出てて欲しい感じだけどリリースはニューヨークのTHREESPHERESなるところから。このままいってもカテゴリーを越えたブレイクが見込めるような音じゃないですが、マニアの至宝にはなり得るかも。完成度は高い。イタリアンロックにおけるSEMIRAMISやMUSEO ROSENBACHみたいなノリで、後々の人が血ナマコになって探すような盤になって欲しいですね。

  10月16日
本日の収穫、今池P-CANにてMELOCHROME「STAY A LITTLE LONGER」(IDA〜ART OF FIGHTINGラインの和みフォーキースローコア)、KING CRIMSON「RED」(30周年リマスター!)、BECK「ONE FOOT IN THE GRAVE」(Kリリース、カルヴィン・ジョンソン参加作)、PHAROAH SANDERS「KARMA」(69年作リマスター)、BOOKER LITTLE「BOOKER LITTLE 4 & MAX ROACH」。今池店のみ10月31日から4日間バーゲンだそうですよ。来週末は名駅店バーゲンだし、11月アタマには大須店オープンも控えてるしで、そろそろ腎臓の相場価格でも調べとかないといけない感じになってきました。

▼ところで一昨日の日記で触れた東京のinu-recさんからタイムリー過ぎる返信があり、こちら側から提示した案で問題なしとのことでした。いや〜、簡単にネット上で人に悪態つくモンじゃないですね。hold your mouth for warですわ。リッヴェ〜ンジョァッ!これでも私、人間性善説を信じますので、丁寧な返事がもらえてひと安心でございます。

▼最近のブームは自転車のカスタマイズです。先日は前輪のライトがソケットから割れて、ぷらんぷらんと線ひとつで垂れていたのを邪魔だから引きちぎり、今日は遂に、しばらく前から溶接部がポッキリ割れてしまって常にガタガタしていた前カゴが、固定のネジがゆるんで外れてどっか行って、手で押さえて走るのさえ無理な状態になってしまったので、仕方なく新栄あたりの、きっと誰かが何とかしてくれそうな感じの放置自転車だまりの片隅にこっそり置いてきてしまいました。もともとはそのへんのおばちゃんでも乗れそうな普通の自転車だったのに、今や灯かりもつかんわカゴもないわ、ただ走るだけの質実剛健なマシンになり果て、ちょっと満足してます。

【只今のBGM:TANKARD「MEANING OF LIFE」】


ASSASSINと並んでドイツが誇るB級突撃スラッシャーの90年作。ビールよこせとか言いながらスパスパ疾走してくれればいいのに、OVERKILLみたいな勿体ぶり系イントロを使ってみたり、DEATH ANGELよろしくメロディラインを意識してちょっとマトモに歌ってしまったり、初期のヤケクソ・ファニーなジャーマンスタイルを愛する者としてはちょっと寂しい内容になってしまいました。ことマイナースラッシュに関しては、完成度の高まりを求めるミュージシャンシップに反して、音楽的にはどんどんカドが取れて面白くなくなってしまうのが歯痒いところ。DESTRUCTIONの再結成作くらいの殺傷力があれば問題ないけど、あんなケースは本当に稀だと思います。一応これでもEVILDEAD程度のクオリティには達してますが、このバンドに初めて手を出すなら断然初期でしょう。

  10月15日
収穫はなし。日本の秋は雨が降るごとに寒くなります。寒い。だが私は自転車生活をやめません。皆さんもそうして下さい。

【只今のBGM:THE BYRDS「SWEETHEART OF THE RODEO」】


もろにレコガールなこのジャケだけで買いですね。この68年作で大幅なカントリー化が敢行されたそうです。いや〜和むッス。若者が己の身丈の分だけ歌って演奏してるという点ではHUSKER DUともGUIDED BY VOICESとも何ら変わりがない。(SILVER JEWSやPALACE BROTHERSとは本当に何も変わらない。)この人達の他のアルバムをろくに持ってないのであんまり確実なことが言えませんが、とりあえず最初に買っても外したとは感じない内容です。DRAG CITYを全面支持するようなUSインディー中毒の人なら、無駄な買い物を増やさないためにも押さえておくと良いと思います。ちなみにリマスターはボーナス大量収録(本編+8曲!)な上、当時の写真を沢山使ったナイスな装丁で、物欲を見事にそそる高完成度な出来。

  10月14日
▼今日は犬録音のエンジニアとしてよく働きました。そーいえば先日、inu-rec(イヌ・レコード)と称して自主レーベルをやっています、CDにinu-xxxと品番をつけていて、大手店舗で流通しているものもあるゆえ、犬録音さんと被って困りますね、どうにかしませんか、という人からメールが来て、こちら側が今後の品番をinrc-xxxとするという無条件譲歩の形で決着をつける申し出をしたのに、2週間くらい経っても返信が来なくていけすかねえんです。メジャーデビューしても絶対応援しないぞ!

本日の収穫、栄店にてRICHARD DEVINE「ALEAMAPPER」、SOME VELVET SIDEWALK「WHIRLPOOL」(K、500円にてゲット)、THELONIOUS MONK「STRAIGHT, NO CHASER」(66年)。

【只今のBGM:RICHARD DEVINE「ALEAMAPPER」】


ちょうど去年の今頃だったか、電子音響の学会みたいなの主催のイベントの一環で、名古屋港は南極観測船・ふじのデッキ上でMEGOの人とかが頑張ってくれる無料ライヴを見物に行ったことがあります。イボイボと痛い鉄板に腰を下ろして、風も強くて日が沈むにつれみるみる寒くなる中、ステージの向こうのポートビルや雲や、近くの橋の上から「何あれ〜」て様子でこっちに興味を示している普通の通行人らを見るでもなく眺めながら、ひたすら抽象的にたゆたい移ろう大量の電子音を、あたりの景色とさして変わらぬただの事象としてほげ〜っと受け入れるのが何だか良い気分で、以来こういうノンビートのノイズエレクトロニカのCDを時々買ってしまうようになりました。この人は比較的耳障りで回転の速い轟音を多用し、人間の住みにくい地域系のアグレッシヴで不安を煽るようなスタイルをもっています。何となくドォーッとなりたい(?)けどブラストや絶叫は暑苦しい、なんて時は多分こんなのにしか手が伸びない。無目的にやってるように見えて、一定の何かに合致するムードがあるかないかが、この手の作品の良し悪しの分かれ目なんでしょうかね。私はこれはとても良いと思います。サボテンを買うように買って下さい。

  10月13日
▼英語のひとつもたしなんでおかないと、道端で外国人に話しかけられたら困るでしょう、でも滅多にそんな機会はありませんよね。24年と数日生きて今日が初めてだったんだから少なくとも名古屋においては滅多にないに違いない。自転車にまたがって信号待ちをしている時に、辺りに銀行を知らない?とおねーさんに尋ねられまして、視界に入るところにあったUFJ銀行を指差して「UFJバンク!」と答えたものの今日は祝日、あからさまにシャッターは閉まってるし、「でもクローズドよね」と言われ、日本じゃ今日は祝日なのですよと説明したかったのに、holidayの一語が出てこなくてずっと言葉に詰まって、いつまでも一人で考え込んでるのを待たせてはいけないという判断で結局「んあ〜、トゥデイ、イズ、クローズド」なんつうファニエスト・イングリッシュをお見舞いしてしまった自分がほとほと情けない、本当に。

本日の収穫、本店にてV.A.「IMMEDIATE ACTION」(HEFTYの12"シリーズ編集盤2枚組!)、THE FORMS「ICARUS」(NORTH OF AMERICAラインのオルタナテイスト強め変拍子ポストコア、アルビニ録音)、ジャズ・シンにてMILT JACKSON「IN A NEW SETTING」(64年作リマスターデジパック、マッコイ・タイナー参加のクインテット)、STAN GETZ「THE STEAMER」(56年作リマスターデジパック)、その上のROCK RECORDS JAZZでBARNEY KESSEL「TO SWING OR NOT TO SWING」「SOME LIKE IT HOT」、JOHN COLTRANE「SOULTRANE」、BILL EVANS「ALONE」。

【只今のBGM:V.A.「IMMEDIATE ACTION」】


HEFTYが出した6枚の12"シリーズを、曲順などをいじってCD2枚にコンパイルしたもののようです。ちなみに元の12"は「#001」がSAVATH+SAVALAS、「#002」がA GRAPE DOPE、「#003」がTWINE、「#004」がRETINA、「#005」がSAMADHA TRIO、「#006」はTELEFON TEL AVIVやPROCESSなど複数アーティストによるもので、更にこのCDにはBENEATH AUTUMN SKYなどそのシリーズに関係ない音源もボーナストラックとして収録されています。全曲アルバム未収のレア音源とのことなので、なかなか買う気の出る品だと思います。レーベルのサンプラーとするにはちょっとまんべんなさが足りない感もありますが、それでもアーバン・ソフィスティケイテッド・ジャジー・ハイソ・エレクトロニカしか扱ってねーぞオラというレーベルカラーは充分に伝わる内容。おおかたの人が目当てにするであろうSAVATH+SAVALASの音源は、彼ら単体でのアルバムに入っていても何もおかしくないようなクオリティです。これだけのために買っても泣きはしないでしょう。勿論他のアーティストも頑張っています。ここで初めて聴いた人力9割のジャズコンボ・SAMADHA TRIOというのがなかなか良くて印象に残りました。

  10月12日
収穫はなし。バンドの練習後、カクテル14種半額セール中の村さ来を経済的にご利用してきました。アレはどっちかというと氷のカクテル漬けだったがな。やる気がないのはいいねー。

【只今のBGM:STEELY DAN「COUNTDOWN TO ECSTASY」】


73年の2ndです。ポップミュージックの出尽くしたフォーマットを妙な具合に組み直して新鮮に響かせるというのがもうこの頃からのコンセプトだったんでしょうか。あるいはそんなことは全く無意識だったにせよ(まずないと思います)、隅々からマニアの仕業感がプンプン漂ってきます。名盤と誉れ高い「AJA」と比べると、色々やろうとしてるフシがより強く現れているとともに、こんなのもやっといたよ的な確信不足も窺われて、なるほど初期だなという感じがします。熱心なファンにはこの姿こそ興味深いのだろうし、またこの時代の音楽全般を愛好する人にとっては、すこぶる優秀なメインストリームポップスのショウケースとして、可愛げをもって楽しめる内容であることでしょう。完全な後追いで聴こうとする人は衝撃よりクオリティを求めて手を出した方が間違いがないかも。

  10月11日
本日の収穫、名駅店にてMALEVOLENT CREATION「MANIFESTATION」(2000年、ライヴ映像収録のボーナスディスクつき2枚組!)、WES MONTGOMERY「FINGERPICKIN'」「GROOVE YARD」。今日の名駅店、ウェス・モンゴメリーの外盤が突然20枚くらい目の前にあられて困りました。その中からとりあえず選んできたこの2枚は正解だったのか否か。今池とかにザッパのリマスターが20枚くらい一気に入ってることも時々あるけど、あれも同様に困りますよね。その時は銀行行って有り金全部下ろして全部買うべきだと思います。

【只今のBGM:WES MONTGOMERY「GROOVE YARD」】


61年作。「ノリノリ」と「ノセノセ」を区別して「ノリノリ」の方をもっぱら支持する私としてはとても好ましい盛り上がり方をしてくれるアルバムです。(「ノセノセ」はアート・ブレイキーとか。)優しいアーシーなアメリカ心が内向きに燃えるのにひたすらお付き合いするだけで良い。兄弟グルーヴなのか(ウェス/バディ/モンクのモンゴメリー兄弟にドラマーを加えたカルテットです)単なる思い込みなのか、各パートがオレもオレもと前に出過ぎず、普通のジャズアルバムとはちょっと違うピースフルな調和が大変イイ感じな気がします。録音も、超高域は若干不明瞭なれど(リマスターやアナログだと違うかも)、低音の拡がり感がちゃんとあって良い塩梅。ウェスのギターが闘うのを堪能したい向きにはちょいと物足りないかも知れませんが、トータルで優れた作品として大いに評価したいところです。ちなみに「ダウンビート」も星5つつけてます。

  10月10日
収穫はなし。バイトを辞める人の送別会がカラオケという日でした。普通の音楽的嗜好をしてる人達だけを前にどう闘うか、悩み抜いて、適当に目星をつけていったのに、CMネタは殆ど通用せず残念。いいちこのCM見たことないんか?ソニーハンディカムは?仕方がないので"21世紀の精神異常者"(これも一応CMネタ)を「EARTHBOUND」ヴァージョンでいって、それなりのショックを与えておきました。ヨシ。

【只今のBGM:EMBRYO「WE KEEP ON」】


DISCONFORMEとかいうよく判らないレーベルからのリマスター。非常に購買意欲をそそる完成度の高いパッケージです。ジャーマンプログレの中でもちょっと異端として語られるこの人達、とりあえず72年のこのアルバムにおいては、「BITCHES BREW」の魑魅魍魎感とAMON DUULあたりのエセ原始中東サイケをミックスしたような、どうにもジャーマンジャズロックとしか言いようのないものを展開しています。演奏レベルは非常に高く、カンタベリー/レコメンの巧い連中くらいの水準は全然クリア。MAGMAまがいのカモメがフュージョン呼ばわりされてた当時にあってはこれもサイケ・フュージョン的な受け入れられかたをしてたんじゃないでしょうか。サイケな時間感覚とプログレの無茶、ジャズのスキル的充実をいっぺんに愛せる人なら試しておいて損はない盤です。

  10月9日
▼肉は定期的に焼くものですよね。今日も食べ過ぎでばっちり不幸せになりました。収穫はなし

【只今のBGM:SHINER「STARLESS」】


ラスト作「THE EGG」にそれほどグッと来なかったこのバンド、要はBURNING AIRLINESとパラレルな位置にある、JAWBOXの仮想後継者であるということが、2nd「LULA DIVINIA」を最近聴いてやっとわかったんですが、この3rdはまた少々違って、メタル臭がやけに濃いめ。KING'S Xが好きかどうかまでは察しかねますが少なくともMTVでATOMIC OPERAとか見て「カッコエエなー」くらいは思ってたんじゃないでしょうか。そんな感じのグッド・ハーモニー&ヘヴィ・リフ・アルバムです。一応ポストコアのフィールドでやって違和感のない範囲内。わかりやすさ的にはこの人達のリリースの中でも上位に来るでしょう。しかしこれがエモ信奉者からは金字塔扱い(って程でもない?)というのは面白い状況ですね。そんな人は是非タイ・テイバーとか聴いて涙に溺れて頂きたい。

  10月8日
▼今日もモかった。収穫はなし

【只今のBGM:SONNY ROLLINS「A NIGHT AT THE VILLAGE VANGUARD」】


気合のテナー・トリオ、イイですね。ホントに威勢が良いというか、同じ流暢でもツルツルじゃなくてブフォッ!と噴き出るような怒涛感がとても快い。曲もまたアゲアゲなのが多く、エルヴィン・ジョーンズ煽りまくり。ケニー・ドーハムの「AFRO-CUBAN」的なえげつない系譜の音です。57年にしては潰れ気味のローファイ録音(しかもモノラル)なんですが、何せピアノレスなので各パートが帯域ごとに割とパッカリ分離できているし、コンプ具合がちょうど良く必死ぽさを醸し出していて、演奏内容に相応しいプロダクションになっているように思います。見識を広げるべくジャズに手を出してるような人は、あんまりスゲーとか思わなかったりしても、寝かせておけばいつか必ず家宝になるような物っぽいので、早まって売っちゃったりせず温めておくと良いでしょう。

  10月7日
▼昨日の上前津には実は買い残しが色々ありました。本日の収穫、立て続けのサウンドベイ上前津でSTEELY DAN「CAN'T BUY A THRILL」「COUNTDOWN TO ECSTASY」「KATY LIED」(いずれもリマスター)、THE BYRDS「SWEETHEART OF THE RODEO」、SONNY ROLLINS「A NIGHT AT THE VILLAGE VANGUARD」。そして更に一晩のうちに新入荷が!STEPHEN MALKMUS & THE JICKS「PIG LIB」(外盤、初回2CD)!ああまた正しいことをした。

【只今のBGM:STEPHEN MALKMUS & THE JIKS「PIG LIB」】


気になる2ndをやっとゲットとなりました。この人は、いつでも思い出すほど心酔してるというわけではないんですが、文句のつけどころがないという意味で、何やってるかくらいは常にチェックしておきたい人です。さて内容としては、PAVEMENT時代から何も変わらないけど、ソロを含む過去のどのアルバムとも同じじゃないという、いかにもこの人らしい出来になっています。第2の"Shady Lane"をいつまでも待つのはヤメにした方が良さそう。それよりこの人は立派にロックンローラーですよ。同じ一人ものでもPINBACKよりはダニエル・ジョンストンに断然近い(ダニエル・ジョンストンもつまるところグレイトなロックンローラーだと思っています)。次はどんな風にロックするのかな、と座って見守る感じで付き合っていくのが楽しいんじゃないでしょうか。しかしこの、所ジョージ的ポジションというか、気ままにやっていつでも何とかなる人ってのは凄く羨ましいですね。

  10月6日
▼髪を切りました。バンドの練習の後だらだら遅い昼食を摂ってもう17時とかになっていたのにわざわざ上前津のいつも行く店に行って切ってきました。今日私をそうさせたのは何か、本日の収穫、サウンドベイ上前津にてNATIONAL HEALTH「D.S. AL CODA」(ジョン・グリーヴス、エルトン・ディーン、リチャード・シンクレア等参加のカンタベリーレジェンド!)、SUFFOCATION「HUMAN WASTE」「DESPISE THE SUN」(US激シブテクニカルブルータルオリジン、名盤デビューEP&ラストEP同時発見!)、DISGORGE「CHRONIC CORPORA INFEST」(メキシカン超げぼげぼ下水道ゴアグラインド名バンド!1st!)。CDは人を呼び寄せます。

【只今のBGM:SUFFOCATION「HUMAN WASTE」】


伝説的なデビューEPにデモトラックを1曲収録して2000年に再発されたもの。グレイト!の一言!メタル的なまどろっこしさを多分に残していたMORBID ANGELやOBITUARYをあっさり引き離し、今でもバリバリに通用するような激テクニカル・ブルータル路線を確立しています!これをやったのが90年とは恐れ入るしかありません。当時はこの過剰な詰め込み方が余りに意味わかんな過ぎて、前述したような人達の方がポピュラーだったんでしょうが、改めてこんなのを聴くとCRYPTOPSYやNILEみたいなのがむしろSUFFOCATIONにやっと追いついたのだなという感じがします。皆で大事にしましょう。

  10月5日
▼デジタルカメラっていいですよね。突然ですが、買いました。購入のきっかけはまたもやアマゾンです。最近出来た「エレクトロニクス」というセクションを見てみたら、あんなものやこんなものが大手家電量販店並みの価格で「通常24時間以内に発送」…?普段CD買ってるノリでデジカメも買えばいーんじゃん、という斬新な感覚!ネット通販の恐ろしさとはこれですね。結局他のサイトも色々と当たって、買おうと思っていた機種の最新ひとつ前の型が凄く安かったヤマダ電機のウェブショップにて決めました。物はキャノンIXY DIGITAL 320でございます。今日はとりあえず部屋のCD棚を写してみたりと無駄に手慣らしして終わりました。

▼てことで外出もせず収穫はなし

【只今のBGM:ORCHID「DANCE TONIGHT! REVOLUTION TOMORROW!/CHAOS IS ME」】


先週の岡崎店での熱き収穫です。極悪慟哭ケイオティック!結局メタルじゃんってな連中には絶対ないハードコアな激情がむちゃくちゃカッコイイです。変拍子や超絶技巧を使うでもなく力技で変なパターンを叩き倒すドラム(単純にしたBOTCHを早回しさせた感じ?)に、ジョガジョガと輪郭の潰れた号泣弦セクションがまとわりつき、ノドから血が出てそうなヴォーカルのテンションの高いこと。最近大絶賛したFUNERAL DINERよりはイーヴル度が多少落ちますが発汗量はこちらが断然上。リフやキメがイカすかどうかとかより、いかに激情をひたむきに発散できるようにするかっていう曲の作り方をしてる感じがします。そういう意味では叙情ニュースクール一派より後期BRUTAL TRUTHとかに近い。

  10月4日
▼記憶装置が失われていくのは淋しいものでございまして、例えば通っていた高校の校舎は、地震対策で総建て替えの憂き目に遭い、今は昔の見る影もないキレイな建物になってしまいました。大学の午後の授業を自主休講にして、日暮れまで栄〜大須の中古CD屋をよくフラフラと巡っていた頃、大須に寄るほぼ唯一の理由だったバナナレコード大須店も、第一アメ横ビルからなくなってもう久しいものです。あの秋冬の一人歩きはしみじみエモかったなぁ。ところが奥さん寝耳に水、もといミミズ並みの、大須店復活のニュースにゃ驚きましたよ。若宮大通沿いにある郵便局東の「裏門前町通」を金山方面に向かう途中の左手に、何と今度は倉庫なども兼ねた自社ビルをおっ建てての新オープンだそうです。営業開始は来月11月7日(金)から。最初の3日間は粗品が出るそうですが、何でしょうね?もれなくヴェルヴェッツの1stか、みんな大好き銘菓「まるごとバナナ」か、はたまた各店で在庫余剰の10周年Tシャツかと、妄想が膨らみます。

▼てことで本日の収穫、上記情報の仕入れ元・本店にてRIDDLE OF STEEL「BURN」(TRAINDODGEをリリースしているASCETICより、JAWBOX〜BOYS LIFEラインのシブ激ポストコア!)、JIM O'ROURKE「I'M HAPPY, AND I'M SINGING, AND A 1,2,3,4」(MEGO)、RETISONIC「LEAN BEAT」(ex.BLUETIP!)、更に夏のバーゲン以来のFILE-UNDERでWOLF COLONEL「VIKINGS OF MINT」(K RECORDS)、JEFF MUELLER「FOLD AND PERISH」(RODAN〜JUNE OF 44〜SHIPPING NEWS!弾き語りソロ!)、THE SPINANES「MANOS」「THE IMP YEARS」(レベッカ・ゲイツのバンド)、RIAN MURPHY & WILL OLDHAM「ALL MOST HEAVEN」。

【只今のBGM:WOLF COLONEL「VIKINGS OF MINT」】


Kというとパンクで愛ある粗濫インディロックファクトリー、あるいはBEAT HAPPENINGの順列組み合わせヴァリエーションズ、ていう失礼なイメージがあってなかなか足を踏み入れることが出来なかったんですが、100円で買ったこの人達の2000年作が非常に良く、今日はその前作にあたるこれを買ってしまいました。いや〜これがなかなか、曲を曲としてやっていくことに目覚めた最近のGBVをまたダルダルにしたような、結果的にローファイよりポップが勝る優良バンドなんですよ。BARSUKに引き抜かれてベン・ギバードにいいようにされたとしても何の違和感もなく名盤を作りそうなセンスを感じます。というかそうした方が売れるだろうに、あくまでDUB NARCOTICで頑張るこの人達は何だか愛せるなぁ。これを足がかりにオリンピアの魑魅魍魎にも手を出してみようと思います。

  10月3日
収穫はなし。つまるところ人の叡智も人のもの、オーガニックエレクトロニカな人として適当に色々屈していくバランスで生きようと思います。何にも屈せず悟りを開くとどうなるんでしょうか。攻撃系と回復系両方の呪文が使えるようになるんでしょうか。(ウチにある最新のハードはかの「ディスクシステム」です。)

【只今のBGM:AMBER ASYLUM「THE SUPERNATURAL PARLOUR COLLECTION」】


天然系フォークゴシックの金字塔、STILL VOLKの「EXU-VI」に追いつかんとする音がやっと出てきたかという感じです。RELAPSE傘下RELEASEリリースのこの人達は、STARS OF THE LIDが100年前のお化け屋敷になったような、スローコア〜ジャーマン音響感覚のホラー・フォーキー・ドローンをやっております。変わってる。「鬱」ではなくあくまで「怖」なんですな。何者のファンが喜ぶのか全く謎。ULVERを全作品全肯定できる人なんかはきっとマストでしょう。時々女性ヴォーカルが入りまして、アルバムのラストでは何と、チェロにあのリフを弾かせて"Black Sabbath"のカヴァーをやってます!というかこれが面白くて買ったようなもの!こりゃーハマってますよ。後半のシャッフルパートもばっちり、祭祀系あやしげフォークロア風に解決しててお見事。変なカヴァーを集めるのが好きな人は見逃せない一枚です。

  10月2日
収穫はなし。食い物でオーヴァードーズしたい思いが日増しに強くなる昨今、ミスター・ドーナッツでもっとコーヒーが飲みたかった。浴びるようにっていうか実際浴びても良かったね。コーヒーマシンの注ぎ口の下に頭突き出してね。さておき、店員はもっと客の「すいませ〜ん」に気付いて下さい、結構恥ずかしいんだから。

【只今のBGM:YUSEF LATEEF「FULL CIRCLE」】


普通にハードバップ〜フリーの時代からローランド・カークやドン・チェリーとタメ張って頑張ってたこの人がバリバリの現役とは、ビックリかつ納得。何も知らずに買ったら、えらくジャズ寄りの新手レコメンかMAGMAファミリーかとでも思いそうな不良っぷりです。これはヤバイ!編成はギター・ピアノ・本人・リズム隊のシンプルなクインテットで、別段電化しているというわけでもなし。ただもうこの崩壊寸前の適当さが、フレドリック・ソーデンタル(MESHUGGAH)のソロ作を思わせるほど壮絶。かと思えば唐突に渋いノドを披露したりして、ザッパ的なフットワークと人食ってる感もあります。ホント年甲斐なくよーやるわと。MATS&MORGANあたりと共演したらズバッと来そう。バカっぽいジャケもナイスです。

  10月1日
▼おお10月。さて、私が卒業した大学の、現在も世話になっているバンドサークルが、10月26日(日)に名古屋は栄・セントラルパークもちの木広場にてコンサートを行います。そこで私、卒業生の身ながら、キンセラ兄弟関連バンド(JOAN OF ARC、AMERICAN FOOTBALL、OWEN、CAP'N JAZZ)を1曲ずつコピーするコピーバンドをやることになっています。AMERICAN FOOTBALLの名盤フルアルバム1曲目のイントロ(ギターの音出しから喋り、カウントまで)を完コピしたかった一心です。結構頑張ってますから当日よろしく。

▼先日のバナナ全店バーゲンでコースの都合上唯一行かなかった四ツ谷店に行きました。本日の収穫TOMAHAWK「MIT GAS」(マイク・パットン、デュアン・デニソン/ex.THE JESUS LIZARDらによるバンドの2nd)、XAVER FISHER TRIO「II」(北欧のお洒落クラブジャズキーボードトリオ2nd)、V.A.「SOUND CHECK」(SUBPOPの98年コンピ2枚組、PERNICE BROTHERSやHEROIC DOSESなど)、FRANK SINATRA「THE CONCERT SINATRA」(63年作リマスター)、GRAND PRIX「THE FIRST ALBUM」「THERE FOR NONE TO SEE」(ZOOM CLUBからのリマスター)、KING CRIMSON「THREE OF A PERFECT PAIR」(30周年新リマスター)、COPELAND「BENEATH MEDICINE TREE」(ポストJIMMY EAT WORLDなシケ系エモ)、YUSEF LATEEF「FULL CIRCLE」(96年作)。不測の大収穫をマルフク券でアザヤカに乗り切りました。つーか全店バーゲン廻った日に来てたらきっと泣き入ってたな〜。一日30枚越えはやっぱりちょっと凹むので。

【只今のBGM:GRAND PRIX「THERE FOR NONE TO SEE」】


またええもん発掘しました。現役および元BURRN!読者なら確実に名前を目にしたことがあるこのバンド、編集者の思い入れに違わぬ名バンドですわ。ディー・スナイダー風の声質のヴォーカルでSHYを思いっきり陽気にしたようなめちゃ優秀なメロ・ハーをやってます。8フィンガーとバラードが売りのNIGHT RANGERとかより全然聴けるし燃える。いや、NIGHT RANGERもイイですけどね。ZOOM CLUBが一生懸命透明ケースでリマスター再発したのに、いかにも今売れなそうな外観のせいで中古では700円や800円になってしまうとは、悲しい話ですが、助かります。イエーイわかってるの俺だけ!みたいな喜びもありつつ。玉石混交のZOOM CLUBやSPITFIREの再発ものから至宝を探し当てるのがメタラーの現代流ですよ。てことで安く投売りされてたら全員買い。

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