物色日記−2004年11月

※頻出語句解説はこちら
  11月30日
本日の収穫、パルコ店にてDONALD BYRD「FREE FORM」、GARY BURTON「LIKE MINDS」。試聴中に目の前を見たら壁には12月3日から20%OFFバーゲンとのビラ、しかも拡大コピー。ガガーン。まあしかし5枚試聴して「全部買いません」と付き返す忍びなさに400円強払ったと思えば全然イーヴンなのでいいのです…。

【只今のBGM:GARY BURTON「LIKE MINDS」】


横ラベルを見ても「BURTON・COREA・METHENY・HAYNES・HOLLAND」と5人連名になってますが、表ジャケではゲイリー・バートンの名前だけ違う色で書いてあるので、まあこの人のリーダー作ってことにしといていいんでしょう。98年作。フュージョン臭は殆ど無くチック・コリアも全編アコピのみ使用です。管なしは静かでいいな〜。ギターとヴィブラフォンのユニゾンって牛肉とジャガイモばりに化学反応起こす気がします。1曲だけガーシュウィンナンバーがある以外は全てメセニー/コリア/バートンいずれかによるオリジナルで、書き下ろし新曲はなく全て再演とのこと。ちょっと検索しただけでこのアルバムを絶賛するレビューがボンボン出てきたんですが、まあそれもそのはずの素晴らしい内容。どの曲をとっても柔らかな哀愁を湛えた瑞々しい出来でサイコーです。3人のリードプレイヤーが色をあわせてつかずはなれずのカラミ、リズムセクションの仕事も軽妙で新鮮。リラックスしたムードで各人存分に歌わせながら綺麗に調和してます。ノセノセ・アーシーなアクの強さがないので、うっかりスルーしてしまう危険性も同時にあるにせよ我々日本人には非常に聴きやすい内容といえるでしょう。ジャズって何ですかと言って変に「GIANT STEPS」とか「KIND OF BLUE」とかを掴まされるより、80年代以降とかイタリア・北欧など非アメリカものを視野に入れて中間を取るならコッチの方が明快かも。ちっとも色気のないプロダクション(特にピアノ!)と何てことないジャケだけが残念。頑張れよCONCORDー。

  11月29日
本日の収穫アマゾンマーケットプレイスにて購入のDAZZLING KILLMEN「FACE OF COLLAPSE」。部屋が汚い。大掃除シーズン前に大掃除同然のことをするのも何だなとか無駄なことを考えて、年末まで放っておくと思います。こんなにレイジーだったかなあ。

【只今のBGM:DAZZLING KILLMEN「FACE OF COLLAPSE」】


COLOSSAMITEのメンバーがいるSKIN GRAFTバンドの94年2ndです。「ここ10年でナンバーワンのヘヴィミュージックレコード」とプレスに評されたこともあるとかいう盤。確かなテクニックのもとバシッと統制のとれた激プログレッシヴなスタイルで、CORONERやWATCHTOWERみたいな屈折メタルとKILLDOZER、UNSANEあたりのアングラUSヘヴィジャンクHCが渾然一体となった、初期CHEER ACCIDENTをより邪悪にしたかのような音楽性。「SEASONS IN THE ABYSS」期のSLAYERをポストハードコアサイドのディープなところに連れてった感じもあり。この完成度と説得力は全く風化せず現在でも強烈です。不穏なユニゾンを高速指弾きでバリバリこなすベースが何だかスティーヴ・ディジョルジオ(SADUS〜DEATH)みたいで激ウマ!時々トム・アラヤ(SLAYER)ばりの血管破砕系高音絶叫をブチかますヴォーカルも凄い。知らずに買ったんですがエンジニアが御大アルビニで、時期的にやっぱりNIRVANAの「IN UTERO」に近いサウンドに仕上げてまして、ドラムの豪腕っぷりや病的なギターリフの響きもカッコ良く収められてます。こりゃTODAY IS THE DAYあたりの直系の祖先ですね。RELAPSEがフォローしてるような妄想系残虐プログレッシヴニュースクールみたいなの(?)の新人をガサガサ探し回る前にこの人達ですよ皆様。グレイト!SKIN GRAFTホントに奥深すぎ。

  11月28日
収穫はなし。オロナミンCの新CM、係助詞「ぞ」の使い方は合ってるとしても、汝に訊きたきことぞある/されば野を越へ山越へて/汝が町へ至り来ぬ、くらい言ってくれたら良かったのに。家庭教師トライの「sagar」然り、上戸彩が出てくると何かイチャモンつけたくなるな。

【只今のBGM:JUDAS PRIEST「RAM IT DOWN」】


6日前の日記に使ったジャケ画像のスキャンのためにちょいと引っ張り出したまま棚の外に置いてあったのを、そういや最低2〜3年は聴いてないなこれ…と思い続けて今日とうとうプレイヤーに乗りました。一発目のタイトルトラックのイントロからいきなりロブの絶叫ハイトーン、ア〜!!しかしこれってどこかで聴いたよなと思って考えてたらHALFORDの1st「RESURRECTION」冒頭のリザルェクスィヨーン!のコールと一緒でした。この人気合を入れるときはとりあえずピンで絶叫するようです。今でも孤高の金字塔、ヘヴィメタルの聖典中の聖典として語り継がれるレジェンダリーな2枚「SCREAMING FOR VENGEANCE」(82年)、「DEFENDERS OF FAITH」(84年)に続いた「TURBO」(86年)が、DEF LEPPARDやRATTみたいなメインストリーム指向アリーナHRからのインスピレーションや遅出し過ぎるニューウェイブ〜サイバーテイストがゴッチャになった問題作でセールス的にもコケて(面白いアルバムです)、次はいっちょメタルゴッドの意地を見せなイカンなと力みまくったのでしょう。RIOT風クラシカルフレーズとACCEPTみたいな無理ある転調を堂々と導入して88年におけるメタルの最新仕様にキャッチアップした初っ端のファストチューンでひとまずやる気充分なことは合点。ヘタウマなギター独奏に導かれて続く2曲目はタイトルからもう"Heavy Metal"!一緒に歌おう的なサビのミッドテンポナンバーだけどロブのファルセットハイトーンがどうしてもジョー・エリオットで「TURBO」の影が拭えないっ。その後も"Hard As Iron""I'm A Rocker""Monsters Of Rock"など超大風呂敷なタイトルが並び、曲は概して大粒…なようでどうもどれもスルスルッと粘度低めにすり抜け、乾いたものばかり腹一杯食ったような物足りなさが結局最後まで消えない。思うにこのアルバム、スタジアムの観衆に連帯感を与えるような「メタル・アンセム」であろうと意識し過ぎた余り、よそでも聴くような「80年代メタルっぽさ」に甘んじることになり、いつも世間的常識よりハードめに飛ばしてウソーこんなに激しくていいの〜!と驚かせてきたプリースト流前線超えをしなかったのが、佳曲もあるけど後回しでいいアルバム、としか語られぬ羽目になった敗因なのではと。一方当時隆盛の絶頂にあったスラッシュメタルのエッセンスとハードゲイ&SMなロブの過激なパーソナリティを結びつけた90年発表の次作「PAINKILLER」はやはり前人未到の大名盤でしたし未だもって破られることのないユニークな内容になってると思います。自分達自身が創出したジャンルの中で正統派現役として戦うバンドって一度はこういう轍を踏むもんですね。正真正銘のオリジネイターの手による80年代後期HMの優秀な見本市として資料的価値は高いとも言えるし、真性マニア諸氏にはそんなこた構わず直球で愛し続けていって頂きたいものですが。

  11月27日
収穫はなし。昨日の続きですけど12月23日ってそういや天皇誕生日で祝日でしたね。安心して朝から並びましょう。今日はカキ(牡蠣)を昼と夜に食ってしまった。

【只今のBGM:A DRAG CITY SUPERSESSION「TRAMPS, TRAITORS & LITTLE DEVILS」】


年末の話をする前にまだ9月のバーゲンの収穫が未聴で残ってました。あらー。これは2001年発表の、DRAG CITY所属のミュージシャンを集めて書き下ろし新曲やらカヴァーやら色々やらせた企画盤です。といっても実質イーディス・フロスト、SMOGのビル・キャラハン、ROYAL TRUXのニール・ハガティが持ち回りで歌って、時々ジム・オルークやアジータ・ヨゼフィなんかが参加する以外は割とマイナーな面子のみ。PALACE一門もメイヨ・トンプソンも全然ノータッチでこれでスーパーセッションかよーという感じも無きにしも非ず。内容はDRAG CITYらしいアメリカーナなフォークロックなわけですが、曲ごとにバラバラの面子で好きなようにやらせてるせいか、アヴァン度が通常のリリースより上がってる気がします。ダニエル・ジョンストンが本気でブルース・スプリングスティーン似に挑戦したみたいな変なアッパー感が何故か全編共通して匂ってきてちょっと面白い。10曲中4曲入っているカヴァー曲はそれぞれルー・リード、デル・リーヴス(知らない…)、BLACK SABBATH、ランディ・ニューマンのものでして、サバスの選曲は"N.I.B."です。重々しさは完全に吹っ飛んでるけどオジーの病的なヨレヨレ感がかなり上手く再現されてる上、フォーフォーと牧歌的な管弦楽器が乗っけられてて、数あるサバスカヴァーの中でも出色の出来ではないかと。全体としては伝説的な名コンピ/名セッションの類だと思って無理に買うこたない内容ですが、重度のDRAG CITYマニアとか日本に何人いるか判らないSMOGの熱烈ファンとか、"Sabbath Bloody Sabbath"のためならTHE CARDIGANSでも買うという人ならば、持ってて幸せなアイテムに違いないでしょう。

  11月26日
▼サウンドベイの年末バーゲン情報を早めに確認しようと、今日は遂に金山店に直接電話をかけてみました。すると即答、「まだ決まってないですねー」と。何週目かとか、金曜スタートか土曜スタートかとか、全然何もですか?と訊ねても「全然決まってません」の一点張り。そう答えておくことになってるかの如き頑なな対応を怪訝に思った私は、一応上前津にもかけてみましたらば、「ちょっと待ってくださいね」と数十秒の保留の後「23〜26日です」とあっさり教えてもらえてしまいました。何だってんだ金山!だから森田君に金山は何かスカした感じがして嫌とか言われんだよ!てことで今年は木曜スタートとなるので、仕事やバイトをお休みする気の人は御注意を。本日の収穫は何となく行きたくなった今池P-CANにてFORMULA 3「LA GRANDE CASA」(邦題「神秘なる館」イタリアンロック名盤!)、BLUE OYSTER CULT「THE REVOLUTION BY NIGHT」(83年)、THE LATIN JAZZ QUINTET + ERIC DOLPHY「CARIBE」(60年PRESTIGE)。

【只今のBGM:FORMULA 3「LA GRANDE CASA」】


バンド名はフォルムラ・トレと読みます。ユーロロックを愛する人なら必ずその存在を知る有名盤4th。おおプログレ!と身構えるような実験性や難解さはなく、PROCOL HARUMやSEBASTIAN HARDIEみたいに雄大な泣きで魅せるじんわり叙情系。地中海の郷愁たっぷりのアコギが眩しい。しかしそれだけじゃイタリア人の熱情が黙っちゃいないのか、随所でぐぐぐとロッキンな盛り上がりも見せます。こういう時のタッタカタッタカまくし立てるビート感と熱い巻き舌イタリア語のマッチングはやっぱ最高ですね。加えて中途半端にブルージーなリードギター、愛らしい初期シンセ、やけにクラシックマナーでしかも上手いピアノがそこに絡んだりするこのゴッタ煮感こそ70年代プログレ〜アートロックのマイナーどころの醍醐味というもの。大陸に伝播したプログレ・ムーヴメントって、要は各地土着のフォークミュージックをロックの産業ベース上に開放する運動だった気がします。それが余りにアーティスティックに行われたために現在でもその成果が至宝としてこうやって重宝されていると。プログレによって世に出で得た音ではあるけども、中身は英米生まれのロックを乗り物にしたイタリアの素直な歌心そのものなわけです。ゆえにTRETTIOARIGA KRIGETやPICCHIO DAL POZZOが好きで仕方ないという人がもれなく気に入るものとは思いませんが、こういう大仰でよく泣く人肌温度の音楽が好きな人なら一生モンでしょう。ちなみにこの作品でバンドは解散、メンバーはIL VOLOへ行きます。こちらはもう少しテクニカルでプログレ/ジャズロック然としたスタイルに接近、これまたサイコー。

【続・只今のBGM:IL VOLO「IL VOLO」】
どんなんだっけと思って引っ張り出して聴いてたらひどくカッコ良かったのでついでに。ハキハキしたリズムを多めに導入して軽快さを得ながらも、全身がズオーッと波に押し流されるような色の深い(かつニオイは上品な)叙情性はそのまま、歌ものとしてのコンパクトさ/キャッチーさもあり、イタリア版HATFIELD AND THE NORTHといった趣きになっています。凝ったアレンジが施されてインスト面の噛み合いがより強靭になった分、プログレ的な楽しみ方がしやすくなりました。派手に変速したりする曲展開も物語的な流れの上にあって必然性を感じるしちゃんとドラマティック。いやー素晴らしい、泣ける音楽はいいね。しかもトレ時代にあった力ずく感はどこへやら、イタリアンロック王道バンドの中でも断然ソフィスティケイトされた音になってます。PFM、BANCOときて、次に何、といったらNEW TROLLSやLE ORMEよりコッチでしょう。(AREAは別格として。)

  11月25日
▼去年の来日中止以来一年待ちました、今日はKARATE名古屋公演のために鶴舞K.D.JAPONへ。JRの高架下に作られた店内は鉄橋をそのまま壁にしてしまったワイルド&激セマな構造でして、とりあえず2階席のステージ正面になるポジションをゲット。1時間弱押しで始まった1番手THE ACT WE ACTは9月のBRAIDで見たときと変わらぬ屈折奇声ファストコアで潔いステージングでした。このバンド好きだなあ。2番手TRUSは、サウンドチェックの時点で抱いた危惧が的中してドラムが普通に上手くなかった(細かい刻みが挿入されると途端にリズムキープ出来ない系)上にヴォーカルの訴求力も弱く、まあいっかと半寝でスルー。OSWEGOをアヴァンギャルドにしたような感じもあって音楽的にはそれなりに興味深い瞬間もあったからひとまず今後に期待ということで。3番手ASANAはフルートやアップライトベースを導入したアコースティックセットで、スピリチュアルジャズ風のものとブレイクビーツとチェンバーポストロックを行き来するミニマルなことをやってました。後にお楽しみが控えているという状況での延々のミニマル攻勢だったため少々食傷気味になったけども、随分前に見たときより良かった気がします。

↑THE ACT WE ACTガクガク中

↑暗いですけどASANAです

 さていよいよメインのKARATE。直前のASANAがドラムセットを全部取り払っていたため若干セッティングに時間を取り、22時半も過ぎようかという頃にやっとスタート。新作からガンガン来るかと思いきや意外にも4thの"Small Fires"、5thの"Airport"と旧作からのチョイスでの開始。その後にやっと新作から軽快キラーチューン"The State I'm In a.k.a. Good Buy From Cobbs Creek Park"が。今回はひたすらジェフの陶酔っぷりを期待していたのですが、無表情で体を揺り動かすこともないまま淡々と肘から先をストロークさせるだけだったのがまた意外。しかしギターの方を一切乱さずにあの半分喋るようなヴォーカルも完璧に合わせていたのはやっぱり驚異的でした。そんでソロはもう激ウマ。やっぱり変な経過音はバシバシ出しまくるんだけどそこに何の迷いもなく、長い息を吐くようにペリペリペリッと滑らかにフレーズをつなぎます。ジャズギター的な強勢のつけ方とロッキンなベンディングが奇跡的に交錯する、バーニー・ケッセルとジェフ・ベックの間みたいなギターだなと。かなり速いパッセージも完全ノーミスでした。

 ドラマー氏はとにかく手首が強い人。素早いアップダウンが強力過ぎてただの8分ハットだけでノックアウトされてしまいました。シンプルなことをカッコ良くやることにかけては今まで見てきた来日アーティストの中でもダントツかも。新作収録の"Tow Truck"なんて本当に何もない8ビートなのにアホのようにカッコ良かったです。ベースも指弾きで鬼の如くタイトなリズムでばっちり合わせ、色々動く割に前に出過ぎることなくギターヴォーカルを立てるという職人気質の人。泣ける。手練れが3人集まってこうやってキレイにはまり合ってるとトリオってええなあと思います。

 その後の選曲も1stから最新作まで割とまんべんない紳士的なもので、期待してた"Diazapam"(3rd収録)なんかも聴けました。しかし客が静かだったせいか、実はシャイなバンドなのか、思っていた程ライヴヴァージョンに変貌することもなくセットリストを順調にこなしていくステージだった気がします。それはそれで媚びないシブさって感じで良かったけど。上から見下ろすかっこうで聴いてたのがマズかったのかな?終電のため早めに帰っていった人曰く「フロアでの音圧は桁違いだった」とのことで。やっぱライヴは観察じゃなくて参加するもんですね、前列で。K.D.JAPONいい所だったけど今度からメインアクトは2階席からは見ないぞと誓ったのでした。アンコールもあって終演後、3rdのジャケのポスターにメンバー3人分のサインを貰って、その姿を見たDLCカトマン氏に更に「ポスターとか要ります?」と最新作のポスターまで貰ってしまって満足です。

↑こちらKARATEの御三方です

↑何もかも上手いジェフ・ファリナ

↑お疲れ様ですカトマン氏(写真中央)

 物販ではTシャツを買ったのみで、本日の収穫は件の先に帰った人から事情あって(彼はアナログに買い換えました)買ったOWEN「I DO PERCEIVE」。しばらくライヴ予定ないですけど1月末のPINBACKは行くかなー。

【只今のBGM:OWEN「I DO PERCEIVE」】


てことでホヤホヤの新作です。これは良い、良過ぎる。音響ポストロッキンなところがあった1stに比べて2ndではやけに質素になってしまって、まあこの人の歌心に付き合うか付き合わんかだな、くらいの感じになってたところにちょっと前のEPが来てンッ最高じゃないか?と思い、そんでこの3rd。アコギを重ねての朴訥としたピュアさは据え置きで、より歌ものとして親切になる方向で洗練されて、タワーレコードとかで馬鹿売れしなきゃおかしいくらいのクオリティになってしまいました。この和み美メロの洪水はこの人以外にありません、マジで。生ドラムの曲ではAMERICAN FOOTBALLを思い出させる快活さも再来。たまりませんね。泣ける系の曲に"Gooddamn son of a bitch"とか酷い言葉をサラッと混ぜる悪フザケもより拍車が掛かってます。思うにOWENになってからの最高傑作な気がしますよ。あなたが愛深き若者であるなら何も言わずにすぐさま買った方がいい。ホントです。

  11月23−24日
▼効用曲線、公用車、計画綱要、意識高揚、いやいや今年はそんなに派手に紅葉してなかったみたいですよ。ということで彦根/近江八幡にて出会ったMVP達をご紹介。

↑彦根港近くの松原でお休みのマダム

↑彦根キャッスルロード近くに在住の超イケメン

↑ひねもすくつろぎまくる八幡堀の看板犬

↑八幡あきんどの里を牛耳る薄三毛親子の一員
 ちなみにCDは買う所すらありませんで両日とも収穫なし。滋賀に住んだらアマゾンしかない。あと一本線型の地震雲は飛行機雲だと思います。

【只今のBGM:KARATE「UNSOLVED」】


明日の名古屋公演の予習で。枯れに磨きが掛かった4thであります。ポストコア然とした雰囲気もまだ残っていた前作3rdと比べると、「渋い感じ」だったのがあからさまに「ジャジー」「ブルージー」に変化したとともに歌ものとしてのキャッチー/コンパクトさが増して、ここでだいたい現在へ至るスタイルが固まっているようです。名曲らしい名曲が多いというかツブ立ちがいいですね。アートワークもお洒落でいいなあ。惜しむらくはジェフのギターがまだ発展途上で、アドリブソロになるとフレーズの息が短かさに伴うなりゆき感が若干あること。ニュアンスやイメージは豊かなものがあるのに具現化するところでウッと詰まる、マラソンセッションのコルトレーンみたいな(?)物足りなさを感じます。次の5thでは固定フレーズ度を上げて上手くかわし、最新作ではバッチリ饒舌になってるから今や安心なのですが。あと特殊なサウンドプロダクションを試みるあまりかバッキングのクリーンギターが変にコーラスがかったような音になってしまってるのも残念無念。まあしかしそんなこと偏執的マニア以外にとっては重箱の隅のご飯ツブの潰れたカス程度の問題でしかないので基本的には歌うめ〜とか今のアルペジオ渋いねーとかいってニコニコ楽しんだが勝ちです。男ならシノゴノ言わずにとりあえず買って下さい。

  11月21−22日
▼21日は収穫なし、本日22日の収穫は改装後初めて行く大須グレ・ヒにてFOREIGNER「HEAD GAMES」、THREE MAN ARMY「A THIRD OF A LIFETIME」、バナナ名駅店にてBUDDY RICH「MERCY, MERCY」、松田聖子「SQUALL」。自転車走行の行く手を阻むように横並びで歩く歩行者がジャマだな〜と思いつつ追い越すことも出来ずに後ろを徐行してると、いち早くその状況に気付いた一人が同行者に向かって「危ないよっ」と言って道をあけさせるのが納得いかないですよね、アンタの身の危険の話する前にアンタ邪魔なんだよと。道交法的には自転車が歩道を走ると違反になるはずなので普段からそんなに大きな顔はしませんが、名駅前の電飾をぼけーっとわき見しながら歩いてたオバチャンがふと進行方向に向き直った途端正面から走ってくる私(普通のスピード)がやっと視界に入ったらしく慌てて「うわうわうわ危っなーい」と言い放った時には、心の中で「RAM IT DOWN」のジャケのようにしてやったわ。

↑JUDAS PRIESTの隠れ名盤「RAM IT DOWN」。歩行者は気を付けましょう。

【本日のレビューその1:ETNA「ETNA」】


よく判らず試聴して買ったのですがちゃんと「ユーロロック集成」にも載っている名バンドの域の人々のようです。72年にFLEAと名乗って1枚作って、改名して75年にこれをリリースした後メンバーはGOBLIN、L'UOVO DI COLOMBOへと流れていったとか。内容は言うことなしの高水準ジャズロック〜ハードフュージョン。とりあえず全員激ウマです。裏にしかマイク立ててないんじゃないのと思う程ツサツサした音のスネアが軽妙に転げるだけでもう「あ〜70年代イタリアンロック!」てな醍醐味全開。時々アコギが出てきて地中海風に盛り上げたりする以外はクラシカルな要素がさほど前に出ることはなく、ジャズロックといってもイタリアンプログレ然としていたARTI E MESTIERIあたりよりむしろ後期SOFT MACHINEみたいなのに近いかも。緻密にして硬質。まったりエレピでロマンティックに落とした後16ビートが32ビートになる勢いでドーッ!と捲し立てにかかるようなダイナミックな展開っぷりはしかし、南欧的ロマンティシズムゆえのものかとも思わされます。演奏者の卓越した技量/表現力あってのこの怒涛の加速度。イタリアンロックで一点ものの幻バンドまで探す向きにはマストの品ということで間違いないでしょう。

【本日のレビューその2:THREE MAN ARMY「A THIRD OF A LIFETIME」】


もう一発古いのを。前身がGUN、後身がBAKER GURVITZ ARMY(いずれも未聴です)という由緒正しいブリティッシュHRバンドの71年1st。フレーズそのものはまだブルーズロック由来であることがありありと判るタイプのものながら、明確にリフ主導で展開していく様が見られるあたりはしっかり新時代ハードロック仕様です。GRAND FUNK RAILROADばりのノリノリ・ファンキーなカッティング挿入あり、IRON MAIDENにもろ手渡しされるガッツィー&無謀なリズム感覚ありの未整理な感じがまたマイナーバンドっぽくてイイですね。そしてファズとダウンチューニングでハイ出来上がりのお手軽ストーナーバンドにはない本物のロックな酩酊感、これがいい。別に激ウマとかじゃないけどこの時代固有の情緒がある無骨なヴォーカルも最高。(ちなみにこの人、ブックレット内の写真を見るとモミアゲが亀の子たわし並みにヤバイです。)そんで本編ラストの男泣きバラードがTHUNDERHEADのようで素晴らしいな〜。この1曲を引き立てるためにここまでのハードネスがあったと言ってもいいくらいの見事なシメ。CDでは更にボーナスとして3曲の追加があります。REPERTOIREってこういうの多いですね。偉い。ハードロックひいてはヘヴィメタルを深いところまで堪能するならこのへんも手突っ込んどかないとダメだなと今更再認識しつつ、漁ってやるぜREPERTOIREと決意を新たにしておる次第でございます。

  11月20日
▼サウンドベイの年末バーゲンの情報を収集しに上前津に行ったつもりが本日の収穫RADIAN「TG11」。更に最近行ってないな〜とずっと思っていたFILE-UNDERのポイントカードが1000円引き分たまっていたのを思い出したので行ってJULIE DOIRON「GOODNIGHT NOBODY」とSNAILHOUSE「THE OPPOSITE IS ALSO TRUE」を新品で、COCO「COCO」(K発、DUB NARCOTIC SOUND SYSTEMのベーシストがドラムのギターレスデュオ!)、AMERICAN MUSIC CLUB「ENGINE」(87年!)、PALACE「MOUNTAIN」(95年、ジェイソン・ロウエンステイン参加の4曲入りEP)を中古で。ベイのバーゲン情報はまだ公示されてなかったので発見次第情報お願いします。

【本日のレビューその1:SNAILHOUSE「THE OPPOSITE IS ALSO TRUE」】


昨年のジュリー・ドワロン来日公演にも同行していた元WOODEN STARSのマイケル・フュアスタックのソロ・プロジェクト3rd(mapの受け売りそのまんま!)。ジュリー女史やMARITIMEのジェレミー・ガラも参加、全く同じ曲を2種類のヴァージョンで収めた合わせ鏡式2枚組、と能書きは全部そそくさと受け売りさせて頂きましょう。さて内容の方、まずマイケル氏の声は、変にしわがれもヨレヨレもしないプレーンな感じながらソフトに歌うとふわっとした風情があって、誰と例えようもないですが好き嫌いは分かれないタイプでしょう。そんで基本的に弾き語りよりバンドサウンドで威勢よくやってくれてます。スローコアっぽいフォーキーさなんだけど歪んだエレクトリックギターで普通に成立してるあたりはRED HOUSE PAINTERSやIDAHOに通じるところもあり、曲によってはリズム面で凝ったトリックを設けてうっすらマスロック風味に仕立ててるのがニクイ。もはや歌ものポストロックと呼んでもいいくらいインスト陣は密かに気合入ってます。ディスク1と2のアレンジ違いっぷりに関しては、しんみりバラードが絶叫カオティックHCに化けるようなことはなく、VERY SECRETARYがPINBACKに着替える程度。それぞれ覚えるまで聴くと楽しみも増すことでしょう。あっさりと完成度の高い別ヴァージョンを作ってしまう創作的フットワークの軽さが素敵ですなあ。いずれもジャケのとおり冬の郊外にばっちりマッチする音になってます。こりゃ買い。

【本日のレビューその2:JULIE DOIRON「GOODNIGHT NOBODY」】


ということで御大ジュリー女史の新作もいっちゃいましょう。リリースは変わらずJAGJAGUWARから。顔面どアップジャケからちょっと趣向を変えてきましたね。今回は12曲中8曲が堂々のライヴレコーディングということで、来日公演でも見せた完璧な必要充分アンサンブルからするとむしろ当然のことかと納得。客の声とか無駄にライヴっぽい残響などは足されておらず、ちょっと遠めに録れてる以外は概ね普通のスタジオアルバムのように出来てます。そしてメインのジュリーさん、発した声の残響が減衰して消えるところまでコントロールするように細かな抑揚をつけて歌う歌声は、いつもながら絶品の一言。そこにいる人間が声を出すというより空間の一部になって部屋の空気を震わせているようだったライヴパフォーマンスの記憶を戻しつつ聴くと、キーボードを打つ手も止まって意識が埋没してしまいますっつうもんです。ライヴ録音でも修正の必要が全くないパーフェクトな演奏をする楽器陣(ジュリーさん本人のギター含め)の頑張りがまた素晴らしいですね。普通のロック然としたのとは違う繊細で変則的なアンサンブルなのに、一人宅録オーヴァーダブの如くハッキリと一定の方向へ調和を見せる様には感嘆。収められたアンビエンスがリアルスケールで復活するところまで音量上げて聴くと最高ですよ。ドラム入りのライヴトラックと弾き語り+αなスタジオトラックとでいい具合に雰囲気のメリハリがあって、これまでの弾き語り中心のディープな作風より手を出しやすい内容になってるので、早く全員買って頂きたいです。再来日を強く希望…!

  11月19日
▼2日前の日記に書いたとおりCDを一部棚から箱へ移したのですが、そしたら箱に行けなかった奴はサヨナラしてもいいんじゃんってことになって、久々の大裁判。遂にPROMISE RINGもARCHERS OF LOAFもRAINER MARIAも次なる主を求める旅(ファイブスター物語12巻はまだ出んのでしょうか、余談)に就いてもらうことに致しました。てことでリサイクルに向かったバナナ本店にて本日の収穫STEVE REICH「TEHILLIM」(82年)、PILOT TO GUNNER「GAMES AT HIGH SPEEDS」(GERN BLANDSTEN)、更に大須店にてDON BYRON「BUG MUSIC」(96年、エリントン楽団他を取り上げたビッグバンドアルバム)、ETNA「ETNA」(イタリアンジャズロック75年)。

【只今のBGM:CHARLIE HADEN/JAN GARBAREK/EGBERTO GISMONTI「FOLK SONGS」】


81年ECM。この3人では何枚か録音があるらしく、その一枚です。フォークソングと題してはいますが北米・北欧・南米混成で何処のフォークだというのか、表題曲となる1曲目(複数形が取れて"Folk Song"ですが)は「Traditional」とだけ書いてあるものの国籍は謎。聴く人が聴きゃ判るんでしょうか?しかしどうにも謂われなき郷愁をもって響く音楽です。パーカッション不在の分をギター及びピアノの熱っぽいアルペジオでぐいぐい引っ張ってテンポ感(明確な拍子は往々にして不在)を作り、曖昧に拡散しそうなところをベースのそこはかとないルート感でつなぎとめ、サックスが控えめの語数で優美過ぎるくらいに歌うという、ヘタすりゃ天気予報専門チャンネルのBGMにもなり兼ねないような雰囲気ではあるのですが、自動的に陶酔モードに入るくらい大きめの音量でヘッドフォンで聴くと、三者が常に神経を尖らせて共有するイメージのために呼応しあう充実のアンサンブルになっているのがガンガン伝わってきます。既成事実的「美メロ」「泣きメロ」に一切依存しないリアルな美しさをですね、紡ぎ出せるのはやっぱりこういう手練れな人々の卓越した表現力あってのものだなあと痛感。圧巻は何といってもエグベルト・ジスモンチが高速ポリリズムを両手で走らせる"Equilibrista"。ライヒに捧ぐとの表記のとおりのミニマル仕立てで、ロマンティックなゆったり展開のあとに凄まじいピアノ激弾きが火を吹いてまた穏やかにテーマへと収束するドラマティックな構成。8分半もの間ノンストップでミニマル16分を右手のみで弾ききる体力にも拍手です。つい最近RACHEL'Sで感動したばっかりだったから何だかタイムリーな内容の作品でした。

  11月18日
収穫はなし。ネコをサラッと描こうとするとどうしてもイヌのようになってしまうのがコンプレックスで、チクショウ描けたいぜネコ、と思って今一度イヌとの相違点をよく観察してトライしてみたのですが、これならちゃんとネコに見えますよね?

  ニャ

【只今のBGM:33.3「PLAYS MUSIC」】


L'ALTRAやTHE LUNE、最近はTHE ETERNALSの新作もリリースしたAESTHETICS発のインストポストロッククインテット2000年作。ギターこそエレクトリックなもののベースはアップライト、ドラムが普通にいて、あとの2人はチェロ、トランペット及びトロンボーンという編成です。UNWED SAILORとTOWN AND COUNTRYとDIRTY THREEの中間のような、しっとり和んむ中に自己主張し過ぎないミュージシャンシップが光る高好感度アンサンブルでヨロシイですなあ。テーマから逸脱した展開をあまりせず上品に盛り上げるやり方はちょっとFONTANELLEあたりを彷彿。少し前のPOLYVINYLから出てればそりゃもうど真ん中の話題作になったであろう内容ですが、AESTHETICSからってことで敷居が高く感じるのもまたいいでしょう。こういう和み系インスト路線をPELEが完璧に大成した手前、それほど進歩のあることをやっているのかどうかは怪しい部分もあれど、真打ち登場スラッシュ第3世代のTESTAMENT!的な勢いで評価されていけばいいんじゃないでしょうか。語り継がれるに値するクオリティ…というか単純にいいなあと思える作品です。

  11月17日
収穫はなし。あーやだやだ、地震の前に電磁波によって発生するという地震雲なるものをご存知ですか?今日それを見たといきなり親に言われ、そんなもん知らないし何なのさ一体ってんで現代人らしくぐぐってみたところ、ご覧のとおり日本各地で日々結構紛らわしいのが見つかるもののようでひと安心。しかし東北東から南南西へクッキリ一本伸びていた、明らかに飛行機雲じゃなくていつまでも残っていた、と力説されてちょっと怯んだ私は早速、特別大事なCDを棚から選んで衣装ケース(CD収納用に購入してあった)に移したり、サッと手に取る用の着替え入り緊急リュックをこしらえたりしてしまいました。危ない危ないってのを真に受けて「備えあれば…」みたいにすんのも何か野暮だなあ、みたいに思ってたフシがあったのですがここへきて現実感出てます。やめてほしいっす地震とかマジで。や〜めたって言って大陸移動ヤメにしてくれんかな?

【只今のBGM:MESHUGGAH「I」】


ちょっと前に出てた新作EPです。4thフル「NOTHING」ではよりポリリズム指向に拍車が掛かって後続の追従を許さぬディープな境地に達していたものでした。今回はというと有無を言わせぬ20分の大曲1曲のみ収録!フレドリック・ソーデンタル(Gt.)が既にソロ作「SOL NIGER WITHIN」で実践済みのアプローチではある訳ですが、ああいうフリー〜アブストラクトな感じはここでは微塵も見せずに完璧なスコア指向でやってます。しかも2nd「DESTROY ERASE IMPROVE」を思わせるアグレッシヴな高速変則マシナリースラッシュ路線が返り咲くとともに殺人ポリリズム大会も同時開催、壮絶な低音ズレズレリフ&因数分解ドラムの海にヴォーカルの咆哮が拍子感を与えて結果的にヘッドバンギングは可能という、もうこりゃ前人未到のアート・メタルですよ。ヤバ過ぎ。途中何度か挿入されるまったりクリーンアルペジオパートに区切られているため、20分の長さも全然気にならぬままズバッと聴き通せます。前作で若干気になった低域の寂しさも上手いこと解消されました。これで録音もミックスも全て自前とはまた凄い。BATTLESとタメ張る勢いで各方面から絶賛されてもいい出来なのに日本での反応イマイチ静かじゃないですか?ドンキャバとかBOTCHとかカッコイイしちゃんとしたメタルもたしなみたいなーなんて言ってる人はスグ!買って下さい!

  11月16日
本日の収穫、バナナ栄店にてGEL:「EVIDENZ E.P.」(6曲入りEP)、SAVATH&SAVALAS「APROPA'T」(WARPからの2nd)、そしてアマゾンマーケットプレイスから届いたBASTRO「BASTRO DIABLO GUAPO」!BASTROは突然800円で出品されていたので送料も惜しまず即注文。再発の話もあるようですけど、DUTCH EAST INDIA TRADINGのロゴが入ったHOMESTEAD盤がいいじゃないですか。新品同様の美品でビックリしました。

【只今のBGM:GEL:「EVIDENZ E.P.」】


2001年リリースの「-1」が必殺の出来だったフレンチエレクトロニカ最高峰GEL:の2000年作EP。トゲの立ったクリック&カットではなくプカプカと愛らしい細切れ電子音各種が、ノリノリビーツじゃなくて規則性がギリギリ確認できるくらいの多層ループを成し、とりとめなげに見えて繊細な気配りで不定形に流動する、筋の通らない居眠り中の夢を音像化したみたいな愉しいエレクトロニカをこの時点で既に完成させています。フランスゆえか、ハウスだのデトロイトだのそういうものを背負ってるフシが一切なく、電子音楽の由緒をあっさりまたぎ越しておきながら電子音楽が本質的にもつはずの自由度を真に謳歌。しかし注意して聴いてみるとそういうランダムさを稼ぐエレメンツの下層に、ちゃっかり調性感の面倒を見る親切パートが存在してたりして、パッと聴いてどの瞬間もちゃんと音楽的なのが凄い。エキセントリックな攻撃的ノイズの類は全くないからエレクトロニカのエの字も知らんという人でも「機械の中にいるみたいで何か面白ーい」てな具合でニコニコ聴けると思います。和みを「和みです」といって押し付けられるのが嫌、それとないのをサラッと手にしたい、てな低体温現代人には当然のマスト・チョイスでしょう。勿論アカデミックな研究心をもって挑みかかってもひたすら唸らされる出来。フルアルバムの方はもっと凄かったと思うのでそっちも是非聴いて下さい。

  11月15日
収穫はなし。秋冬の風情はそれなりに好きだけど速弾きしにくくなるのだけが難ですね。今日はSKIN GRAFT祭りでいきました。↓

【本日のレビューその1:COLOSSAMITE「CAMERA WITHIN」】


DEERHOOFのサイトで、メンバーのサイドプロジェクトが紹介されている中にGORGE TRIOというのがあって、そのメンバーがいるバンドということで購入に至りました。SKIN GRAFTのサイトだとタイトルは上のようになってますがアマゾンだと「FRISBEE」で出てきます。縮小画像を見た感じではフリスビー型の変形ケースにでも入ってるのかと踏んでたら、届いてビックリ何と紙袋入りのCDとただのフリスビー(12cmサイズ)が別々になっているという代物!でありました。しかもアマゾンでは曲目表示がなかったけど3曲入りEPだったとは…(泣)。まあいいんです。内容はSKIN GRAFT印の知能犯プログレッシヴアホジャンクHCそのもので、激変拍子&激展開、フリークアウトギターの応酬でショートカット。TOUCH&GO往年の王道ラインをよりアングラ・アグレッシヴにしたような雰囲気でしょうか。太陽と戦慄クリムゾンも影を落としつつ。ヴォーカルが結構太い声で頑張ってガナるので全体的にはガッツリ押される感じになっています。3曲といってもノイズセッションとかも混じっててトータル8分しかないから寂しいな〜。アルバムが手に入れば是非聴きたいところ。

【本日のレビューその2:GORGE TRIO「OPEN MOUTH, O WISP」】


ということで続けてCOLOSSAMITEのメンバーがいるこのバンドも。こちらはもっとデロンデロンなノンビート崩壊アンサンブルが幅を利かせ、音響的小品を含むZNR的ミニセッション集といった感のつくりです。DEERHOOFファンにはぴくっと来るユーモラス&ポップなパッセージも多々。一応固定フレーズらしきものが軸になっているような比較的ちゃんとした曲でも、うっかりすると何かしらのパートがフリージャズ風にすぐ暴走して手に負えなくなってパタッと終わるという具合。こりゃカッコイイ。瞬間を鋭く読んでペリペリ弾きまくるギターなんかもう冴えすぎでシビレます。一般人に聴かせたらただのデタラメに聞こえると言う向きが大多数でしょうが、れっきとした調和指向のインタープレイ、形ある芸術的アヴァンミュージックに他なりません。インディロックファンは勿論、アウトロー派のプログレッシャー諸氏にもじっくり聴いて頂きたい秀逸作ですよ。人を食ったアートワークも最高。SKIN GRAFTすげー。

【本日のレビューその3:THE FLYING LUTTENBACHERS「REVENGE」】


GORGE TRIO人脈でこれもいきましょう。こりゃまた痛快な、デスメタルのテクニックを習熟したドラム(ブラスト有!)を駆動力の中心に据えてノイズのようなギター/ベースと各種マジノイズが絡む、野生化したインスト版MELT BANANA!横殴りの暴風雨の如く一切途切れることなく吹き荒れ続けるカタストロフィック・ハードコアジャンクサウンドのつぶてに終始圧倒されるばかりです。THE LOCUSTやFANTOMASが甘口ハヤシライスに感じるほどの超絶猛烈テンションと、それだけではない完成度。96年リリースのこんなものを放っておいてやれ31GだTROUBLEMANだと喜ぶのは100年早かったっす(のちにTROUBLEMANへ移籍してるようですが)。90年代初頭から活動してる結構な古株バンドらしく、MAGMAの"De Futura"のカヴァーを収めた作品もあるようです。うーむ猛烈リスペクト。

  11月14日
本日の収穫アマゾンからバタバタと届いたRADIO FLYER「IN THEIR STRANGE WHITE ARMOR」、MESHUGGAH「I」、GORGE TRIO「OPEN MOUTH、O WISP」(SKIN GRAFTリリース、DEERHOOF、COLOSSAMITE、THE FLYING LUTTENBACHERSのメンバーがいるバンド)、COLOSSAMITE「CAMERA WITHIN」(マジ・フリスビー付き!SKIN GRAFT)、UNIVERS ZERO「1313」、THE FLYING LUTTENBACHERS「REVENGE」(SKIN GRAFT、マーケットプレイスにて中古)。突然のSKIN GRAFT買いをしてしまいました。ところで近頃やけに目がかゆいな〜とか、ハナ出るなーと思ってる人、いるでしょう、それって時期はずれのスギ花粉だそうですよ?情報ソースは「ニュースでそう言ってるのを見た」と言い張るウチの親。

【只今のBGM:RADIO FLYER「IN THEIR STRANGE WHITE ARMOR」】


HOOVERからREGULATORWATTS、ABILENEと渡り歩いたアレックス・ダンハムがEUPHONEスタート前のライアン・ラプシーズ、GAUGE〜THE SKY CORVAIR〜HEYMARKET RIOT他のケヴィン・J・フランク、SWEATER WEATHERというバンドでケヴィン氏と一緒だったポール・オブレヒトという面々で作ったプロジェクトの唯一の音源。裏ジャケの記述によると本当に「a week-long collaboration」だったようで、JOAN OF ARC〜GHOST AND VODKAのエリック・ボーセックが催行した一度限りのショウの翌日にこのレコーディングを行い、その半年後くらいにミックスされたのだとか。ついでにジャケのラジオはTETSUO〜AMERICA HERITAGE〜GHOST AND VODKAのスコット・シェルハマー所有のものだそうです。能書きが長くなりましたが中身の方、HOOVER直系の暗黒混沌ガッツィーなのをベースに、ABILENEで後々本格的に開花するアレックス君のホワ〜ンとしたダークなユルさとTHE SKY CORVAIR譲りの煮え切らなさが結びついてますます釈然としなかったり、ライアンがやっぱり天才的に上手くてひたすらカッコ良かったりと、正にこのメンバーから想像が出来る通りの屈折ポストコアになっております。ギターの左右チャンネルでシカゴとDCが対決しとるわけですが、私としては断然DC側に軍配。トーンからしてカッコ良過ぎ。ともかく1曲目アタマの燃えるリフが名盤の証ですね。カワイイポップなのが最近は多いPOLYVINYLも昔(96年)はこんなん出してたんですなあ。現在とロゴマークすら違います。

  11月13日
本日の収穫、バナナ四ツ谷店にてCADAVER「NECROSIS」、33.3「33.3」「PLAYS MUSIC」(AESTHETICS!)。久々に行ったらなんかイイの一杯ありました。そうか中古CD屋は凄くたまに行った方が楽しめるじゃないですか。「このメタル棚のSの仕切りの横ラベルに何も書いてない奴は確かSALVAGE…」とか覚えるほど通い詰めるのもいいんだけど、そうするとだんだん、この店に入ったイイものは全部漏らさず買わねばいかんのだ、新入荷で先を越されるのは許さん!みたいな浪費を誘発する使命感を抱くようになって危険なので。これからはほどほどの御無沙汰さんでいこうと思います。

【只今のBGM:CADAVER「NECROSIS」】


初期EARACHEの名バンドがCADAVER INC.として復活して第2弾、今回はINC.を取ってロゴも昔のものに戻りました。かと思いきや既に再解散済みなんですけどね。冒頭一発目のギターにまず「オッ、J・ロビンス録音の何かか?」と意表を突かれ、トム・G・ウォリアーよろしくウッ!の一喝でスタートすると、メタルレコードとしては前例がないようなリアリズム追求型クリアサウンドにビックリ。バスドラの不自然なアタック高域は皆無、ヴォーカルがどのパートよりも前に出て、正直なところ重圧感欠けまくりでちょっとイマイチなんですが、デスメタルでこういう音にしてきたというチャレンジがともかく素晴らしい。POLYVINYLやJADE TREEからでも出せるようなプロダクションです。内容は前作「DISCIPLINE」をよりオールドスクールスラッシュ寄りにしたような雰囲気。随所に紛れていたサイバー変拍子はCELTIC FROST風の減速シャッフル挿入に取って代わられてます。これはこれで良し。ロゴ戻しただけのことはある納得の完成度と説得力です。激烈極まりないことをやっておきながら、THE HAUNTEDにも通じるモダンな潔さでサッパリ仕上げてるのでメタル門外漢にも聴きやすいでしょう。この音作りでブラストされるとやたら現実味があって壮絶。相変わらずドラム上手いな〜。とまあ野心的なハイクオリティ作には間違いないんですが、前作の全てを吹き飛ばすような極悪マジックには至らずというのが今のところの感想。あれが完璧過ぎたから無理もない話です。前作がなくてこれが復活一発目だったとしたら、手放しで大絶賛するとこなんですけどね。非メタラーにはむしろこっちを勧めた方が良いのかな?それにしてもトム・G・ウォリアーの真似はいくらしても顰蹙買わないことになってるようで面白い。色んなとこでウッウッ言い過ぎです。アァ〜ってやつもやってもらいたい。

  11月11−12日
▼11日は収穫なし本日12日の収穫STIFF SLACKにてMEDICATIONS「MEDICATIONS」。これとKARATE名古屋公演のチケットを買いに行ったのですが、曰く紙のチケットは存在せず、名前を伝えれば取り置きのような形で前売り料金で入れるとのこと。なのでSTIFF SLACK行かなきゃー、行ったら金遣うな〜、と悩んでた方は直接Eメールでポチッと解決、じゃなくて下の↓買ってきて下さい。

【只今のBGM:MEDICATIONS「MEDICATIONS」】


SMART WENT CRAZY〜FARAQUETのデヴィン・オカンポの新バンド!ちょっと前から解禁だったのをようやく買いました。FARAQUETのドラマーが引き続き参加なのですが、この人ここではベースにスイッチしてます。デヴィン師匠もSWCではドラマーだったことだしDC界隈じゃ珍しくない話とはいえ、つくづく才人が集まってるエリアだなあと感服致します。さて内容、当然のことながらFARAQUET直系!大樹の小枝の如き大量のキメがバシバシと飛び交う超絶技巧マスロック!しかし何やら親しみやすい哀愁があったり、常人が普通に頑張っても無理なくらい難易度の高いギターを完璧に弾きながら兼任のヴォーカルはヴォーカルできっちり求心力をもっていたりと、FARAQUETのEPからフルアルバムにかけてさえ見られた円熟は更に進行しています。ドラマーの違いからか若干南国風のリズムが入る場面もあり、それに伴って泣き度も2割増くらい。こんだけキャッチーでここまでガクガクテクニカルなの何なの?と度肝を抜かれる完成度であります。アヴァン/ニューウェイブに走るしか能がないかと思われた近年のDISCHORDに特大の喝を入れる、新時代型DCスタンダードの雛型となるべき出来ですね。ちなみにエンジニアはチャド・クラーク(INNER EAR録音)で、輪郭のルーズな遠めドラム、オンマイクの音をぱっちりコンプで均したギター、低音成分のみに絞ったベース、て具合の、ちょっと後期SOUNDGARDENあたりを思い出す懐かしいミックスになってます。人為リヴァーブはほぼ皆無のためバンドの持てる技術力が完全剥き出しでたまらん。

  11月10日
収穫はなし。「伊東家の食卓」を見た翌日に「トリビアの泉」を見ると愕然。さておき、カルピスはビン入りと紙パック入りで味が違う!と夏頃に書いた気がしますが、当時は紙からビンに乗り換えるにあたっての感想でして、最近また紙に戻ってみてやっぱり明らかに違いがあることを確信致しました。ビンの方がだるんだるんに甘いけど紙はちょっと醤油っぽく(?)ノドの奥に突っかかるカドがありますよ絶対。缶のカルピスウォーターはどっちなのか今度確かめようと思います。

【只今のBGM:THE ALLMAN BROTHERS BAND「BEGINNINGS」】


1st・2ndをマルッと収めたカップリング盤。1stの方はいかにもブルーズロックの荒くれモサモサ新解釈アンサンブルって調子で、ツインギターにオルガン、パーカッションまで入れて賑やかにやってますね。チャカチャカ明るいファンキーっぷりはやっぱり何か60年代までと感触が違う。スロウな曲でもトーンダウンせずヘヴィに押し切っててハードロック時代の息吹を感じます。ワイルドなブルーズフィーリングを撒き散らすデュアン(きょうびデュエインと書くこともあるとか)・オールマンのスライドは実際神掛かってますなあ。2ndの方はもう少しアレンジに抑えが効いてカロヤカになるとともに、更に陽気なアメリカンフォークテイストが入ってきて、「手に汗握る」と「ゴキゲン」(死語!!)がいい具合に折衷しててこれまたヨロシイ具合。地を揺さぶるレスリーの回転が南部らしい豪快さをちゃんと残してます。何かシンプルな音響現象があってそれがカッコイイとか、メロディを記憶して自分の中の好きな曲として呼び起こすとかというより、あくまで一定の時間感覚の中に起こる陶酔なりスリルなりを演奏者とオーディエンスが共有して楽しむのが本領となる音楽かと思いますが、全て最上級の歌心によって統べられているので単純にスゲ〜の連続です。ロックがどうのと口にする身ならこういうのたしなんどかないとなあと近頃は思う次第でございます。

  11月9日
収穫はなし。WRANGLER BRUTESは名古屋なしか、ガックシ。復活のアナウンスがあったDOJOも再来日になるバンドが多い上ニュースクールばっかだし何だかなー、とか文句ばっか言ってちゃいけませんね。思うようなバンドに我が町を訪れてもらいたいならば、一つでも多くライヴに足運んで、安定した動員を見込まれるようにせねば。呼び屋の苦労も推察すべしと。ということで今月25日のKARATEは頑張ってK.D.JAPON満員にしましょう、名古屋の皆様。

【只今のBGM:US MAPLE「ACRE THRILLS」】


2001年作4th。DRAG CITYのバンドだと思っていたら、最初の2枚は知性派ジャンクの聖地SKIN GRAFT(CHEER ACCIDENT、ARAB ON RADAR、MELT BANANAやZENI GEVAもリリース)から出てたそうで。ギリギリの調性感のもと静かにぶっ壊れるギター/ベースと度々背骨を失っては再統合される崩壊系ドラムに、枯れ系フォークシンガーよろしく一人やたらと歌い込むヴォーカルが乗る、SONIC YOUTHとあぶらだこをまとめて鉢ですって中途半端にボキボキにしたようなダークなフリー・ノイズ・ロック(フリーノイズではない)をやっています。一応各曲、拠り所になるリズムや割と高級なコード感など、あらかじめ定められた秩序はあって、その上でリアルタイムでの熾烈な見計らい合戦が行われてる様子。方法論的にはオーネット・コールマンの時代から変わらないまま、パーツはポストパンク以降のアヴァン/USインディのものになっていると。ちゃんと瞬間のニュアンスとかをわきまえた演奏をしてるので普通に耳で追って追い甲斐があります。ローファイと呼ばれるものって、ただ逸脱感が売りなように見えて実は曲のストラクチャに囚われないニュアンス表現を追究していた部類もいたと思うんですが、そういう意味ではこのバンドは21世紀の大人ローファイと言えましょう。

  11月8日
収穫はなし。たまたまスピッツの新曲のヴィデオクリップを見たけど少々煮えきらん感じだった…。フルアルバムには期待しましょうということで実はブックマークにも入ってますコチラ

【只今のBGM:BRUCE SPRINGSTEEN「THE RIVER」】


80年作5th。アップテンポでガツッと快晴な80年代仕様USメインストリーム・ロックが何と延々2枚組分収録されているという意欲作です。ペンタ主体のブルーズ由来ロックのイディオムから開放された、ソウル風でもクラシカルでもないこの小っ恥ずかし系ポップ感、80年代をまたぐと途端に大衆音楽に台頭してくる気がしますが、どこから来たのかつくづく謎です。THE BYRDSみたいなのがアレンジ次第でこうなるもんなんでしょうか。豪快8ビートとロックなギター、カロヤカに躍るピアノ、そしてソロはサックス…と、今の時代には少々現実感のない盛り上がり方だなあと思う一方、実はSUNDAY'S BESTとかパワーポップ寄りのエモ連中のやってることって本質的にはこういうことじゃんという気もします。この人が今日のアメリカン・和みメロ・ポジティヴ・ポップスの礎の重要な部分にいることは間違いなかろうと。しかもこの搾り出すような唱法はジョン・ボン・ジョヴィに、ロック野郎にしてロックスターではない佇まいのスケール感とギター&ピアノ主体の大らかアレンジはブライアン・アダムスもしくは尾崎豊にと、ピンポイントでの影響力の大きさも確認出来ます。コステロを肯定してこの人をダサがるとしたらそんな馬鹿げたこたーない。安いから皆買ったらいいですよ。ちなみに次作「NEBRASKA」は激ディープなアコースティックフォークアルバムです!

  11月7日
収穫はなし。宅地事情のせいか何なのか、ホントにチワワとミニチュアダックスフントしか見掛けぬ今日この頃、ほんの時々出くわす耳がサンカクに立った日本犬はシュッとして美しーなぁーと、すれ違えば振り返って見ます。

【只今のBGM:RON CARTER「WHERE?」】


エリック・ドルフィーとマル・ウォルドロンを従えての61年作。誰がリーダーだかって感じの面子ですが一応冒頭2曲がオリジナルで、ツイン・ベース編成もしくはチェロで参戦という形をとっています。バスクラリネット&チェロの高速ユニゾンが駆け抜けるテーマとガシガシこするソロでアヴァン・チェンバーな香り漂う1曲目に「オッこれはむしろドルフィーのアルバム?」と思いかけるものの、二人のベーシストが伴奏とソロを交互に取る2曲目"Bass Duet"は習作とするとしてその後は"Softly, As In A Morning Sunrise"をはじめ和やかスタンダード中心。表題曲はウットリ系スローバラードです。どうもチェロ・ソロというのは管や鍵盤に比べてピッチが完璧にならないし、そもそも音が低いしで、避けようもなく不穏な響きに聞こえてしまう気がしますが、そんなそこはかとない怪しさとドルフィー&マルちゃんの存在感がマッチして何となく納得の行く仕上がりになってる気がします。ただ他の楽器を押しのけるだけではない格好でベース/チェロを上手くフィーチャーするアンサンブル面でのチャレンジも面白い。サイドマンとしてフツーに頑張る面々を観察して楽しむも良いでしょう。

  11月6日
本日の収穫、最近よく行くサウンドベイ上前津にてOFF MINOR「OFF MINOR」、CARTOON「SORTIE」、IDAHO「WE WERE YOUNG AND NEEDED THE MONEY」、CHARLIE HADEN/JAN GARBAREK/EGBERTO GISMONTI「FOLK SONGS」。一昨日お知らせした通りちょちょっとサークルのライヴに出演したりしておりました。昼、日なたが暑くて、Tシャツ一枚になれたのが良かったなあ。一日に大量のバンドを見ると、各々が普段親しんでいるであろう音楽から来る「キャッチーさ」の所在がバンドによってバラバラなのが興味深いです。

【只今のBGM:OFF MINOR「OFF MINOR」】


HOT CROSSのメンバーがいるという激情エモバンド。EBILLUTIONと404の中間をいく絶妙な作風で、沸点に達しそうで達せずしゅんと戻る燃えきらなさが逆に物言いたげでアツイ。形ばかりの極悪ポーズは取らず、むしろ静的な場面の描写が丁寧で凄いなあと感じます。FARAQUETが引き合いに出されるのも納得。巧いし。ポストコアの枠組内での表現の可能性の追求に躍起になってる感がなきにしもあらずなFOUR HUNDRED YEARSあたりとは感触が違って、コッチはあくまで情念の発露のためにテクニックとアイディアを過不足なく駆使しているという感じです。なので曲が真っ直ぐ届いて快い。SUNNY DAY REAL ESTATEとHOOVERがいっぺんに好きという人がいたら必ずやツボなはずです。これ系の新人って結局YOU AND IとかORCHIDとか聴いてりゃ要らないんじゃないの〜、という声もありましょうが、この人達は明らかにツブの大きさを感じます。

  11月5日
収穫はなし。激しく遅れ馳せながら、一時期話題だったアイワのヘッドホンHP-X122(盛り上がった当時は121でしたが若干デザインが変更になって122と改めた模様)を買ってみました。噂どおり低音の、ボンボン膨れるところじゃなくてズヌーンと滑り出るような帯域(100〜150Hz以下くらい?)がガッツリ持ち上がっており、ヴォリュームを上げなくても音量感があってパッとするようにはなっていたものの、中高域以上の解像度が、これも噂どおり相当いい加減なもので、結局今持っているヘッドホン(6000円くらいで数年前に購入したSONYのもの)でプレイヤー側のEQを上手く使って聴けばその方が良かろうということになり、HP-X122はあえなく贈答用に使うことに決定。これでも幅30cmくらいのラジカセでしか普段音楽聴いてない人にとっては充分カルチャーショックになり得るはずでしょうし、2〜3万円で雑なミニコン買うなら断然コッチをお勧めします。ちなみにテスト用に何かハイファイでロックなプロダクションのはないか…とスピッツの「三日月ロック」を久し振りに手に取ったんですが、やっぱり名盤だったので最後まで通して聴いてしまいましたとさ。いやー最後"けもの道"で締めるのがね〜、美しいですよね。

【只今のBGM:SURVIVOR「VITAL SIGNS」】


やれ産業ロックだメロハーだと日頃騒いでおきながらこれを未聴だったことを只今海より深く反省しております。いや〜これは、84年リリースにして80年代前半的なイモささえ漂わない超洗練・激胸キュン系の驚愕ハイクオリティ作でございました…!もうこれがあったら90年代後半にポツポツ出てきたTOTAL STRANGERとかHARLAN CAGEとかあの辺の連中は一つも要らんじゃないですか。これとJOURNEYの「FRONTIERS」ばっかりひねもす無限リピートしてりゃいいんですよと真顔で説きたくなるくらいの燦然たる金字塔。ハードドライヴィンな爽やかナンバーから末期RAINBOW風哀愁チューン、お決まりの号泣バラードまで、一揃いのもんは入ってます。アタマ1・2曲目のテンションに勝る瞬間が結局最後まで来ない「FRONTIERS」とは、プリーストでいうところの「SCREAMING FOR VENGEANCE」と「DEFENDERS OF THE FAITH」のような関係かも。こちらはとにかくおしなべて高品質で感動が持続します。ボーナス追加デジパック、アナログ再現紙ジャケHDCD、スリップケース入りゴールドディスクと3回くらい出直してもいいような内容なのにリマスターが一切存在しないとは何と由々しい!中古で714円とかで投売りされてるのを見かけたら即その手に掴み取ってレジへ直行して下さい。

  11月4日
本日の収穫、千種HALF WAYにてTRUST「TRUST」(79年)、SURVIVOR「VITAL SIGNS」「WHEN SECONDS COUNT」。TRUSTのコレは何年も前からずーっと置いてあって、アマゾンでも試聴できなかったからどうしようと迷ってたんですが何とAMGでできました。無料アカウント登録をすると試聴可能になります。レイアウト変わって何だか重くなったけどこの充実は嬉しいですね。さてKARATE名古屋公演も迫ってきた今日この頃、今週土曜に松坂屋東正面・久屋広場にて、卒業した大学のバンドサークル主催の野外無料ライヴがありまして、ワタクシも夕方に少々出演致します。2つやるうちの片方は今後びしびし活動していくつもりのバンドなので是非品定めに来てやって下さい。

【只今のBGM:TRUST「TRUST」】


ANTHRAXがやった"Antisocial"のカヴァー元としてファンには名を知られるフランスのHMバンド。NWOBHMに負けじと79年リリースの1stです。音楽性は何とも言い難いというか殆ど支離滅裂で、THE RODS〜初期RIOTのような高速メタリックR&Rを一応の本筋として、いきなり本気のディスコファンクやタンゴを挿入したり、THIN LIZZYの"Dancing In The Moonlight"風オシャレチューンが出たり、普通にAC/DCのスローナンバーのカヴァーがあったりという予測不能っぷり。んでヴォーカルがポール・ディアノとボン・スコットと志村けんの中間みたいなパワー・ウガウガ系(?)で、フランス語全開で「ツスィヨーン!」とか「プガッフ!」とか壮絶な語尾を撒き散らしまくるのでもう何だか笑えます。そのくせ演奏は英米のものと比べて全然違和感がなく、かなりプロフェッショナルなペンタ・ソロもカッコ良く披露。フランス産ってだけで珍しいのに、こりゃHR/HMを真面目に聴いてる人にとっては興味深いことこの上ない内容でしょう。見かけたら即買い。あとEPICのヨーロッパ盤は横ラベル端の品番部分が黒地に白地なのがカッコイイですよね。

  11月3日
収穫はなし。CDは買わずライヴ見てきました、クアトロにてBATTLES!いや〜。こっちの心の準備があったからか1月のPEAKWEEKより断然燃えました。てことで詳細リポートを書いてしまいます。

 開演前、18時半過ぎに会場に着いたときにはフロアは割とガラガラ。ほんの4・5日前に取ったチケットの整理番号が9番だったからいよいよ大丈夫なのかと心配になりかけたものの、次第に人が増え始めて、一番手のにせんねんもんだいがステージに現れたときには一応まばらながらもフロア前方がまんべんなく埋まるくらいにはなっていました。で今回3度目に見るにせんねんもんだい、もともとギジョギジョと攻撃的なギターのトーンがクアトロの時代錯誤ドンシャリ爆音PAと徹底的に悪しき相乗効果を見せ、それに嫌気が差して序盤少しちゃんと見ただけであとはポケーッとしてしまいました。やってることもまあジャンクギター&ミニマル祭祀リズムのニューウェイブ/ポストパンクの無加工再現だし、演奏の腕前の程は既に確認済みだからそうそう有り難く注視することもなかろうと。彼女らはやっぱり普通そうな年頃のオンナノコが3人であれをやってるというのが売りですわな。ひとまず日本においてはまだまだ活躍して頂きたい存在です。

 で次、54-71。ベーシスト氏がアタマを丸めていたことを除けば10月8日のDEERHOOFのときと基本的に変わらぬ内容ですが、会場の広さ故か何なのか、無敵の鉄壁アンサンブルのはずが2・3箇所でミスをしていたのが意外。キーボード氏はヴォーカル時代よりコミカルな立ち振る舞いになって、以前までのステージの異常な緊張感がいくらか和らいだのが良いなあと今日は思いました。それにしてもクアトロのPAはこのバンドさえ定位感・空気感ともにゼロの窒息しそうな爆音の壁に仕立ててきて最悪だった!バスドラの低音で耳がイカレそうになるなんて現実的な音場じゃあり得ねーだろうに、ライヴ会場においては音圧ショックとプレートリヴァーブが正義であるとか思ってんだったらそんなダメPAは直ちに廃業にして頂きたい。本当に。

 そして本丸BATTLES。セッティングから本人達が行っていたのですが、ジョン・ステイニア氏のドラムセットのクラッシュが、白人男性が立ち上がってちょうど顔面あたりにくるくらいの病的な高さにセットされていてまず度肝を抜かれました。こうやって来日アーティストをいざ生で見てセッティングがキモかったっていうのは凄くいいです。イアンはスチールウールさながらにウジャウジャと配線が絡まった機材一式(ノートPC、シンセ、ミキサーなど)を面倒くさそうにセットしてるだけで既にカリスマ。メンバー一同揃って、へろーんへろーんと適当っぽいギターから"SZ2"に突入し本編スタート!音源を聴いた上で改めて見ると、意外と顔フレーズっぽい大事な繰り返しはデイヴィッド・コノプカ君が黙々とこなし(これが堅実!)、タイ・ブラクストンは最前線一歩奥の上モノを担当、そしてイアンはフラフラとだらしなく動きながら時々シンセをちょちょいといじったりギターを掻きむしったりして一番耳につくパートにカッコ良く乱入、という感じでした。場合によってタイとイアンの役が入れ替わったりイーヴンになることもあり。ループさせてると思ってたフレーズを実はデイヴィッド君がちゃんとずっと手弾きしてた、ということが多々あって、曲の根幹におけるマシンループ依存度は案外低いことが判りました。そして展開設定が非常に緻密で、誰々がこういうサインを出したら、とかではなくちゃんと回数なり何なりで設計通り曲を進行させていることも確認。あれだけの音数があってライヴ・インプロヴィゼイションのための不確定スペースが殆どないのには驚きです。んでそれらをフルストローク激打でシンプルにシメるジョン・ステイニアのドラム、これこそこのバンドの肝なわけですな。他の人との釣り合いを見てもこの人選どうなんだろか?と最初は思いましたが、何故この人なのか今では大納得です。

 HIMみたいに全曲新曲くらいで来るかなーと思ってもいたのだけど結局披露されたのは全て既発のEPからの曲のみ。しかしどれもよく知っていたので目の前で再現される様にもうカンドー致しました。ドラム泣かせの高速チューン"Dance"から停止寸前ヘヴィグルーヴが冴える"Hi/Lo"への移行の場面で、フロントの若い二人が弾き始めた導入フレーズが速過ぎてジョンが「遅くしろ!アホか」くらいの勢いでイアンに迫ったものの既にループが組まれており手遅れで、結局1.5倍速くらいで"Hi/Lo"が始まってしまい、ジョンは終始クソッて感じで鬼気迫る爆撃ドラムを聴かせてくれたのがアツかった。楽しみにしていた途中のキック8連打が割愛されてたのはショックだったけど。この人も大概鉄壁なドラムを叩く人でループとズレることは絶対ないんですが、一度だけズレかけたときにあの音の氾濫の中からループフレーズをつかまえて一瞬にして修整したのは神掛かってたなー。本編終了後、盛大なアンコールに呼び戻されて"Tras"を披露し完全撤収。

 今回はもう彼らが何をやるか知っていたから、「そっかーミニマルなんだ〜」という感想はスキップしてミニマリズムの中で各メンバーがどう活躍してあの仰天アンサンブルを成り立たしめているのかに冷静に目を向ける余裕があって、そこで改めて多くの驚きを発見出来た、て具合で大いに前向きに楽しめました。ということで下にいくつかお土産写真を。クアトロだから撮れないかと思ったけど人だかりの中で何食わぬ様子でサッと撮れてしまいました。

↑BATTLES全景、異常な高さのクラッシュ!

↑ギター&シンセ一人ユニゾンはこうやる

↑楽しそうにヴォイスパーカッション
 さて次はKARATEです。狭い会場なので楽しみ!カトマン氏は本当に御苦労様です。カッチョイイTシャツ売ってください物販で。

【只今のBGM:KARATE「IN PLACE OF REAL INSIGHT」】


早くも予習を。買ってからまだ殆ど聴いてない2ndです。このアルバムだけツインギターの4人編成で、最近何かと活躍中のイーモン・ヴィット君がギター&コーラスで頑張ってます。1stはETHEL MESERVEやBOYS LIFEをもっとシンプルにしたような、その後の路線さえ知らなければ少し風変わりなエモ〜ポストコアとしか思わない内容でして、この2ndではそのエモいエッヂを残しつつ楽曲的には明確にオールドロック化を進めております。今ほどのジャジー/ブルージーな繊細さには及ばないものの既に異色の存在として目立つくらいの完成度。特にジェフのヴォーカルはこの頃からエモらしからぬ渋・ナルなダンディズム漂うあのスタイルです。イーモン君はFUGAZIのギーを中途半端に常人にしたような声で時々歌っていて、後期オフコースで小田和正のレパートリーの合間に割り込む松尾一彦みたいな微妙な構図。そのへんも含めて過渡期にしかあり得なかったKARATEの違和感ある姿を観察できる興味深い一枚とも言えましょう。普通にいい曲入ってますけどね。

  11月2日
▼高校・大学と部活/サークル内でしか音楽活動をしてなかったワタクシ、本日初めて、サークル内で言う所の「ソトレン」すなわち学外で普通に金払ってスタジオ予約してバンドの練習するというものを体験致しましてね、いやー何か真面目になりますね。今まで2時間くらい余裕で無駄にしてたのが、急に切迫感出て無休憩の練習づめ。一時的に真人間になった気がします。そして本日の収穫は練習待ちのわずかな時間に寄ったパルコ店にてTHE LONESOME ORGANIST「COLLECTOR OF CACTUS ECHO BAGS」、23SKIDOO「SEVEN SONGS」、DABRYE「INSRMNTL」(EASTERN DEVELOPMENT)。

【只今のBGM:BATTLES「B EP」】


明日名古屋公演ということで予習。といっても今年1月の来日でやってた曲も多く復習みたいになってますが。こんな緻密で複雑怪奇な音楽でもライヴで一度聴いただけのやつをよく覚えてるもんで、やっぱイアン君はテクニックやアイディアの凄さだけじゃなくて単純にフレーズが冴える人だと思います。だからこそドンキャバみたいなのが今に至るまで語り草になっておるのだと。さて3枚EPシリーズのラストとして出たこの作品、ひときわ邪悪なグルーヴと燃える二部構成の1曲目"SZ2"からもう激烈。暴力的に歪んだ低域担当パートのギターが生む推進力と、小気味良いと果てしなく重いが同時成立するジョン・ステイニアの16分シャッフル!あとから聴き込むほどにもうこのバンドは彼のドラムをゴージャスに堪能するためのものってことになってます個人的に。つんのめってこれわざと?走ってる?とキワドさが限界にきたところでスポッ!と2段飛びくらいで変速するこの展開はもう何か"天国への階段"みたいだなー。2・3曲目は幕間的小品、バンド名を冠する4曲目はクリムゾンの時代から変わらぬお化け屋敷風フリーノイズが延々10数分。アルバムタイトルトラックがアルバム中最も訳わからん曲だったとか、そういうのはよくあることなのでこれはこれでよいでしょう。そしてラストに5分弱でまとめた"Dance"。ヴォイスパーカッションと高速ブレイクビーツ風ドラムと細切れのオルガンがブチブチ絡んで、聴いてるだけで八つ裂きにされるような速度感がまた強力。脈絡のない上モノが気まぐれに入れ替わり続ける感じも含めて激早回し版THIS HEATてな趣きも。ということで実質的には目玉は2曲なわけですが、それでも満腹感おおありの充実作です。全然ライヒじゃんなーんだって曲が今回は入ってなくて、「AMERICAN DON」の流れ上に現在形BATTLESありというスタンスを示す、今後の期待も高まる内容になっとるんではないでしょうか。あとはもう早くフルアルバムで妄想爆発させて頂きたい一心です。

  11月1日
収穫はなし。絨毯のような一面の犬猫と一日中戯れられたらいいなと思います、しょっちゅう。

【只今のBGM:INDIAN SUMMER「INDIAN SUMMER」】


プログレ勃興期にアルバム一枚で消えていった数あるバンドの中でも定番として時々中古盤屋で出くわすINDIAN SUMMERです。キーボーディストがシンガーでリーダーな、プログレとまでは呼べないアートロック、あるいはオルガンロックなんつう便利な言葉もあるのでそっちでいきましょうか。イギリスらしいクラシカルな気品と、ジャケのとおりサボテンの荒野を思わせる勇壮感が相俟って、何とも言い難い情緒があります。YESやEL&Pのような直接的なクラシック導入と違ってあくまで雰囲気だけの拝借であって、手足は完全に無骨系英国HRルールでもって動いているので、どっちにも寄りきらない中途半端さがまた魅力。現在この音楽性をピンポイントで指し示す単語は存在しないだけに、英国のロック鍛錬の歴史に生まれ落ちた遺物としてロマンをそそられますねー。キーボーディストがリーダーの割にあんまり鍵盤が正面にくる感じはしないですが、メロトロンとかハモンドとかこの時代の趣きある音は一通り聴けます。アーティスティックというよりロマンティスティックな音楽。

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