物色日記−2004年9月

※頻出語句解説はこちら
  9月30日
収穫はなし。セプテンバーオルモストオーバー、蚊スティルアライブ、ゼイオールシュッダーイカユーイ。

【只今のBGM:CHRIS LEE「COOL ROCK」】


SMELLS LIKE RECORDSからMISRAに出戻っての2003年作。前作では少々ダウナーまったりムードが支配的になってましたが、今回は裏ジャケのまた裏、透明トレイの下に「LOVE SONGS IN C MAJOR」のプリント。1stよりも更に快活な、ポップ&ソウルフルなSSWサウンドになっております。歌メロのラインなんかは相当オサレなんだけど基本的に全部ギターバンドスタイルでアレンジされてる上、メジャー感を稼ごうという意思を全然感じないので、MATADORやSUBPOP(最近の)らへんにいるインディポップバンドの感覚で聴けてしまいます。しかも歌心は強力。宣言通りほぼ全曲がCメジャーながら、これ以上いらねえよという感じにはならないスムースな流れがお見事です。統一感を感じさせる範囲内で引き出しの豊富さも匂う。普段あんまり変なの聴かない人にも大推薦の好盤。

  9月29日
収穫はなし。暴風雨警報にもうトキメかない年頃になってしまってましたそういえば。

【只今のBGM:PETER ERSKINE「AS IT IS」】


WEATHER REPORTでジャコ・パスとバッテリーを成していたドラマーの96年リーダー作。ECMから。ピアノがECMのおかかえ名脇役英国人ジョン・テイラー、ベースはキースのヨーロッパトリオにいたパレ・ダニエルソンだそうで。刺すような鋭さを隠し持つ知性派耽美ピアノにまず耳がいってしまいますが、ドラマーのリーダーアルバムってそういう宿命。言葉少なながらも減衰していく音の全瞬間に表現者の意識を感じる、静謐&密なアンサンブルで、それはもー背筋の伸びるような美しさでございます。柔らかにして硬質。現代音楽の突き詰めたストイックさ、欧州らしい格調、時代に妥協しない先進性を全部もった、(少ない材料からのイメージですが)いかにもECMな作風で大変ヨロシイかと。時々隙を見て小暴れするアースキン氏のドラムはアイディアに富んでテクニックも最上。アンサンブルを乱さない程度に収めているのか、あとの二人がスペースを提供しているのか、ドラムを主役にしたい一心のわざとらしさみたいなのを全然感じません。モダンにしてアヴァン過ぎず、クラシックピアノ習ってた人間にはちょっと嬉し懐かしい感じもする、タイヘン聴きやすいバランスに作られたアルバムだと思います。

  9月28日
収穫はなし。静かに残る31KNOTS余波、長らく開店休業中だったバンドが復活できそうな個人的イメージ。曲作りってマテリアルの充分なプールと均衡を見出す勘があればシンプルな仕事です。接客よりゃ向いている。そそくさっと練習して録音してライヴも出来るかも知れんのでそのうちどこぞの月間スケジュールにドイモイというバンドが現れたら気にして下さいね。

【只今のBGM:CHANNELS「OPEN」】


さーてJ.ロビンスの新バンドCHANNELS、既に解禁です。アマゾンでも引っ掛かりますし、3〜5週間待てねーよという名古屋人はSTIFF SLACKででも。内容的には想像通りBURNING AIRLINESの2ndの延長。ガッツい男泣きは相変わらず後退気味で、ニューウェーブとも90'Sオルタナともつかぬ浮遊感を自己流に昇華した近頃のJ先生歌心全開。「BLUETIPを薄くしたような煮え切らなさ」にも聞こえるこの感じを「J.ロビンス最新モード」とポジティヴに解釈してしまえればOKなんでしょうが、何せ期待するのはJAWBOXのラスト2枚〜BURNING AIRLINES1stのあのラインですからね、とりあえず当惑します。演奏およびトリオでのアンサンブル構築、ヴォーカルの貫禄などは既に神の域まで来てるんですが、うーん何故。2バス疾走チューンを絶対やらなくなった様式美スピードメタルバンドのようにもどかしいのは私の心が狭いから?少々寝かせてから聴いたらまた変わりそう。若いバンドのエンジニア業を腐る程やってるから自分はもうちょっとオトナの味わいでいこうって気になってるのかそんなの関係ないのか、ともあれ我ら一般イモ・キッズはまたもや一歩引き離されてしまいました。ただの引っ掛かりのない作品などではないことは確か。

  9月27日
収穫はなし。自転車の後輪泥よけが壊れてついてないままで、31KNOTSの昨日買った白いTシャツの背中がべったり汚れてしまったので秋雨前線には死んで頂きたい。いや、泥よけをつけたい。太陽が地球の周りを回っていると答える子供が4割。

【只今のBGM:CHEER ACCIDENT「ENDURING THE AMERICAN DREAM」】


3月20日のこの欄でも紹介したバンドの97年作。何とも掴めないというか掴ませないアルバムです。TOWN AND COUNTRYかと思わすコンクレートミニマルに始まり、アヴァンインプロ?何?と思っているうちに「DUKE」期のGENESISを激アーティスティックマスロックにしたようなのに突入、以後シム・ジョーンズ単独の弾き語り曲も交えつつ生ブラスを投入してザッパだったり、昔どおりのWATCHTOWERくずれだったり、「なるほどこういうバンドね」と断定されるのを避けるかの如くバラバラなことをやり続けます。こりゃCUNEIFORMから出てたら間違いなく「ユーロロックプレス」行きでしょう。統一性がまるでないようで、終盤にきて印象として残るのはシム氏のリリカルかつ危ういヴォーカル(これが微妙にピーター・ゲイブリエル似)。エクスペリメンタルな割にロマンティックな作品です。プログレからポストロックに移り住んできた人には大ストライクでしょう。アングラにしか生存し得ないアーティスティックさが強烈。

  9月26日
▼本日は栄・クラブドーターにて31KNOTS観てきました。1枚もCD持ってなかったですがイヴェントとしてお得っぽかったので。てことでまたここに詳細レポートを。

 開場30分押しで人は最初からけっこういて、1番手は我らがURTHONA、2番手はバナナ本店店長中井さん率いるPARKLOAM、3番手は東京からBALLOONSと日本勢。

 そして本日のメインアクト31KNOTS。3ピースってことすらちゃんと知りませんでした。若干アジアンな顔立ちのドラマー氏が後方に構え、フロント二人はともに長身アングロサクソン。ベース氏はブロンドが肩まで届かないくらいのセミロング&おしゃれベルボトムしかも笑顔で、ギターヴォーカル氏は演奏を始めると意外と演歌的な陶酔ハッスル。この二人が常に半ば向き合って、間奏になると踊りながらふざけてちょこちょこと戯れあうのが、ハイスクール青年がペイジ&プラントごっこに興じてるみたいでむちゃ平和!ギターとベースで単音が神経質に絡むフレーズを両者難なくこなし、ギター氏は歌も完璧に歌い込む。ドラムもスキマ多めの叩きにくそうなフレーズをジャストでバシバシ叩いてカッコイイです。一応FUGAZI、FARAQUET、MODEST MOUSEあたりが引き合いに出されてるそうですが、FARAQUETてのは技巧的であるというだけの話で、人を食ってて微妙に叙情的だったりするらへんMODEST MOUSEと言われるのはまあ納得。しかしあれに感化されているというよりは似たようなフザケ具合というだけ。シブいけどかなりオリジナルな音楽性をもったバンドだと思います。

 MCでも人懐こいっぷりを発揮、どうもピースフルな空気で「ファッキンホット!(ステージ後方のBALLOONSのメンバーに訊いて)アツイ!今日本語ちょっと勉強中なんだわ、かなりハードに」みたいな感じで笑いを振り撒いてくれました。セット後半になるとギターヴォーカル氏はギターをベース氏に預け、ベース氏はギターにスイッチ、そして用意したCDウォークマンを再生して(ドラマー氏はヘッドフォンでクリックとか一切なし)ヴォーカル氏は顔を真っ赤にして絶唱、丸イスにガクガクしながら乗ったり客席に火だるま男の如くのたうち回りに来たりという過剰パフォーマンスも見せつつ、大拍手の中本編終了。アンコールが当然の如く沸き起こり、1曲だけやって完全終了となりました。

 まさか3人であそこまでアクロバティックなアンサンブル&微笑みパフォーマンスを繰り広げてくれるとは全然思ってなくて、私はいっぺんにお気に入りバンドになってしまったしあの場にいた誰しもそんな感じだったでしょう。ということで物販でTシャツ(そんなに冴えんかったけど)とCDを早速購入して帰宅。いやー良かった!

 そんなこんなで本日の収穫、まず今池P-CANでDYNAREC「USER INPUT」(DELSIN!!)、BENNY CARTER「SWINGIN' THE '20s」(58年CONTEMPORARY)、PETER ERSKINE「AS IT IS」(96年ECM)、ライヴ前のSTIFF SLACKにてCHANNELS「OPEN」(J.ロビンス!!!)、BLUETIP「JOIN US」(中古にて)、会場物販で31KNOTS「IT WAS HIGH TIME TO ESCAPE」「THE CURSE OF THE LONGEST DAY」、更に家に帰ったらアマゾンからCHEER ACCIDENT「ENDURING THE AMERICAN DREAM」。うーんCD聴くだけの一日をください。

【只今のBGM:31KNOTS「IT WAS HIGH TIME TO ESCAPE」】


ついさっきやってた曲がいっぱい入ってます。名盤だなー。どの曲ももれなく複雑で技巧的なのに、それぞれに必ず印象に残るラインや一発トリックがあって、聴き進むうちに複雑さに麻痺してくることは全然ありません。かつ歌ものと言えるほど歌がちゃんと頑張ってるのもいい。ハスキーな声質でなかなかソウルフルでグッと来るんです。匠の技でスキマを残しあう仲良し濃密アンサンブルはもうなんかPOLL WINNERSみたいで素晴らしい。CDよりライヴの方が断然いいけどCDも買って下さい皆様。

  9月25日
▼といっても実際これを打っている今は既に日付が変わっておりまして、曰く「20代後半は早いよ」ですと。うぅ…収穫はなし

【只今のBGM:THE B-52'S「THE B-52'S」】


79年のセルフタイトルデビュー作。知能犯DEVOをただのアホにしたようなおちゃらけニューウェイブから、「セサミストリート」風パブロック?みたいなのまで、とにかく能天気なことなら喜んでやるという大志なきポストパンクをやってます。むちゃハッピーそうなのに基本的に脱力だったり、歌ってんのか唸ってんのか判らないバリトン男声と変に気張った女声が入り乱れるあたり、ルイヴィル随一の腰砕けノリノリユニットKING KONGはホントにこのバンドそっくりでした。テクノロジーに翻弄されながらロックの解体再構築に勤しんだお疲れ様組に比べると何も考えてないというか、何やりたいのか判らん気さえしてしまいそうな音楽ですが、つまりこれで終わりでこれ以上のオチは何もないのねと了解すると途端にこのナンセンスな脳天気に跳び乗れてしまってあとは運ばれていくだけの状態になり大変楽です。長寿というほどではないけど(92年のラスト作を残し解散)AC/DCタイプのバンドと言えるでしょう。イデオロギーを忘れてマンネリ思考停止に誘うのもポストパンク的スタンスのうちか。なんか酷くけなしてるみたいに見えるかも知れませんが好きです。

  9月24日
収穫はなし。雷雨とかいい加減にして欲しいですわなー。もう残暑にも飽きたのでそろそろ心置きなく黒のメタルTシャツ着させて下さい太平洋高気圧の馬鹿。

【只今のBGM:CARAVAN「THE UNAUTHORISED BREAKFAST ITEM」】


何と2003年の新作。リチャード・シンクレア様は不在で残念!パイ・ヘイスティングスもまあワイアット爺を常人にしたような正統派カンタ声なので良いですけども。さすがに「グレーとピンクの地」再来というわけにはいってないものの、80年代またいで大衆ポップスに日和りましたみたいな時代錯誤サウンドであることは確か。最近のYESのように聴くのもツラいデジタルシンセを濫用してしまうことなく、ピアノやオルガンを上手く使って我らの夢を崩さずにいてくれるのが有り難いし、あの独特の歪みオルガンも健在。どうしようもなく牧歌インドアなCARAVANサウンドは揺るいでないわけですなあ。サム・プレコップに声が似てなくもないからアダルト(というかおやじ)版THE SEA AND CAKEってことにしてみてもイケるかも。中ジャケの白髪&禿げ上がったメンバー一同の写真凄いです。ブックレットのフォント選びとかもオシャレにしてあるし、内容イイしで、良心ある再結成ですよ。

  9月23日
▼やるときゃやります本日の収穫、今日からバーゲンのサウンドベイ金山でNERVOUS COP「NERVOUS COP」(HELLAとDEERHOOFのドラマー二人のプロジェクト!)、PUSH BUTTON OBJECTS「GHETTO BLASTER」、MEKONS「JOURNEY TO THE END OF THE NIGHT」(QUARTERSTICK古株2000年作)、THE BABYS「THE BABYS / BROKEN HEART」、CAPTAIN BEEFHEART「MIRROR MAN」、HECKER「IT IS0161975」(MEGO!)、CARAVAN「THE UNAUTHORISED BREAKFAST ITEM」(03年再結成新作)、TRISTEZA「MIXED SIGNALS」(MARUMARI他参加)、EVILDEAD「THE UNDERWORLD」(ex.AGENT STEEL!)、THE B-52'S「THE B-52'S」、BOBBY CONN「THE GOLDEN AGE」、VOLTA DO MARMURDER BY DEATHのスプリット、T.W.WALSH「HOW WE SPENT OUR DAYS」(MADE IN MEXICO)、500円以下棚からスピッツ「スターゲイザー」、BOTCH「AN ANTHOLOGY OF DEAD ENDS」、ZYKLON「WORLD OV WORMS」(ex.EMPEROR)、LOIS「SNAPSHOT RADIO」、同じく上前津にてA DRAG CITY SUPERSESSION「TRAMPS, TRAITORS & LITTLE DEVILS」(イーディス・フロスト、ビル・キャラハン、ライアン・マーフィー他大勢参加!)、THE ETERNALS「RAWAR STYLE」、K.「NEW PROBLEMS」(IDAのカーラ嬢ソロ、エリザベス&ダニエル夫妻やタラ・ジェーン・オニール他参加)、TURING MACHINE「A NEW MACHINE FOR LIVING」(ex.PITCHBLENDE)、CHRIS LEE「COOL ROCK」、MAN OR ASTRO-MAN?「A SPECTRUM OF INFINITE SCALE」「EEVIAC」(TOUCH&GOインストサーフガレージバンド)、SWEEP THE LEG JOHNNY & RUMAH SAKIT「LIVE SEPTEMBER 9TH, 2000」、JONI MITCHELL「FOR THE ROSES」(72年)、DRUNK「RAISED TOWARD」、SPOKANE「LEISURE & OTHER SONGS」(JAGJAUWAR)、BEDHEAD「TRANSACTION DE NOVO」、ゴダイゴ「CMソンググラフィティ」。聴いてダメですぐ手放すのもあるかも知れませんけどとりあえず久々の30枚超えには凹みます。上手く買ったからそれなりに安くあがったとはいえ。来月アタマ(ってもうすぐですが)のバナナ全店バーゲンまではこれの消化の日々とします…。バーゲン後久々に友人夫婦宅に遊びに行って、その後更にサークルの帰省中OBを囲んで飲んで、休日のイヴェントが複数本立てだと凄く充実してた気になりますねー。

【只今のBGM:BOTCH「AN ANTHOLOGY OF DEAD ENDS」】


HYDRAHEADのグレイト過ぎた極悪番長BOTCHの2002年リリース6曲入りEP。名盤「WE ARE ROMANS」で終わっていたとばかり思ってましたがその後の音源があったとは。「WE ARE ROMANS」の作風を受け継ぎつつ若干ストレートな突撃傾向を見せるこれまたグレイトな内容です。うねるカオティックさと曲としてスンナリ通るカッコよさが理想的なバランスで折衷、しかも常時たゆまぬハイテンションでもう何も言うことなしでしょう。ただの陶酔絶叫ではないしただのチグハグ暴虐ぬえでもない。あとここのギタリスト氏(現MINUS THE BEAR)はやっぱ冴えてます。ノイズとフレーズの中間みたいなラインがいちいち印象的で、それを上手く組み込んで曲をちゃんとグルーヴィに仕立てるのも天才的。邪悪版FARAQUETてな感じでこういうの苦手なはずの人でも聴けちゃうんじゃないでしょうか。

  9月22日
収穫はなし。地震対策のためにCDの収納用に新たに買った、平積みできる引き出し式プラスチック製衣装ケースが大量に届きまして、早速CDをちょっと入れ替えて「レコメンしか入ってない箱」「英プログレ5大バンドだけで満杯な箱」などを作って要は自己満足でございます。揃えて並べて眺めるもんでしょうCDとは。

【只今のBGM:THE FEELINGS「DEARLING DARLING」】


BUILT TO SPILLの1stおよびTHE HALO BENDERSにいたラルフ・ユース君率いるバンドの97年2nd。青空ジャケいいですね。リリースはDARLA。インディポップがすべからくローファイだった時代の空気と、近頃流行りの80年代初頭風シンセ使い&コステロ似ハイテンション?が混じってなかなかイイ具合に垢抜けた作風になってます。ノンビリぬったりした牧歌メロディといい、微妙にトリッキーなバンドアンサンブルといい、古巣BUILT TO SPILLとベストマッチなのに何故抜けてしまったんでしょうかこの人は。本家がワーナーに行かなかったら今頃こんなんだったかなーって感じの良質な出来であります。「変カワイイ」に固執し過ぎず適度にのうのうとしてるのがいい。ギターポップ版簡略WICKED FARLEYSてな雰囲気も。熱心なリスナーなら探し当てて聴くに値する内容だと思います。

  9月21日
収穫はなし。名古屋近辺在住の皆様、サウンドベイのバーゲン近いですよ明後日23日木曜ですよ、やっぱりオール200円OFFってのは計算がしやすいから良いすね。店舗も広いしバーゲンはサウンドベイが一番浮かれるというかイヴェント気分盛り上がる気がします。祝日スタートだから「アメリカに買い付けに行ってウン十万」「この前とうとう床が抜けてさ」などとディーペストな会話を交わすおじ様達と一緒に並ばねばならんのがちょっと鬱。開店と同時に疾走し過ぎなんだよ…

【只今のBGM:SLICKER「WE ALL HAVE A PLAN」】


US潔癖トロニカ総本山・HEFTYのオーナーが自らやっているユニット(というか名義)の2004年最新作。以前レーベルコンピか何かでチラッと聴いた限りでは、キュンともウホーともせず特に引っ掛かりのない小奇麗なことをやってるだけって印象でしたが、このアルバムではほぼ全曲(10曲中9曲)でMC及び歌を導入、生音も大幅に増えてジャジー/アブストラクト何やらに大接近してます。カットアップは控えめで全体的にダウンビートで、PREFUSE73とのカブリは避けてる模様。スムース過ぎるのは相変わらずなものの、ヘッドフォンでだらだら聴けば結構没頭出来る感じ。TELEFON TEL AVIVラインのメロメロきゅんきゅんな奴もひととおり飽和してきたところでHEFTYの今後はコレよってな意思表明でしょうか。CHOCOLATE INDUSTRYともANTICONとも違う独自の潔癖ハイソ・ロニカ・ホップを是非とも探求していってもらいたいもんです。

  9月20日
収穫はなし。ひとたび足を踏み入れたらそこはエビせん食べ放題&無料コーヒーつきの愛知県は知多半島美浜えびせんべいの里を知らない人は行くがよいです。

【只今のBGM:CATTLE DECAPITATION「HUMAN JERKY」】


確かTHE LOCUSTやDISGORGEの人脈が絡んでるとかだったサンディエゴ産重低グラインド(若干ゴア)バンドの、31Gリリースの99年作。普通にデスメタル然としたクリア&オンなプロダクションになっていて、パッと聴いた印象は全然メタル畑寄り。劇的さを稼ぐためのまどろっこしさとかそういうものを排除し、デス/グラインドの極端性をデフォルメしたような簡潔さがあるあたり、やくざにデスメタルをたしなみたい向きには聴きやすいんだろうしメタラーからしてもかなり良く出来てるなあと思います。真性の狂気とかじゃなくてデスメタリック・パーツの優秀な見本市、あるいは不真面目な伝統芸師。高低ツインヴォーカルがほぼ常時ユニゾンで咆哮しててテンションはけっこう高いです。S.O.D.の再結成作みたいな、メタルを外側から見てる感じを、善しとするか否かで評価の割れるバンドでしょう。

  9月19日
本日の収穫、バナナ四ツ谷店がフィーバーでHIGH ON FIRE「SURROUNDED BY THIEVES」(ex.SLEEP!激重突進型グレイトストーナー!)、矢野顕子「いろはにこんぺいとう」「ト・キ・メ・キ」、CATTLE DECAPITATION「HUMAN JERKY」(31G!THE LOCUST人脈と絡む純グラインド)、SLICKER「WE ALL HAVE A PLAN」(HEFTYオーナーのユニット最新作、ダウンビートジャジーHIPHOPスタイル)、THE FEELINGS「DEARLING DARLING」(DARLA)。

【只今のBGM:HIGH ON FIRE「SURROUNDED BY THIEVES」】


RELAPSEからの2nd。EXTREME THE DOJOでの来日公演を目撃して脳天打ち砕かれて以来やっと入手した訳ですが、MAN'S RUINリリースの1stより遥かにアグレッシヴになってて最高!躁モードのMELVINSをEYEHATEGODばりにズルズルにしたのをCELTIC FROST譲りの大仰&プリミティヴな邪悪性が操ってるみたいな、ストーナーなる言葉に従属することなく豪快に我流ロックした快作です。最近のENTOMBEDをもっと生々しさ剥き出しにしたような感じでもあり。さすがオリジネイターは違い過ぎます。ライヴでも思ったけど全打フルストロークでダカダカと回りまくるこのドラマーはカッコイイなー。あとの二人も勿論ばっちりグルーヴィンで、トリオらしい芯の確かな重圧感。UNSANEやKARPらへんが好きな非メタル畑の人にも大推薦。

  9月18日
収穫はなし。猫は気まぐれ、犬は忠実とよく申しますが、それより犬って舌をヘハヘハすると超・笑顔になるからイイんですなあ。ネコ派の思う猫の魅力とはどんなもんでしょう?教えて下さいルー先生。ていうかSEBADOH日本にも来てくださいよ。

【只今のBGM:ETHEL MESERVE「THE MILTON ABANDONMENT」】


90年代中盤のエモ〜ポストコアの隠れ至宝として有名なバンドの97年作。リリース元のTREEが既に廃業していて入手困難というのがもっぱら伝説化の要因になってる気もしますが、内容もちゃんと貫禄あります。5分を超す長尺曲も平気にあって、熱血がくすぶるようなしかめ面系の静けさと汗飛沫散るエモいキメのコンビネーションで魅せるあたりBOYS LIFEにかなり近い雰囲気。とりとめなさの奥に潜むジワジワ感が知らず知らず高揚していくのがいいところ。ストレート&コンパクトな判りやすさは(特に曲展開において)後回しになりがちな甘さ控えめスタイルゆえ、MINERALやCURSIVEみたいなのを期待して何だよ薄っすいな〜とか思ってしまったら半年寝かせてもういっぺん聴いてみて下さい。メインストリームだけそそくさーっと押さえたい向きはスルーすればいいけど教科書には欄外註で必ず載るような存在ってとこでしょうか。

  9月17日
収穫はなし。猫も杓子も連休連休と、続けて休んだところで倍ダラけるだけなのにホントに経済振興に効果はあるのですか?平日にポツネンと休みがあった方が有り難いねん。

【只今のBGM:ALAN SHORTER「ORGASM」】


ウェインの兄アランのリーダー作でございます。68年録音盤。60年代はどフリーでその後ラテンに目覚めていったというアルゼンチン出身のテナー奏者ガトー・バルビエリが全面参加。基本的には弟の「SPEAK NO EVIL」らへんに通じなくもないオドロ・グネグネ系とオーネット・コールマン似の無拍子キメ+フリーキーソロものの二本立てで、音楽性的に物珍しいものではない気がします。ピアノレス2管でスカスカなのが却って神経を圧迫する上、フリーといってもニコニコするような感じでは全くなく、一度聴いて再び手に取るのに体力が要るような代物ではありますが、ショーターの兄アランですから、しかもリマスター紙ケース入りですから、中古で見つけちゃったら買えばよいと。

  9月16日
収穫はなし。ワタクシ、とんだ誤情報を垂れ流していたかも知れなくて済みません。未確認ではありますが高い確率で、明日からバーゲンをやるのはP-CAN FUDGE今池店ではなく藤ヶ丘店のようです。ああ申し訳ない、ディスプレイの前で裸踊りをしてお詫びします。見えないでしょうけど…

【只今のBGM:斉藤由貴「風夢」】


52円だったので購入。この人は不安定ながら微妙にいい声をしてるんでちょっと普通に好きです。 つかみどころのない英詞チューンが1曲目、やたらクラシカルなアレンジで「会議は踊る」ならぬ"体育館は踊る"という怪題の2曲目、とアイドル歌謡アルバムにしては不穏過ぎるスタートを切るものの、そのあとはまっとうかつハイクオリティのなプチ名曲の数々。ヒットとして名を残してない曲でもおしなべて間違いのないクオリティには到達してます。元オフコースの鈴木康博も1曲提供。今ならそんなん素人の自作MIDIやーんと一笑に付されそうなチープなデジタルシンセを堂々とそのまま使ってたり、銭湯の壁の富士山の向こうで演奏しているかのようなリヴァーブが乗ってたりするからといって即話にならないってことにするのは馬鹿な話で、スピッツとかaikoに上手い具合にやらせればすぐにでも普通にヒットしそうな感じの丁寧なソングライティングに感心することしきりです。アイドルを愛らしく歌わせるための音楽として研ぎ澄まされてきたアイドル歌謡はすなわち日本的な歌心から生まれ出でた究極の胸キュンミュージックなわけで、何か根源的なものを求める人にとってじっくり掘り下げる価値はおおありだと思います。

  9月15日
本日の収穫、ナディアパーク内ヤマギワソフトにてIRON MAIDEN「FEAR OF THE DARK」(リマスター買い替え)、斉藤由貴「風夢」、FURY IN THE SLAUGHTERHOUSE「HOOKA KEY」、バナナ名駅店でALAN SHORTER「ORGASM」。ヤマギワは毎月5日・15日・25日が中古10%OFFという超太っ腹なんす。

【只今のBGM:FURY IN THE SLAUGHTERHOUSE「HOOKA KEY」】


レーベルがSPVでこのバンド名、ジャケはだだっ広い野原に妙な格好して立つ男達、曲名も微妙にアホっぽく、れこはアンダース・ヨハンソンくらい絡んでそうな体力派フュージョンメタルだろうと思って買ったら全〜然、FOREIGNER meets JIMMY EAT WORLDか?ってな、NOUVEAUXとかNUCLEAR VALDEZのフットワークに通じる90年代対応型お手柔らか産業ロックでした。しかも本国ドイツでは結構な人気を誇るのか、検索したら一番上に立派過ぎるオフィシャルサイトがどどーんと来てビックリ。完成度的にはワールドワイドクラスといっても問題ない音楽性なのに、国境を超えて世界流通するほどでもないらしく、アマゾンで調べても全部高めの欧州価格。こういうローカルヒーローがどこの国にもいるんだなあと知ったという点でやたら感慨深い買い物ではありました。

  9月14日
収穫はなし。23日からのサウンドベイ、来月1日からのバナナ全店だけでもビビッていたのに、今池P-CANは17日(金)から、改装完了のグレ・ヒ大須まで来月9日からときた。バーゲンの参加資格はお金がある人です。困るなあ。

【只今のBGM:BOUD DEUN「THE STOLEN BICYCLE」】


先日のCD整理に伴う大シャッフルで久々に上の方に来た一枚。実は平積みの底にあるのを見てずっと気になってた盤でした。買ったときの記憶通りCUNEIFORMリリースのチェンバーUSレコメン風バンドで、これは98年作。5UU'Sとかと人脈が被るのかどうか全く判らんですがスタイル的にはTHE MUFFINS系の、すなわち「太陽と戦慄」クリムゾンを煎じて煮詰めてペーストになるまで濃縮したテクニカル&マニアック重厚長大自虐スコア派。ヴァイオリンを常時交えて奇怪なスケールと激変則拍子がクルクルクルクル激展開しまくり。背後に滲む心意気はプログレッシヴというより体力選手権というノリです。さすが何でもエクストリーム級の国アメリカ。もはやここにRIOの実験精神はなく、ブラストが必須条件のグラインドコアやサビ寸前で転落死するような転調をカマさねばならないJ-POPと同じく特定の記号をひたすら突き詰めた音楽として、THE MUFFINSやUNIVERS ZEROの新作がいくらでも欲しい人は黙って買えばよい。

  9月13日
収穫はなし。「とくダネ!」に9時頃挿入される花王の人力CM、何故かピンマイクを使わずスタジオの雑踏まで集音してしまっているのがシュールだったのに、最近ちょっと静かなところに収録場所を移したみたいですね。あれは毎日ナマでやってるっぽいので、喋るお姉さんが風邪ひくと鼻声ヴァージョンになったりするのが密かな楽しみになってます。あと長谷川君は落語好きそう。

【只今のBGM:CAT POWER「MOON PIX」】


MATADORの女流SSW98年作。オーストラリアにて制作されたというこのアルバム、DIRTY THREEのミック・ターナー&ジム・ホワイトの二人(=TREN BROTHERS)が全面参加しております。CAT POWERことチャン・マーシャルさん当人はミア・ドイ・トッド似の陰りと天上人感をもつダウナーアシッド歌人。起伏・緩急なんてものは一切気にせず枯れ果てた唄をたらりーたらりーと吐き続けます。そこにTREN BROTHERSのアブストラクト情景喚起アンサンブルが絡まないはずがない。基本的に歌が主役のつくりで弾き語りのみで終わる曲もあるくらいなので、どこまでいってもCAT POWERのアルバムでしかないんですが、二人のサイドマンとしての仕事振りがどうしても気になって眠れないような真性DIRTY THREEファンが買っても全然後悔しない内容だと思います。それにしてもストイックなまでにシブい。DRAG CITYから出てたとしても相当ディープな部類でしょう。

  9月12日
収穫はなし。この頃自室で聴きたいCDを探し当てるのに何十分もかかってしまうことがよくあったので、平積みの山に散らばったUSインディ系のものをズルズルと引っ張り出し、棚の中身をドシガシ入れ替えて大整理を決行したら見事に半日かかって激鬱です。結局現状では収納の方がキャパ不足ということで、遂に嫁いだ姉の元・部屋にまで進出を開始、普段そうそう手に取ることのないBJORKのシングル達(「HOMOGENIC」までの分はほぼコンプリート)とか綺麗に揃ったブライアン・アダムスとかはそっちに移ってもらいました。申し訳ない…。結果、900枚収納の上から下までUSインディな棚がひとつ出来上がって、それを眺めるとやっぱり相当自己満足です。細かいカテゴリ分けはそこそこに思い切ってレーベル別に置いてみて、SHELLACもSLINTもDON CABALLEROもDIRTY THREEもあるTOUCH&GOやっぱりスゲ〜、とかMUDHONEYからFIVE STYLEまでブッ飛ぶSUBPOPはいつの時代もオシャレだなあ、とか色々と感慨しきり。自慢はSLOWDIMEコーナーとJAGJAGUWARコーナーでございます。

【只今のBGM:ULVER「1993-2003: 1ST DECADE IN THE MACHINES」】


ULVER10周年記念のリミックスアルバム。ノルウェーブラックメタルの最重要バンドのひとつとして称えられ、それが今やゴシックエレクトロユニットと化してなお活動中のエキセントリックな人達なわけですが、10年目に出してきたこれはTHIRD EYE FOUNDATION、STARS OF THE LID、FENNESZ、PITA、MERZBOWなど驚きの面子がそれぞれ好き勝手にULVERの曲をリミックスするというもの。大半はノイジーエレクトロニカ〜陰湿ビッグビーツ?みたいになってます。元ネタが元ネタなだけにか、誰がどうやっても全曲邪悪。ゾジャーッと切れ目なく刻まれるリフにトトトトと止まらぬブラストビート、これがアンビエントノイズになっても確かに違和感少ないはず。普通に本人がこういうアルバム正規盤として作ったらいいのに。ラディカル極まりないブラックメタルの真髄をきっちり濃縮/抽出した大成功企画といえるでしょう。

  9月11日
収穫はなし。外に出掛けた帰りは度々本当に「プリンシェイク」を買って飲みたくなって仕方がないのに、コカコーラやBOSSには目もくれずやっと見つけたポッカの自販機にことごとくプリンシェイクは入ってなくて畜生ガッカリ、畜生ガッカリ、を繰り返してるうちに家に着いてしまって冷蔵庫のカルピスで済んでしまうことが多々あります、ああこれは節約になってはいるけど悲しいんですよ心底。何とかしてくださいポッカ様。未だ缶飲料でプリンてなに、と懐疑的になってる人は早く開眼して草の根運動に協力して下さい。

【只今のBGM:LAUGHING HYENAS「LIFE OF CRIME / YOU CAN'T PRAY A LIE」】


先月18日のこの欄で登場したMULEの前身バンド。アルバム2枚カップリングです。MULE絡みで自分で調べてへーこんなバンドがいたのかと知った矢先にバーゲン段ボールから315円で救出したのでラッキーでした。SCRATCH ACIDやKILLDOZERの時代から脈々と続くTOUCH & GOガレージジャンクサウンドの王道付近をいく音楽性で最高です。ジム・キンボール(MULE〜DK3)の激打重量グルーヴドラムにAC/DCが不穏に煮崩れたが如き妙にフレンドリーなリフが乗り、ヴォーカルはMELVINSのバズとTHE JESUS LIZARDのデイヴィッド・ヨウの中間をいく酔拳アジテイタースタイル。この異様に高いテンション、というか充実しきったバンドパワー、はライヴで見たらUNSANEばりに圧倒的だったでしょうなあ。プロダクションも2枚分のうち新しい方(90年)ならリヴァーブ/コーラス毒の薄い好感のもてる出来で全く問題なく聴けます。古い方は古い方でヴォーカルのやぶれかぶれ度がより高くてカッコイイ。THE JESUS LIZARDを徹底的に集めてもまだ飽き足らないディープな御仁には大推薦。

  9月10日
収穫はなし。熱下がって鼻止まらず。久し振りのココイチが味しなかったなんて哀し過ぎる。今日はココイチに行く価値がありませんでした、私に。

【只今のBGM:THE SONORA PINE「II」】


RODAN残党派はひととおり網羅しようということでアマゾンで買って最近届いた品。ご存知タラ・ジェーン・オニール女史とドラマーのケヴィン・カルタスがいます。1stにはショーン・メドウズもいたとか。豪華〜。若干屈折しつつもなかなかスッと馴染むダークかつ柔和な泣きを作れるタラさんの手腕がばっちり発揮されてる上、メンバー一人分としてクレジットされているヴァイオリニストも全面的に活躍していて、ルイヴィル暗黒系の正統な系譜上にいながらにしてそこには収まりきらないメランコリックな叙情性をたたえたグッドな内容になってます。SHIPPING NEWSのバンド感とタラさんソロ諸作の優しい感じと(ヴァイオリンだからって少々安易ではありますが)DIRTY THREEの物哀しさがクロスしたような。JUNE OF 44よりはLOWやDAKOTA SUITEに近く、SLINTの影はしっかり独自フィルターを通過して形を変えてます。暗さ以上に暖かさが漲る充実作。買いです。

  9月9日
本日の収穫、パルコ店にてHOOVER「HOOVER」(SLOWDIMEリリース97年作!!)、KENNY LARKIN「AZIMUTH」、JOHN ABERCROMBIE/DAVE HOLLAND/JACK DEJOHNETTE「GATEWAY」(ECM75年)、YUSEF LATEEF「EASTERN SOUNDS」(61年)。熱下がらず。季節の変わり目に風邪なんてベタ過ぎてやだねったらやだね。旅番組での氷川きよしのコメントもいっつもベタ。

【只今のBGM:YUSEF LATEEF「EASTERN SOUNDS」】


何かと珍妙で人を食った感じがどうも好きで、見つけると買ってしまいます。大胆にも東洋サウンド!と銘打ってしまったこのアルバム、1曲目からウメの花("The Plum Blossom")と題してフルートを尺八か何かに似せて胡散臭い和フレーズを披露してくれてます。ドラムは鈴の音のみ、ベースは普通にアップライトの超高音なのかクレジットにあるラバトという楽器なのか、輪ゴムみたいなピョンピョンした音をひたすらミニマルに。OJCから出てるジャズCDを買ってこういうジャズのお決まりストラクチャを大解体してるのに遭うと痛快ですね。2曲目以降は一応ノーマルなコンボ形式をとるものの、一風変わったスケールや拍子、笛っぽいものを模した音色を駆使して妄想オリエンタル世界を展開してくれます。途中いきなりスタンダードバラードも混じってきて、何でこんなんやってんのと思いながらも、普通にムーディで巧いユセフ節にまんまと酔わされたりします。不敵!当時台頭しかけていた新主流派のリリシズムとは趣きの異なる、正に不敵かつスピリチュアルなユッタリ酔いどれサウンド、非常にユニークで味わい深い。心あるジャズファンも、ヤクザなやつだけで充分なカスリ・リスナーも、全員どうぞ。

  9月8日
本日の収穫、今池P-CANにてHENRY COW「IN PRAISE OF LEARNING ORIGINAL MIX」(SLAPP HAPPYとの共演盤!)、POPOL VUH「AGUIRRE」「DAS HOHELIED SALOMOS」、PIERROT LUNAIRE「PIERROT LUNAIRE」、ANDREW HILL「GRASS ROOTS」(リー・モーガン他)。さてMINERALとBOYS LIFEとBRAID、どれが一番好き?と尋ねられたら「MINERALとBOYS LIFEが同じくらい好きでBRAIDはそのあと」などと答えかねない私ですが、BRAID@得三行って参りました。一度限りのリユニオン・ツアー!ていうと何だか見逃すの惜しいですからね。最近ライヴリポートのページをちゃんと更新しなくなってるのでもうここに詳細書いちゃいます。

 開場の18時過ぎに得三に着くと中は信じられないガラガラっぷりで、意外にもテーブルあり。(※得三はチケットの売れ行き如何によってフロアにテーブルが出たり出なかったりするようです。)マジこれでやんのーって雰囲気のまま前座一番手THE ACT WE ACTが登場、初めて見ましたがSLAP A HAMと31Gを股にかける混線系ジャンクギター変則ファストコアでした。ホントにマイクや楽器のシールドを混線させまくりの激狂乱なステージングで、特に楽器をすぐに放棄してフライパンや各種ガラクタを鳴らしながら踊る左ギター氏は壮絶。そんな中ちゃんとコケたりせずに曲の土台を守るベース氏は偉かった。騒ぎをよそに淡々と自分のフレーズを弾きこなしていた右ギター氏もいい仕事人。イカレてるからよしという安易な話ではなく、普通に見応えのあるバンドでありました。

 続いてはQ AND NOT Uの前座か何かで見たCLIMB THE MIND。イースタンユース+BRAIDもしくは極初期AT THE DRIVE-INという印象はそのまま…というか、その方向のみにおいてより歌ものとして垢抜けようとしていて、前述のバンドを聴いてるかのような気がしっぱなしのまま終わってしまいました。変則リズムといえば3+3+2の一点張り、同じ感じの胸キュンパーツの順列組み合わせで曲の個体認識出来ず、等々、演奏の完成度とかとは別のマクロでの不充実が目立って仕方なかった気がするな〜。狭いコミュニティで滅多なこと言うもんじゃないですか?いやいや、ローカル・ライヴハウス・シーンに転がされたらオシマイなので。真摯さは伝わるし頑張って頂きたいんですけどね…。MID90'sの無骨な熱さを今に伝えるという点では貴重とも言えますが、ナツメロバンドのつもりでやってるんではないはず。

 でBRAID。今回何故体の不調をおしてまで(このあと帰宅して熱を計ったら37.8℃でした…)見届けに行ったかというと、一人HEY MERCEDESに混じらずFIREBIRD BAND/PROJECT/SUITEで素晴らしい作品を残したクリス君、ひとえにこの人を拝見したかったからであります。セッティング中にウロウロしてる連中を見て「あの金髪がクリス?ヘイメルTシャツがボブ?」などと勝手に想像してたのですが実は彼等全員ローディーで、出てきた本物のクリス君はグレン・ダンジグが血迷ったような前後長髪・横カリアゲのエキセントリックヘアー、そして他の3人より明らかにだらしないお腹をしていて正に想像通り!でございました。いかなる見地からしてもイケメンでしかないボブとのツートップはやっぱり相当ヘン、というか、そりゃ伝説にもなるわという感じ。ボブは予想以上にイケメンかつ歌上手かったなあ。人気盤3rdの1曲目で威勢良くスタートするわけですが、最前近くかつ中央正面にいてメインスピーカーの圏外だったせいか、ドラムの生音が一番聞こえてギターが全然ガーッと来ず、ヴォーカルも小さく、心躍るはずの場面で何も沸き起こらないこの寂しさ何ー!?…と思っていたのは私だけだったらしく、あるいはそんなことはお構いなしだったのか、モニター間際を陣取っていたstiffslack新川氏をはじめ熱心なファン達は猛烈にヘッドバンギングしかもステージダイヴつき。この頃になると何とかフロア前方に4〜5列くらいの人だかりが出来るくらいの客は入っていてひと安心です。人が入るはずのバンドが廻ってきてもガラガラもしくは黙々しんみりだと名古屋飛ばしが更に増えるんじゃないかってのが心配で心配で。JUST A FIREが来なかったのはツラかったしな〜、安いライヴなら飲むの一回我慢して出掛けようじゃないですか、地元のために。

 さて話をBRAIDに戻しましょう。変態絶叫係のクリス君、実は物凄く安定して音程もバッチリの天然コンプ声をしてる人で、マトモにハモる場面なんかではウソのようにピタリと調和。スゴかったなー。ギターパートの割り振りは、小難しくて理性的なフレーズはボブ、収まり悪いチョーキングや変なタイミングのロングトーンが入ってるのはクリスという具合。ボブは歌の合間に相当アクロバティックなハイポジション単音フレーズを難なく弾きこなしててイケメン度またUPです。ドラマーは同じ一癖をガンガン使い回すタイプの押し切り派でしたが抜群に安定していたしパワフルだった。ベースはステージ中央にいながらにして目立たないんだけど手元を見ると結構よく動くフレーズを弾く人。瞬間を戦うインタープレイとか、誰かが誰かを牽引とか、そういう力関係が発生する音楽性ではないため、一定のペースで持ち曲をドンドン披露してステージは進んでいきました。MCでもクリスは温和でユーモラスな人でして、色々言ってて忘れちゃいましたが「オレノチクビサワルナ」とか言っていた。アンコールではTHE ACT WE ACTの踊り担当氏が呼ばれて「ステージ上でタンバリン叩いて踊れよホラ」と半ばイジメっぽくけしかけられていたものの、当人は恥ずかしがって出て来ず。なーんだ踊り狂えばいい記念になったのに!

 ということでお土産写真をいくつか。

↑イケメン代表ボブ・ナナー!

↑見えるか横カリアゲ?クリス君!

↑プライバシー保護目線ではありません、リズム隊の二人

↑ローディーをパシらせ人数分のビールを要求、すぐさま消費
 ということで、崇高なるミュージシャンシップとかそういう感じもなく持ち曲オンパレードに付き合う感じのライヴでございました。沢山やってたから本当に心待ちにしてた人達にはたまらんかったのでしょうなあ。

【只今のBGM:HENRY COW「IN PRAISE OF LEARNING ORIGINAL MIX」】


バカげたディープ・ロング・リヴァーブが乗った旧通常盤=リミックス盤からの買い替え。このアルバムはSLAPP HAPPY側の「DESPERATE STRAIGHTS」と双璧をなすカウ/ハッピー合体音源としてホント全員一生大事に聴いた方がいい代物なので、オリジナルミックス&リマスター、加えてクリス・カトラー自身の解説文が新たに加えられたこっちの出直し盤の方を絶対持ってるべき。いやー改めて壮絶。SLAPP HAPPY名義で出ただけあってグロ・メルヘンな作風になっていた「DESPERATE〜」よりカウ寄りのアヴァンジャズロッキンインストパートが猛充実していて、ダグマー・クラウゼの硬質ヴォーカルもART BEARSばりに狂気。ああこの奇跡的な面子なに?ダグマー他アンソニー・ムーア、ティム・ホジキンソン、ジョン・グリーヴス、フレッド・フリス、クリス・カトラー、リンゼイ・クーパー、ピーター・ブレグヴァドって、英レコメンの叡智が巨人軍の如く総結集やないですか。素っ頓狂なメロディラインから衝突するノイズの全瞬間まで、攻撃的な程の理性が潜む完璧な確信犯でございます。ポストパンクも何もない時代にこの偉業、凄いなあー。

  9月7日
収穫はなし。風邪のため21時台に寝る。

【只今のBGM:SKULL KONTROL「ZZZZZZ....」】


4月29日のこの欄でも登場したバンドの2000年作EP。激骨折ジャンクパンクって感じの作風は相変わらずながら、更に骨折具合がグシャグシャ化してて結構壮絶。頭悪いばっかりのアートワークからして強力ですね。THE JESUS LIZARDとかみたいなTOUCH & GO一派の邪悪なうねりが全くなく、オリジナルパンクのヴァイブそのままに上っ面だけ21世紀あほ仕様になったような軽薄ノリがいいなあ。タイムリーなことにここの元メンバーの新バンド・WRANGLER BRUTESというのが今年中に来日するそうですので、皆様これとかMONORCHIDとかを早めに買って予習しときましょう。さぞグレイトなライヴになるはずですよ。

  9月6日
収穫はなし。夏バテなのか何なのかここ数日体調不良で、ダルさで嵐のように眠るわ外はリアル嵐だったりするわ地震は来るわ子供等は死ぬわ、未聴CDありすぎでどれから手をつけていいか判らんうちに地震対策で平積みの山をいくつか解体して順番シャッフルされちゃったわ、なんか現実感ないですね足で地を踏んでる現実感。そんな中BRAID名古屋公演は明後日かー、今日はEXODUSやってたのか〜(泣)。大きい地震が来るとCD棚はやっぱり倒れて中身が割れてしまうのか、もし所持数の何分の1とかまとまった量が破損してしまったらこの先何を思ってCD購買の基準を定めていいのか、命の心配はすっかり忘れておる次第にあり候。

【只今のBGM:SND「STDIO」】


MILLE PLATEAUXの微音ミニマルハウス2000年作。けっこうな人気者らしく検索すると大量に引っ掛かります。遅めのテンポで、踊ったらどないねんとドカドカ蹴りを入れてくることなく、小刻みに地味ファンキーなリズムを作るクリック成分と倍遅い時間軸でヒュルヒュル響く和音成分とが組み合って構成された静謐アンビエントビートがひたすら変化もせず5分6分、という激ストイックなスタイル。どの曲も一応収まりのいい調性感はあって、MILLE PLATEAUXの売り出し文句は「OVAL meets ハウス」だったとか。なかなか納得。上モノを残してリズムがブレイクとかそういう典型的な手法は使わず、ただ淡々と流れ続けては曲の切れ目でパッタリ変わるだけで、これはこれでよくあるテクノのカタルシスとは異なる安心感につながってる気がします。ディープな割に単純明快フレンドリー、そりゃ好かれるでしょう。秋の夜長のお供はこれで。

  9月5日
収穫はなし。地震ありすぎ。CD崩れるっちゅうねんコワイよ〜。

【只今のBGM:JACK JOHNSON「ON AND ON」】


元プロサーファーSSWの2nd。板つながりでトミー・ゲレロあたりにも通じる感のある、バラードというでもないレイドバックした小ぢんまりソングをずらずら〜っとやっています。最近のレッ・チリのメロウサイドにも近い。インドア宅録オタクじゃなくて運動神経のいい人にこういうことをやらせるとさすがリズムが強力ですね。ただのちょりんちょりんしたカッティングが切れに切れるし、レゲエ/ダブ入ったリズム隊も最高にいい仕事。トータルで曲数が多い上にムード的にもかなり一本調子ですが、この場合ヘンにテンションが上下し過ぎないのが逆に功を奏してるといえるでしょう。垂れ流しておいてコレいいね、あっ曲変わったね、くらいの感じでユルく堪能すればよし。ただやっぱり負け組インドア野郎の独り歌の方が共感できてしまうな〜。ある意味SENTRIDOHの対極にある音楽。

  9月4日
収穫はなし。雷雨が暴力的に来て全身濡れましたね。余りの酷さに、やっとの思いの帰宅直後、勝手口から家にあがらずにその場で下着以外脱ぎ捨てて総着替えしてしまったくらいだったけど、ズボンのポケットに入ってて水浸し同然だった携帯が無事だったのでよろしい。前線、後退して。全体的に一昨日分の日記参照。

【只今のBGM:STORMY SIX「L'APPRENDISTA」】


77年作。伊レコメンの筆頭として古くから活動するバンドです。初期の作品は別段音楽的にラディカルなところもない叙情フォークプログレだったわけですが、この頃はもう相当。HENRY COW〜SLAPP HAPPYらへんのレコメン本流アヴァンジャズロック〜チェンバーサウンドにイタリアンな誤読が乗っかったり、何故か普通にGENESISやYES風のポンプロック的展開が紛れ込んでたりして、エトロンともサムラとも似てるようで違うヘンな大陸レコメンとして新鮮なことこの上なし。このチグハグっぷりといい初期からの大胆過ぎる音楽性の変化といい、本気で音楽に楯突く気があるのか不安になってしまいますが、まあこれはこれ。おっさん声のヴォーカルが目立つせいで余計に笑えるだけなのかも知れません。ハイクオリティでユーモラス、緻密にして突飛なあくまで秀逸盤であります。

  9月3日
▼名駅店バーゲンにて本日の収穫V.A.「DAY BY DAY」(DELSINコンピ!)、SURGEON「BASICTONALVOCABULARY」、HOT CROSS「CRYONICS」、BRUCE SPRINGSTEEN「GREETINGS FROM ASBURY PARK, N.J.」、バーゲン品でLAUGHING HYENAS「LIFE OF CRIME / YOU CAN'T PRAY A LIE」(T&G!MULE〜DK3のジム・キンボール在籍)。

【只今のBGM:HOT CROSS「CRYONICS」】


LEVEL PLANEリリース、ORCHID直系クルクルケイオティック激情コア!手にしたのはSONZAI RECORDSなる所からの国内盤ですが、装丁への気の遣いっぷりが素晴らしいので問題なし。変拍子ではないにしろキメキメで複雑なリズムパターンと煽情力の高いフレーズで突っ走る、極めて優秀かつ良心的なバンドでございます。奇特であることに腐心せずまっとうにエモーショナルなのが良い。激情エモというと歯切れ悪くフギャァ〜ッと絶叫してるだけに聞こえるような人達も結構いますが、彼らは邪悪&早回しヴァージョンのAT THE DRIVE-INといってもいいくらいの垢抜けっぷりで、重度のマニアには勿論のこと「これ系で何か1枚」というだけの人にとってはこの上ない好バンドなんじゃないでしょうか。

  9月2日
収穫はなし。秋が暴力的に来て夜冷えましたね。余りの寒さに、飲んだ帰りの26時頃、通り道のなか卯に一人で立ち寄って補給してしまったけど、やっぱりミッキー吉野家の並・卵・味噌汁の「勝手に390円定食」が恋しい。牛丼、再開して。

【只今のBGM:BATTLES「EP C」】


11月に再来日?よろしくDLC〜!さてこれは今年はじめの来日公演でも披露していた曲を収めた計5トラックのEP。当然最高。ジョン・ステニアーのドラムは緊張感出るな〜。普通の1ヒットなのに何か攻撃的で頭イイ感じになるのは何故?その他3人のミニマルパーツの応酬に一人で対峙するこの人の存在こそがこのバンドの半分な気します。イアン(・ウィリアムズ/Gt.)はライヴでもそうだったように、あの戦う両手タップをそれほど繰り出さず、土台になるパーツ組みで重きを占める職人ポジションですな。よって「AMERICAN DON」の続編を求めて聴くのは間違いでした。ライヒ譲りのミニマリズムを胸につかず離れずのニアミス合戦と邪悪なへヴィグルーヴ、やっと出てきたドンキャバ・フォロワー達を尻目に遥か先までスッ飛んでおられましたこの人達。ハードコア以降だから云々、と価値付けするのはもはや無意味でしょう。フリップ翁が聴いたらどんな顔するんだろうとかそんな風に考えてしまいます。

  9月1日
収穫はなし。一週間が短いなと実感するのって偶然先週と同じテレビ番組を見てしまった時だけな気がしませんか。なので毎月はじめの「もう××月か〜、早いねぇー」っていう会話はヤメた方が一ヶ月が短くなりませんよ。

【只今のBGM:DUMP「A GROWN-ASS MAN」】


YO LA TENGOの巨デブ大将ジェイムズ氏の一人ユニット。99年から02年までの音源がまとめられたアルバムだそうです。爽やかインドア弾き語り風からCLUSTERにヴォーカルを載せたようなのまで、ヨラテンから想像のつく感じ(DRAG CITYに移籍したような雰囲気?)のグッド・インディポップを沢山やってます。さすがヴェテラン、似た系統の誰々に近づきたいという若手バンド的なカワイイ憧れは全然なく、これはこれ風やな〜、次こんなんいこか〜、て感じで全て気ままにこなしています。むしろ俺がインディロック!くらい言っていい人ですからね。歌とかめちゃめちゃ朗々と歌うわけじゃないけどいい声してるし上手い。パート数抑え目で必要充分なムード作りを完成させるアレンジ力はやっぱ見事です。ちなみにジャケのイラストはアーチャー・プレウィット(THE SEA AND CAKE)だそうで。最後にTHIN LIZZYの"Cowboy Song"やってます。結構真面目に再現しててニンマリ。ギターソロもカッコ良く弾けるのね。

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