物色日記−2004年6月

※頻出語句解説はこちら
  6月30日
本日の収穫、本店にてJIM HALL「CONCIERTO」(リマスター)、THELONIOUS MONK「5 BY MONK BY 5」(59年、チャド・ジョーンズ参加クインテットアルバム)、STIFF SLACKにて全て新品でTRAINDODGE「THE TRUTH」、JEN WOOD「NO MORE WADING」「THIS UNCONTAINABLE LIGHT」(今は亡きTREEリリースの廃盤2枚、デッドストック限定入荷もの!)、そして何と3000円以上買うとタダでつけてもらえるというV.A.「POLYVINYL 2004 SAMPLER」。STIFF SLACKの店舗に足を運ぶのは2度目でしたが、アマゾンで引っ掛からないものが普通にあったりするし中古も若干置いてあるし、じっくり物色しがいのあるイイ所ですよ。内装オシャレだし。旧円盤屋に世話になってた人、金山GROOVE!2階が消えて嘆いてる人も、是非行ってみて下さい。

【只今のBGM:TRAINDODGE「THE TRUTH」】


待望の新作は何と普通に2枚組!!ワールドワイドでのオフィシャルリリースが9月頃に予定されているはずのものを、名古屋のSTIFF SLACKがレーベルと直接かけあって50枚だけ入荷に成功したのだそうです。いやーもうこれが2004年とは思えない、QUICKSANDやSEASON TO RISKあたりを三日三晩煮込んだような、ダウンチューニングがグッと響く激熟シブシブ男気へヴィポストコアになっていまして、最高です!若気の至りっぽく色々詰め込む代わりにストレートなグルーヴとそのスキマが多くを語るという、OSWEGOにも似た達観ぶりと広範なアプローチ。あるいはUNSANEがBLUETIPになったらこんなんでしょうか。明らかに成長株だったとはいえ突如恐るべき貫禄を身に付けたものです。太く歌い上げるヴォーカルも何だか器用になったイアン・マッケイみたいで説得力充分。今回はシンセが結構大胆に入ってるんですが、MINUS THE BEARみたいに全然要らないのに無駄に存在を主張するような真似はせず、然るべき箇所に溶け込んで上手く雰囲気を作るという好ましい登場のしかた。漢(おとこ)らしいなあ。些細なギミックはいいからとにかく凄くウマイうどんを生醤油で食うんだ、的な感じでいきたい諸兄に自信をもって猛烈プッシュ致します。強力。

  6月29日
▼ノーノノno more mosquitoes、本日の収穫、本店にてFARMERS MARKET「FARMERS MARKET」(2000年3rd)、ART PEPPER「THE TRIP」(76年CONTEMPORARY、エルヴィン・ジョーンズ参加)。卓上扇風機につい憧れてしまう人々よ、決め手は作動音/振動の大きさですよ。近づいてブーンと言い過ぎてないか確かめてから買うべし。

【只今のBGM:FARMERS MARKET「FARMERS MARKET」】


横ラベルにはFARMERS MARKETとだけ書いてあるのでバンドのセルフタイトル作ということなんだろうと思ってますが、ジャケには中心人物のアコーディオン(およびバンジョー)プレイヤー、スティアン・カシュテンセンの名前が書き添えてあってアマゾンでも名義はそっちになってるようです。何はともあれ体力派バルカン高速変拍子闇鍋ジャズロックバンドの3作目。今回はTVのザッピングを思わせる秒刻み人力カットアップも、オヨオヨヨと唸るお笑いヴォーカルもなく、バルカンに帰化して若干ラウンジぶることも覚えたSAMLA MAMMAS MANNAてな調子でいってます。半ばトレードマーク化していた各種飛び道具を捨ててしまったのは旧来のファンにとって少々寂しい変化なのかも知れませんが、その分我流サウンドに本腰を入れ始めたということで評価したいところ。この笑える微塵切り変拍子だけでも充分飛び道具的ですし。オチャラケ系レコメン、FIVE STYLEあたりのカリプソ〜ブルーグラス派ポストロックジャムバンド周辺なんかが好きな人にとっては割と衝撃的だと思います。全メンバー超絶に巧いけど95年に電話口オーディションで電撃加入したというトリフォン・トリフォノフのクラリネットがひときわ光る。

  6月28日
収穫はなし。今年の夏の離宮はもう訪れましたか?今日は遅めの昼食がたたって、勝ちを収めたとは言い難い結果でした。遵守すべき掟とオプショナルな楽しみ方は以下のとおり。1)飲み物は一回につきジョッキ半分以下まで。2)氷は細かく溶けやすいので、頻繁に席を立つのが億劫ならあらかじめ多過ぎるくらい多めに入れるべき。3)空腹に負けてカレーを盛らない。ココイチ気分でフライ系をトッピングしようものなら残りのキャパを一気に消費するので極めて危険。4)蕎麦は口直しとして第2セット以降に。※今年は冷蔵庫に温泉卵があるので月見蕎麦が自作出来る。5)串かつ、どて煮の味噌、サラダのレタスでどて串かつが自作出来る。※その他たこ焼きなども、間際に用意された専用たれに惑わされない。以上を心得て皆様、3300円/2時間を勝ち抜いて下さい。栄のメインストリートのあちこによく出没しているインストフュージョンらしきものトリオが今日はちょうどバスターミナルあたりで演奏してて、全く面白くないのに屋上までよく聞こえてきて迷惑だったなあ、奴ら嫌だなあ。きょうび嬉々として"Little Wing"とか和的曲解ブルーズィ〜陶酔気取りで、嘘くさい絶叫チョーキング連発で演奏されても、君達本気かと。雨降って感電してLIGHTNING BOLTのコピーにでも変更すればよい。

【只今のBGM:LYNC「REMEMBERING THE FIREBALLS」】


元メンバーがLOVE AS LAUGHTER、RED STARS THEORY〜764-HEROなどに行っているオリンピアのバンドのシングルコンピ。KとTROUBLEMANのコ・リリースという変わり種です。更に投げやりにした初期FUGAZI+K系疾走ローファイメロディックパンクくずれポップ、てな微妙な塩梅で、90年代前半のプロト・エモとしてはなかなか興味深い音楽性。まだそんな括りもなかった時代だし、当人達もピンポイントでどうこうしようという意識はなかったようで、時々突拍子もなくMINERALかBRAIDみたいな曲も平気で混じってるのが面白いです。もっとマトモなプロダクションでCRANKY!あたりから売り出してもらえば今頃ETHEL MESERVEか、上手くいけばBOYS LIFEくらいの扱いは受けてたろうに、かたち整わぬ者のオリンピア・ソウルを取ったということなんでしょうか。それはそれ、愛せます。というか普通にグッとくる名バンドとして語られてもらいたい。

  6月26−27日
▼二日とも収穫はなし。今年の夏はタンポポコーヒー作ってみたくないですか?

【只今のBGM:HAMPTON HAWES「EVERYBODY LIKES HAMPTON HAWES: VOL.3, THE TRIO」】


名古屋は久屋大通東側「喫茶ゆり」のタンポポコーヒーのあの甘味はナチュラルなものなのか、ハチミツか何かが入っているのか、チコリ・ブレンドなのか、数日間ずっと気になってるので今日はこの盤、馬さんのワニさんです。優しくて調子のよいスタンダードをずらずら収めたこれぞ西海岸バップなトリオ作。ピアノって何をもってピアノの音とするかイマイチ難しい楽器ですが、CONTEMPORARYリリースすなわちロイ・デュナンがエンジニアとあって狭めかつ遠めの、若干ぼやけ気味ながら加工感のない録音になっています。でその上にドラム、下にベースがキレイにはまって全体としてちょうどいい塩梅と。さておき演奏の方、独創的な解釈だの緻密なアレンジだのとは言い出さないど・バップ・スタイルで、テーマもそこそこに俺2コーラス!ベース1コーラス!ハイ戻るー!みたいな潔さ。繊細過ぎず力強過ぎず、膜一枚分押し殺したような抑揚の下にコツッと出る軽くも鋭いノリが愉しい人です。ジョリロリロンと駆け上がるフレーズがやけに多いのは愛嬌ということで。入門者向けのツカミには欠くけど、気楽に聴き通しやすい方の部類だと思います。

  6月25日
本日の収穫、バーゲン中のバナナレコード栄店にてBJORK「LIVE BOX」、+ONE「BARE NECESSITIES」(DEFOCUS)、バーゲン棚からサニーデイサービス「愛と笑いの夜」。バーゲン品のサニーデイは、そんなに汚くないじゃんと思って買って袋から出したら、初回限定についてくるスリップケースの接着面が綺麗にぱらーっと剥れていたというオチ。なるほどね。

【只今のBGM:BJORK「LIVE BOX」】


もともと5000円近くで置いてあったものがバーゲンで20%=1000円ほど安くなるとあって、それでも悩んだんですが、「DEBUT」期の音源であるdisc1にチェット・ベイカー他大勢の演奏にて有名なスタンダード"Like Someone In Love"を見つけて俄然買う気に。さてこの4枚組BOX、1st〜4thの各時期のライヴ音源をCD1枚ずつに収めたもので、ボーナスDVDもついております。というわけでここにダイジェストを。
 「DEBUT」期のdisc1はそのまんま94年のMTVアンプラグドの模様を収録したものだそう。ハープシコード一台をバックにスカスカな"Human Behaviour"、3管とマリンバ、タブラその他が入り乱れて激アヴァン化した"Aeroplane"など。先述の"Like Someone In Love"はハープとやってます。音数を極端に削ぎ落とした物足りなさの分、御大の歌を堪能して下さいといった趣き。
 「POST」のdisc2は普通にエレクトロニクスを導入して、スタジオ盤を聴いてるのとさほど違和感のないパフォーマンスが中心。曲によってはリアレンジが施されているものもあり。日本人アコーディオン奏者のcobaも参加してまして、1st収録の"Anchor Song"なんかは大胆なデュオ・ヴァージョンになっています。由緒あるシェパーズブッシュ・エンパイアでの録音だそうで。
 「HOMOGENIC」のdisc3はばらばらの公演地・公演日のものを集めた内容で、全曲のバックバンドは10人編成のアイスランド人弦楽隊+マーク・ベル(LFO)、と書いてありますが本当でしょうか。となるとマーク・ベルはどの程度リアルタイムで自分の手を下してるんでしょうかね。もっとガラッとストリングスアレンジになってるかと思いきや、土台になるトラックはもっぱら非人力でその上にカラオケっぽく弦も乗るという感じの曲も多い。"Joga"とかはさすがに生で聴いたら相当有り難いんでしょうなあ。ここでもラストは"Anchor Song"。総ストリングス化されていてやっぱりなという感じ。
 そして最新「VESPERTINE」のdisc4はアルバムのツアーからの抜粋とだけ書いてあって詳細は判りません。MATMOS+ジーナ・パーキンスの職人3人と、11人クワイア、そしてIL NOVECENTO ORCHESTRAなる大楽団を引き連れてのいずれも激大規模な会場での演奏のようで、クラシックのコンサートのように拍手がサーッと細かくて高いのに軽く引きます。聞いた話だとこの時期のライヴではMATMOSがリアルタイムで各種物音類をサンプリングしては手を加え、ということをやりまくるそうで、確かにそんな感じの複雑系エレクトロニクスが随所で聴かれます。それと同じ比重でオケも自然な活躍ぶり。前3枚での実験がそこかしこに消化吸収された跡がちゃんとあって、BJORKの妄想世界の音像化としか言いようがない不思議サウンドスケープがここへきて完成したかという感じです。アンサンブルの中で瞬間を戦う、ライヴらしい緊張感はこれが最も高め。ちゃんと客席から見届けたならホントに圧巻なんでしょう。CDでも聴き応えあります。映画に提供した"I've Seen It All"もやってます。
 5曲収録のボーナスDVDはウチでは見れないので今回はパス。これを見てこそここまで書いてきた想像の数々正体が全て明らかになるってもんなんでしょうけど。切実な話として、DVDプレーヤ下さい。

  6月24日
収穫はなし。なんか最近またHOTMAILに来る英語圏からの迷惑メールが増えませんか?本日のお便りの中からナポレオン・フィッツジェラルドさん「フロリダで4日間無料バカンス−どうやって?」、知らない。リンゼイさん「Re:ドアを開くのが恐いの?」、場合により。ベイブちゃん「私のXxXXを見て」、ホントにー?ヨシエ・コルターさん「今すぐ借金から免れよう!」、いいね!

【只今のBGM:PAT METHENY「WATERCOLORS」】


アーティスト名/アルバムタイトルよりECMのロゴの方がでかいのがカッコイイです。ECMはそこが好き。さて内容の方、この人の77年のカルテット作ということで容易に想像がつくとおりの、ギター版キース・ジャレットだったりインストなスティーヴィー・ワンダーだったりする、「滑らかさ」を「引っ掛かりのなさ」とするならば完璧に聴き所のないくらいスム〜スな和みハイソ・フュージョンをやっとります。ノンビート・スピリチュアルまがいの曲やアコギ一人演奏トラックも収められた、ミュージシャンシップを追求してるフシのあるつくりで、商業的プロダクツ然としたな嘘くささはないのでこれはこういうものとして聴けます。ビル・フリーゼルとの共演作(って最近の話ですが)のようなアメリカーナテイストも、初期ボブ・ジェームズ的な小っ恥ずかしさもなく。これがギターインストフュージョンの王道なんでしょう。それにしても77年にして既にジョージ・リンチよりジェフ・ワトソンより速くてフラッシーなリードを弾いとる訳で、上手いなあ普通に。

  6月23日
収穫はなし。吉野家のカレー丼って店によって出し方がかなり違ってビックリです。盛り方からトレイの形状、福神漬けの添え方まで。一日5件くらいハシゴして確認して下さい。

【只今のBGM:A GRAPE DOPE「MISSING DRAGONS」】


HEFTYのコンピで聴いた気がする人のGALAXIAからのEP。ジョン・ヘーンドンの一人ユニットだったとは知らんかった。GALAXIAはトレードマークのトリがカワイイんで卑怯です。さて内容はというと、SAVATH+SAVALAS直系のアーバン・クール・半生トロニカ。軽ーくHIPHOP入ってるあたりもスコット・ヘレンじゃんと。というかそれってHEFTYじゃないですかと。GALAXIAってトミー・ゲレロの流れのラウンジーなカラーのレーベルだと思ってたんですが(思い込み?)これはそうでもなく。気楽なソロユニットだからなのか、気合入れた珠玉の名トラック群!というよりはこんなんやりました的なものの集積といった感が強く、聴く側もユルい気持ちでたらっと身を晒していればOK。ロブ・マズレクの訳わかんない音響実験垂れ流しソロ盤とかよりよっぽど聴きやすいので、TORTOISE関連をコンプリートしようと思うけどハズレるの嫌だなあという向きは安心して買って下さい。

  6月22日
収穫はなし。久し振りに聴いたFOLK IMPLOSIONの3枚目が当然の如く最高だったのでこれまた久し振りにloobiecoreをチェックしてみたところ、新たなソロ作品(名義がルー・バーロウなのかSENTRIDOHなのかは不明)のMERGEからのリリースが現実的になってきてるそうです。MERGEかー。出たらまた来日してくれませんかねえ。mapさん、ここはひとつ…!

【只今のBGM:SYMPHONY X「SYMPHONY X」】


ダサい…ジャケが。アンドレアス・マーシャルがガツンと名画を描いて東芝あたりからばばーんと国内盤が出てりゃもっとメジャー感があったろうに、まあしかしゼロ・コーポレーションはこの人達を発掘しただけでもメタルシーンに功を残せたというものです。94年リリース、衝撃の1st。初期イングヴェイに顕著だった独特のあやしいダンス感、ACCEPTばりの脱臼転調、QUEENチルドレンなコーラスワーク、DREAM THEATERの1stの系譜を正統に引き継ぐ激テクスラッシーギター&冷涼シンセの身がよじれる絡みと転落事故的曲展開など、通好みのキモチ悪さをあらかた取り揃えた究極の裏様式美プログレネオクラシカルワールドが、デビュー作にしていきなり大成しているという異常事態に、当時誰もが度肝を抜かれたものです。加えてイェンス・ヨハンソンのようにレガートで猛スピードで、気色悪い変態スケールをパーフェクトに弾きこなすマイケル・ロメオのギターがこれまた凄くて、新世代ギターヒーローとしての名声を確立したばかりだったジョン・ペトルーシを早くも脅かすようなインパクトがありました。強烈過ぎる独創性ゆえ後の流れが続かなくてイマイチ語り草になりきれないところがある気がしますがANGRAのデビュー作と並んで90年代前半の最重要な記念碑的作品として記憶されるべき。2nd以降はアメリカンな歌い回しの上手いシンガーに交代して、音楽的にも若干親切な泣きというものをたしなんでいくわけですが、ヴォーカルラインがジェフ・スコット・ソートかグラハム・ボネットにしか聞こえないこの声(声質自体はあんまり似てませんが)でひたすらアングラ趣味を追求し果てたこの1stはやっぱりどこかスペシャルな感じがします。なるほどマニアがとりわけ推薦するのも納得。だけど入門者は3rdからどうぞ。

  6月21日
本日の収穫、上前津サウンドベイにてTARWATER「DWELLERS ON THE THRESHOLD」(02年作!新品値下げ1260円にて)、A GRAPE DOPE「MISSING DRAGONS」(ジョン・ヘーンドン一人ユニット、GALAXIAからの03年作EP)、BEAT HAPPENING「JAMBOREE」(92年リリース)。鶴舞DAY TRIPにてマニ・ノイマイヤー観てきました!いやはや奇天烈ドラム魔人でありました、笑った。助っ人4人を迎えてのセッションタイムは助っ人達の非力ゆえ相当イマイチだったけど、もっぱら一人ステージの方に沸かせて頂きました。ヘンな笛やら幼児用のトリのオモチャやらを駆使して人力擬似ジャングルごっこに興じるわ、ステージ上対客席で大卓球大会を始めるわ、もはや何の催しか判らん一大娯楽ショウでございましたよ。あの近さで観れたのは本当にラッキーだったなあ。観なかった人は悔やむべーし!

【只今のBGM:URTHONA「MIRRORED」】


今日の前座に出てた名古屋のURTHONAです。これは物販で買った6曲入りCD。過去に何度か観たことがあり、なかなか好きだったんですが、今日は何だか以前よりビシッと来る曲を沢山やっていて、冗長さが大幅に排されて不穏な変則リフが鋭く絡むグレイトなバンドになっててやけに燃えてしまいました。普通にダブルヘッドライナーだったことにしてもいいくらいカッコ良かったなあ。プログレ的な重厚長大な妄想感が割と幅を利かせてるあたりはちょっとTHE CANCER CONSPIRACYらへんを彷彿とさせます。何といっても右チャンネルのギタリストのチャーリーさん(サンディエゴ在住経験有りのアメリカ人)のどうにも天然なフレーズの数々の説得力が壮絶。激タイトなリズム隊に対するギターの適当なモタリ具合もいい味でして、ストイックなはずなのにユルくてユーモラスな空気漂うマスロックというユニークな塩梅に。SOUTHERNかSIX GUN LOVERかそのへんから当然の如く出ててもらいたい感じ。完全自主録音っぽいのにパフォーマンス・プロダクションともに良好で、インディーくさいもどかしさは特にありません。試聴してみたい方はバンドのオフィシャルサイトをチェックです。リンクページに名古屋のバンドに混じって何故かHOT SNAKESがありますが地元の友達ってことなんでしょうか。ともかく貴重な名古屋の宝として皆様大事にしましょう。

  6月20日
収穫はなし。最近どうも宅録をする気にならないのは、気分的にフヌケてるからではなくて作業スペースのエントロピーが極大化してるからかもーとか思って、掃除がてら犬録音ステューディオを軽くリニューアル致しました。下図!

まあ、これ見てわーって思うのは自分だけなんですけどね。どんだけキタナかったか、無駄が多かったか知らないでしょう。RATがD-12に直でつながってますが、D-12内蔵のアンプシミュレータと割と相性が良くて、バンド内デモ用程度なら充分聴けるクオリティになります。写りきってない正面のポスターは87〜88年頃のANTHRAX。中学時代に古本で買ったMETALLIONについてました。

補足として、上の写真だと判りづらい「SURE SM57と曲がるスタンド」の単独ショットを。大型クリップで適当なところに挟んであとは先をグニャーンと曲げられるこんなスタンドをコメ兵で見つけて先日買ったんでした。これから活躍する予定。ちなみに机は小学校にあがった時から使っているイトーキ学習デスクです。ライトが斜めにせせり出してくるメカニックの大事なところが折れてしまって、つっかえ棒が立ってます。

【只今のBGM:AMERICAN MUSIC CLUB「HELLO AMSTERDAM」】


元祖スローコアフォーク?と言われてたような…てな程度の記憶で、あと多分安かったから、買った1枚です。調べてみたところ活動開始時期は意外と早く80年代前半にまで遡り、元メンバーは現在SUN KI MOON(RED HOUSE PAINTERSのマーク・コゼレクの新バンド)にいたりするとか。うむ。しかしこの95年の6曲入りEP、堂々のREPRISEリリースなだけあってか、無茶苦茶垢抜けててしかも元気。歌う感じは確かにスローコア映えしそうな雰囲気もあり、遅ーい曲で泣かせてた時期もあったんでしょう。普通にポップで大変よいですよ。プロダクションも堅実で好ましい。PERNICE BROTHERSが歳食ってやけにロックなアルバムを作ってみたらこうなるかも。と思いつつ書いてたら途中、来ました!EPIC SOUNDTRACKSみたいなのと歌の巧いDAKOTA SUITEみたいなのが。こりゃ確かにメジャーものとして聴いていいのか否か微妙。GEFFENがアングラオルタナバンドを青田刈りしたりジェフ・バックリーがあんなんだったりした、正にあの頃の空気ですわ。なんか得した気分だなあ。ルーツオルタナ再評価からも漏れてそうな人達っぽいので安く見たら買いでしょう。

  6月19日
本日の収穫、本店でBILL EVANS「THE PARIS CONCERT EDITION ONE」「THE PARIS CONCERT EDITION TWO」(リマスター)、PAT METHENY「WATERCOLORS」(77年)、CHICK COREA「THE COMPLETE "IS" SESSIONS」、栄店でWITCHERY「SYMPHONY FOR THE DEVIL」(SEANCE〜THE HAUNTEDのパトリック・ヤンセン別バンド!01年作)。ビールと友達になろうキャンペーンを諦めてからというもの、逆にそんなもん気分に応じて乗りこなしてりゃいいじゃんというスタンスに落ち着いて、近頃ビールないしアルコホルに対してやっと真にポジティヴになれてきている次第でございます。カクテルでもサワーでも何でも中ジョッキ2杯で快適に離陸が完了してそれ以上は行く必要がないことも判りました。そういう訳でさぁさぁさぁ、名古屋および近郊在住者は今すぐここをブックマーク、毎日チェック!

【只今のBGM:CHICK COREA「THE COMPLETE "IS" SESSIONS」】


もともとは「NOW HE SINGS〜」の次に発表されたアルバムだそうで、2枚組の完全盤として02年に出直されたのがこれです。デイヴ・ホランドとジャック・ディジョネットというアヴァン職人二人に脇を固められての3管セクステット体制。やってることは69年にして既にHENRY COWの先をいくような激アブノーマル現音フリージャズ!複雑怪奇なりにリリカルでもあった「NOW HE SINGS〜」より更に容赦ないフリー攻勢+キメキメクラシカルなトリックもあったりでめちゃくちゃ燃えます。ヤバイ。「BITCHES BREW」効果によって祭祀ミニマルファンク〜エキゾサイケに活路を見出していったその他大勢に染まることなく、あくまで戦うコンテンポラリー・ミュージック路線を邁進しています。アコピとエレピを巧みに乗り換えつつ刺激性の歌心をアブストラクトにたらたら垂らしていくチックさんの冴えっぷりには、天才以外の言葉はありませんね。少々体力要りますが大傑作。

  6月18日
本日の収穫、名駅69にてKATAKLYSM「EPIC -THE POETRY OF WAR」。今月のレビューはプログレ多めですな。↓

【只今のBGM:SEBASTIAN HARDIE「FOUR MOMENTS」】


オーストラリア産美麗シンフォプログレの雄といったらSEBASTIAN HARDIE(一人の人名ではなくグループ名)。75年作のMUSEAからの再発盤です。叙景的かつトリッキー過ぎない楽曲に普通に上手い歌が乗る、聴き易くて人懐こいスタイル。産業ロック的セクスィ〜さ漂うこのシンガー氏はこの手のバンドの中でも逸材なんじゃないでしょうか。EAGLESがCAMELになったらこんな感じなはず!そしてこのスパーンと広がる情景感の、どうにも身に覚えがない空気、これはやっぱり南半球効果?ブックレットを見開くと現れる、山際にさす陽の広大なパノラマ写真の如く、雲もろともほぇーっと上空に連れて行かれそうな感覚が不思議にじんわりとやって来ます。何々ワナビー的なケチ臭さもなく素直に美しさを謳歌するこういうのこそシンフォ系プログレのカガミっす。いやー素晴らしいなあ。英国にCAMEL、アメリカにKANSAS、イタリアにPFM、日本にゴダイゴがいるように、オーストラリアにはSEBASTIAN HARDIEですよ。アートワークを眺めつつ無心に聴けば観光旅行に行ったくらいの充実感。

  6月16−17日
▼スンゴく久し振りにCD買いまして16日の収穫はサウンドベイ上前津にてSEBASTIAN HARDIE「FOUR MOMENTS」(75年)、バナナ大須店でTHE NOTWIST「NEON GOLDEN」、GENERAL MAGIC「RECHENKONIG」(MEGO)。今日17日は収穫なし。栄店バーゲンが来週ですね。だいたい月末にあるのはそうか、給料日すぐ後だからか。まんまと貢いでるな〜自分。

【只今のBGM:GENERAL MAGIC「RECHENKONIG」】


ろくに何枚もCD持ってない分際ですがMEGOのストイック加減はなんか好きです。デジタルノイズにも色々ありますが、プヅプヅしたこういう系統の音はなんか聴いてるだけで楽しいなー。フレーズにならないギリギリ、ビートを成しそうなギリギリの線でスルッと逃げる、魚のつかみ捕り、あるいはデジタル早送りで楽しむサイバーつげ義春(?)のようなノイズ・エレクトロニカをやってます。DISCOMあたりより更に偶発性高めっぽく、アートとゴミの間を彷徨うテキトー具合にとにかく耳を奪われっぱなし。リチャード・ディヴァインのように攻撃的でもないし聴きやすい部類なのでは。こういうのって、愉快なのはもっぱら楽曲的ストラクチャから開放された末端のニュアンスの連続なんであって、そう思うとノイズ・マニアが往々にしてジャズ・オタクだったりしがちなのも納得のいく話ですね。

  6月15日
▼まだ収穫はなし。えらい前からこんなの梅雨じゃんって感じだったのに今頃やっと梅雨入り宣言かよ、と思ったそばから梅雨の中休みかよ、と気象庁および気象自体にツッコミを入れている本州住民が多数いるかと存じますが、そんなことより「アイスガイ」に押されかけてリニューアルした現行の「パピコ」に以前のもっとざりざりだった頃の味わいがもはやないことの方があさましいじゃないですか。気のせいか?

【只今のBGM:FONTANELLE「STYLE DRIFT」】


KRANKYの老舗看板バンド・JESSAMINEのメンバーがいるユニットの、恐らく3枚目のアルバムです。「GET UP WITH IT」らへんの電化マイルスを更にしっとり寝かせたかの如き、TIED + TICKLED TRIO系の音響ジャムバンド・テイストな激薄ジャジーポストロック。いや激薄というのは過去2枚の話、この作品では「静謐なるハイテンション」という塩梅をカッコ良く体現するに至り、何だかとても名盤の予感ですよ。人力エレクトロニカ色が濃くなったと言えば簡単ですが、しかし潔癖で野心剥き出しなTORTOISE(「TNT」以降)とも、オチ度外視・ミュージシャンシップ優先型の初期EUPHONEとも違う。MILSよりはビシビシと生演奏らしい緊迫感が出てるし、MICE PARADEより良い意味でもっと曖昧。つかず離れずのユルいアンサンブルが展開するでもなくゾル状に変容し続けるこんな頑張り方はそうそう他にないのでは。ポストロック・コミュニティが成熟の果てに産み落とした充実の王道ハイクオリティ作なんて言ってしまってもよいでしょう。手放しで絶賛、全員買い。

  6月14日
▼またまた収穫はなし。CD買わなきゃ。いや、CD売らなきゃ…。

【只今のBGM:KRAAN「KRAAN」】


活動時期が長かった割にはそこまでメジャーではないジャーマンサイケバンドの72年1st。私が持ってるのはEMI ELECTROLAからのしっかりしたリマスターです。GONGのSFノリをHAWKWINDの妄想宇宙で代用したような、あるいはNUCLEUSや初期SOFT MACHINEにロックな鉄骨を通したような、地を摺る重心の低さとともに軽快な推進感もある快いサイケ〜ジャズロックをやってます。同じドイツでも、米ジャズシーンの先端にアンテナを向けるような賢さをもつEMBRYOとはかなり印象が異なります。あまり陶酔の渦の深みにはまり過ぎず、長い曲であっても変にジッと構えずに聴ける気楽さがあって、何かいいなあ。他の濃い目の有名バンドと比べてとりわけ指摘すべき特徴があるのかと言われると、あんまりないかもってな感じですが、この時代のこういう音に変にラディカルさを求めずとも愛せる人がリラックスして聴くには最適。しなやかで演奏上手くて、プログレのイデオロギーを背負ったジャムバンドてなところもあります。

  6月13日
収穫はなし。最近見たいものはウシガエルです。チェロみたいな音しますよね。"Formentera Lady"(KING CRIMSON「ISLANDS」冒頭曲)のイントロに混じってたとしても気付かない。

【只今のBGM:DEMETRIO STRATOS/MAURO PAGANI/PAOLO TOFANI「ROCK AND ROLL EXIBITION」】


デメトリオは何せ故人ゆえ、CRAMPSからのちゃんとしたリリースのものを見つけるととりあえず全部買ってしまいます。これはPFMのマウロ・パガーニ、AREAに参加していたパオロ・トファーニ、他数名、というゴージャスめのプロジェクトで、ライヴ盤。歓声控えめのミックスで録音状態も良し。このメンツでこのジャケこのタイトル、中身は何なのか大変気になりますよね。古典ロックンロールを地中海プログレ風に料理したりしてるのか?などと妄想を膨らませつつノー試聴(バーゲン中で不可なこともあって)で買ったわけですが、何とプレスリーやジョン・リー・フッカーなどのスタンダードをただただまっとうに演奏するのみという衝撃の内容でした。楽器陣のノリ具合に大陸違い分の違和感は若干あるものの、デメトリオのロックなグルーヴはもー本物です、カッコイイ!そりゃ笛にも馬にもなれるこの人のこと、アメリカ人になるのは造作もないんでしょうか。例の必殺オヒョホオヒョホは後半ノッてくると出てしまってますが、それまでは正攻法のブルーズ・マナーを堅守します。偉いっす。もともとロックをセクスィ〜に歌い上げるのに向いたハスキーで凛々しい声質をしてる人ですからね、こういうことやっても素晴らしい筈です。力んだとき(特に高音)の力みっぷりが誰かに似てて誰だろうとずっと思ってたけどグレン・ダンジグ(MISFITS、SAMHAIN、DANZIG)ですな。DANZIGをゴシックパンクのAREAだと思って聴くとまた楽しみ増えますよ。

  6月12日
収穫はなし。CD買ってないな最近。台風が行ったり来たりで徐々に夏らしさが増す今日この頃、今年の中日ビル屋上ビアガーデン「夏の離宮」は6月21日(月)からやるそうじゃないですか。近い!夢に見るわ。名古屋在住なら1シーズン3回は行くべきッスよ。

【只今のBGM:YOUNG PIONEERS「FIRST VIRGINIA VOLUNTEERS」】


YOUNGにカッコがついてないですがVERMIFORMから出てるし私がもう一枚持ってるのと同じ人達で間違いないんでしょう。サンディエゴの激情番長・BORN AGAINSTの元メンバーがいるバンドの95年作です。意外にもメロディックパンク風の曲で幕を開け、すぐにオチをつけるかと思いきやそんなこともなく、なんだかVAGRANTに連れて行かれたやる気40%減(曲の長さ的にも)のBOYS LIFE、てな趣きです。あるいは普通にDAG NASTYとかそのへんっぽいのかも。さすがに今更モロにはやんないよという対象化感はあります。mid90'sエモ探求に手を染めてる方は多分必携。

  6月11日
▼ウォッカならロシアてな手軽な符号にまみれた昨今の命名事情はさておきまして収穫はなし。円相場を見守り過ぎててアマゾンのショッピングカートがいつまで経っても空かない貧乏性人間でございます。OWEN来る前にEP買わなきゃ。あとこれ余り知られてない情報ですが(私も忘れかけてましたが)GURU GURUのマニさんが近々来日しますよ。名古屋は鶴舞DAY TRIPで今月21日(月)。前売り2000円でラリパージャーマンの生ける伝説です、そりゃ行くべき。

【只今のBGM:ENTOMBED「MORNING STAR」】


BURRN!読者をやめてしまった私は2000年の「UPRISING」までしか知りませんでした。これは01年作。THE HELLACOPTERSとの差別化なのか、単にニッケ・アンダーセン色が抜けただけなのか、無骨ロッキンテイストはそのままに重量級デス帰り路線も相変わらず驀進したエネルギッシュな作風になってます。「PANTERA以降」な判りやすさのスキマに生来の血臭さがずんずん滲み出るリフ・メイキングはホントいつも奇跡。オリジネイターはどう転んでも説得力が違います。突然変異的大名盤「WOLVERINE BLUES」のひらめきを匠の技で代えてクオリティを対等に保った、ヴェテラン現役の仕事としては理想的な姿の一つなんじゃないでしょうか。北欧デス界のBURNING AIRLINESですな。L-G・ペトロフ君もどんどん貫禄を増して、そろそろジェイムズ・ヘットフィールドやフィル・アンセルモと並び評されてもいいところに来てる気が。もはやミッシェルやブランキーが好きという人にも聴いてもらいたい。暴力的なロックのカタルシスってこういうことでしょうに。

  6月10日
▼大学(くどいようですが卒業済み)の近くにあるという理由だけで村さ来は結構通わせてもらってますしかも長年。春夏メニューの新顔「冷やし担々麺」が大変秀逸ですので、一度お試しを。収穫はなし

【只今のBGM:LARRY YOUNG「UNITY」】


65年録音、ジョー・ヘン&エルヴィン・ジョーンズ(あと一人ウッディ・ショウという人)参加作品。オルガニストは足でベースラインをこなしながらよく手もちゃんと動かせるなーとそれだけで関心してしまいます。やっぱりアップライトベースのボンッと立ってズヌーンと抜ける低音成分は補いきれず、全体のバランス的にやや寂しい気がするのですが、オルガンでベースをやると実際の音場でもこのように響くものなのでしょうか。内容的にはエルヴィン・ジョーンズのパシパシ舞うポリリズム乱れ打ちが映えるハードボイルド系。ショーター的ダンディズムともハンコック風リリシズムとも違う、激!な感じです。すなわちIMPULSE!初期のコルトレーン似ということか。ラリーさんは「オルガンのコルトレーン」と言われとるそうですが、乗り移ってるとか心酔してるとかじゃなくて近い方向にあるってだけな気がします。音量によるタッチの抑揚がつけられない(遅い自動トレモロはかかっているようですが)ポーカーフェイスな楽器なだけにか、全編ことさら硬質極まりなし。若かりしトニー・ウィリアムスのソロ作ほどとは言わないまでもそれに近いハイテンションでズドォッと駆け抜ける一枚。

  6月8−9日
▼両日とも収穫はなし。後日註ですが8日もレビューだけ先に書いてPCの前で寝ちゃいました。そうそう、ベビースターの激辛キムチと激辛チリ、暴君ハバネロより容赦ないですよ。お勧め。9日は名駅69が多分バーゲンだったんだろうけどすっかり行きそびれました。ところで伊藤園って質実剛健なイメージで好きです。CMタレントは中谷美紀と市川新之助改め海老蔵だし、自販機で100%オレンジとか売ってるし。最近、看板商品・おーいお茶の「濃い目」なるのが出とるわけですが、カテキンブームで消費者の嗜好がシブくて濃い方向に移っているのを察知しつつ、健康系の売り出し方をせずあくまで「濃い目」と称してるところで既にポイントやや高ですね。内容的にもばっちり想像どおりで、これは当たり、と一度は思いかけたものの、飲みかけにフタをして移動してまたあとで残りを飲む、ということをしたところ、ぬるくなるとその濃厚さが爽やかさの対極にある引っ掛かりと化してしまって、いまひとつヨロシくない感じになってしまいました。買ったらすぐ飲むか、持ち歩くならサントリー烏龍茶。キャンパスノートに匹敵する硬派な信頼感があるペットボトル飲料はサントリー烏龍茶だけって気がしません?

【只今のBGM:MILES DAVIS「SOMEDAY MY PRINCE WILL COME」】


モードに覚醒してからショーター監督を迎え入れるまで、ギル・エヴァンスとタッグを組んだりしてみていた頃の非オーケストラ・アルバムです。61年録音。キー+5度のルートが執拗に鳴り続ける(オールEの"My Favorite Things"ほどではない)表題曲イントロのアレンジにちょっと戦慄が走りますが、あとは意外とノーマル。それでも新主流派時代幕開けの気合入り直り感が全体を貫いているのは明らかで、完全にそっちに行ききらないあたりも含めてRUSHでいうなら「HEMISPHERES」、OVERKILLなら「HORRORSCOPE」くらいの雰囲気でしょうか。1・5曲目のみで登場するトレーンはもう、マスターしたぜシーツ・オブ・サウンズ、馬から落馬的に俺のマイ・ブーム!とばかりに"Highway Star"の16分上昇フレーズを思わせる高速ミニマルチャルメラをプパポポプパポポと披露。エルヴィン・ジョーンズで聴きたいスパニッシュモード気味の怪しい5曲目は完全に独壇場ですね。この時期の他のモニュメンタルな有名盤をひととおり聴いた上で敢えてこのアルバムを一押しする人の気持ち、わかります。

  6月6−7日
▼両日ともに収穫はなし。6日は引き続き大学祭。学生ノリ・廃人ホリデーを満喫してきてしまったなあまたもや。皆様方お疲れさんです。7日はやたら犬をいっぱい見た気がする。

【只今のBGM:VAN DER GRAAF GENERATOR「THE AEROSOL GREY MACHINE」】


VOIVODののメンバーがクリムゾンより好きだというVDGGの、長らく未CD化だった幻の69年1st。ガクガク・スペイシー・アヴァンギャルドだったりオーヴァードラマティック・サイケ・フォークだったり、とにかくよくわからん独立系なバンドですが、その1枚目としては何となく納得。その後のキャリアに対する位置づけとしてはGENESISの1st(「FROM GENESIS TO REVELATION」)に通じるところもあります。すなわち頑固な世界観がまだ確立していないゆえの、エキセントリックになれないカワイイ試行錯誤みたいなのが。ピーター・ハミルの歌唱はあの激演技派語り部的な、現在とあまり変わりないスタイルで既に9割型大成している一方、曲はどれも比較的コンパクト(長くて8分)かつストレートに収められているので、若かりしハミルの唄をプレーンに堪能したい向きには却ってありがたい作風といえるでしょう。プログレって何?ていう人が手を出すにはディープ過ぎるのでやめて下さい。一部のブリティッシュロックの「ふらつき感」を愛する人は迷わずどうぞ。毒々しい色彩のサイケなジャケいいなあ。

  6月5日
収穫はなし。卒業した大学のサークルの学祭ライブにちょっと出てきました。今日はIDAのコピー。一回きりのコピーバンドの名前って結構毎度面白いのをつけようと頑張るんですが、今回はそのまんま「間(あいだ)」にしときました。

【只今のBGM:XIU XIU「KNIFE PLAY」】


座せる全裸男ジャケのアルバムで話題を呼んでいるXIU XIUの5 RUE CHRISTINEからの02年作。コラージュエレクトロニカとニューウェイブ音響歌謡の間をいく、シンセ大活躍ながらも肉体感のある風変わりな音楽をやってます。形式を踏襲しているというのではなく、便宜上そう呼ばざるを得ないというところのポスト・ロックだなあという感じです。不穏なメタルパーカッションや各種ノイズその他にまみれた演奏の向こうに朴訥とした楽曲としてのストラクチャが見え隠れする感覚はかなり独特。んでヴォーカルは意外と真面目だったりします。BJORKがこんなんだったら面白いのにと思わせる場面もあったりで、とにかく新鮮かついきなり快いのが不思議。そりゃ話題にもなるわと。真に未知なものを久々に聴きました。

  6月4日
▼最近、パソコンの前で座ったまま寝ちゃって27時頃に絶望とともに目覚めて布団で寝直すってことがよくあります。大抵は「今日のレビュー、字数少ねえな〜?」とか眠気で朦朧としながら考えてる間にそうなってるっぽいです。それはそうと今日からの今池P-CANバーゲン、私は並べず夕方に行ったんですが、嵐のようなプログレ入荷大放出で壮絶でしたね。本日の収穫KLAUS SCHULZE「IRRLICHT」、MAURO PAGANI/DEMETRIO STRATOS/PAOLO TOFANI「ROCK EXIBITION」、ASH RA TEMPEL「ASH RA TEMPEL」、VAN DER GRAAF GENERATOR「THE AEROSOL GREY MACHINE」、LE ORME「FLORIAN」「SMOGMAGICA」、VICTOR FELDMAN「THE ARRIVAL OF VICTOR FELDMAN」。不勉強のため有名どころだけ買ってあとの気になる連中は諦めてきました。「ユーロロック集成」で勉強してリヴェンジせねば。

【只今のBGM:LE ORME「SMOGMAGICA」】


初期の評判がもっぱら良いイタリアン・シンフォプログレバンドの75年作。徐々にポップ化が進行してるような時期っぽくて、GENESISでも「WIND & WUTHERING」が特に好きという嗜好をしている私にはなかなかツボ。基本的には西欧の薫りをさせつつも、若干英国テイストのフォーキーソフトロックみたいな曲も混じってて、あくまでイタリア語で綴られるこの誤読感が、どうにも爽やかな哀愁をまとっててたまんないです。70年代の無駄にみんなアートだった的な空気は愛せるけどプログレ・ワナビーな重厚長大の異物感はキッパリ無理、ていう向きでも楽しく聴けるバンドだと思います。イタリアのCARAVAN!なんて言っちゃ駄目?ラピュタか何かを思わせるジャケも趣き深くてグッド。アナログサイズで見たい。

  6月3日
本日の収穫、名駅店でKRAAN「KRAAN」(ジャーマンサイケ1stリマスター)、XIU XIU「KNIFE PLAY」、MILES DAVIS「SOMEDAY MY PRINCE WILL COME」(リマスター)、ENTOMBED「MORNING STAR」、パルコ店でBEACHWOOD SPARKS「ONCE WE WERE TREES」、LARRY YOUNG「UNITY」(65年)、KARP「SUPLEX」、RETISONIC「LEAN BEAT」(仏盤)。今やひと月に一度くらいしか行かない名駅店でまたもや友人森田君に遭遇。旧友にバッタリ会うなら街中よりこういう所の方が嬉しいもんです。

【只今のBGM:BEACHWOOD SPARKS「ONCE WE WERE TREES」】


最近のSUBPOPはアメリカーナでフォーキーでサイケドリーミーだったりします。このバンド好きだなあ。アートワークが毎回秀逸だし。THE BYRDSやBEACH BOYSみたいなのを思わせる一種レトロなアメリカーナ・ドリーミー・サイケ・フォークを、リアリティある等身大の若者ミュージックとして今の世に再構築する、ナイスな連中であることです。どちらかというと土臭さが勝るDRAG CITY系のようなシビアさはなく、もっぱら和んでくれまして、これはこれ。最高。こういうののオリジナルな年代のものを腐る程聴いている人にとっても多分それなりに結構楽しいものなんじゃないでしょうか。DS-13とかANGLAGARDみたいなノリで良く出来てます。

  6月1−2日
1日の収穫は今池グレ・ヒにてHIM「INTERPRETIVE BELIEF SYSTEM」、荒井由実「コバルト・アワー」、ELVIS PRESLEY「ELVIS」(99年リマスターベスト)。今日2日はなし杁中マウンテン愛好家の方へ情報あります。コスモスパ、ヤングスパなど、名が体を表さない系のメニューが多々あるマウンテンですが、「オリエンタル」なるスパゲティ、これは凄かったです。すなわちミックスベジタブルと人参、茹でただけのトマト、ウインナー、以上。麺は塩コショウとお得意の油にまみれているだけでノー・ソース/ノー・クリームです。味としてはミックスベジタブルのグリーンピースとトウモロコシのそこはかとない香り。私がマウンテンのマスターなら、雑穀風ベジタブルスパと名乗るなあ。そして客としてメニューにそれを見つけたら決して頼まない。それでも「次こそは、勝つ…!」と一条のはかない望みをかけて多分また行くんでしょう。恐るべき求心力、魔物が棲んでますな絶対。

【只今のBGM:KATAKLYSM「SORCERY」】


カナダの豪腕ブルータルデスバンドの95年作。DEICIDEがスウェディッシュデスのなぎ倒し系バキバキ感を手に入れたような、SEANCEの2ndがもっと乱暴になったみたいな、なかなかシブいスタイルです。本気な人々だけがもつ異様なテンションの高さに圧倒されるばかり。カナダといえばCRYPTOPSYくらいしか知られてませんが、この人達も中堅としてもっと評価されていいんじゃないでしょうか。アマゾンで試聴した限りでは最近のアルバムはよりグレイトになってる予感です。やけにガーッと来ないプロダクションだなと思ったら、録音がかのRUSHが愛用していることで有名なLE STUDIO、エンジニアはスタジオお抱えのモーリン・ハイツ氏とのこと。なるほど確かにドラムだけとか取り出してみると端正にまとまってるものの、肉体感に欠けてショウケースの向こう的な淡白さがあるのがいまひとつ。そういう問題以前に普通に演奏が軽くヘタってのもあるのかも。最近のアルバムを是非ともちゃんと聴きたいところです。ジャケが激ダサなのは御愛嬌ということで。あんまり関係ないですが高音わめき型になる時のデス声が私のと似てます。

最新に戻る 他の月の分を見る
 
トップページ サイト入り口へ
情報と音源公開 制作活動
管理人のことなども このサイトに関して
リンク 冒険
いつも独り言 掲示板(hosted by Rocket BBS)
サイト内検索(google) 不完全
since 07/04/2002    copyright (c) Sugiyama
inserted by FC2 system