物色日記−2004年4月

※頻出語句解説はこちら
  4月30日
本日の収穫、今日から中古30%OFFセール中のFILE-UNDERにて中古でEL GUAPO「FAKE FRENCH」、BOSCO&JORGE「BOSCO&JORGE」、MICROPHONES「WINDOW」、CANDY MACHINE「TUNE INTERNATIONAL」、DUMP「WOMEN IN ROCK」(5曲入りEP)、1200円とかで放出の新品セール箱からMICHAEL NACE「THE VOYAGE OUT」、MIRAH/GINGER&FRIENDS「SONGS FROM THE BLACK MOUNTAIN MUSIC PROJECT」、PERNICE BROTHERS「AUSTRALIA TOUR EP」、BEAT HAPPENING「MUSIC TO CLIMB THE APPLE TREE BY」、普通に新品でJASON ANDERSON「NEW ENGLAND」。何故か一人K祭りでした。

【只今のBGM:JASON ANDERSON「NEW ENGLAND」】


K買いを始めるきっかけになったくらい好きなWOLF COLONELの中核ジェイソン君のソロ名義作。先月に出たばっかりのホヤホヤ新譜です。ほのぼの青クサく器用でなく無駄がない、金太郎飴化しようともひたすら完璧な若気インディロックを聴かせるWOLF COLONELでの顔と違って、こちらはLOW(最近の)やSPOKANE、IDAHOにも通じる歌オリエンテッド低速フォークになっています。凄く平凡なコード進行を心に残るプチ名曲に仕立て上げる才能は全然相変わらず。低い声でコッソリ歌うと意外にもKIND OF LIKE SPITTINGの人っぽくなって、期待してたのと違うけどこれはこれで良しです。DRAG CITYのような俗世離れした枯れではなく、JAGJAGUWARほど天然記念物でなく、BARSUK的な化学調味料感もない、紛れもなくKの優しさで一杯。牧歌的そのもののアートワークが前・後・中と全部サイコーなのでそれだけでも嬉しいなあ。

  4月28−29日
▼28日は収穫なし。伝説の激スパ屋「マウンテン」で勝ちを収めるにはトマト系を選ぶしかないことをやっと学びました。私はクリームめんたいでまたも負け。あとワンコイン(500円)を頼んでる人のを見ましたが量は問題なしでした。本日29日の収穫は名駅店にてLOVE AS LAUGHTER「#1 USA」(K RECORDS、フィル・EK録音97年作)、本店にてKISS「DESTROYER」(リマスター!)、SKULL KONTROL「DEVIATE BEYOND ALL MEANS OF CAPTURE」(TOUCH&GO、ジュアン・カレーラ録音)、LYNC「REMEMBERING THE BIREBALLS (PART8)」(K)、ジャズ・シンでAL GREY「SNAP YOUR FINGERS」(地味トロンボーン奏者、ハンコック&ハッチャーソン参加の62年作デジパックリマスター)、WALT DICKERSON「TO MY QUEEN」、上のROOK RECORDS JAZZでTHELONIOUS MONK「PLAYS DUKE ELLINGTON」、コメ兵前の出張バナナにて矢野顕子「JAPANESE GIRL」。折角気合のまとめ売りで幾らか手にしたのにほとんどリサイクルしてしまったあーあ。

【只今のBGM:SKULL KONTROL「DEVIATE BEYOND ALL MEANS OF CAPTURE」】


TOUCH&GOの最近のリリースということで試聴してみたら、バカっぽい変化球ガレージパンクを今様グッド・プロダクションでやる妙なバンドだったので買ってみました。録音はDC界隈で大活躍のジュアン・カレーラ。んで今AMGで調べたところ、CIRCUS LUPUSとかをやっていた人と元DELTA72(TOUCH&GOのガレージブルーズリサイクルっぽいバンド)の人がいるとのこと。ナルホド納得です。頭弱くなったYOUNG PIONEERS(ex.BORN AGAINST)というか、音楽的特徴は違えどノリ的にはMAN OR ASTRO-MAN?とかKING KONGとかJSBXみたいなとこあります。オチてるのがわかりにくい地味な奴が好きな向きには大推薦。FRENCH TOASTやSEA TIGERまで買うようなDCフリークなら勿論買って下さい。エキセントリックなのかただダサいのかよくわからんアートワークもグッド。

  4月27日
収穫はなし。横殴りの大雨の中、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。私が今日屋外を移動した時間はいずれも降水がなく、助かったのは良かったんですが、天気予報を信用し泣く泣く自転車をやめて地下鉄使ったらこのざまでしかもユリカ(註:自動改札にそのまま通せる名古屋市営地下鉄/バスのベンリなプリペイドカード)のラスト450円分までさっぱりなくなってしまったじゃねーか天気予報の馬鹿馬鹿バーカ。実際よりちょっと悪めに言っといた方が「曇り言うとったのに大雨で濡れたやないけクリーニング代2000万よこせドアホー」みたいな人に絡まれなくて良いってことなんだろうけど(そうなのかな)、あーメディアに踊らされちゃいけませんね。頑張って天気図と直接対話できる人になって「俺、天気図に関しちゃ、一言あるよ」とか言えてみたいッス。

【只今のBGM:THE VAN PELT「SULTANS OF SENTIMENT」】


NATIVE NOD〜THE LAPSEのクリス・レオがやっていたバンドの2ndです。リリースはGERN BLANDSTEN。ATOMBOMBPOCKETKNIFEやNORTH OF AMERICAをダメ〜にしたようなちんたらしたポストコアサウンドに弱そうなスポークンワードスタイルのヴォーカルが乗っかる、DCもサンディエゴも匂ってこない一風変わったタイプです。SONIC YOUTHとかBLONDE REDHEADあたりと通じるところがなくもないから、これが東海岸サウンドってことなんでしょうか(この人達はニュージャージー)。一貫してやる気のなさそうなギターのトーンで、しかしどうにもククッと(ググッとまでいかない軽さで)来るフレーズを忍ばせてくるのが上手くて、やるなーって感じでつい聴き入ってしまいます。クリス君ちょっと天才肌だなー。録音はBURNT BY THE SUNやHAL AL SHEDADなどを手掛けてTHE LAPSEでも一緒に仕事をしているアラップ・モーミン(正しい読みかどうか判りません。Alap Mominさんです)によるもので、正直でバランスの良いグッド・インディ・サウンドになってます。こりゃーイイっす。トーコさんがいなくてもTHE LAPSE好きは即買い。

  4月26日
本日の収穫、バーゲン段ボール出現中の大須店にてKIX「HOT WIRE」、BOSCO&JORGE「ALLY IN THE SKY」(PULLMAN〜後期GASTR DEL SOLタイプのアメリカーナ美メロポストロック、SIX GUN LOVERからのリリース)、LAKE TROUT「VOLUME FOR THE REST OF IT」(54-71彷彿系のストイック生グルーヴポストコアバンド98年作)、CONVULSE「REFLECTIONS」(北欧無骨ロッキン元デスメタル、SUNLIGHT STUDIOにてスコッグスベルグ録音の94年作)。

【只今のBGM:KIX「HOT WIRE」】


バーゲン品105円にて。D.A.D.やSLAUGHTERみたいにうだつが上がらん感じだったらどうしようと思いつつの購入でしたが、全然杞憂!MOTLEY CRUEの「DR.FEELGOOD」、RATT解散前ラスト作、CINDERELLA3rdまで、L.A.GUNS1st、その他諸々の名盤群にひけを取らないどころかブッちぎりで底抜けノリノリ・サイコーなハードドライヴィン・アメリカンロックンロール!です!綺麗にも出せる高音をブルージーにガサつかせたような、トム・キーファー+ジョー・エリオットてな調子の王道ハイテンションヴォーカルに、メタル純正培養を臭わせないリアルなドライヴ感、和み泣きなバラードも織り込みつつ、プロダクションは端整かつ豪快なメジャー級と、揃うもん揃って完璧。北欧の発掘マイナーバンドとかの、田舎モンが頑張って微笑ましいね、みたいな穿ったシンパシーなど一切登場する隙のない正しいカッコ良さです。BLACKFOOTやTHE RODS、FASTWAYあたりの順当な進化形なんであってGN'R以降のルーツ回帰ブーム便乗バンドとは一線を画す本格派だと思うんですが、当時はそんなこと言っても有り難がられなかったんだろうし、結局大勢いるうちのひとつとして扱われてしまったということなんでしょう。正当な再評価を今しましょう今。絶対安く上がるし。私はコンプリート目指します。

  4月25日
収穫はなし。自分の中に基準を要する何か創造的な仕事をするときに度々発生する、「ベタだが善し」と「ベタで話にならない」のボーダー限界でアリというポイントを押さえんとする際の情けない自問自答って、大抵自分をいたわる方向に行ってしまいがちなのは私だけでしょうか。そんなことない人は偉いですね。んでもって他人の創作物に対してそういう角度の勘繰りをするのもまた楽しい。CD聴いてて「お前、そこ、ギリだけどまいっかって思っただろう!」と心の中でツッコミを入れるのが、これもまた最近の趣味です。半ば妄想なのにそれで勝手に作り手冥利を分け合った気にさえなって喜んでる私はヤバイ人認定が下っても仕方がないので罵って下さい。

【只今のBGM:GRANT GREEN「IDLE MOMENTS」】


ジョー・ヘンにボビー・ハッチャーソンという新主流派の硬派どころが参加した63年作。1曲目のタイトルトラックが昼メロ主題歌か90年ちょい過ぎのゲイリー・ムーアかというど泣きブルーズで度肝を抜かれます。更に問答無用"Django"までやってて、その2曲と交互に60年代らしいクール系ハードバップチューンが出てくる全4曲という構成。グラントさんのいい時期(なのかな?)の演奏をちゃんと聴くのは初めてなわけですが、なるほどあんまりおしとやかタイプではない。あれよあれよとハイライトが続いて脱帽!みたいなのとは対極の人間らしいプレイヤーですね。バーニー・ケッセルとも違う独特のこのブチブチ感はやっぱりファンキーな曲をやらせたら映えるんでしょうなあ。同一フレーズのダメ押しリピートも多用するしで、ロッカー諸氏には比較的聴きやすいかも。そういう思い込みのせいかあくまで抑え目にキメるボビー・ハッチャーソンとの温度差が同じ1曲の中で開きまくってるように聞こえて面白い。ともあれどれも雰囲気の掴みやすい曲ばかりだし、ジャズに不慣れな向きにもオススメ。

  4月24日
▼都合のいい目算が半分で残りが自己暗示的にわか景気のトータル・ブラックアウトてなとこでどうでしょうか?そう自覚されようとも旬には乗じておいた方が良いもんです。本日の収穫、御器所ホーリーハウスにてTREAT「THE PLEASURE PRINCIPLE」(ボーナス追加リイシュー)、TRIXTER「UNDERCOVERS」(自主レーベルから発表されたカヴァー集)、HELMET「BETTY」(青ケース入り・ライヴトラック5曲収録の限定盤!!)、向かいのディスクヘヴンでSAMLA MAMMAS MANNA「DEAR MAMMA」(吉田達也加入後のライヴ音源を収めた1000枚限定オフィシャルブート!)。

【只今のBGM:SAMLA MAMMAS MANNA「DEAR MAMMA」】


02年の来日公演の際ライヴ会場だけで販売されたものとのこと。ヘヴンには普通に置いてありましたが間違いなくレアもんでしょう。音質はあんまり。曲は99年の再結成作「KAKA」からのものが多いそうで、インプロトラックもぼちぼち入っています。サムラってもっと、ART BEARSをORTHRELMばりにズッコケまくらせたような、豪快に笑えるものだと思っていたんですが、個人的にどうもあんまりウッソーと驚くことがありません。エトロン然り、人を食ってるようで最後まで崩壊しきらないところが大陸レコメンの特性なんでしょうかね。これから聴く人は狂気を減じて北欧トラッドな哀愁を足したザッパ、あるいはタチの悪いユニゾンにまみれた「トムとジェリー」用のスコアだと思っておけば間違いないと思います。さて現在正式にメンバーとなっている吉田達也、先日ACID MOTHERS GONGで見たばっかりなわけですが、サムラの変拍子にもばっちり対応どころか完全に溶け込んでます。縦横無尽にとにかく埋める。ポストパンク以降のホネホネ・カクカク感がない、あくまでオールドロッキンなスタイルの発展でバッサバッサと頑張ってます。しかも歌まで歌って大フィーチャー。「うさぎ追いし…」の"ふるさと"や森進一の"おふくろさん"の一節などを物哀しいシンセだけをバックに朗々と歌い上げたり、"Mjolk"(牛乳)という漫談のみのトラックでは英語で「牛乳!牛乳!コーヒー!と牛乳!牛乳を感じろ!牛乳の入ったコーヒーが飲みたいです!50%がコーヒーで50%が牛乳!」などと他のメンバーと掛け合ったりと、意外に体張ってくれてます。とりあえず数量限定だしアートワークが凄く良いし何だか有り難い一品ということで。ファンなら絶対持ってるべきっぽい。

  4月23日
▼K RECORDSの人達とリッキー・リー・ジョーンズを買えるだけ買いたいと思い続けて給料日、結局ただの物色ツアーに。本日の収穫、サウンドベイ金山で大滝詠一「イーチタイム」、ALL SCARS「LUNAR MAGUS」、GRAM PARSONS「GP/GRIEVOUS ANGEL」(2in1)、ILSE LAU「TJEEMPIE. DE KAT」(ジャーマン激シブポストロック02年作)、GRANT GREEN「IDLE MOMENTS」(ジョー・ヘン、ボビー・ハッチャーソン参加の63年作RVGリマスター)、20%OFFバーゲン中のグレイテストヒッツ大須店でZZ TOP「TRES HOMBRES」(73年)、COLDPLAY「PARACHUTES」、SYSTEM OF A DOWN「STEAL THIS ALBUM!」、大須アンサーにて新品でBEAUTY PILL「YOU ARE RIGHT TO BE AFRAID」(チャド・クラーク!03年作5曲入りEP)、HEROIN「HEROIN」(GRAVITYのオーナーが在籍したサンディエゴポストコアクラシック)、EL GUAPO「THE BURDEN OF HISTORY」(97年)、バナナ名駅店でFONTANELLE「STYLE DRIFT」(fromKRANKY、JESAMMINEのメンバーによるジャジーミニマルポストロックバンド3rd)、THE UPSETTERS「SUPER APE」、RICKIE LEE JONES「THE MAGAZINE」(84年)、CHRISTIAN VANDER「TO LOVE」(激ディープなスピリチュアル風ピアノ/エレピ弾き語り88年作!)。ああー充実した。

【只今のBGM:EL GUAPO「THE BURDEN OF HISTORY」】


最近にわかに名前を聞くからといって「BLACK EYESみたいなNWリサイクルバンドなんじゃないの〜?」とハナから敬遠してる向きがいらっしゃいましたら、いや違う!と申しておきます!私が持ってる限り百発百中でペラペラ・プロダクションのロックンローリン風化ポストパンクをリリースしてくるワシントンDCきっての正直系レーベル・RESINから97年にリリースされた6曲入りEPです。この手のバンドに蔓延するアンディ・ギルの遺伝子に全然染まらない、やる気なさそうな普通のカッティングと、MINUTEMENみたいなクルクル跳び回るリズムセクション、ヴォーカルはスティーヴ・マルクマスばりに脱力した人とハードコアマナーでガナる人の珍妙なツートップ体制で、グデグデにされた挙句変な具合にからまったTHE NATION OF ULYSSESみたいなことをやってます。今注目のスパルタローカルズとかは正に同系。DISCHORDに移ってからの最近の作品は未聴ですが、とりあえずこれは掛け値なしにオススメです。ちなみにINNER EARでJ・ロビンス録音。

  4月22日
収穫はなし。夏さながらに気温も上がり、モい感じ。人より2ヶ月分くらい早く焼けようが何だろうがTシャツ自転車族としてこれから生きようと思います(推奨)。あとは中日ビル屋上夏季限定ビアガーデン「夏の離宮」が一刻も早くオープンすればよし。

【只今のBGM:中森明菜「CD'87」】


ブックオフ巡り熱中期に250円で買いました。ヒット曲"Desire〜情熱〜"を含む87年作です。すげーっすね、叙情ハードロックそのものです。初期EUROPEを間違って濃縮/洗練してしまったゼロ・コーポレーション(R.I.P.!!)のC級バンドというかミカエル・アーランドソン他そのへんみたいでもあり、アレンジさえ変えればただの演歌にもなりそうな、仰天ドロドロ・アダルトワールド。全曲マイナーキーのみ!偽スパニッシュ節が炸裂する2曲目"最後のカルメン"の壮絶なイントロなんてもはやMEDINA AZAHARAの域です。んでヴォーカルは皆様知ってのとおりのあの声、あの歌。今なら「独自の世界観をもった実力派」とか言われるんだろうけど、よくこんな険しい歌がアイドル歌謡として受け容れられたものだと不思議な感じもします。おぅぉぅおぅあぅあぅあぁ〜〜ッと二次関数的に増幅するヴィブラートの殺傷力たるやブレイキーのナイアガラロールやヤニック・トップの高速横うなりと全然同等。作曲面では日本のフォーク〜ニューミュージック時代から根付く良心みたいなのは微塵も匂ってきませんけども、この時代こういう解釈があったという楽しみ方をする素材としては十二分でしょう。

  4月21日
▼「ジャグ・バンドってなあに?−ジャグとは、水やお酒をためておく大型の瓶のこと。これを吹いてベースやチューバの替わりにしていたことから、この楽器(瓶)を使っているバンドをジャグ・バンドと呼ぶようになりました。このジャグのほかに、洗濯板を使ったパーカッション、洗濯だらいを使ったウォッシュタブ・ベース、カズー、そしてバンジョーやフィドルなどを駆使して、見ても聞いても楽しい賑やかな演奏が特徴です。(後略)」なるほどそうかと、当日券6500円でジェフ・マルダー名古屋公演at今池得三、見てきました。上記のフライヤーの文句に列挙された中ではジャグとウォッシュタブ・ベースとバンジョーしか登場しませんでしたが、ディランの時代から活動し続ける人の手によるブルーズとフォークとスイングジャズが渾然一体となったようなアメリカーナ・アコースティック・アンサンブルを普通に堪能できたってことで、楽しくてありがたいコンサートでございました。3人ともキャラ立ち過ぎで笑えました。本日の収穫は物販でGEOFF MULDAUR「SHIVER ME TIMBERS!」(ライヴ会場限定販売、69〜74年音源のベスト+未発表音源追加の2枚組)。ライヴ行くのこそ最近の趣味ですな。

【只今のBGM:TAJ MAHAL「TAJ MAHAL」】


各種黒人エスニックミュージックを取り込んでいったとしてブルーズ界では異端とされてるらしい人の67年1st。私、ブルーズに関しては肉眼で確認さえできない細胞分化前の卵みたいなモンなので、とりあえずはヤクザな奴から入ってみようと。ジェシ・エド・デイヴィス&ライ・クーダー(名前だけ知ったかぶりでーっす)が全面参加だったりするし、取っ掛かりには悪くない選択だったりしたんでしょうか。あー知らない。やれカリプソやれレゲエと期待した割に、この頃はまだヘンなクロスオーヴァーが炸裂してない時期だそうで、普通に楽しいブルーズとして聴いてます。確かに「俺、リアル・ブルーズだが何か!!」ていう気迫みたいなもんよりロッキンな尻軽さが既に目立ってる気もします。無理な例えですがMONEY MARK的な。にしても、歪みとスタジオコンプに頼らない時代を闘ってきた音楽なだけにか、現行のロックにより近いフォーマットを取りながらもいちいち強力で嘘のないグルーヴに貫かれてるのが、入門者身分には新鮮に感じられます。今よくある「グルーヴィーっぽい」なる嫌な誤読感なんてどこにもなし。ロック野郎が聴いても抵抗の少ないむさ苦しめの歌い上げ方もイイなあ。終始豪快で全然しわーっとしてません。あーもっと微妙な時期のやつを聴いてみたい。

  4月20日
本日の収穫、大須店でJOHAN SKUGGE「OBJECTS AND BUILDINGS」(SOURCE)、THREE MILE PILOT「ANOTHER DESERT, ANOTHER SEA」(PINBACK他とも絡むサンディエゴ名バンド、スティーヴ・フィスク&マーク・トロンビーノproの97年作)。そろそろ上や中に何か重ねないでもTシャツが1枚で着れる暖かさになってきて、喜ばしいですね。Tシャツ収集もそういえば趣味です。玄人ぶるために今夏のユニクロシリーズには手を出さないことに決めました。というかよっぽど買うつもりで先日行ってみたのだけど、あんまりウキウキせんかった。ライヴ会場の物販に勝るものなしですわ。

【只今のBGM:JOHAN SKUGGE「OBJECTS AND BUILDINGS」】


時々買いますクリックミニマル。ちゃんと勉強したこともないし心から愛してるとか人生を共にしたいとか、そういう感じじゃなくてただミーハーに好きというだけですけども。しかし少ない所持枚数なりに、SOURCEとは何だか気が合うなあ。ツルンとした上ものといい、垢抜けたキックといい、音色が好みなんでしょうか。どんなノイズが素材でも、それが組まれたビートの中でちゃんと必要充分な意味性とテリトリーを確保できてる感じがして、ただの物音ループにならないボーダーぎりぎりの薄さにも関わらず人の手による真摯な表現としてすんなり入ってきます。妥協なき四つ打ちの堅持も頑固一徹でカッコイイっす。共感を強いずあくまで喚起するだけというクールさが快い。同意する余地をこっちに探させてくれる音楽ってのはいいですね。深夜28時とかに自転車でヤケクソの長距離走行をしてるときに風景とスピード感がリンクしてだんだん沸いてくるヘンな浮かれ気分みたいな、そういうモヤッと霞んだ楽しさです。多分似たアーティストもいっぱい居るんだろうけど、これはこれで良質な1枚ということで。

  4月19日
収穫はなし。皆様はネコ派ですか、イヌ派ですか?私は時々おもむろにこの質問を人にしてみるのですが、誰に尋ねても大抵、各々なりにイヌないしネコに関して語るべきものを持っておられて、なかなか興味深いです。「両方好きで差はない」「いずれも興味なし」といった回答が返ってくることは滅多にありません本当に。ちなみに私は完全イヌ派です。でもルー先生は真性のネコ・クレイジーだし、エトセトラ、近頃はネコ派の気持ちも判りたいニャン。ネコの良さを堪能させてくれる手頃なネコが通勤路の途中に毎日じょろーんと寝ててくれたりしたらいいんですがね。最近の趣味は感化されることです。

【只今のBGM:FATE「FATE」】


元MERCIFUL FATEのハンク・シャーマンが結成したバンドの86年1st。キングのおどろおどろしさはどこへやらの清涼系北欧ハードポップになってます。こりゃ秀逸!ドン臭いまでに泣きまくるSHYより若干サッパリして、DOKKEN的なアリーナバンドのスケール感もありつつ、アメリカナイズなる呪いには毒されないで終始メロディックなスタイルを維持します。「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」の頃のTNTをちょっと大人にした感じでしょうか。やっぱり良質メロ・ハーのストレートな名盤は、当時バカ売れまで行かなかった層にこそ眠ってるもんですね。DANGER DANGERほかアメリカ勢が絶対やるような無駄にブルージーな捨て曲が一切ないし、未だに有り難がられるVANDENBARGとかよりよっぽど現金な即効性は高い気もします。(奥ゆかしさなどは望むべくもないですが…。)たまにケモノ系の奇声を織り交ぜるこのシンガー氏はちょっと面白いなあ。田舎モンがデビ・カバを誤解したような。ともあれ、STRYPERに続いてちゃんといいもの聴いたって感じです。WHITE LIONとか血眼になって探したのにこんなんかー、みたいに途方に暮れてた諸兄、これで元気出して下さい。80年前後のペタペタしたSCORPIONSにとりあえずリヴァーブを乗っけたような貧乏プロダクションだけは如何ともし難く残念。一方STEELERの時代から変わらぬセンスの4分割ジャケは渋くてイイっす。

  4月18日
収穫はなし。ヒゲが伸びるのが速くなった気がしてムカツクっていう程度の休日です。

【只今のBGM:MAL WALDRON「MAL/3 SOUNDS」】


ず〜っと前に買って、既に通して聴いた気さえしつつそのへんに積んであったのを今日ちょっと手に取って聴いてみたら、やっぱり初めてでビックリしました。いやー何かお得ですねこういうの。てことでPRESTIGEからの58年作です。1作目に比べると随分アンオーソドックス度が増してて、ドルフィー絡みで手を出した甲斐がある感じになってます。フルートにチェロまで入ってるし。ドラムはエルヴィン・ジョーンズだったりします。この全5曲中4曲はマルちゃん作だそうで、偉いっすね。アホっぽいテンポチェンジを繰り出しまくる1曲目とかもう楽しいばっかり。奥さんのエレインさんが4・5曲目にヴォーカルで参加とのクレジットがあり、ダンナに負けじと妖しい歌声を添えております。妖しいなあ。ドルフィーの「OUT THERE」みたいにちょいアヴァンでチェンバーな奴をお探しならどうぞ。

  4月17日
本日の収穫、ブラザー栄ビルでやっていた中古CDセール(イヴェント名忘れました)でHEY MERCEDES「EVERYNIGHT FIRE WORKS」、AMERICAN MUSIC CLUB「HELLO AMSTERDAM」、ANDREW HILL「JUDGEMENT」(ボビー・ハッチャーソン、リチャード・デイヴィス、エルヴィン・ジョーンズ参加の64年作)。大阪キングコングが今回はアナログのみの出品で残念です。突然ですけどカズーって結構音色に個体差あります。LONESOME ORGANIST=ジェレミー・ジェイコブセンにサインをもらったため引退した初代はガーッとカモ系の鳥みたいな音、2代目は振動する肝心なフィルムに変な跡がついてるせいかやたら歪み気味(?)の大きな音がして、2代目がそんな風だったため今日更に新しく買ってきた3代目は、軽くミュートトランペットっぽいプフーッという音がします。んで本題は使えない2代目の処遇。穴あけてキーホルダーにしちゃいました。

↑装着例

↑ポールピースがこう活躍
ドライバーで20分くらいグリグリやってやっと1mm強ほどの穴を貫通させ、使い終わったギターの弦でキーホルダー用のリングにくくりつけただけという代物です。使えないとはいえ一応音は鳴るし、胴体に穴開けても全然演奏には影響なしでした。正直、カバンにくっつけとくにはデカ過ぎですが、カズーが好きで付けてるので許して下さい。これがあればカラオケでうっかりギターソロの長い曲を選んでしまったりしても一緒にスキャット出来るから大丈夫。これからはカズーですよ。

【只今のBGM:RICKIE LEE JONES「TRAFFIC FROM PARADISE」】


矢野顕子の影をどうも感じる気がする二階堂和美さんが、影響を受けたシンガーとしてビョークと笠置シヅ子とこの人を挙げていて、この人は大昔LITTLE FEATの人に「君は矢野顕子みたいに歌うといい」と言われたとかで、似てる気がするのは思い過ごしじゃないじゃんと安心したという、とにかくそんな感じのつながりで手にした1枚です。93年作。アマゾンで試聴した別のアルバムは正にその系譜ど真ん中のぺぇーっ、にぁーっ、ていう歌い回しを炸裂させてたのが、ここではルーツ帰りしたのか、ちょっとどころじゃなくジョニ・ミッチェルっぽい抑揚のつけ方(影響受けてるかどうか知りませんが聴いたことないはずはないでしょう)が目立ちます。アレンジ的にも歌&ギターで充分語られている世界の上にゲスト陣の職人仕事が乗るというスタイルだし。作風自体はおそらく彼女のキャリアの中で特別ビックリされるようなものではないと思われます。メインストリームの人の80年代後半〜90年代前半の作品って、往々にして手を出すのに気が引けてしまうものですが、この人はグランジもアンプラグドも関係なくただやるようにやってる感じがして清々しい。これが96年くらいだったらウケが良かったろうに、80年代の華々しさの直後にあっては地味と言われまくったことでしょう。今となってはオルタナカントリー〜USルーティSSWを先取りしてるようでもあります。他のアルバムも聴いてみたい。

  4月16日
収穫はなし。本当にどれだけ待ったか、想像してもらえますか。誰か判らない後ろ姿だけが最初に目に入って、こちらを振り返りかけた一瞬に私は全部を了解したんです。ほそい首と長くて華奢な手足、平べったいけど愛くるしい目鼻立ちの君は金星人ー!!

「イエ〜イ、ゴール伝吉です。」
てことで出ました金星人、これにて本秀康キャラクター300円ガチャガチャシリーズ「宇宙の友達」全7種コンプリートォォッ!!!短くも熾烈な戦いでした。今後はカブッたらどうしようとか気負わずたまにポツンと買ってみようと思います。どんどん増やしてスピッツ星人に囲まれてうなされる夢とか見たい。

【只今のBGM:PROBOT「PROBOT」】


FOO FIGHTERSお好きですか?私はメジャーバンドの中ではかなり信用してますし好きです。デイヴ・グロールはやってくれる男ですいつでも。このプロジェクトアルバム、数年前(それこそ私が「BURRN!」を毎月買ってる頃)から構想があったものですが、遂に今年の2月にリリースされていました。デイヴのほぼ完全自作自演バックバンドの上に、クロノス(VENOM)、マックス・カヴァレラ(SEPULTURA〜SOULFLY)、レミー(MOTORHEAD)、マイク・ディーン(C.O.C.)、カート・ブレヒト(D.R.I.)、リー・ドリアン(CATHEDRAL)、ワイノ(THE OBSESSED他)、トム・G・ウォリアー(CELTIC FROST〜APOLLYON SUN)、スネイク(VOIVOD)、エリック・ワグナー(TROUBLE)、キング・ダイアモンド(MERCIFUL FATE〜KING DIAMOND)がヴォーカルを入れ、ついでにキム・セイル(ex.SOUNDGARDEN)、マット・スウィーニー(ボニー・プリンス・ビリー来日公演に同行したex.GBV〜CAT POWER〜ZWAN他のギタリスト)なども参加しているという、ショック死しそうな激豪華アルバムです。んで内容は妥協なきヘヴィメタル!!勿論今のアメリカを戦えるようなヘヴィでロッキンなものですが、いわゆるストーナー臭(BLACK SABBATHになりたそうな感じ)も強くなく、むしろ各シンガーがそれぞれのキャリアの果てに今こんなのをやったら最高にカッコイイのになーというところをデイヴ・グロール・プロデュースでやってしまったみたいな、さしずめロイ・Zの乗り物と化すHALFORDがもっとタチ良くなったようなものです。ディープなドゥーム系バンドを多数抱えるSOUTHERN LORDからのリリースってのもカッコイイ。それにしてもデイヴ・グロール、ドラム最高だしリフは全部冴えてるし、センスのカタマリですね実際。メンツ負けの真逆をいく充実した楽曲群さすがです。感動的だったのはCELTIC FROSTのトムが歌う曲をWARHAMMERやUSURPERみたいな「MORBID TALES」期ソックリ系にせず、敢えてAPOLLYON SUNに近いスタイルにしてくれたこと。トムを過去の遺物扱いしないという尊敬の念が感じられて素晴らしい!!わかってる男はやることが違います。キング・ダイアモンドをこんな風に歌わせられる曲を作れてしまったのも奇跡でしょう。QUEENS OF THE STONE AGEとか好きだけどマジメタルはキツイっすー、みたいな人もこれを登竜門に頑張って下さい、なんて言われるべき傑作です。マジメタラーなら言うに及ばず買い。

  4月15日
本日の収穫、二言なく上前津にてHEAVENLY「THE DECLINE AND FALL OF HEAVENLY」、KARP「MUSTACHES WILD」、MECCA NORMAL「THE FIRST LP」のK3枚、ついでに今池でRICKIE LEE JONES「TRAFFIC FROM PARADISE」(93年)、SPARKLEHORSE「GOOD MORNING SPIDER」、ROTTENNESS「INHUMAN WAYS OD DEPRAVITY」(メキシコ産激重ブルータルグラインディングデス!)、LAST DAYS OF HUMANITY「THE SOUND OF RANCID, JUICES SLOSHING AROUND YOUR COFFIN」(オランダ産下水道ゴアグラインド名バンド!)。

【只今のBGM:HEAVENLY「THE DECLINE AND FALL OF HEAVENLY」】


オリンピアのKリリース、タルタルなフィメールVo.インディポップ5人組の94年作です。最高。初期ARCHERS OF LOAFを握力12kgくらいまで弱っちくしたような、だらしないギターをあらゆる彩りに代えるDIYスタイル。そもそもこういうUSインディの人達は気の抜けきったパンクからスタートしているというところが如実にわかります。www.kpunk.comていうKのサイトURLはズルイなあ本当。かわいくなりたいのとか思ってんじゃねーよ的な穿った聴き方をしてしまうと多分大嫌いになると思うので、とにかくパンクな愛を受容する方向で、自分自身も猫かスヌーピーか何か可愛らしいものになってしまったつもりの目線でもって、気楽に聴いてみると、全部名曲でビックリしますよ。

  4月14日
本日の収穫アマゾンのマーケットプレイスに出品されていたJAWBOX「FOR YOUR OWN SPECIAL SWEETHEART」(3rd!)。あと本秀康の漫画つき画集「ハロー・グッバイ」を名駅高島屋内三省堂にてゲットしました!名作!

【只今のBGM:JAWBOX「FOR YOUR OWN SPECIAL SWEETHEART」】


ということで軽く入手困難っぽい3rd。DISCHORDからメジャーのATLANTICへ移籍とは思い切ったことをしたものです。「NEVERMIND」のときのNIRVANAみたいに地元シーンからブーブー言われなかったんでしょうか。音楽的に悪くなったということは全然なく、それまでの湯気が立つような不器用男の熱さみたいなのが多少小慣れて、メジャー感を身につけつつも無用に甘ったれはしないという納得の内容です。曲のヴァラエティも各段に増え、ラストになる次作で突如堅著になった哀愁男泣きはまだ薄めながら、ここでBURNING AIRLINESの原型がハッキリと出来上がったと見てよいでしょう。楽曲スタイルとプロダクション(低音薄過ぎるのが残念ですが)はそういう感じで、J・ロビンスの歌だけガナり気味の初期テイストがまだまだ残ってるので、取り乱して気張ってるJ先生に燃えまくるという人にはたまらんはずです。BURNING AIRLINESの2ndより断然好きッス。しかしこのやたらイケてないジャケは何だろう。

  4月13日
▼髪を切るのが億劫にならないようにと、上前津サウンドベイすぐ隣の美容室(男性カットめちゃ安です)を行きつけにしとるのですが、逆に散髪に行くとそれだけで済まない罠もあって本日の収穫スピッツ「99EP」「水色の街」(全曲「色色衣」収録ですが)、V.A.「INTERNATIONAL HIP SWING」(初期K RECORDSコンピ)、TAJ MAHAL「TAJ MAHAL」(リマスター)、CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH「CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH」「AT BASIN STREET」(デジパックリマスター、後者はソニー・ロリンズ参加)、DONNA SUMMER「BAD GIRLS」("Hot Stuff"収録!)。

▼誰からも回答のない昨日の答えです。上からYO LA TENGO「SUMMER SUN」、ABBAのリマスター(アルバムは「ARRIVAL」ですがその部分は写らず)、スピッツ「ハヤブサ」、WHEAT「HOPE AND ADAMS」。その下のBEACHWOOD SPARKSのEPは絶対判別不可能なのでノーカウントということで。私が徒労でしたな。

【只今のBGM:DONNA SUMMER「BAD GIRLS」】


ハセ・キョーが仕事人っぽくグイグイ歩くコカコーラのCMはちょっと卑怯だったと思いませんか?そんなこんなでドナ・サマーです。この人一応ソウルの棚の住人なわけですが、このアルバムはもう猛烈な四つ打ち・裏ハット賛歌と化してます。「どっチーどっチー」が全ての基本であってヴァリエイションはせいぜい「どっチッどっチッ」や「どツチーどツチー」くらいしか許されない世界。発達途上のシンセに翻弄されながら未知の新世代ダンスポップにトライする姿が、「ヨーロッパ超特急」以降のKRAFTWERKみたいだったりもして楽しいです。んでDEVOには後からおちょくられていると。個人的にVIBEを経て現在のMTV JAPANになる前のMTVでやっていた「CLASSIC MTV」という番組を思い出す感じです。そんでアルバム後半の9〜12曲目らへんだけが打って変わってバラードサイド。この展開何?ここでやっとドナさんがそれなりに唄の上手い人だということが判りますが、いやしかしこれ蛇足でしょう。その部分はなかったことにするとして、四つ打ちポップスを25mプールいっぱいに満たしてその中にダイブしたいという四つ打ちラヴァーな方にとっては、超高純度な特効薬になる1枚のはず。あるいはショートディレイ寸前の絶対ウソな80'sリヴァーブも腹十二分目に堪能できます。

  4月12日
収穫はなし。自転車をぽーっと漕いでて、気付かず蚊柱らしきものを顔面突破してしまって、ウジャッとした不快感のあと「また暑くなるのかー」としんみり思ったりする今日この頃、依然出ない金星人(昨日分の日記参照)のために自室の「宇宙の友達」ランドは著しい人口増加が問題になっております。

↑ひととおりの皆さん

↑青い三連星〜
ちなみにこうして何かの物を自室で撮るとき、後ろに写りこむCDなどは実は事前に「コレじゃネタにならないよな〜」とかいって、ありのままの状態から若干差し替えを行っています(!)。さあ今回水星人の背後に積んであるのは何でしょうねー。回答して頂いた方全員に徒労を差し上げます。

【只今のBGM:JUNE OF 44「ENGINE TAKES TO THE WATER」】


95年リリースの1st。解散ホヤホヤのRODANからジェフ・ミュラー(現SHIPPING NEWS)、同じくCODEIN終了直後のダグ・シャーリン(REX〜HIM)、デビュー間もないHOOVERからフレッド・アースキン(THE CROWNHATE RUIN〜JUST A FIRE他!)、のちにSONORA PINEやTHE LETTER EをやったりLUNGFISHに加入したりするショーン・メドウズという悶絶級暗黒オールスターカルテットです。こんな組み合わせがあっていいのかと。音楽的にも、SLINTの強い影響下にあってよりアグレッシヴなアプローチを見せたRODANとやさぐれ裏DC魂燃えるHOOVERの中間という感じで、言うまでもなく最高、完璧です。ヤバイ。加えてダグ・シャーリンの野心的激テク使いもバッチリ全開で、NOMEANSNOばりのハッスルを見せる場面さえあり。ROADSIDE MONUMENT、SWEEP THE LEG JOHNNYなんかの人は当然若い頃に聴いて感化されたことでしょう。94年末の録音ですがプロダクションはすこぶる良く、エンジニアは現在ブルックリンでDFAの片割れとしてならしているジェイムズ・マーフィー(元OBITUARYの人とは同名異人)が務めています。さすが。ここまでくれば明らかに「試験に出る!」て感じの重要盤でしょう。買いっす。

  4月11日
本日の収穫、ロフト7階ヤマギワソフトにてはっぴいえんど「風街ろまん」。02年リマスター(URC復刻シリーズ)のオビつき美品が840円で拾えてしまうような穴場です。漁り甲斐あります。一方ここ数週間必死の捜索を続けていた本秀康ガチャガチャ「宇宙の友達」があっさりヴィレッヂ・ヴァンガード栄店に補充されていて、ロフト5Fでも発見して(そのフロアは何だか整然としたヴィレッヂのように生まれ変わっていて何だかなあという感じでした)、めでたく数個買えました。シークレットのレコガシラ君も出て残すは金星人のみ。

【只今のBGM:CHET BAKER「BAKER'S HOLIDAY」】


表題の意はベイカーのビリー・ホリデイです。彼女は59年に亡くなっててこれは65年作。この人が熱心なビリー・ホリデイ信奉者だったのかどうか知らないんですが、トリビュートのつもりで作られたことは、中のライナーを見てみても間違いないようです。参加メンツはハンク・ジョーンズ、コニー・ケイ、リチャード・デイヴィス、エヴェレット・バークスデイル(聞かない名前ですが古いギター弾きの人らしい)と大勢の管楽隊。チェットは勿論ヴォーカルと、トランペットではなくフリューゲルホーンを吹いています。「BABY BREEZE」然り、この時期は彼のトランペット壊れてたんでしょうか。さて私、原曲を大して知らない上ただのチェット・ファンとしてこれを買ってるので、あーこのやさ男、今回もイカすじゃないの〜、というバカな悦びがあるばっかりでございます。変にマネに走ったりせずただ好きな曲をやるようにやって楽しんだというのなら、トリビュートとしてはむしろ立派な部類でしょう。あの世のホリデイがプッと一笑したかどうかは判りませんが。古臭い多管アレンジに乗っかっての、いつも通りの半解けジェラートみたいな艶唱とポファポファ度3割増しのフリューゲルホーン、酔えます。夢見る女性諸氏は「嘘くさい色男に思考停止で騙されてみる快感」のシミュレートをするなら是非この人でどうぞ。

  4月10日
収穫はなし。意外なトリ料理が色々食えるオススメ居酒屋「とりとり亭」というのが本山にありまして、その分家っぽい大須店に今日初めて行ってきました。メニューの感じは若干違ってましたが、本山店と同じ料理もちゃんとガンガン出て、しかも飲み物の種類がより豊富で座席数も各段に多い。古民家再生系の、和ベースでナウ・ヤング受けが良さそうな内装もなかなかヨロシく、あの狭々しき居酒屋ヴァイブこそとりとり亭だろうとかそういうことを思わないなら全く無問題のいい所です。トリのレバーの刺身とか、変わったもの色々食えますよ。一度是非どうぞ。

【只今のBGM:スピッツ「フェイクファー」】


上り調子のバンドの加速度が下げ止まった物足りなさが釈然とせんな、というのが買ったその日に一聴しての印象でしたが、その時以来久々に聴いてみてます。個人的に好かない感じのいかにも・邦楽・16ビート・ロックな曲が冒頭の方にあるからそれでイメージ悪くしてるんだろうと今回判明したものの、アルバムのアタマ2〜3曲って「こういうアルバムだぞ」というステイトメントと受け取られるものだからまあ無理に今のイメージを覆そうと思わなくてもいいんでしょう。やっぱり良心インディ感とメロディの充実と「僕等ロック・バンドです」というスタンスの折衷がUSスタンダードに接近したのは俄然「花鳥風月」〜「ハヤブサ」からって気がしますなあ。余りに判りやすくロッキンな"スーパーノヴァ"とかはバランサーにしか思えないし、その他プロデューサーの采配と思しきコマゴマとした部分はどうも、トラディショナル・ギターポップと90年代的レトロモダンの二本立て一辺倒だし。可愛い和みポップバンドってことにされてるっぽいけどそうでもありません、新しさは失わずにいたいです、というアーティスト性の実現を国内メジャーでやる当時の限界がこのラインだったんであろうと想像します。「空の飛び方」と「ハチミツ」を熟のピークと見る人ならば、そのユルい更年期として疑いなく肯定的に聴けるんでしょうか。ともあれ素材自体はほぼいつものクオリティだし、どうやっても名曲にしかなり得ない"楓"とかは本当に名曲だなあと思いますよ。

  4月9日
▼午前早々に届いたアマゾンの荷物が本日の収穫MASTODON「REMISSION」(THIN LIZZYの"Emerald"のカヴァーとボーナスDVDつき限定盤!)、PROBOT「PROBOT」(クロノス/VENOM、トム・G・ウォリアー/CELTIC FROST、キング・ダイアモンド、スネイク/VOIVOD他、激豪華ゲストを曲数分起用したデイヴ・グロールのアングラメタル単発ユニット!!ストーナー〜ドゥーム系のSOUTHERN LORDリリース!)、二階堂和美「たねI」、二階堂和美+モユニジュモ「LIVE 08/feb/2003」、WHEAT「PER SECOND, PER SECOND, PER SECOND...EVERY SECOND」(COLUMBIAリリースの2003年最新作)、CHET BAKER「BAKER'S HOLIDAY」(ビリー・ホリデイ・トリビュートな完全ヴォーカルアルバム)、DEERHOOF「MILKMAN」(最新作!)、GEORGE HARRISON「ALL THINGS MUST PASS」(レコスケファン必携作!ボーナス音源大量収録の2枚組豪華リマスター)。円高とは関係なく凄く欲しいのばかり注文した回だったので朝から幸せだったなあ。

▼夜は今池得三にてACID MOTHERS GONG観てきました。デイヴィッド&ジリは宇宙人のペー・パー子でした!もうお爺ちゃんとお婆ちゃんだけど元気そのもの、超ノリノリ。あと吉田達也かぁーっこいーっす、マジで!!総勢7人がかりの混沌をその中心からバッサバッサと仕切りまくる腕っぷしにゃ、惚れるしかないですよ。猛打のスキを見て眼鏡直してるし、もう何かアイドル的に尊敬しちゃうわ。まず局所だけ褒めてますが全体も勿論最高で、CDだけ聴いてもピンと来てなかったGONGの本分たるグニャグニャ・トランスが、こういう風にイイものだったのかと身をもって知ることができて本当に良かったという感じです。唐突にして今更ですが、身のあるライヴを見ると音楽が楽しくなると思いませんか?私は最近強く思います。譜面的に、チェックリストを通すように把握・整理する楽しみもそれはそれですが、そうでなくあくまで時間によってオーガナイズされる現場の出来事であるとの視点、これは部屋から出ないと実感されないものですよね。まして演奏者たろうとする人ならそういう実感なしで戦える筈もなく。楽しいCD探して買ってその中の気に入った人が来日したら見物しに行く、私の日頃の生活がどんなものか尋ねられて説明して「つまり情報収集?」と言われたことがありましたが正にそうなんですよバイト先の山内さん(27歳・♂)。腰を上げてるから始まってるなんつー価値観は昭和的!私はバイトしてCD買ってライヴ見るぞもうしばらく。てことで6月は吉田達也がやってる是巨人がまた得三だそうで当然行きます。HELLAとEUPHONEも楽しみ。

【只今のBGM:GONG「ANGEL'S EGG」】


なるほど確かに今日見てきたのと変わらん。エレピや管楽器が入ってる差くらいで、インプロか予定調和か判らんタイミングのリズムチェンジ、デイヴィッド・アレンの宇宙語、淫靡なスペース・ウィスパー、デフォルトで鳴り続ける電子音、これら全てGONGの星の基本要素なわけですな。どんな面白いプログレ・バンドなんだろう?なんて思って高みから接しては絶対駄目だと今日思いました。あなたはヘンなサイケ宇宙に旅に出ます。と言われてると思って、時間も未聴CDの山も一切気にせずのほーんと聴いたら、微笑みっぱなしで楽しめるはずです。心をフラットに、漫画を読むように。CD及び音源一般って難しいですねそこが。その点90年代以降のヘンな音楽はより記号が明確に、即時的なカタルシスがあるように出来てるんでしょうか。慢性的に没頭するゆとりも忘れてしまっては勿体ない。

  4月8日
本日の収穫、四ツ谷店にてCALIBAN「A SMALL BOY AND A GREY HEAVEN」。何となく買っちゃうけど、メタリックニュースクールってどうしてハードコアということになってるのか常に疑問な音楽です。今日購入したCALIBANもアルバム1枚の間で何度"Raining Blood"を思い出させりゃ気が済むのって感じだったし、つまるところメタルが往々にして背負ってるサタニズムやその他ファンタジーや或いは社会的歪みの告発だの、そういうイデオロギーを捨てて激情の発露のみを本分としてますよ、と言い張ってLIFEFORCEやFERRETからリリースするのがニュースクール側に立つ線引きなんじゃないかとさえ思います。こういう中途半端なことを書くとそっち側の人がブチ切れそうで恐いですけど、いやー私はメタル側の住人なんで済みません。AFTERSHOCKやHEAVEN SHALL BURNの前に初期SENTENCED百ぺん聴けとか言いません、命だけは助けて下さい。ミス・ドに最近新登場した「チョコバナナマフィン」はチョコとバナナの風味がするばっかりでマフィンな良さが希薄のあんまりな奴でした個人的に。

【只今のBGM:MAGMA「THEUSZ HAMTAAHK TRILOGIE」】


2000年のツアーで披露された「THUESZ HAMTAAHK三部作」完演を丸々収録した垂涎ものの3枚組。私は何せこの翌年の日本公演を目撃してますので、出来ればクラブ規模の広さの部屋で大音響で聴きたい。目配せでコンタクトを取り合うこともせずこの複雑怪奇な大作を完璧に、しかも楽しそうに再現する様は、本当にこの世のものではないものを見る心地でした。CDの音源だけからその状況を想像するのは難しいですが、この3枚組は少なくとも、そこにどのような音場が作り出されていたかを正直に捉えた優秀な録音ではあります。会場のアンビエンスも適度に拾った良好なバランスのプロダクションは文句なし。加えて装丁は豪華ボックスに収められたデジパック+写真中心のブックレット+全歌詞(!!)という充実ぶりで、この全歌詞がもう本当に嬉しい。例えば名曲"Wurdah Itah"のあのタマラン歌い出しは「Mamama ritstoh udi nehnsi nehnsai / Hel Hel Hel」と言ってるらしいです。これでMAGMAのコピーできますよ皆さん。「MAGMAってマグマ語のあれでしょ、何コバイア語?ふーん」くらいの認識でひとまず押さえた気になってる人、それは愛知を名古屋城天守閣だけで語るようなものです。ファンでさえキワモノってことは判ってますが、ひとつのグッド・ミュージックとして是非接してみて頂きたい。

  4月7日
収穫はなし。引き続き風邪日記ですいません。ちょっとぽーっとするくらいしか自覚症状がない気でいたんですが、いつもは8段階変速の7段目に入れていた自転車のギアが今は6段目じゃないとツラくなってることにも気付きました。体力を自転車によってコロッと数値化されるような安い人間で本当に御免なさい。

【只今のBGM:GORGOROTH「PENTAGRAM」】


プリ・ブラの中堅GORGOROTHの1st。好きッスGORGOROTH。ガソリンスタンドの洗車マシンの如く飛沫と振り撒くサタニックな憎悪の質がもー飛び抜けてピュアなんです。DARKTHRONEほどアングラを音質で主張せずまとまった演奏と迫力あるプロダクションでやってくれるから、私のようなプリ・ブラ素人には親切この上なしですね。にしてもこの声は凄い。「魔法使いサリー」のよしこちゃんか「ちびまるこちゃん」のブー太郎が全力で首を締められて今にも眼球が出そうになってるかのような壮絶なドブ声絶叫。不器用さを残しクラシカルになり過ぎないギターリフも愛せる感じです。退廃的壮麗絢爛の頂きを目指すANOREXIA NERVOSAとかDIMMU BORGIRとかとはもはや別の音楽と捉えた方が良いですね。ORCHID他EBULLITION系極悪激情ニュースクールの方が明らかに近い。むしろ影響も与えてんじゃないでしょうか。MAYHEMの「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」は冗長だし唸ってるしよくわかんなかったー、初期BURZUMはグデグデ過ぎ退屈ー、EMPEROR1stはリヴァーブがもくもくしまくりでウザー、DARKTHRONE三部作とかいってただヘタなんじゃないのー音悪過ぎー、とノルウェーブラックに完全に愛想を尽かしそうになっていた人、GORGOROTHならイケるかも知れませんよ。激シブな王道ジャケも好ましい。

  4月6日
▼風邪引いても微熱だと酩酊感を楽しめてお得だからイイなあ。明らかに体ダルいけど。収穫はなし

【只今のBGM:TIED + TICKLED TRIO「EA1 EA2」】


この人達、1stがバカ・サーフ・マスロックの隠れ名バンドKENNY PROCESS TEAMと同じBINGOから出てたとは知りませんでした。こっちはDRAG CITYに昇進しての2nd。60年代中期のハービー・ハンコックやボビー・ハッチャーソンあたりの新主流派を現世に下ろすエレクトロニカ・イタコ・バンドすね。FONTANELLEほどミニマルにならず、HIMやDYLAN GROUPみたいにイカサマじゃなくて、ISOTOPE217より肉体感が強い。ダンディさや豪快さは排除してひたすらリリシズム一辺倒で頑張ってます。ポストロックの範疇で語られてはいますが、今池P-CAN FUDGEでジャズコーナーに混じっていたのも納得の本格派。何がいいかって電化マイルス信仰やブラジリアン〜スピリチュアル信仰が殆ど臭ってこないのがいい。スカさずまっとうにジャズとテクノロジーと現代を知性と憧れで戦っている、良く出来たバンドだと思います。「SPEAK LIKE A CHILD」みたいな統率の取れたシブめモードが好きな人には強く推薦。

  4月5日
▼古館伊知郎が開口一番謝ってしまったりする今日この頃、久々のパルコ店にて本日の収穫ALL TIME QUARTERBACK「ALL TIME QUARTERBACK」(DEATH CAB FOR CUTIEのベン君のローファイアコースティックユニット)、オフコース「THE BEST YEAR OF MY LIFE」(84年)、McCOY TYNER「THE REAL McCOY」(67年)、CHARLIE CHRISTIAN/DIZZY GILLESPIE「AFTER HOURS」(3つのセッションを集めた41年作)、YUJI ONIKI「TVI」、TARWATER「REMIX EP」、ARTHUR H「POUR MADAME X」。

【只今のBGM:オフコース「THE BEST YEAR OF MY LIFE」】


もっとフォークっぽい人達だと思い込んでたのに、意外!超優秀な本格派産業ロックじゃないですか!ポスポスの軽いプロダクション(ディストーションギターはほぼ皆無、ドラムはシンセドラム)にされてしまっている点だけ違和感がありますが、あとは海外で売れまくった諸々の名バンド達と比べても何ら遜色のない立派な出来です。なーんだ全然サイコーですよ。小田和正歌上手いし。軽やかで実直で力強く饒舌過ぎないこの歌唱、ルー・グラム(FOREIGNER)やブラッド・デルプ(BOSTON)と余裕でタメ張る逸材ですね。何曲かで歌っている松尾一彦は一方ゲイリー・バーデン系で、小田和正と比べてしまうとシンガーとして非凡の才の人とは言い難い感じもしますが、洋ロックの影響むんむんのヘタウマな気張りっぷりが結構アツくてちゃんと美味しいポジションを押さえてます。いやーしかし、このアルバムは84年作ってことでこういう作風になったんだと思いますが、時流に従ってここまでやるということは初期の作品の充実っぷりも想像に易い。地道に買い集めていこうと思います。"君が、嘘を、ついた"名曲っす。

  4月4日
本日の収穫、栄店でKRISTRUIT SALU / MORRIS NIGHTINGALE「MY MINES I」(MERCK)、JOHN COLTRANE / DON CHERRY「THE AVANT-GARDE」(紙ケース入りリマスター)、大須アンサーにてDEERHOOF「HALFBIRD」、STRUGGLE「ONE SETTLER, ONE BULLET: AN ANTHOLOGY」(THE SWING KIDS〜THE LOCUSTのジャスティンのバンド、EBULLITIONからのアンソロジー)、HELLA「BITCHES AIN'T SHIT BUT GOOD PEOPLE」(MINUS THE BEARを出していたSUICIDE SQUEEZEリリース、03年の4曲入りEP)。東海地方在住の皆様、月曜夜21時54分からやっていた伝説の激短世評コント「ウガッタ」をご存知ですか?それをやっていた二人組(本当の夫婦)の一人・楠美津香による「ひとりシェイクスピア 超訳・アントニーとクレオパトラ」を大須七ツ寺共同スタジオへ突然ですが見に行って参りました。シェイクスピアが綴った古代ローマの陰謀と愛欲を、超がつく下世話さと原典への愛でもって格闘技系の笑いに変換してお届けするといった趣旨のもので、「ファック野郎」「糞」「うんこ」「ガバガバ」などの単語を連発しながら汗垂らして一人戦う楠さんに圧倒され放題。私は単純に「ウガッタ」が好きだったから、というかそれだけの知識しかないまま行ってみたのですが、終演後にはむしろ物語の内容についてウン〜ムと思いを巡らせているという状態になってて、ジェフ・ベックがやった全編ロカビリーのカヴァーアルバム「CRAZY LEGS」みたいな塩梅でした(かなり想像しにくい塩梅かと思いますが…)。体力ある人だったなー。

【只今のBGM:DEERHOOF「HALFBIRD」】


アマゾンでは引っ掛からない1枚。14曲も入ってるしコンプリートには欠かせない盤でしょう。脱力ジャケが非常にヨロシイ感じです。1stと2ndの間の時期に制作されていたのに2001年になるまでリリースされていなかったというものだそうで、内容的にも、SONIC YOUTHなどの先達からの影響が残っていた1stと、独自のポップ・アヴァンがポッと開花した2ndのはざまを行く作風に。ずばんとロックらしいまとまりを見せる曲は少なく、オケのために作られた胡散臭めアメリカ映画のサウンドトラックを無理矢理バンド化したような、とりとめのない妄想世界の音像化的な印象が濃厚です。というかもともとこのバンドが、ドラムのグレッグ君の尽きぬ妄想を形にすることで動く人達っぽいですが。(インタビューによると彼が夢の中で聴いた音楽をそのままアルバムに入れることもあるそうです。)ズバリDEERHOOF初心者にはとっつきにくい部類でしょう。ダイハードなファンにとっては猛烈にディープなはず。

  4月2−3日
▼2日は収穫なし。意外とココイチのロースカツカレー500gが幸福のうちに食いきれなかったのが、二日遅れの筋肉痛とかよりショックです。本日3日の収穫は千種HALF WAYにてBUFFALO SPRINGFIELD「BUFFALO SPRINGFIELD」(97年のHDCD盤)、斉藤由貴「チャイム」(86年作、500円にて)、スピッツ「ホタル」「放浪カモメはどこまでも」(後者は初回スリップケース入り・ステッカーつき)、今池P-CANにてMAYHEM「LIVE IN LEIPZIG」(デッド氏存命中の90年ライヴ!)、小泉今日子「ANYTIME」(94年末リリースのベスト、300円にて)、スピッツ「CRISPY!」、TIED + TICKLED TRIO「TIED + TICKLED TRIO」「EA1 EA2」(BINGOリリースの1stとDRAG CITYからの2nd)。花見ましたか?ヒトを興奮させるやばい化学物質がサクラの花粉に含まれてるという話は本当らしいっすよ。

【只今のBGM:THE POLL WINNERS「EXPLORING THE SCENE」】


「RIDE AGAIN!」の続きなのか、遊園地のゾウに乗って探検する3人のまたしてもバカ・ショット。あとはフォントパワーで押し切るCONTEMPORARYらしいジャケです。60年作。デイヴ・ブルーベックやホレス・シルヴァー、ボビー・ティモンズなど、同世代(当時)ジャズメン達のペンによる比較的新しい曲ばかりを集めた、正にシーン大探検な内容です。それはともかく、1曲目アタマからびっくりするこの、録音の素晴らしさ!ロイ・デュナン本当に神っす。ノンリヴァーブに近いデッドな状態ながら自然な定位感と奥行き。バーニー・ケッセルを2m先に確実に感じる超リアル・タッチの実録がなされております。で演奏の方は当然の如く最高。休符の間にも暗黒物質がギチッと立ちこめるこの3人独特の密なスカスカ感、これは本当にシビレます。語らないでもなく誰一人として語り過ぎないのがいいし、隙をついて小ボケをかましまくるのもいい。アメリカンな暖かさに包まれたタメ/ハッスル交錯型(デフォルトはタメ)DIYトリオ漫談!ジャズが持つある種の気品がビールの苦味みたいなものだとするなら、このアルバム、というよりこの人達の作品は、ビール拒絶派には「えーっ飲みやすーい」と、愛好派には「これイケる、また買うわ全然」と言われるような、王道にして邪道な普遍のポップ性をもつものだと思います。春の陽気にニコニコ聴くにはこの上なし。昼間っから大音量でどうぞ。

  4月1日
▼先週末に引き続いて今日は名古屋市北東部のブックオフとヴィレッヂ・ヴァンガードを自転車で廻ってきました。坂が多くタフな道中でした。てことで本日の収穫、市内各所のブックオフと途中間違って辿り着いた長久手ダンシングベアーにて、スピッツ「空の飛び方」「ハチミツ」「花鳥風月」「色色衣」、THE PASTELS「ILLUMINATION」、JONI MITCHELL「DON JUAN'S RECKLESS DAUGHTER」、RESCUE「RESCUE」(LONG ISLAND)、BEN GOLDBERG/JOHN SCHOTT/TREVOR DUNN/KENNY WOLLESEN「JUNK GENIUS」(KNITTING FACTORY、MR.BUNGLE〜FANTOMASのトレヴァー・ダン含むカルテット)、森口博子「BEST OF MY LIFE」("水の星へ愛をこめて"収録のベスト)、中森明菜「不思議」「CD'87」。なつかし歌謡が250円で買えるブックオフは最近楽しいっす。ディスカヴァー・ジャパンということで。

【只今のBGM:RESCUE「RESCUE」】


LONG ISLANDと見ると私はとりあえず手に取ります。もう全部廃盤なので。それでこの何とも判りやすい裏名盤系ジャケで250円ときたら買うしかないでしょう。ドイツ出身らしい5人組で、内容は濃縮還元JOURNEY一直線。キラキラシンセをごってりと大フィーチャーした、6割くらい生クリームで出来ているショートケーキみたいな激ディープ・カルト・メロ・ハーです。もうカルト。金のないLONG ISLANDらしくドラムはマシンに頼っちゃってますが、割と気にならない感じに溶け込んでいて問題はなし。というか数あるJOURNEY複写バンドの中でもこれは確実に質が高い。歌も上手いし、私が再三オススメしているTHE STORMと比べてもひけを取らないレベルです。いやー素晴らしいすよLONG ISLAND。こんな隠し玉があったなんて。反射的に全部買うのは非常に危険ですが、捨て値で見たらとりあえず拾っておくことにしようと思います。気付いた私が買ってやらないと浮かばれんし、という妙な責任感とともに。

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