物色日記−2005年6月

※頻出語句解説はこちら
  6月30日
収穫はなし。この時期ってもしかしてネコの発情期でしょうか?最近複数の(結構離れた)地点で立て続けに、BOSSのコンパクトエフェクターにレモンの半カットをのせたくらいのサイズの子ネコを見てしまって、危うくネコ派に翻るとこでした。ちっちゃいのはイヌよりネコの方がかわいいですね。でかくなったら断然イヌです、あんな笑顔でタカタカ走る動物を前にどうやって平静たれと…

【只今のBGM:TOMMY BOLIN「PRIVATE EYES」】


ZEPHYRなるバンドを率いて世に現れ、「WIRED」〜「BLOW BY BLOW」期ジェフ・ベックの元ネタとなったビリー・コブハムの「SPECTRUM」、またDEEP PURPLEで唯一リッチーが弾いてないアルバム「COME TASTE THE BAND」などに参加して名をあげた伝説の若死にギタリスト、トミー・ボーリンの76年作。これがまた大筋でZZ TOPみたいなメインストリーム型大衆ブルーズロック路線で意外。ジャズ/フュージョン趣味の軽やかなリードギターはさほど派手にフィーチャーされることがなく、コンポーザーとしての彼を見せるようなまとまり方になってます。曲の出来自体は良いようなひたすら普通なような、とにかくやかましいリヴァーブとヘタウマヴォーカルをヘタ方向に聴かせるミックスで印象を悪くされてしまって何とも。トッド・ラングレンやキャロル・キングみたいな和み系の曲もあるし、いきなりフュージョンソウル〜ボッサ風になる5曲目"Gypsy Soul"なんかは確かに目立つけど、どれも単体でそこまで取り沙汰するほどの名曲度かといえば私としては疑わしく思います。「プレイヤー指向かと思われた先鋭ギタリストがリリースしたソングオリエンテッドな作品、腰を落ち着けて彼のヴィジョンを堪能できる」といった類の事前情報がまったくない状態で聴けば相当に野暮ったい出来だと思うんですがな〜。クラプトンのやる事なす事に共感できるところが一切ないというような価値観の持ち主(私です)としてはこのような感想になります。対極にいる人は対極のことを思うんでしょう。オールド・ロックも色々ですな。

  6月29日
本日の収穫、グレ・ヒ今池店にてATTICA BLUES「TEST DON'T TEST」、FEMI KUTI「SHOKI SHOKI」、P-CAN FUDGEにてVAN HALEN「WOMEN AND CHILDREN FIRST」(買い替え、リマスターシリーズコンプリート!)、HARMONIUM「HARMONIUM」(74年POLYGRAM、ケベックのアコースティックフォーク〜プログレグループ)、LE ORME「COLLAGE」(イタリアンロック名バンド!)、TOMMY BOLIN「PRIVATE EYES」(富墓林ジャケの76年作)。最近オフコースのまとめ売りをよく見ますが、調べてみると今年の3月に紙ジャケ復刻になってるそうで。全部買い替える忠実なファンがゾロゾロいるってわけですな。中古で集めてる身としては通常ケースのリマスター前、「CD選書」もしくは「音蔵」シリーズのマキシサイズ薄ケース、通常ケースのリマスター、そして今回の紙ジャケと、色々とばらけ過ぎて困ります。私が買ってる「CD選書」「音蔵」は特に数が少ない!この際私も紙ジャケまとめ買いですか…そんな大人に私はなりたい。

【只今のBGM:LACK OF INTEREST「TRAPPED INSIDE」】


ハイパーイナフレコードで物色中、久々に名前を見かけて聴きたくなった盤。タテ分割の白黒ジャケが示すとおりのSLAP A HAM印ファストコアなんでございますけども、乗車拒否のタクシーに向かって怒声を浴びせる必死の酔っ払いのような、あるいは物凄い剣幕で叫ぶ国会の野次のような、声色にしろ滑舌にしろどうにも独特なヴォーカルと、やけにキャッチーで時々ロックンローリンなフレーズも弾いてしまうギターのおかげでやたらと楽しい1枚なのです。高速ブラストもキレが鋭く快感。スロウパートでずんもりし過ぎたり結局ただのオタクで演奏は体力が足りずヘナヘナだったりする場合もあるメタルあがりのグラインド系マイナーバンドと違って、ハードコアの人だとまず衝動ありきといった感じで確実にテンション高いのがいいですね。(初期CARCASSの真似をしたくてしょうがないD級ゴアグラ・バンドもそれはそれで愛せますが。)割と誰にでもオススメ。

  6月28日
収穫はなし気がつきゃもう夏至過ぎてましたか。今年も半分より夏側(?)っすね。そして2005年が半分終わろうとしていることにも気付く!!思い返せば半年前、スピッツの新作を新品で買っておりました。指のヒビワレを瞬間接着剤で処置しておりました。このグデグデをあと倍過ごせば2005年終了かと思うと恐ろしい。

【只今のBGM:BLUETIP「HOT FAST UNION」】


2000年にSLOWDIMEからリリースした5曲入りEP。録音はいつものJ.ロビンス。そしていつもどおりのザッツDCサウンド!が展開されとるわけですが今作はとりわけストレート&ガッツィー。調性感の焦点をぼかすようなJAWBOX譲りの屈折メロディをあくまで推進力重視のリズムに乗せてズドドッと駆け抜ける、DCポストコア界隈随一といっても過言ではない短距離走的なスピード感がもうひたすら快いことこの上なし。リズムがイカスからいつまでも最高というポジションはAC/DCに同じくっすね。歳食ってから聴いても燃えれる気がします。単純に「カッコイイ!」の一言が似合うバンドです。解散後に出た編集盤「POST MORTEM ANTHEM」収録曲の変形テイクみたいなのや、何とTHE DAMNEDのカヴァーまで入ってるとあってファンは買わずにはいられません。新品の入手は難しいようなので中古を探すしかない。SLOWDIMEは過去の素晴らしい作品群を早くまともに流通させて下さい!!

  6月27日
本日の収穫、アマゾンマーケットプレイスにて購入のMAGMA「K.A」(2004年新作!)、BLUETIP「HOT FAST UNION」(SLOWDIMEからの5曲入りEP!)。メガネのフレームがゆがみ気味だったので直してもらいにメガネ屋に行ったついでに、近鉄パッセ内タワーレコード(値下げワゴン目当て)とバナナ名駅店に寄るも何も買わず。CD屋に寄って一切消費せずに帰ってくると何だか真人間だったなあ今日はという気分になりますよね。

【只今のBGM:MAGMA「K.A」】


今月はやけにプログレが多いですが今日も。フレンチ・プログレの魔物MAGMAの昨年リリースの新作です。ジャズロックと現代音楽がクロスした音楽性に、独自の宇宙観と言語(!)をもつという唯一無二のスタイルをデビュー当初から確立し、代表作「M.D.K.」を含む大作志向かつ暗黒路線の極みのTHEUSZ HAMTAAK三部作を経て徐々にアフロ/スピリチュアル化が進行、ニューウェイブまがいのラスト作「MERCI」のあとにリーダーのクリスチャン・ヴァンデの半ばソロユニットとしてOFFERINGなる新名義に移行して、元メンバー達も仏ジャズ界に散って活躍する中、90年代に突如復活してライヴ活動を再開、そしてやっとリリースとなったフルアルバムがこれ。3部に章分けされた1曲でアルバム1枚という往年のスタイルが戻り、音楽的にも全くもって三部作時代のまま…と思ったら何とこの曲72年に既に作られていたものだそうで。雰囲気としては「M.D.K.」のノリノリめなパートに近い感じでしょうか。暗黒やら地鳴りやらといった物々しい要素はあまり前に出ることがなく、おおむねフュージョン〜スピリチュアルテイストでテンポよくハイテンションにいってます。未経験者が変態でこわいのを期待して買うと外したと思うかも。この頃のMAGMAは壮大な語り部ですから、このアルバムの存在も例えば桃太郎で犬・猿・キジと実はもう一匹動物を連れてたって〜??的な展開として受け止めるべきと思われます。私としては何か少しでも新しいものを期待していただけにやや肩透かしにあった感もありますが、ファンなら明らかに知らないでいるわけにはいかない内容っぽいのでこれはこれで納得。秋の来日は大阪でも東京でも行ってやるー。

  6月26日
収穫はなし。ついぞの数ヶ月前までイタリアジャズが云々で…といっていた友人宅を久々に訪ねたらいつの間にかマシュー・シップをまとめ買したりする男になってました(そしてドシャメシャ・フリージャズ作品はさっさと売ったらしい)。高校時代にWINGERやPRETTY MAIDSで盛り上がった人とTHIRSTY EARやらWINTER&WINTERやらで再合流することになろうとは。イモヅル・リスニングのこういう瞬間がたまらんですね。ところでサウンドベイの7月のバーゲンは16日(土)スタートでした。情報提供のかつさんに感謝。

【只今のBGM:LOIS MAFFEO & BRENDAN CANTY「THE UNION THEMES」】


Kの女流SSW・ロイス嬢とFUGAZIのドラマー・ブレンダンのデュオ作品。THE EVENSといいEX HEXといいDC界隈でこういうの流行りっすかね。内容はロイス嬢のキャッチーな歌心&声が活きた、(いわゆる)アンプラグド風アコースティックポップ/フォークになってます。ロイス嬢はフルートも、ブレンダンはピアノやメロトロンまで演奏。オリンピア流ローファイパンク心は基本的に抑え気味ながら、何曲かではやっぱり炸裂してくれます。いやーもともと「普通の人っぽいなりにいい声」してる人ですからこうやってこぢんまりかつじっくり聴かせてくれるとなお良いですね。ブレンダンは別に一人だけ例の大味激打ドラムを暴走させるでもなく、作詞作曲以外のサポートを総合的に担当してるといった感じの関わり方なようで、一人+一人で全てやったという意味でこの連名名義なのでしょう。人数の揃ったバンド編成でないがゆえに却って自由な色づけがなされた、職人の手作り感が堪能できる盤ってとこでしょうか。

  6月25日
本日の収穫、サウンドベイ上前津で来月のバーゲン情報をゲットしてくるつもりがSATYRICON「THE SHADOWTHRONE」、STACKRIDGE「MR. MICK」、31 KNOTS「A WORD IS ALSO A PICTURE OF A WORD」、LOIS MAFFEO & BRENDAN CANTY「THE UNION THEMES」、MAX ROACH「JAZZ IN 3/4 TIME」、MELVINS「EGGNOG」(バーゲン品525円!)。しかも今日の時点でバーゲン告知はありませんでした。しかしまあ十中八九21日(木)〜24日(日)あたりなんだろうけど…と妥当な憶測をしてしまう熟練ユーザーな自分が嫌。

【只今のBGM:STACKRIDGE「MR. MICK」】


「EXTRAVAGANZA」に続く76年5th。メインヴォーカルが違う人だと思ったのはただ単純に歌い方の問題だったのか、実際違ってたのか確認してませんが、今回は特に違和感ありません。作風は相変わらず(上述の前作レビュー参照)。演奏面での頑張りが多少落ち着いて、1stの頃のようなのんびりした英国牧歌ポップス路線が主体になってます。コンセプトアルバム仕立てなんでしょうか、別段見せ場があるでもないインスト曲をやけに多めにやってたり、全体としてやけにのっそりした曇天のようなムードが一貫していたりと、各曲ピンで聴けば悪くないんだけど流れが澱んでるというか。とはいえ、ほれほれクラシカルだぞー!と声を大にしなくてもクラシカル・テイストがポップスにさりげなく滑り込むソングライティングはやっぱりさすが。この点に関しては過去の作品より更にナチュラルになってます。今までなかったロマンティック&壮大スケールなムードも身につけ…もしかしてそれもこれもあれもPINK FLOYDの影響か?GENESIS「幻惑のブロードウェイ」の影もちらほら。そう思うと確かに納得いくけど、いやあ、全然彼ららしくやってる曲の方がピンと来ますよ。ピアノが陽気に跳ねるインストの前半パートから呑気ジェントルな後半の歌パートにスローダウンする最後の曲とか、こんな目立たんとこに追いやられて勿体ない。まあちょっとした問題作として、ファンはどっちかというと持ってた方がいいであろう出来ではあります。むしろ最初からユルユルどよーんな空気を期待してTHE HIGH LLAMASやアーチャー・プレウィットあたりのファンが手にしてみると意外にストライクかも。

  6月24日
収穫はなしアマゾンのマーケットプレイスで大量に出品している、とっても胡散臭いアメリカの業者・カイマンで買った商品のうち一つが二ヶ月以上経っても届かず、遂にやられたかと不安になり「このオーダーどうなってんの、在庫ないならキャンセル返金して」という旨のメールを出してみたら二日であっさりと「キャンセル完了しました」との返信、次いでアマゾンから「出品者は返金作業を開始しました」との通知が。トラブルは意外とスンナリ捌いてくれるようです。日記じゃなくてタレコミですね。出品者の評価ページを見てみるとメール対応すらせずボッタクる業者もいるみたいですから、カイマンはそのへん一応安全ですよということで。しかし胡散臭いなあ、クロッコーディールって何だよ…

【只今のBGM:FRED FRITH「STEP ACROSS THE BORDER」】


言わずと知れたHENRY COW人脈の最重要人物フレッド・フリスの、自身出演のドキュメンタリー映画のサウンドトラックとしてまとめられた作品。いわゆる名盤の域ですな。トム・コラ(THIRD PERSON他)、ラーシュ・ホルメル(SAMLA MAMMAS MANNA他)、マーク・ホランダー(CRAMMED DISK主宰/AKSAK MABOUL他)、ジーナ・パーキンス(NEWS FROM BABEL他)等々、NYアンダーグラウンド〜ワールド・レコメンの有名人をはじめ世界各地のミュージシャンとの競演記録、および旅先でのフィールド・レコーディングなんかが79〜89年の10年間分。楽曲然としたもの(普通にMASSACREのライヴ音源とかもある)からノイズセッション風のものまでとにかく色々とやってます。きょうびのMELT BANANAやBATTLESやDEERHOOFみたいなバンドからポップ性をひっ剥がすと残るような純粋なエクスペリメンタリズム、ないしあくまで旅先の見聞として切り取られるエスニズムを、ロック作品を聴いてる足場感のままでとっかえひっかえ聴かせてくれるという、フレッド・フリスの美学(新しいとか反骨とか言っても人のやることですからやっぱりこの極性は美学だと思います)ひいてはレコメンイズムの何たるかをズバッと集約した秀逸な見本市といった様相。こりゃ頑張ってカウやら何やら集めまくるより断然話早いっすね、グラインドはTERRORIZER一枚で充分、てのと同じく、これ一枚でレコメン語ってしまってもOKでしょうってな豪華集大成になってます。冗談抜きで一家に一枚。

  6月22−23日
▼22日は収穫なし。サポートでドラムをやっているシロクマのライブでした。全体の趣旨としては東京のバンドのレコ発ツアーとしてライブハウスがブッキングしたものだったようで、ローカル・ライブハウス・シーンの有効性に関してめぐる思いは多々あれど、ともかくライブをやるってのは楽しいもんです。しかも何とあっさり次が決まりました。7月27日、同じく新栄クラブロックンロールにて、今度はフランスのYEEPEEというバンド(Kとも親交のある人達だとか)の前座だそうです。今回見送った方も次こそはどうぞ!ドイモイも次決めんとですなあ…ひとまず密かにmyspaceで有名バンドとつながってもらいまくってます、だから何になるわけじゃないですけど(誰でも意外とスンナリOKがもらえるみたい)。とりあえずTRAINDODGEのジェイソンはHECATOMBの曲に「Very brutal songs! I like it!」とコメントをくれました!いい人〜。

▼23日は突如魔が差して、ちょっと遠くのブックオフをハシゴしてしまいました。てことで▼本日23日の収穫はブックオフ黒川店にてBILLIONAIRES BOYS CLUB「SOMETHING WICKED COMES」、FRED FRITH「STEP ACROSS THE BORDER」、同栄生店にてKING CRIMSON「THRAK」(外盤500円)。

【本日のレビューその1:BILLIONAIRES BOYS CLUB「SOMETHING WICKED COMES」】


イングヴェイバンドからマーク・ボールズとアンダース・ヨハンソン、ACCEPTのヨルグ・フィッシャー、後にHAMMERFALLのメンバーとなるマグナス・ローゼンというちょっと豪華な4人組が93年に残した唯一のアルバム。こりゃいいですね、THE LAWRIVERDOGSと並び評されるべき(両方大して評価されてない気もしますが…何ならLIONSHEARTとHARDLINEでもいい)ニッコリ盤。内容は90年代前半に腐るほどあったブルーズロック回帰モードのLAメタル流れなHR。BADLANDSのメタル度を上げた感じです。何とも安定した完成度を誇る、よく出来過ぎて毒にも薬にも…と言いかけそうな曲ばかりなんですが、そこは随所で欧州の泣きを効かせてくるヨルグ・フィッシャーのギターと、何よりマーク・ボールズの絶唱で俄然テンション上がります。マークのハイトーンってもっと太くて気張ってる印象だったのがここではピキーンとつんざく爬虫類系。これもまた良い。なんか想像どおりの内容だったけど想像より感動してます。きょうびのメタラーはこんなの有り難がらんのだろうな…この頃のBURRN!を読み漁ってた同期の方々、中古で安く見かけたら是非とも救済してあげてください。泣けますよ。

【本日のレビューその2:KING CRIMSON「THRAK」】


バーゲン棚でいつでも買えると思い続けてウン年、BATTLESみたいなのがもてはやされてることだしそろそろ買いどきかと思って決着です。ディシプリン・クリムゾン解体から10年近く経っての復活EP「VROOOM」に続く94年のフルアルバム。エイドリアン・ブリュー、トニー・レヴィン、ビル・ブラッフォードのお馴染み組に更に二人加えてのダブル・トリオ編成が物議を醸し出したものです。当時のインタビューでフリップ翁は「『RED』の頃のメタル・クリムゾンが復活している」と語っていたように記憶してますが、まあそうですね。"Vrooom"の展開が"Red"に酷似してるのは「宮殿」と「ポセイドン」を敢えて双子にした翁のことですから意図的なものなんでしょう。全体的には第3期の攻撃性と、第4期のよりロック離れした実験性&微妙な人当たりの良さを総括し、轟音と変則拍子が入り混じるグランジ全盛時代に自身の音がどう響くか見極めた上で実に飄々と攻めの姿勢をとってるのがカッコイイです。「太陽と戦慄」以降に生まれたいかなるレコメンもテクニカルスラッシュも捻じ伏せる強烈な説得力は仕掛け人本人だけのもの。"Elephant Talk"系の陽気な曲もぼちぼち入ってますが、ブラッフォードの鉄板がピシパシ鳴ればそこはもう第3期、脳内で勝手に"Easy Money"風に変換されます。一片の翳りもないブリューのヴォーカルだけは如何ともし難いですが…。何だかフュージョンっぽく聞こえてしまうプロダクション面のマイナス点も含めて、「腐ってもクリムゾン」と激しく肯定的に言いたいみたいな、絶妙な塩梅の出来。熱心に旧作を聴いてない人の方が意外にオッ!?と来るかも。

  6月21日
収穫はなし。来まてますねバトンnecomさんどうも!さてと…

Total volume of music files on my computer:(今コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量)
約11GB。PCで音楽は聴かないので、編集CD-R用に臨時で入ってる素材たちと、あとは自作音源ばっか。しかもおおかたWAVEファイル。

Song playing right now:(今聞いている曲)
これは「只今のBGM」を参照して下さい。

The last CD I bought(最後に買ったCD)
これは最近の日記見て下さい。最後の最後は54-71の新作EP。

Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me:(よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)
・筋肉少女帯"風車男ルリヲ"(「月光蟲」)
・ANTHRAX"Time"(「PERSISTENCE OF TIME」)
・KING'S X"It's Love"(「FAITH HOPE LOVE」)
・MAGMA"Wurdah Itah"(「WURDAH ITAH」)
・THE FOLK IMPLOSION"Mechanical Man"(「ONE PART LULLABY」)
惜しい選外も無数にあるのでこの際コメントなしで。

Five people to whom I'm passing the baton(バトンを渡す5名)
・今日WINGERの「IN THE HEART OF THE YOUNG」を聴いた人
・今日DANZIGの「III - HOW THE GODS KILL」を聴いた人
・今日GENTLE GIANTの「GIANT FOR A DAY」を聴いた人
・今日BLACK SABBATHの「BORN AGAIN」を聴いた人
・今日EXODUSの「FORCE OF HABIT」を聴いた人
以上、該当した方はどうぞ。

【只今のBGM:UI「ANSWERS」】


こりゃカッコイイ。90年代前半から音源を残しているシカゴポストロックの古株バンドの2002年作です。過去の作品は修行系人力音響ミニマル・ストイック・ビーツといった内容で、USポストロックにつきものの潔癖な和み感は皆無でシブくやってました。このアルバムではそのシブさは据え置きのまま、更にリフのツカミ度や全体のテンションが大幅アップし、THE METERS化したSWEEP THE LEG JOHNNY、あるいは第3期クリムゾンとCAMBERWELL NOWとBEASTIE BOYSの中間点みたいな驚きのネクストステップに到達!時々3人編成以降のEUPHONEを思わせるフレンドリーな陽気ノリが現れたりもして大充実。奇しくも54-71見た翌日に聴いてるのがタイムリー。ヴィブラフォンやアメリカーナなアルペジオにうつつを抜かしてばっかりがポストロックではないわとのベテランからの喝ですね。音響的アプローチが全て、リズムを楽しく響かせるためのツールとして使いこなされてるのがさすがです。リズムがかっこいいバンドは古びる気がしない。大推薦。

  6月20日
OWEN名古屋公演行って参りました。手短に。一番手OGRE YOU ASSHOLEは先日のタラミラの際に体験済み。今日も良かった。このバンドはどんどんプッシュされていって欲しいです。曲が良いのはいいなあ。気になるヴォーカル氏の厚着っぷりは、Tシャツ(恐らく)+長袖シャツと意外に普通。二番手は54-71。セッティングを済ませ、リズム隊両名が位置についてもビンゴ氏(Vo.)の姿はなく、と思ったら関係者っぽい煽り役が指差した先のフロア後方の天井にぶら下がる、全身網タイツ+Tバック+バレエのフリフリスカートといういでたちのビンゴ氏!と同時にシンセノイズまみれの"Idiot"でスタート。今回はいつになく気合の入った演出で怖かった。新曲も旧曲もどんどんアレンジが付け足され、かなり頻繁に(前座で)見てるけどちゃんと毎回オッと思います。仏頂面のままどんどんファンキーになっていきますなこのバンド。いつの間にか好きです。

▼そして3番手、CAVE-INのメンバー率いるNEW IDEA SOCIETY。ベースレスでギター2本に変なエフェクトをかけ、何とかやろうとしてたようですが…ベース的安心感には程遠く、ひたすらブーミーなだけで聴き辛く、曲も凄く普通で、何が特別良いと思ってこれをやってるというのか全く理解できないまま終了。本職の血が騒ぐのか、轟音系の曲もやってましたが、例えばHIGH ON FIREがピラミッドなら彼らは文鎮程度。今日のこれ見て呼び屋は本当に納得したのか…?

▼そしてやっとメインのOWEN。今回はサポートメンバーを連れてきてるとのことだったからてっきりバンド編成を期待してたけど、サイドギターが一人いただけでした。「こんばんは、俺マイク。こっちピートね。…昨日はね、今までやってきた中で最悪のショウをした」といきなり喋りモード。しかし笑わない観客。東海岸寄りの人はいっつもこう、ネイティヴのスピードで普通に喋って、無反応だと白ける。しかしマイクはそれでも「ま、いいけど」みたいに手早くけりをつけて次に移るからいいです。1曲目は何だったか、確か2nd冒頭曲だったはず。クアトロのガチガチPAがここでは功を奏し、アコギの演奏が細部までダイレクトに聞き取れて、変則チューニング&カポを使いこなしての蜃気楼のような(?)アルペジオの壮絶な巧さに改めて脱帽。ヴォーカルもCDどおりの安心感。サイドギターとの絡みでアルペジオがハモったりした日にゃヤバイです、グルタミン酸出しまくり。

 歌詞を忘れると止まったり戻ったり平気でしてたのが笑えましたが、基本的にギターはどんな複雑なラインもほぼノーミス。しかも弾きながら歌も別物のごとく歌い込む。数曲で、シーケンサーでドラムとベースを鳴らし、カラオケ状態にしてギターを弾き語るという演出があって、最初てっきりこれギターも録音してきたのか?それにしちゃ実際弾くような手の動きしてんな…と思ってよく見たら本当に弾いてたときは心底びっくりしました。ホント巧過ぎです。一方、助手のピート君は、ディストーションの音量調整が変だったり、普通にミスったり、酷いとまるで弾けなくてずっと諦めてしまうフレーズがあったりと、マイクに横目で見られながらかなりギリギリの奮闘をしてました。「I DO PERCIEVE」1曲目のイントロを先生と生徒のように恐る恐るユニゾンしてたのは微笑ましかったですなー。

 気になったのはやっぱり客席とのコミュニケーション不和で、「(曲間で両者沈黙のあと)何か言うこと考えてるの?別に何も?俺もだよ」とか「あと3曲でオワリね、みんな退屈でしょ。終わったら帰って寝るよ。ガ〜」とか捨て鉢なコメントの数々にシャイな名古屋のファン達は傷ついたか、聞いてなかったか。途中、マイクのアコギの弦が切れたときに「弦換えるからほらピート、お客さん楽しませといて」と言い捨ててステージそでに去るもピート君は全く喋れず、54-71のビンゴ氏が踊りに来たときはさすがに一同和みました。本編終了後けっこう盛大な拍手で呼び戻されるも歓声はいまひとつ薄く、1曲半演奏して「ハイ、どもね、あんがと」みたいにそそくさと帰っていったマイクのテンションは明らかに低かった。多分英語が話せるスタッフに世話されて国内を廻ってる上、客も簡単なジョークには一応ウケるから、日本人が実は英語をロクに喋れないし聞けないと思ってすらいないんじゃないすかね。基本的に英語通じんよと念を押しといてもらいたいところです今後は。

▼てことで写真を。↓

↑オグレではなくオウガ

↑ビンゴ氏登場!

↑床を転がってステージへ

↑踊りまくり、コワイ

↑NEW IDEA SOCIETYはMCがフレンドリーで良い

↑マイク&助手のピート(休み中)

↑弦交換中に躍り出るビンゴ氏

本日の収穫は物販にて54-71のEP。次は7月のTRAINDODGE、と思ったらその一週間前にCOPELANDが来るとのこと。行かなきゃ。

【只今のBGM:54-71(NEW EP)】


タイトルが発表されてません。曰くライヴ会場とSOME OF USのみ取り扱いの品とのこと。最近のライヴで演奏されている新曲を4曲収録。カタカナ気味の英語MCが音色豊富なシンセに取って代わられたことで、シュール度はそのままに親切度が若干アップし、ヒップホップだの何だのさえ逸脱して人力アヴァン・テックファンクと化しております。もはやバーント・フリードマンとかHEADHUNTERSの世界に近い。ポストロック文脈でいえばUIや「BREAKING PAROLE」の頃のEUPHONEに通じるノリもありつつ、どうにもダークなベースラインと、歌わずしてますます変態なシンセの存在感がやはり特異。これ考えた人はスゴイよなあなどと思ってしまう、ちょっとした発明品ですね。4人時代の曲のリアレンジも秀逸なので是非まとめて録音してもらいたい。

  6月18−19日
私がサポート出演のライヴ迫っております。取り置きメール歓迎中!こちらまで(ひとまず私のアドレスです)!次の予定とかは多分全然未定な上、この編成でやるのはこれっきりかも知れませんのでお見逃しなきよう。収穫は18日にブックオフ東別院でRED HOUSE PAINTERS「OCEAN BEACH」。

【本日のレビューその1:RED HOUSE PAINTERS「OCEAN BEACH」】


マーク・コゼレク率いる元祖アメリカーナ・フォーキー・スローコアな人達の95年作。近年作およびマークのソロはもはや「スローコア」と肩書きに加える必要がないほど和みアメリカンフォークになっちゃってますが、この頃はなるほどインディロック然とした若干エモい鳴りをしております。DEATH CAB FOR CUTIEのメンバーがこぞってフェイヴァリットに挙げてたのもこれ聴いてやっと納得がいきました。チェロも入ってるし初期デスキャブやKIND OF LIKE SPITTINGは殆どこの音の再現ですな。OWENも大いに影響下にあることでしょう。このバンドの魅力のひとつは、時々曲が凄く長いことだと思ってまして、当人達のツボに来たと思しき響きが執拗に引き伸ばすように繰り返されるうちに、時間を忘れてこちらもほげーっと没入してしまいます。とことんやるのはいい。看板たるヴォーカルも特別抑揚に長けてるとかではないのだけど、この世界観に対してとても実直というか自信があるというか、変に周りを窺わずにスッと送り届けてくれる感じが大変快いですね。これだから色んなカテゴリのオリジネイターを探し出して聴くのには価値があると思っています。ちょっと話が大きくなってますがアルバム単体として非常に素晴らしい出来です。既に何枚か持ってるのと比べても一番パッとするかも、というより大名盤の気配。

【本日のレビューその2:スピッツ「フェイクファー」】


上述のRHPで温かい気持ちになってしまったので、最近聴いてねえなーと思っていたスピッツを久々に。買ったときは「売れたバンドの加速度の下げ止まり感があって燃えない、この頃よくあったオルタナ模倣的なアレンジ手法も国産バンドの限界を出てない」と否定的な聴き方をしてしまったアルバムですが、老いてますます盛んな野心作「三日月ロック」のテンションを期待したコッチの間違いだったと後で思い直し、今やスピッツ史上2番目に好きな作品になってます。小さい音を然るべく鳴らすにはやっぱり然るべき筋力が必要なように、前作「インディゴ地平線」で体得したインディロック筋肉を今度は"カワイイ"ならざる"優しい"男手ユニセックス・ポップを作り上げる方向に使った成功作といっていいでしょう。その点で「ハチミツ」以前とは歴然と違う。余裕でクオリティの高さが保たれている楽曲群は威勢がないとも言えるけど、買って部屋の棚に馴染んでくると、聴くにもちょっと体力が要るような充実・気合系のアルバムよりも日常的に聴けることが判る。しかも全体を貫くやけに回顧的・感傷的な空気、そのボンヤリした感覚をそっと確定化するかのようなボンヤリしたジャケ写真。存在トータルで記憶に引っかかるような仕上がりになってると思います。比較的どっちでもいいめの数曲を挟みつつもピンポイントでアピールする大名曲たちの手柄が勝って最終的には印象勝ちってのはSTINGの「MERCURY FALLING」と一緒ですなあ。あとファンとしては、マサムネの初期からの幼な声の名残がギリギリ消えてないのがこのアルバムまでってことで、大人の男になってしまう寸前のもったいない輝きを嗅ぎ当ててまたグッと来るとこでしょう。キャリアの中にこういう1枚があるってのはいいですね。こればっかでもイカンし。

  6月17日
▼無事咳っぽさは消え、もっぱら鼻づまりと格闘しています。完全無味の坦々麺大盛りを完食するのが意外と苦痛でした。味覚/嗅覚がダウンしてるときは、舌応えだけでも食ってる感じがするかもと考えて刺激の強いものを選ぶより、いっそ食感重視でいった方が賢明ですね。塩野菜ラーメンにしときゃ良かった。本日の収穫、カイマンから届いたPOUNDHOUND「MASSIVE GROOVES FROM THE ELECTRIC CHURCH OF PSYCHOFUNKADELIC GRUNGELISM ROCK MUSIC」「PINEAPPLESKUNK」。

【只今のBGM:POUNDHOUND「MASSIVE GROOVES FROM THE ELECTRIC CHURCH OF PSYCHOFUNKADELIC GRUNGELISM ROCK MUSIC」】


KING'S Xのダグ(B./Vo.)のソロユニットです。ソロ名義のほか無数のサイドプロジェクトを同時進行させているタイといい、それと被りつつ自身もソロを出したジェリーといい、この3人のクリエイティヴィティはどうなってんでしょうか。バンド内のダグのポジションというと、とにかく骨太ダウンチューニングを肉感的にぶつけてくるグルーヴ担当的なイメージが強く、これを聴く限りそれはそのまんま現れてるのですが、タイによるものと思われた優しい歌心も意外にダグが共有してたことが判明。低音リフと溶け合って何とも温もりある倦怠感を醸し出すこのメロディセンスはやっぱ天才です。タイの神業的縦横無尽バッキングがなくてもちゃんとKING'S Xに聞こえてます。正にタイ抜き「DOGMAN」の様相。JELLY JAMとかPLATYPUSとかチャラチャラし過ぎててなんか違うな〜とお思いのファン諸氏、懐かしの正統KING'S Xサウンドはこの人んとこにありますよ。と同時にファンじゃない人にも聴いて欲しいです。殴りつけるような破壊力を誇るリフはTRAINDODGEばり、SHINER派生/周辺組に通じるメロディ感覚も一級品。ホントすぐに買って下さい!ジャケの冴えなさだけは勘弁頂くとして…。

  6月16日
収穫はなし。完全ノー・プランの休日だったので家にこもって宅録(というか宅ミックス)。成果は掲示板の方にありますので消えないうちにどうぞ。咳が一日中止まりません。健康報告日記になっていきそうですな。有識者の方、最終警告が出てたら教えて下さい。

【只今のBGM:MONA LISA「VERS DEMAIN」】


かなり前に買った別のアルバムの内容が結構良かった記憶があるので買ってみた78年作。フランスのバンドなのですが、何だかブーム末期のイタリアンロックバンドみたいなポップな爽やかさをいつの間にか身につけてました。ドロドロのあやしい泣きにまみれて志村けん風のヴォーカルがシアトリカルにふげふげのたうつのが面白かったのに。とはいえこういう大衆路線に日和ったプログレは好き(基本的にGENESISが「ABACAB」まで好き)なので、別に問題はないどころか全然サイコーです。変にシンセばっか濫用してるあたりもGENESISの「WIND &WUTHERING」を思わせる。しかも一応、暑苦しくまくし立てるパートではあの気持ち悪いテンションが復活してて、MISANTHROPEの大ファンとしてはもうたまりません。GENESISとMISANTHROPEとDIXIE DREGSあたり(?)が同時に好きという人にとってはケチャップライス・ハンバーグ・カレーみたいな夢の(そして少々ヤクザな)競演状態間違いなし。

  6月15日
収穫はなし。片手運転の必要に迫られる危険のある天気だったので凄く久し振りにママチャリに搭乗。加速はしんどいが完全停止状態からの発進がラクで何だか心和んでしまった。都市部の歩道上じゃ逆にMTBカッ飛ばしてる方が危ないのかもなと思い直すほど。以前、大通りからちょっと入った住宅地の細い道で夜遅く、割と低速でカドに出ようとしたところに原付くらいの猛スピードで突っ込んで来た全身フル装備のインセインな街乗り男に大げさな急ブレーキをかけられた挙句「っ危ねーな」と言い捨てられたことがありましたが、10枚くらい重ね着した人に「暑いんだよバカ」と言われてるような心地であんまり腹も立たんかったのを覚えてます。

【只今のBGM:KIX「KIX」】


いやー最高。昨年4月26日のこの欄で取り上げた91年作も最高だったKIXの81年デビュー作。いわゆるLAメタルといっても微妙にねちっこい叙情性のあるモトリーやRATTとは似て非なる、完全AC/DC追従型バンドとしてスタートしてたようですね。そこに若干VAN HALEN的なハツラツ・スクール・ロック(?)・テイストも加味されててむちゃくちゃエンターテイニングです!直球中の直球なのにこのドン臭くなさは何!?ポストパンク的な理由不明のアッパー感も少々吸い込んでる様子。81年というタイミングでこれは相当アツイでしょう、余りにシンプルなために他のもっと華のある同期たちにオーディエンスをもってかれたのかも知れませんが、彼ら(売れた方)が廃れた今、KIXの魅力こそエヴァーグリーンであると断言できます!メタルファンじゃなくても聴ける!CLASHやMOTORHEADが好きなんて人も買って聴いて大いに燃えて頂きたい。全9曲36分半でスッ飛ばすのも実に潔くてよろしい。買いですよ買い。

  6月14日
本日の収穫、サウンドベイ金山でUI「ANSWERS」(SOUTHERN発ストイックインストポストロック老舗バンド!)、PIT ER PAT「EMERGENCY」(2004年)。他にも欲しいものはいくらでもあったけど少数精鋭で。最近はCD買わないことが上手くなりました。なってこれかよとは言わないで。

【只今のBGM:PIT ER PAT「EMERGENCY」】


5月1日のこの欄にも登場したバンドの2004年発表6曲入りEP。既にヘンタイです。マーチングバンド風の焦燥感を煽るドラムにタッタッと8分で刻むエレピが乗るとどうしてもMAGMAを思い出してしまうのですが、きっと本人達も聴いてないことはないでしょう。BLONDE REDHEADのデカダン・フェミニンの系譜とクロスしつつ、MAGMAあるいはレコメン一派を思わせる潜在的な重心の低さも受け継いだ、何ともアートな人達です。ショックよりも味わいを大事にしてるのが良い。むしろ既に知られている音楽のショック性に気づかせてくれるかような懐の広さ。直接的に似てるわけではないですがJOAN OF ARCとかに近い身のこなしをしてる気がします。パンチ力のある文学派というか。プログレッシャーは絶対喜ぶ音ですな。捻じくれてるくせに繰り返し聴きたくなる、近頃のお気に入りの人達。

  6月13日
本日の収穫、サウンドベイ上前津にてTOWN AND COUNTRY「IT ALL HAS TO DO WITH IT」、OFF MINOR「THE HEAT DEATH OF THE UNIVERSE」、ANATHEMA「A NATURAL DISASTER」(525円にて救出)。昨日みすみす生きて帰した蚊どものせいで睡眠不足です。

【只今のBGM:OFF MINOR「THE HEAT DEATH OF THE UNIVERSE」】


以前も紹介したことがある激情ハードコアバンドの2002年作。音楽的特徴については特に新たに書き加えることもなく、相変わらず激展開でスッ飛ばしてます。静/動の静の比率が更に高くなった気も。絶叫カオティックパートを除けばもはやBOYS LIFEやETHER MESERVEの域ですな。mid90's直系のふつふつとした焦らし感を巧みにコントロールして、発散モード時の狂気性をグッと際立たせてるのがオトナ。何やら日本風の木造建築の一部と思しき写真をあしらったジャケのせいかも知れませんが、どことなく和食な感じがします。そう思うとこの異様にテクニカル指向な楽曲も無欲なる修行のように聞こえてくるような、こないような。ちなみにラストではバンド名の由来となったセロニアス・モンクの"Off Minor"をやってますが、アコギ一本でちゃっちゃっと弾いてるだけのいかにもオマケな出来でした。大真面目にソロ回しまでやってくれりゃ尊敬度俄然アップしたのになー。

  6月12日
収穫はなし。いきなりですが私は両手を皿にして水を汲めません。小指と小指の間をはじめありとあらゆる所にスキマが出来てしまい、顔を洗うときなどは水が垂れ落ちるより早く顔まで運ぶのにいつも必死です。蚊をですね、握り潰したかと思って、死亡確認すべく手の平をひらいた瞬間に、指の間からプア〜と逃げていく様を見るのは最低の気分ですまったく。

【只今のBGM:イルリメ「イるreメ短編座」】


再発にあたって追加されているカバーバージョン集に二階堂和美が入ってるので買った一枚。国産ヒップホップなんて普段馴染みのないジャンルですがこれは普通に私にもイケますね。どれもこれも聴き覚えがあるようなローファイなキーボードの音色に思いがけない意味付けをして全く独自の世界観をいきなり大成。情報が殺到するハイテンションな多幸感はルーク・ヴァイバートをほんのり彷彿とさせたりもしますなあ。親切エレクトロニカにMC乗せたらみんな好きじゃん的な単純計算が匂ってこなくもないPREFUSE73やそのフォロワー勢とは一線を画する、敢えて現代に産み落とされるに足る新しい音楽としての頼もしさがびしびし感じられます。英語的なライムのモデリングに没頭し過ぎず関西ノリでまくし立てるMCにも一切の変な気負いがなく好感。何物でも我流に変換する視点だけが一貫しながら音楽的にはどこに足をついてるのか判らない感じはMR. BUNGLEやTHE RESIDENTSのようでもあり。確信をもって自分のやることをやってる人の音楽は潔くて憧れます。

  6月11日
収穫はなし。やっぱり部屋の床がくぼんでいる。床下の横柱を境に往年の勉強机(現在はレコーダーおよび機材各種やステレオ用の棚と化している)とPCデスク(平積みCDの山満載)が乗っている側が明らかに低い。床って本当に抜けるものなんですかね〜…大量のCDに埋もれている自室の話を人にすると「床、抜けるよ」と冗談でよく言われるんですが、リアルに不安です。いや、「オレ部屋の床抜けたことあるぜ!」と言えてみたい気も、しませんよ勿論。

【只今のBGM:RACHEL'S「SYSTEMS/LAYERS」】


エゴン・シーレのアルバムがとにかく素晴らしかったRACHEL'Sの2003年5th。もうルイヴィルとかポストロックとか全然関係のない至極情緒的な現代音楽になってますな。ストリングスオーケストラによる厳かで寂しい映画のサウンドトラックみたいなものから、ECMでエグベルト・ジスモンチがやってそうなミニマルピアノ曲、エスノパーカッションのみによる小曲、生活雑音と遠巻きの楽器演奏が交錯するミュージック・コンクレート風トラックなど、手短に色々やってます。どれどれ次は、とがっつくように聴いてはイカンですね、ゆったり全編を貫く時間感覚を大切にして、色とりどりの流しそうめんをジッと見つめ続ける調子で聴き従っていくとじわじわ感動が大きくなっていく類の作品でしょう。アプローチがこれほど多岐に渡りながらも、実験先行ではなくあくまで芸術然とした作り手の美意識が絶えず感じられ、「フーンこういうことやりたかったのね」で終わらず後々まで大事にしたくなるような仕上がりです。人肌のぬくもりがちゃんとあるというか。そういう点で若干CHROMA KEY(最新作マスト!!)を思わせもします。ジャンルの垣根を越えて共鳴する美しさって素晴らしい。個人的には変装サティに徹してる感もあるTOWN AND COUNTRYよりコッチを推したいところです。

  6月10日
▼こういう日の日記に「今日は蒸し暑かった」みたいなことを書いてしまったら負け、的なことを考えるのは私だけではないはず。そんなことより暑かったですねー今日。本日の収穫は今日からバーゲンの上前津FILE-UNDERにてHELLA「CHURCH GONE WILD/CHIRPIN HARD」(最新作!)、イルリメ「イるreメ短編座」(二階堂和美によるカバーバージョン収録の再発盤)、RACHEL'S「SYSTEMS/LAYERS」(03年)。そして有り難いことに委託分の10枚が完売中だったドイモイのCDもまたドッサリ追加させて頂いてきました。バーゲンついでにスッと一枚、値引き対象外ですけど、よろしくどうぞ。

【本日のレビューその1:HELLA「CHURCH GONE WILD/CHIRPIN HARD」】


目下の最新作である2枚組。ギターのスペンサー盤とドラムのザック盤でパッカリ分かれていてスペンサー盤はファミコン・ポストコア、ザックはドラム乱打・スキゾ・ノイズ…といった能書きはそこら中に書いてあるから端折るとして。まずスペンサーの「CHIRPIN HARD」、これ確かに少々地味かも。荒れ狂うドラムの上にヘンな音が殺到してるのがHELLAのテンション感の源泉だと個人的には捉えてて、多分おおかたの皆様もそうだと思うんですけど、ここではドラムが荒れ狂わない(しかも例の速弾きギターもほとんどない)ので「うん、凄くヘンだね」と冷静に聴けてしまう感じです。基本的にはアナログな電子音の混線遊びと「ファミコン感」の人力再現に徹底。カオスの中に時々強烈なフックを繰り出してくることがあるのでうっかり侮っちゃいけません。そしてザックの「CHURCH GONE WILD」、やはりこちらの方が破滅傾向が強いですね。4人編成で来日したときのライヴの印象に近い人力手数スカムノイズコア。CDを早送りしたみたいなズタズタ高速ドラムがずーーっと鳴り止みません。多過ぎる音や強過ぎる音が更に度を越して継続するとだんだん聴く側も麻痺してきて酩酊感に似たサイケデリアが生まれるということをよく掴んでいて、シンセの持続音や空耳みたいなヴォーカルも大量投下して百発百中でバッドトリップに誘ってくれます。アブストラクト過ぎて真面目に対峙するに堪えない、という人は、日時と場所を変えて再トライしてみて下さい。GONGのスペイシーさと大局観をもった音飛び倍速AKSAK MABOULみたいに思っておけばきっとスムース。

【本日のレビューその2:GURU GURU「GURU GURU」】


ウリ・トレプテ脱退後リリースの73年4th。ずご〜んとしたブルーズ変形型のへヴィネスはどこかへ行って、(依然ブルーズ・ベースな傾向は強いものの)マニさん主導でフュージョン的な軽い足取りのユーモラスさが幅を利かせるようになってます。知能犯だけどひたすら微笑ませてくれるのが良いですね。うーむHELLAのあとに聴くと全然違和感がない。シリアスで論客的、あるいは逸脱っぷりが著しいものだけをプログレと呼んで囲ってしまうとこれは完全アウトになるんでしょうが、コンテクストの尻に敷かれることなく定型枠をひょいひょいと取り替えながら好きなように展開していく懐の広さはやっぱりプログレッシヴ・ロックそのものだよなあと思います。「マニさんとその仲間達によるにっこりバンド漫談」という一時間番組を見るつもりで聴けば笑いっぱなしですよ。白眉は"電気ガエル"の邦題でお馴染みの4曲目"Der Elektrolurch"と言われてますが、妖しい郷愁を放つラストの大曲"The Story Of Life"(すげータイトル…)に私は一票。ロックの意味性を一旦破棄して何だかわからないニュー音楽を作らんとしている近頃の野心的なバンド群に興味がおありの方々は是非とも接してみて頂きたい作品です。いわゆる大名盤扱いの1st「UFO」よりお勧め。グルグルの何たるかは断然コッチでしょう。

【本日のレビューその3:CHROMING ROSE「GARDEN OF EDEN」】


ドイツつながりで無理矢理。SCANNERと並んでB級ジャーマンHMの代表格として名高い、1st「ルイXIV世」が有名なCHROMING ROSEの91年2ndです。よく出来たHELLOWEENチルドレン以外の何者でもないっすな。端々で妙に気張るヴォーカルも明らかに喜助を意識してるし。ただこういうB級連中が面白いのは、ツーバスの疾走感と拮抗するかのような間延びしたツインギターのオブリをはじめとする、どうもロック的にはイケてないリズム感覚の引っ掛かりだと考えてます。これがドイツ人の気風なのか、とにかく何とも真似出来ぬ陽気なイモ臭さに憧れます。悲壮感漂う北欧メタルにはない普遍的な親しみやすさだと思うのですが…ジャーマンロックを心で感じる人はB級C級ジャーマンメタルも手に取ったらいいですよ。そういう時代になってほしいです。まずは伝説的名バンドATTACKの大傑作「SEVEN YEARS IN THE PAST」で免疫を作ってそこから色々当たってみて下さい。メタルは面白いって流れに海の向こうでもなりつつあるようですから、トレンドにならないうちにメタルハートを鍛えとくべしです。

  6月9日
▼異例の長期ブランクが空いてしまいました。日々閲覧して下さっていた方、お待たせ致しました。PCが3日に突然WINDOWSの起動ロゴより先に進まなくなり、セーフモードでバックアップしてフォーマット→リカバリを何度かやってみるものの変わらず、経過は省略しますがとにかく最初よりもっと酷くなり遂に再起不能になってしまったので、まあしゃーねえかとPCごと買い換えに踏み切っての更新再開でございます。昨日の夕方ヤマダ電機に物色しに行って即決、その足で地下鉄で持ち帰ってきたので、肩の筋肉がヤバイです。筋肉痛というより筋繊維が足りてない感じ。湯呑みとかが重いですもん。摘出したハードディスクは幸い全てのバックアップデータが無事、バンドのCD量産なども問題ナシでした。ということでまたよろしくお願いします〜。

▼その間あまりCDも買ってませんでしたが、唯一3日金曜だけ、P-CAN FUDGEのバーゲンに行ったんでした。てことで遅ればせながら3日の収穫、315円でKIX「KIX」(81年!)、 COLECTIONS OF COLONIES OF BEES「STUCK」、 通常棚からVAN HALEN「FAIR WARNING」(リマスター)、GURU GURU「GURU GURU」、MONA LISA「VERS DEMAIN」(仏プログレ)、JOE JACKSON「JUMPIN' JIVE」、CHET BAKER「WITH FIFTY ITALIAN STRINGS」。

【只今のBGM:CHET BAKER「WITH FIFTY ITALIAN STRINGS」】


59年。裏のパーソネルを見るとチェット以外は「accompanied by strings orchestra」で片付けられてたのでてっきりトランペットとストリングスだけという硬派なのを想像してたら、別に普通にドラムとベースは入ってるしハープやホーンなんかも鳴ってて、フランク・シナトラとかがよくやるようなスタンダードなオケ伴もののアレンジでした。トランペットだけ吹く曲とヴォーカルもやる曲とがあり、まあいつものチェット節が堪能できるという内容です。インタープレイとかそういった要素が全くない分、のびのび朗々と響かせる歌心が堪能できてまた良し。絵になる情緒感としっとり落ち着いた熟成度はなんか古い映画のGBMのよう。しかし、私見ですが、この人は(ヘタウマローファイのワンアンドオンリーという意味で)インディな歌い手だと思ってるので、ちょっと寂しいくらいのバック演奏の方がぐぐっと来る気もしますな。ホールいっぱいの聴衆より寝室で独りのレイディーに囁きかける声しとるじゃないですか。あと意味わからんのは主役チェットの定位がほぼ完全に右端なこと。オケは普通にLR63に渡って展開してるくせにすげー変です、特にヴォーカルの曲で。確かに目立つといえば目立つんだけど…。ということで未体験者でこのCDを発見してしまった方は一旦見送って「SINGS」「IT COULD HAPPEN TO YOU」あたりを先に購入されることをお勧めします。ファンは買うしかない。

  6月2日
本日の収穫、バナナ名駅店でKYUSS「WRETCH」、久々の名駅69でSTING「SECRED LOVE」、BRYAN ADAMS「ROOM SERVICE」、CHROMING ROSE「GARDEN OF EDEN」。明日はP-CAN FUDGEバーゲンですか。買うものが大してなければいいのにと(散財を恐れて)思いながらも開店から並ぶ気まんまんという矛盾。

【只今のBGM:BRYAN ADAMS「ROOM SERVICE」】


知らん間に出てました2004年リリース最新作!98年の「ON A DAY LIKE TODAY」はいかにも意図的な内省的&ダーク路線で、死ぬまで18歳宣言の後にこんなことされてもな〜と、やっぱりパッとしない印象でした。それから6年を経ての今作はというと、昔ながらのブルース・スプリングスティーン直系サウンドのポジティヴな感じはそのままに、ちょっとレイドバック気味の声色やアコギの多用で「土着のアメリカン・ミュージック継承者」としてのポジションを強めに打ち出すと共に、各種ループなどを混ぜ込んだ今様なアレンジもいい塩梅に馴染んで、80年代の虚飾なイメージだけを上手く取り払いながらちゃんと本来の持ち味での勝負に成功しております。こう来たか。イヤこう来る以外ないでしょう。そうこの人はオールタイム・グッド・ミュージックの人なのです!と私は信じてました。THE GET UP KIDSの3rdやCOPELANDあたりが好きという人は騙されたと思って買って頂きたいです本当に。商業エモが持っている直球な胸キュンのさらに濃い原液がタプタプとみなぎってますよ。アメリカにかぶれてみたいスピッツファンなんかにもオススメ。なんか聴き進むほどに名曲がバンバン出てきます。テンション高いなー。

  6月1日
本日の収穫アマゾンから届いたMESHUGGAH「CATCH 33」、RADIAN「JUXTAPOSITION」、SAVATH&SAVALAS「MANANA」。

【只今のBGM:MESHUGGAH「CATCH 33」】


新譜最速レビュー!といっても国内盤が先行リリースされてるー!!まあそんなものは度外視です。前作「NOTHING」からEP(というかシングルというか…)「I」を挟んでの5thフル。凹凸プリントのスリップケースとNUCLEAR BLASTもなかなか気合入れてきました。「途中でトラック分けされているが全1曲である」「ドラムが打ち込みである(がほとんど人力でやってるのと変わらない)」「前作『NOTHING』と雰囲気はだいたい同じである」などという情報を事前に仕入れておった訳ですが、まったくそのとおりの内容。同じく章分けされた大曲1曲という作りだったギターのフレドリック・ソーデンタルのソロ「SOL NIGAR WITHIN」のMESHUGGAH版といった感じです。2ndの頃のようなスラッシュメタルとしての機能はもうどこかへ行って、のたうつダウンビート・ポリリズムの応酬が非生物的なサイケ感を呼んでどんどんドス黒ーくなっていく新手のトリップミュージックですわ。ギターリフの調性的変態度もますますアップ。もう誰の追随も許さん域です。単純に変拍子云々に限らず、MAGMAやDEVIL DOLLのような壮大な妄想世界を感じさせるという点でも、現在形のプログレッシヴ・ロックと呼んでいいレベルでしょう。レイヤー・バイ・レイヤーな全体構造の中でオバケ級の演奏能力を無駄なく使いながらそれとなく曲展開を示唆していくスタイルはBATTLESとも共鳴してますね。このバンドどこまで行くのやら。

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