物色日記−2005年8月

※頻出語句解説はこちら
  8月30日
▼(昨日の続き)篭り先は長野県・北志賀高原に決まりました。2日夜に戻ります。収穫はなし

【只今のBGM:YO LA TENGO「DANELECTRO」】


近頃めっきり夜中〜明け方な作風が素晴らしいヨラテンの2000年リリース6曲入りEP。オリジナルである表題曲"Danelectro"のパート1から3と、それらそれぞれのリミックスひとつずつで計6曲という格好です。霞んだアルペジオとシンセがモヨンモヨ〜ンとゆっくり流れて優しいひんやりした空気を作る、正に近年作の作風そのままの内容ながら、全編インストであるのと、完全モヤモヤ一辺倒で彼らのもう一つの重要な要素である「ダンス」がここでは排除されているのが特徴。単に曖昧なだけではなくて快い時間の流れ(曲の絶対的テンポではなく、描き出す情感におけるもの)があって、独り善がりを感じない見事な「絵」として成立してるのが毎度いいですね。郊外の青暗い午前早くの景色が一発で目に浮かぶ。手法の端々にジャーマンロックの香りがムンムンするのも個人的にゃツボです。リミキサー陣はQ-UNIQUE、KIT CLAYTON、竹村延和の三組で、いずれもダウンビート、ダビー&アブストラクトな仕上げ(竹村氏だけ途中からいつものトイロニカ路線に暴走しますが)。一応もとは全部同じ曲で分量も控え目と、ファン向けのニオイが強い一枚ではありますが、片手間のようで濃厚な充実盤かと。中古で見たら買い。

  8月29日
収穫はなし。特に説明できるポリシーもなくスケジュール帳は使わない派なんですが、今日遂に「バンドの練習があるのに家帰って飯食ってた」という数年振りの失態。そこからまた帰宅して風呂入って出て、うっかり内Pなんか見てるうちにヤフオクに入札中のスピッツ名古屋公演のチケットが高値更新されてそのまま落札されてしまったりする昨今です。そのうち山に篭るのは確実。

【只今のBGM:スピッツ「正夢」】


ということでスピッツ。カップリング目当てにシングルも一応買いますがそのうちどうせ「花鳥風月」や「色色衣」みたいな親切コンパイル盤が出ることも判ってます。なので見当違いな方向から徹底レビュー。まずさすがベストヒット邦楽最前線バンド、装丁が未見のもの。長方形(14cm×12.5cmの標準的なサイズ)の上下が空いた紙のスリップケースの中に、デジパックでよく厚紙に接着されている透明トレイ部分だけのようなものが入っていて、中途半端に小さい二つ折りのブックレットも封入してあるというスタイルです。このトレイ部を段ボール等で代用すれば自主制作CDの手製パッケージにも使えそう。堅牢性はゼロですが。
 内容の方、アルバムに先駆けてカットされていたタイトル曲"正夢"は以前から申し上げているとおり、何となく妥協を感じる出来だと思ってます。(以下調号は全て省略、ラ・シ・レ・ミには♭を補足のこと)ラシドレミファとゆっくり単調に上ってミに少し折り返す大山のリピートとなるAメロ、ファ→シ、ミ→ラ…と続く小下降線の平行シフトで最後は基音のラに綺麗に着地するBメロまでは、余裕のマサムネ節そのものなのに、サビにきて3回も同じ最高音シ(ドミラからつながるのも毎回一緒)をノックしてきて、天井に頭がつっかえたような伸びの悪さが歯がゆいというかスピッツらしくない。スピッツの醍醐味といえば例えば"ロビンソン"のサビであります。(以下ド・ファ・ソに♯を補足のこと)ファラレファファソラソ、ソドシ(ミ♯の代替)ソソラシラ、とアップダウンの大きい谷→山フレーズの平行シフト(更にそれでファ・ソ・ソ・ラというなだらかな上り坂を作っている)ののち、予測通りだが予想外の最高音ドまでファルセットで突き破る快感こそ、天才マサムネの偉業でしょうが。誰でも自己投影しやすそうなシチュエーションを詠んだ歌詞もこれまでに増して他人事感が強い。品行方正でタイアップしやすそうな雰囲気のシングル曲を期日つきで要求されでもしたのかと思ってしまう。実際あり得る話ですわな。
 カップリングの"リコリス"は昔取ったギターポップ的小品で、インドア青年風の翳ったトーンで歌うヴォーカル、抽象的なイメージを羅列したような歌詞(毒はないが)も含めて「オーロラ」〜「惑星のかけら」の空気を少しだけ思い出す。しかしあくまで小品といった感じ。いや、普通にアルバムにこういうの入れてくれたら点数上がるのに。Aメジャーのキーに対してド♯をダメ押しするサビがアルバム(「スーベニア」)収録"恋のはじまり"のAメロと被るという判断か。可哀相にエンディングに手をかけてもらえずサッサとフェイドアウトさせられているあたりも「ボツった」感が漂う。
 というわけでファンサイトじゃ絶対読めなそうな気持ち悪いレビューにしてみました。本人見たら嫌だろうな。

  8月28日
▼あり得ん、VOIVODのピギー(g.)死亡。享年45歳、死因は大腸癌。黙祷を捧ぐ。

 

 

【本日のレビューその1:VOIVOD「KILLING TECHNOLOGY」】


BASTROやDON CABALLEROにも確実に影響大の、メタル界きってのラインアウト気味怪バンドVOIVOD。バンド名は古い伝説の人食い戦士の名前から取ったそうです。そうした意味は特になく、ただ響きが好きだったからだとか。KING CRIMSONやPINK FLOYDなどのプログレッシヴ・ロックを聴いて育ち(メンバーの一番好きなプログレバンドはVAN DER GRAAF GENERATORだそう)、MOTORHEADのようなヘヴィメタルやその他パンク/ハードコアに影響を受け、84年にドロップしたデビュー作「WAR AND PAIN」はそれらの要素がゴッタゴタに散らかりながら強烈にユニークな宇宙体系をもった作品でありました。社会をリアリスティックに見つめる問題意識をSF的切り口で語った歌詞世界(主にコンセプトはドラマーのアウェイが握る)と破壊的な不協和音を効かせたギターワークをトレードマークとして進化を続け、その後どんどん顕在化していくプログレ色がやっと表立って噴出し始めたのがこの3rd。絶叫一本だったヴォーカルが少々間抜けながらも音程を取るようになり(結局どんどん間抜けをフィーチャーしていく方向になっていったのだが)、爆撃2ビートからスローダウンして変拍子や変則展開も大幅導入、ギターの響きもより奇怪なものになって、それこそVDGGの変態サイドをスラッシュメタル仕立てにしたような唯一無二の音楽性を誇る内容となりました。当時テクニカル・スラッシュと言われたバンドの大半はその手法がフュージョン的であったり、クラシック的であったりと、メタルともともと親和性の高いところを選んでいたのに対し、VOIVODのやり方は真に特異であっただけでなく「メタルをテクニカルにしてみる実験」といったスタンスが全く窺われず、己の世界観を実像化するためだけに影響源となった音楽を再構築して吐き出してみせるという、圧倒的な必然性が感じられるものでした。この頃はまだ随分荒々しいながらも、ここからどこに飛び跳ねていくか判らないというポテンシャルを確実に覗かせてリリースは続く。

【本日のレビューその2:VOIVOD「NOTHINGFACE」】


変な熟成がいよいよ決定的になったのが89年のこの5th。なんとメジャーのMCAとのディールを獲得しています。ヴォーカルは完全にガナリをやめた間抜けクリーン声(無理に例えるなら普通に歌ってるときの大槻ケンヂのような雰囲気。直接的に似てるわけではありません)に徹し、楽曲は寝起きのNOMEANSNOが記憶だけを頼りにクリムゾンの"太陽と戦慄"を演奏しているような異様で突飛なものだらけ。中高域で動くラインをスティーヴ・ハウ(YES)よりも自由に繰り出すバッキングギターのヴォイシングや、その他全般に漂うタイミング感なんかも含めて妙に「引いた間」のあるアンサンブルで、メタルと呼べる要素はもはやギターの歪みとドラムのツーバス以外ないくらい。基地外どころか地球外を感じさせる追随不可の域に届いてしまいました。変拍子と変ギターをフィーチャーしたプログレ以降のロックアルバムとしてはこの時点で最も奇異かつ音楽的なものであったはず。PITCHBLENDEもTODAY IS THE DAYもここからの血を引いてます。スラッシュメタルがロック史に産み落としたモニュメンタルな冒険作として広く記憶されるべき金字塔中の金字塔。

【本日のレビューその3:VOIVOD「THE OUTER LIMITS」】


「FAITH NO MOREと一緒にツアーを廻って、ああいうストレートなスタイルでオーディエンスを沸かせるのもいいと思った」という理由で大幅ストレート化が断行されてファンをあっと言わせた前作「ANGEL RAT」に続く93年7th。ストレートといっても独特の変なヴォーカルやギターは飼い慣らされずに生き残り、結局直球のフリしてるところに変さを嗅ぎ取るといった聞き方になったのが前作でした。ここではその試行錯誤で実践した直球寄りのアプローチをキャリア相応の垢抜けとして活かしつつ、プログレッシヴなアウト感をもはや空気だけでしかと存在せしめることに成功、どうしようもなくVOIVODだがガッツリロッキンという予想外の上位次元に到達。一見の印象に反して芯が思いっきりねじれているという佇まいはSLAPP HAPPYやPINK FLOYD(それこそ本作には"The Nile Song"のカヴァーが収録されている)とも並ぶもの。そして中盤以降続々と現れる、昔とった杵柄的変拍子・変則展開系チューンがまたしたたかな出来で、RED HOT CHILI PEPPERSの「CALIFORNIFICATION」やFUGAZI「ARGUMENT」あたりとも同質の「奥ゆかしき攻めモード」が漂う。味覚の積み上げがないと噛み分けられない珍味みたいな微妙さがなくもないものの、個人的にはこれを最高作と推したい。なおこの時点でベースのブラッキーが脱退しており、レコーディングではギターのピギーが代わりに全て弾いているとのこと。

 その後名物シンガーだったスネイクの脱退、ベース兼ヴォーカルのエリック・フォレストの加入と脱退(途中脳腫瘍治療のための一時リタイア期間を含む)を経て、スネイクが出戻っての新作を一昨年リリースし、今夏には新作のデモを録り終えていたとのことでした。長年に渡って孤高で不変のギターワークを聴かせてきてまだまだ現役の勢いがあったピギー(本名デニス・ダムール)の死は、VOIVODをとりまく全てのバンドおよびファンにとって大きな痛手であります。冥福を祈るとともに、彼の遺した仕事が後々まで、愛あるリスナー達によって尊敬され続けていくことを願って止みませんです。

  8月27日
本日の収穫、P-CAN FUDGEにてJOE JACKSON「NIGHT AND DAY」(82年)、DR. FEELGOOD「MALPRACTICE」(75年)、MALEVOLENT CREATION「THE TEN COMMANDMENTS」(91年)、スピッツ「正夢」(シングル)、AHMAD JAMAL「THE AWAKENING」(70年IMPULSE!)。英キーボードプログレの大名盤として名高いENGLANDの「GARDEN SHED」も見つけたから試聴したけど、あ〜YES+STEELY DANだなと思ってヤメ。一方MALEVOLENT CREATIONの1stはOBITUARYとVIO-LENCEの中間のようなよくあるMORRISOUNDサウンドだったわけですがこちらは試聴もせず即買い。大規模な売りCD裁判を何度もやってるせいなのか、感受性がデフラグされてきた心地がしてます。節約になるので助かる。

【只今のBGM:AHMAD JAMAL「THE AWAKENING」】


ヒップホップのサンプルネタに頻用されるなど、かなりの勢いで「いわゆる名盤」の類の作品なようです。70年IMPULSE!リリース。ハンコック"処女航海"を思わす控えめラテンビート+モードなパートとスウィンギーに和むパートが交錯する、"On Green Dolphin Street"式展開の表題曲からツカミは強力。ポスト・モード、ポスト・フリー、スピリチュアル全盛というタイミングにあって、音楽的には美しくまとまり、舌の回りはしこたま自由で鋭く無駄がない。消耗しきらない程度の緊張感が心地よく、全編に流れる涼やかな美的感覚はえも言われん何かを目にするような絶対的な強度のもの。テーマらしきテーマもあるかないかといったアブストラクトな絵心でもって、理知派ピアノトリオのネクストステップ(当時)を提唱するような仕上がりになっています。未だにほぼこのフォーマットで通してる現代ジャズメンも多いんじゃないでしょうか。そういうまだ風化してないパラダイムを持っている気がします。ジャズ体験志願の方は「ジャズとはすなわちテーマとアドリブと3連かあ」などと合ってるようで心の狭い認識を刷り込んでしまう歴史教育的な「いわゆる入門盤」じゃなくて、こういうところから取っ掛かってみた方が後々面白いかも。コアなリスナーには勿論たまらん至宝であるはずです。

  8月26日
▼珍しくスケジュール盛り沢山でスキのない一日を送れてしまいました。朝はバンドの練習をし、昼にアップルストアでZAZEN BOYSの無料ライブを見る。登場するなり「ナッゴヤ!アイポッド!G4!」と連呼して広告塔の役目をきっちり果たす向井氏。聴いたポジションの悪さで演奏内容は7割分くらいしかキャッチできてませんでしたが、それでも充分凄かった。音源でビシバシとフィーチャーされているコンプ感が生演奏ということで消えて、SHELLACとかにかなり近い感触になってて、しかし「ヨッパライ」や「祭り」といった日本独特のヴァイブレーションをソウルミュージックに転化したような向井氏の獰猛かつ不敵な噛み付きぶりは真にオリジナル。変拍子のトリックも他で聴いたことのないネタばかりで感心しきりでした。いろんな曲で放送事故寸前の変則ロング・ブレイクを多用するのですが、再開直前に掛け声を出したりして分かりやすく帳尻合わせをしてて、そのへんのストイックさに関しては54-71が勝るか。にしてもこんな変態な音楽をやってても満足に食える時代になったのかと、詰め掛けた客(総じて若い)の黒山を見て思う。

▼その後は自分が久々のライブ出演でした。ドイモイとして出るはずがメンバーの都合でかなわず、来れなかったシンガー二村以外の2人による別ユニット・PIGEONSと、私一人(といってもギターの篠田君に手伝ってもらいましたが)のCEOとの二本立てで臨むことに。他の出演バンドは大抵知り合い同士だったようで、我々はといえば殆ど内輪イベントに招かれたゲストのような状態でしかも出順が最後だったにも関わらず、かなり温かい反応でCDも買ってもらえて上々な結果となりました。ドン引き覚悟だっただけに喜びひとしお。有り難や。

 共演者の中では、来日バンドの前座などを散々務めているTHE ACT WE ACTがやはり別格の感。二十歳過ぎとかで上手いし凄いっすね〜と話したら謙遜されてしまいましたが、騙しなしの気合が乱反射するような(また変な言い方ですが)、音楽性とビッタリ噛み合った表現のやりようが、回を重ねて目撃するごとに見事になってる気がするんですな。ステージに上がってみてはいるもののアンタら何やりたいのか全然わかんねーよというバンドが外タレにも平気でいたりする中、特異な音楽性でも「ウン、それか」と一発で納得させるってのはやっぱり偉業。あと速い2ビートってのはハードコアのユニフォームだと思ってるので、それをここぞというところで見せてくれると愛を感じて泣けます。褒め殺すつもりもなく冷静に説明してこの通り。たまたま名古屋で何度も見るからくどいくらい賞賛してしまってますが、SWING KIDSを毎日見ても多分毎日賞賛するしかないのと同じです。他にはトリオのギャルバンが本格デス声のコワモテ弱カオティック性ハードコアだったのが強く印象的でした。全体として出演バンド一同、それとなく互いに音楽的に感化されあっているようなフシが窺えて、こういう中からどんどん面白いバンドが表舞台に巣立っていけば良いことやな〜と思いながら見てました。ローカルでそうやって触発と洗練を積み上げてシーン全体が充実していくってのは理想ですわな。

▼CD屋に寄る暇もなく収穫はなし。昼間クソ暑かったな〜。

【只今のBGM:INCANTATION「DECIMATE CHRISTENDOM」】


ペンシルヴァニアの不気味いぶし銀デスメタルの大ヴェテラン、INCANTATIONの目下の最新作。今回も謎の臓物と粘膜でドログチャのアートワークは健在。以前紹介したものと音楽的には大差なし…というか全く変わらないですが、貫禄ひとつでつい聴き入ってしまいます。ブルータルデスにつきものの速い16分を微妙に刻めてない気がするギターのムチムチズルズルした響きがいつまで経っても変わらないのがいいですね。派手なキメや炸裂ブラストなど一瞬の現象にハッとさせるのではなく、「何だか知らないが顔がずっと恐い」みたいな不気味さが一定のテンションで漂い続けてるのがたまりません(勿論ブラストもいっぱい入りますが)。これぞ単なるスラッシュメタルの過剰進化型とは異なるデスメタル然とした腐臭腐汁。歌詞世界に関しても一貫して頑なにキリストを徹底否定し続けており、その姿勢はもはやマイク・ミューア(SUICIDAL TENDENCIES)がサイコ、サイコと口癖のように繰り返すのと同じ域。私が地味好きというのを差し引いてもカッコ良過ぎです。THE HAUNTEDが明石家さんまならこの人達は高倉健。買って惚れて下さい。

  8月24−25日
収穫はなし。余裕なし。昨日のネタ片方今日にとっとけば良かったなあ。と助詞抜かしまくりの日本語を書いたところで「人の心は言葉で出来てますから、言葉が荒れると心も荒れますよね」との文句を思い出す。齋藤教授。「言葉が荒れる」の内容を規定してもらいたい。エリントンがジョン・ライドンを「なっとらん」と怒りはしないでしょうに。

【只今のBGM:THE VAN PELT「SELF TITLED EP」】


テッド・レオの兄弟クリス率いるバンドのラストEP。クリス・レオは90年代前半にNATIVE NODというバンドでシーンに現れ、このVAN PELTを経て現ENONのトーコさんとTHE LAPSEを結成する人です。今何やってんでしょうね。このバンドはBOYS LIFEをもっとストレートで退廃的かつ泣き泣きにしたような、曖昧なコードストロークと凝ったリズムパターンで盛り上げるスタイルが身上。あとは何といっても線が細くて甲高いスポークンワードスタイルのヴォーカルが特徴的です。MODEST MOUSEあたりと並んでエモとはギリギリ呼べないようなラインでしょうか。激情に陥らず陰険にもならず無駄に煽りもせず、しかし尖った先端はしっかりこちらを向くという、独特のクールな構えがカッコイイ。このEPは全3曲と短いですが、あと2枚出ているフルアルバムの方も同様にグレイトですのでまずはそちらを。今聴いても古くなってる気がしないバンドです。

  8月23日
▼新党の命名にこぞって「新党」の語を使う愚かさよ。「新幹線」や「プログレッシヴ・ロック」の教訓から何故学ばない。

▼「数パーセント」を「スーパー銭湯」と完全に聞き違えられて3・4ターンくらい会話が停止して困った。口頭のカジュアルなコミュニケーションで数パーセントとか言うなっちゅう話かね。

▼余計な話が多い本日の収穫はサウンドベイ上前津にてYO LA TENGO「DANELECTRO」(6曲入りEP)、DIRECTIONS IN MUSIC「DIRECTIONS IN MUSIC」(96年THRILL JOCKEY、ダグ・シャリン&バンディ・K・ブラウン)。

【只今のBGM:CHRIS SPEED「IFFY」】


いやーテンション高い。現代ニューヨークジャズシーンの一員としてデイヴ・ダグラスやジム・ブラックと共演したりTHE CLAUDIA QUINTET(最高)のメンバーだったりする傍らロン・セクスミスのバックでちょこっと吹いてたりもする、クラリネット/テナー奏者のクリス・スピードの、2000年KNITTING FACTORYリリースのリーダーアルバム。ドラムがベン・ペロウスキー、ベースは不在でジェイミー・サフト(ジョン・ゾーンやマーク・リボー他多数と共演)がオルガンというトリオです。モンク〜オーネット・コールマン風の奇怪ドタバタユニゾンもクレツマー/ジプシー/バルカン音楽のクロスする悲哀エスニズムも豪快にシャッフルしてしまったものを、コント的な勢いの良さであれこれドンドン繰り出してくる、あっさり激センスなグレイト・セッション集になってます。パンクな佇まいが正にジャケ(THE GET UP KIDSの2nd登場の彼に似てなくもない気が…)のイメージどおり。ある意味「真面目なFANTOMAS」との形容も可能。タメやカスレを完全にコントロールした酔拳のようなグルーヴでどこへでも飛び回るクラリネット/アルト、音量のアクセントがつかないのをいいことにブチ壊れまくるオルガン、知ったことかと喧嘩売りまくりつつ収まるときはやたら聞き分けのいいドラムと、各々よく映えるキャラ分担もナイス。「いかに破綻をコントロールするか」に腐心せずその場その場の描写を味わい深くやってるのが今世紀型ですな。名盤の域、ロッカーにもお勧め。

  8月22日
本日の収穫、サウンドベイ金山にて渇望盤の数々をピンポイントにて発見!THE BOOM「ANY DAY OF THE NIGHT」(SLOWDIME激レア盤!フレッド・アースキンほかHOOVER人脈大集結)、THE MYSTICK KREWE OF CLEARLIGHT「THE MYSTICK KREWE OF CLEARLIGHT」(EYEHATEGODやCROWBARなどの元メンバー在籍!)、JOCHEN BLADES「OSMOTIC JAZZ」(YVP)、CHRIS SPEED「IFFY」(KNITTING FACTORY)、アマゾンマーケットプレイスにてVAN PELT「SELF TITLED EP」(ex.NATIVE NOD、pre-THE LAPSE!テッド・レオの兄弟クリスのバンド)。サウンドベイは秋のバーゲンが9月23日(祝)〜25日(日)にあるそうですよ。

【只今のBGM:THE BOOM「ANY DAY OF THE NIGHT」】


ex.HOOVER〜JUNE OF 44他のフレッド・アースキンを中心とする管楽器大フィーチャーの激シブファンクユニット!この2ndはジョシュ大先生+クリス・ファラル+スチュアート・フレッチャーのTHE SORTS三人、カルロ・セナモ(HIM他)、ジュアン・カレーラ(THE WARMERS他!!)といったHOOVER一派の最重要人物が一同に会してまして、そのパーソネルだけで充分死ねる。内容はもう全編インストに絞ってどファンキーに裏DC節を炸裂させてます!ラテンやダブの香りもまといながらTHE SORTS、HIM、JUST A FIREの中間点を突いたダンディ&ストイックなポストコア・ジャムを大展開。暴れまくるトランペットとアルトサックスのキケンな絡みがたまらん。個人的にはジョシュア・ラルー大先生のサイドマンっぷりもクローズアップしたいわけですが、ワウやフェイザーをいつも通り駆使してスリリングなウネリを加えていらっしゃいます素晴らしい。全体のまとまり具合はマジもんのジャズと比べても全く見劣りしないほどタイト…とはいかないが、アンサンブルの端々までかなり緻密に気が配られたアレンジになっていて、表現せんとするところはビシバシ聴き手に向かって飛んで来ます。しかしこの盤、こうやって紹介したところで入手は相当困難になっているのが残念。中古で発見の際はくれぐれも拾いこぼしのなきよう。何故か横ラベルの表記が「THE BOOMLIKE」となっているので注意!!

  8月21日
収穫はなし。早起きと居眠り、食事と間食、小雨と突風、録音と練習、暇人と社会人、黒胡麻バナナジュースとQQ、きな粉と爪垢(で粉チーズ)。何とでも言い切ってみるテストでした。

【本日のレビューその1:DAZZLING KILLMEN「RECUERDA」】


往年のSKING GRAFT極悪バンドの、7"やカセットのみでリリースされていたレア音源盛り合わせ盤。相変わらずワルいです。音楽性に関しては1stフルとそう差異はないのでそちらののレビューを参照のこと。こちらはその1stより前に出ていた音源ばかり(SKIN GRAFTのリリース番号01だったシングルも含む)のようで、プログレッシヴ度は少々抑え目ながら、まだ絶叫変拍子ハードコアが型として煮詰まってない頃の極太な気迫が圧倒的。ノイズとデスメタルの臭いをドップリ吸い込んでハードコアマナーで刻むリフのシブさったらないですね。途中ちょっと生っぽい録音のも入ってるなーと思ったら曲の終わりに歓声が入ってきて驚愕、すなわちライヴレコーディング!そうとは信じ難い猛烈タイトなアンサンブル。エクストリームな音楽たるものエクストリームなパワーを持つものであるという当然の原理を眼前どアップで突き付けられる演奏です。解散後メンバーは散り散りに活動を継続し、COLOSSAMITE(現THE FLYING LUTTENBACHERSのエド・ロドリゲス在籍)やYONA-KIT(ジム・オルーク、K.K.Null、シム・ジョーンズがメンバー)などSKIN GRAFTの主要脈に発展。そういうところも含めて真のグレイト・バンドでしたな。

【本日のレビューその2:VADER「DE PROFUNDIS」】


デビュー作がEARACHEから出ていたポーランドのバンドの96年2nd。リリースされるや否やまたたく間に噂になり、各地の輸入盤専門店で軒並み好セールスを記録した強力デスラッシュの金字塔であります。その後たった5年でカヴァーEP「FUTURE OF THE PAST」と抱き合わせのリマスターが出てしまったほど(私所有の盤はそれ)。さて内容、チューニングはDにとどめ、ズルズルとした重さ・醜悪さよりもスラッシーな駆動力に全てを捧げた疾走スタイル(とはいってもブラストはさほど目立たない、炸裂するときは凄い)で全編統一。リフや曲展開から漂ってくるのはSLAYERやKREATORといった80年代の先人バンドの香りでありながら、MORBID ANGELのようなドッシリした威厳も備える。尋常でない演奏のキレがとにかく当時のコアなマニア達の心をキャッチしたものです。リフの鋭さも凄いですが特にドラマーのドクは、飛び道具的手数があるわけではないが純・正統派かつパワーのあるスタイルで、デスメタル界のスタープレイヤーの一人として同時期にブレイクしたCRYPTOPSYのフロ・モーニエと共に一躍名を上げました。しかしドクの抱えるドラッグ問題でバンドは何度か存続の危機に立たされることになり、最近になって遂に脱退してしまったそうですが、その彼が死亡したとのニュースが…享年35歳。雑誌などを通してとはいえ成功と活躍を目の当たりにしてきただけに結構ショックです。ミュージシャンの死は故人の遺した作品を取り出して聴くのが何よりの弔いです、どれか1枚でも持ってるという方は今夜聴いて下さい。

  8月20日
収穫はなし。犬は全面的にカワイイですが、何かを判断しようとしている犬は特にたまらん。今日のMVP犬はといいますと昼間に飼い主と川原を川ぞいに散歩していた色の薄い日本犬でして、水の浅いところがあったら入って歩きたいのか、何度となく水際を覗き込むのだけど、腰の引け気味な姿勢で4・5秒悩んだ末どうも納得のいかない深さと判断したようで、その場は諦めて数歩進んでまた同じことの繰り返し。ちょっとイヌチャン、そこはもうあと20mくらい先までずっと同じ深さが続いてるよ、とよっぽど声を掛けてあげたいのをこらえて見守っていると、いきなり浅くも何ともないところでザブザブ入水してしまった。といっても川底に脚をつけて立って腹がギリギリ水面に浸かる程度で全然歩行に問題はなく、あっちこっちに注意をひかれながら断続的に進んで、彼は夏の川遊びをエンジョイしていたようでした。あーかわいい犬はカワイイなあ。オチはないなあ。

【只今のBGM:CARBONIZED「SCREAMING MACHINES」】


驚愕の2ndでその存在を知って以来コンプリートする気で探し求めてました。1stはジャケ差し替えのリマスターしか見つからず何だかなあという感じで見送っていて、この3rdも半ば諦めていたら先日あっさりDISK HEAVENのスラッシュメタルコーナーで売れ残っている新品を発見。そそるジャケ。後になってバイオを調べたところTHERIONの中心人物クリストファー・ジョンソンがギターで在籍するほか残りの二人もTHERIONに関わったことのある人物だそうで、ベースはENTOMBEDにも在籍していたとか。内容はド変態だった2nd(詳細は是非上の青字リンクから辿った先のレビューを一読下さい)より随分丸くなり、ゴシック的な要素をまぶしたVOIVODといった雰囲気。前作ではブラストも交えてもっとオリジナルな屈折っぷりだったのに今回はかなりVOIVODの再現に徹してる感じがするのが残念無念。まあしかし当然なりきらない部分や踏み外す部分もあるわけで、そのへんに独自のサイケ〜オルタナ解釈が現れたりもしてます。時々GONGやら後期STORMY SIXやら同然になってしまったりBLACK FLAGが匂ってきたりと油断は出来ません。プログレ雑誌「ユーロロックプレス」では既にこういう逸脱したメタルを括ってトリップメタルと称したりしておりますが、ここはひとつもっと広汎に、アウト・ジャズに倣ってアウト・メタルと呼びたい。カテゴリとして認知されて聞く側/やる側ともに盛り上がっていけばFILE-13やLOAD、5 RUE CHRISTINEあたりともリンクしてかなり強力なウネリになっていくこと間違いなしなんですがなあ。MAKE BELIEVEやTHE FLYING LUTTENBACHERSのファンに敢えて勧めたい。メタル専門店行かないと買えませんが…

  8月19日
本日の収穫、バナナレコード・パルコ店にてNAD NAVILLUS「IRON NIGHT」、V.A.「BURN TO SHINE- WASHINGTON DC 01.14.2004」(DVD)。人生で3度目、収まりかけの火事を見た。非常事態ということで血はいささか騒ぐし、立ち止まって見たくもなるけど、CDの山脈に囲まれた自室に重ねて思うといたたまれない心地がするようになった近頃であります。

【只今のBGM:NAD NAVILLUS「IRON NIGHT」】


ジュリー・ドワロンなどを出しているJAGJAGUWARからリリースのアコースティックSSWフォークユニット2002年作。他の作品も何枚か既に持ってたんですが、中心人物ダン・サリヴァン(Dan Sullivan)の名前の逆綴りだと今日気付きました。ということで基本的にはアコギ弾き語りの男一人にサポートでバンドがついているといった体裁。フォークプログレともスローコアともつかないシリアスタッチながら、田舎の住まいを思わせる木や土の感触も持った、JAGJAGUWAR的にはど真ん中なスタイルですな。DRUNKやWOODEN STARS、IDAHO、最近のLOWあたりにも似る。ポストロック的硬質アンサンブルで頑張る曲も紛れ込んでていきなり燃えたりします。ギターの指弾きアルペジオがバカ上手い上、ブラシワーク中心のドラムや結構全編に渡って登場するチェロなどの添え物類が実に好サポートをしていて、音響作品として聴いても素晴らしい。厭世的な囁きでなく60年代風にねっちりハッキリ歌い上げてみせるヴォーカルがこの手にしては少々珍しいか。聴き進むにつれボンヤリとRED HOUSE PAINTERSの影が見えてきた気がします、やっぱ偉大だったのですね。しかし圧倒的に自分の声をもった歌い手でありますこの人も。センスと気力と誠意が100%ストレートで詰まった充実盤。おすすめです。

  8月18日
本日の収穫、アマゾンマーケットプレイスにて購入のCOMECON「CONVERGING CONSPIRACIES」(現ENTOMBEDのLGペトロフが在籍していたこともあったバンド、93年作)、普通にアマゾンの新品でILIUM「PLEXIGLASS CUBE」、VIO-LENCE「ETERNAL NIGHTMARE」(1st再発!!)、御器所ホーリーハウスにてMINDFUNK「MINDFUNK」(ex.UNIFORM CHOICE、M.O.D.、CELTIC FROST!)、同ディスクヘヴンにてCARBONIZED「SCREAMING MACHINES」(3rd!!!)。

【只今のBGM:ILIUM「PLEXIGLASS CUBE」】


シュール系インストポストロックではKENNY PROCESS TEAMと並んで最高峰だと思っているILIUMの最初のEP。何とHEFTYのリリース第一号なんですね。メンバーにジェイムズ・ヒューズというのがいるけどこれってもしかしてHEFTYオーナーのジョン・ヒューズ(a.k.a.SLICKER)の親類なのか。さておきこのEP、98年リリースでボブ・ウェストン録音という品でして、こちらの集中力を煙に巻くようなリズムチェンジと和むようで屈折しきりなパッセージの数々が光っていた次作「PAINT BY NUMBER」に比べると、ただのシカゴくさいPELEかぁ〜…ってな感じもあります。というかDIANOGAHやC-CLAMPあたりとリンクしまくりです。あくまでクリーントーンを死守するギターの、ニュアンスでなくフレーズ自体によってのみ抑揚を表現するストイックなスタイルは既に健在。虫のようにテケテケと動き回るベースラインと脱臼変速が印象的な4曲目だけは次作路線を示唆する変態チューン。アイディアは持て余しているがタイム感のないドラムには個人的にシンパシーを感じざるを得ません(泣)。こういうスタイルって方法論としてはもう終わってるものだけど、そのオリジンとしてマニアの間で語り継がれていくべき盤かと思います。興味をもった方はしかし次の「PAINT BY NUMBER」から先に試してみて下さい。

  8月17日
本日の収穫、ナディアパーク内ヤマギワソフト中古コーナーにてWARRANT「CHERRY PIE」(210円!)、PHLEGETHON「FRESCO LUNGS」(315円)。新品コーナーで売れずにずっと居座っていたコアな輸入盤たちがいつの間にかゴッソリ姿を消してました…KILLDOZERもCOSMIC JOKERSも全部。品行方正・無味無臭・総国内盤・穴盤皆無・最早無用のCD屋に成り下がるというのか。お前。MAGMAの「RETROSPECTIW I-II」および同「III」やBARKMARKET諸作を新品格安で入手したのは幻だったのか?見る影がないぜ、なあ。ということでもうあそこは中古コーナーにしか用がなくなりました。相変わらず新入荷ワゴンの中身(大抵クソ安い)がホイホイと急回転するので不当暴落盤発掘マニアや転売さんは侮れませんよ。DARKTHRONEの大名盤「TRANSILVANIAN HUNGER」のスリップケース入りリイシューを300円でゲットしたこともあります。

【本日のレビューその1:WARRANT「CHERRY PIE」】


「いけないチェリーパイ」の邦題で有名な90年作。今これを大音量でブッ放して騒がない理由があるのか??BRANDTSONと何も違わないじゃないか!ブリッジミュートで8分のダウンを刻むビッグなリフ、スタジアムの音響を再現したビッグなドラムサウンド、そんなに高くなくてもいいハイトーンで熱く叫び上げるヴォーカル、血が騒ぎませんかね〜。LAメタルがロックンロールの優秀ないち最終到達形態であることに誰も異論のない世の中に早くならないかと思い続けておりますがなかなかです。気取って80年代のロックTシャツ、着るだけじゃ駄目なのよと。アツイものにアツイねと共鳴できる感性さえあれば(暑苦しいねとなってしまう御仁は仕方がないですが…)パラダイスのBGMは210円で手に入る時代なわけです。さてこのWARRANTという個体はといいますと、売れるスタイルを思いっきり打算でやってたバンドでして、DOKKEN、WINGER、DAMN YANKEESなど他の人気バンドの美味しいとこ取りしてるのが丸見え(当人達自身が公言すらしている)なんですが、ってことは間違いのない即効性ケミカルなわけです。STONE TEMPLE PILOTSと同じ。この手の音楽は頭を空にして聴くのが鉄則であるからして「死すべし味の素」的大義の振りかざしはもとよりナンセンス。アメリカンなブルーズフィーリングから胸キュンメロまで、極上の調理見本が並ぶショウケース・アルバムであります。

【本日のレビューその2:PHLEGETHON「FRESCO LUNGS」】


昔からよくメタル棚で叩き売られているのを見かけていた謎の盤。何やら意味深なジャケ(階段型ピラミッドに向かって頭を垂れる老人)と一見して読めないバンド名がずっと気になっていたのですが、この度210円にて発見ということで遂に買ってしまいました。93〜4年頃のうだつの上がらんドゥームメタルだろうと思っていたら、これが意外と学術的考察に耐え得る内容。録音は91年で、バンドはフィンランド。本格ドゥーミーなスロウパートとデスメタル然とした炸裂ツービートが半々くらいの割合で混在し、シンセやノ−マル声ヴォーカルをまぶしたユーロスラッシュ趣味(というかCELTIC FROSTの影響)も結構おおっぴら。やたらロッキンなギターフレーズも平然と出てくるあたり、いかにも北欧デスらしいミクスチャー感覚が現れてて興味深い。91年にしてここまで重長広大アーティスティックな世界観に挑んでいたというのは実はかなり大したもんだったのではないか?たまたま後のリリースが続かなかったから単発ゴミ扱いを受けているものの、極初期のTHERIONやAMORPHISもこれと似たようなもんだったということを思えば、化けようによっては化けてたかも知れない素材なのではと思います。ちなみに本編4曲の前に92年録音のボーナストラックが収録(アヴァンギャルドな順番だ)されており、そちらは何と咆哮声とディストーションギターのままで総人力トランス・デスにも挑戦!後にAMORPHISが名盤「TALES FROM THE THOUSAND LAKES」の一部で実践したのと全く同じ手法であります。これはトランスを大々的に導入して度肝を抜いた地元のエスニックサイケハードロックトリオ・KINGSTON WALLの影響に間違いないでしょう。思えばSENTENCEDの初期作もイカれてるしXYSMAは最高だし、90年代初頭のフィニッシュ・デスはヤバイのか。

  8月16日
収穫はなし。いきなりオクターブ調整とか言い出したのも(註:昨日分参照)、現在録音中の音源で、バッキングの左右をそれぞれ違うギター(レスポールとストラト)で入れてみたところ案の定ミョーンミョ〜ンと気持ち悪い天然コーラスがかかってしまったため。昨夜の頑張りで調整は一応何とかなったのですが、更に万全を期すために、レコーダーの空きトラックにあらかじめレスポールの開放弦だけを弾いたものを録っておいて、ストラトはそれに合わせてチューニングするというやり方を試してみたところ大成功でした。そもそもチューナーって奴がいつまでやってもどこでピッタリ合ってるのか全然はっきりしないから悪い。微妙に幅があるような気がするし、「さっきと同じ音弾いとんのに何でさっきと違う位置光っとんねん!?」てなときもあるし。真に唯一のジャストミート・ポイントに来たときだけピコーン!と派手に旗でも上がるような気持ちのいいチューナーを誰か作ってくれないか。既に成熟市場入りしているようにも見えるけど「スカッとするチューナー」は「薄いティッシュボックス」ばりに新しい需要を喚起すると思うんだがなあ。

【只今のBGM:JOE JACKSON「JUMPIN' JIVE」】


ビートパンクの人ジョー・ジャクソンによる全編ジャイヴ・アルバム!バック演奏もすっかりビッグバンドスタイルでヤンヤヤンヤと盛り上がってます。曲は40年代のスタンダードばかりだとか。本人による短いライナーがついてて、曰く「親父の時代はジャズはヤクザな音楽で、カーネギーホールじゃなく売春宿で演奏されていた」と。同じく不良のパンクロックをスーツ着用で歌う彼がジャイヴをやるってのは確かにハマリ過ぎな企画ですね。敢えて声色を変えることもなく、持ち前のワルっぷりがそのまま板についていい感じ。何つーか殆どSTRAY CATSを聴いてる感覚です。いい出来だけど誰が聴く盤なんだろうという疑問はある。若い衆よジャズって全然下品でノリノリな音楽なんだぜというのを提示したくてこれをやったのだとしたら、やっぱ若い衆ですかね。ジャズは気になるがいきなり50年代とか無理だしエゴラッピンみたいな気取った感じは御免、ってな人がいたら迷わず買ったらいいです。

  8月15日
収穫はなし。今日の趣味はオクターブ調整でした。そういや昨日かその前か、4月8日の日記に登場の女がまた違う場所で声掛けて来て、すぐに同一人物であることに気付いたから食い下がられそうになっても一瞥もくれずにスルーしてきたんですが、アンタプロのくせにあれだけ惨敗しといてよく人の顔忘れるよなー?とまたイジメ倒して来りゃ良かったとも思う。

【只今のBGM:GENTLE GIANT「INTERVIEW」】


いわゆる「5大バンド」に次ぐポジションにいて、テクニカル系指向のマニアから今なお愛され続ける、ブリティッシュプログレの良心GENTLE GIANTの76年作。KANSASやBUGGLESかと思う後年の作品に比べればまだそれほど日和ってはいないものの、緻密極まりない変態アンサンブルの中にユーモアとポップセンスが光る。GENESISでいうと「A TRICK OF THE TAIL」くらいの感じです。これはたまらん。レゲエ+フュージョンソウル+ニューエイジ×激変拍子の2曲目なんぞ一歩間違えばMAKE BELIEVEのようではないか。4th「OCTOPUS」から前作「FREE HAND」あたりまでの流れが一般的には最盛期とされてるようですが、クラシックやハードロックの香りが殆ど抜けてひたすら素っ頓狂&アヴァンギャルドに跳ね回る本作(特に前半)こそ非プログレッシャーには聴きやすいのでは。ヴォーカルがこの頃のイギリスによくいたうわずり系のオヤジハイトーンなのが、思い入れのない人にとっては少々ネックか。まあしかし妄想ドップリじゃなくやたら人肌の熱を感じさせるあたり、大手有名どころよりかしこまらずに手を出せるという気もします。あり得ん想像ですがLOS LOBOSがプログレバンドになりきったとしたらこうなりそう。こんなに冷静で達観したバンドだったかな〜と今やたら衝撃受けてます。

  8月14日
収穫はなし。静岡に就職した大学のサークルの先輩がいるバンドFLEXEYEがこっちでライブをやるというので参戦。名古屋のDEPRESSION RECORDS主催の「THRASH WAR! vol.3」というイベントでした。タイトル通りスラッシュ寄りの人達ばっかり出てくるかと思ったらそんなこともなく。目当てで行ったFLEXEYEもパワーコードゴリ押しの潔い伝統的ショートカットハードコア。フロントで絶叫する3人のシンガーのうち一人が女性で、頑張ってヒョギャ〜とそれっぽい声を出してたんですが、後で聞けば何と女子高生だったそうでビックリ。他のバンドは基本的に曲間もハウらせっぱなしで「今晩は○○から来ました×××です」みたいなMCを一切取らなかったので何番目が誰だったか一切不明。しかしラストに登場した豊田のTHE ACT WE ACTはやっぱり卓越してました。音楽的にもあとの5バンドとは全然違う屈折性を持ってるので単純比較は出来ませんが、まず演奏が上手いし、「ほどよさ」をわきまえて振り切れるときは思い切り振り切れるという押し引きのセンスに秀でてて抜群に聴きやすい。他のバンド目当てで来ていたと思しき客もスッカリ見入ってしまっていたようでした。

 いやーしかしこういう、なまじ気合の入ったインディハードコアイベントに行くと雰囲気が恐いっす(実際キケンなことは何もないんですけど)。なんか皆知り合いっぽいし。フロアの一角に収まってしまえば勝ちなんですが、物々しいバンドTの袖からタトゥー覗かせてダルそうにしゃがんでタバコ吸う開場待ちのあんちゃん達の前をすり抜けて受け付けに辿り着くまでの数メートルがもうサファリパークを丸腰で歩くかのようで…。あれが全部ANNIHILATORやVICIOUS RUMORSのTシャツ(L)とスニーカーの長髪メタラーだったら余裕なのに。DARKTHRONE着てきたの場違いだったかなとか無駄にビクビクしっぱなしでした。

【本日のレビューその1:HOLY MOSES「FINISHED WITH THE DOGS」】


女性ヴォーカルのスラッシュコア(というかスラッシュ)で思い出すのはこれしかないっす。ジャーマンスラッシュの第二世代くらいで、ひときわ硬派な音楽性とサバイナ・クラッセンの狂気に満ちたダミ声で注目を集めた名バンドHOLY MOSESの、ウリ・カッシュ(Ds./pre-GAMMA RAY、HELLOWEEN)が在籍していた87年2nd。MESHUGGAHのフレドリック・トーデンタルも「HOLY MOSESはこれが一番」と言うらしい。METALLICAのブラックアルバムの余波でこのへんの人達が軒並みスローダウンしかける時期の作品になるとちょっとメタル然としたまどろっこしい仰々しさが目立つようになるんですが、この頃はS.O.D.以降のクロスオーヴァーテイストも臭わせる(単純に軽めで簡素なプロダクションのせいでそう思うのかも知れないが)スッパスッパと切れのよいスタイル。ビタッと整った演奏でタカタカタカタカとスッ飛ばすツーバスの強引なドライヴ感と、そこに乗ってギリギリの地獄ヴォーカルを炸裂させるサバイナ嬢の気迫の凄まじいこと。たまに入る兄アンディの鋭い雄叫びもカッコイイ。ちなみにこの後の作品ではだんだんアンディの歌う比率が増していきます。ほぼ完全に彼が歌っている解散前ラスト作「NO MATTER WHAT'S THE CAUSE」はダン・リルカ(BRUTAL TRUTH)全面参加の骨太グラインドアルバムになっていてこれまた最高にクール。古めの作品はもう流通が厳しいようなので中古で見つけたら即購入しかないです。

【本日のレビューその2:BRANDTSON「SEND US A SIGNAL」】


先月のCOPELAND名古屋公演のときにちゃんと見て結構良かったので買ってしまった最新作。エド・ローズがプロデュースでリリースはMILITIA GROUPということで溌剌としたリズムとド直球叙情メロ満載のエモエモ〜な内容になってます。文系モテナイボーイ風の歌い回しがホントにいかにもで、もはやSUM41とかと殆ど紙一重の域。これがしかしメロディックパンクの上着を羽織ったBON JOVIやSURVIVORに聞こえてなりません。こんなに胸キュンラッシュの作りでいいのか?とたじろぐほど豪勢な超甘口。今も昔もアメリカのティーンズはこういうのが好きなのか結局。CDで冷静に聴くとやっぱり没個性な感が否めずそこまでエキサイト出来ずにいますが、ライヴでは今時こんなことやるんかいと嬉しくなりっぱなしでした。この際えらくテンションの高い産業ロックアルバムでも作ってくれればスポッと一皮剥けるじゃんと思ってしまうのは個人的希望を込め過ぎか。

  8月13日
収穫はなし。猫が砂地で軽く穴掘ってそこにフンをして、そのフンに砂をかけて完全にコンシールして去っていく一部始終をじっくり見てしまった。何だか見事だった。

▼追補。昨日のTERRAPLANEの2枚組のレビュー、あれはディスク1(85年の「BLACK AND WHITE」とボーナストラック)だけを聴いて書いた感想でして、今日ディスク2(87年「MOVING TARGET」とボーナストラック)も聴いたらそっちはIT BITESみたいなトレブリーでオシャレッティなAORと化していました。気になる方は注意。

▼珍しくいっぱい小分けに書く日にしてみようと思います。コワケー

▼そういえば昨日はセミを轢き殺してしまったのがかなりショックだったんでした。いつも道に寝てるのを見てもわざわざよけていたのに…。自転車の前輪にカシャと当たって後輪に潰されるまでの僅かな間にギギッと一声。こういうことがあると人生の意味も考え直してしまいます。その割にゴキブリは発見次第即圧殺することを思い出したのでもう言葉がありません。

【只今のBGM:NEW AND USED「SOUVENIR」】


ジョン・ゾーン(主にMADASAにて)やユリ・ケインといったアヴァンジャズ界隈からマーク・リボー、CUNEIFORMのDOCTOR NERVE、果てはミッチェル・フルームまで交友範囲の広いデイヴ・ダグラス(tp)およびマーク・フェルドマン(vln)と、90年代前半までのビル・フリーゼルと活動を共にしていたカーミット・ドリスコール(ba)など、そのへんの人5名によるミクスチャー・アヴァンジャズ・ユニットNEW AND USEDの92年リリース作。レーベルはモロってことでKNITTING FACTORY。ロック畑のバキッとしたビート感もエスニック変拍子もあっさり導入しつつ奔放過ぎるリズムチェンジを常に繰り返してオーネット・コールマン的瓦解ユニゾンも余裕でこなし、管・管・弦のトリプルリードによる緻密なアンサンブル構築はプログレ〜現代音楽肌という、まあジャズ畑寄りの芸達者によるレコメン風フリークアウト・フュージョンとでもいったところでしょうか。アドリブがジャズのイディオムでクッキリと行われているあたりでHENRY COW界隈の70年代の習作群とは線が引かれる。とにかく意思を持ったアメーバの如くアッチコッチへ伸び縮みしながらギリギリの統率の下にグループとしての体を保持せしめる高度なコンセンサスに驚かされることしきり。総じて性急にならずどこかノンビリとした絡み方で濃く聴かせるペース演出もまた独特で完成度高い。ちょっとサムラになってみたあぶらだこのような、現代音楽モードの遅回しORTHRELMのような、切り口によっては2005年でも充分キケンな盤です。変態向け。

  8月11−12日
▼連続でタメてしまいましたが、お盆休みということで久々な人と飲んだりそんなんです。11日の収穫はカイマンから届いたTERRAPLANE「WE SURVIVE: THE ANTHOLOGY」(THUNDERの前身バンド、スタジオ盤2作+αをまとめたコンプリート2枚組!)。月並みですが今気に掛かる芸能人はレイザーラモンHGです。「PAINKILLER」の頃のロブを知るメタラー諸氏なら誰しも同じ思いのはず。マーティ・フリードマンやポール・ギルバートが日本のテレビの軍門にどんどん下る昨今、そろそろロブとレイザーラモン、ロニー(・ジェイムス・ディオ)と北島三郎、ヴィヴィアン・キャンベルとアントニオ猪木、メサイア・マーコリンとモリゾーなどをご対面させる企画でもやれば、BURRN!発行部数分くらいの視聴率は取れると思うからやって下さい。

【只今のBGM:TERRAPLANE「WE SURVIVE: THE ANTHOLOGY」】


ガンズ以降のR&R回帰ブームの最中、BAD COMPANY譲りのズクズクに湿った正統派ブリティッシュハードスタイルを引っ提げてシーンに登場し、パッと注目を集めたものの右肩下がりに消えていってしまった名バンド・THUNDERの前身としてマニアに知られるTERRAPLANEの2枚組コンプリート・ディスコグラフィがいきなり今年出てたようで、これがそれ。ダニエル・ボウズのハスキーでソウルフルなハイトーンは85年のデビュー当時から既に健在ながら、音楽性はGIRLTHE BABYSやSHYのようなメロディアス&ソフィスティケイテッドなポップチューン連発のどっぷり80年代型。こっちの方がいいじゃん!NWOBHM的なドン臭さは薄く、SKID ROW(1st)+FOREIGNERかはたまたTWISTED SISTER+BOSTONかといった感じ。なーんだ素晴らしいですよ。垢抜けつつクサクサ・ポジティヴな産業ロックが最高ってな嗜好をお持ちの方なら確実に神の域で猛ヒットする内容。あ〜久々にこれ系で来た。未発表曲や未発表ミックス、ライヴヴァージョンなども大量収録で、ブックレットもそこそこ丁寧という、CASTLEにしちゃかなり総合的に質の高い仕上がりの2枚組になっとります。この際THUNDERなんか興味なくても買いましょう!

  8月9−10日
▼本日10日の収穫、バナナ本店にてRAY BROWN「SOMETHING FOR LESTER」(78年、シダー・ウォルトン&エルヴィン・ジョーンズ)、JOHN COLTRANE「LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD- THE MASTER TAKES」(ドルフィー参加の61年ライヴ)。夜遅く寝ても朝暑くて目が覚めてスンナリ活動モードに入れてしまう残暑の日々でございますが、トータルの睡眠時間が少ないと結局夜に無気力になってしまうからダメですね。別段眠い気はしないのにすべきことをスタートするための初期エネルギーが不足するという。ああこれ、睡眠云々と関係なく年中だな…ガックシ。

【本日のレビューその1:V.A.「JUDGEMENT NIGHT」】


「ラストアクションヒーロー」やら「シングルス」やら、新世代オルタナ/メタルの上り調子な連中をゴッソリかき集めたサントラが盛り上がっていた頃、全曲書き下ろし・録りおろしでグランジ/オルタナ系バンドとヒップホップの人達に夢の共演をさせた、とりわけ冒険的な企画として騒がれた盤です。発想はANTHRAXとPUBLIC ENEMYの91年の共演シングル"Bring The Noise"(さもなくばAEROSMITHとRUN D.M.C.の"Walk This Way")からなんでしょうが、ここまでの規模で実行に移してしまったのは後にも先にもこれだけなんじゃないでしょうか。さて肝心の出来の方、これは曲ごとに出来不出来が全然マチマチ。曲の前・後半でそれぞれ別にやってるのを結着しただけのようなものや、一方が他方にスペースを譲り過ぎてしまったために何だかひどく印象がボケボケになってしまったものもあれば、互いのテンションが噛み合って完全に違和感なく溶け込んでしまったもの、簡単には折れない味同士が居合わせてビックリミクスチャーになってしまったもの…と色々です。全部が全部LIMB BIZKITの先取りのようなことをしてるわけではなく「ロック+ヒップホップ」の捉え方も多種多様。ハイライトはいくつかありますが、ハードコアタッチの曲調で異様な緊迫感にまくし立てられ続けるSLAYER & ICE-T、MR.BUNGLE感覚の妄想ゴチャ煮に仕上がったFAITH NO MORE & BOO-YAA T.R.I.B.E.、意外にもヒップホップのトラックをベースにキム嬢があの声でMC風に呟くSONIC YOUTH & CYPRESS HILL、あくまでギターソロは譲らないDINOSAUR JR. & DEL THE FUNKY HOMOSAPIENあたりは特にオモロイな〜と思いながら聴きました。90年代のサントラ史に残るモニュメンタルな実験作としてこれは語り継がれていってもらいたいですなあ。中古でも地道に探せばありますので発見したら是非。

【本日のレビューその2:JOHN COLTRANE「LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD- THE MASTER TAKES」】


61年IMPULSE!。ATLANTIC末期から固まってきた独自のヘヴィ&ディープなモード解釈をここでも実践してまして、イイっす。実に。ダンディとか酔えるとかそんな俗なイメージすら寄せ付けない「神に近づくジャズ」にもう着手してます。ループするベースフレーズと重い三拍子を従えて祈祷の言葉のようなアドリブを垂らし続ける13分半の冒頭曲"Spiritual"からいきなりズッポリ呑まれて、壮絶にアグレッシヴに仕立てられたスタンダード"Softly As In A Morning Sunrise"を経て続く3曲がまた十八番のシーツ・オブ・サウンズ攻勢あり、笛系エスノモードあり、フリー寸前の爆撃インタープレイ(煽りに煽るエルヴィン・ジョーンズに対してしなやか過ぎのトレーンがまたスゲー)あり、全5曲でトータル65分(もともとは前3曲と後2曲で別々のリリースだったそう、しかもこの連夜のセッションのコンプリート4枚組も存在するとか)という超濃厚な内容になってます。ライヴ盤なだけあってもっぱらド派手なインプロ大炸裂が堪能出来まくり。絶叫してもチャルメラでもとことん理性的、言語化前の衝動が溢れ出るようなノンストップのスピード感と、燃えてるときのこの人の醍醐味がこれでもかこれでもかと押し寄せる。調性とか拍がハッキリしてるので晩年の作品は無理という人にもお勧め出来ます。いや必携の域か。

  8月8日
収穫はなし。大学のサークルの後輩バンドを見に、名古屋のインディーバンドの登竜門として名を轟かす大須E.L.L.へ。計5バンド出演で、思うところおおありなイヴェントでした。一般人レベルにまで名を知られてないような人達さえ徹底的に「胸キュンギターロックの必須ツール」で武装しまくって平気で完成度の高い楽曲を聞かせる昨今、表立って売れてる連中と彼らを隔てるラインは何なのか、あるいは彼らのようなブレイク待ち層がゾロゾロいて意味あるのか…世の中難しいですね。よっぽどの素材パワーか、常に先々のニッチ需要を嗅ぎ当てる戦略眼でもない限り、そのブレイク待ち層あるいはそれより下に加わるだけになってしまう。バンドとかロックとかやべ〜よとまで錯覚してしまう夕べでありました。その後ココイチでイカカレー400gとタマゴサラダ。

【只今のBGM:DEERHOOF「緑のコズモ」】


数年前からライヴでは演奏されていたものの音源化されていなかった数曲を含む7曲入りEP。HELLAのアコースティックEPを出していた日本のTOAD RECORDSからです。妄想カートゥーンスコア+現代音楽+ロックンロール!な作風は相変わらずで、シンセが普段より多めに入ってるのと日本語詞が多いのがスペシャルヴァージョンっぽいところか。プログレでなし、トイポップでなし、NY前衛でなし、緻密だかカオスだか判らん、危ういが猛烈に高度なグループ表現を4人組のバンドで確信的にやってのけてしまうのが凄く変わってると思います。突拍子もなく聞こえるギター二人の和音選択/進行が実はムチャクチャ知能犯なのに、無脊椎激爆ドラムと童謡お姉さんヴォーカルに半分以上かっさらわれてるという、そのへんの浮かばれざる苦労を察して泣くくらいドップリ好きですいつの間にか。ドラムのグレッグが裏声で「コネコー」とコーラスを入れる隠れ名曲"子猫"がやっとCDで聴けるのが嬉しいっすね。アマゾンでカタカナで「ディアフーフ」と検索すると引っ掛かりますから未購入のファンは是非。

  8月7日
▼体育館シューズを探してかなり大きいスポーツ用品店に赴いてみたが発見出来ず。午後14時半に家を出て、あまりの日差しに恐れをなして薄い長袖を一枚羽織っていったらこれが快適でした。そんなん重ね着したら余計暑いに決まってんじゃんと思って今までやったことがなかったんですが、今日で一変、タンクトップのおっちゃんとかを見る度にあほやなあ着たら楽なのにと心の中で呟いてました。「考えを変えるのは好きなんだ」とはスティングの名言。本日の収穫はバーゲン以降の補充狙いで行ってみたサウンドベイ金山が不発というかごく普通でVANDENBERG「VANDENBERG」(1st!!)、NEW AND USED「SOUVENIR」(92年KNITTING FACTORY、デイヴ・ダグラス他)、スピッツ「惑星のかけら」「CRISPY!」(2002年リマスター)。スピッツリマスターは定価より微妙に安いアマゾンで近々まとめ買いするつもりだったのが、たまたま今日店頭にあったこの2枚が新品20%OFFだったので。いずれ「フェイクファー」まで全て買い替えます。

【本日のレビューその1:スピッツ「惑星のかけら」】


何かと問題作扱いの3rd。ネットで見ると意外に傑作と言ってる人も多いみたいです。歌唱面においては前作ミニ「オーロラになれなかった人のために」で開発済みの抑え気味で深いトーンを据え置きに、作風はところどころにグランジ/シューゲイザーとハードロックを同時かつ別々に注入して相当チグハグな、しかしどっち向きにしろそれぞれなりにまとまろうとする意識を感じる、バンドブームあがりの衝動的な奔放さでもっていた初期2枚とは明らかに異質な仕上がりになっております。全体的にはまだまだ好き勝手なあたりが初期やなーという雰囲気を強く残す。派手なシングルヒットはまだないものの、"日なたの窓に憧れて"の濃厚・大粒なメジャー感は既にブレイク寸前の空気を漂わせてますね。大名曲というほどズッシリ来ないまでも本領のUKネオアコ路線が気楽に堪能できる"アパート""白い炎""波のり"などといった佳曲のつなぎの良さもトータルの印象の底上げに一役。現在のような垢抜けた歌唱力があれば"アパート"とかにはもっと花を持たせられたかとも思いますが、記録としてはこの当時の思春期くさい陰りもまた良しか。何だか聴き進むにつれ別に(さほど異色でないという意味で)普通のスピッツのアルバムじゃんという気になってきました。それでもやっぱり「惑星のかけら」といえばグランジアルバムよね、と思い出されるのはひとえに、冒頭のタイトルトラックの力でしょうな。時期を象徴する1曲をアタマに持ってくるやり方はANTHRAXみたいで好きだなあ。ラストの"リコシェ号"のスポッと抜ける明るさからして当人達も全面的に暗いアルバムを作るつもりは無かったんだと思います。本当に暗澹とするのは次とその次。

【本日のレビューその2:スピッツ「CRISPY!」】


示唆的な終わり方をしてしまったからにはついでに。そういえばリマスターになった件に関して全然触れてませんが、変にレンジを広げるでも無理に音圧を稼ぐでもなく、音楽的な印象を変えない範囲内で全体的にツルッとした輪郭の中に収めて耳当たりを滑らかにしたといった感じの印象。勿論高域寄りだった80年代流儀のEQ感覚が是正されて低い方もドッシリ鳴ってますが、安心感を稼ぐ程度であって余計なパンチを足したりはしてません。場面によっては若干中高域が詰まり気味だったりするけどそれはもともとのミックスの問題で不可避だったんでしょう。ああしかしオリジナルも捨て難いと思う部分もあるな…。
 さておき内容の方。プリンセスプリンセスなどを手掛けていた笹路正徳がプロデューサーに迎えられて、ショウビズ然としたポップスに不要なイボは全て容赦なくカット。代わりにトレブリ〜なストリングスやホーンをブチ込まれてキレイにおめかししてもらって、就活のエントリーシート用にスーツ着て髪切ってばっちり写真屋にて撮影、だが中身は全然モラトリアム大学生、みたいな様相。しかしこれが結構本人も満更じゃなかったのか、冒頭のタイトルトラックなんかはコステロ風のパワーポップとして楽しそうにやってます。ヴォーカルもつとめて(そう勧められたかの如く)明るくポップになるように歌っており"裸のままで"での余裕のない張り切りようはかつてなかった域。その後もカットされずに生き残れた方の従来色と新規導入のドレスアップが他人行儀で混在していきながら、ラスト2曲で溜まった毒が噴出。絶望というほどの気力すら感じないくらいダークな三途の川もとい"多摩川"を経て、無駄に大仰なアレンジ(これもレコード会社/マネージメントに対する皮肉な仕打ちといえよう)でもって「黒い翼で/もっと気高く/無限の空へ/落ちてゆけ」と歌う最後の"黒い翼"は、声を大にした「これからは魂売って利口なJ-POPとして勝たせてもらいます」宣言に他ならん。そうして彼らの体得した「空の飛び方」はかくなるものであった…が1作にしてヤメた、というのが事の顛末なわけですが。あからさまに暗いのは本当にラスト2曲だけなので、そこまでの流れは「基礎に変化はないものの外観がいきなり準・J-POP仕上げになっている」といった程度だと思います。マサムネのやってることが変わってる気はしません。バンドのプロデュース意識の成長とそこに関わる他者の思惑(や時流)とのせめぎあいで表面上あちこちに振れてきた人達なのですな。最終的に自分らが勝ってるから偉い。

  8月6日
▼体育館シューズってどこに行ったら買えますか今?本日の収穫はアマゾンマーケットプレイスにて購入のART OF FIGHTING「SECOND STOREY」。3年前のFOLK IMPLOSIONジャパンツアー名古屋公演でルー先生が連発していたジョーク「アイヲクダサーイ」をフジのDINOSAUR JR.のステージでもバリバリかましていたという話が嬉しいやら哀しいやら。持ちネタでしたか先生…

【只今のBGM:ART OF FIGHTING「SECOND STOREY」】


リリースから1年越しでやっと購入。ワタクシ一昨年のあのガラガラだった名古屋公演の数少ない目撃者であります。オーストラリアの4人組バンドの、フルアルバムとしてはこれが2枚目。ロン・セクスミス似の半分ファルセットっぽい声質のヴォーカルで曲はRED HOUSE PAINTERSやDAKOTA SUITEやIDAみたいな、ギリギリの線でスローコアと呼べないくらいの感じのゆったりフォーキー歌ものバンドです。便宜上足し算形容を持ち出しましたが、聴いてて誰々っぽくしようとしてるなと臭うところは一切なく、無心に没頭してしまえる堂々とした世界観をもう完成させてます。オーストラリア出身ということでDIRTY THREEを思い出してしまうためか、それともアートワークのせいか、広くて静かな海の情景のスローモーションがひとりでに見える。本当に。聴き手の時間を変える音楽って時々あるけどこれはそれですね。意外とSIGUR ROS好きなんて人にもウケそうな懐の広いポピュラリティをもった人達だと思います。日本でももっと有り難がられてくれんかなー。仮に再来日でもしようものならまた見たい。

  8月5日
収穫はなし。誰の沖縄土産かわかりませんが、4〜5倍希釈で飲むシークヮサー+四季柑果汁100%のボトルが数日前から家にあって、試しに水で割って飲んでみたところ、甘みが殆どなく体に良さそうな酸味がガンガン来るハードコアでストレイトエッジな代物でした。親切とはいえないが質実剛健でスッキリして、この味って絶対コンビニや自販機で買えんよなと暫く思索に耽る。巷のコーヒー飲料のパッケージ裏を見ても、原材料が砂糖、牛乳、果糖ブドウ糖液糖、コーヒー…となってたりした日にゃ(註:この類の表記は含有量の多い順に並んでます、ご存知の方が多いと思いますが念のため)何飲んでんだか分かりません。コーヒーに関してはまだ完全無糖やら微糖やらと幅を出してきてるからいいものの、その他となると、例えば100%果汁ジュースとそれ以外の調味しまくり系甘アマフルーツ飲料との壁は未だ厚く、中庸をいくようなものも存在すれど種類が極端に少ない気がします。なのでここ数ヶ月は家の外でもよくミネラルウォーターを敢えて買って飲んでます。単純に優れていると感じるという理由以外に、他に選べるものがないからというのが大きい。(日本茶はなんかプラスチックの口から飲むと別物に思えるし…。)ミネラルウォーターはいいですね、「俺は今、余分なことは何もしていない」という晴れ晴れした気持ちになれます。何とかしてミネラルウォーターをソニー・ロリンズのサックス独奏アルバムにつなげてオチを作りかったのですがどこまで書いても見通しがつかないので今日はこのへんで。

【只今のBGM:THE KORGIS「DUMB WAITERS」】


ジョージ・マーティン自身をして「第二のビートルズだ」と言わしめた英国のクラシカルプログレポップグループSTACKRIDGEの後身ユニットの80年作。ニューウェイブ風のリズムや機材を普通にどんどん導入しながらも、曲の背骨自体はSTACKRIDGEのレパートリーとそう変わらない牧歌インディポップスです。このいでたちでこれだとなんかトッド・ラングレンとジョン・レノン(声が若干似る)とTHE BEACH BOYSの間みたい。ああひたすら古風で優しくて柔らかなSTACKRIDGEが好きだった。歳食った上に違う土地の方言を喋るようになってしまった古い知り合いに会ったような心地。そのへんの思い入れを完全に抜きにしてこれだけ見れば、ニューウェイブポップスらしきことをやってた人達の中では多分ずば抜けて和やかで歌心もしっかりした部類であったとして高い評価を浴びるに足ることをやってると全然思います。BECKにカヴァーされたりして再評価の流れもちょっとあるようですね。わかりやすい派手なリズム+インドア系ポップメロ+チープなシンセってとこで普通に下北系の人が好きそうな気もする(空気感は全く異なりますが)。どこ経由にしろこういうのが愛され続けるというのはいいことです。こっちを先に知った人は是非ともSTACKRIDGEまで遡って頂きたい。

  8月4日
▼何やら連日買い物生活ですが本日の収穫、グレイテストヒッツ今池店にてMAL WALDRON「LEFT ALONE」、GARY BURTON / CHICK COREA「CRYSTAL SILENCE」。人並みに毎週飲みたくなったりしてます。CD屋に入ってまた出るときも辛い。朝が不快。信号待ちが拷問。そんな中女性ファッション誌の見出しに「この秋も『大人可愛い』がトレンド!」と書いてある。凄いと思いました。

【只今のBGM:SILKWORM「LIFESTYLE」】


いいアルバムタイトルです。90'Sローファイ黎明期に登場して危うくPAVEMENTラインで語られかけていたMATADORのいぶし銀トリオのTOUCH&GO移籍作、2000年リリース。確かに表向きPAVEMENTやSUPERCHUNKやDINOSAUR JR.あたりに通じるインディポップ然としたスタイルを踏襲しつつ、もっとグダグダで味まかせでブルージーな佇まいをしてるのがカッコイイ。むしろアレックス・チルトンとブルース・スプリングスティーンその他ですわ。泣かせメロに直接泣けるとかじゃなくて、音楽から人(演奏者本人達)が想像されて、その彼らの心を感じてグッと来るといった類(?)のじっくり味わい系。あまり単純な感情に例えようがないですが、大人で若者な人ならきっと分かるこの穏やかな熱。スタジオ作品においてはアルビニが長年に渡ってエンジニアを手掛けていることでも実は(アルビニマニアの間で)知られるバンドでして、あくまで三人の駆け引きをダイレクトに見せるオーヴァーダブの極端に少ないアレンジとのマッチングは確かに最高。このまま何年も続いてくれたら良かったのに、何と先月中頃ドラマーが事故で亡くなったそうですね…合掌。本当に惜しいです。

  8月3日
本日の収穫は沢山です、大須K-HOUSE(ファミコンや中古ゲームも置いてあるマイナーな店です)にてV.A.「JUDGEMENT NIGHT -MUSIC FROM THE MOTION PICTURE」(TEENAGE FANCLUB+DE LA SOUL、SONIC YOUTH+CYPRESS HILLなどあり得ないコラボレーション満載のサントラ名盤!)、P-CAN FUDGEにてGENTLE GIANT「INTERVIEW」(76年)、SYSTEM OF A DOWN「MESMERIZE」、BARTOK「HUNGARIAN PEASANT SONGS / MIKROKOSMOS」(NAXOS)、更にアマゾンからDEERHOOF「緑のコズモ」(LOAD RECORDSリリースのEP)、NEVERMORE「THIS GODLESS ENDEAVOR」(最新作!!)、BRANDTSON「SEND US A SIGNAL」。大粒である。死にそうであります。

【本日のレビューその1:SYSTEM OF A DOWN「MESMERIZE」】


今年リリースの最新作。前作はスラッシュメタルのリインカーネイションに完全成功した大傑作でありましたが今回は更に時代が戻って、1(CDのトラック数でいくと2)曲目のイントロリフにまず驚愕…DEF AMERICANの売れっ子が堂々とJUDAS PRIESTをオマージュしても許される時世になったのか!!!あからさまな王道80'sメタルテイストに新世紀仕様の変則展開やブラストを織り交ぜてえらいことになってしまいました!前作から感じていた泣き度の増大傾向はここへきて決定的になり、なんかもう「ELEGY」以降のAMORPHISみたいですね(5曲目"Radio/Video"の中間部はそれこそ同盤収録"Cares"のパクリじゃないの??)。東欧の泣き変拍子バリバリの8曲目"Question!"なんぞはそこらのプログレメタルバンドに充分喧嘩売れる出来。それでもQUEENS OF THE STONE AGEみたいなシャキッとした垢抜け仕上げのお陰できっちりワールドワイドメジャー水準はクリア。こっちが慣れたせいか、曲展開の流れの中でスンナリ破綻するようになったからか、以前よりも変態度は表立って感じない気がします。過激さは失わずよりムーディになったなと。鋼鉄版THE MARS VOLTAってなポジションですか。ニューメタル云々のケチ臭い囲いはとうに踏み越してしまいました。ANTHRAXあたりともリンクしてボーダーレスに盛り上がってもらいたいです、ほんとエキセントリック。

【本日のレビューその2:NEVERMORE「THIS GODLESS ENDEAVOR」】


重たい新譜レビューその2ということでNEVERMOREを。ついぞの数日前リリースになったばかりの最新アルバムを即入手。こちらも1曲目からいきなりMALEVOLENT CREATIONかと思うデスメタリックな高速2ビートで気合入りまくりです!ヘヴィリフに溺れ過ぎず、メロディ指向にしようとして軟派にならず、80年代以降のあらゆるメタル(正統派、様式美、スラッシュ、デス、ゴシック、etc...)を総括して現世にドカンと振り下ろすサイコーのバンドなんですが日本でのブレイクはまだなのか?結局ハイテク伝統芸職人と化した(それはそれで活路といえますが)CHILDREN OF BODOMやらいつまでもIN FLAMESやAT THE GATESの変形コピーをやっている数多の叙情ニュースクール連中とは一線を画します!デスともゴシックともつかぬ激重暗黒リフだけでも冴えてるのに、それが奇跡的なセンスによってヴォーカルのためのスペースを確保し、あくまで楽曲然とした完成に導いているのが凄いところ。概ねMEGADETH+QUEENSRYCHEてなところだがどうにも引っ掛かるねちっこさが印象的…という感じだった前身バンドSANCTUARY(大好きですけど)からここまで化けるとは誰が予想したでしょうか。まとまり過ぎの感もあった前々作「DEAD HEART, IN A DEAD WORLD」、よりエクストリームな荒々しさを意識して若干の息苦しさも感じた前作「ENEMIES OF REALITY」を経て遂に完璧なポイントを掴んだようですね。「DREAMING NEON BLACK」以前よりは確実にスケール感が上がっているし。いやあ頼もしいですよ。デスメタル界隈にモロには属さずにこうやってメタルの戦線前進に加担してるバンドなんて他にそういない気がします。SANCTUARYの名盤2nd(右画像参照)を引き継いだ禁じ手ジャケといい、本人達も「今回はやったなー」という思いが強かったのでしょう、正にそのとおりの大傑作。ヘヴィなメタルが好きなら全員買って下さい。SYSTEM OF A DOWNが好きな人も聴いて下さい。強力!!

  8月2日
収穫はなし。MISANTHROPEとCELTIC FROSTに敬意を表するあやうげな新・サイドプロジェクトのデモをミックス。どういう形でいつ日の目を見るかわかりませんがとりあえず良い出来になりました。

【只今のBGM:ATOMBOMBPOCKETKNIFE「ATOMBOMBPOCKETKNIFE」】


NEED NEW BODYをリリースするFILE-13のオーナーが在籍したシカゴのバンドの99年SOUTHERNリリースのデビューミニ。SONIC YOUTH〜UNWOUND的な倦怠フリークアウトサイケタッチの、ポストコアというでもなしポストロックも違うしインディポップと呼ぶにはポップじゃないし、何とも絶妙な塩梅の作風です。POLVOがMODEST MOUSE化して90年代中頃のTOUCH & GOに移ったような感じか?無理矢理カテゴリを特設するならポスト・ジャンクとでもいったところですか。シブいなーおい。どことなく淫靡なメロディアス感はPIT ER PATとか最近のJOAN OF ARCを彷彿とさせる瞬間も。みんなまだ潔癖和み美メロに夢中だった99年にこれってことは、シカゴシーンのトレンド先取ってるじゃないですか密かに。パッと聴きの印象はSONIC YOUTHとかの方に近いんだけど、それだけではない不敵なポテンシャルを端々に感じもする。親切さ控えめでセンス爆発といういかにも「レーベルオーナーがやってたバンド」らしい音ですな。

  8月1日
本日の収穫、サウンドベイ上前津にてTHE KORGIS「DUMB WAITERS」(ex.STACKRIDGE!)、SILKWORM「LIFESTYLE」、以下全て525円でSILKWORM「DEVELOPER」、ALL GIRL SUMMER FUN BAND「ALL GIRL SUMMER FUN BAND」、SOME VELVET SIDEWALK「GENERATE!」、ATOMBOMBPOCKETKNIFE「ATOMBOMBPOCKETKNIFE」、更にカイマンから届いたDAZZLING KILLMEN「RECUERDA」(SKINGRAFT極悪バンド!)。先月のバーゲン跡に旧GROOVE!在庫が続々と補充されてるようです。

【只今のBGM:ALL GIRL SUMMER FUN BAND「ALL GIRL SUMMER FUN BAND」】


8月アタマは夏らしく。オリンピアK期待の新人(といっても4年前のリリースですが)ギャルバンの多分1st。SOFTIESの人も在籍だとか。何とも直球のアノラック/ギターポップでこれが良い出来。HEAVENLYを更にアップテンポで脱力モッズ化したような感じです。ぺなぺなのギターのトーンといい4人がかりで分け合うヴォーカルといいラヴリー&ピースフルこの上なし。しかし突然家出でもしそうなじゃじゃウマ感がまた楽しいですなあ。この手のバンドはもはや曲ごとの差異を味わうものではない気がするので、ジャズのレコードと同じくパーソネルとコンセプトと録音が大事ですね。録音の方は総本山DUB NARCOTIC STUDIOにて総統キャルヴィン・ジョンソンがばっちり行っております。アナログ感溢れる質素で正直なミックスで秀逸。そうかこれは名盤じゃないですか。バンド名のとおり夏にイイです。お勧め。

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