物色日記−2004年8月

※頻出語句解説はこちら
  8月31日
▼サウンドベイのバーゲン、9月にまたあるそうです。祝日の23日(木)から26日(日)までの4日間、内税表記に対応してか今回から210円OFF!安レコ狙いがしやすくなりました。バナナ全店バーゲンも確か近かった気がするので我ら日の丸弁当族と化さねばなりませんな。てことで本日の収穫は金山にてMcCOY TYNER「13TH HOUSE」、ツジコノリコ「MAKE ME HARD」、EARLY DAY MINERS / UNWED SAILOR / CHRIS BENNET「STATELESS」、NAD NAVILLUS「NAD NAVILLUS」、THE ANOMANON「SUMMER NEVER ENDS」、LAKE TROUT「ANOTHER ONE LOST」。

【只今のBGM:McCOY TYNER「13TH HOUSE」】


80年録音作。何と14人編成のビッグバンドアルバムです。リズム隊はロン・カーター&ジャック・ディジョネットで、アイアート・モレイラとドン・ウン・ロマンなるブラジリアンの巨匠だという人々も参加。微妙にフュージョン臭が紛れ込みつつも、5度を強調したあの一種荘厳ともいえるコード感を大楽団に担わせ重厚なアンサンブルを構築していて、これはなかなか見事。ブラス隊がブフォーッと重心低い不穏コードを吹き荒らしてピアノがピシャンピシャンと舞えばプログレッシャーにしてみりゃそこはもうMAGMAですよ。"Udu Wudu"のサンバリミックスみたいな曲も入ってるし、マルチマイク録音の非ジャズ感も手伝ってかなりロッキン。マッコイ・タイナーがビッグバンド?って、新主流派隆盛時代の職人っぷりのイメージばっかりある身からするとちょっと想像つきませんでしたが、ナルホド納得です。再演されている「REAL McCOY」収録のバラード"Search For Peace"も映画のエンドロールBGMのように変身。アンビエンス不足のピアノがやけに軽いのとドラムの金物がツキツキと出過ぎなのが少々残念なものの、変なリヴァーブとかは使ってなくて、80年代初頭らしいまだ好感の持てるプロダクションになってます。長い家がずらずらーっと並ぶやけにポップなイラストのこのジャケは何のつもりなんでしょう。実はジャケが一番気になって買いました。

  8月29−30日
▼突然ですが大阪〜京都〜神戸と観光してきました。懸念した台風16号の影響も全然なく平和に。道中ボチボチ行き当たった中古CD屋にも寄り、29日の収穫は高槻市(大阪)の名前忘れた小っちゃい店にてGARY MOORE「BLUES FOR GREENY」、元バナナの人が最近オープンさせた京都トラドラレコードにて三上寛「ひらく夢などあるじゃなし」、STORMY SIX「L'APPRENDISTA」(伊レコメン77年)、じゃがたら「南蛮渡来」(99年豪華リイシュー版)、SUN RA「SPACE IS THE PLACE」(デジパックリマスター)、YO LA TENGO「PRESIDENT YO LA TENGO / NEW WAVE HOT DOGS」(初期作カップリング)、是巨人「是巨人」、SND「STDIO」、本日30日の収穫はJETSET神戸店で新品にてDUMP「A GROWN-ASS MAN」(THIN LIZZY"Cowboy Song"のカヴァー収録!2000年作)。トラドラレコードはホント強力で、荷物が増え過ぎないように泣く泣く削ってコレという感じでした。バナナに近い価格設定も名古屋人には何だか嬉しい。京都にお立ち寄りの際には必ずどうぞ。神戸JETSETは中古あるのはアナログのみでした。でっかいFILE-UNDER?ロゴ入りコットンバッグ買ってしまった。

【只今のBGM:是巨人「是巨人」】


ルインズ吉田達也が「THIS HEATとGENTLE GIANTを足したようなバンドがやりたい」といって始めたという是巨人。99年のアルバムです。何のことはない、THIS HEATっぽいのはペリペリのジャンクギターだけ、GENTLE GIANTってキメキメ変拍子のこと?って感じの、TZADIKが似合う紛うことなきタツヤ・ヨシダ・ミュージックです。リフはあるけど調性まではあやしく、橋田寿賀子ドラマばりに息継ぎナシの固定フレーズ&激(劇)展開が続き、レコメンと比べるには余りに体力バカ派。アングラパンクとプログレがこんな風に結びつくのは日本独特の現象なんでしょうか。録音地となった高円寺コミュニティセンター(!)ってどんな施設?ストーリーテリングを人に任せて自分はデクドコツチボクと叩きまくる吉田達也スタイルはやっぱり健在で、どんな変則拍子でも場を見失わずに進行だけは中心からビシッと仕切るこの感じ、やっぱりシビレます。

  8月28日
本日の収穫アマゾンからの荷物。THE SECRET STARS「THE SECRET STARS」(KARATEのジェフの宅録アコースティックユニット!)、GEOFF FARINA「BLOBSCAPE」、BATTLES「EP C」、CAT POWER「MOON PIX」(ミック・ターナー全面参加作!)、THE SONORA PINE「II」(タラ・ジェーン・オニール在籍、ポストRODANルイヴィル暗黒コア!)、SKULL KONTROL「ZZZZZZ...」(CIRCUS LUPUS〜MONORCHIDのメンバー在籍!TOUCH & GOリリース)でした。うーん充実。

【只今のBGM:THE BOOKS「THE LEMON OF PINK」】


TOMLAB発、和みコラージュフォークトロニカ。アコギや弦楽器(生かどうかは怪しい)、人声を闇雲にブチ込んではブッタ切ってアコ・デジな人懐こい異物感をバシバシ醸し出す、YO LA TENGOやPINBACKをMEGO風にカットアップしたようなユニークなスタイル。和みエレクトロニカといえばのMANITOBAやMANUALあたりの流れとは似てるようで全然違って、むしろDISCOMを限界までコマーシャルにしたような感じです。電子音楽界をその先端で戦うような緊迫感は前面に出ず、至極アーティスト性の高い創作ではあるけどもあくまで人のために作られた情緒ある音として伝わってきます。これはなかなか。それなりの波はあるけどイマイチここぞという大波、ツカミどころを設けきれてない気がするのが、良質なのにズバンとブレイクしない理由なんじゃないかと思いますが、当人の居直り次第でいきなりキラー・アルバムを届けてくる可能性も全然あるので存在は気に留めていようと思います。センスは信用出来る。親日家っぽいとこもちょっとイイですね。「気をつけてくださいよ〜」とか言われても…

  8月27日
本日の収穫、ナディアパーク内ヤマギワソフト中古コーナーにてオフコース「THREE AND TWO」「WE ARE」「OVER」「NEXT」(いずれも525円にて!"さよなら""言葉にできない"他名曲多数!!)、HEAVENLY「OPERATION」、バナナ本店でJACK JOHNSON「ON AND ON」、同栄店でSND「TENDER LOVE」、THE BOOKS「THE LEMON AND PINK」(TOMLAB!)。現在バナナは恒例のマルフク券配布中です。ヤマギワは頭悪いんだか何なんだか、有り難いな〜。

【只今のBGM:オフコース「OVER」】


81年。"心 はなれて"のストリングスインストに導かれてパカーン!と咲く"愛の中へ"イントロの快晴ツインリード、これは"The Hellion"〜"Electric Eye"と並べても遜色のない名展開!素晴らしい。続いて鈴木康博が歌うメロウな"君に見おくる歌"も最高。本場欧米の第一線AORをしっかり習熟して何らの国産的違和感のない楽曲作りから、風情あるエレピを効かせたしっとりアレンジから、もー全部お見事すね。4月5日のこの欄でも別の作品を絶賛してしまいましたが、この人達は本当に懐かし歌謡だとかいう色眼鏡なしで評価すべき。日本のJOURNEYと言われていたことがあるかどうか知らないけどもそれくらい言われて然るべきでしょう。(ちなみにゴダイゴは日本のCARAVANと呼びたい。)小田和正いい声過ぎ、一方松尾一彦はやっぱりゲイリー・バーデンだなー。小田和正は詞を積極的に平仮名にひらいて書くのも印象的です。さてこのアルバムの白眉は何といってもTVCMでお馴染み"言葉にできない"でしょうか。テレビで流れるあのフレーズは実は間奏後のCメロみたいな部分なんですよ。他の曲もおしなべて質が高く、猛烈なポテンシャルの高さを再確認。ヴォーカル入りで最後にリプライズする"心 はなれて"にまた泣けます。ごく初期の音楽性とどれくらい違っているのかは未聴のため判りませんが、流行りに乗ったとか売れたかったとかいう軽さは全く感じない誠実な出来だと思います。実直に生きる男性諸君は全員買って。

  8月26日
収穫はなし。あらまDEERHOOFまた来日確定したのですね。仙台に松本まで廻るとは招聘者も気合充分ですな。名古屋は10月8日だとか。得三で54-71見るの何度目だろか?情報源の十階サンクス。

【只今のBGM:ALLAN HOLDSWORTH「METAL FATIGUE」】


TEMPEST、GONG、SOFT MACHINE、UKなどを渡り歩いたスーパーギタリストなどというのももはや説明不要な孤高の人、85年のソロ作。MESHUGGAHのフレドリック・ソーデンタル曰く「ホールズワースはこのアルバムが一番」とのこと。とはいっても作品によって内容の当たり外れがあるのが想像出来ないですが。例の高速無脊椎ギターが縦横無尽に伸び広がるホールズワース流ハードフュージョンの王道と思われるものをやってます。ヴォーカル入りの曲もぼちぼちあって、それは何だかSTEELY DANっぽい。マトモな調性の曲でもきっちり自分色でしかないのが凄いというかもはや生まれ持った業ですな。全体のアンサンブルに関しては別段実験的なところはなく、ギター・ベース・ドラム、曲によってシンセやセカンドギターが入っているという具合。トレブリーな80'sリヴァーブが少々キツイなー。目玉は今作唯一ゲイリー・ハズバンド(Ds.)を起用しての14分に及ぶ5曲目"The Un-Merry-Go-Round"でしょうか。ソロはソロで完全に自分だけの世界を具現化しててイイというかごもっともなんですが、UKみたいにアクの強い共演者達と戦わせてこそ燃えるって気もします。この人の変な音ばっかり聴きてーよというコアなファンには無問題。

  8月25日
収穫はなし。元気ハツラツ〜?と訊かれて「もフコォース!」と答えるヨン様や、事務的な笑顔で「以上3点で、全財産いただきまーす」と言ってくる飲食店のレジ係を妄想して、時々一人で吹き出すのを我慢出来なくなりそうになることがあるのは危険でしょうか。

【只今のBGM:SHANNON WRIGHT「DYED IN THE WOOL」】


暗めのしっとりSSWとしてデビューした彼女の3作目は戦慄のビリビリ恨み唄アルバム。むちゃコワイです。SHELLAC+BLONDE REDHEADだけどBELLINIではなく躁転中のLOWをバックバンドに従えた山崎ハコ、化けて出たジェン・ウッド。もの静かに弾き語ったりはもはやせず、バンドパワー全開で容赦なく聴き手の神経を圧迫してくる作風になってます。御大アルビニと、ELF POWERやMENDOZA LINEなどを手掛けたアンディ・ベイカー(彼はベーシストとしても全面参加)がエンジニアとしてクレジットされており、当然の如く上質リアリズム追求型ルームサウンドが最高。この陰惨な叙情性はもう、トラッドプログレとかフォークゴシックの仲間に入れるべきでしょう。ULVERのアコースティックアルバムやスローダウン後のBURZUMに心酔できる人、SPYROGYRAが死の淵覗くとこを見てみたい人、脱メタル著しくも決してポップスには成り下がらなかった末期THE 3RD AND THE MORTALが好きだった人は、QUARTERSTICKとかアルビニとか何よと言う前にこれを急いで買って下さい。猛烈ディープ。

  8月24日
収穫はなし。なんか天気が崩れる度に涼しくなってってる気がするけどもう秋到来か?台風17号も16号も早めにどっか行って日本は秋になるがよい。カルピスのビン入りと紙パック入りは微妙に味が違う気がします。本当?求む賛同者!

【只今のBGM:TOWN AND COUNTRY「C'MON」】


「ジャズ、現代音楽、ミニマル、アンビエント、音響etc.を高次元で融合させた、ポストロックという枠組みを軽く超越する新時代オーガニックサウンドスケイプ」なんてよく言うわ、てなバンドがホントーに多い中、この人達はそう形容されてもどこにも虚偽がない、100%アーティスティックでサイコーに美しいチェンバーアンサンブルを聴かせてくれます。つまるところ遅回しのサティ+ちょっとライヒってだけなのかも知れませんけど、ジャズ〜ロック文脈(あるいは人脈)からのオマージュとして評価されるに充分のことはやっています。THRILL JOCKEYから出てる作品でヴィブラフォンがこんなにヤクザに響かない盤は他にそうそうないでしょう。ZNRのようにダークではなく、KLIMPEREIより大人、そんなところ。実はBJORKが1st収録の"Aeroplane"や"Anchor Song"でやってたアプローチと時々激似だけどそれは偶然ってことにしよう。生きた実験性はそんなに含まれていないにせよ聴いて快いように出来てるから全然名盤。同じシーンで同レベルの競合者もほぼ皆無なのでは。

  8月23日
収穫はなし。P-CAN FUDGE今池店が入っている新今池ビルのすがき屋が忽然と消えてて少々ビックリ。昔よく行った所でした。これからP-CANバーゲンの後は向かいに新しく出来たなか卯に行くしかないのか。思えばデフレ競争が激化する前から200円台でラーメンが食えてたすがき屋は、ここへきてお得感を値下げ組にもってかれて損でしたなあ。あの何味とも言い難いスープ、ちょっと好きなのに。

【只今のBGM:MAYHEM「LIVE IN LEIPZIG」】


デッド氏存命時の伝説的ライヴ盤。METAL ZONEをフル10で二つ繋いだようなぞげぞげギター及びぐぼぐぼベース、これは凄い。ブラックメタルというものが元来SLAYERやHELLHAMMER〜CELTIC FROST、POSSESSED、勿論BATHORYなど、メタル界の暗黒の異端だけにインスパイアされた極北の音楽であったことがひしひし伝わる極悪プロダクションです。この盤の目玉たるデッド氏のヴォーカルは、紙を破る音のような地声うなり型で確かに邪悪。MCで「Are you dead, Huh?」ってアンタ…死人は返事出来んがな。バッタバタの突っ込み系なのに何故かいくら突っ込んでも帳尻が合う、ヘタウマなのか何なのかよく判らないけどスゴいブラスト名人・ヘルハマーのドラミングもやっぱり全開です。闇に霞む古城を遠巻きに望むような(ってジャケ写真どおりですが)ホワーッとした不思議感のあった「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」よりも、ブラックメタルらしい狂気性をギチッと凝縮した作りになってるコッチの方が入門者にはむしろわかりやすいかも。ライヴ盤だからといって侮っていたら間違いですよ。重ねがさね音質は極めてアンフレンドリーなのでそこだけ注意。ラストの"Pure Fucking Armageddon"凄いなあ。

  8月22日
収穫はなし。オリンピックはいいとして、万博を控えた名古屋市役所まわりの植え込みは今、モリゾーとキッコロです。

こわいよー。

【只今のBGM:LIZZY BORDEN「MASTER OF DISGUISE」】


解散前ラストの89年5th。オジーバンドに一瞬だけ加入したジョー・ホルムズはもういません。シアトリカルLAメタルとかいう訳の判らない呼び方をされてるのは恐らく日本だけでしょう、TWISTED SISTERやWASP、QUEENSRYCHEなどのバンドの空気をたんまり吸い込んだリアルな80年代正統派〜様式美USメタル(だったはず)です。う〜んもっと初期のドン臭い頃のを聴いてみないと何とも言えない。「OPERATION:MINDCRIME」の成功によっぽど触発されたのか、ほんの数曲を除いてあとはQUEENSRYCHEまんまの曲だらけで、誤読も新解釈もない上に普通にクオリティが高いからそれだけの感想しか持てず。シンガー氏はブルース(・ディッキンソン/IRON MAIDEN)やティム・リッパー・オウェンズ(ex.JUDAS PRIEST)みたいに歌える人材なのにここではジェフ・テイトの真似ばっか。「その時代の空気」以上の意義がある盤かどうかは疑問です。それがひたすら欲しい人にとっては宝なんだろうけど。不当にもQUEENSRYCHEクローン呼ばわりされているFATES WARNINGの方が面白いことやってたと思うんだけどなー。時々入っている「NO PRAYER FOR THE DYING」期IRON MAIDENのポップ系捨て曲みたいなのの方が個人的にゃグッと来ます。ちなみにテリー・デイト録音でプロダクションは上質。

  8月21日
▼鶴舞ファミリーマートでART OF FIGHTINGのTシャツ(同じのを私も持っててしかも割とよく着る)を着用の男性を発見して、相当ビックリしたのですが、その人はOWLSのTシャツを着た私に見られてたことに気付いたでしょうか。アイスもなか1個だけ買っていったでしょう〜。本日の収穫は何となく引力を感じたサウンドベイ上前津にてGOLDEN「APOLLO STARS」(TRANS AMのメンバー在籍!2002年作)、THE FIRE THEFT「THE FIRE THEFT」、SHANNON WRIGHT「DYED IN THE WOOL」。1FではTHE DYLAN GROUPが流れてました。なんかそういう日なんだな。

【只今のBGM:THE FIRE THEFT「THE FIRE THEFT」】


おテンキ不動産もといSUNNY DAY REAL ESTATEのジェレミーの新バンド。アマゾンで流れてる新品は高くて、やっと中古にて入手です。洪水系エモーショナルの金字塔「THE RISING TIDE」がお好きな方ならもう何も言わずに買ったほうがいい、それの優秀な続編。ドドーッと迫る洪水感は浸水後のフヨフヨ感に入れ替わり、うそぉ漏れそー!みたいなあのギリギリな切なさも若干小慣れて丸くなった気がします。そこを年月相応の順当な変化と取るか、マジック不在の鋳型量産盤だと思うかは、確かに微妙な線ですが、総じてポジティヴな評価にありつくだけのクオリティは保っている気がします。SDREを肯定する大抵の人はジェレミー君のこの声に無条件で体がキュンとなるようになってしまっているはずなのでまあ買っとけばいいんじゃないでしょうか。例のファルセットが時々トム・キーファー(CINDERELLA)ばりに凄くなる時があってスゴイなー。縮小画像だと月面に映る影?みたいに見えるこのジャケ、折り畳みデジパックを開いてみると意外な被写体でございました。

  8月20日
収穫はなし。ついさっきまで昔のFIRESIDEとかSTONE TEMPLE PILOTS(!)とかを引っ張り出して聴いてたんですが、90'sへヴィグルーヴってのは今聴いても意外と風化してなくてびっくりしますね。STONE TEMPLE PILOTSなんか本当に不誠実なバンドで、ALICE IN CHAINSやSOUNDGARDENの美味しいところを研究して拝借しまくった、本質的にはWARRANTみたいなのと何も変わらない奴らなわけですが、それでも曲は現金に体が反応するように出来てるという。ロックのあるところに必ずつきまとっていたブルーズ成分を排除/対象化/再吸収し、へヴィ感を稼ぐあらゆるトリックを乗りこなして緊張と弛緩をコントロールすることに皆が皆これほど専念してたのはこの頃くらいのもんなんじゃないでしょうか。ある意味ではロックの純粋なカタルシスそのものに辿り着くアルケミーだったとも言えましょう。その研究の成果を、先人が練り出した金を、忘れてはイカンなと思うわけですよ常々。だから何かと申しますと、夏合宿でHELMETやった(3日前の日記参照)のは良かったなとか相変わらずTRAINDODGEは最高だなとかANTHRAX賢いなとかそういうこと。6弦はDでひとつ宜しく。

【只今のBGM:CANDY MACHINE「A MODEST PROPOSAL」】


最近この手の作品が続いてますが、大量入荷があったからということで。JAWBOXやSHUDDER TO THINKと揃ってメジャーレーベルから出していた割には後から語られる機会の少ない気がするバンドのEASTWESTからの94年作。恐らく2ndです。録音はWGNSにてジェフ・ターナーで、キリッと締まって適度に垢抜けた、94年としては相当優秀なプロダクション。音楽的には初期FUGAZI〜HOOVERあたりまでのDCサウンドを包括したような妙ちくりんポストコアをやってます。VOIVODの影をうっすら感じるのはもはや私が大ファンだからってだけでしょうか。スカスカしてミニマルな展開も多く、骨っぽくもありつつストイックさが勝るようなバランス。97年と言われても2004年と言われても普通に信じてしまいそうな完成度を見せていますが、グランジにまだ血が通っていた時代にこれがどう受け止められていたのか想像も及びません。ワシントンDCを中心にUSハードコアを追っていた人達にとっては最新型ポスト・ハードコアとして納得がいっていたんでしょうかね。こりゃなかなか、発掘の価値ありの逸品です。

  8月19日
収穫はなし。高校の頃、駅と高校の間に毎日見かけた、「グラタンうどん」の看板が目を引いたうどん屋に、猛烈久々に行ったら全然マトモでした。というかローカルTV番組にバシバシ取材されるような店らしい。バス停都通2丁目から環状線ぞいに古出来町方面へ行く途中の西側にある「めんらく」なる所です。名古屋在住の方はどうぞ。オカミさんがせっせと料理する間主人はカウンタの外に立って店内テレビでひたすら野球観戦、とはどんな世帯事情なんでしょう。いや開店前に麺でも打ってると思いたい。

【只今のBGM:TETSUO/BRASS KNUCKLES FOR TOUGH GUYS「STUNT」】


TETSUOはGHOST & VODKAのリズム隊がいるバンド。ドラマーはその後AMERICAN HERITAGEに行くスコット・シェルハマー、ベーシストはJOAN OF ARC〜THE FIREBIRD BANDのエリック・ボーセック君です。でそのリズム隊以外の二人が後で結成したのがBKFTGだそうで。どのトラックがどっち作なのか明記がありませんが、つまりはその二人のディスコグラフィってことなんでしょう。よってどっちの曲も音楽的に大差はなく、CAP'N JAZZとAMERICAN HERITAGEの中間のようなくずれギター・複雑骨折変拍子の激屈折ポストコアをやっています。時々PITCHBLENDE風(すなわちVOIVOD風)のスカスカ不協展開が挿入されたりも。TETSUOの方はエンジンがG&Vなだけあって、あのゴーッと押し流すようなエモい疾走感が底に感じられる気がします。こりゃーカッコイイすよ、JOAN OF ARC周辺のコンプリートを目指す人なら、煮え切らないTHE SKY CORVAIRとかより先に買っとくべき。TETSUO名義で出ている音源はこれだけらしく、伝説的な盤としてFARAQUET/AKARSOのスプリットと並び評されて然るべき存在感あります。

  8月18日
収穫はなし。一昨日久々に会った後輩に、最近どうしてるんですか、アナタの日記には波があって、今はひたすらまったりとしてガーッとくる勢いがない、と言われ、そうか?と思って過去の日記のページから適当に4月を選んで見てみたら、ホントに何かにつけ色々考えたり動いたりしていたようでビックリして、「戦え!何を!?人生を!!」を遵守する気でいた人間が何を日々の生活のクオリティ維持に腐心してるのかと強烈な不甲斐無さに苛まれてしまったなあ。いや実際、雛を孵す親鳥の如く大事に温めるべき日常の色々ってのはあるもんで、そこをないがしろにしては人として元も子もないわけですが、そのことに近視眼になるのは保身無難膠着街道のど真ん中を往くに等しい。近頃飲みの席でイマイチ人の話に食って入る気にならないのも、対外界アンテナを知らん間に低くしてしまっているせいか。年を経てもいつでも最新ヴァージョンでいられるだけのヴァイタリティなきバンドは存続する価値なし、人も斯くの如し。マトモに代謝していかんと腐りますわなー。

【只今のBGM:MULE「MULE」】


RODAN絡み(JUNE OF 44、SHIPPING NEWS他)からMEKONSまで微妙にシブいセレクトが鈍く光るQUARTERSTICKリリースの90'sジャンク〜ポストパンクバンドの92年1st。エンジニアはレナード・ジョンズとありますがこれはアルビニ師の変名だそうで。「SPIDERLAND」以降の実録路線になってからの仕事なので、既にあのドラムサウンド+あのギターサウンドの原型が見られます。ちょっとトレブリーなのに目をつむれば90年代初期的なツラさは全然感じません。さてTOUCH AND GOから出していたLAUGHING HYENASというバンドのメンバーを含むこのバンド、AMGではジョンスぺを引き合いに出したりしてますが、つまるところアメリカン/ブルーズロッキン対象化派ということ。THE DELTA 72ほどあからさまなのではなくて、田舎のTHE JESUS LIZARDといった感じでしょうか。いかにもQUARTERSTICKでしかない激シブっぷりです。ソウルフルとパンキッシュの中間でガナるヴォーカルと、アルビニサウンドが手伝って質量感著しいリズムとで、やけに貫禄充分でカッコイイ。しかもこのドラマーが後にTHE JESUS LIZARDのデュアン・デニソンと共にDK3という硬派インストジャムバンド(これもQUARTERSTICK)を組む人とあって、そういう趣味の人にとっては持ってて嬉しい一枚のはず。

  8月14−17日
▼14〜16日は、卒業した大学のバンドサークルの夏合宿に参加して参りました。冬はスキー場になるようなエリア(行ったのは長野県北志賀高原)の宿が、板置き場みたいな部屋に夏場は機材を運び入れて、バンドサークルの合宿地として営業しているなんてことは余り一般には知られていない事実でしょうか。そこへ行って、合宿中だけのコピーバンドをドサドサ組み、日々練習しつつ最終日にライヴコンパ、という感じのことをやってくる訳です。今年はOBってことで途中参加してHELMETとボブ・マーリーやってきました。HELMET偉大だなあ。夜は当然シッポリとUNOなどをやったりするんですが「場に出たカードと色も数字/文字も全く同じカードを自分が持っていたら、順番を無視して割り込める」というローカルルールを紹介/導入したところ、やけにストイックになってしまって疲弊。あー長野涼しかった、ダラダラした。

▼ということで14・15日と本日17日は何も買わず、名古屋に帰ってきた16日のみ今池P-CANにて収穫ありました。TSUNAMI「A BRILLIANT MISTAKE」(IDAをリリースしていたSIMPLE MACHINES)、BILL FRISELL「NASHVILLE」、STAN GETZ「SWEET RAIN」、BLUE MITCHELL「DOWN WITH IT」の4枚。

【只今のBGM:STAN GETZ「SWEET RAIN」】


「NOW HE SINGS〜」前夜のチック・コリアがメンバーにいる67年作。表題曲はクールなバラードで、普通にアントニオ・カルロス・ジョビンをやってたりもする中、チック・コリアはゲッツの生易しいボッサ路線とは明らかに異質なオリジナルを2曲(一方はその後ソロでも取り上げる"Windows")提供していて、既にヤバイ。色々やってみたものの若きコリアの才気は収まりきらんかった、てな印象です。しかしヴェテランのゲッツはあくまで我流のソフト&ディープな吹きっぷりを崩さず、いずれもブラジリアンかぶれ同士の引き合わせとはいえ違和感があるんだかないんだか。疑問もなくまとまってはいないという点でいつまでも気になる盤って気もします。タメてタメてドッと変速するコリア作の1曲目がスリリングでとにかく印象的。

  8月13日
本日の収穫、久々に大枚はたいて本店にてCANDY MACHINE「A MODEST PROPOSAL」、THE MONORCHID「WHO PUT OUT THE FIRE?」(ex.CIRCUS LUPUS、現SKULL KONTROL!)、PORTASTATIC「THE NATURE OF SAP」、SEASON TO RISK「MEN ARE MONKEYS」(カンザスポストHC名バンド)、TOWN AND COUNTRY「C'MON」、SCRATCH ACID「THE GREATEST GIFT」(THE JESUS LIZARDのデイヴィッド二人在籍!T&G伝説バンド)、DAKOTA/DAKOTA「SHOOT IN THE DARK」、MULE「MULE」(QUARTERSTICK、DK3のジム・キンボール在籍)、ETHEL MESERVE「THE MILTON ABANDONMENT」(TREE、伝説的Mid90'sポストHC!廃盤!)、TETSUO/BKFTG「STUNT」(GHOST AND VODKA他のエリック在籍)。

【只今のBGM:PORTASTATIC「THE NATURE OF SAP」】


言わずと知れたSUPERCHUNKのマックの別ユニット。これは97年作で3枚目だそうです。この人は何やらせても基本的には変わらん訳ですが、このアルバムはSUPERCHUNKより自由度の高いバンド離れしたアレンジも結構出てきて、なかなかポカーンと楽しい盤です。ジャケにプクプクと水泡をあしらってみた気持ちも判る。名曲を探すというよりアルバム/時期ごとのアレンジ/アンサンブル具合を堪能するつもりで買っていくと納得がいくかも。マック君関連は1・2枚くらい残せばいーやと思って売りレコ裁判したとしても、捨てる決定打が見つからず結局全員無罪になる気がします。

  8月12日
収穫はなし。ゴボウとかを入れて頑張って別物にした吉野家と違って牛丼の味でしかないなか卯の豚丼はあまり評価していなかった覚えがございますが、吉野家豚丼の淡白さにも飽きてきたこの頃、牛丼味を思い出すなか卯の豚丼が良かったりしたなあ。ファストフードのインプレを垂れ流すくらい書くことがないならいっそレビューだけにすればいいじゃんという気も確かにしますが、そこはそれ、ビックリマンにチョコレートがなくて10円だったら買うか?と言われたら、そりゃ違う訳ですよ。そういうことでこれからも取るに足らないファストフードのインプレを垂れ流すぞー。

【只今のBGM:AMERICAN MUSIC CLUB「MERCURY」】


93年のフルアルバムでミッチェル・フルームがプロデュース、REPRISEリリース。メジャー感が快い域に留まるスッキリしたプロダクションで93年にしちゃやけにバランスが良い。やるねミッチェル・フルーム。内容に関しては、6月20日のこの欄で取り上げた95年EPと大差ありませんので、繰り返してもナニだしそっちを御参照下さい。ムチャクチャ歌が上手い人ってわけじゃないんだけど、時々ムンッと感情を込めた時の揺れ具合は結構惹かれるものがあります。あーこれ良いなー好きだなあ。今この内容でデビューしてきたとしても充分評価を得るような、しっかりして風化しない出来。

  8月11日
収穫はなし。先週末あたりから、正面から見えない下アゴのへんに2cm×5cmくらいの面積でヒゲを伸ばしてみてます。人知れぬ秘密を抱えて生きてるみたいでこれが結構いい。

【只今のBGM:KATAKLYSM「EPIC -THE POETRY OF WAR」】


これは絶倫。いやーデスメタルは体力と邪気ですよ。ワタシ歌が好きだからー、みたいな自称ディーヴァ共の如きフォーマット踏襲系ワナビーデスメタラーはそのCDを三途の川の向こうまでフリスビーにして飛ばして然るべきですが(上手く投げると戻って来ちゃいますけど)、6月1日のこの欄でも紹介したこのバンド、何に対してそこまでの憎悪を…と不思議になるくらいのエクストリーム・アグレッションで一杯です。キャアキャア叫ぶことを覚えただけの若年ニュースクールHC連中とやろうとしてる内容自体はそんなに変わりがないように見えて、一撃のダメージ度が天地の差。断然リアルですもん。基本的にはCRYPTOPSYばりのトトトト.....という痙攣ブラストがガッツリ牽引するストロングスタイルで、2001年作とあってAT THE GATESをもう少し大袈裟にしたような泣きも結構入ってきています。かつ異常にへヴィなのは何なんでしょうか。ダウンチューニングにしてても身軽な連中は大勢いるのに(DYING FETUSとか)、このバンドは地鳴りの如き迫力で揺さぶってきます。年の功か。ブラックメタルバンドでさえダメになる昨今、初期DEICIDEのような意味わかんないテンションを保ったままこの円熟に達してくれたのがホント奇跡的。オススメです。

  8月10日
本日の収穫、今池グレイテストヒッツにてSHELLY MANNE「MORE SWINGING SOUNDS」、COUNT BASIE「APRIL IN PARIS」、店外投売り棚から300円にてNEUTRAL MILK HOTEL「ON AVERY ISLAND」。シェリー・マンは試聴してちょっと迷ったけど、どうしても買わざるを得ず購入。

だってこんなジャケ、卑怯ですやん!!

【只今のBGM:PEDRO THE LION「ACHILLES HEEL」】


前作「CONTROL」から約2年、今年の5月に出たばっかの奴だそうです。初期のどうしようもなくシケ〜ッとしたのは卒業してしまったみたいで、かといって前作ほどびしびしハッスルしてる感もなく、末期PROMISE RINGのこぢんまり版のようになっています。やり過ぎぐらいに暗いのが良かったのに、変に順当に垢抜けられてイマイチつまんないのはDEATH CAB FOR CUTIEと同じコース。おしなべて質が高いのは判るがピンポイントの訴求力が落ちてる気がするんだな〜。こういう雰囲気は前あった、こういうのは未挑戦、ていうフォーマットの循環に気をとられて曲自体が小粒化してるというか。ポテンシャルはある筈だから、いつスゴイのを作ってくるか油断出来ずとりあえず買い続けてしまうというケースにハマッてます。それでもプチ名曲は複数あるし、いつものことながらセルフ録音にして間違いないクオリティのプロダクションだし、買って損な感じはありません。

  8月9日
収穫はなし。今池得三にてHIM/MICE PARADE見てきました。DJ ASTRALBLUTは怪しくて良かった。FLECKFUMIEはどんな曲をやってたか覚えてないくらい印象が薄い。ドラマーは上手だったけどPCを操ってコマゴマと仕事してるように見えるギタリスト氏が実は作り込んだトラックのスタート/ストップしかしてなくて、カラオケ感満点で萎え。んでHIMは…壮絶でした。ミニマルに燃えてスルンと切り替わるプログレッシヴなグルーヴ、聴き手の先読みをひょいひょいかわしながら絡むベースとギター、何よりそのギターがジョシュア・ラルー大先生ってことで、最前列でコーフンでした。MICE PARADEはアダム・ピアースのソロユニットとして機能してた時代から随分と変わって、スパニッシュ風ガットギター2本とヴィブラフォンが組み合う上に結構ヴォーカルも乗る、ALOHAをもっとエスニックで難しくしたような体力系アート・ポップス(?)と化していました。アダムの歌唱は激しくフツーだったしMUMの女性シンガーのウイスパーはあんまり聞こえんかったなー残念。てことでとりあえず写真を。

↑開演前、3バンド分の機材でステージ上はびっしり

↑HIMにて、ジョシュア・ラルー大先生&アダム・ピアース

↑同じくHIMのその他3名。ダグ・シャリンはスキンヘッド

↑MICE PARADEでアダム、イス・パーカッションを激打!

↑DYLAN GROUPのディラン・クリスティとMUMのクリスティン嬢
 そして終演後、大先生がフロアにのそっと出てきたところにすかさず飛びついてソロアルバムの内ジャケとカシオトーンの裏側にサインをせしめました。しどろもどろの英語で間が持たなかったのでとりあえずTHE SORTSの新作について訊ねてみると、現在5〜6曲くらい出来ているとのことで、ソロ第2弾も制作中だとか。ついでにTHE SORTSのコンサートで見て以来あなたが最も尊敬するギタリストです、RAIN LIKE THE SOUND OF TRAINS(以下RLTSOT)のCDってもう手に入らないんですか、などなど頑張って話を振ってみると、RLTSOTはDISCHORDにメールしてみればあるかもよと言ってくれたんですが、SEA TIGERもSEVENSもJACK O' FIREも持ってて残るはRLTSOTだけなんす〜と続けてみたところ、オー全部じゃん、ウチにあと3枚あると思うから君のメールアドレスを今何かに書いてくれ、後日メールするから、と突然言われ、こともあろうに大先生にメアド晒して参りました…!!これでホントに何かあるのか、あったら凄い話ですが、酔って忘れられてるかも、メモ失くされてるかもくらいの覚悟で全公演終了を待とうと思います。何かきた暁にはワタシはどうしたらよいのでしょうか、ジーザス!

↑ってことで頂いたサイン。家宝です。

【只今のBGM:JOSHUA LARUE「LANDSCAPE TRACKS」】


以前も一度取り上げた気がするソロアルバム。今日サインもらったやつです。THE SORTS全員、デヴィン・オカンポ(ex.FARAQUET)、アレックス・ダンハム(REGULATOR WATTS〜ABILENE)、ライアン・ラプシーズ(EUPHONE)、グリフィン・ロドリゲスとダグ・シャリン(HIM)、ブレンダン・キャンティ(FUGAZI)、ディラン・クリスティ(THE DYLAN GROUP)、他々、超豪華ゲストを迎えながらも肩肘張らずに作った小品集。ドラムも自身で叩いてたり打ち込んでたりします。作品ごとに統一感のあるレギュラーバンドでの仕事と違って、楽しむためにプチプチと録り足していった感じのする、至極プライヴェートな内容。パッと聴いて何をしようとしてるか判りづらい分、ディープであるとも言えますが、暗殺者の目つきで日頃働いているお父さんの和やか日曜大工てな感じで漫然と楽しめればそれでOKでしょう。しかしタメ気味にプクプクと切り込むこのギター、どこで大成したのか知りませんがユニークなもんです。

  8月8日
収穫はなし。8のゾロ目ってことできっと勝手にナニナニの日にされてんだろうと思って調べてみたら、大量。「そろばんの日」に始まり「ひょうたんの日」、「プチプチ(註:エアパッキンのこと)の日」、「親孝行(註:ハハ&パパ)の日」など、書ききれず。「デブの日」ってのは何だ?そんで明日はHIM/MICE PARADE名古屋公演の日ですよ。

【只今のBGM:AT THE GATES「GARDENS OF GRIEF」】


91年の4曲入りデビューEP。のちに開花する叙情性はこの時点で殆ど見受けられず、しかし初期MY DYING BRIDEとUSテクニカル・ブルータル派(SUFFOCATION、CANNIBAL CORPSE他)の中間をいくような異様な不安感が回転速めに繰り出される、なかなかユニークなスタイルをとっています。SENTENCEDの「NORTH FROM HERE」からメロディックなところを抜いた感じ。この時期のデスメタルってみんな暗中模索だから、あとから発掘すると却ってこういう突拍子もないのがゴロゴロしてて面白いです。THE CROWNにLOCK UPにと今や引っ張りだこのトマス・リンドベルグのヴォーカリゼイションはこんな頃から冴えを見せてますね。この上SUNLIGHT STUDIOにてスコッグスベルグ録音だし、言うことなし。

  8月7日
本日の収穫、バナナレコードのブラザー栄ビルバーゲンにてAT THE GATES「GARDENS OF GRIEF」("All Life Ends"他4曲!スコッグスベルグrec!)、これが105円。MATMOS「MATMOS」とBRAINIAC「HISSING PRIGS IN STATIC COUTURE」(現ENON、TOUCH & GOからの96年作)、こっちはいずれも300円。いい買い物です。ところで名古屋市内ではなか卯ばりに見かけないすき家、牛が消えて以来初めて行ったんですが、ココイチよろしくトッピング盛り沢山系と化しておりますねいつの間にか。ナルホド、手を変え品を変え代替メニューの指向錯誤を続ける吉野家とも、定食の充実で差別化を図る松屋とも被らないし、そのどっちに追従したのか結局よく判らずカラーなしになってしまったなか卯とも違う。頭いいねー。ごまだれ豚丼はあんまりだったけど他のもので再度挑戦してやろうって気になりました。(店にいた他の客は全員「トン丼」と発音してたけど「ブタ丼」ではないのか?)そうだすき家行こう。

【只今のBGM:MATMOS「MATMOS」】


BJORKの4thへの参加で一躍有名になった二人組の97年作。この頃はひたすら「何々の音使って何々ビーツ作りましたぜ」的な先端技術ショウの趣きが強い。いかにして今まで存在しなかった音を産み落とすか、その処理プロセス自体が評価対象に含まれるのが昨今の電子音楽事情だそうなので、そこを気にする人達にとってはウッソースゲーのてんこ盛りなのかも知れません。しかし肝心のリズム自体の斬新さはさほどなく、かといってリズム以外に何がある訳でもないので、おおよそ情緒的な芸術たる音楽という感じは薄い。それこそBJORKみたいなエキセントリックな素材の脇で職人に徹してこそ活きるんでしょう。最近は生楽器大フィーチャーの方向に行ってるらしく、生活ノイズとフィドルをどう等価にブッタ切って音楽を作ってるのか、そっちの方が断然聴いてみたい。

  8月6日
▼昨日触れたブラザー栄ビルバーゲンの現場に、20時までなのに19時50分にしか着けず、しかしそんな腰の折られた購買衝動もなんとかなるのが夏のバナナレコード。サマータイムで21時までやってるバナナは名駅店にて本日の収穫KING TUBBY/AGUSTUS PABLO「KING TUBBY MEETS ROCKERS UPTOWN」、YUSEF LATEEF「THE GOLDEN FLUTE」(66年IMPULSE)、BUDDY RICH & HARRY "SWEETS" EDISON「BUDDY RICH & HARRY "SWEET" EDISON」(55年)。名駅店バーゲンですね来月3日(金)から。

【只今のBGM:BUDDY RICH & HARRY "SWEETS" EDISON「BUDDY RICH & HARRY "SWEETS" EDISON」】


スウィーツことハリー・エディソン氏、カウント・ベイシー楽団やらビリー・ホリデイのバックやらにいたトランペッターだそうで。後者の誼みかこの作品ではバーニー・ケッセル(Gt.)やジミー・ロウェルズ(P.)も参加。1曲目がいきなりテーマもへったくれもないバディ氏のドラム・ソロでして、統制の利いたマシナリーな高速変則ロールが激炸裂。まーしかしこれはいい。2曲目以降はちゃんと曲を曲として演奏するスタイルを取ります。ハリーさんは主にミュートつきで軽妙なノリの曲をプップク景気良く吹く人で、別に甘々な感じはそんなにしないけど俄然余裕があって愉快。ペキップツッと引っ掛かりまくるバーニー・ケッセルもポール・ウィナー・ギタリストの貫禄見せます。好きだなーこの人。んでバディ氏、この時代(55年)の普通のコンボ演奏でそうそう無茶する余地もなく、結局ドラムソロが鬼のように長いとかそういう解決を取っています。この長さをこの速さでこんだけ安心して聴かせるかー?と、ひたすら唖然とするしかない神業。ただの伴奏部分にしてもホント精密機械のように巧く、むしろバトル一辺倒に走らずちゃんと雰囲気作っててさすがなんですが、10数人対1人で毅然と戦うビッグバンド時代がやっぱ映えてたなという感じも若干。

  8月5日
本日の収穫、四ツ谷店にてANTIPOP CONSORTIUM / MATTHEW SHIPP「ANTIPOP VS. MATTHEW SHIPP」、JOHNNY WINTER「JOHNNY WINTER AND」。明日から3日間、バナナレコードのブラザー栄ビルバーゲンありますが、まとめ買いしたCDがいつまでも消化出来ないのは凹むので行くか行くまいか考えどころです。「入ろかヤメよか考え中〜」ってやつも思えばNOVAでしたねえ、「異文化、コミュニケーション?」といい、昔は良かったのに何で今やあのウサギに牛耳らせとくのか判らんですよ、そうでしょう?そんなことより週明け月曜・今池得三のHIM/MICE PARADE、イス席が出ないようにチケット買って下さい皆さん。

【只今のBGM:THE MODERN JAZZ QUARTET「CONCORDE」】


55年作。ケニー・クラークがコニー・ケイに代わっての1枚目とのことですが、ケニクがコニケにと言われても私は充分に個体認識できてないので、そこは構わず。この人達の、クラシックの流儀が捩じ込まれるでもなくキレイに溶け出た調和的アンサンブルは、聴きやすさの点でも表現者として野心的という意味でも、然るべくして高く評価されるもの。余裕でもっとどファンキー/どブルージーにもなれるミルトもこのバンドでは若干の厳かさをたたえた上品めの演奏をする気がします。スタンダードもやりつつ大事なところ(最初と最後)にオリジナルを配するあたりは独立した表現集団としての自意識の表れか。全編に渡ってMJQ流を厭味なく快く聴かせる一方で王道としての深みも持ち合わせる、トータルでのムード・メイキングとバランス感覚がとにかく達者。やくざ者で済まされるもんじゃありません。ジャズの中でも間口の広い作品だと思うのでどちら様もどうぞ。

  8月4日
収穫はなし。名作プリンシェイクが入ってるポッカの自販機が少な過ぎるのは良くない話ですねえ。あれ買おうと思い立った名城線久屋大通駅あたりから自宅まで、目に入る自販機はことごとくチェックしたのにひとつもないなんて。

【只今のBGM:TARWATER「DWELLERS ON THE THRESHOLD」】


色々買ってみてこの人達は結局「ANIMALS, SUNS & ATOMS」が好きってだけだったのかなーという気がしてます。これは02年作。KITTY-YOお決まりの表記に従って今作は"file under>electronica"となっています。確かにナマ度が低いしやけにミニマルだし、エレクトロニクスを従えた歌ものというよりもエレクトロニック・ミュージックそのもの的な感触が勝る。そのせいか、イマイチ細かいネタを集積したアイディア・カタログって感じがしてしまって、踊れる音楽ってわけでもないからじっくり聴くには引っ掛かりに欠く気がするんですが、薄味だけど何かあるなと思わせるものは往々にして、しばらく寝かせてから聴いてみると途端にグレイトだったりするので、これは当面棚もとい床の肥やし(これ以上収める棚がありませんから)にしとこうかとも思います。一発でちゃんとズバンと来る人もいそう。

  8月3日
本日の収穫、本店にてWICKED FARLEYS「SENTINEL AND ENTERPRISE」、YO LA TENGO「NUCLEAR WAR」、THE MODERN JAZZ QUARTET「CONCORDE」、PEDRO THE LION「ACHILLES HEEL」。売りCDが8000円、買いCDが約4000円、ついでにHIMのチケット買って3500円、リサイクルって切ないな。

【只今のBGM:WICKED FARLEYS「SENTINEL AND ENTERPRISE」】


SHUDDER TO THINKとTHE EXとPRESIDENTS OF THE UNITED STATES OF AMERICAがくっついたような笑えるエキセントリックポストコアバンドの1st。2ndはボブ・ウェストンがエンジニアでした。変に朗らかなこの感じ、他にあんまりいません。ヴォーカルも力まない軽い声質でヒーッと歌うシューゲイザー系だし、やけにメジャーキーの曲ばっか。その割に小回りの効く変則拍子ギミックは実はFARAQUETばりに強力。BIG TOPというあんまりパッとしないレーベルから出てるので結構見過ごされてる人達かと思いますが、54°40' OR FIGHT!とかDIM MAKのそこそこ出来のいい新人に沸く前に手にしておいてもいい名バンドでしょう。

  8月2日
本日の収穫、大須店にてB-52'S「BOUNCING OFF THE SATELLITES」「GOOD STUFF」、PACOU「SYMBOLIC LANGUAGE」。巷にミニチュアダックスとチワワ多過ぎ。柴犬飼って下さいよ柴犬をよ。

【只今のBGM:BEVEL「TURN THE FURNACE ON」】


DRUNKおよびMANISHEVITZのギタリストのヴィア・ナウン君のソロユニット1st。DRUNKと同じくJAGJAGUWARからのリリースです。内容は想像通り、本家をつつましくダウンサイジングしたようなちんまり田舎インドア和みフォーク。人を食わないジョン・デイヴィスのような、のたれ死ぬ寸前のDAKOTA SUITEのような。ヴォーカルはヘタウマというより殆どヘタですが、字の汚い人が精一杯丁寧に書いた作文みたいな精魂込めっぷりに素直に心打たれます。アコギ弾き語りが基本ながら一人で頑張ったドラムスやバンジョーも泣ける。しかしレーベルメイトのパトリック・フェランやナッド・ナヴィルスのような完成度には至らず(プロダクション的にも)、またPLUSHのような神懸りもなく、JAGJAGUWARファン以外にはあんまり用のない盤かも知れません。私は持っときます。だって2ndではLAMBCHOPの人とかミック・ターナー師匠とか色々参加しとるんですもん。

  8月1日
▼一昨日の寝不足がたたって今日は居眠って起きての繰り返し、多分半日以上寝てた気がします。締め切りのある仕事は計画的に。収穫はなし

【只今のBGM:HIM「MANY IN HIGH PLACES ARE NOT WELL」】


そろそろ来日が近いので予習しておかないと。ポストロックとして出てきた人が敢えてシカゴ臭を断つのがちょっと流行りになってる気がして、もろスピリチュアル/ブラジリアンになっといて新しいも何もないんじゃないの〜?と最近のHIM(THE DYLAN GROUPにも)には少々懐疑的だったんですが、アフロポリリズムやら「IN A SILENT WAY」的展開やら、よく聴くと色々混じってるようです。とにかく上手くて真摯だからこの際何でもよし。ごく優秀な賑やか・アーティスティック・アンサンブルということで。人がゴタゴタ大勢居過ぎてあんまり目立ちませんがHOOVERその他のフレッド・アースキン、THE SORTSのジョシュア・ラルー大先生参加というのも見逃せない。人数を絞ってのライヴ演奏でどう変わるか見ものです。

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