物色日記−2004年3月

※頻出語句解説はこちら
  3月31日
収穫はなし。リー・コニッツの「SUBCONSCIOUS LEE」を「すなわち、潜在意識下のリー」とか解説してみても、それ何が言いたいのかイマイチしっくり来てないでしょう評論家諸氏。subconsciouslyてだけのことを。ということで「馬鹿」だと思ってるそれは他動詞「騙し」だ!と一年前と同じネタをリサイクルしておきます。明日の話ね。疑う価値もないジョークをふっかけといてその上馬鹿呼ばわりとは無礼千万。余りに今更な話をするのはつつがない暮らしをしてるからです。今年度も暮れてしまったなあ。

【只今のBGM:GIANTS CHAIR「RED AND CLEAR」】


95年にCAULFIELDからリリースされているカンザス産エモバンドの1stです。低速化したDRIVE LIKE JEHUをBOYS LIFE的混沌にブチ込んだ感じというか、すぽーっと晴れることのない陰鬱BRAIDというか、変拍子やフラッシーなギターフレーズが登場しまくるでもない、いかにも90年代中期っぽい不親切系。KARATEの極初期もちょっとこんなんだった気がします。行方も決まらずにふつふつとくすぶる青年の衝動が沸点を迎えてンモォーッと煮え返ろうとする瞬間をキャッチしたようなこもり系のアツさは俄然強烈。ドラマーはのちにBOYS LIFEのメンバーとFAREWELL BENDを結成する人で、その片鱗が窺えるというわけでもないですが何となく近似性はあります。BOYS LIFE好きならセットでどうぞ。

  3月30日
本日の収穫、今池グレイテストヒッツでTHE BYRDS「MR. TAMBOURINE MAN」、覚王山ハードオフでスピッツ「ハヤブサ」、PETER TOSH「EQUAL RIGHTS」。グレ・ヒのTHE BYRDSは内税表記対策っぽく1260円って書いてあったのを買ったら別で消費税取られました。何か話違わん?

【只今のBGM:PETER TOSH「EQUAL RIGHTS」】


元THE WAILERSの人の77年2nd。レゲエなんてぜーんぜん無知なのでこれが果たして直球王道なのか異端なのかさえ実感として判断出来んですが、多分基本的にはルーツに忠実など直球スタイルなんでしょう。少々調べてみたところこの人は無類のブルーズ好きだったらしく、そう言われるとそんな感じのギターも割と随所で披露してます。"Stepping Razor"のイントロやブルーズ・バラード調の"Jah Guide"なんて英米ロックに対する友好宣言みたいにも。ともかく、確実に肌を焼く熾烈な日光にもはや動く気も失くすユルい酷暑がコーン紙を通り抜けて背中に刺さってくるよーな、強力な赤道グルーヴ、さすがです。THE POLICEとかでいいように曲解されたのしか知らない私にとっては、CDでその演奏を毎日聴いていたミュージシャンに直接会ったら意外に身長がバカ高かったみたいな、うおっという感慨があります。ハッピー一直線のレゲエはあんまり好きになれん気がするけど、これはロック野郎にも親しみやすいなあ。

  3月29日
本日の収穫、本店にてSTEVE REICH「OCTET/MUSIC FOR A LARGE ENSEMBLE/VIOLIN PHASE」。相変わらずスピッツコンプリート目指して市内のブックオフなどを廻りまくっておりますが、意外とないんですね。絶対量はあるはずだから粘り強く戦えば安く揃うはずと、職業中古バイヤーの意地を賭けてのトライアルと化しています。燃える。

【只今のBGM:M.O.D.「U.S.A. FOR M.O.D.」】


いやーM.O.D.好きなんです。トム・ハンティング(EXODUS)ばりにスポーティなドラムにびったりとついていく硬質リフの破壊力、たまりませんねー。よく見かける2nd「GROSS MISCONDUCT」は超名盤ですよ。さてこれは87年の1st。ジョン&マーシャ・ザズラにアレックス・ぺリアラス、更にはスコット・"NOT"・イアン(ANTHRAX)までプロデュースに絡むという完全・東海岸スラッシュモードにて制作されています。録音は勿論PYRAMID STUDIO。収録曲は23曲と、以降の作品より多めで、作風や「SPEAK ENGLISH OR DIE」とのジャケの類似性も含め「S.O.D.のビリー・ミラノのバンドだけどS.O.D.よりちょいハードコア側」というスタンスを意識して作られたのかなという感じがします。Recorded and mixed in 4 daysと誇らしげにクレジットされているだけあってプロダクションは「SPEAK〜」同様荒め。本来持っているはずの機動性がそのせいでやや損なわれているのが残念ですが、ビシッと録ったら締まるんだろうなと想像出来るような演奏はちゃんとしています。スコット・イアンがバッキングヴォーカルで叫んでいる曲も結構あるし、「SPEAK〜」の延長としてS.O.D.およびANTHRAXファンは持っていたい1枚かも。

  3月28日
スピッツ星人の入手で一気にスピッツづいてしまった今日この頃、天気もいいし自転車も新しくなったしで、名古屋市南西部のブックオフとヴィレッヂ・ヴァンガードを廻りまくってスピッツのCDと本秀康ガチャガチャ「宇宙の友だち」を探す旅に出て参りました。「宇宙の友だち」の方はどこに行ってもなくて、結局CD紀行と化した訳ですが。てことで市内の色んなところのブックオフにて本日の収穫スピッツ「インディゴ地平線」「三日月ロック」、PETER HAMMILL「A BLACK BOX」(80年)、KARP「SELF TITLED LP」(K!)、DE LA SOUL「STAKES IS HIGH」、BUZZKILL「I FEEL LIKE MYSELF AGAIN」。昨日買った「フェイクファー」はタイコ類と金物が離れ過ぎでリアル・ドラムセット感が薄いし、ギターのプレゼンスが立ちまくってる割にヴォーカルはハイ落ち気味で全然前に出ないしと、やっぱり海外に断然ひけを取る日本的なロックサウンド・エンジニアリングに非常にイライラさせられたものですが、ユニバーサル移籍にともなって旧譜が一挙にリマスターされてるそうですね。面倒なスリップケースもついてないみたいだし再発後ヴァージョンの方がいいなあ。しかし中古に出回る量はポリドール盤の方が圧倒的に多いだろうから、スピード重視で後追いコンプリートするにはそっちを買うしかないってことになって、なかなかコレクター泣かせじゃねーかスピッツよ。

【只今のBGM:スピッツ「三日月ロック」】


歌詞を含めて明快に唄もの然とした国内歌謡的とっつきやすさでもって洋ロック由来のダイナミックなコード使い/メロディ運びをコーティングした優秀なジャパニーズ・インドア系ポップバンドと今のところ位置付けてみてますがどうでしょう。詞や歌い方が嘘くさくないとかそういう非建設的な褒め方をしなくても、良い曲を然るべき演奏とアレンジと歌唱で提供する良いバンドとして、日本が誇ってみてもいい人達だと思います。これは02年作ということで、海外でのインディポップ勢の垢抜け/脱インディ化が上手く進んできたのにキャッチアップしたのか関係ないのか、血迷ったような捨て系ロックチューンを混入させてしまったりすることなく持ち前のポップセンスをどんどん良い方向に結実させてくれた感のある会心の出来です。以前はカワイさがとりえのいわゆるギターポップの類だと思われていたかも知れませんが、本性はそれとは違っていたということがここ数年の作風で明らかにされてきているように思います。BUILT TO SPILLや最近のDEATH CAB FOR CUTIEと同一線上で全然聴ける。むしろ日本語で歌われるのをネイティヴ言語としてこちらも共有出来る分だけ、日本人としては積極的に大事にした方がいいような気も。あー早くフルコンプしてしまいたい。

  3月27日
本日の収穫、バナナ本店にてGOLDEN SMOG「ON GOLDEN SMOG」、名駅店にてTUJIKO NORIKO「FROM TOKYO TO NIAGARA」(TOMLABからの03年作!)、NIKAKOI「SESTRICHKA」、PAN AMERICAN「PAN AMERICAN」、名駅69にて斉藤由貴「AXIA」("卒業""白い炎"他収録85年名作!!)、スピッツ「フェイクファー」、THE BEACH BOYS「IN CONCERT」。今日は幸せな買い物でした。これぞ名古屋。殺伐としたオーラの同業者達とすれ違う余地もないような狭い店内で手に取った商品をオチオチ買うか買わないか悩んでさえいられないユニオンも、求道者だけのためのメッカてな感じでそれはそれですが、明るいし広いし落ち着いて試聴もできる我らがバナナレコードはやっぱ良い店ですよ。コメント丁寧だし「バナナ王」面白いし。

▼ところでこの日記で再三プッシュしているカレーのCoCo壱番屋、実は断然愛知県が拠点のチェーンだったと知って愕然としてるところですが、今まで「これ以外食うものがない」と思っていたロースカツカレー400gに代替するオプションとして、フィッシュフライカレーの500gがイケることを昨日発見したので、皆様そっちも安心して試してみてください。値段は一緒。そんだけでした。

【只今のBGM:TUJIKO NORIKO「FROM TOKYO NIAGARA」】


MEGOからリリースしていた女流エレクトロニカSSWのTOMLABからの最新作。MINOTAUR SHOCKやFOUR TETをもっと淡々とさせたようなディープ・和み系トラックをバックに日本語でとりとめなく歌うという、生活感のあるBJORKてな人です。ただ割とエレクトロニカ然としたトラック部分とベッドルームで独白系の朴訥とした歌声とが、あくまで渾然一体としないまま居合わせている感じが、妄想にも近い頭の中の音楽をことごとく現実化するBJORK的スタンスとは決定的に異なった質感をしていて、MUMにリミックスされたジュリー・ドワロンみたいな趣きでもあります。敢えて狂人じみた才気の氾濫を期待せずともこのやり方で充分普通に頼もしい。あんまり耳を奪うフックとかはない気がしますが、彼女の生活する空気に自然に溶けている感覚を音にしたのがこれなんだろうから、あるようなないような感じがして正解なんでしょう。1年前のこの人はどんな人だったのかな、2年前は、という興味の向き方でもって他の作品も聴いてみたい。

  3月25−26日
▼両日ともに収穫はなし。25日は大学のサークルの催しにコピーバンドでちょろっと出てきました。完コピDEERHOOFと、バンドサークルにいると誰もが何度かはやるNIRVANAを変な選曲で多分3度目くらいに。DEERHOOFのCD買って下さいね、皆さん。アマゾンで。パンダとか良かったでしょ。26日は就職で東京に引っ越す後輩にマジ系スポーツ自転車(何段階も変速が出来たり前カゴがついてなかったりする、ママチャリとかではない速そうな奴)を安く売ってもらって早速激走しました。姿勢がめちゃくちゃ前傾するのでそれだけで何だか闘争的な気分にスイッチ入りますね。段違いのスピード感にまだ視野狭窄になり気味で、車や道の植え込みや徒歩の人に激突しそうですけど、当たられても柴崎コウの笑顔でイイノヨーと許して下さい。

【只今のBGM:STACKRIDGE「EXTRAVAGANZA」】


相変わらずジョージ・マーティンがプロデューサーにクレジットされている4th。クラシカルな2nd、コンパクト&ポップな3rdともに私は大変好きで、名前が出るだけで「あ、STACKRIDGE…」と嬉しくなるようなお気に入りバンドです。この4thはというと、それまでのメルヘン・フォーキー・アートロックなスタイルに変化はなく、ただメインで歌う人がそれまでと違う。そんな。子供向けジョン・ウェットンみたいなあのジェントルなのが良かったのにー!作風が固定でもこの声だと、ピーター・ゲイブリエル時代のGENESISが時々やってたBEATLESをタチ悪くしたような非シリアス系レパートリー("Get 'Em Out By Friday"とか)に近い感じになります。少々ジャズロック的な緊張感のある新境地インストも2・3曲入っていてそれはCARAVAN似。ともかく、寝転んだ芝生がぽーっと薫るようなこのバンド特有の幸せなニオイの影を求めて聴くとちょっと物足りないかも知れません。ジャケはなかなか良いのにね。こういうものだと思って半年後にふと聴いたりすると「なんだ良い曲、良いアルバムじゃん」と好評価に転じたりもしそうなので、とりあえず寝かすとします。

  3月24日
収穫はなし。突然ですが今日は「記憶だけを頼りに鮭を描けるか?」に挑戦して敗れました。鮭をアイデンティファイするものって何なんでしょうか。熊にくわえられてないと素人には判りませんね。

【只今のBGM:YO LA TENGO「SUMMER SUN」】


特別安くなってたわけでもないですがアマゾンで新品買いました。『インディ・ロック』のフォーマットに囲われることなくそれを自らの創造性の一部として乗りこなすアメリカン・オールタイム・グッド・ミュージック・グループと化した前作の路線のまま、更に粋な新境地に到達したすげー良いアルバムですよ。どんどん穏やかで言葉少なになるごとに一挙手一投足の確実さが増してきてる感じです。歳は取るもんですね。あざといラウンジ臭を一切放たないユルユル年季グルーヴに、こちらも心の中でニコニコと揺れて応えるばかり。若いオトナのサブアーバン・日の出前・一人ダンスミュージックですわ。毎日普通に出くわすようなちょっと趣きのある風景や時間感覚に対して感じてるか感じてないかギリギリの線で感じているモヤッとしたいい気分が、もし3ピースバンドになったら絶対こんな感じ。敢えて欲さずとも当然の如く心地のよいナチュラル・トリップ・アルバムです。凄く新しいのに一聴して「これは金字塔!」と直感してしまうような未知の完成度をもった音楽に、リアルタイムで出会える機会はそうそうないと思いますが、これはそれに間違いなし。聴けて幸せです。

  3月23日
収穫はなし。時間があり余ってるわけでもないのに聴きたいCDがバーゲン4回分くらい部屋の床に積まれてる状況は結構マゾヒスティック。イクストレミティの先に何かがあるはずなのでそこまで頑張ってみようと思います。

【只今のBGM:二階堂和美「二階堂和美カバーシリーズ ニカセトラ001〜卒業編」】


CD-Rにて200枚限定リリースの遊びカヴァーシリーズ第1弾。ライヴ会場にて購入しました。斉藤由貴の"卒業"、松田聖子の"制服"、松任谷由実"卒業写真"、スタンダード(?)"おもいでのアルバム"の改題・歌詞違いヴァージョン"一年生"の計4曲収録。特別作り込むでもなくいつも通りの弾き語り(声のオーヴァーダブは随所で大量に有り)でやっています。いや〜、イイすね、時季ものソングを旬にまんまと聴くってのは最高ですね。やってる本人もパパパッと思いつきの盛り上がりを実行に移しただけっぽくて、さながら目の前で握られた寿司をたちどころに食うような、作り手との直結感のあるいい企画です。各曲割と元の歌い手を意識した声色で歌っていて、起きぬけのビョークからSP盤のエラ・フィッツジェラルドまでなりきる彼女のこと、どれもバッチリはまってます。ワナビーくさい嫌味など皆無。世界の一流ピアニストが128音色のキーボードで遊んでいるかのような、選択した音色/声色に対する然るべき鳴らし方/歌い方がとにかく納得、感嘆。原曲に慣れ親しんでいる人にとっては多分ニヤケが止まらない仕掛けも満載なんでしょう。ちゃんと二階堂さん流に心を入れてやっているのが伝わるし、オリジナル音源を持ってない人間でもオリジナルを探して買って聴き比べたいと思わされる出来です。それってカヴァーとしては理想的な部類ってことですよね。ベタめの選曲はひたすら的確/妥当だし、ああ信用できるなあどこまでも。3月らしい幸せセンチメンタルをきれいに切り取った名作ですと大仰に断言してしまいましょう。

  3月21−22日
▼さて、では二日間ブチ抜きで東京遠征記です。20日22時発の夜行バス・青春ドリームなごや2号で名古屋駅から東京に向けて出発。バスは乗った端からカーテン全閉、暖房ばんばんで、寝るしかないって感じだったので無理して寝ました。犬の如く断続的に、それでも合計4〜5時間は眠れたんじゃないでしょうか。翌21日の早朝6時前に東京駅八重洲口到着、寒い。ここからの暇潰しに関しては出発前から完全にノー・プランで、ファミレスや漫画喫茶か?なんて軽く考えてましたが東京駅近辺はそんな雰囲気でもなく、天気もいいし歩くかと、午前6時台のがらんとした東京を散策。日本橋に行きかけてコッチには何もなさそうだと引き帰し、銀座で骨董品の謎めいた朝市に出くわしつつ堀を突破して皇居外苑に押し入り、通り抜け、翌日また来ることになる御茶ノ水で開店時刻遥か前のユニオンを怨めしく横目で見て素通りし、東京ドームはでっかいですね、そのまま適当にドンドン進んで細木数子の事務所を偶然発見したりしつつ神楽坂に迷い込んだのが失敗。なーんだ日本の首都にも所帯じみたエリアがあるんじゃんと面白がって歩けたのは最初の方だけで、ずっと坂だし、広い道もないから青色の案内板もないし、やっとの思いで辿り着いた高田馬場から更に歩いて第一目的地の新宿に足を踏み入れたのが午前10時頃。とりあえず見つけたBOOKOFFで暇を潰し、開店の11時に合わせていざディスクユニオン中古センターへ。持参した「レコードマップ」を路上で何度も広げながらの移動です。割と恥ずかしい。ここで「旅先での買い物では買う/買わないラインをどこに引くか?」に悩んで1時間半も長居してしまい(勿論在庫量のせいもあるんですが)、続いてユニオン新宿本館ジャズ館プログレッシヴロック館パンクマーケット/ヘヴィメタル館と怒涛の行脚。ここで新宿西口にまわってVINYL JAPAN各店などを回るも新品ばっかりとかアナログばっかりとかの店が多くて結局オールマンだけで買い物をし、この時点で既に15時過ぎ。荷物が確実に重くなっているせいということにも気付かないくらい歩き疲れてしまった上、目的のライヴは17時半開演なので、御茶ノ水は翌日ということにして早々とライヴ会場方面へ近づくことに。

▼やって来た下北沢でも色々店を探したけど買い物をしたのはユニオン下北沢店のみ。ここでやっと、荷物が異様な重さと大きさになっていることに薄々気付き始めます。時々しか会わない親戚だけが「おーっ大きくなったねえ」と子供の身丈の変化に気付くのの逆で、徐々に増えていくCDに違和感をもつポイントはかなり遅い。重いカバンを肩からさげて歩き回って、想像以上にごみごみした路地の奥にライヴハウスERAを発見、開場とともに入場。今回の遠征の最大の目的はここでDEERHOOFと二階堂和美さんを見ることだったというのがここでやっと記されますね。勿論移動中このことを片時も忘れずにいた訳ですよ。巨大になってしまった荷物を持て余しつつ、満員の客に開演前から早くもフロア前方に押しやられ、っとここから先の詳細は後日のライヴリポートで。東京までわざわざ来た甲斐が充分にある内容でした!大いに楽しんで参りましたよ。一度見たことがあるバンド/人を二度目に見るってのもまた違う楽しみ方が出来て良いものです。個性的なステージをするバンド/人なら尚更。

▼終演後、物販でここぞとばかりにガンガン散財したのち、23時半頃宿に向けて移動開始。電車を結構複雑に乗り間違えてしまって、えらく無駄な時間と金をかけて目黒の予約してあったホテルに到着したのがもう25時近く。戦利品の品定めもそこそこにとっとと就寝です。

▼明けて22日、バイキングの朝食をいただいたのちチェックアウト。不測の雨でコンビニに傘を買いに走るも安いのがなく、700円の折りたたみ型を購入。前日に電車に翻弄されたのがほとほとウンザリだったので渋谷まで徒歩で向かいます。東急地下1階の食料品売り場で申し訳程度の土産を購入し、御茶ノ水へ。

▼御茶ノ水ではジャニスの1号店(恐るべきレンタル屋)にビックリしに行ったのち2号店(中古を扱う)で買い物、更にユニオン御茶ノ水ジャズ館駅前店中古センターHM/HR館と回ります。もうこのへんになると「あそこがまだ行ってない、あそこも行ってない」みたいな変な義務感が発生し、もはや仕事的にこなす調子に。やっぱりそこそこの規模と回転ペースの店が適度に散在する名古屋くらいの感じが、無理なく物色生活を楽しめて良いんじゃなかろうかという気になりました。ひとしきり回り終えると時刻は14時半になろうとしているところ。帰りは人に安く譲ってもらった青春18切符を行使するため、鈍行で名古屋までどれだけかかるか判らないし、そもそも他を当たる気力もないしで、ここで復路につくことにしました。

▼あとは遅い電車で名古屋まで帰ってきただけの話です。家に着いたのが21時半頃。実はもっと速いのに乗れたのかも知れませんが、事前に何も調べていなかったし、ホームで迷っている間に電車を1本逃したら次が何十分後に来るか判らないという危険も考慮して、東京から岡崎まではひたすら各駅停車の乗り継ぎでした。ダルかった!次からはあらかじめ暇潰しグッズを用意して直通バスにするか、上乗せ数千円で新幹線の一番安いのにしようと思います。

▼さて、ということで、21〜22日の大乱穫!最初のBOOKOFFでYOUNG PIONEERS「FIRST VIRGINIA VOLUNTEERS」(ex.BORN AGAINST)、新宿ユニオン中古センターでGIANTS CHAIR「RED AND CLEAR」(mid90'sエモ名バンド)、MAGMA「THEUSZ HAMTAAHK TRILOGIE」(Mekanik Destruktiw Kommandoh/Wurdah Itah/Theusz Hamtaahkの三部作を完全収録した3枚組2000年ライヴ、コバイア語の全歌詞つき!)、GORGOROTH「PENTAGRAM」(ノルウェーブラック名バンド初期作、300円にて)、ALLAN HOLDSWORTH「METAL FATIGUE」(400円にて)、POISON「NATIVE TONGUE」(リッチー・コッツェン参加作、150円にて)、STACKRIDGE「SOMETHING FOR THE WEEKEND」(ビックリ再結成作!)、プログレ館でSTACKRIDGE「EXTRAVAGANZA」(4th)、MAGMA「1001°CENTIGRADES」(2nd)、STORMY SIX「STORMY SIX」(伊レコメン)、DEMETRIO STRATOS「CANTARE LA VOCE」(AREAのシンガーのソロ)、ヘヴィメタル館でLIZZY BORDEN「MASTER OF DISGUISE」(80年代USパワーメタル、400円にて)、BRUCE DICKINSON「BALLS TO PICASSO」(名作ソロ外盤デジパック買い替え、500円にて)、パンクマーケットでQUICKSAND「SLIP」(1stフル!)、VICTORY AT SEA「CAROUSEL」(SLOWDIME)、THE VAN PELT「STEALING FROM OUR FAVORITE THIEVES」「SULTANS OF SENTIMENT」(NATIVE NOD〜THE LAPSEのクリス・レオ!トーコさんもゲスト参加)、SEROTONIN「UNIVERSAL TIME CONSTANT」、RAH BRAS「RUY BLAS!」、オールマンでDEERHOOF「THE MAN, THE KING, THE GIRL」(1st)、THE LUNE「ON THE CUTTING ROOM FLOOR」(KARATEの人在籍)、そのすぐ隣の名前を忘れた店でBRAINIAC「INTERNATIONALE」(ENONのジョン在籍、95年のミニアルバム)、M.O.D.「U.S.A. FOR M.O.D.」、ユニオン下北沢店でGONZALES「PRESIDENTIAL SUITE」(KITTY-YO!アブストラクト/エレクトロニカ)、THE LUNE「BLAMELESS」、ライヴの物販で二階堂和美「二階堂和美カバーシリーズ ニカセトラ001〜卒業編」、54-71の既発曲再録集(ライヴ会場限定販売!ベスト選曲!)、ジャニスにてORTHRELM「TOUCHDOWN」(CROM-TECHのギター&ABCSのドラム!)、SULTANS「GHOST SHIP」(SWAMI)、MIROSLAV VITOUS「FIRST MEETING」(チック・コリア、キース・ジャレット他と組んだベーシスト、80年ECM)、BARNEY KESSEL/SHELLY MANNE/RAY BROWN「THE POLL WINNERS EXPLORING THE SCENE」(60年)、ユニオン御茶ノ水中古センターにてIL VOLO「IL VOLO」(正統派伊プログレ1st)、DYSRHYTHMIA「NO INTERFERENCE」(スラッシーなマスロックトリオ)、STORMY SIX「UN BIGLIETTO DEL TRAM」、SAMLA MAMMAS MANNA「THE MYSTERY OF POPULAR MUSIC/FOR OLDER BEGINNERS」(北欧レコメン巨星名作!)、SEBADOH「REBOUND」(アルバム収録曲のアコースティックヴァージョン3曲あり)、HM/HR館にてTHE HAUNTED「ONE KILL WONDER」(最新作3rd、ボーナストラック入りヴァージョンを新品1200円にて)、ULVER「1993-2003: 1ST DECADE IN THE MACHINES」(ノルウェー先鋭ブラックのリミックスアルバム、PITAやFENNEZ他参加!!500円にて)、TANKARD「ZOMBIE ATTACK」(ジャーマンスラッシュ名バンド86年)、DEPRESSIVE AGE「LYING IN WAIT」(ジャーマンメランコリックスラッシュ2nd外盤!コンプリート!)、BRUCE DICKINSON「THE CHEMICAL WEDDING」(5thソロ、600円外盤にて)、QUEENSRYCHE「OPERATION:LIVECRIME」(VHSつき完全版BOX!)。USインディとメタルとプログレとジャズしか買わない人っすね私は。これで更に家に帰ったらアマゾンで注文の品が届いてたので凹みました。そっちはJUNE OF 44「ENGINE TAKES TO THE WATER」「THE ANATOMY OF SHARKS」、JULIE DOILON「LONELIEST IN THE MORNING」「BROKEN GIRL」「WILL YOU STILL LOVE ME?」、KEROSENE 454「RACE」、TERRY REILEY「A RAINBOW IN CURVED AIR」、STEVE REICH「MUSIC FOR 18 MUSICIANS」「DIFFERENT TRAINS/ELECTRIC COUNTERPOINT」、YO LA TENGO「SUMMER SUN」。ウインドウを最大にしてもスクロールバーを動かさねばならない長さになってしまいました。19日のサウンドベイから4日間でこの量は過去最多ですし今後更新したくもないっす。明日から頑張って聴いてきます。

【只今のBGM:DEMETRIO STRATOS「CANTARE LA VOCE」】


これは壮絶。一人ヴォイスパフォーマンスであることは承知の上の購入でしたが、想像を絶する内容です。口琴の真似、ホーミー各種、どこかの民族楽器の笛の真似、馬の真似、テープ逆回転の再現(!!)、他々、伴奏も何もなくデメトリオがただただウーヒー、オヌォレオヌォレ、フィスーフィスー、ギゥーィョーィー、ウーピフミフミフミフー、ンゲォアオォァアオオ、などの声を出しまくるという激ディープ具合。私はAREAを聴いてても常々デメトリオもっと変な声出さんかなーと期待するクチなのでこれは悶絶級のたまらなさです。イクラの瓶詰めを500ml分くらい一気に食ったような衝撃の満足。しかしこれで変態ぶって一杯食わせてやろうとかいう計算はどこにも見受けられず、ただひたむきに学者的に人間の喉の可能性を追及するデメトリオの真摯な姿があるのみです。ショック・エンターテインメントの申し子オーラ全開のマイク・パットンとはそこで天地の隔たりが。(パットンも器用だし凄く面白いですけど。)こんな人が若くして死んだなんて本当に勿体ないですよねー。

  3月20日
本日の収穫、上前津FILE-UNDERにてIDA「ANGEL HALL」(レア・ライヴ盤限定再プレス!LOW、HIS NAME IS ALIVE、THE SECRET STARSも収録の全15曲)。ミスタードーナッツの「氷コーヒー」をいい加減全部溶けるまで待ってから飲めたいと思って今日また失敗したこととは関係なく、明日の晩の下北沢ERAでのDEERHOOF再来日公演に向けてあと2時間で出発致します。次回更新は名古屋に帰ってくる22日、大量の収穫報告とともに。

【只今のBGM:CHEER-ACCIDENT「DUMB ASK」】


ジム・オルーク、ボビー・コンなどシカゴ界隈のアーティストの作品にちょこちょこ顔を出し、自身もソロアルバムをリリースしているシム・ジョーンズがドラマーとして在籍するバンドの記念すべき91年1st。アルビニがエンジニアを務めております。BIG BLACK〜RAPEMANの不良っぽさをよりインテリ方向に持っていったような、激マスロッキンポストパンク!WATCHTOWER(SIEGES EVENっぽくもあるけどまず聴いてる可能性はないでしょう)やVOIVODなどといったバンドの影もまだ希釈されきらずに発見出来る、ややメタリックなスタイルです。ギターサウンドはほぼRAPEMAN。91年ってことで全然期待せずに買ったのにこれはサイコーです。後追いで聴く我々はSLINTやBASTROみたいな有名バンドだけが突然変異種として少数存在していただけなんだろうとか勝手に思ってしまってますが、NATIVE NOD然り、名の知れぬこういう人達もちゃんとその裾野を作っていたわけですね。BIG BLACKから10年経てば当然か。

  3月19日
▼年度末恒例のサウンドベイバーゲン、今年も行きました。本日の収穫、金山でCHEER-ACCIDENT「DUMB ASK」(シム・ジョーンズ!91年作)、HELLA「THE DEVIL ISN'T RED」、ARCHIE SHEPP「LIVE IN SAN FRANCISCO」「MAMA TOO TIGHT」(いずれもデジパックリマスター)、PEDRO THE LION「IT'S HARD TO FIND A FRIEND」、THE BEACH BOYS「SUNFLOWER/SURF'S UP」(2in1リマスター)、JOHN DAVIS & DENNIS CALLACI「ROOM FOR SPACE」、SMOG「RED APPLE FALLS」(ジム・オルーク、シム・ジョーンズ他参加の97年作)、ORNETTE COLEMAN「TOMORROW IS THE QUESTION」、BUDDY RICH「BIG SWING FACE」、GILLAN「DOUBLE TROUBLE」(ジョン・マッコイ、ヤニック・ガーズ在籍!81年作リマスター)、RUFUS WAINWRIGHT「WANT ONE」(03年)、YOU AND I「YOU AND I」(激情カオティックエモ名バンド)、CHRIS BROKAW「RED CITIES」(COME〜PULLMANのギタリスト)、HANOI ROCKS「SELF DESTRUCTION BLUES」(83年作リマスター)、上前津ではMcCOY TYNER「TENDER MOMENTS」、V.A.「BADLANDS -A TRIBUTE TO BRUCE SPRINGSTEEN'S NEBRASKA」(LOS LOBOS、SON VOLT、ベン・ハーパー他参加)。いやぁー充実です。この内容でしかも1枚平均800円を下回るような額で済んだという、幸せ一杯のバーゲンでございました。

【只今のBGM:BUDDY RICH「BIG SWING FACE」】


ビッグバンド・ヴァーサス・一人ビッグバンドの様相!無数の水飛沫の如きライドの合間にパシッパシッと刻まれるリムショットが楽団を完璧に統べていくこの豪快な気持ち良さったらないっす。ミクロでの緻密な呼応の一糸乱れぬ巨大な連動で成り立つ恐るべきアンサンブル。BRIAN SETZER ORCHESTRAばりのアメリカン・クルクル・ハッピー感(?)がこんな風に楽しめるのはこのバンドくらいのモンなんじゃないでしょうか。バディ氏のドラミングはMASTODONもCRYPTOPSYも比ではない勢いで異次元ですね。隙あらばたとえ2拍分のブレイクにでも挿入される神業スネアロールなんか既にデメトリオ・ストラトスの「おひょほおひょほ」にも匹敵する必殺飛び道具の域。思ったより立体的な録音じゃなかったのだけが残念ですが、これがライヴ・レコーディングとはにわかに信じ難い圧巻の熱演です。67年収録。

  3月18日
収穫はなし。最近お世話になりがちな今池得三にて、見てきましたボニー・プリンス・ビリーa.k.a.ウィル・オールダム。かつてライヴに出掛けて「職人集団」だの「普通のねーさん」だのといった感想はありましたが、今日のウィル氏は「変なおっさん」でした!!予想を上回るヒゲ、ハゲ、あとの3人もヒゲ。ダブル兄弟カルテットによる完成されたグループ表現と、その中で肩を支えられて立つほろ酔い人のようによっこらせっと不敵に唄い踊るウィル氏、最高に素敵でございました。歌上手いし意外に声デカイんです。いやー今日も有り難かった。

【只今のBGM:BONNY PRINCE BILLY「BLUE LOTUS FEET」】


これまでもこの人/人達には「全部同じ=全部最高」フォーミュラを適用してきていましたが、ここへきて「全部最高」の部分が更にぐぐっと上昇です。やるようにやって完成品の自分になる天才肌の人だったのは予想通り。その底力があそこまでだったとはしかし想像以上でした。狭い部屋でオンマイクで録ってこそ様になってるんだろうなとか思いながらCDを聴いていたのは大間違いで、このヨレ声でちゃんと見事に歌い上げる人です。この際アレンジや曲そのものが全くもって新しくなかろうが微塵も問題なし。ありがたみのある現役歌人として大事にしましょう皆様。

  3月17日
収穫はなし。明日は今池得三でウィル・オールダム。SLINTの2ndのジャケを撮った男がとうとう名古屋の地を踏むわけですわ。map情報では日々飲みまくっとるそうで、今日の京都で美味いもん食って名古屋では更にヘロヘロになってるんでしょうか。あ〜期待。

【只今のBGM:DS-13「VAD VET VI OM KRIGET?」】


スウェーデンの激オールドスクールスタイルハードコアバンドの99年1stフル。その筋ではかなりタマラン存在として重宝されてるらしく、せいぜいSST一派と偶然買ったBGKくらいしか持ってない私があんまり軽々しくコメント出来るものじゃなさそうです。とりあえずBORN AGAINST派生組とは全く趣きの異なる、かといって現役として通用する清々しいアグレッションはむしろ有り余るくらいに持っているカッコイイ連中だと思います。昔ながらのハードコアの普遍性を高純度に抽出/還元した感じ、てな解釈でOKでしょうか。オリジナルパンクの頃のロッキン・テイストの名残から、スラッシュメタルとクロスオーヴァーした時代の猛疾走する整合感まで、王道ど真ん中の範疇にキレイに収めてくれてます。演奏上手いしシンガーも文句なしのハイテンション、加えてプロダクションはラフ&クリアーですこぶる好ましい出来。私は優秀な伝統芸を本気でやるバンドには存在意義を認めます論者なのでこの人達にも頑張ってもらいたい。時々中古盤屋のコメントで「カオティック!」とか書かれてることがあるけど、それってかなり本人達に不本意な評価なのでは。ノー・トリックな男らしさこそ称えるべきっぽいのに。

  3月16日
収穫はなし。花粉症か風邪か判らん程度の風邪をひいた気がします。季節の変わり目に風邪なんて他にいくらでもひく人がいように、自分のとこに回ってくるとガッカリだ。風邪なら風邪でハナやくしゃみはいらんから酩酊感を。

【只今のBGM:I POOH「ROTOLANDO RESPIRANDO」】


オケ・アレンジからの脱却が顕著になったという77年作。ひたむきな壮麗さにはどうも反応しにくい耳になってしまったゆえ、せめてこれくらいヤクザな感じがした方が個人的には聴けます。質感がロックっぽくなったというだけで、イタリア語+美メロの基本路線には変化なし。クラシカル&ロックの塩梅的にはPROCOL HARUMっぽいかも。ただこちらはブルーズをルーツに持たない国の人なのでニオイは決定的に異なります。この陰のない美しさ、それにしても、昔の北欧メタルみたいにうっわ〜こんなに泣き泣きでいいのとテンションが上がるのとは違う感じで、ひたすらリアルでシリアス。歴史考証的にプログレを楽しめる身だから買ったけど普通に共感はあんまり出来んかも。ロックンロールであることを忘れた90年代後半以降のメロディックメタルを愛しているような人にとってはこれこそ泣きのイデアみたいに感じられるんでしょうか。1980年をまたぐ頃にはきっとダンスビートに毒されたりしてるんだろうから、どうせならそのへんのアルバムを聴いてみたい。ああ、こんなこと言って、プログレッシャー失格ですね私は。

  3月15日
収穫はなし。きょうびのボールペンって良く出来てます。「最後までスラスラ書ける」とかいう宣伝文句のとおり、はたとインクが尽きて出なくなるまでその前兆すらなし。新しいの買わなきゃと、バイト帰りの足で20時前のコンビニに立ち寄って、最近は享楽的に食うのが趣味だから、食いたいときが食いどきだから、痩せたから大丈夫だから些細な額だから、散々己を言いくるめ、家に着けば食事があるということはさておいて小腹に入れる何かを物色し始めて、これかな、これじゃないかな、どれも冴えんねと、無理に程度の低い決着をつけようと悶々としているその最中に、最中に、ああー今日は財布をこのカバンに移すのを忘れたまま出掛けてきて今に至るんだったーと気が付く瞬間の惨め極まる挫折!救いようがないですよ。さて皆さん、機嫌ってありますか?私は「自分に機嫌はない」と信じていたのに、今日は凄く簡単に腹が立って、例えば他人と働いていると度々発生する間合いの微妙さをやり過ごすためのニコヤカを装った一言を、発するために声帯を振動させようとするのがメンドーくさい。不機嫌なのか無気力なだけか、どうもその二つは不可分な感じもしつつ、無気力で不機嫌な一日だったなあ変だなあ。特にネット上だとよく見かける、不機嫌にコミュニケイションをブレイクダウンして独り勝ちの悦に浸ってるように見える人、死んじゃえよって思いますけど、無気力のままに振る舞うことでやっと正気の最低ラインにいられるという感覚なんだとしたら私も今日それを共有しました。でもこれは多分迷惑だからやめた方がいい気がします。マトモに取り合おうという気になれるいつも判ってくれるわずかな数人がいるから大丈夫、ていう生ぬるい信用に依存して全部解決とは、貝を手放せないぼのぼのと変わらん。

▼それより皆様お忘れじゃないでしょうか、今週金曜はサウンドベイ両店バーゲンですよ。

【只今のBGM:BRANCH MANAGER「BRANCH MANAGER」】


90年代中期DISCHORDのマイナーバンド。元・何がしとか現・何がしとかそういうつながりは一切ないらしく、そもそもDCじゃなくてその近郊のレストンという街の出身だとか。地味です。SEVERINよりは数段マトモなものの、SCREAMがSMART WENT CRAZYになり損ねたような地味さ。DISCHORDスタンダードの近隣に位置する、文字通りの郊外型DCサウンドなんでしょう。あんまり誰にもお勧めしようと思いませんが地味専の私にはたまりません。アートワークがジェイソン・ファレルでエンジニアはCANDY MACHINE、CORM、PITCHBLENDE他を手掛けたチャールズ・ベニントンと、演出もばっちり。熱心なDCフリークならば持ってて勲章になるような1枚かも。

  3月13−14日
▼13日は収穫なし。ヘッド・バンギングは好きですか?私は好きです。本日14日の収穫は近鉄パッセ内タワーレコードの半額ワゴンにてHEATHER DUBY「POST TO WIRE」(99年SUBPOP、スティーヴ・フィスク全面参加のミア・ドイ・トッド直系オリエンタルSSW)。旅のお供に旅の窓口、こりゃ便利ですね。

【只今のBGM:BRUCE DICKINSON「TATTOOED MILLIONAIRE」】


「NO PRAYER FOR THE DYING」の前にリリースされたブルースの1stソロをやっと購入。同年のドン・ドッケンのソロアルバムと並んで、中古市場で酷い虐げに遭っているからといって侮ってはならない名作です。タイトルトラックはHARDLINEやTRIXTERがやってもおかしくないようなビックリ・メロ・ハー・チューン!他の曲もBAD COMPANY風だったりVAN HALEN風だったり、デイヴィッド・ボウイのカヴァーさえ入っていたりと、想像以上のアリーナロック傾向でしかも非常にクオリティが高い。スティーヴ・ハリスの美学にどこまでもついていきます派のIRON MAIDENファンにとってはカッタルイの一言なんでしょうが、いやいやこれでいいんです。勿論ヴォーカルは変わりようもなくSAMSONの頃からのあの声。加えてヤニック・ガーズが意外と売れ線ハードロックギターのツボを押さえた良い仕事してるのが気になります。GILLANも買いか。

  3月12日
▼昨日のUNSANEショックが持続する中、本日の収穫、本店にてSUPPORTING ACTRESS「PLAYING THE PART」、BRANCH MANAGER「BRANCH MANAGER」(DISCHORD!)、MINNETONKA「ORCHARD STREET SOUNDS」、V.A.「STAY TUNED FOR THE HOLIDAYS -A CRANK! SAMPLER」(BOYS LIFE他)。"日常でCDを買うのはやっぱり楽しいキャンペーン"容赦なく催行中です。東京遠征の糧はまた25日以降の自分から可愛く前借りするしかない。

【只今のBGM:PAUL GONSALVES/ROY ELDRIDGE「MEXICAN BANDIT MEETS PITTSBURGH PIRATE」】


テナーをマシンガンに見立ててグッと構えるポール氏と、「打ったるでホームラン」とばかりにトランペットを振りかざしてそれを迎え撃つロイ氏、何たる馬鹿馬鹿しいジャケかと思わず買ってしまいました。ポール氏はエリントン楽団にいた人だとか。73年の録音にも関わらず、戦前ジャイヴのような愉快系オヤジバップ・バトルを、リアル年寄りな二人(とバック三人)が程良いレイドバック具合にて繰り広げておられます。"C-Jam Blues"や"Body And Soul"など収録。(CD化ボーナスで"Satin Doll"も追加!)蓄音機がいかにも似合うこのトランペットのハエ風アホ・トーン、何をどうするとこうなるんでしょうか。21世紀の今わざわざ掘り起こして名盤名演と取り立てるべき作品かどうかは判りませんが、こういうのはいつでも和みますなあ。ヴェテラン達の喜劇役者的な掛け合いに手を叩いて笑っていればいいだけという気楽さ。もっとS/N比極悪の時代に隆盛を誇っていたはずの音楽がグッドなプロダクション(全楽器イイ感じの遠さ!)で記録されているという点でも非常に好ましい。たまたま安く見つけた時には買えばよいでしょう。買えば楽しめます。

  3月11日
本日の収穫、今池GREATEST HITSにてILLINOIS JACQUET「THE KING!」(68年)、PAUL GONSALVES/ROY ELDRIDGE「MEXICAN BANDIT MEETS PITTSBURGH PIRATE」、YUSEF LATEEF「THE SOUNDS OF YUSEF」(57年)、300円でBRUCE DICKINSON「TATTOOED MILLIONAIRE」(ヤニック・ガーズ参加のソロ1st名盤やっと購入!)。そして今池ハックフィンにてMATADORの極悪番長、UNSANE from NY!見てきました。いやー最高、最高です!ハイパワー・イーヴル・グルーヴィン・ジャンクンロール!地味とかチケット高いとか言って見送った人、損してます!!この手のバンドのライヴではHIGH ON FIRE以来のショック度でした。CDをどれだけ大音量にしてもあれは想像出来んはずです、マジで。ありがたい感じの人の来日公演はやっぱりあらかた出向くべきっすね。このツアーに全公演ついて回っていた16というバンド(アメリカの人達です)も殆どHELMETだったけど良いステージを見せてくれたし、名古屋のETERNAL ELYSIUMもDMBQよりは断然良かったしで、イヴェント自体結構な充実モンでありました。近いうちにライヴリポート書きます。

【只今のBGM:UNSANE「SCATTERED, SMOTHERED & COVERED」】


この中から結構何曲もやってました。いやー、こんなものではない。唯一無比の邪悪な字余りパワーグルーヴ、生で直面すると本当に強烈です。このアルバムも例に漏れず彼らは一貫して血塗れのアートワークに拘ってますが、今回その衝動がやっとリアルなものと確認できたという感じです。譜面的な意味性/記号性よりもあくまでヴァイブレイション(っつーんでしょうか?他に適切な語が見当たりません)が素晴らしいバンドなのだと思い知りました。肉体あるロックバンドならばこうあって欲しいもの。THE JESUS LIZARDとかがいない今、こういう音でこれだけやってくれる存在はもう貴重でしょう。大事にすべき。

  3月10日
収穫はなし。今池得三にてLIGHTNING BOLT見てきました。DEERHOOFとかを既に見てる手前、想像の範囲内ではありましたが、対価相応のグッド・アミューズメントでした。満喫しましたよ。詳しくは後日のライヴリポートで。前座のDMBQには落胆だったな〜。明日は今池ハックフィンでUNSANEです。ありがたや。

【只今のBGM:LIGHTNING BOLT「WONDERFUL RAINBOW」】


てことで改めて聴いてます。なるほどこれは超爆音で聴くかナマモノを目撃するしかない。録音物から聞こえてくるより遥かに多い情報量が実際にはありました。というよりあの視覚と音響があってやっと本人たちの意図する完成形になってるのねと、見れば自ずと納得のいくようなライヴだったということ。こういうバンドは特に、CDだとどうしても「この人達はこういうスタンスを選択し実演しています」というサンプルにしかならないものです。ところで今回のツアーの宣伝文句には、彼らの音楽の形容としてBOREDOMSとSLAYERが引き合いに出されてましたが、SLAYERとはこれ如何に?速いといってもこんなマイクロな情報過多感SLAYERには無いっす。NILEとかDYING FETUSとかそんなんだ。無論それじゃLIGHTNING BOLTを見たがるような人に通じないから都合悪いんだろうけども虚偽はイカンよ虚偽は。さておき、MASTODONのドラマー以上に目を見張る高速タコっぷり、馬力的には(私の見てきたライヴの中で)過去最強だったかも知れません。ちゃんと生で立ち会って良かった。

  3月9日
収穫はなし。唐突ですが皆様「とくダネ!」見てますか。木曜のコメンテイターの岩上安身カッコイイですよね。ラディカルになることを辞さず、統計的な数字をほいほい取り出し、議論の核心をむんずと握っては小倉智昭のコメカミ5mmらへんにブチブチ投げつける、とにかく頼れる男なんすよ。そんだけです。

【只今のBGM:DANGEROUS TOYS「HELLACIOUS ACRES」】


元祖変拍子テクニカルスラッシュ・WATCHTOWERの1st「ENERGETIC DISASSEMBLY」でブチ切れ激ハイトーンをかましていたジェイソン・マクマスターがいるバンドの91年発表2nd。「ENERGETIC〜」は本当に名盤でしたし、そこでの彼のパフォーマンスもすこぶる好演でした。そのWATCHTOWERを脱退して割とすぐに結成したこのバンドでは、GUNS N' ROSESのブレイクで一気に来たメタルバンドの先祖帰り=70年代回帰ポーズの流れに見事に呑まれとります。QUEENやJOURNEY他を手掛けたロイ・トーマス・ベイカーをプロデューサーに従え、BAD COMPANYの"Feel Like Makin' Love"のカヴァーまで収録して小道具ばっちりのこの2ndは、所詮メタラーがレトロロッキンになろうとするとこういう風にしかならんよね、という哀しさで一杯の内容。マトモな歌を歌ってしまうとジェイソンの裏声っぷりが露呈しまくり、それがトム・キーファー(CINDERELLA)ほど熱くなくジョー・エリオット(DEF LEPPARD)みたいに強引な説得力も感じられず、10年前のALICE COOPERにやらせときゃいいじゃんという感じの楽曲スタイルとも相俟って、煮え切らないことこの上なし。この煮え切らなさこそを、あくまでバーゲン品価格だけ支払って、私は聴きたいわけです…!つまるところ完璧・最高・理想的ということ。メタル純正培養的なダメさが濃厚な分BADLANDSあたりより更に強敵。免疫なき人にはお勧め出来ません。ていうかロブやロニーのシャウトに拳を握ることも知らずに「昔のショボいロックTシャツ欲しいんだよねー、メタルとかのわけ判んないバンドの」とかほざいてWINGERやL.A.GUNSを鼻で笑うようなガッデム・ファッキン・オサレ・ポーザー共はこれ1000回爆音で聴いて地獄に墜ちてもらいたい。

  3月8日
本日の収穫、今池P-CANにてNEIL YOUNG「ON THE BEACH」、バナナ大須店にてMOCK ORANGE「THE RECORD PLAY」(トロンビーノpro2000年作)、DS-13「VAD VET VI OM KRIGET?」(MESHUGGAHと同郷の激ハードコア!)、AS ONE「PLANETARY FOLKLORE」(MO' WAXからの97年作)。節約してるはずなのに買うものはきっちり買ってしまいます。腹8分目の理性が勝った爽快感も捨て難いが、11分目以上食べまくったあとの乱暴な充実感はやっぱり格別ということです。

【只今のBGM:AS ONE「PLANETARY FOLKLORE」】


最高傑作と言われてるらしい1枚。この人の作品は他に94年の「REFLECTIONS」と01年の「21ST CENTURY SOUL」を持っていまして、デトロイト/フューチャージャズ一筋の頑固な人だとばかり思ってたんですが、このアルバムは生音率高めでMO' WAXのレーベルカラーに相応しいクラブ的な雰囲気が結構前面に出てます。今までのイメージの方が好みだなあとも思いつつ、テックジャズの系譜の中で97年にこういうことをこの完成度でやったのが相当革新的だったであろうことは何となく察します。テクノもジャズもビスの一本まで解体したところから組み上げた理知的で野太いグルーヴ表現っちゅう感じです。機材パワーに弄ばれていた時代の不自由さの影(デトロイトテクノたらしめる要素の一つだと思っているものなのですが)は他のアルバムよりも薄く、超高性能なジャムバンドのようでもあり。ちゅうか数多のエレクトロニック・ミュージックがこういう方向に行く終着点には「ON THE CORNER」が燦然とあるって話なんじゃなかろうかという気もします。GANG OF FOURがいてQ AND NOT Uを聴く必要がないなんてことは全然ないのと同じで勿論どっちも楽しく聴けば良いんですけど。何の話をしてるのかわからなくなりかけてますがAS ONEです。もっとカキカキしてる方が個人的には好きだーと言いたいだけでした。

  3月7日
収穫はなし。あー痩せた、知らん間に痩せた。最近腕についてきたと思っていた筋肉は単に脂肪が減って表出してきただけのものだったらしいッス。とにかくですね、現在の腹をつまんだときの薄さ、物心ついて以来有り得なかった感触なんですわ。毎日1時間の本気の自転車走行これは本当に効きます。華奢な脚線美が維持される保証はないので女性には気軽にお勧め出来ませんが、筋肉の使いどころを然るべきように意識することである程度の対策は可能でしょう。地下鉄で15分以内のところに通勤/通学先がある人よ、自転車に乗ろうよ。

【只今のBGM:BILL FRISELL「GONE, JUST LIKE A TRAIN」】


この人はどれ買っても同じくらい良いんだろうなー1200円しんどいなー、と思いながら試聴して、結局買った1枚。NONSUCHリリースの98年作です。ノーマルなトリオ編成にて、暗黒グルーヴィンなジャムバンド風フュージョン、やっぱり泣けるアメリカーナ、他々、この人印な納得と感嘆の内容。リズム隊に耳をやると実は地味に新しいアンサンブルを模索・試行錯誤してるのにも気付いたりして、金太郎飴なようでちゃんと進歩的なのだなと、改めて敬服します。新しさにコーティングされた根源的なものっつーんでしょうか、なんかそういうのの理想的な形を探してる人なんだろうと思います。勿論個人技の方も過不足なし。ほけっと聴いて和めて、じっと対峙して身が締まる、高級料理みたいな盤。

  3月6日
本日の収穫、ナディアパーク内ヤマギワソフト中古コーナーにてDARKTHRONE「TRANSILVANIAN HUNGER」(2001年スリップケースリイシュー!)を250円!、LOS LOBOS「COLOSSAL HEAD」(デジパック発見につき買い換え)を350円!、BURZUM「FILOSOFEM」を250円!にてうっかり二重購入!しちゃって、BUZZKILL「UP」(ALTERNATIVE TENTACLES)を400円、あとは普通にBILL FRISELL「THE INTERCONTINENTALS」を900円で、更にパルコ店にてCHET BAKER「BABY BREEZE」(フリューゲルホーン使用の64年作デジパックリマスター)、BILL FRISELL「GONE, JUST LIKE A TRAIN」、矢野顕子「OUI OUI」。あー充実。ヤマギワの外盤のぞんざいな扱いっぷり最高です。地方都市のリサイクルショップってこんな風なんでしょうか。意外と入荷があるみたいだし定期チェックが必要。

▼最近私はどうも、白米に梅干を乗せて食うのに取り憑かれたり、右半身を下にして寝るのに取り憑かれたりするのと同じ調子で、人が数人座ったところをフォーラムと化すことに取り憑かれてる感じです。あれもこんな感じ、それもこんな感じ、この感じは何かに似てるぞ、これって何?みたいなぼのぼの的疑問を見つけては決着をつけて整然と体系化するのが今一番の趣味に間違いありません。何かべらべらとみっともねーなあとも思うんですが、それを通過した後には「選択された寡黙」に行き着くんでしょうか?とりあえず黙っとくことをテーマに暮らしてみようと思います。こうやって期間ごとに次々決める妄想キャンペーンにのっとって生きてばっかりな気もします。スーパー・ストイックな非動物たろうとするのは動物的な絶対の限界への抵抗なんすかね。どこかでごっそり折れるか、このまま修行僧にでもなるんだろうなと思いながら暮らしております。

▼あっ、サウンドベイのバーゲン情報をゲットしました。意表を突いての金曜スタート、今月19日から21日までの3日間だそうです!休み取ってねーっすよそんな日によ。

【只今のBGM:BUZZKILL「UP」】


中古でも割とよく見かけるALTERNATIVE TENTACLESの最近の人達です。裏ジャケとディスク本体のレーベル面がBLUE NOTEのCDを模したものになってて、とりあえずツカミはOK。話判るなと。内容は結構普通のハードコアです。ALTERNATIVE TENTACLESの系譜を汲んだ人食ってるテイストがなかなか楽しい。M.O.D.化したPRESIDENTS OF THE UNITED STATES OF AMERICAみたいな感じでしょうか。そりゃ褒め過ぎか?いやいや、面白いです。P.U.S.A.を引き合いに出したのは、トリッキーという意味ではなく不真面目なパーフェクト・アメリカーナ職人っぷりにおいて。ハードコアをちゃんと全時代的にフォローしてる人にとってはかなり乙な奴らであろうと想像します。96年にしちゃ好感の持てるプロダクションだし、400円でこれなら立派な当たり。

  3月5日
収穫はなし。吉野家の豚丼、試しましたか?そりゃ試しましたとも。ほぼ牛丼に仕立ててきたなか卯とは違って、味付けも微妙に違うし、新たに具に加わったゴボウも豚汁を彷彿とさせる妥当な溶け込みようでなかなかOKです。タマゴとのマッチングも損なわれとりません。余りにあんまりなカレー丼や焼き鳥丼はやっぱり始めから、US牛肉ストップが長期戦になることを見越して、それを乗り切れる本命の代替メニューたる豚丼を堅実に開発するためのつなぎだったんでしょう。豚丼が320円で実現したのもいい話じゃないですか。頼れる会社はやっぱりちゃんと考えてちゃんと仕事しますね。

【只今のBGM:CHICK COREA & HARBIE HANCOCK「AN EVENING WITH CHICK COREA & HARBIE HANCOCK」】


これは有名な盤なんでしょうか。いきなり見つけてビックリしました。マイルスバンドで居合わせた二人の79年のライヴです。ハンコックの目の覚めるような凛々しさも、チック・コリアの現代音楽混じりの前衛性も、各々がもともと持っていたものですが、ピアノ・デュオでこういう風にやられるとどうも「キース以降」の明解さによって肉体化の術を得たような感じがします。なんて十中八九ただのド素人の思い込み的見解ですけど。なんかしかし、戦うような遊ぶような、勿論歌うような、へーんな感じの共演なんですよ。どのへんまでコンポーズされててどこからインプロなのか、判りやすく見せてくれるような野暮な真似はしません。結構コンポーズされてる気がするというかコンポジションに乗っかってインプロしてる気がします。1曲目のチック・コリア作の曲では途中から客が爆笑するくらいの悪フザケ連発で、クリス・カトラーのドラムをオーヴァーダブした化粧直し盤でも作ったらレコメンファンは垂涎必至でしょうってなもの凄さ。とにかく数ある大物共演モノの中でも抜群に聴き応えのある部類のはずです。ところでこのCD、もとは2枚組のLPだったのを、よりによって人気曲"Mayden Voyage"と"La Fiesta"を一部カットすることによって74分に納めたというヒドくずさんな代物で、ノーカット・リイシューがあるなら是非そっちに買い直したい。

  3月4日
本日の収穫、今池P-CANにてROTSUBLIME CADAVERIC DECOMPOSITIONのスプリット(ブラジル産AUTOPSY風激シブオールドスクールの前者、フランス産正統派ゴアグラインドの後者による強力カップリング!)、JULIE DOILON「HEART AND CRIME」、HAEMORRHAGE「SCALPEL, SCISSORS...AND OTHER FORENSIC INSTRUMENTS」(スパニッシュゴアグラインド名バンドのレア音源集)。このサイトのマイナーチェンジ作業中にたまたま見た9月頃の日記で自分が「暑いのに飽きた」と言ってるのを発見して、何を贅沢な、と思ったことですよ。春とか梅雨とか生ぬるいのはどっちでもいいから明日から酷暑になってもらいたい。

【只今のBGM:JULIE DOILON「HEART AND CRIME」】


これを今池P-CANに売る人も売る人なら、それを案の定800円とかで投げ売りする店も店。アマゾンで注文して発送待ちの品でしたが意外なとこで安く買えちゃいました。あのライヴを観た者としてはもうどれ聴いても最高です。アタックがのろい独特のポソッとした歌い回し、スキマで語る静かで重いギター、ともにばっちり健在。この人はホントに、言の葉をぴらぴらっとキレイに投げる芸術家肌の詩人さんですね。異国の言葉で文章がつらつらと書いてあって、それが読めないけど字面だけでも何だか美しく映るみたいな、かたち/響きだけをとっても贅沢に充実した音楽をやってくれる人です。今作ではドラムやエレクトロニクスが更に減って、ほぼギター弾き語り(と時々ピアノ、ハーモニカなど)スタイルでやり通してますが、素材をゴロッと転がすだけでこの説得力は恐れ入ります。曲調が心なしか暗くなくなってきている気がするのはそういうジュリーさんの心境/状況の変化でしょうか。2001年のこの人をすぽっと切り取ったのがこれなんでしょう。あー良いとてもいい。ライヴが良過ぎて感銘を受けただけじゃなくて、ファンになってしまっていたようです。

  3月3日
収穫はなし。継続することを大前提とした基盤作りとは企業経営から日々の生活習慣に至るまで広きに渡って等しく重要なものでございまして、ウェブサイト維持に関しても無論言うに及ばず。ということでコンテンツ縮小のマイナーチェンジを敢行しました。まあ、どうでもいいですね。皆様は愛知万博のイメージキャラクターのモリゾーを可愛いと思う人ですか否ですか?私は否定しない派です。玖保キリコ版ムック(ガチャピンの相方の赤い彼)って感じでまあヨロシイんじゃないでしょうか。あ〜、どうでもいいー。

【只今のBGM:PINBACK「OFFCELL」】


PINBACKはルー・バーロウが大好きなロブ・クロウがFOLK IMPLOSIONみたいになりたくて始めたユニット、と勝手に思ってて、これまでのところ大筋でその通りだったと思うんですが、ここへきて生ドラムを導入してのTHINGY的バンドアンサンブルが軽く復活してきましたね。やや意外にして妥当。ただ相変わらず変拍子は禁じ手にしてるらしく、ローテンションっぷりも前作までと同じ。やっぱりどうも、ロブ・クロウは音楽を愉しむ人であって音楽で心を吐き出したい人ではないのかなあと思います。いまひとつこの人でグッと感動したことがないのはそれか。器用系職人の渾身の仕事という見方をすれば間違いなく最上級の部類ではあります。ゆえに結局気になって買ってしまう人。

  3月2日
▼先月末から続く、やっぱり普通にバナナ行こうキャンペーンの一環として、今日は凄く久し振りに栄店へ。本日の収穫5UU'S「HUNGER'S TEETH」(80年代以降USレコメン中心的バンド94年作)、PINBACK「OFFCELL」(最新作!)、REPLICANT RUMBA ROCKERS「A RATHER INTERESTING MIX」(NONPLACE!バーント・フリードマン全面ミックス/エディット)、HEMDALE/EXHUMED「IN THE NAME OF GORE」(強力ゴアグラインドスプリット、前者はDESTRUCTIONの"Curse The Gods"、後者はPOSSESSEDの"Death Metal"をカヴァー!)。そんで昨日挙げたライヴのチケット全部と東京行きの深夜バスの切符を購入して、貧乏として今月を生きる腹を決めて参りました。
 しかし、地下鉄の定期券売り場にしろJRバスにしろ、公共交通機関系の窓口にいる人が大概びっくりするくらい無愛想の極みなのは、何なんでしょうね。今日もバスの切符を買った時、ひとしきりの手続きを終えた後に「乗り遅れますとッ、無効!になりまス。有り難うございました」と冷たく言い放たれて、まさか乗り遅れるつもりも乗り遅れて窓口に泣きすがるつもりもなかったのにアンタ突然何なのさと、心の中でその兄さんの首から上をPANTERAの「俗悪」のジャケ(画像参照)とコラージュしたりは、しませんでしたけど、ニコヤカにして感謝し返された方が普通に気分いいと思うのになー。

【只今のBGM:NEVERMORE「ENEMIES OF REALITY」】


これもかなり前に買って、一度聴いてヨシと安心したっきりだったのをふと思い出したので今日久し振りに聴いてます。やっぱり新鮮な驚きもなくただ安心。3rd「DREAMING NEON BLACK」でゴシックばりの暗さと90年代リフもの一派の集大成的ヘヴィネスの奇跡的な融合に成功して、おースゲーこれがこれからのメタルの雛型でしょう、と大いに感銘を受けたものですが、次作「DEAD HEART, IN A DEAD WORLD」ではダウンチューニングを全面導入して何だかMESHUGGAHっぽくなって、その方向性をここでも引き継いでる感じです。勿論陰湿極まりないウォーレル・デインのヴォーカルは全開だし、随所でこれまで通りメロディックな展開も見せるものの、出来ることをやるバンドになってしまったなあという残念さが。大筋では最初からこうだったと言われればそんな気もするし、私の期待が変な方向に過剰なだけかも知れませんが。少なくとも何の予備知識もない人が単発で聴いて充分にショックを受ける内容にはなっていると思います。前回好評を博したアンディ・スニープに代わって今回は、QUEENSRYCHEの近年作やCANDLEBOX、PRIDE AND GLORYなどを手掛けたケリー・グレイがエンジニアに起用されていて、デスメタル映えしそうな目の詰まった混沌サウンドに仕上がってます。ダイナミックレンジは(特に上が)狭めな気もするけど、ちょっとアルビニ風のナチュラル&大袈裟な残響の乗ったスネアがメタルには珍しく、良い感じ。

  3月1日
収穫はなし。3月の名古屋は10日にLIGHTNING BOLT(得三)、翌11日にUNSANE(ハックフィン)、翌週18日にボニー・プリンス・ビリーa.k.a.ウィル・オールダム(また得三)、その週の土曜・20日から多分サウンドベイのバーゲン(未確認)で、21日は東京へ出向いてユニオン巡礼&DEERHOOF(下北沢ERA)となっております。あ〜、竹ヤブと言わず、私の自転車の前カゴに100万円、落としていってくれたら、一生感謝し続けますよ。

【只今のBGM:SCREAM「FUMBLE/BANGING THE DRUM」】


買ったのは数ヶ月前だったような気もしますが、今初めてちゃんと聴きます。これ買うまでデイヴ・グロールがDISCHORDのお世話になってたとは知りませんでした。2枚のアルバムのカップリングになっていて、前半に収録されている89年作の方でばっちりドラム叩いてます。作風としては全くDCを感じないハードロッキンなもので、当時のSUICIDAL TENDENCIESとFAITH NO MOREやLIVING COLOR(!)の中間みたいな、とにかく強烈な煮え切らなさが支配的。しかしそこはデイヴ・グロール、古風なプロダクションなのに明らかに激打してるのが判る演奏で、それだけでガンガン聴けてしまいます。デイヴ・グロール好きなら。一応CATHEDRALファンがリー・ドリアンつながりで初期NAPALM DEATHに手を出すくらいの覚悟は必要かも。よほどのコンプリート欲がある人以外は、血眼になって探すようなものでもないでしょう。

最新に戻る 他の月の分を見る
 
トップページ サイト入り口へ
情報と音源公開 制作活動
管理人のことなども このサイトに関して
リンク 冒険
いつも独り言 掲示板(hosted by Rocket BBS)
サイト内検索(google) 不完全
since 07/04/2002    copyright (c) Sugiyama
inserted by FC2 system