物色日記−2003年11月

※頻出語句解説はこちら
  11月30日
▼昨日、マフラーと似て非なる環状の首巻き防寒具(易しい名前があったら教えて下さい)を買いました。それと手袋を装着して末端から熱が逃げるのを防いで、あとはリュックで人体きっての放熱板たる背中を塞いでしまえば、相当な薄着でも冬が越せそうな手応えを得たので、今年はその路線でいこうと思っています。ところで冬の鍋って1シーズンに最低5回はやりたいものですよね。収穫はなし

【只今のBGM:SHELLY MANNE「SHELLY MANNE & HIS FRIENDS」】


CONTEMPORARYでシェリー・マンというとPOLL WINNERSの良いイメージがあるのでつい買ってしまいました。56年発表のトリオアルバムで録音は勿論ロイ・デュナン。内容の方は、仕事人が寄り集まって地味に頑張ったハイクオリティ作って感じでしょうか。ウエストコーストな明るいノリのニコニコもんです。いわゆるアーシーでもいわゆるファンキーでもなく、「トムとジェリー」みたいなカロヤカな楽しさなんですよ。こーいうアメリカ感は最高ですね。編成上の都合もあってかピアノのアンドレ・プレヴィンさんが相当ハッスルしてまして、もはやこの人のリーダーアルバムかという感じすらありますが、煽り煽られってムードでもないし、これはこれでしょう。シェリーさんは堅実で達者ならばそれで満足です。(何となく、イメージ的に。)

  11月29日
収穫はなし。衣類を調達に出掛けたりしました。昨日ジャズシンの入り口わきにある傘立てに忘れてきた折り畳み傘が、ひと晩経っても無事だったので良かったです。中古CDを買いにあんな雑居ビルに足を踏み入れるような人にやっぱり悪い人はおらんのですね。それにしても外、寒くなりませんなあ。

【只今のBGM:SIGUR ROS「( )」】


話題バンドの注目盤も一応時々は登場します。GYBE!といいMOGWAIといい、日本じゃこんなドローン・スローコアが普通に受けるもんなんですねー。親切(調性的に)でアーティスティックならいいのか、「あのBJORKやRADIOHEADも影響を受けた」とか言われればいいのか。この調子でTHE FOR CARNATIONとかも食い物にしてその勢いでSLINTやCODEINEをデジパックリマスターにして、そんでBASTROも全部再発して、DOMINO/DRAG CITYから世界流通の正式再発盤が出て、晴れてみんなBASTROが聴ける世の中になったら凄くいいんだけど。そんな妄想は置いといて、これ良いアルバムだと思いますよ。最近の「売れる洋楽」が共通して背負ってる胡散臭さには毒されておりません。アイスランド出身と聞いたせいなのか、弦が絡むようになった以降のBJORKに似た感じを受ける気もします。上に曇天、下に雪野原の一面灰白色な景色がおいそれと見られる国に育つとこういう風になるんでしょうかね。時々過剰にドラマティックになることもあるこの情感は、気候的にもエクストリームなところの出身の人ならではのものなのかなと思います。DIRTY THREEのほのぼのした海の情景とも、PAN AMERICANの人と物以外の気配がしない無機感とも違った印象です。民族テイスト取り入れてみましたとかじゃなくて、その音楽の製作元の空気が自ずと漂うってのは、良い話ですよねえ。

  11月27−28日
▼27日は久し振りに肉を焼いて、大学のサークルの人の家に押し掛けて自分と全くないバンドの音源のミキシングを強引にやり倒し、たらたらと帰宅する途中、深夜27時近くの円頓寺商店街付近で自転車の後輪がパンクしたから最悪でした。家までまだ20分はある地点だったので仕方なく、ガベゴッガベゴッガベゴッと酷い音を撒き散らしながらその自転車に乗り通しました。家に着いたら予告通りアマゾンからCDがわんさか届いていたのに、聴く間もなく寝るしかなかったッスよ。てことで27日の収穫ART OF FIGHTING「WIRES」、KING KONG「BREEDING GROUND」「THE BIG BANG」(これにてコンプリート!)、KATATONIA「VIVA EMPTINESS」(スウェディッシュゴシック名バンド最新作)、ANATHEMA「JUDGEMENT」、THE LAPSE「BETRAYAL」、SHELLAC「AT ACTION PARK」、JAWBOX「GRIPPE」、BURNING AIRLINES「IDENTIKIT」、GOVERNMENT ISSUE「COMPLETE HISTORY VOLUME ONE」、AGENT STEEL「ORDER OF THE ILLUMINATI」、V.A.「20 YEARS OF DISCHORD」。

▼28日はそういうことでバイトの行き帰りが歩きと地下鉄になってしまいました。家から最寄駅まで自転車で5分くらいかかるところをノンストップで走ってみたけど、予想より疲れてガッカリ。自転車生活で鍛えられたと思ったのになー。帰りに鶴舞から矢場町パルコまで歩いて今日からスタートのパルコ店バーゲンに行ってみたけど何も買わず、かなり久々のジャズシンで本日28日の収穫、BILL EVANS「AT THE MONTREUX JAZZ FESTIVAL」(デジパックリマスター)、OLIVER NELSON/ERIC DOLPHY「STRAIGHT AHEAD」、その上のROCK RECORDS JAZZでMcCOY TYNER「SONG FOR MY LADY」(72年)、SHELLY MANNE「SHELLY MANNE & HIS FRIENDS」、MAX ROACH「IT'S TIME」(クリフォード・ジョーダン、マル・ウォルドロン他参加の62年作リマスター)、JOHN COLTRANE「COLTRANE'S SOUND」(リマスター)。明日は休みなのでCD聴取に専念したいと思います。

【只今のBGM:ANATHEMA「JUDGEMENT」】


思い出しただけで胸が熱くなる叙情プログレ路線の名盤「ETERNITY」と、現金なキャッチー化が敢行されてややガッカリだった「ALTERNATIVE 4」の間のアルバムです。どっちかというと「ALTERNATIVE 4」に近い音楽性になっていて、「ETERNITY」とはPARADISE LOSTでいう「ICON」と「DRACONIAN TIMES」の間にあるのと同じくらいの隔たりがある感じです。もっと「ETERNITY」寄りを期待したのに…。しかしまだ多分にメタル的なイモさ、プログレ的な冗長さをところどころに残してる分「JUDGEMENT 4」以降の洗練されたコンパクトなつまらなさとはやっぱり一線引かれてる気もします。にしてもこのヴォーカル氏はメロウに歌うと本当にグッと来ますね。ゴシックメタル界で憂い声選手権をやったらブッちぎりで5本の指入りする人だと思っております。弾き語りソロで同郷のDAKOTA SUITEあたりとスプリットでも出してくれたら絶対買いたい。

  11月26日
▼年末のバーゲン情報を得るために金山サウンドベイに行ってきました。2・3枚買えれば良かったのに本日の収穫THE HALO BENDERS「GOD DON'T MAKE NO JUNK」(1st!)、THOUGHT INDUSTRY「BLACK UMBRELLA」(ジャンキッシュオルタナスラッシュ名バンド97年作!)、DEATH「THE SOUND OF PERSEVERANCE」("Painkiller"のカヴァー含むラスト作7th!)、JAWBOX「JAWBOX」(96年、ATLANTIC傘下TAGリリースのラスト作4th!)、FORMULA 3「DIES IRAE」(イタリアンロック名グループ、ヘヴィサイケ路線の1st)、RAZOR「VIOLENT RESTITUTION」(カナダの伝説的カルトスラッシュ、大名盤と名高い88年作!)、SIGUR ROS「()」、BLONDE REDHEAD「BLONDE REDHEAD」(SMELLS LIKE RECORDSからの1st)。これでも絞った方です。ヤバかった。ついでに久しく行ってなかった名駅店にも寄ってFROTSAM AND JETSAM「DOOMSDAY FOR THE DECEIVER」(ジェイソン・ニューステッドが唯一在籍した伝説的1st)。明日はまたアマゾンから13枚くらい送られてくるというのに…。金もないけど本格的に時間がないです。レッツ年末ジャンボ3億円。

 そしてサウンドベイの年末バーゲンは12月20日(土)〜23日(祝)とのことでした。バイトも仕事も休んで並ぶべき。バナナもパルコ店が明後日金曜から、本店が年末にやるはずですので節制して備えましょう。

【只今のBGM:THOUGHT INDUSTRY「BLACK UMBRELLA」】


スラッシュメタルがエキセントリックな方向に捻じ曲がったようなデビューアルバムを92年にリリースし、2ndで突然BASTROともリンクするようなジャンキッシュ・スラッシュを確立した、METAL BLADEから出てしまったのが全部悪かった不遇の名バンドTHOUGHT INDUSTRYの97年の4thです。いやー、この4th、予想以上にポストコアに近づいていて驚きました。アルビニ風の遠くて横に広いプロダクションで、スローコアっぽかった頃のDEATH CAB FOR CUTIEが末期FAITH NO MORE化してGERN BLANDSTENに移籍したような、97年にして信じられない内容を飄々とやってのけています。これはヤバイ。ちょっとどうかな?て曲も混じってはいますが、基本的にGIDDY MOTORS級の感動は余裕で保証します。同じメタル出身でもNOTWISTとかMOTORPSYCHOとかはそこそこのステイタスを持ててるのに、この人達はなまじ日本盤まで出てメタルバンドとして認知されてしまっているのがダメなんでしょうかね。皆さん買って下さいよ本当に。

  11月25日
収穫はなし。昨日の余波で激しく筋肉痛が来るはずだったのにそうでもありません。首が強くなったのか、明日や明後日に来るのか。

【只今のBGM:HIM「NEW FEATURES」】


シカゴからDCまで選りすぐりの人材を集めた2001年作。普通に3管の曲なんかもあって、もージャズがやりたいんですねという内容です。そう思って聴くと管のアドリブとかはすんげー中途半端だし、デヴィン・オカンポ(ex.FARAQUET)もなんか普通なだけですが、そこはHIMのアルバムですから、ダグ・シャーリン上手いなーとかそういうところに楽しみを見つけましょう。ダビーな曲になると俄然全員かっこよいのですが。(というか聴き進んで判ったのですが前半ジャジー、後半ダビーというアルバム構成だったようです。)その中にあって普段インプロで闘っているジョシュア・ラルー大先生のパートは、どの曲でもやっぱり冴えてますね〜。オリジナルなトーンもタッチも健在。まーとりあえず、ISOTOPE217やTIED + TICKLED TRIOのような予定調和のジャズ風音響ロックよりもインプロ性の高い代物には違いありません。ジャズリスナーでもそれなりに興奮を覚えるようなレベルには達してるんじゃないでしょうか。

  11月24日
▼ポーランドのゴア・ゴッド、DEAD INFECTIONのライヴのために今池ハックフィンまで出向いてきました。5ついた前座がほぼ全部良かったという極めてハイクオリティなイベントでしたよ。DEAD INFECTIONは意外とオヤジバンドでした。で本日の収穫、物販にてDEAD INFECTION「THE LETHAL COLLECTION」、BUTCHER ABC「BUTCHERED AT BIRTH DAY」、その資金を作るためにライヴ前に寄った本店にてMODEST MOUSE「MODEST MOUSE」、PORTASTATIC「SLOW NOTE FROM A SINKING SHIP」、SPARKLEHORSE「IT'S A WONDERFUL LIFE」、ADEN「ADEN」、PETER BRUNTNELL「NORMAL FOR BRIDGWATER」。とにかく疲れました。9月頃にこけて打ち身になったのと同じところからまたこけたし。ひとまず明日の首が心配です。

【只今のBGM:PORTASTATIC「SLOW NOTE FROM A SINKING SHIP」】


いい加減ブラストまみれで疲れたので、物販で買ったCDは保留にしてこっちです。いいですね、このアルバム、ジャケがいいですね。95年といえばまだSUPERCHUNKは疾走パンクポップ一直線でしたが、PORTASTATICの方ではユルユルだった頃のBUILT TO SPILLをちょっと変にしたようなことをやってます。クオリティの高さは相変わらず。だからまあ、やっぱりなって感じなんですけど、ジャケがよいので買って持ってればいいんです。揃いがいいのも大事だし。それにしてもマック君はさながら良質ポップの大量生成プラントですな。ゲディ・リーよりユニークな声だと思うのですが、PORTASTATICおよびSUPERCHUNKが聴けるって人は歌がマック君だと思って最近のRUSHも聴いてくれんかな。最新作(「VAPOR TRAILS」)イマイチでしたけどその前(「TEST FOR ECHO」、「COUNTERPARTS」)とか最高ですよ。

  11月23日
▼今日はやっと、3件たまっていたアマゾンの注文のひとつが到着しました。本日の収穫RAINBOW「RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW」「DOWN TO EARTH」(これにてリマスター一気にコンプリート)、ULVER「NATTENS MADRIGAL」(元祖ノルウェーブラック名盤3rd)、HIM「NEW FEATURES」「MANY IN HIGH PLACES ARE NOT WELL」(ジョシュア・ラルー、フレッド・エルスキン、デヴィン・オカンポ他参加!)、ENON「HOCUS POCUS」(THE LAPSEのトーコさん加入の最新作!)、YO LA TENGO「ELECTR-O-PUMA」、LOW「CHRISTMAS」("Silent Night"他、スタンダードとオリジナル織り交ぜて収録の8曲入りクリスマスEP!)。あとは宅録とかをして満足しました。休日っていいですね。

【只今のBGM:ENON「HOCUS POCUS」】


"Hocus Pocus"と言われると即座にオランダのFOCUSの♪ライララライララロッパッパー、のあれを思い出します。これはさにあらず、アメリカのニューウェイビー元気ガレージポップのENONでございます。正直なところ割と受け容れられん感じの曲もやってるんですが、1月のBATTLES(ex.DON CABALLERO、etc.)の来日公演の前座で来るというのと、ワン・オブ・マイ・モウスト・フェイヴァリット・フィメール・シンガーの(日本語で書きゃ良かったな)トーコ・ヤスダさんがこのアルバムをもって加入しているということで、試聴後迷わずショッピングカートに入れるをクリックしてしまいました。アイドルがちょっと歌もやってみました的な至って普通の声と軽く舌足らずな英語の発音で、USポストコアシーンを果敢に戦う姿がですねー、グッと来ますよね。エリザベス・ミッチェル(IDA)と並んで、女性シンガーってイイんだわ、と開眼させてくれた人です。トーコ以外のメンバーが歌う曲はどうも冴えないのが多く、気分はアイナー君の変な合いの手を必死で気にしないようにしながら聴くSUGARCUBES状態。TROUBLEMANの弾き語りシリーズからソロで出してくれんかな。ちなみにTHE LAPSEに続いて今回も日本語の歌詞ありで、ファンサービスばっちりです。買いだこれは全員買いだ。

  11月22日
▼新栄カノーヴァンにてジュリー・ドワロン見てきました。近かった。大変良かった。思い詰めたようなシリアスな空気になるのは歌っているときだけで、曲間で喋ったりする素のジュリーさんは、普通にたのしい感じの姉さんでしたよ。前座のTEASIも良かったなあ。諸々の詳細は近日中にライヴリポートのページに記します。2800円を惜しまず行ったのは全然正解だったとだけ書いておきます。

▼そして明後日は今池ハックフィンにてポーランドのゴアグラインドキングDEAD INFECTION!そのチケットを買いに大須GREAT ROCK'N'ROLL HEAVEN(御器所DISK HEAVENの分家です。このネーミングは不可解です…)に行って本日の収穫BAD COMPANY「DESOLATION ANGELS」(79年)、更にバナナ本店でTOE 2000のセルフタイトル作(ダグ・マッカム、ジェフ・パーカー他)。

【只今のBGM:VERY SECRETARY「STANDING IN THE SHADE」】


BRAIDの元ドラマーがいるバンドの99年作です。タイプ的にはMATT POND PA、初期KIND OF LIKE SPITTING、OWENなどの中間をいく感じでしょうか。激親切かつ超優良品質、これは泣ける。軽く変拍子も混じってたりして、C-CLAMPやSHARKS KEEP MOVINGなど、エモ/ポストロック/スローコアのどこにも片寄らないでいた90年代末のバンド群に似たフットワークを感じます。活動時期が短かったせいか、やや認知の薄いバンドな気がしますが、作品の出来はAMERICAN FOOTBALLのフルアルバムに勝るとも劣らん金字塔クラスでしょう。土クサ感を排した美メロフォークが好きな人は絶対マスト。

  11月21日
収穫はなしアマゾンにまたディープミニマル攻勢を仕掛けられて、ちっとも次のアタマの佐川急便がどばーんと来ない日々が続いてて嫌な感じです。(今月13−14日分の日記参照。)まあそんだけです。

【只今のBGM:PEDRO THE LION「WHOLE EP」】


97年のデビューEPです。ギターとベースの低音がごぞごぞ絡む独特のプロダクションは既に健在ながら、曲はもうちょいPAVEMENTやSEBADOHなど90年代前半の影を引き摺るインディな感じがあったりします。エモくささはまだかなり薄め。当時はRED HOUSE PAINTERSの正統な後継者とでも言われたんでしょうか。クオリティ的には、この人達のデビュー作としては充分納得のいくものです。最近はどんどん躁かつ泣ける方向にシフトしてきてますが、思えばその傾向とこの頃のクサレ感がいい塩梅でクロスしていた「WINNERS NEVER QUIT」は名盤だったんですなあ。

  11月20日
収穫はなし。名大生協には昔「トマトドレッシング」というナイスなドレッシングが置いてありました。ちくわの天麩羅+小ライス+味噌汁で168円という昼食に地中海な彩りを添えてくれた(勿論ちくわの天麩羅にかけます)名品でございました。で今日はバイト先で、グレープフルーツドレッシングなるものにお目にかかりました。ビックリですわ。チャレンジャーの私としましては、試さないわけにはいきませんで、賄いのつけあわせの刻みキャベツにかけて食してみましたところ、トマトドレッシングと同様に食うもの全てをグレープフルーツ味に変える、いかにも想像どおりの内容でした。サラダ単品にかけて食っても、葉っぱがグレープフルーツの味になるだけですので全然オススメしません。ただ肉料理など濃厚な味つけがしてあるもののつけあわせに使用すれば、爽やかな箸安めとしてかなり有効なはずです。グレープフルーツの果実そのものが添えられてる料理もあるくらいですからね。

 という別に何のオチもないただの真面目なリポートでした。物珍しさに負けていつも変なものを試してしまう同志の方々のために。

【只今のBGM:PAUL RODGERS「NOW」】


このジャケ写真、何故か使ってるマイクが57です。ブックレット内にも「Pau's trusty SM57 for vocals」との記述がありますが、57にすると何か良いことがあるんでしょうか。地声が高そうだから低域寄りを拾ってくれた方が都合がいいんでしょうかね。ということでこれは97年のアルバムです。ドラムを含む全楽器を自分で演奏した83年の「CUT LOOSE」、93年のMUDDY WATERSトリビュートに続くソロ3枚目とのこと。おお、ここまでコンプリートしてますよ。あとは冴えないと有名のTHE FIRMとかを集めればよいのか。ポール・ロジャース、好きなんですわ。気張ってもぱつぱつにならないハスキーでヤンワリした声質でそれでも気張ってるときの色気がですね、イイんですよ。低域で抑え気味にいくときのコントロールされた余裕感もタマランです。それだけで私はアルバム1枚聴けてしまうので、曲がどうというのはあんまり問題になりません。一応内容的には、ニール・ショーンがJOURNEYからBAD ENGLISHに移行した感じと似ていて、根本はBAD COMPANYの頃と変わってないんだけど同時代的な親切テイストも習得済みでっせという具合。想像の範囲内の方向性とクオリティです。歌唱の方も大筋で変化はなくて、ただゲディ・リーが80年頃より今の方がいい感じにしおれてきたのに近い枯れ方を若干してる気がします。そこもまた良い。バーゲンコーナーで見つけたらファンはとりあえず買って下さい。

  11月19日
本日の収穫、最近よくフィーバーするサウンドベイ上前津にてGHOSTS AND VODKA「ADDICTS AND DRUNKS」(「PRECIOUS BLOOD」+EP「MEMENO MORI」+ボーナス1曲収録のコンプリート盤)、VERY SECRETARY「STANDING IN THE SHADE」、PEDRO THE LION「WHOLE EP」(97年)、EMERSON, LAKE & PALMER「LOVE BEACH」、STEELY DAN「AJA」「GAUCHO」(ともにリマスター!)、500円でPAUL RODGERS「NOW」。小節のアタマでキメないのが近頃の私のブームです。どこで頭を振ったらいいのかわからんガクガクしたグルーヴってたまらんですよね。

【只今のBGM:EMERSON,LAKE & PALMER「LOVE BEACH」】


プログレッシャーたる者、これを通っておかないことには話にならないでしょう。かつては「混沌こそ我が墓碑銘…」と歌っていた男と、ピアノにナイフを突き立てて空中でくるくる回ったりしていた男、地味なオルガントリオで頑張っていた男の三人が、夕暮れのビーチに笑顔で佇んでラブ・ビーチ!と言ってしまったという、プログレ界が誇る世紀の大間違いとして有名なアルバムです。ジャケとタイトルが示すとおり、コマーシャリズムに走ってしまったがためにファンから総スカンを食ったというものなんですが、そこで小奇麗にまとまった産業ポップアルバムが出来上がるほどこの三人は器用ではないと。どう工夫して形容しようとしても「プログレバンドが無理してポップ&キャッチー路線を狙った感じ」としか言いようのない、何これ?てな内容で大変面白いです。シンセは古いし、ドラムは変なことをやり過ぎるし、そのへんの浮き具合はYESの「TORMATO」〜「DRAMA」に近くもありつつ、YESやGENESISみたいに元々牧歌的なポップセンスを持っていたバンドではないので、全編どこを切っても違和感満載という逆の凄さ。辛うじてラストに入っている20分の組曲(わざと作ったポップアルバムにどうしてこんなの入れてるのかも激しく謎)は、ケヴィン・ムーアが抜けて中途半端になったDREAM THEATERのあんまり面白くない曲みたいなムードがあって、30年前からこういうバンドが道を誤るとすべからくこういう音になるのかと興味深いです。ともあれ、強烈なまでに「この時代のこのコミュニティにしか存在し得なかった音」であることに違いはありません。その点では末期GENTLE GIANTなどと同じように楽しめます。また評論家肌リスナーの人なら「万人が失敗作と認めた(けど意外と注目すべきポイントもある)作品」を語ることがあったときに絶対知っておきたい一枚かも。

  11月18日
収穫はなし。何だかんだで私も人並みにワールドカップバレーを観てる今日この頃でございます。圧倒的なものを見るってのは何にしろ爽快ですよね。てことでゴルゴを久々に読み返そうかと思いました。ゴルゴは男の総てなので。

【只今のBGM:JULIE DOILON「DESORMAIS」】


土曜の名古屋公演の予習兼、対カナダ戦記念ということで。JAGJAGUWARからの2001年作です。全編基本的に弾き語り+α(時々フルバンド)という作りで、何故か歌詞がどれもフランス語。ケベックの人なんでしょうか。楽器やエレクトロニクスの使い方、間の取り方はタラ・ジェーン・オニールとかを思わせる一方、歌心的にはそんなにささくれてなくて、DAKOTA SUITEとOWENを一緒の箱に入れて田舎の雪原に埋もれさせたような、俗世離れした高潔さと人肌程度のぬくもりを併せ持つ感じです。以前WOODEN STARSとの共演盤を取り上げたときも引き合いに出しましたが、こういう質素で芯のある女性シンガーにはどうもジョニ・ミッチェルの影を見てしまいます。これは生で観たらグッと来るでしょう。真摯な表現が文字通りリアルに目の前にある時の効用はやっぱり、記録物とは比べられんものがありますからね。座って聴いて温かく拍手したい。

  11月17日
▼今日は仕事帰りにちょっと引っ掛けたい気分だったので大須店とFILE-UNDERに行きました。本日の収穫、大須店でGORGOROTH「UNDER THE SIGN OF HELL」、CAURAL「PAINT EP」、FILE-UNDERで新品でJUST A FIRE「LIGHT UP」。そんで土曜のジュリー・ドワロンのチケットも買いました。多分イイはずなので皆さん行きましょう。

【只今のBGM:GORGOROTH「UNDER THE SIGN OF HELL」】


プリミティヴかつ激ブラスト系のノルウェー・ブラック中堅名バンドGORGOROTHの99年作です。この白黒ジャケとアルバムタイトルが総てを物語ってますね。ところがどっこい、それだけではない。この人達はわかってる人達です。初期ブラックメタルのハイ落ちしたローファイプロダクションを意識的に再現しつつ、各パートの音作りがそれこそTHE WHOとかと大差ないようなバキバキ・オールドロッキンな感じで、CADAVER INCの名盤1stをもしのぎかねない強烈なインパクトをもつ音像に仕上げております。それがもーむちゃイーヴルでイカします!クラッシュがカポーン!と鳴るアルバムもそうそうないっすよ。プログレでいえばCARAVAN、USインディでいえばARCHERS OF LOAFくらいの微妙なポジションのバンドですが、もっと尊敬され愛されるべきです。最高。

  11月16日
収穫はなし。根暗な曲を総ライン録りで宅録したりして満足でした。最近寒くなったせいか、食欲が日々増進し続けてて、ひと冬分食って冬眠してしまいそうなのでちょっと心配です。

【只今のBGM:DIRTY THREE「HORSE STORIES」】


最近何だかこんなのばっか聴いてますな。本店大収穫と円盤屋からの救出物がたまってるので仕方がないってこともあるんですが、そういうCDの大群に苛まれる(?)うちに何だか自分も盛り上がってしまって、今、BUILT TO SPILLとかを見つけて喜んでいた頃ばりにUSインディがひたすら熱いんですよ。と言いつつ今日はオーストラリアのDIRTY THREEといきましょう。これは96年の3枚目。ベースレスでヴァイオリン入りの大自然系メランコリック音響を相変わらずやってます。最近の作品がより絵画的な世界観のはっきりした完成度の高いものになっているのに対し、この頃はまだロックバンド的といいますか、自分らが陶酔するままに抑えを忘れて、曲の途中でどんどんポルカかタンゴみたいに白熱していっていつの間にかアレアやサムラもびっくりの(いや、そこまでは行かないが…)高速トライバル轟音と化す、なんていう場面も結構出てきます。淡ーい情景感が魅力の人達だと思っていたので少々意外。ライヴでやられたら燃えちゃうんでしょうけどね。意外だったので、ますます初期までコンプリートする気になってしまいました。DIRTY THREEのオール・コンプリートってAXEL RUDI PELL全部持ってるのと同じくらい凄い話だなあ。

  11月15日
本日の収穫、本店にてTARA JANE O'NEIL「TKO」、90 DAY MEN「TOO LATE OR TOO DEAD +2」、NO KNIFENINE DAYS WONDERのスプリット、更に昨日から50%OFFになった円盤屋にまた行ってKILLDOZER「THE LAST WALTZ」(TOUCH AND GO裏番長、MAN'S RUINからのラスト・ライヴアルバム)、DIRTY THREE「HORSE STORIES」、INK「INK」(ex.CANDY MACHINE)、INSIDIOUS「NOON IN JUNE」(404)、SPOKANE「THE PROUD GRADUATES」(JAGJAGUWAR、DRUNKの人の別バンド)、PULLMAN「VIEWFINDER」(ダグ・マッカム他!)、THE ANOMANON「THE ANOMANON」(99年、ネッド・オールダム他)、OLO「STILL LIFE WITH PERIPHERAL GREY」、HEY MERCEDES「THE WEEKEND EP」、SEAN NA NA「RETURN OF THE UNICORN CDEP」。

【只今のBGM:PULLMAN「VIEWFINDER」】


ダグ・マッカム、バンディ・K・ブラウンなどがいるシカゴ発アメリカーナアコースティックユニットの2ndです。各メンバーの個人音源とSOMAでのグループ録音(今作からドラムが加入してのフルバンドスタイル)が入り混じった構成。フルバンドの方はGASTR DEL SOLとPELEがクロスしたような、あるいはJOAN OF ARCのマトモっぽい部類のレパートリーみたいな雰囲気で、バッチリであります。ソロワーク編も方向性的にはバンドでの曲とそう大差はなく、普通にイケます。TORTOISEでもメインのメロディ・メイカーだというダグ・マッカムによるメランコリックで穏やかなあのムード作りが、ここでもやっぱりガンガン発揮されてまして、アメリカーナといっても一連のDRAG CITY系とは随分と趣きが異なります。スタンス的には近くてもREXとかとは大違い。ともあれ、もはやポストロックだから、シカゴ音響だから、目新しくて挑戦的だからといって手を出すもんではないでしょう。今も昔もこれがアメリカってことで。

  11月13−14日
▼両日とも収穫はなし。飲みの席が小フォーラムになるのはいいですね。最近は観念的な考え事と鼻歌によく熱中します。鼻歌、いいんですよ。洗い物とか掃除とか、単純作業をしてる時にこっそり鼻歌を、オーノーとか歌ってますと、いつの間にか仕事が終わっていたことに気付くってくらいスパスパと働けるんですよ。多分幸せな脳波とかが出て、よくわからんですが何かといい塩梅になるんだと思います。"My Funny Valentine"の「Stay little Valentine, stay〜」の「stay〜」のどのへんからヴィブラートをかけ始めるとチェット・ベイカーっぽいか悩んだりしてるうちに、いやヴィブラートかからんなぁと悩んでるうちに、お唄も上手くなるかも知れませんぜ、全国のバンドマン諸氏。

アマゾン利用者の皆様、「未発送の注文」が「まもなく発送されます」に変わる瞬間は最高にロックですよね?機械スイッチ式のエフェクタを踏んで次のコードを弾くまでの、カチッと音がしてノイズがサーッと大きくなるあの一瞬のぞわっと来るカタルシスですわ。そんで佐川急便が次のアタマのクラッシュ一発、キターッ!てなもんで。しかし私の注文は厄介なのが多いらしく、ディープグリッチミニマル的な展開になることがしばしばで凄く嫌です。

【只今のBGM:BORN AGAINST「THE REBEL SOUND OF SHIT AND FAILURE」】


泣く子も黙る元祖サンディエゴ発狂ハードコアBORN AGAINSTの、89〜93年の雑多な音源をコンパイルしたもののようです。変拍子やあほ展開が出てくるでもないハードコア・マナーでの作風ですが、やる気ゼロの暴投が殺人剛速球だった、みたいな人を食った感は既に健在。リフは変だし、その後のTHE CONVOCATION OF...を思わせるような泣き泣き路線の曲もあったりします。ここからPITCHFORK〜DRIVE LIKE JEHU、SHOTMAKERとかに引導が渡されて、今のサンディエゴ・ザ・変態ポストコアタウンが形成されていったんでしょうか。そういう感慨は別としても普通にカッコイイんですけどね。ORCHIDとかHOT CROSSみたいなのも基本的にはこの人達を速回しにしただけだなーと改めて思いました。(そっちも好きですが。)そういえばカリフォルニア州の山火事でこのへんの人々やスタジオ・機材等は大丈夫だったんでしょうか。割と本気で心配です。

  11月12日
収穫はなし。若干涼しくなったとはいえ4月のような陽気がいつまでも続く中、今年のサンタクロースは北半球もサーフィンで廻れそうなのでそうなるとトナカイが無職で可哀想ですなあ。トナカイって大人しいんでしょうか、もくもくと草を食うんでしょうか、体毛はかためなんでしょうか。鹿せんべいは食うでしょうか。フィンランド行きたいなあトナカイとデスメタルを求めて。ということで今日も何てことなかったな。

【只今のBGM:NICE NICE「CHROME」】


よくわかりませんがTEMPORARY RESIDENCEリリースの新人のようです。あからさまにジャーマンロックくささを狙ったっぽいジャケからしてん〜ナイスという感じなんですが、内容がまたなかなか奇天烈でしてね、CAN+ヘンリー・カイザー+東海岸あほ系ポストロックてな変り種です。機材と戯れつつ音楽を音響に徹底解体する心意気は、70'sジャーマンは勿論のことSILVER APPLESやらRESIDENTSみたいなアメリカ勢も彷彿とさせます。方法論的には30年前と大して変わらないものを使っていながら、ただただイディオムが凄く珍妙で新奇、という人達なのかなと思います。それにしたってかなり面白いですよ。TEMPORARY RESIDENCEの名前に反応する人よりコアなプログレッシャーに聴かせた方が喜びそう。

  11月11日
▼久々の本店で大リサイクル!本日の収穫FRENCH TOAST「BUGMAN E.P.」(ex.ALL SCARS、NATION OF ULYSSES!)、LES SAVY FAV「EMOR: ROME WRITTEN UPSIDE DOWN」、DIANOGAH「MILLIONS OF BRAZILIANS」(SOMA録音2001年作!)、DISRHYTHMIA「PRETEST」、NICE NICE「CHROME」、JACK DEJOHNETTE「THE DEJOHNETTE COMPLEX」、JOE HENDERSON「THE KICKER」、JOHN SCOFIELD「A GO GO」(MEDESKI, MARTIN & WOOD全面バックアップの98年作)、FRANK SINATRA「SONGS FOR YOUNG LOVERS / SWING EASY!」(2in1リマスター)、POCO「GOOD FEELIN' TO KNOW」。ああ、今月は円盤屋で散々買ったのに、アマゾンの注文も数万円分たまってるのに、大漁であります…。

【只今のBGM:JACK DEJOHNETTE「THE DEJOHNETTE COMPLEX」】


68年の初リーダー作です。1曲目のエレピとオーヴァーダブされたピアニカ(奏者はジャック氏)で綴られる淡い哀愁4ビート・ポップススタイルたまらんッス、と思えばどフリーな暴走チューンが出てきたり、NUCLEUSみたいなのもあればCHICAGO UNDERGROUND TRIO(QUARTETでもいいけど)を30年先取りしたようなのもあって、かなりムチャクチャ。ジャック・ディジョネット的たのしい音楽を全部対象化してザルにブチ込んで逆さにしたような、EUPHONEやMR. BUNGLEにも通じるフットワークが痛快で最高です。90年代以降のポストロックの連中の生半可にジャズぶろうとしてる部類よりずっと勇ましいし、歴史考証的視点を抜きにしても内容が実際素晴らしい。全然現在を闘える音として、どちら様も楽しんでいただきたいナイスな盤だと思います。

  11月10日
先月20日にも触れた名ドラマ「誰にも言えない」の名古屋地区での再放送が少し前に終わってしまいました。細部までよく出来たドラマでした。あれはつまるところ、大好きだった人の面影を求めて愛し合った二人が、それぞれ本当の自分と本当の愛を確認して過去のことと前向きに決別する、という話であったと理解します。ラスト2・3話で賀来千香子がまだ残っていた佐野史郎への愛を野際陽子によってあぶり出される形で認識したのは、それをキッパリ葬り去るために必要な過程だったんであって、「101回目のプロポーズ」での長谷川初範の登場みたいな筋書き的ドンデン返しとは訳が違うわけですわ。そのお陰で佐野史郎が引越ししてきた時からの「夫を愛してますから」の一点張りよりずっと説得力のある結末を迎えることが出来たと。山咲千里が佐野史郎に自己投影することで佐野史郎を理解し、佐野史郎が山咲千里の狂った無償の愛に己を見出して、最終的に幸せに子宝を授かるに至るという流れも見事の一言。それを思うと羽場裕一はせいぜい「今の幸せの人」係および「揺るぐ信頼」係に終始していたなあ、ちょっと可哀想だったなあ。あと欲を言えば、衝撃のラストたる佐野史郎と賀来千香子の関係が、前作「ずっとあなたが好きだった」を知らない人にはショック度半減なのが惜しいッス。病院を抜け出した佐野史郎に切々と真実を語る賀来千香子はちょっと説明的過ぎた。いやーそれでもしかし、今回の再放送は堪能したな〜。4・5年後にまた見たいですね。そうだろうシンゴ君、はい室長。収穫はなし

【只今のBGM:COPELAND「BENEATH MEDICINE TREE」】


数ヶ月前に買ったCDなんですが、いつももう一度ちゃんと聴こう、聴こうと思い続けていた1枚でありました。JIMMY EAT WORLD的な垢抜け美メロとMINERALばりにじっとりしたエモい情念感を併せ持つナイスな奴らなんですよ。涙もろい人はこれで全然泣けるんじゃないでしょうか。中ジャケを見るとメンバー一同がまたむちゃくちゃモくてですね、これぞ!という感じです。MEWほど手練手管を駆使してパッとしてやろうっていうフシが表出してるわけでもないし、素で愛せますなあこういう人達は。頑張ってね、こっちも頑張るよってな具合で。もうちょっと経つときっとブレイクもして中古でそこそこ出ると思いますので、その時にはすかさず拾って下さい。

  11月9日
収穫はなし。バンドの練習と録音をやって充実気分であります。近頃は、録りたい歌があるのに自宅に誰もいない時間帯に自分が自宅にいることがないとか、そろそろバイトも新鮮味がなくなってきたとかで、あの暗澹とした完全無所属・自称SOHO時代がちょっと懐かしく思えることがあります。今より色々考える時間があったという意味ではむしろ当時の方が人間的だったのかも。金を時間で買うのが労働か。

【只今のBGM:HUMBLE PIE「TOWN AND COUNTRY」】


どこぞのDRAG CITYの新人かと思うようなオシャレなジャケ、ナイスです。これは69年の2nd。「SMOKIN'」でのノリノリ・ハード路線にはまだまだ程遠く、UKポップロック〜ブルーズとUSテイスト泥クサフォークのどっちにも寄らない興味深い内容です。というか実際DRAG CITYでもOKでしょう。相当ツボです。曲によってスタイルが結構まちまちで、次の曲のイントロが来る度にあ〜っ、次はそこかい、そこも弱いッス…、てな感じで降参しまくりですわ。途中何故かザッパみたいな変なのが1曲だけあるのは時代柄でしょうか、凄く短いですがこれもたまりません。にしてもこの内容にこのジャケでこのアルバムタイトルとは、ちょっと奇跡的ですらありますよね。ロックとロックカルチャーを愛せる現役リスナーなら迷わず買って下さい。

  11月8日
▼閉店セールの割引率が今日から40%になった円盤屋洋楽店でハイエナになって参りました。本日の収穫BURNING AIRLINES / BRAID「POLYVINYL CD SINGLE SERIES」(2曲ともカヴァーのスプリットシングル)、THE LAPSE/CHRIS LEO/OCTALAPSE「INSOUND TOUR SUPPORT」(名EPシリーズ!)、THE HOLY CHILDHOOD「UP WITH WHAT I'M DOWN WITH」(NATIVE NOD〜VAN PELTのレオ兄弟のダニー君のプロジェクト、まったりブルージーSSWフォークロック)、GOLDEN「GOLDEN SUMMER」(SLOWDIME、TRANS AMやMARS VOLTAのメンバー在籍のバンド)、BLUETIP「POST MORTEM ANTHEM」、V.A.「DON'T KNOW WHEN I'LL BE BACK AGAIN」(Q AND NOT U、J.ROBBINS、BEAUTY PILLなど豪華メンツ参加のヴェトナム戦争ベネフィットコンピ)、SWEETBELLY FREAKDOWN「SWEETBELLY FREAKDOWN」(BLUETIPのジェイソン在籍)、SHINER「SPRAY」(ボブ・ウェストン録音の95年1st)、THE CONVOCATION OF...「PYRAMID TECHNOLOGY」(ex.BORN AGAINST!)。

【只今のBGM:THE CONVOCATION OF...「PYRAMID TECHNOLOGY」】


元BORN AGAINST、MOSS ICONなどのメンバーだったトニー・ジョイの目下の新バンドの2ndです。BORN AGAINSTはコワモテ変態系といえど常にロッキンな気概が漂うバンドでありましたが、このバンドは正にそのスローダウン後の姿となっています。GEFFENやWARNERから冴えない録音でリリースしたら絶対皆スルーしてしまいそうな、何の変哲もない70年代ロックとポストコアの間を奇跡的にかいくぐる激シブもんです。どっちかといえば断然ポストコア寄りなんですがね。そこに若干、SLEEPYTIME TRIOがENGINE DOWN、DENALIに移行するに従って浮き上がってきたのと近い泣きの叙情センスが出てまして、何故皆そうなるのか興味深いところ。あんまりギョッと来るのは期待せずに、大人のカラミに黙って燃える感じで聴いてみて下さい。

  11月7日
▼さて本日からオープンのビックカメラ名古屋駅西店、の数千人の行列を尻目に、本日からオープンのバナナ大須店に朝から行って参りました。がしかし収穫はなし…!普段市内のあらゆる店舗を廻り尽くしている私ゆえ、各店のおすそわけの結集+生活創庫店の残り在庫を前にしてもそうそうビックリするようなものが落ちている筈もない、ということです。大須店がというより私が悪いし、おかしい。でもオープンから3日間出るという粗品が何なのか気になるのでまた行きます。

▼元横綱の曙が格闘家に転身との報道に皆様ビックリされたかと思いますが、髪を短く刈り込んでいくらか精悍になった曙の近影は何だかビリー・ミラノそっくりですね。決裂したS.O.D.に彼が加入して"Momo""Fugu"に次ぐ名曲"Sumo"をやってくれたらみんな幸せなのに。相撲ファンの子供達に向かって青筋を立てて「Kill yourself!」と叫んでくれ。

【只今のBGM:THE SORTS「GATEWAY SOUNDS」】


強烈に良かったCDってのをちゃんと振り返って聴こう、と突如思い立ち、今朝2ndを聴いて今はこの1stを聴いてます。この頃のこの人達は、ジャムバンド的なユルいノリとポストロッキンなとりとめのなさが凄く変なポイントでクロスしてる上、ジョシュア・ラルー大先生がシブイのか実際苦しいのかよくわからないヴォーカルを結構多めに乗せておりまして、最近のアルバムより更に数倍のストイックさが漂うんですわ。えらいイイんですわ。本当に楽器の上手な人の演奏を見る/聴くと、音は既に天上にあって演奏者はそれを受け取って人の世の空気中に紡ぎ出す器役を務めているだけ、みたいな、さながら陶酔系ミュージシャンのアホなインタビューそのまんまのことが実際に起こっている気になってしまうもので、THE SORTSのライヴは正にそれでした。その感動を想って音源を聴くと興奮もまたひとしお。もうね、クリーンな音色でひらひらしたカッティングを入れたからフュージョンとか、スネアにちょっとディレイ掛けたからダブとか、録音が遠いからポストコアとか、そういうエクスキューズ的事実のカタマリじゃないんですよ。真のクロスオーヴァーであって、もはや何なのかよくわからん素晴らしい音楽なんです!煽りあうでもなく各パートが静かに鋭く呼応してしのぎを削る、怠惰かつ果てしなく密なこの緊張感が他にどこにあるのかと。椅子から転げ落ちる思いで感服・驚嘆しながら聴いてます。あー、音楽の下僕として生きるのは幸せなのか、とまで思わされるミュージシャンなんてそうそうおらんものでしょう。

  11月6日
▼「国内のバンドは日本人ってだけで聴く気がしない」「メロトロンが鳴ってたらとりあえず買う」といった、ベクトルの正負を問わず思い入れや偏見によって物を選り好むことに私は賛同します。その点で、松屋は吉野家に比べてどうも好かないでいました。今日も飲んだ後一人吉野家・アフター・ミッドナイトを決行しようと思っていて、何となく松屋に行き先を変更してみたのですが、全く愛せんかった。たまたま選んだ新メニュー・唐揚げ丼の冴えなさが全て悪いのかも知れませんが、あれを出そうという神経をしてる時点でアウトですわ。試聴開始2・3秒で買うべきでないCDだと直感するのと同じ。食券制を導入してシステマティックにして、メニューを変に豊富にしてみても、利便性とは裏腹にファミ・レス的な虚しさが増大する一方なように感じます。凄くガッカリして家に帰る途中、いつも行く吉野家・丸の内店をチラッと見たら、中で一人で牛丼をかき込んでいた背広の男性は、黙々としてそれでも幸せそうな空気をまとっているように見えたなあ。あー松屋がIN FLAMESで吉野家がDISMEMBER、愛を忘れたマス・アピールに明日はない。収穫はなし

【只今のBGM:BILL EVANS「ALONE」】


もはやポピュラーピアノの域な70年の完全自演アルバムです。凛として優しく理性的で深い情感があって、という一般的なこの人のイメージ通りの世界を、アルバム1枚全編に渡って思う存分綴りまくっておられます。曲は全曲スタンダード。両手の細やかなニュアンスづけで複雑なノリを見事に表現していて、キースの奔放な一人インプロみたいなのとは随分と感じが違います。(唸り声もないし。)久石譲的な勢いで聴くのもよいですが、PLUSHやミック・ターナーのソロの如く、己の言葉だけで己の世界を語った究極の独白盤として、ビル・エヴァンスという人と向き合うインターフェイスだと思って手にしてみるのも面白いと思います。語るべき自分と語れる言葉があるかないか、そこはひたすらデカいっすよね。

  11月5日
▼物を落としたりとか、何か些細な失敗をしてしまったときに、大きな声を出して驚くのは無駄だったり、不利益を呼ぶことさえありますので、私は最近「オーノー」と小さく歌うようにしています。まずはこちらをご覧下さい。(Windows Mediaの方は何故か見れなくなってるのでReal Mediaの出来ればHiを推奨します。)「オーノー」と小さく歌いますと、普通なら焦って次にどうしたらよいのかわからなくなるような状況でも不思議と余裕が持てて、よい感じです。FOLK IMPLOSIONの「THE NEW FOLK IMPLOSION」は全員買って下さい、新品で、今すぐ、深夜でも、アマゾンで。そんでアマゾンはかなり前に注文したDISCHORDの3枚組BOXとかKING KONGとか約3万円分を早く発送して下さい。収穫はなし

【只今のBGM:THE MOST SECRET METHOD「OUR SUCCESS」】


DCポストコアの中堅として存在はよく知られ、かの名バンドOSWEGOにメンバーを送り出している割にはあまり語り草にされない気がする彼らの02年作です。確かにBLUETIPみたいに職人根性ほとばしる感じでもないし、元HOOVER組のようにテクニック面での充実を前面に押し出すわけでもなく、薄いといえば薄いんですけど、そのへんがSMART WENT CRAZY的なストイックさ、あるいはJAWBOX的な無骨さを思い起こさせて、アツイ感じです。むしろ面白いのは曲ごとに多彩なプロダクションでして、チャド・クラーク、ジュアン・カレーラ(SLOWDIME周辺で大活躍の人)、そしてドン・ヅィエンタラ&イアン・マッケイなど錚々たるメンツがエンジニアとして頑張っています。昔ながらのDCサウンドの立ちのぼる色気のみを堪能するにはこれ以上ない内容でしょう。フェティシズムを極めた人が靴下を履いた女性のかかとを見ただけでグッと来るように(私はそんなことはありません)、「そこなんだヨ、わかってるねぇ…!」と静かに膝を打って燃えて下さい。

  11月4日
本日の収穫、パルコ店でTHE SPINANES「ARCHES AND AISLES」、DON BYRON「ROMANCE WITH THE UNSEEN」(ビル・フリーゼル、ジャック・ディジョネット参加)。CDも買ったしさー帰るかと乗りこんだエレベータで、ちょっと面白い女子高生風(私服)の二人組と居合わせましてね、片方は電話で「今名古屋のパルコにおるけん、マジ訳わからんばい、マジ訳わからんばい」などと狼狽気味にまくし立て続けていて、片割れが突然普通に私に向かって「3階って外出るとこですかね。1階?1階?あの、このへんに若者が遊ぶようなとこないですかね。服とか買えるような」と尋ねてくるので、少々面食らいつつも、外に出るなら1階ですよ、フラつくんだったらそこの大通り越えて大須に行くといいですよと指南して差し上げました。「アーありがとうございます!」と喜んで彼女達は去っていきました。よりによってパルコ館内で、九州人に「服とか買って遊べるところはないか」と尋ねられるとは、やっぱり名古屋って福岡とかより全然大したことないんでしょうか…。地元人として立つ瀬のない瞬間でしたよ。名古屋、しょぼくて御免ねと。人に名古屋案内を頼まれたとしてどこへ連れて行くか、というのは名古屋人が背負った永遠に未解の命題ですよね。栄〜大須/上前津〜金山・南北縦断中古CDラリーののち名大中央食堂でエビフライカレー大盛り(450円)、というコースが私としては一番お勧めなのですが、実際。

【只今のBGM:THE SPINANES「ARCHES AND AISLES」】


JOAN OF ARCの「THE GAP」収録の名曲"As Black Pants Make Cat Hairs Appear"で途中から入る女性コーラスの主がレベッカ・ゲイツという人で、RED HOUSE PAINTERSなどをリリースするBADMANからのソロEPは、ジョン・マッケンタイア、ブライアン・デック、同じくJOAN OF ARCのアルバムに参加していたノエル・クーパースミスなど豪華サポート陣のバックアップがついた名作でした。そのレベッカさんが意外と昔からやっているバンドがこのTHE SPINANESだそうでございます。これは98年のアルバムで、PEDRO THE LIONを母性的にしたような、あるいはPAVEMENTを実直にしたような、激枯れ系インディポップをやっています。あんまり思いつめたような雰囲気はなく、ちょっとたのしいときの音楽という趣き。ごく初期のものはドラムとギターヴォーカルのデュオだった気がするんですが、ここでは普通にフルバンド形態で、何故かジョン・マッケンタイアやサム・プレコップなどシカゴ系の大御所が無駄にゲスト参加してます。むしろこのへんの絡みがその後のソロ活動につながっていったんでしょうか。ともあれ、近頃こういうフィメールSSWものはやけにシックリくるので、これは完璧。

  11月2−3日
▼さて、私が卒業した大学の、現在も世話になっているバンドサークルが、来月13日に恒例のクリスマスコンサートというのを催すにあたって、2日はそのための予選が行われました。この予選に向けて最近始めた、ローファイアメリカーナを楽しく懐かしむ完全趣味バンド・パンチングタバスコス(名前は凄く適当につけられました)として私も参加し、何とか通過と相成りました。たちまち音源を作ってしまったりすることがあるかも知れませんが、まずはライヴの方をお見逃しなきようよろしくお願いします。

 でその予選が終わって打ち上げでハシゴして遅くなって、序盤に水分やイモで膨らせた胃も家に帰ろうとする頃にはしんなりとしてくるもので、帰路の途中また一人ミッドナイト吉野家(丸の内店)をやってしまいました。並・タマゴ・けんちん汁でいっぱい幸せになって450円てのが毎回感動的でならん。

▼3日はバイトもなく家におったのですが、休日にだらけるとアマゾンでCD買ってしまいませんか?今日はレーベル名検索で燃えてしまってまた何枚か注文してしまいました。で昨日ともども収穫はなし

【只今のBGM:MOTORHEAD「BOMBER」】


79年の3rdです。最近のは全然聴いたことがありませんが、少なくともこの頃、CASTLEから出てる黒いリマスターシリーズでフォローされてる年代のこの人達は、AC/DC同様全肯定するしかないですね。ハードロックがメタルに移行する初速だけを見せて、境界線はまたがずにひたすらロックンロールすることしかしないしできない、愛すべきバンドだと思います。このアルバムは"Ace Of Spades"みたいな激疾走系チューンは控えめで、ロックだけから生まれた彼らのオヤジ・ソウルをじっくり堪能できる通好みの作風。守備範囲はもっぱら70年代前半ですなんて人でもニコニコ楽しめるはずです。でこのリマスターシリーズがなかなか優秀でして、シングルB面などのレア音源がボーナストラックとしてくっついているんですよ。ここでは表題曲"Bomber"のシングルに収録された隠れ激名曲"Over The Top"、THE WHOのビックリカヴァー"Leaving Here"などが入っていてかなりたまりません。ブックレットも当時の写真を沢山使って非常に充実したつくりだし、トータルで購買意欲を大いにそそる完成度の高い一品です。どこの家庭にも何となく漢和辞典が置いてあるように、MOTORHEADのリマスターも持ってて下さい。

  11月1日
▼今池P-CANが昨日からバーゲンだったことを忘れていたことを思い出して、ショックを受けて、バンドの練習後すぐに駆けつけました。本日の収穫、今池P-CANにてMOTORHEAD「BOMBER」(リマスター)、DWEEZIL ZAPPA「AUTOMATIC」(2000年)、CHET BAKER「IT COULD HAPPEN TO YOU」(デジパックリマスターに買い換え)、WAYNE SHORTER「SCHIZOPHRENIA」、ART BLAKEY「ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS」「THE FREEDOM RIDER」(いずれもリマスター)、300円でPETER TOSH「LEAGALIZE IT」。そんで今日からブラザー栄ビルで大阪キングコングやら数店が集まった催しがあってそっちも行きました。買ったものはJONI MITCHELL「TAMING THE TIGER」(98年)、JACK O' FIRE「FOREVER」(ヨシュア・ラルー・オン・ドラムス!)、BOB JAMES「CONCEPTIONS」(62年のピアノトリオアルバム、デジパックリマスター)。無難と冒険がいいバランスでしかも適量という良き買い物になりました。

【只今のBGM:DWEEZIL ZAPPA「AUTOMATIC」】


ヌーノ参加の名盤「CONFESSIONS」の感動が忘れられずに買ってみました。ところがこれが、LIGHTNING BOLTなSPATIC INC+VAN HALENなPELE+時々ジミヘン、みたいな、恐ろしくアメリカン・ハイブリッドな内容で驚きました。基本的にはギターインストながら、ヴィニー・ヴィンセントみたいなのとは全然違って、この曲ではこれやろか、という思いつきをそれぞれ具現化していったような、ハードロック・マナーによるギター・オーケストレイテッド・音響工作集という趣きです。これは誰が喜ぶんでしょうか。HM/HRオンリーのリスナーはついて行けるのか?とりあえず私はかなり面白いと感じます。ちなみに父ザッパの影は微塵もチラつきませんので、その筋の信奉者は無理せずスルーしてもよいでしょう。

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