物色日記−2004年5月

※頻出語句解説はこちら
  5月31日
本日の収穫、四ツ谷店にてMEN'S RECOVERY PROJECT「BOLIDES OVER BASRA」、THE CRABS「WHAT WERE FLAMES NOW SMOLDER」、GUIDED BY VOICES「BEE THOUSAND」。不親切系・激展開・ケイオティック・プリ梅雨前線に翻弄されましたね今日は。サムラかザッパかと。

【只今のBGM:MEN'S RECOVERY PROJECT「BOLIDES OVER BASRA」】


BORN AGAINSTの元メンバーがいるバンドの2000年作。96年頃から録りためてあったのをまとめたもののようです。あからさまに中東っぽい覆面テロリストがたたずむイラストのジャケ、しかもアルバムタイトルには渦中のバスラの名が。今だったらこんなの危険過ぎて出せませんね。LIGHTNING BOLTと同じLOADからのリリースとあって、内容としてはローファイシンセが入った破綻系アングラポストパンクという感じです。THE RESIDENTSにも似た持続性のアッパー感が楽しくも不気味。随所で微妙にインチキ・イスラム気取りっぽいフレーズをかましてるのが笑えるんですが、オチをつけるつもりなさげな狂気も察せられて、百凡のディスコビートあこがれ系バンド達とはどうも一味違うテンションです。このアルバムに限っての話かも知れませんが(これのみLOADであとはVERMIFORMのリリースなので)BORN AGAINSTの面影は求めないつもりで聴いて下さい。「いや、アイツの香りが確かにする」と思える人はよっぽど。

  5月30日
本日の収穫、パルコ内タワーの半額ワゴンにてTENDER TRAP「FILM MOLECULES」(HEAVENLY、TALULAH GOSHなどのメンバー在籍)。下り坂を自転車片手運転で下って転んで手の平の皮膚を2×3cmくらい剥きました。ガーゼをめくるとゴアグラインド。

【只今のBGM:CANYON「CANYON」】


久々に聴いてます。BOYS LIFE、FAREWELL BENDと、思い出しただけで胸がジーンとくる名バンドをやっていたブレンダン・バトラー、他裏DC人脈の地味豪華メンツが揃って、リリースはSLOWDIME。ニール・ヤングをモヤモヤにしたような低速ルーティフォークロックをやってます。ヴォーカルに関してはもともと必死でうわずったりするのが熱かった人なだけに、こういうスタイルだとあんまり求心力を持ててない気もします。バック演奏は淡々としつつも各パート綺麗に重なって、PALACE関連を思わせるなかなか完成度の高いアンサンブルを見せてるので、ライヴで見たらお気に入りに追加されそうな感じなんですが。歌心って難しい。終盤の方に復活後のJOAN OF ARCをサイケにしたような曲がポツンとあってそれは割とOK。このラインで行ってもらいたかったなあ。まーしかし参加メンツ的に何があろうと売らない一枚です。

  5月29日
▼どちら様もありがとうございます。本日の収穫、金山サウンドベイにてKATAKLYSM「SORCERY」、LOIS「BET THE SKY」。

【只今のBGM:LOIS「BET THE SKY」】


Kの女流SSWな人の95年作。DUB NARCOTIC SOUND SYSTEMやDENNIS DRISCOLL、TIGER TRAPなどK界隈で色々やっているヘザー・ダンとのベースレス・デュオ・スタイルで、何とゲストギタリストとしてFUGAZIのドラマー、ブレンダン・キャンティも参加してます(!)。いやー500円で買ったものにこういうオマケがついてくると嬉しいですね。ブックレット裏に、ひとしきりのクレジットのあと、"Dedicated to Olympia"と書いてありまして、正にその通りのオリンピア・スタンダードなパンク崩れ和みメロ軽快ギターポップをやっています。加えてちょっと独特な憂いも感じられて、やり方を変えればすぐにでもジェン・ウッドみたいになりそうな歌心の持ち主なのかも。しかもドラムのヘザーさんはやけに上手い人。チープな装丁とK印ってだけで安く放出してくれる中古CD屋には感謝ですね。

  5月28日
収穫はなし。着々と増え続けるポン・デ・シリーズ、黒糖は多分一番意味わかんない代物です。黒糖がダメという人でもある意味大丈夫な品。マフィンもメープルに勝るものなしだなー。スケジュールン巻末のクーポン、使った方がいいですよ。

【只今のBGM:GAMMA「GAMMA3」】


サミー・ヘイガーとMONTROSEをやっていたロニー・モントローズ(G.)率いるバンドの82年作。同じくMONTROSE、HEARTなどに在籍し、最近はWHITESNAKEに加入したりしているデニー・カーマシー(Ds.)もいます。フーン、じゃないんですよ。何とLOS LOBOSの主要メンバーにしてチャド・ブレイクとのタッグで数々の名盤をプロデュースしてきた辣腕プロデューサー/キーボーディスト、ミッチェル・フルームが真面目な正式メンバーとして在籍!しかも作曲者として全曲にクレジットがございます!やってる音楽はFOREIGNERをシンセ頑張りめかつ若干涼やかにした感じのもの。どっちかと言わなくても赤いオープンカーが似合う産業ロックの域です。いやー意外ですね。こんなとこから出てきた人だとは全然知りませんでした。悩ましげっぽいだけでイマイチ釈然としないシンガーの魅力不足か、曲のせいか、割と右耳から左耳へ抜け気味なとこもありますが、シンセのアレンジはやっぱりちょっと変わってて、完全赤面系に徹することなく今でもレトロ的なものとしてウケが良いような音色をちゃんと見抜いて選んで、そういうのが当時リアルタイムで流行りだったはずにも関わらず既に軽い対象化感があります。そんでロニー・モントローズのリードは華やかかつ巧い。松崎しげるとムーグ山本が一緒にやってるような、とは言わないまでも、そんなベクトルの違和感が実に愉快です。両サイドから楽しめる人は安値で見たら是非買って下さい。

  5月27日
本日の収穫、久々の今池P-CAN(来月4日からバーゲン)にてSYMPHONY X「SYMPHONY X」("Masquerade"収録1st!)、BRUTAL TRUTH「PERPETUAL CONVERSION」(BLACK SABBATHのカヴァー含む5曲入りEP)、THE KEITH TIPPETT GROUP「YOU ARE HERE... I AM THERE」、GAMMA「GAMMA 3」(ロニー・モントローズ&ミッチェル・フルーム!!)、GURU GURU「UFO」、AGITATION FREE「LAST」、JAMES CLAY「A DOUBLE DOSE OF SOUL」。しばらく行かないうちに面白いものがたまっててフィーヴァーしちゃいました。プログレの掘り出し物はやっぱり今池P-CANすね。サウンドベイも時々凄いけど試聴に不自由があるので。4年前くらいにバイトしてた人(少年のような♀)が出戻っててビックリしました。私の今池歴もそろそろ10年近いですわ。藤が丘店の方は最近全然行ってないんですが、あの和みデュオはまだ健在でしょうか?

【只今のBGM:GURU GURU「UFO」】


今更!今更であります。日頃散々世の中のヘンな音楽に関してべらべら書き立てておきながら、今の今までこれを持っとらんかった私はモグリ、ニセ、落第以外の何者でもございません。まだマニュエル・ゲッチングがラリラリで頑張ってたりTANGERINE DREAMもKLUSTERも意味不明な実験ノイズだった頃の作品ですので、基本的にブルーズロックの語彙を土台にあとはエフェクタ・パワーで無茶して曲としてのストラクチャを崩壊させたサイケ・ロックをやってます。AMON DUULのような祭祀的なノリはなく、CAN(当時)よりは固体っぽく、どっちかというとBLUE CHEERあたりの方が近い感じがします。これは絶対、演奏現場で汗が散る様を見届けながら聴いた方が数百倍グッと来るに違いない。どんな顔してやってるかが大きな問題。少なくともA面3曲を聴く限りではそんな感じなんですが、このアルバムが現在なお語り草にされる所以は無論B面収録のお陰でしょう。さながらあの世の廃材処理場か文字通り巨大UFOの飛来を思わせるような不穏な各種金属ノイズが延々絡むタイトルトラック、続いてそのノリでノンビートとインテンポの間をウッカリ往来する激ダウナーセッション"Der LSD"、この2曲のサイケ度はやはり半端ではない気がします。ジャーマンサイケの雛型のひとつとして、ハードロックにあまり興味がない人がとりあえずZEPとKISSくらい持っておくようなつもりで、変な音楽全般に関心がある人なら持っとくべき盤でしょう。

  5月25−26日
▼両日とも収穫はなし。小田和正「自己ベスト」のテレビCM風の畳み掛け箇条書きで。

▼OSの再インストールって気持ちがいいですね。

▼人に借りたスピッツのライヴDVD「放浪隼純情双六」を見ました。謎の黒い三角マイクの秘密はやっぱり指向性でしょうか。

▼皆様、最後に一夜漬けしたのはいつですか?私は卒業した大学のサークルの学祭でのコンサートでやるDON CABALLEROのギターのコピーで久々に夜を明かしましたポッペッポペッポペッポッペッ。

▼最近のDIYは携帯のストラップです(写真)。紐と金具までは売り物ですがそこに旧自転車の壊れたライトの中にあった電球を、画鋲で穴あけてくっつけました。好評。

▼ウクレレの指板が無理矢理ギターの5フレット以上に見えるように白いテープをポジションマーク代わり貼ったところ、結構弾けるようになりました。でも4弦がギターより1オクターヴ高いから、単音リードとかを弾いてると予期せぬ音飛びに時々ウッとなりますトム・G・ウォリアー(ex.HELLHAMMER〜CELTIC FROST、現APOLLYON SUN)ばりに。

▼ということで何かとモいめ。

【只今のBGM:CODEINE「THE WHITE BIRCH」】


元祖ルイヴィルスローコア。ダグ・シャリン(JUNE OF 44、REX、HIMなど)をメンバーに迎え、デイヴィッド・グラッブスも2曲で参加している94年作です。SLINTの2ndと並ぶこの界隈の雛型的なサウンドがもうばっちり完成しております。SHIPPING NEWSあたりが受け継いでいくような、静謐の中の辛辣な刺激性をメインとする流れとは若干趣が異なり、低速でじわわーとテンションを上げておいて佳境に達すると大海の大波の如くドザーッと洪水しっぱなしになる、その感動的な展開のための一連の動きの少なさ、て感じのつくりになってる気がします。調性的にもストレートで泣けるものが多い。希死感を煽りそうで煽らない分LOWのような暗黒激鬱系とも話が違います。SUNNY DAY REAL ESTATEがNEUROSISだったら、てなところ?かなり無理ありな例えですが。方法論としてはシンプルなので、それをよく学習した似たような後続バンド達のCDをわさわさ買ってしまう前に持ってると良いでしょう。

  5月24日
▼閉店半額セール続行中の高辻ブックオフにリヴェンジを仕掛けるも矢野顕子「ピヤノアキコ」や松田聖子の86年作は既に売れていて収穫なし。全然関係ないですが伊藤園の自販機って質実剛健で冒険があって良いですよね。「ビタミンフルーツ フルーツミックス」なるものを今日は試してみまして、これが秀逸なるマスターピースでした。パッと飲んだ感じはグレープフルーツ。グレープフルーツベースのミックスものなんてあんまり出くわさない気がします。他にリンゴ、オレンジ、白ブドウがブレンドされてて、注意深く飲むとナルホドと気付く程度の奥ゆかしさ。甘さが勝り過ぎない後味も自販機飲料にしては品が良く、ゴマカシなしのグレープフルーツの風味が割と生命力高めなので、強力に冷やしてあればあるほど爽快でしょう。小振りのペットボトルに280g入りで130円と少々お高いものの、保健機能食品(どう偉いのか知りませんが)扱いになるらしく対価相応の有り難さはありそうです。皆さん伊藤園っすよ今までもこれからも。

【只今のBGM:KARP「SELF TITLED LP」】


中古発見率がブッちぎりで高いKバンドの97年3rd。FU MANCHUがUNSANEになったような、末期FAITH NO MOREか「BADMOTORFINGER」の頃のSOUNDGARDENが白痴になったみたいな、とにかく奇天烈な個性派でして、K所属のメンツの中でも勿論異色。ギリギリの高音で絶叫し続けるヴォーカルをはじめ全てがめちゃハイテンションで、ストーナー/スラッジも許せる熱血メタラーみたいな人には強烈プッシュです。これは変。THOUGHT INDUSTRYと県境またいでお隣ってなところでしょうか。TROUBLEMANやGSLからはギリギリ出せなさそうなシブさがまたカッコイイです。アメリカン・アンダーグラウンド・ジャンクの世界には時々こういう天才肌の変異種が混じってるので侮れませんね。TRUMANS WATERやPOLVOなどと並んで一属一種系の妙なバンドとして記憶しておいて下さい。そして500円以下で発見したら買いです。アルバムの最後でブラックメタル風のブラスト+絶叫に続いてCELTIC FROSTの真似(「ヘーイ」「ウッ」など)を一生懸命やってくれたから好き。

  5月23日
▼充実感相応の散財は無駄ではない、貧乏かどうかはタイミングの問題、というのを持論に生きておりますゆえ、たまに凄い日もあります。まず本日の収穫がパルコ内タワーレコードの半額ワゴンにてTO ROCOCO ROT「PARIS 25. EP」。んで島村楽器でブラシと普通のスティックの中間の音が鳴る竹串を束ねたようなやつを購入(けっこう高くて1組2800円)、東急ハンズにて雨の日用にレインコートのズボンだけ版みたいなの(上半身は傘さすので無問題)、大きめの折り畳み傘、衝動的に小さいウクレレ(2500円)とソフトケース、最近出ない水性ボールペンを買い足すだけのつもりが勢いで新生筆箱一揃え、サークルの後輩のライヴの打ち上げ、その後ラーメン、ついでに昼はケンタッキー。もうね東急ハンズやばいです。基本的に使えるものばかり置いてあるので、要るか要らないかとかいう思考はいっそ停止して、あって幸せか否か、ツッコまれどころとしてオイシイか否かしか考えなくなります。ちなみに後厄はまだ続くようで折り畳み傘は購入した今日のうちに突風で骨が曲がって御陀仏でした。

【只今のBGM:矢野顕子「HOME GIRL JOURNEY」】


「SUPER FOLK SONG」、「PIANO NIGHTLY」に続くピアノ弾き語りシリーズ第3弾。他人の曲をピックアップしては自己流の解体/再構築を経て自分の作品として発表するという、ジャズ・マナーのスタンスにて制作されております(本人作のものは全15曲中2曲)。2000年録音なだけあって、後のせリヴァーブはそこそこにスタジオの正直な残響をそのまま収めたグッド・プロダクションがまず良い。矢野さんのパフォーマンスと解釈のセンスに関しては今更詳細を解析・説明する必要もないでしょう。2月19日のこのコーナーで「PIANO NIGHTLY」について書いたのと大して変わりはありません。ナチュラルに曲の良さを謳歌した結果演奏者自身も聴衆も楽しくて幸せ、という健全な芸術のありようを体現してくれる人です。改めて矢野さんのピアノ、この音数の少なさでもって聴く人に彩り豊かな曲の流れをハッキリを想起させるのはホント天才の仕業ですね。ヴォーカルとあわせてトータルコンプをかけたかのような、細かく変動する比重分担の完璧さはもう神懸りの域。チケット高いんだろうけどいっぺん生で見てみたいもんです。

  5月22日
収穫はなし。姉の結婚式/披露宴に出席して潰れた一日でした。花嫁姿に泣けはしませんでしたが、自分が結婚というイヴェントに対して割と現実的な年齢になりつつある今、むしろ新郎に感情移入してぐぐっと来たりしたなあ。その「はい、誓います」熱い!とか。ホテル・ウエディングって、親族にとって当たり障りないから良いんだろうけど、同じフロアを違うカップルとその客達がぞろぞろ往来する様を見ると何だか「こちら結婚センター!結婚式さばきます」みたいな感じがして、ある意味、腹を満たすためだけに存在する洗練されたシステムたる松屋その他と本質的に変わらんようにも思いました。自分のときが、あるかないか知りませんが、あるなら客が皆半ば戦慄のうちに帰路につくようなのにしたいです。新郎ずっと司会してたじゃんみたいな。

【只今のBGM:HAEMORRHAGE「EMETIC CULT」】


スペイン産のone of ゴアグラインド・オリジン1st。CARCASSほどの回転の良さはないものの、やっぱりCARCASSの1st・2ndの頃の鈍い屍肉感への憧れを強く感じる出来です。締まらないプロダクション(しかもドラム下手)にピッチシフターでゲボゲボに下げたヴォーカルが乗って、汚物っぽさはかなりのもの。「重圧がビシッビシッと来てまっとうにカッコイイ」のと違うやり方でもOKだと94年にして気付いていたようです。ブラストしないパートでやっていることが意外とロックンローリンでカワイかったりするのは地方出身ゆえか。1音下げだった初期KREATORあたりの香りも若干。ピッチシフトしない方の高い声担当の人が時々、うがいを途中で止めたみたいな「ンアッ?」という声を出すのが可笑しかったりもします。DISGORGEとかだけでは飽き足らずにゴアグラインドを歴史考証的にカンペキにたしなみたい向き、あるいは「ゴアたるもの整い過ぎては偽者」みたいなストイックな持論をお持ちの兄貴は、お買い求めになるしかないでしょう。私はこれ以上深入りする人ではなさそうですが…。

  5月20−21日
20日の収穫は人に売ってもらったTHE MAKE-UP「IN MASS MIND」、本日21日の収穫は閉店半額セール中との情報を聞きつけて行ってみた高辻ツタヤにて新品で矢野顕子「HOME GIRL JOURNEY」、特撮「アジテイター」「オムライザー」。さて先日私が手に入れたツーカーTS41の骨伝導スピーカー、やっと体験しました。別に骨がブルブルするとか変な感触があるわけではないので、耳から聞こえてるのか骨で伝わってるのか違いがよくわからず、大した感動はなかったという激・肩透かしの結果でございます。周りが騒がしいところで効果を発揮するかどうかも謎。人に試してもらったりもしましたが、「トランシーバーみたい。でもトランシーバーって何だっけ」と言った人が一人、「ぉあッ、聞こえるーッ!骨伝導ーーッ!!」と専ら言いたかっただけの人が一人。話題作りにはなるということで判定は二分咲き。

【只今のBGM:特撮「オムライザー」】


1st聴いて2nd聴いて、もう新しく買う必要はないかーと思ってスルーしてたんですが、今日見つけた3rdには"日本の米"のリメイクが入っているということでこの4thともども買ってしまいました。曲がどうあれオーケンのやることだから買って後悔はせんだろうと。ナラサキはデスメタルみたいな曲ばっか書いてくれりゃいいのに、自分のバンド(COALTAR OF THE DEEPERS)よろしく盛り上がりどころで親切にメルヘンな風を吹かせてくれたりするものだから、どんどんコマーシャリズムと資本に踊らされるバンドになっていくのを憂えて解体に至ったはず(かどうか確かなことは知りませんが)の筋少は何だったのかよく判らない状態になってます。結局橘高と一緒なのがダメだったんでしょうか。歌詞もかつての文学臭を敢えて抜いたかの如くオーケン流自然体になってるし、「こうあるべきだった筋少」像として聴くのは完璧に間違いだと気付くのが遅過ぎでした。昔から好きだった人の現行のありのままをフラットに受容するのは時に難儀ですね。ではフラット・モードで聴けたとして。ナラサキのリフ作りは日本人としては全然冴えてる方だと思いますが、少なくとも特撮においては「極悪リフ+何々」という方法論で殆どの曲が作られてる気がするのが何とも。その極悪リフの微細な違いを楽しもうにも、対するオーケンが強烈過ぎて無理。通して聴いたあとの印象がモノトーンなものに感じられるのは私だけ?リズムが淡白だから?ほんの時々前に出る、江戸蔵の心あるシンセ/ピアノにひたすら潤されます。オーケンが再び絶叫しただけで有り難かったのは1枚目までの話、またツンドラの大地から月のクレーターまで広がる妄想を語ってもらいたいとは言いませんが、もっと然るべき良い形がある気がします。それを思うとアンダーグラウンドサーチライや電車は良かった。

  5月19日
収穫はなし。引き続き着メロ編集を楽しんでいます。メール着信向きの凄く短いの(5〜6秒)をちょっと作ったのでどうぞ。↓
・Mechanical Man / FOLK IMPLOSION
・Ninth Wonder / THE SORTS
右クリックで保存して、Eメールに添付させて携帯に送るとよいでしょう。SMAF形式(拡張子は.mmf)に対応している端末で再生可能です。PC上で試聴できるファイルを用意してなくてスミマセンけど、自力での制作に興味がある人ならこの際ヤマハのSMAF関連ページでATS-MA2-SMAFというソフトを落してしまえばすぐ聴けます。曲に関しては一応国内盤が出てないはずのCDから選んだので、これでお縄にはならない予定(※後日註:前者はやっぱり国内盤が出てました。まーせっかく作ったしホントに短いんでこのまんまにしておきます)。ていうかファンのささやかなこういうのくらい別にいいじゃないすか。昔はアンタも学校のノートの端っこにのらくろ三等兵の絵を描いては友達と見せ合ったりしたろうJASRAC職員よ?

【只今のBGM:NHK-FM ライブビート】


サケロックと二階堂和美のライヴの模様を聴いてます。5〜6年振りに自室でラジオです。サケロックノリノリだったなあ。つい最近鶴舞で見たまんま。MC(かなり大事)まで全部放送してくれるんで最高です。現在は二階堂和美さんが絶唱しておられます。これですこれ、ブラヴォー!アルミ箔ばりに首から顔をくしゃーっとして頑張ってる勇姿が目に浮かびますよ。最高だなあ。NHKも最高、偉い。二階堂さんは7月に名古屋でのライヴが決まったそうで、今日この放送聴いた人は行くしかないです本当に。

  5月18日
収穫はなし。今日の趣味は着メロ編集!手頃なMIDI編集ソフトとMIDI→SMAF変換ソフトを手に入れた今私は最大16和音でASH RAやEUPHONEやMANITOBAを完コピしまくる男です。よっぽどここで公開してしまいたいんですが、今日作成した曲に関してはそれをするとJASRACから死ねと言われる可能性があるので残念ながら出来ません。ところでMIDIをSMAF(SkyMelodyのサウンドデータに使える形式)にするとかなりローファイな音にされてしまいまして、ちょっとトイ系フォークトロニカ的なテイストが勝手に漂ってくれたりしてイイ感じです。お暇な方は一度やってみると楽しいですよ。

【只今のBGM:EL GUAPO「FAKE FRENCH」】


先月RESINからのEPをこのコーナーで大絶賛したDCへたれポストコア新世代、EL GUAPOのDISCHORDからの2枚目。昨年4月にリリースされてます。ダメ感漂うシンセを導入し、ニューウェイビーなリズムも取り入れ、THE DISMEMBERMENT PLANかBEAUTY PILLに感化されたLES SAVY FAVみたいになっちゃったなぁ〜という印象。前はもっとリスナーを戸惑わせるような突拍子のなさがあった気がするんですが、良くも悪くもわかりやすくなったなと。一応GOGOGO AIRHEARTや!!!みたいな完全再利用系ではないので、今の人がエディットした今の音楽としてそれなりに興味深く聴けます。まーしかしQ AND NOT Uも今やああいう風(2ndのあとのシングルはちょっと期待外れでした)だし、DISCHORDの未来の先っぽ達はこれでいいのかな?低速・重量化に活路を見出したかに見えてやっぱり世代交代を避けられなかった80年代スラッシュメタルの末期に似た先の見えなさを感じるんですがどうでしょうか。録音はNYのスタジオにてバンド自身が行ったそうで、ミックスのみINNER EARにてチャド・クラークが担当。ドラムなどはあまりアンビエンスを強調せず、マルチトラックレコーディングがそこそこ進歩してなおかつリヴァーブの魔手に毒されまくる直前の貧乏なニューウェーブバンドみたいな雰囲気を21世紀な的バランス感でキレイにまとめたような、手の込んだ愛あるプロダクションに仕上がっています。

  5月17日
本日の収穫、バナナ本店にてIAN O'BRIEN「GIGANTIC DAYS」、WES MONTGOMERY「TEQUILA」(デジパックリマスター)。壊れた自転車を直そうと自転車屋を2件あたったのにどっちも今日すぐには無理と言われ、直った自転車で本店に寄るつもりで売りCDも持ってたから、結局名大の山のてっぺんから東山、川名、栄と徒歩で踏破してしまったなあ。どれくらいの距離かというと結構疲れるくらいです。そして道中、懸案だった携帯機種変更(※一昨日分参照)を敢行!しかし別に誰からも電話は掛かってこないので未だ骨伝導体験出来ず(号泣)!!とりあえず待ち受け画面を自分でスキャンしたスピッツ星人&名盤探検隊御一行にして、あとは着信音も自作しようとVectorでソフトを物色してみたものの、これは未だ難航中。ていうか本体で直接編集出来んのが許せんのだよ。そんな携帯は天ぷらの乗ってない天そばだ馬鹿!

▼本店で買い物をして地下鉄で帰る前に、栄町ビルの階段を下ったところにある自販機でちょいと喉を潤していこうと見てみたんですが、サッポロ、飛ばしてますね。「クリーミーコーヒーゼリー」なんてのを発見して、当然購入。コーヒー牛乳に細かい角切りのコーヒーゼリーが大量に投入されているという代物でして、HALFTIMEの名作「ひんやり夏みかんゼリー」より糖類のべたべたが後に残らず、「プリンシェイク」とかよりは断然飲み物を飲んだ気になる、固形ものファンの希望に応える新・傑作の登場を感じました。もはや"Autumn Leaves"くらい定番の「ピーチネクター」に意外な一石を投じるフルーツミックス版(不二家の製品ですがサッポロの自販機で扱われるようです)も同時に見つけて、激しく迷った挙句のチョイスでしたが満足でした。ミックスネクターも必ず後日試すつもりです。

【只今のBGM:WES MONTGOMERY「TEQUILA」】


オシャレっす〜、コレが大人のお洒落っす。66年のこのアルバム、誰もが知ってるスタンダード"Tequila"(「テキーラ!」って叫ぶあれです)を表題曲に取り上げ、ピアノレスかつヴィブラフォン&コンガつきという編成で、紫煙漂うアダルトな刺激性のまどろみをもーウソ臭いまでに演出。弦楽隊が入って昔の刑事ドラマのちょっといいシーンみたいになる曲もあり、ヤバイっす。チェットみたいなダメ感(失礼!褒め言葉)もなく、さながら笑わない田村正和のような完璧なムード。これは落ちるでしょう。あくまでオクターヴ奏法を死守して軽々と躍動感あるパッセージをキメまくるウェス氏はやっぱスゴイですね。CTIでフュージョンの人として食っていけたのも納得の基礎体力の高さです。というかこのアルバムも既に半分そっちに足突っ込んでるような内容ですが。熱いアドリブバトルみたいなのをバッサリ切って、構造的にはかなりフュージョン/ギターインスト(!)に近め。いっそ片手間で聴き流しても極楽、真摯に対峙すれば感嘆の嵐。最近ちょっとは歳食ったかなあという貴方は是非とも夜の伴侶に。

  5月16日
収穫はなしアマゾンのショッピングカートの中身どんどん値上がりしていきます。頑張って円!ちゅうかいつまでアマゾンでCD買えるんでしょうか?ピーター・バラカンも頑張って!

【只今のBGM:BEAT HAPPENING「MUSIC TO CLIMB THE APPLE TREE BY」】


84年から2000年までのこぼれ音源を集めた企画盤。企画盤だろうと正規のフルアルバムだろうとやってることは何ら変わりません。くずれきったパンクが非力インディポップに変貌する瞬間のプリミティヴな姿(なんて大仰に書くのも変ですが)をキャルヴィン・ジョンソンの地獄のような重低音ヴォイスで綴った、オリンピアの不恰好な良心、Kのイデアそのもの。TYPE O NEGATIVEに加入できそうな激バリトンにもそろそろ慣れて、楽曲のそこはかとない優しい味わいを楽しめるようになってきました。いやはやポップミュージックとはかくもシンプルなものです。美味しく作った卵と粉と果物をそのままドサドサッと置いて「ケーキ作ったよ!」的な。奇を衒いたいんではなくてこれで充分と感じてるからこの状態で終わっているという過不足のなさにひたすら納得いきます。ところでこの人達、昔から、やけにタイムの長いリヴァーブを厚めにかけるのが常なんですが、ここまで徹底的にやられると筋金入った人の哀愁を感じますね。

  5月15日
収穫はなし。突然ですが私はかれこれ3〜4年ものくらいの、カメラさえついてない携帯を使ってます。TU-KAでカラー液晶が登場した初期型のものです。というかTU-KAって、使ってる知り合い誰もいないんですけど、て感じでしょう恐らく。私はKING KONGやJUNE OF 44をコンプリートするような男なのでもうTU-KAでしか生きられません。んで今使ってるのがいい加減、充電池の減り方が異常になってきたり、外の液晶に横線入りまくりで何も見えなくなっていたりと、しどろもどろの詭弁で各種媒体から集中放火を浴びるボロボロの小泉純一郎君みたいな状態なので、まだ使えるんですけど機種変更しようと、思ってます。したっていう話と違います。近々するってだけですけど、次は骨伝導スピーカの奴に!しようと思ってます。誰もが気になる骨伝導テクノロジー、しかもTU-KA利用者以外は現時点では試せない。遊び人でレベル20まで頑張ってタダで賢者になれましたみたいな気持ちで私は骨伝導を手に入れますと予告しておきます。入手した暁には克明なる体験リポートをお伝え致しますので、お楽しみに。

【只今のBGM:SYSTEM OF A DOWN「STEAL THIS ALBUM!」】


02年作。もうこの人達には何も言うことありませんね。永遠の個性派としてあと20年活動してもいいし明日解散してもいい。80年代ヘヴィメタルへの反動的に盛り上がった「シンプルで現実的な若者ミュージック」たるグランジ〜ニューメタルがやっぱり背負い続けていた堅苦しさを完全に葬り去って、イデオロギー抜きの純粋に音楽的な重圧をツールとして利用したコントラストの大きさを、ひたすら人を驚かせるためだけに使いつつ、人が覚えて楽しむポップソングとしての機能も極限まで磨き上げた、真にユニークなスタイルに到達したバンドだと思います。詰め込み過ぎなまでに繰り出される譜面的なトリックと求心力あるヴォーカルが張り合うことなく同体化して、グニャグニャと予測がつかないのに結果的にもの凄くわかりやすいものになっているのがここまで売れた秘訣でしょうか。立ち位置的にはNOMEANSNOと非常に近いものを感じます。それにしてもこのアートワーク(と呼べるかどうかもギリギリな装丁)はエキセントリックというか、ナメてますね。通常必要なクレジットまで「あとは俺らのサイトにつないで見てねー」と書いてあるだけ。バンド名と音楽だけであとは何もなくても納得できてしまうってーのも偉い話ということか。

  5月14日
収穫はなし。厄年って実年齢ですか、数え年ですか?今日は(1)自転車に乗ってて目の前に割と急に現れた乗用車のためにとっさに強くブレーキをかけたら、前輪ブレーキが効き過ぎて車体が50度くらいまで持ち上がったあと乗用車の窓にべたんと手の平から激突して地面に落ちて膝をすりむきました。(2)その自転車で急な坂を上っていて、後輪のギアを一番軽い1速に入れた途端変速機がべにゃんと180度反対側にひん曲がってしまって当面乗れなくなりました。(3)家に帰ってPCを起動したらどうも姉が私の不在中に使った形跡があって、何故かIEで新しいウインドウを開くとその中身が表示されないという不具合が発生していた挙句、様々なトラブルシューティングサイトを見てまわって復旧を試みるも全て無力。神も仏もないぜ。いや、いいことがあったときだけ仏様のおかげ。順番は前後しますが(4)大学の学祭期間にサークルで催すライブでコピーするスピッツの練習が楽しかった。(5)練習後にちょうどスタジオに車で機材を置きに来た後輩の車をつかまえて夕食に行くことに成功した。自転車が壊れたので超グッ・タイミン。(6)久し振りに焼肉に行って不幸になるまで大量に食べた。(7)あみやき亭のフルーツバーが「回し食べが深刻なので1テーブルの人数の半分以上の数からしか御注文いただけません。」と言われ、5人で行って3人分注文しなければいけなかった。(8)あみやき亭のご飯を「大・海苔付き」で頼んだのに間違って「大・海苔なし20%増量」が来て、海苔付き頼んだんですけどって言ったらご飯は20%増量サイズのまま更に海苔をつけてもらえた。(9)風呂場でマットが滑ってあわや転倒という事態。(10)ダメになったIEに見切りをつけて導入したタブブラウザ「スレイプニル」が意外と快適。(4)〜(6)と(8)・(10)をありがとうございました。けっこうツイてるじゃん。

【只今のBGM:DESTRUCTION「CRACKED BRAIN」】


メタル界で駄盤として語り継がれる筆頭作のひとつ。ヴォーカルがシミューアじゃないからってアンタら阿呆かと。「RELEASE FROM AGONY」の力ないプロダクションとぴーぴー細く裏返るヴォーカリゼイションに手に汗握れるのか全員本当に?無鉄砲に激走していたトリオ時代とはもはや別バンドとして、WATCHTOWERが初期MESHUGGAH化したような98年の隠れ大傑作「THE LEAST SUCCSESSFUL HUMAN CANNONBALL」へ向けてのポジティヴな熟成がここで既に始まってるわけですよ。予想した作風と違ったってだけで簡単にツマラン呼ばわりするから日本のメタル評論は狂ってます。ANNIHILATORと1stの頃のTESTAMENTをブレンドしたかの如き、実に良く出来たアルバムじゃないですか、どう聴いても。実力と野心の両方によって到達し得た完成度を見せる、キャリア相応の健全な努力作ですよ。クラシカルなリードギターはCORONERやNOCTURNUSばりに流麗だし、緻密ながらも小さくまとまらない整合感はDEATH ANGELの「ACT III」を善しとするなら当然善しとされるべき。中古で安く見つかりますのでMEKONG DELTAとか探してるけどないよーって人は先に買ってみて下さい。

  5月13日
収穫はなし。草野正宗のナニヌネノの変さに気付いて以来、「三日月ロック」収録"ローテク・ロマンティカ"で「本当は犬なのに/サムライのつもり」って言うところの「ヌナノニ」をそういうつもりで聴くと可笑しくてしゃーなかったりするわけですが、普通に近頃いろんな人の子音のクセに対して敏感になってます。nのl化はぼちぼちあるケースみたいで、藤田朋子(五女・長子役)が軽くそれだと今日気付きました。shやchの息が抜けるhの成分がやたら目立つ人とかもよくいますね。佐々木恭子顕著です。sがthに化ける稀有な人も時々います。サークルの後輩のカワシマくん以外知りませんが。他のパターンもドンドン発見していこうと思います。

【只今のBGM:THREE MILE PILOT「ANOTHER DESERT, ANOTHER SEA」】


サンディエゴの老舗名バンドとしてこっそり語り継がれている人達の97年作。プロデュースはスティーヴ・フィスクとマーク・トロンビーノ(2曲のみ)です。少し前の作品ではノイジーで抑え目なシブ系ポストコアをやってたように覚えてますが、ここではもうちょっとヘナっとした哀愁が幅を利かせるようになっていて、ベトナム戦争ベネフィットコンピでQ AND NOT Uがカヴァーしたニール・ヤングを思い出すようなオールドフォークロッキンなユルさもあります。結構歌ものテイスト強い仕上がり。ロマンティックなピアノも入ったりして、同郷の90 DAY MENやベン・デイヴィス絡みの一連のバンドの壮大シケ泣き化路線を全然先取ってますね。今聴いても「あー90年代後半にこんな微妙な匙加減が存在したのね〜珍奇珍奇」みたいな感じもせず現役の新鮮さをともなって楽しめます。大仰さにやや辟易してしまうところが無きにしも非ずですが、ぺらんとした声質のヴォーカルのダメそうな空気によっていい具合に帳消しになってます。BLACK HEART PROCESSIONまでいくと無理、って人でもこれならOKでしょう。これ系のを何か1枚というなら割とオススメ。棚に放置してる間に勝手に熟成する系かも。

  5月12日
本日の収穫、栄店にてDUB NARCOTIC SOUND SYSTEM FEATURING LOIS「SHIP TO SHORE」、STEVE STOLL「THE BLUNTED BOY WONDER」、本店にてOSCAR PETERSON「NIGHT TRAIN」。ライヴ参戦予定は来月7日の是巨人まで白紙なわけですが、NHK-FM「ライブビート」で二階堂和美とサケロックのライヴの模様が放送される回が今月19日(水)です。いずれもMCが重要な人達なので「ネットでちらっと試聴したことしかないー」という方は確実に聴いといて下さい。

▼そういえば今月8日の日記の続報を。その後カードは無事発見され、発見者によって届けられた八事支店まで取りに行って参りまして現在はもう使える状態になっています。めでたいことですが、中身はもともと殆どありません。世知辛いっす。

【只今のBGM:JOHN COLTRANE&DON CHERRY「THE AVANT-GARDE」】


ATLANTICの入れ子式(?)2重紙ジャケリマスターシリーズ、私は結構好きです。(左上画像はオリジナルジャケ部分のみを抜き出しています。)これは60年に録音されて66年にリリースされたという作品らしく、アヴァンであって崩壊絶叫系ではない、意外と聴きやすい内容になってます。曲はオーネット・コールマン3曲、ドン・チェリー本人1曲、モンク1曲("Bemsha Swing")。アップテンポでも淡々として大人しめのリズム隊の上で、完成をみたばかりのシーツ・オブ・サウンズを悠然と披露するコルトレーンと、フリーの申し子の面目躍起でへらへら踏み外すドン・チェリーの、どこか醒めたところのある対決がなかなか、奥ゆかしさすら感じるイイ雰囲気。激しくロウ(raw)ながら残響が速くてこぢんまりとしたプロダクションもまた良し。スナッピーのカサカサが横にのびまくるドラムサウンドに低音成分だけズヌーンと抜けてくるベース、こういうの最高ですね。エンジニアは「GIANT STEPS」と同じくトム・ドウド&フィル・レーレ。調べたところトムさんの方はTHE ALLMAN BROTHERS BAND、レイ・チャールズ、PRIMAL SCREAMまで手広く手掛けた大ヴェテランだそうで、つい2002年に77歳で亡くなってます。合掌。マッコイ・タイナーとエルヴィン・ジョーンズを加えて独特の異国モードを乗りこなすようになるまでの、モニュメンタルな「GIANT STEPS」の秀逸な応用形として、ファンならずとも聴いて損はないアルバムであるということで。

  5月11日
収穫はなし。またマウンテンに行ってしまって私はちょっと熱心な愛好家となりつつあるようです。今一度説明しておきますと、マウンテンとは、名古屋は南山大学近くにあるスパゲッティ屋で、選べるメニューと出てくる食事の量はそれこそ山の如く多く、また「いちごスパ」「小倉抹茶スパ」などの甘味スパの存在、人の頭くらいの大きさがある巨大かき氷、名前だけでは何だか判らない謎なジュースの数々など、話題にはとにかく事欠かない裏名所的な店です。県外からの来訪者も多いとか。再三書いていることですが品物によって本当に当たり外れが大きく、「あの時迷ってやめにしたアレだったらウマかったかも知れん…」という後悔によって何度も通いたくなるところだと私は思っているのに、「自発的に行きたいなんて絶対思わない」という向きも結構います。いや、楽しくていい店じゃないですか。大食に興味がない人には確かに魅力半減なんでしょうけど。でも塩釜口「パセリ」みたいに殺人級じゃないし、ココイチのロースカツ300gくらいの値段であれだけ出てくるなら費用対効果的にも全然優秀。ゲテモノ扱いしなくたって前向きに楽しめます。ローランド・カーク擁護論みたいですが。私は普通にオススメする派です。皆さんも一度はどうぞ。

【只今のBGM:GONZALES「PRESIDENTIAL SUITE」】


TARWATERやKANTE、GO PLUSなど、良質なリリースが多くて一時期猛烈に買い集めていたドイツのエレクトロニカ系レーベル・KITTY-YOの人です。R&Bをエレクトロ化したようなラウンジーなトラックにアホなMCもしくはゲストシンガーの歌が乗る、ヒップホップと呼ぶにはかなりギリギリ(MCのそれっぽくなさも含めて)なことをやっとります。昼メロ系の淫靡な泣きが大量フィーチャーされている分、比べるのも変な話ですがPREFUSE73とかより随分と庶民的。かつノリはゴージャス。このアルバムは特にアナログシンセ風のしょぼげな音を多用して、エレポップ感が強くなってます。昔のはもうちょっとお上品だった気がするんですがなー。このどこにも収め難い感じがKITTY-YOらしいといえばらしい。ある時期以降のKITTY-YOはCDのどこかに「File under>Electronic listening」などとジャンルを明記するという変わったことをやってまして、この人の作品は一貫して「Pop」と記されています。納得。ブラックメタルに似て非なるIMPALED NAZARENEのような存在でしょうか。激しくとっつきやすいのは確かなので、ふらっとそのへんで見かけたら試聴してみて下さい。

  5月10日
本日の収穫、パルコ店にてMAE「DESTINATION:BEAUTIFUL」、CHEZ VOUS「CHA CHA CABARET」(97年、K)。天気予報にはいつでも勝ちたいですよね。今日はパルコ店に寄り道さえしなければ完封だったのに、ふらっと寄ってしまったばっかりに小雨に降られ失点。とにかく平穏な自転車生活を送らせて下さいお願いします雲の上の高木ブー様。苔の生すまでに。そろそろ嫌な時期ですが、梅雨前線とかはダムの上空だけに発生してりゃよろしいじゃないですか。

【只今のBGM:CONVULSE「REFLECTIONS」】


当サイトの往年のコンテンツ・3枚レビューで、いつか「オールドスクールデス名エンジニア裏名盤対決 トマス・スコッグスベルグ@SUNLIGHT vs. スコット・バーンズ@MORRISOUND」という2回シリーズをやろうと思っていて、SUNLIGHT側はDESULTORYの「BITTERNESS」とGOD MACABREの「THE WINTERLONG...」、MORRISOUND側はMASTERの「ON THE SEVENTH DAY GOD CREATED...MASTER」とSOLSTICE(同名バンドがいくつかいるようですが、ギタリストが後にMALEVOLENT CREATIONに加入したアメリカの人達)のセルフタイトル作を使うことまで決定したものの、それぞれあと1枚が見つからないまま結局ポシャったということが実はありました。んで今更出てきました、SUNLIGHT側のトドメが。フィンランドの4人組のRELAPSEからの94年作で、ENTOMBEDの「WOLVERINE BLUES」に近い感触がありつつもより奔放にガレージロッキンなノリを満喫できる、XYSMAをもうちょっとメタリックにしたようなことをやっています。ヘタなのかマトモに熱いのか、いや両方である、ていう初期北欧デスの醍醐味バリバリ。BLOOD DUSTERやGORE BEYOND NECROPSYほどメタルを見世物にしきってる感はなく、そういう身売り系は聴けないという純なメタルラヴァーでも好意的に聴けることでしょう。エキセントリックとコマーシャルの相乗を狙って結局フヌケてしまった近頃のQUEENS OF THE STONE AGEあたりよりリアルにロックンロールしてる気も。ヴォーカルの声と歌い方はちょっとDARKSEEDの人が思いっきり気張ってるところを彷彿とさせ、ギターサウンド及び全体のプロダクションは例によってゾゴーッとした独特のあれ。最近のバンドはこの手の音楽をもっと巧くやってしまうので、こういう感じは間違いなくこの時期この界隈だけの保護指定モンだと思います。ヤクザにメタルをたしなみたい向きからディープなヘッドバンガーまで、持ってて充実の1枚。

  5月8−9日
▼二日とも収穫はなし。8日は大学のバンドサークルのライヴにちょろっと出させてもらいました。色々と初の試み(椅子着席にて演奏、一人、アコ・ギ使用しかもマイク録り、など)が多くて想像以上に余裕がなく、ジェフ・ファリナのつもりがダニエル・ジョンストンのようになってしまったなあ。まあ息抜き係の漫談屋ということで。9日は機材積み下ろしのあとまた杁中奥地の裏名店・マウンテンに赴き、今回はピラフに挑戦。量はスパゲッティ同様、普通の店の大盛り+少々くらいあって、味に関してはこれもスパゲッティと同じく、選ぶ物によってかなり当たり外れがありそうだと感じました。私が試した「きのこチキンクリームライス」はマロヤカonマロヤカでパンチ不在系。福神漬けに救われつつ完食致しました。当たったり外れたりするとこも含めてマウンテン好きッス。甘味スパは試さない。

【只今のBGM:JONI MITCHELL「DON JUAN'S RECKLESS DAUGHTER」】


ジャコ・パス、ショーター、ラリー・カールトンなどが参加の77年作。フォークとフュージョンが融合したこの時期のスタイルはホント個性的です。明確なラインをなぞることなく奔放に唄をばら撒くジョニさんは、もはやニュアンスの妙を愉しむ楽器として聴くべき域ですね。そりゃジャズ畑の共演者達ともマッチするはずです。「THE HISSING OF SUMMER LAWNS」のような音響実験色は後退してますが、別アングルからの冒険は続き、アブストラクト度は相変わらず。ただし非常に完成度の高い、意味性を感じるとりとめのなさです。何をやろうとこの人は、こういう歌い方をしてる限りどれ聴いてもよっぽど外すってことはないんでしょう。ところでジャケのアフロ帽子男、ジョニさんの男装姿だそうで、違和感なさ過ぎるけどいいんでしょうか…

  5月7日
収穫はなし。銀行のカード紛失したりすると厄介すね。早速電話窓口に連絡をしたところ、幸い既に発見・保護されてるとのことだったんですが、「週明け月曜日に××支店にお電話下さい」って、今財布にいくら入ってるか知って言っとるのかね?海に放り入れられた淡水魚の心地でしばし生きます。

【只今のBGM:THE BABYS「UNION JACKS」】


のちにBAD ENGLISHに加入するメンバー二人を擁するバリバリ産業ロックバンドの80年作。「ESCAPE」の頃のJOURNEYより下手すりゃ充実してるくらいの優秀っぷりで、素晴らしいですね。もう泣けます。んでGRAND PRIXのようなイモさはない。あくまで一流狙いのクオリティと風格。BAD ENGLISHではコイツがフックの全然ない歌メロをつけるせいでニール・ショーンが頑張った名曲予備軍を全部ドブに捨てる羽目になった、てなくらいに思っていたシンガーのジョン・ウェイト、ここではどの程度作曲に関わっているか不明ですが、BAD ENGLISHで猛烈に感じた煮え切らなさは特に窺われません。若くて冴えてたんでしょうか。ハスキーな声質の人なので、高音でフンッと出すと時々エリック・マーティンに似る瞬間も。エンジニアは売れっ子キース・オールセン(FOREIGNER、FLEETWOOD MAC他)ですが、この頃まだゲート・リヴァーブに毒されていなかったらしく、ボスッボスッと質実剛健なプロダクションがなかなか好感です。やけに上から下までバランスがいいのはリマスター効果なんでしょう。ASIAの赤面メロディアスとFOREIGNER的ロック体力を併せ持った夢の80'sメロハーアルバムのひとつとして伝説になるべきだなあ絶対。

  5月6日
▼今池得三にてHELLAを見てきました。3月に東京で見たにせんねんもんだいがトップバッターだと思ってて、前座をいくつも見るのもダルいなーという気に突然なり、余裕でココイチで豪華ディナーを済ませて行ったら何と見たかった前座のひとつ・怖が最初にやってしまったとのこと。ショック!着いたときにやっていた2番手は割とどうしようもない二人組で、続いて出てきたにせんねんもんだいは何故か下北沢ERAより全然良く、てな具合で、あー調子に乗るもんじゃないですね人生。真面目に19時に間に合うように行くのが正解でした。んでメインアクトのHELLAは、デジタルで早送りしたデイヴ・ロンバードのソロタイムをランダムかつ永久にコピー/ペーストしたようなドラムの上に、SUFFOCATIONみたいな単音激速16分リフだったり意外とカントリー風弾き殴りだったりスティーヴ・ヴァイ級の両手タップだったりするギターをこれまた延々、変拍子とも呼べない域の細かさでキメ続けさせたような、21世紀のイカれた音楽でした。激ウマでしたがやる側・聴く側ともに疲れ果ててアンコールなしで終了してしまって、わざわざ名古屋まで来てもらったのにあれは申し訳なかったなあ。

▼ということで本日の収穫は会場の物販にてHELLA「ACOUSTICS」(既発曲のアコギヴァージョン3曲収録の会場限定EP!)、EVERLASTING THE WAY「EVERLASTING THE WAY」(ショーン・メドウズのソロユニット97年のレアEP、DLCの在庫コーナーより)、バナナ四ツ谷店でTHE BABYS「HEAD FIRST」「UNION JACKS」(JOURNEY〜BAD ENGLISHのジョナサン・ケイン、同じくBAD ENGLISHのジョン・ウエイト在籍の産業ロック名バンド、78年・80年作リマスター!)、荒井由実「ミスリム」。

【只今のBGM:BOSCO&JORGE「ALLY IN THE SKY」】


PULLMAN〜デイヴィッド・グラッブス及び後期GASTR DEL SOLタイプのアメリカーナポストロックユニット2nd。SIX GUN LOVERから出すとは意外です。ボスコ君とジョルジュ君という名前ではないですが、中心人物の二人と、あとは大勢のゲストを曲によって適当に迎え入れるという体制で作られてます。基本的にギターはアコースティックのみ使用。他にバンジョーやラップスティール、チェロなんかも登場するという、完全オールドアメリカン仕立てです。ドラムはあったりなかったり。既に金字塔「CAMOUFLEUR」が存在する以上、新しさはどこにもないのかも知れませんが、そのへんの音にちょっとエモい和み泣きを足してまどろっこしさ3割減にしたヴァージョンってことで、好きな人は持ってりゃいいんじゃないでしょうか。私は結構好きです。ポスト・ロックだから有り難いとか「シカゴ音響派」だから!(死語!)とかじゃなくて、これが今なりのアメリカの愛し方なんだと思いますがいかがでしょう。ちなみにロブ・マズレクがちょっと参加。

  5月5日
▼皆様の連休の行楽は良い思い出になりましたか?行楽してないなんて声は聞こえませんよ。私は今日、自転車でとりあえず遠くに行くプロジェクトを発動し、国道1号を西にひた走り、結果的に三重県は四日市まで行って参りました。当初は桑名のブックオフをゴールに設定していたんですが、朝の10時半過ぎに家を出て正午前にはもう着いてしまったので、更に道の続くままにドンドン行って、どこか「ここまで来たぜー」て感じのわかりやすい写真が撮れるポイント(シンボリックな被写体の存在と人通りのなさが条件)か手頃な昼食スポットに行き当たったらそこで引き返そうと思い続けて結局四日市に到達、国道1号を逸れて駅近くの、大須を水で薄めたような広くてそこそこの活気のアーケード街をフラフラして、更にちょっと行ってみるとそこに思いがけぬ「中古CD」の看板が!しかも追い討ちをかけて「200OFFセール」の文字!!店の名前は「こんぱく堂」と申します。品揃えには期待しないで入ったらこれがまた、すげーいい店でしたよ。てことで本日の収穫、まず桑名ブックオフでKISS「DYNASTY」("I Was Made For Lovin' You"収録79年作リマスター)、こんぱく堂でSWEEP THE LEG JOHNNY「STO CAZZO!」(2000年作!)、THE LETTER E「NO. 5IVE LONGPLAYER」(JUNE OF 44のショーン・メドウズ在籍インスト美メロ系ポストロックバンド)、V.A.「TIGER STYLE RECORDS ARTIST SAMPLER 2002-2003」(IDAやタラ・ジェーン・オニール&ダニエル・リトルトンの未発表音源含む17組収録サンプラー)、GREAT KING RAT「GREAT KING RAT」(リーフ・スンディン!WHITESNAKEタイプのブルージーハードロック)、LEE MORGAN「SEARCH FOR THE NEW LAND」(ショーター、ハンコック、グラント・グリーン参加64年作)。

 この買い物に大満足し、店を出て問題なく復路に就くことを決定。途中桑名で遅まきの昼食としてたこやき屋に入ったんですが(昨日のパセリ・ショックで胃がまだ疲弊していてマトモな食事を摂る気にならなかったゆえ)、旅先だと変に饒舌になってしまうモンで、今日名古屋から自転車で来たんですよ、へぇー自分も前名古屋に住んでたッス、みたいな調子で店員のにーさんと意外な談笑。焼きたてを食ったので口の中いっぱい火傷しました。その店を出てからは前輪2速・後輪8速でノンストップで飛ばし、1時間半足らずで名古屋に無事到着。帰り道は暗いし寒いし、ひたすらホープフルな往路より俄然凹みます。

▼さて道中、桑名ブックオフから四日市こんぱく堂に至るまでの間にもちょくちょくとブックオフやブックマーケットやその他ローカルなリサイクルショップに立ち寄りまして、面白いところもありました。

↑まずこれ、写真で全然伝わらないのが残念ですが、看板の「古着」の文字がむちゃでっかいです。坂を下るとだんだん姿を現してくるんでビックリします。国道1号ぞいにある「万代書店」というこの店、漫画の古本と中古CDが専門店並みに充実してる上、古着も食玩も釣りのルアーとかも山のようにあるし、何をおいても圧巻だったのが、壁一面を完全に埋めるように垂れこめるファミコンソフトの大群!大須とかでちまちま買い歩いてる人が見たら泣き崩れて失神すること必至ってなくらいのインパクトありました。現役ファミコンファンはダッシュでGO!

 あとは適当に旅路らしく風景を撮ったりもしました。

↑無難な風景写真その1…川原。どこかの二級河川の川原です。二級河川って平気で看板に書いてあるんですけど「B級ジャーマンメタル」みたいでなんか哀しいですね。普段遠ーくに見てる山がくっきり近くてちょい感慨でした。地元人にはただの景色なんでしょう。

↑無難な風景写真その2…夕日。デジカメのありがたい自動補正機能によって勝手にリリカルな画に撮れました。人間は構えて押すだけ。場所は揖斐川です。2車線で歩道のないヘンなところに迷い込んでそそくさと撮ったから凄く恥ずかしかった。

 ちょっと速く走る自転車を手に入れただけのぺーぺー素人なので各種修繕グッズなど何も持たずに行ったわけですが、途中でパンクしなくて本当に良かったです。伊勢大橋のど真ん中でベコベコになってたりしたら何時に帰って来れてたことやら。というわけでこの調子で岡崎バナナや岐阜ざうるすへの道も挑戦したいと思います。

【只今のBGM:SWEEP THE LEG JOHNNY「STO CAZZO!」】


暴れサックス入りプログレッシヴ激マスロックバンドの2000年作!02年の「GOING DOWN SWINGIN'」はそりゃもう名盤でした。そこで聴かれた軽妙なスウィング感がこの時点ではまだ多分にポストコアマナーの若き熱気で代替されていて、時々現れて結構目立っていたクリムゾン的哀愁も控えめ。しかし全体を通しての、イッてる感性の人からしか出ない異様な空気感はこのアルバムでも既に充満しています。変拍子具合がFARAQUETを思わせたりもしますがノリとしては悪酔いしたPELEがCROWNHATE RUINの真似をしてみたような、知性を下敷きにあくまで体力勝負に出るタイプのバンドだなと改めて思います。THE CANCER CONSPIRACYのような文系妄想肌とは異質。ブックレットの楽しそうなライヴ写真ったらないっすよ。ところでここのギターの人が今DC暗黒組の面々とJUST A FIREをやってるわけですが、曲が若干ストレートな分、次のアルバムよりこっちの方がJUST A FIREには近いかも知れません。KARATEの来日中止の代打公演が名古屋だけナシだったのは未だに悔やまれますね〜。

  5月4日
▼今日は鶴ロックを軸に色々ありました。まずはそれ、毎年名古屋市の鶴舞公園で鶴舞ロックフェスティヴァル、略して鶴ロックという、新栄カノーヴァン人脈が中心になって催されているっぽいローカルイヴェントがありまして、その2004年版に今日行ってきました。昼過ぎから晩まで沢山のバンドが出演致しまして、私が会場に着いて最初にまともに見たのは回転木馬というバンド。あぶらだこがダメな6歳児になったような、壮絶なフリークアウトの中にリアル・ブルーズロックのカタルシスが見え隠れするなかなか良く出来た人達で、全然好感。アメリカでやってりゃ今頃GSLやLOADに熱烈歓迎されてるところでしょう。

▼今回の目当てその1は、サークルの先輩がサークル在籍時代からずーっとやっていて、最近インディーでCDも出した(アマゾンで買える!)ソフテロというバンド。アルバムリリースとほぼ同時にメンバーをまた総入れ替えして、その布陣が俄然好評ということで、そろそろ見たいと思っていたところだったんでした。さて演奏の方、新しい曲がどうとか歌い方がどうとか思いたかったのにその前に、サポートのサイドギタリスト氏が目も当てられぬ爆音暴走ロッカーで、ひとえにそのせいで、会場の狭さとバンドの音数の問題を差し引いても「曲がどういう風に良いのか全くつかめない」という嘘みたいな状況になってしまっていて、ひたすら無念だったなー本当に。堅実以上の良い仕事をするリズム隊両氏は全然納得が行ったのに。せっかくやってくれた往年のいい曲さえ不本意な変わり方をしていて後輩は悲しかったですよ。

▼その後小休止ということで、居合わせたサークルの面々と塩釜口のエクストリーム定食屋「パセリ」へ。昼に名工大近くの店でトンカツ定食を食ったからと、カブリを避けて丼ものにしてしまったのが間違いで、ラーメン鉢すりきり一杯の米にすきやき風味の卵とじとトンカツが乗った鬼のようなカツ丼を、笑顔の消えたマラソンランナーの心境で、それでも必死で完食してきました。あれはツラかった。むしろ5時間が経過しようという今まだまだツライです。米の量は800gかそれ以上くらいだったと思います。出来心で行くべきではない大食漢のためだけの聖域がこの世には存在するということを胆に銘じるモニュメンタルな一日になりました。ありがとうパセリ、私は並みの胃の人として生きます。

▼パセリから戻るとちょうど計算どおり、map一押しの若手カルテット、サケロックがほどなく演奏開始。お祭りラウンジパブロックというかパブロッキンラウンジお囃子というか、ジャズ由来の演奏スタイルを基調として折衷感がありつつPE'Zほどヤクザではない、トロンボーン兼ヴォーカルが中心を張るたのしい人達でした。完全芸人喋りのトロンボーン氏頑張ってたなあ。続く6EYESもちょっと見て帰宅。後味はとにかくパセリの膨満感が全てです。げっふぉ。あと収穫はなし

【只今のBGM:CHRISTIAN VANDER「TO LOVE」】


歌っても実はスゴイというかこの人こそ真のコバイアの語り部にふさわしい、MAGMAの異星人ドラマー、クリスチャン・ヴァンデの88年のソロ名義作。こりゃディープです。ピアノ及びエレピでヴァンデ一人がひたすら弾き語る(ステラ夫人もちょこっと参加)という、デメトリオ・ストラトスの単身ヴォーカルパフォーマンスアルバムにも匹敵するコアなもので、MAGMAが暗黒ジャズロックだから好きという向きにはもはや無理な域。とりあえずピアノSSWは好きよーという人はもってのほか!2001年の来日公演ではアンコールで彼がフロントに出てきて絶唱を披露するという演出があって、私はそれに完全KOを食らってきたので、これはそのときの記憶が湯で戻されるような心地で聴けて全然最高です。そうでなくともMAGMAを全面的に信じる人なら、こういうファラオ・サンダース流れのスピリチュアルジャズっぽい愛一辺倒(アルバムタイトルからして)なムードは各作品の至るところに割と目立つように登場していることを知っているはず。ヴァンデだけの言葉によってそれが語られているのに立ち会うことは、ファンなら苦行でも何でもない充実した有り難い時間になることでしょう。普通にオペラ歌手みたいないい声してるし、一部の覚悟ある人には胸張ってお勧めします。強烈な多幸感あります。

  5月3日
▼無駄にぷらぷらして本日の収穫、セール続行中のFILE-UNDERにてEDITH FROST「WONDER WONDER」、THE APPLESEED CAST「TWO CONVERSATIONS」、HOT CROSSLIGHT FUSE AND RUNのスプリット、SONIC YOUTH + I.C.P. + THE EX「IN THE FISHTANK」(シリーズ第9弾)、STIFF SLACKにて新品でJULIE DOILONOKKERVIL RIVERのスプリット、中古でTHE VSS「21:51」、名駅69にてシュガーベイブ「ソングス」、BJORK MIT FUNKSTRUNG「ALL IS FULL OF LOVE, THIS SHIT, ALL IS FULL OF LOVE」(リミックス2曲とFUNKSTRUNGのみのトラック1曲のEP、98年FATCAT)。そう、先月30日にオープンしたばかりのSTIFF SLACKに行ってきたんです。ビルの外に看板がまだなくて、ちゃんと場所を知らないと凄く見つけにくいですが、ドーターの向かい辺りにある北東角のビルの4階にあります。1階の異常にオシャレっぽい何の店だかよくわからない店にとりあえず突入して「ここSTIFF SLACKじゃないですよね?」と言って教えてもらってきたという。で店舗の方はまー評判どおりスッキリ小洒落た内装で、旧円盤屋洋楽店のメイン部分(エレクトロニカ、ポストロック、ポストコア/エモ)だけ引っ越してきた感じの品揃えでした。FILE-UNDERより量は多いんじゃないでしょうか。中古もちょこちょこっとあるので関係ある人は時々世話になりに行きましょう。

【只今のBGM:THE APPLESEED CAST「TWO CONVERSATIONS」】


羽根のジャケの2枚シリーズがどうも苦手で、コイツらもう駄目だなと勝手に思ってたんですが、これがアマゾンで試聴したら意外に良くて、買っときました。MINERALの金字塔「END SERENADING」の続きはTHE GLORIA RECORDにお任せするとして、割とこっちはフラレ系というよりスペイシー系な、SUNNY DAY REAL ESTATEのラスト作を受け継いでいく感じの方向性になってます。件の羽根ジャケシリーズで見られた音響実験的要素は無事後退。もはや駆け出し二流バンドの巣窟的イメージの強いDEEP ELMからTIGER STYLEに移籍したのも何だかステイタス上がったなーという気がしちゃいます。いまいちアクの強さに欠けるのはやっぱりヴォーカルのせいでしょうか。もっとヨダレと涙と汗が一緒くたになって目も当てられないくらいで丁度いいのに、そこまで行かず。最近こういう昔気質のじれったい泣きはCOPELANDみたいな即効イケメン系一派に押され気味っぽい気がちょっとするので、頑張ってもらいたいっすね。良質。

  5月2日
収穫はなし。明日辺り自転車で知多半島かどこかまで行こうと画策してたのに天気の下り坂が前倒し気味になっちゃって私はもう休みらしい休みを過ごすのを全面的に諦めようかというところです。むしろ休みらしい休みなんつう概念があるのが悪いよね。とか言いたい。

【只今のBGM:スピッツ「インディゴ地平線」】


まとめて買い集めて満足しただけではイカンので時々聴いてます。シノゴノ書こうと思ったけどその前に、この異常な高域落ちは何なのか!リマスター買い換えを本気で検討したくなる豪快な落ちっぷりでビックリします。「PEARL JAMみたいな生々しいロックサウンド」にノウハウもないまま挑んでみた成果なんでしょうか。一昔前まで国外レコーディングがもてはやされていたのもこれじゃー当然。さておき、内容の方。「空の飛び方」〜「ハチミツ」と続いたヒットの流れ上にあるだけあって、改めて聴くと「フェイクファー」で感じた血迷い/試行錯誤感は薄く、確かにこの時点での熟状態にあるのが判ります。というか各種イディオムが96年仕様ってだけで基本的には最近の作風と何も変わらない。このバンド何が凄いかって、この期に及んで「誰もが初めて聴くメロディのシンプルな名曲」を、オセロで絶対負けない人の如く確実・不変のクオリティで生産し続けてることだと最近は思います。BEACH BOYSやコステロの時代じゃあるまいし、複雑化してニッチ狙いが進むその他大勢と明らかに違う土を踏んでいられるのはひとえに才能(と呼ばれるセンス)なんでしょう。ただ草野氏の声はさすがに最近の方が逞しくなってますね。「トーゲトゲ〜の…」とか言ってた初期のダメっぽいカワイイ感じがまだここでは残ってます。そこが好きというファンもいることでしょうが。この人のナニヌネノの発音が凄くユニークだということに気付いてる人いませんか?

  5月1日
収穫はなし。さて連休、泊まりがけで出掛けるでもしない限りダレるだけ。普段ダレることさえ出来ない人達のためのお休みですね。ダイヤモンド・ダレルからダイムバッグ・ダレルへ。PANTERAお好きですか?私はそこそこです。そういえば昨日大須でタクシーから降りてくるドン小西を目撃しましたよ!!

【只今のBGM:THELONIOUS MONK「PLAYS DUKE ELLINGTON」】


モンクがエリントンなら悪くない筈!と思って買った品です。世間での評価は「モンク初心者には聴きやすかろう」てな程度だそうで、確かにこれが真髄ではないからそれでいいんだろうけど。USブルータルデスみたいなびっくり踏み外しフレーズを繰り出さずとも、古めかしくてイボイボしたお笑い系のノリで充分この人らしさは味わえると思うんですがなー。そのへんでエリントンナンバーとの相性もばっちり良い気がします。エンジニアがルディ・ヴァン・ゲルダーで、55年録音の割にプロダクションはなかなか良好。ただでさえトリオ編成のところを更に音数少なめに演奏しておりますが、ちゃんと気持ち良く間がもつように録れてます。何の畑か知らんけどジャケのイラストも良い感じ。ファンというわけではない人でも「らしくない」という理由だけでスルーしてしまっては勿体無い作品なのではと思います。

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