物色日記−2007年3月

※頻出語句解説はこちら
  3月31日
サボりました。

  3月30日
本日の収穫、今池P-CANにてSTEVE VAI「PASSION AND WARFARE」、ANTHRAX「ANTHROLOGY: NO HIT WONDERS (1985-1991) THE VIDEOS」(DVD)。後者は昔からのビデオクリップとライブ映像を盛り合わせたジョーイ時代のアンソロジー作品で、早速観賞しました。いや〜〜、映像つきで年代順にこうやって見せられると、ANTHRAXはこういうバンドだったのかと、今にして初めて理解できた部分が多々。素晴らしいものは自分が歳を取ったらまた繰り返し聴くなり見るなりしないとダメなんですね。とにかく「AMON THE LIVING」が大成功したあとのANTHRAXは、本当に「メジャーで売れてる(スラッシュ)メタルバンド」だったんですね〜。"Who Cares Wins"のアーティスティックな仕上がりのビデオクリップを見てまざまざと実感。んで「PERSISTENCE OF TIME」の頃には、ジョン・ブッシュの歌心を迎え入れるに万端な曲作りに至っていたことも。"Belly Of The Beast"も"In My World"も、単に「遅くなったメタル」では済まない新次元の予兆がビシビシほとばしってたんでした。そこでジョー・ジャクソンのカヴァーをあんな風にブチ込んでくるクールさよ…続きはレビューで。

【本日のレビュー:ANTHRAX「PERSISTENCE OF TIME」】


出会ったいきさつを詳細に記述するのはヤメますが、恐らく私の音楽人生において最も重要なアルバムがこれです。本当に。細部まで覚え過ぎてて無人島にも必要ない1枚。今日は読む人を限定しないように、話のわかるメタラー諸氏には少々まどろっこしいかも知れない周到な書き方をさせていただきます。

1. スラッシュメタルの動機と大成まで

 さてMETALLICAやSLAYERなど、皆様ご存知のバンドが属していた「80年代スラッシュメタル・ムーヴメント」は、80年代初頭にハードロックがヘヴィメタルに脱皮したその後で、更なるパワー/スピード/アグレッションの追究のためにスタートしたものです。METALLICAのデビュー作「KILL ’EM ALL」が83年、そこからスラッシュメタルの最高到達点に至るまでにかかったのはたったの3年でした。

 ひとつはSLAYERの86年作「REIGN IN BLOOD」。無慈悲な暴力性のみで構成されるような作風で、未だに「『REIGN IN BLOOD』こそ最高のデスメタルアルバムだ」などと評されることもしばしばです。

 もうひとつはMETALLICAの同年作「MASTER OF PUPPETS」。極限の攻撃性と、その対極にあるしめやかな悲愴とを一度に手にとって、スラッシュメタルにしかあり得ない複雑で重厚長大なドラマを体現してしまった芸術大作です。

2. 飽和と打開案候補

 最上級の手本が出揃うと、じきに後続のB級・C級バンド達もそれに近いレベルにキャッチアップできるようになり、速い2ビートと尖ったリフを携えた高性能スラッシャー達が、80年代末にはもう世界中に溢れ返っていました。今では想像もできませんが、実に数多くのスラッシュメタルバンドがメジャーのレコード会社と契約、セールス的にも成功し、オーヴァーグラウンドで受け入れられていた時代です。

 勿論その状況はただちに飽和を意味します。活路を求めて更に一線を越えてデスメタルへと進む者は、「非音楽」扱いを受けてアングラシーンに潜るしかなく、スラッシュメタルの域に留まる者には行き詰まりの窒息が待つという状態。

 当時突破口に見えたものを提示したのはやっぱりMETALLICAでした。アグレッション一辺倒から脱し、「MASTER〜」で実践した「静のドラマ性」の部分を更にクローズアップ、ダークでムーディな方向にスローダウン/メロディアス化を敢行。88年の「...AND JUSTICE FOR ALL」からのシングルヒットとなった"One"が象徴的です。実際、この時期のB級スラッシュメタルバンドの作品を聴くと、この流れに追従して軽く叙情メタル化しているものがちらほら発見できます。というか、クリーントーンで物哀しいアルペジオをかましておけばOK、というお手軽な空気になってしまっていた気もします。

3. ANTHRAXの打開案候補

 そこで我らがANTHRAX。彼らも88年の「STATE OF EUPHORIA」で若干ダーク&メロディック方向へ舵をきっていますが、一方でヒップホップとのクロスオーヴァーを試みたり、ライブのオープニングSEでBLUES BROTHERSを使ったりするような奔放なミクスチャーセンスの持ち主でもあった彼らは、スラッシュメタルの枠内で四苦八苦するのではなく、そこにはなかったものを導入することで独自の新境地に辿り着こうとしていました。

 すなわち、リフ攻勢のみでなく進行するコードを敷き、ロック然とした躍動感を生かし、歌メロの力強さで楽曲を牽引するというアプローチ。あくまでヘヴィメタルの筋肉(硬いディストーションギター、過激なリズム、etc.)を残したまま、(広義の)ポップス化を図るという、メジャーフィールドで売れた者としては当然といえば当然の発想です。

 その試みが結実したのが、1990年リリース、通算5枚目のスタジオフルアルバムとなるこの「PERSISTENCE OF TIME」。

4. 「PERSISTENCE OF TIME」アルバム

 研ぎ澄まされたヘヴィネスを通してこのアルバムで表現されるのは、悪魔だ血だといったものではなく、もっと精神的な緊張や不和です。それは「速い、細かい」といった絶対的な現象の羅列だけでは描写しきれないので、やはり必然的に旋律面・和声面の彫りの深さが活きることになります。ヴォーカルラインのみならず、全体的にスピードを少し落としたことで、ギターリフがこれでもかというほど自在に「歌っている」ところにも注意していただきたいところ。

 変拍子と無脊椎系メロで強圧的に迫る冒頭曲"Time"、掟破りの段階変速でさながらヘヴィネスのひつまぶしといった"Keep It In The Family"、ポップ&キャッチーとダーク&サイコを両立する"In My World""Belly Of The Beast"など、全編を通じてセンスと閃きの宝庫。メタル由来のヘヴィネスの自由なバリエーションが試し尽されているかのような多彩さで、今もって似ている音楽は思い当たりません。それどころか17年経った今聴いても「未来型」の趣すらあります。

 新時代の波に順応しようとしてただ陰鬱化あるいはフヌケ化しただけのスラッシュメタルバンドは、それこそ星の数だったわけですが、こうして「攻めの深化」を実践したANTHRAXの、時機を読むクリエイターとしてのポテンシャルの高さには改めて感服せざるを得ませんです。

5. 時代の回答とANTHRAXのその後

 さて、スラッシュメタルの行き詰まりを乗り越える打開策として結局一般的に採択されることになったのは、「シンプルさを強調し、軽装での攻撃力を増すこと」「変拍子も視野に入れてグルーヴの面白みを鍛錬すること」「直情的なヴォーカリゼイションで訴えること」、または「メタルをやめること」でした。

 この作品でのANTHRAXは、依然メタルを足場としながら、そういう線に非常に近いところに偶然来ていたんですね。しかしこの調子でメジャーシーンをガンガン戦い抜くにあたって、あくまでメタルシンガーでしかないジョーイ・べラドナのパフォーマンスは、一抹の突き抜けきれなさ、息苦しさを伴うものでもありました。(私は大好きですが。)

 その不満に妥協しきれなかったバンドの頭脳スコット・イアン(g.)とチャーリー・ベナンテ(ds.)は思い切ってジョーイを解雇、よりエモーショナルな喉の持ち主であるARMORED SAINTのジョン・ブッシュを引き抜くという決断に至ります。

  3月29日
収穫はなしスピッツのオフィシャルサイトを直接チェックしてニュースを逃さないようにしてるんですが、チラッと聴けるようになった新曲がかなりいまいち!!

【本日のレビューその1:THE ORGANIZATION「THE ORGANIZATION」】


若年スラッシャー・DEATH ANGELの残党によるバンドの93年1st。突如として聴き返しています。前身のラスト作「ACT III」では、ファンクを積極導入して脱・メタル一辺倒を試みているようでしたが、このバンドでは見事レッチリもどきに…ということはなく、メタルのエッヂを備えながらオルタナに照準を合わせたストレートアヘッドなハードロック、という何とも分裂症気味な音楽性に挑んでおります。結局ガンズか?FAITH NO MOREか?や〜、まったくかっこよくないですね。しかし、どうであれ、カテゴライズ不能なこの微妙さは貴重です。まさに誰もが路頭に迷う90年代現象。印象に残る点といえば、ギターヴォーカルのロブは普通に歌ってもそこそこ上手いなーということ。頻繁にコーラスを入れているドラムのアンディも美声です。キル!アズワーン!と金切り声で絶叫してた奴らとは思えない。うーむ、聴き進むとですね、やっぱり随所に偶然グッとなる(しかもこの年代のこの状況にしかありえない)リフやらリズムパターンがチラッホラッとだけ出てきて、そこが妙に心に引っ掛かるのです。全曲デイヴ・グロールにやらせたら多分とんでもなくグレイトな1枚になるはずですよ。妄想を仲介することで成立する名盤というのも面白いものです。

【本日のレビューその2:THE ORGANIZATION「SAVOR THE FLAVOR」】


気になったので2ndも聴いてみました。バケットヘッド風の覆面男がタンクトップで「Yo!」のポーズをくねっとキメるジャケ、どうしてこうなんでしょう。これ見て「だからメタルってダサいよね」と言われても返す言葉ありませんよ。内容的には更にミクスチャー化に拍車が掛かって、若干のパンク色も入ってきてます。もう何でもやっとくれ。しかしファンクネスの質が、80年代レッチリからRAGE AGAINST THE MACHINEやJANE'S ADDICTIONみたいな雰囲気に移行してちょっとカッコよくなってたり、「メロディック・メタリック・ザクザクギター・パンク」の生成実験が偶然にもSUM41やらMY CHEMICA ROMANCEやらを予見していたりと、見逃せない点は増えています。もう90年代だから違うことやってもいいんだね!という悦びを謳歌していながら、結局土壌と水はメタルのまんまじゃんというところで、ありえない錬金術になってしまったというか。楽しむのに特殊技能が要求される盤ではありますが、もはや良く出来た80点台アルバムなんか何枚聴いても同じだという境地に至ってしまった人にとっては、かなり色々と感じるところのある1枚かと思います。

  3月28日
本日の収穫、御器所ディスクヘヴンにて中古でTYTAN「ROUGH JUSTICE」(ex.ANGELWITCH!!)、NOKTURNEL「NOTHING BUT HATRED」、PSYCHIC PAWN「DECADENT DELIRIUM」、MYSTIC FORCE「A STEP BEYOND」、何故か1280円新品でTAI PHONG「WINDOWS」。しるこドリンクの缶の成分表示その他の欄を見たら、品名が「清涼飲料水」と書かれているのにちょっと違和感を覚えました。

【本日のレビュー:TYTAN「ROUGH JUSTICE」】


メタラーの間で長らく「最もCD化が待たれる幻の名盤」の中の1枚であった作品です。NWOBHM系の再発に精力的なMAJESTIC ROCKというレーベルから2004年にようやく正式にCD化されたもの。BAD MOON RISINGのカル・スワンが在籍したことでもっぱら有名ですが、ANGEL WITCHのリズム隊がソックリ移ってきていたということを最近知って俄然欲しくなっていたのでした。いかにも80年代前半という、前時代ハードロックの名残が残る感じのクサクサ・手に汗系・漢(もちろん「おとこ」と読んで下さい)の叙情HMをやっておりまして、当然最高。疾走感云々といったものとはまるで無縁(たとえアップテンポの曲であっても)で、ズッシリ腹に溜まる汗臭い泣きが壮絶。RIOT化したMSGというか。この過剰な濃厚さはちょっとジャパメタ的でもありますね。かといって垢抜けてないわけではなく堂々たるメジャー感があるのもお見事。カル・スワンの歌唱はといえば、ジョーイ・テンペストとロニー・ジェイムス・ディオの間をいくガッシリと逞しいトーンで、文句なく素晴らしい。ダメと名高いBAD MOON RISINGも聴きたくなります。これが全メタラー必携の聖典かと言われれば、別に知らずに死んでもさほど悔いないんじゃないかと思いますが、これを持ってる人はメタルを心で感じることのできる人に違いない。聴き進むほどにいくつものヤマ場が現れる執拗な構成はさながら振られても振られても立ち上がる男のようだ。特に終盤の"Forever Gone"では完全に天に召されます。また入手困難になる前に買っておきましょう。

  3月27日
収穫はなし。少し前に買ったMXRのコンパクトのノイズゲートが優秀でいい感じです。HARMONY CENTRALでの評判を参考に選んだのですが(定番のROCKTRON「HUSH」は音ヤセが酷いとケチョンケチョンの扱いでした)、お手頃で多機能、可変レンジが優れもので歌録りにも使える。機材収集と性能チェックにばかり余念がなくて、肝心の曲がなかなか出来てないのがもう全然ダメです。ハナクソ食べて遊んでるわけではないけど毎日毎日毎日思い浮かんでボツの繰り返し。全9曲くらいで早く新しいアルバム録音せねばと思い続けてこの有様、バンド名変えたつもりにでもなるしかないなー。ライブはひとまず5月下旬に名古屋で1件、ほぼ決まってるはずなんですが、なかなか詳細がフィックスしない様子。決まり次第お知らせしますのでよろしくお願いします。ああ、つまらん日記。しかしここ最近はずっとこんな日々です。学生の後輩はみんな全国散り散りに行っちゃうしよー。

【本日のレビュー:PAVEMENT「TERROR TWILIGHT」】


(2日前に書いておくべきでしたが)新天地へと趣く皆さん、お元気で。ということで、今更敢えて勧めるまでもないベッタベタ〜な有名盤を今晩は普通に聴きます。(また未聴CDに手を出すとホントに連日マイナーメタル一色になってしまうので…。)数ある「名バンドの解散前ラスト作」の中でも、ブッちぎりで切なさ漲る1枚じゃないですか?あの"Summer Babe"のひしゃげた青春から始まって、"Shady Lane"のような直球グッドソングもサラッとこなすまでになり、実は捨ててない不良心を上着の奥にしまって、大人の笑顔とシワを身につけた、有終の美を飾る完璧な「10年間のPAVEMENT卒業」アルバムだったと思います。OBとして一人立ちしていったスティーヴスコットも、この古巣があったからこその現在の活躍でしょう。冒頭曲、"Major Leagues"と泣き落とし系の布石を着実に並べておいて、ラストはといえば"Carrot Rope"であっさり「このへんで!」と手を振って去っていく幕切れの潔さよ。しかもヘッドホンでよく聴くと、最後まともにしっとりフェイドアウトしきらずに、ドタバタしたノイズが切り込んでうやむやのうちに終わってます。芸細かい。もう終わり?という後味がよぎりもしますが、ここで終わったから最高のバンドだったとも思います。あー切なかった。

  3月26日
収穫はなし。これを書くのをヤメます、と少し前の日記でわざわざ宣言してましたが、それが定着したあとに読み始めた方が過去の日記を遡って読んだときに意味がわからないといけないので、やっぱり据え置きにすることにしました。物凄くどうでもいい連絡なのでさっさとレビュー書きます。あ、アオサギってでかいですよね!

【本日のレビューその1:MARTY FRIEDMAN「DRAGON'S KISS」】


日本で一番有名なメタルギタリストかも知れないマーティ・"ヘビメタさん"・フリードマンの、HAWAIICACOPHONYを経てMEGADETHに加入する直前の88年にリリースされた1stソロ。私生活での日本贔屓にとどまらず、音楽においても昔からオリエンタリズムに染まっていた人で、晴れて好き放題が許されつつメタル度が保たれたこのアルバムは、なかなか他に類を見ることのないユニークな内容に仕上がっております。相通じるところがある作品を挙げるとしてもやっぱりMEGADETHの「RUST IN PEACE」くらいでしょう。加入時にはほとんど楽曲が完成していたというあのアルバムで、ソロパートのみの貢献でそれだけ濃厚に自分のカラーを持ち込むことができていたこの人は、ギタリストとしてもそうだけど単純に音楽家として秀でた存在だったんだなあと改めて実感されます。必要以上の速弾きはせず、常にヴァイブレーションとドラマがあって、和風フレーズの挟み方も実に嫌味がない。ただイロモノのようにやってもダサいだけということをよく心得てますな。SHRAPNELのリリースの中でも群を抜いて音楽的な1枚でしょう。

【本日のレビューその2:JASON BECKER「PERPETUAL BURN」】


上のマーティのソロと同じ88年にリリースされている、CACOPHONY時代の盟友ジェイソン・ベッカーのソロ作です。ALSで長年闘病中のはずですが現在はどうなっているんでしょうか…。この人もさほどスピードメタルイエーイというタイプじゃなくて、のっけから悠然としたクラシカルなフレーズを歌うムーディな作風。CACOPHONY譲りのミステリアス&プログレッシヴなアプローチもまた健在です。フルスロットルで弾きまくる場面においては、つまらない公開スケール練習みたいなことを絶対やらず、きちんと歌心のあるフレーズを強引に早回ししたような感覚がとにかく圧倒的。凄いときはTHE DILLINGER ESCAPE PLANあたりも凌ぐ勢いです。フルピッキングから大小のスウィープ、タッピング、アーミング…とまんべんなく使い回すバランスの良さは、フィギュアスケートみたいな感じの採点方式で品評会があったら絶対上位に行きそう。スティーヴ・ヴァイの後釜としてデイヴ・リー・ロス・バンドに引き抜かれたのも納得です。こんな人の体が動かなくなってしまうなんて非情だ。本当に。

【本日のレビューその3:RICHIE KOTZEN「FEVER DREAM」】


C.C.デヴィルの後任としてPOISONへ、そしてポール・ギルバートの代わりにMR. BIGへ、と数奇なキャリアを持つリッチー・コッツェンが90年にリリースしたソロ2作目。SHRAPNELによくある味気ないスピードメタルとは180度逆の、ブルーズロック〜R&B趣味を前面に押し出したシブいスタイルで全編いっています。グレン・ヒューズの復活後のソロ諸作に近い。ハスキー&ソウルフルなハイトーンヴォーカルも本人によるもので、実はもっぱらそれが良いといっても過言ではない。ギターの方も勿論激ウマです。エドワード・ヴァン・ヘイレンからの影響を強く窺わせつつブルーズギターを限りなくテクニカルにしたようなプレイスタイルは、メタルリスナー以外にもアピールするんじゃないでしょうか?(そんなこともないか…。)高速スウィープに枯れたフィーリングを滲ませるなんて芸ができるのは彼くらいのもんでしょう。言い方を変えて「メタルリスナーだけに聴かれてるのは勿体ない人です」にしよう。

  3月25日
▼昨日の最後に書いたとおり、大学時代のバンドサークルの「今年で追い出される卒業生にもうちょっといいところ見せてもらうついでにOBにもしゃしゃり出てきてもらおう」的な身内ライブ企画に混じって、DEATHの"Overactive Imagination"のカラオケをやってきました。歌とギター以外のパートをあらかじめ録音(ドラムは当然打ち込み)したものをスピーカーで流して同時演奏。いやーアンディ・ラロックは上手いよなー。無理無理。他にDOIMOIちょっとと、インプロ2件もやらせてもらいました。インプロってのは好きですよ、音楽がその場にある意味を一番感じられる演奏形態だと思います。

▼その打ち上げでひとしきり思い出話に花を咲かせたあと、何代の後輩が巣立っていくのをこうして見送ってきたかもついでに思い出して凹む。歳って取るんですね。みんなちゃんと働いて本当に偉い。

▼金曜に届いた荷物これです。かっこいー。

▼昨日遅くなってしんどいためレビューはまた明日まとめて。SHRAPNEL特集で3枚いきますので許して下さい。

  3月23−24日
▼連日リポート中(その1その2)のUPSの荷物、昨日無事届きました。大阪でまる二日寝かせられていて何事かと思ったら、多分名古屋支店がないんでしょう、突如大阪から名古屋へ直送でした。途中で佐川とかに委託するんじゃなくてちゃんとUPSの(非常にアメリカ的なセンスの)制服を着た人が玄関先にやって来ましたよ。受け取り時に配達確認として、謎の端末の液晶画面にタッチペンで署名。おおアメリカン・ウェイ。というかサイバー。

▼ということで23日の収穫は値の張る某海外製エフェクターでした。こういうのを思い切って買う度に「今回の買い物こそ最高だった、今後はこのセッティングでいく」みたいなことを書いては後で撤回する羽目になっているので、今回はべらべら語らずにおきます。

▼明日、大学時代のサークルの催しで後輩に混じってチャック・シュルディナーになってくる予定なので、その仕込みのため今日はレビュー割愛します。全パートをコピーする必要があったんですが、スティーヴ・ディジョルジオ、フレットレス指弾きであれをやるとは凄いですね…。

  3月22日
本日の収穫、サウンドベイ上前津にてALICE COOPER「GREATEST HITS」。他に買った1枚はダメダメで、もう1枚は久々の二重購入でした。オジーの「NO MORE TEARS」。安くなってるし、しゃーねえなあ、そろそろ買っとくか…という調子で買ったのがそれだと凹みます。オークション出品者デビューしようかなー。

昨日の日記でも触れたUPSの貨物追跡ですが、日本に入ってからの展開がダメダメで非常に萎えてます。さすが無駄とタライ回しの国。アメリカではどこの空港でも入って2時間くらいでまた出発してるのに、日本じゃ成田で意味不明の半日滞在、のち何故か大阪行き。貨物まで名古屋飛ばしとはどういうことね。

【本日のレビュー:NOCTURNUS「THRESHOLDS」】


デスメタルにシンセが入っている!ということで話題になったというNOCTURNUSの92年作。EARACHEクラシックスですな。やたら流麗なネオクラ風ギターソロが随所で濫発されるものの、大筋ではDEATHやPESTILENCEに準ずるようなテクニカルデスをやってます。アンプシミュレータでも使っているのか、やたらこもったトーンで歪み方もヘンなのがまたギターマニアっぽくて少々引く。余分な装飾を一切抜きにして、普通にアグレッシヴなマスメタルとして仕上げてくれれば、気持ちいい名盤になっただろうに、しかしその「余分な装飾」の部分こそをアイデンティティにしてた人達なのでまあ何というか切ない感じです。逆にSHRAPNELあたりから「遂にウチもデスメタル始めました!」みたいな感じで売り出された方が、ほうSHRAPNELが…と珍しがられて良かったんではないか。ということでどちらかといえば速弾きギタリストマニアにオススメです。普通の様式美じゃお目にかからないようなヘンなスケールいっぱい使ってますよ。

  3月21日
▼今日からバーゲンのサウンドベイ金山にて、絞るつもりだったとはいえ本日の収穫CRAIG ERICSON PROJECT「SHINE」(ロブ・ラモス、グレン・ヒューズ参加!)、DIAMOND HEAD「LIGHTNING TO THE NATION」(HIGH VOLTAGEからのボーナス大量リマスター)、NEBELNEST「ZEPTO」(CUNEIFORM)、ENCHANT「TIME LOST」、LEADFOOT「TAKE A LOOK」、TANKARD「ALIEN」。以上!上前津では何と1枚も買わず。毎度リュックサックをパンパンのカクカクにしていたことを思うとかなり少ないですが、人として普通に近付いたので満足です。そして少なく済んだので昨日のブックオフでDEVASTATION「IDOLATRY」、DEFIANCE「BEYOND RECOGNITION」。本当に十中八九メタルしか買わない人になりつつありますが、自転車に乗ってるときの鼻歌はもっぱらSENTRIDOH風です。中学時代に読んでいた「ヤングギター」誌の海外のメタルギタリストのインタビューでも、「最近家で聴くのはもっぱら(普段演奏するようなヘヴィメタルではなくて)ジャズやブルーズばかりだよ。」みたいな人が多く、当時は理解できなかったけど今になってようやくその気持ちがわかってきました。風景画を上手くなりたい人が、風景画の名画集を必死こいて研究したところで、「風景画に詳しい人だけを唸らせる作品を描けるようになる」か(それも悪くはないですが)、「自分にはもはや新しく試すことなどないことを悟って自殺したくなる」のいずれかに陥る可能性が高くなるからいけねーよなーと。それよりは毎日パントンカラーのチャートでも穴があくまで見返した方がきっといいはず。

2・3日前からアツイのがUPSの貨物追跡サービスです。何日何時にルイヴィルを出て、ほ〜1時間半でアラスカへ、ベーリング海経由でその次千葉ってことは成田かい、朝10時に着いてりゃ明日には届くな…と、手に取るようにわかって嬉しいとかいうよりも、荷物が世界のあちこちの空を飛んで自宅に至るのを想像するロマンですわ。

【本日のレビューその1:NEBELNEST「ZEPTO」】


今日の買い物で唯一HM/HRとは言い切れない品。ReRアメリカ支部であるCUNEIFORMからリリースされている、フランスのアヴァンプログレトリオの2006年リリース3rdです。ANEKDOTENをもう少しフュージョンかつポストパンク(すなわちヘンリー・カイザー?)化したような暗黒変拍子インスト。さすがフランスなだけあって、黒さの質がMAGMA関連(本体よりむしろWEIDORJEやZAOなど)に似ている。ポストロックとトラッドとヒップホップを無理矢理ワンルームに住まわせたようなアレンジとか、「これは野心だな」と見え見えではありますがまあ野心的といえる試みがそこかしこに。ブラックメタル色を抜いたTHE FLYING LUTTENBACHERSみたいな感じもあり。SKIN GRAFTがオッケーな人ならイケます。おおっ後半の方がどんどんテンション上がるなあ。

【本日のレビューその2:DIAMOND HEAD「LIGHTNING TO THE NATIONS」】


METALLICAが執拗にカヴァーしたことで今やNWOBHMの定番バンドとして記憶されることになったDIAMOND HEADの、81年のデビュー作。"The Prince"も"Am I Evil?"も全部入ってます。しかもEP「DIAMOND LIGHTS」とその他のレア音源を大量に追加して再発した正に決定盤。HIGH VOLTAGEは偉いな〜。さて内容は、ブリティッシュハードロックの湿り気がメタル特有のクサクサ臭に変わる瞬間を克明に捉えた、この時期のこの界隈の典型的な音。(NWOBHMマニアではないので誰々に似ているとかいう語彙がありません。すいません。)リフはかなりロックンローリンで、ズンズン刻むブリッジミュートなんて殆ど皆無。IRON MAIDENやJUDAS PRIESTなどの一流バンドは、昔から洗練されている上に個性的でもあるので、時代の空気というのはこういうB級以下のバンドの方がくっきりと映しているものですが、これを聴くと当時のヘヴィメタル(と命名されたばかりのハードロック)は、明らかにパンクロックからそのスピード感、「俺にもできそう」感、「とにかくやったれ」感などを得てこういう風に盛り上がってたんだなと実感されます。死滅しかけたハードロックからパンクへのカウンターとして出てきた割にちゃっかり拝借するところは拝借してるんですね。今となってはコテコテメタラーを燃え上がらせるには馬力が低過ぎの感ありですが、むしろ普通に70年代ロックがお好きな人に「ここから先はもう違う音楽だな…」というギリギリのボーダーラインとして聴いてみて頂きたいところです。

【本日のレビューその3:ENCHANT「TIME LOST」】


有象無象の90年代USプログレメタルムーブメントの中にいた数少ないフェイヴァリット。これは97年の、未音源化だった初期曲のリアレンジ新録3曲と、完全な新曲4曲という、通常の正式なスタジオフルアルバムとはちょっと違う作品です。DREAM THEATERの「AWAKE」以降のダイナミック&オーガニック路線がちょっと入りつつ、基本的には妙にメランコリックなフレーズの嵐がやたらと染みるプログレ・ハードロック(メタルという程のガチガチさはなし)。カキカキした変拍子とお座なりなSF的壮大さでコロッといかせてやろうというお手軽さがこのバンドにはなくて、80年代初頭の軽くニューエイジ化した「ポスト・プログレ」作品だけで聴けるようなジェントルな詩情が生きてるのがいいんです。ちょっと線が細くてヘタだが優しさを感じるヴォーカルの存在も、移入して好きと言ってしまう要素のひとつ。エモいアルペジオの場面ではほとんどBALLOONSやAS MEIASみたいになってたりもします。そう、この時代のプログレメタルは今、変拍子と構築美を追求する(かどうかわかりませんが…まあ受け入れられ方を見るに)和製美メロポストロックと紙一重のところにあるのです!!あああ4曲目なんてモロだ。録音とアートワークさえ良ければ首都圏のエモキッズは狂喜するに違いない。流行んないかなー。

  3月20日
▼ああ〜、感動した。ここ最近で一番買った。本日の収穫、買い残しがあるので場所は言えない某所のブックオフにて、いきますよ〜メタラーの皆様、TOXIK「THINK THIS」「WORLD CIRCUS」、WRATHCHILD AMERICA「3-D」「CLIMBIN' THE WALLS」、HERETIC「BREAKING POINT」(マイク・ハウ!)、CONFESSOR「CONDEMNED」(現在所有しているのがCOMBAT盤なのでEARACHE盤で2枚買い、レーベル面のデザインが全然違う!)、NOCTURNUS「THRESHOLDS」、JASON BECKER「PERPETUAL BURN」、MARTY FRIEDMAN「DRAGON'S KISS」、RICHIE KOTZEN「RICHIE KOTZEN」「FEVER DREAM」、SAXON「WHEELS OF STEEL / STRONG ARM OF THE LAW」。はァ〜。他にもHEATHENとかSADUSの2ndとか、マニアが血眼になって探している80年代のレア名盤などもあって、全てが1000円!マーティのCDはブックレットに胡散臭いサインのようなものがあってウーンと思ったのですが、これだけのものが出てきたのできっと本物だと信じて買いました。「ディスクヘヴンで売ればもっと稼げたのに、ヘヴン嫌いなんだろか、わざとこんな所に放流させて運命のイタズラを楽しんでいるのだろうか…」とか、「NEVERMOREやKING'S XやRUSHまでまとめ売りするとは、何と趣味の近い人…」とか、「きっと新婚で小さいアパートに引っ越すとかの理由で泣く泣く処分したに違いない…」とか、売った人の状況に思いを馳せまくってしまいました。買わずに置いてきた名前も知らないROADRACERのマイナーバンド達よ、明日のサウンドベイバーゲンでの節約次第では近いうちに救出しに行くからよ。

【本日のレビューその1:WRATHCHILD AMERICA「3-D」】


入手困難系マイナースラッシュの名バンドとして名高いWRATHCHILD AMERICAの91年作です。なんと堂々のATLANTICリリース。ジャケがダサすぎるわ。プロデュースおよび録音・ミックスをアレックス・ペリアルズが手掛けておりますが、アンビエンスを気持ちよく収めたナイスなドラムサウンドでびっくり。内容はPANTERAの洗礼を受けたパワーメタルといったところ。イモイモ〜と爆走してるだけで魅力的なバンドもいますが、こうやって90年代のヘヴィ化礼賛傾向に同調してシュッと鋭角的になったマイナーどころってのが、上手くいくとかなりカッコイイものです。決してどんよりスローダウンはせず、あくまでM.O.D.的な爽やかさが強調されてるのがミソ。あー、ん〜、ところどころ変にミクスチャーっ気を出してるのはあれですな、DEATH ANGELの「ACT III」みたいな線でいきたかったんですな。執拗にジャズ/ブルーズ色を出そうとする意味がわかりません。微笑ましいけども悪くないよウンウン。CYCLONE TEMPLEばりにメランコリックな展開もあり、盛り沢山で面白いな〜。

【本日のレビューその2:TOXIK「THINK THIS」】


エド・レプカのアートワークはどんなにダサくても意味不明でも最高だ。しかし中身はそこまでスラッシュという感じではなくて、かなり実力派のハイトーンシンガーが歌う、VICIOUS RUMORSがよりダーク&プログレッシヴになったような逸材。時々WATCHTOWERっぽくもあります。素晴らしい!高度なハモリをキメまくるギター2人も上手い。これは埋もれていた云々を完全に抜きにして、あと5年後にリリースされていたとしてもきっと話題になったことでしょう。泣きのバラードまで入れちゃって要領のいいこと。非常に洗練されて均整がとれた上で、時代性を汲んだ体当たりなパワー感をバリバリと前に出してくるのがカッコイイです。不協和音を散りばめたリフがイカス〜。メタルはメロディックなやつがいいけど子供騙しのクサクサはいらねえ、というアダルトな舌をお持ちの御仁には死ぬほどオススメ。探してでも買う価値あります。

【本日のレビューその3:HERETIC「BREAKING POINT」】


少し前にアメリカのアマゾンマーケットプレイスで3000円くらい出して買おうとしてヤメていた品です。まさか1000円で見つかるとは…。「BLESSING IN DISGUISE」以降のMETAL CHURCHに加入することになるマイク・ハウが歌っていたバンドの唯一のリリース。プロデュースにカート・ヴァンダーフーフの名前がありますですね。バスドラの存在感がまったくないミックスでかなり迫力を殺がれちゃってますが、やってることはARMORED SAINTみたいな、ブリティッシュ正統派に憧れるストレートなアメリカンHM。あまりメロディで泣かすとかいうタイプではなく、かといって別段妙なトリックも仕込まず、ヘヴィメタルという音楽をとにかくパワーの発露として捉えている感じが何ともアメリカ流。METAL CHURCHへの異動もズバリ適任というところでしょう。私はどちらかといえばデイヴィッド・ウェイン派ですけども、マイク・ハウもいい仕事する人です。METAL CHURCH後期3枚を愛してやまない人は入手すべきでしょう。

【本日のレビューその4:REALM「SUICIETY」】


今回の買い物でこれだけが、全く名前を知らずに買ってみた品です。90年ROADRACER。これが大穴!!何やらNAPALM DEATH周辺のポリティカルグラインド風のジャケに惹かれての購入だったのですが、全然違って、マッド&ヒステリックな変拍子ハイトーンパワーメタルでした。WATCHTOWERがもっとまっとうな疾走感というものをフィーチャーした感じで、ガキガキに屈折してる割に爽快。ロブ・ロック似の声質のヴォーカルの絶唱も冴えてます。いかつい地響きコーラスが噛んでくるのがまたナイス。リフに時としてデスメタルにも迫るような不穏さが入ってくるあたりは、PSYCHOTIC WALTZやCONFESSORに通じる感覚なんでしょうか。この時期特有の絶妙な塩梅ですね。いやー、いいじゃないか。素晴らしいですよこれは。近頃の若手のメイデンごっこに耐えられず、かといってNEVERMOREくらい重いとちょっとしんどいわ…という玄人好みメタラーはもうこれしかないです。こんな大名盤を知らずにいたなんて。

  3月18−19日
▼連日の不更新ですいません。
http://www.pedalspluseffectswarehouse.com/
http://www.musiciansfriend.com/
使える試聴音源多数。夜更かしの供にどうぞ。

▼今日の晩は鶴舞KDハポンにてBOOKHOPEイベントに行って参りました。開演間近の時間に着いて、押すこともなくほぼ定刻どおりにスタート。1番手は、そうかなと思ったけどやっぱり&まさかの企画者自身・BOOKHOPE。作風と演奏の様子については過去のライブリポートで割と核心に迫ったつもりなのでそちらをご参照いただくとして、今回は更に帰りたそう度(?)アップ、「お前ら、これからスゲーの見せてやるからな、待ってやがれよ」度マイナス90%の、潔いことこの上ないステージでした。しかも堂々の全5曲。「もうやらないかも知れないけど新曲」といって演奏していた曲がえらくカッコよくて良かったな〜。やっぱりライブの場においては、基本もの静かそうなのにここぞというときでグアッとZ-VEX「FUZZ FACTORY」を轟かすギタリスト氏が強烈にブラックホールです。特別度肝を抜くようなヘンタイ技を繰り出すでもなくスゴイという凄い人。

▼次はPOETRY OF BATHROOMという4人組。大筋ではロッキンオン系の英詞オルタナポップスと思われる音楽性ながら、常時極小音量なりズム隊と、ギャリ〜ンと歪ませて普通にロックするディストーションギター、そして物凄い設備の意味がほとんどわからないほどに謎の小ネタ・ノイズを担当するもう一人のベース氏(珍しいツインベース編成でした)との埋まることなき温度差がだんだん奥深いものに思えてくる、あまり見かけないタイプのバンドでした。「3回は単調に繰り返して、4回目だけそっくり逆」「ノイズ風ランダムソロを全く同じポジションで再現する」等の新鮮な発見の数々に目から鱗。

▼3番目は、ここ数年ライブ会場でしばしば遭遇する、DOIMOIのベーシスト篠田君の高校時代の同級生の人・富田君がギターを弾いているポリスポー。演奏する姿をようやく見ましたが、これが大変に、私が芸人なら椅子から転げ落ちてひっくり返らないといけないくらい良かったのですよ。吉野寿の容器に入った二階堂和美が空間系ドラムを叩いてるみたいな、理想の21世紀型歌もの流動体すき間ロックトリオ。訥々としながら十二分に伝わる言葉を泉の如く湧き出すギターワークが最高なら、美しく収まりそうなところでゴロゴロと反骨のしこりを設けるベースもひたすら粋。音楽性を無理して例えるとすればTEASI+THE SORTS。聴いてる間はこれ絶対名曲だと思っていても、あとから思い出そうとすると親切な取っ掛かりが見当たらずにモヤモヤしてしまう長尺で複雑な曲作りは、反芻したければもう一度演奏される場に居合わせるしかないという点でトラウマ的粘着力を発揮。今のご時世に敢えて歌ものロック(と書くと少々違う感じがしますが…)をやるならこうして欲しい、という漠然とした理想を、全部かたちにされてしまったような心地で、うわー!どうしたものか!と思いながら聴いてました。名古屋のナンバーワン憧れバンドに即刻決定。

 結成以来2度目のライブとのことで、もっとやればいいのにと思う反面、「このペースで滅多に見れない幻のバンドとして…」とMCで言っていたのもわかるような。「さー売れるぞ、人気者になるぞ」でやってないバンドがもっぱら信用されるのが名古屋の良さですかな〜。とにかく全国的に見てもかなりありがたい逸材ですので、数少ない露出の機会に恵まれた方はお見逃しのないように!

▼ラストはHEALTHYという平均年齢高めな4人組。センターのベーシスト氏がどっかで見たことあるな〜とずっと思ってたんですが、やっぱり某中古CD屋で働いておられる方でした。音楽的には、ビートルズ幻想の靴を履いてジャムバンド化したMEAT PUPPETSとでもいうような、何とも聴いたことのない雰囲気。多分MEAT PUPPETSから影響を受けていることはなさそうですが、「世界中で3人だけいるそっくりさん」みたいな感じで激しく他人の空似でした。私はMEAT PUPPETSが(全カタログ中2・3枚だけ)大好きなので、フンフンと楽しく聴いていましたが、ラストで突如としてPRIMAL SCREAMに豹変されて「ムム、読めない…」となっているところで終了宣告。

▼さすがBOOKHOPE企画、出演者の誰も安住の地がない感じのハミ出っぷりであったわけです。ヨシヨシ、全員クッキーシーン読者に人気が出そうだね、て感じの普通に上手くやってるバンドだらけのイベントより数倍、見終わった後に残るものがあります。そして本日の収穫は物販でつくもくとポリスポー「つくもくとポリスポー」(CD-R)、BOOKHOPE「ONE STEP FORWARD TWO STEPS BACKWARD VOL.8」「同Vol.9」(CD-R)。

【本日のレビュー:MEAT PUPPETS「II」】


収まりの悪いバンドが多かった初期SSTの中でもかなり、どういう風に驚いていいかわからないヘンなバンドMEAT PUPPETS。何故か80年代の作品は全てRYCOからリマスターになっているというのも変わってます。これは83年の2nd。へろへろハードコアが何食わぬ顔でブルーグラスにすり替わったみたいな意味不明ワールドに思わず脱力。何だっちゅうんでしょうか。とりあえずギターはやたらと上手くて引き出し豊富です。しかし曲自体は、アマチュア然とした「クリアなオチのつけられなさ」が目立つ煮え切らない感じで、みんなに尊敬されるにはいろいろ足りてない感じ。自然とカントリーを身体に染みさせて育ったアメリカ人にはもう一歩踏み込んだ感銘があるんでしょうか。(だからこそRYKOからの再発だとも思いますが。)これぞ文字通りのオルタナカントリー。変に売れちゃってから94年の「TOO HIGH TO DIE」で落ち着くまでは、リヴァーブバシャバシャの失敗バブルロックと化していて、どんな穿った救助を試みてもすべて不可能なダサさなので、注意してください。

  3月16−17日
サウンドハウスのエフェクター試聴用サンプル演奏がいくらなんでも酷すぎる件についてはどうでしょう。ヘタ隠しの雑なコンプがまた追い討ちを…。一方FULLTONEはやっぱりサンプルも一流でした。

▼デニーズの新方式「マイディナー」はちょっとついていけませんでした。お得な「夜デニセット」よどこへ。

▼最近ブックマークしてちょいちょい活用してます、WNIのピンポイント予報

▼外部リンクがいっぱいあると、使えるサイトみたいでいいですね。

【本日のレビュー:EXIT-13「GREEN IS GOOD!」】


一時期ダン・リルカも関わっていた緑化推奨バカバカグラインダー、EXIT-13の90年作です。後からRELAPSEから出た初期コンピに丸々収められていたはずですが、貴重なオリジナル盤を発見したので購入。演奏の歯切れのよさ云々で評価するタイプではなくて、人を小馬鹿にしたようなアホ系高音リフや、急ブレーキ→玉突き事故的曲展開など、デタラメすぎる奔放さと病性において個性が光っていた人達であります。VOIVODかと思えばダサダサ・ロッキンな16ビートリフに豹変したり、ロマンチックなストリングスや全然なってないフュージョン風シャッフルが突如切り込んできたりと、横暴なまでのミクスチャー具合には頭が下がります。ヤリ逃げしないANAL CUNTというか。90年代初頭のエクストリ−ムメタルシーンの自由闊達な空気を愛している方々はマストでしょう。

  3月15日
本日の収穫、ディスクヘヴンにて全て中古でKIX「MIDNITE DYNAMITE」、WHITE VISION「WHITE VISION」、SHANK ROCK「CRIME TIME」、SPINA BIFIDA「ZIYADAH」。久々に大学のサークルの人々と飲んだら、いつも行っていた居酒屋の料理がウマくなってました。しかしあの「アルデンテを超越した芯バリバリ感」も「トマトもソーセージもかき消すほど辛い胡椒」も消え去ったパスタに正直「パンチ不在」と思ってしまったのも否めない。戻さなくていいですけど。

【本日のレビューその1:SPINA BIFIDA「ZIYADAH」】


フランスの弱小ゴシックデス専門レーベル、ADIPOCEREから93年にリリースされていたブツ。酷すぎるジャケと、お腹に良さそうなバンド名と、通し番号が10というので(こういうレーベルの初期リリースは気になります)、とりあえず買っておきました。ブックレットを見てみるとどうもオランダのバンドのようで、内容が意外にかなり良くてびっくり。ヨーロッパらしい湿り気と暗さに満ちつつ、シンセその他の虚飾には走らないスラッジーなドゥームメタルでした。音楽的に目立った個性がそうあるわけでもないですが、凶々しいイメージを狙ってただイモ臭くなっていることが多いこの時期の欧州のアングラバンドが、こういう風にまっとうにカッコイイというのは稀な気がします。右チャンネルの方のギターの音が、ファズでブチブチに潰れきってトロンボーンのように聞こえるのが不思議おもしろい。

【本日のレビューその2:KIX「MIDNITE DYNAMITE」】


KIXイエス!いやー好きなバンドですよ。80年代ハードロックの中では異色なまでにポップスに媚びず、ひたすらAC/DCのレプリカに気持ちよく徹してくれていた人達です。これは85年作。冒頭にダウンテンポな曲が続いてちょっとアガりきらないスタートになってますが、それとてグダグダにならず「お〜AC/DCもこういう曲やるやる、いいイイ」と納得してしまう出来のよさ。パワーコードとダーティな青筋ハイトーンの応酬、地雷の如く仕込まれる小っ恥ずかしいキメの数々…最高です。更にアメリカの80年代らしく多少の親切メロディが混じっているのも本当、ありがとうと言いたい。これをですよ、舗装が割れるくらいの大音量でアメリカのだだっ広いハイウェイで聴きながらズンズンと走ってみてごらんなさいよ。私もそんなことは当然やったことがないですが、絶対気持ちいいはず。2000年代だって遅くないです。不良のロックンロールがお好きな方ならどちら様も、どのアルバムでもいいので(全部同じなので!!)すぐ買って下さい。

  3月14日
本日の収穫、今池P-CANにてEXIT-13「GREEN IS GOOD!」、KING CRIMSON「BEAT」(30周年リマスター)、WHITESNAKE「LIVE...IN THE HEART OF THE CITY」。何年も前に変な商品を買って返品したときに対応に出てきたおっさんが未だに愛想最悪。

モンテールの春の新商品がなかなか傑作揃いですよ。

【本日のレビュー:KING CRIMSON「BEAT」】


ちょっと好きなバンドでも無闇に全作品コンプリートしたりするのはよそうと心掛けている近頃、90年代の再結成より前の作品を全部揃えたことにひたすら納得と満足がいっているこのKING CRIMSONは、何と太く生きたバンドだったのだろうと思います。頻繁にメンバーを入れ替え、時代に同調するのではなく、見定めるだけ見定めて置き去りにする、70〜80年代で最も創造性を長く持続させられたアーティストのひとつだったことは間違いないでしょう。

 集大成「RED」から間を置いてニューウェーブ真っ只中のタイミングにリリースした再結成作「DISCIPLINE」から、この「BEAT」、更に「THREE OF A PERFECT PAIR」と続くわけですが、この時期はメンバーも音楽性も変動がなく、よって一番手のインパクトがあった「DISCIPLINE」以降の2枚は(エイドリアン・ブリューがファンから嫌われがちなこともあって)一般にダメ・アルバムの扱いを受けております。四半世紀経った今こそ、冷静な評価を…と思ってじっくり聴き始めたのですが、やっぱりどうも、アンディ・サマーズとヴィジョンを同じくするフリップのギターをバックに、鼻づまり系ハイトーンをやたら優しげに揺らすエイドリアン・ブリューには「何、ポリスのつもり?」との疑念をぶつけたくなってしまうな〜。時々切り込むライヒ風の多層奇数拍子シーケンスも何だか、ただの日和った歌ものにしないために義務的にくっついている感が拭えず。"Lark's Tongue In Aspic Part III"みたいなチャレンジがあった次作と比べると俄然テンションが低い。まあ思えば「宮殿」のあとにもその影でしかない「ポセイドン」があったことだし、フリップ爺は真新しいことに手をつけると丸々同じことを反芻して確認したくなる習性があるんでしょうか。そうとでも思わないと救われんアルバムですな。食い下がってでも現役であろうとした気概には感心できます。

  3月13日
本日の収穫、名駅69にてDIVINE REGALE「OCEAN MIND」。これを試聴してるときに久々に、そういや昔は「プログレメタルが一番好きな音楽だ」と思うくらいにこういうの好きだったな〜と思い出したので、今日は元・90年代BURRN!読者からそうでない皆様へ、プログレメタルについての見解をグダグダと。(クソ長い上に無意味です!)

1.プログレメタルとは何ですか

 私がBURRN!の白黒ページの輸入盤専門店の広告を必死こいて見ては買うCDを決めていた頃、デスメタルは大流行りだったけど、メロディックなメタルの正統派は死に絶えていたに等しく、代わりにプログレメタルなるものがかなり幅を利かせておりました。
 額面どおり「その創造性において進歩的な動性を持つヘヴィメタル」であるならそんな素晴らしい音楽はないわけですが、日本においては「メタルならば保守的である」という定理が支持されるために、仮にそんな音楽が存在しようものなら「メタルじゃない音楽に似ているから退屈」といってつまはじきにされてしまいます。
 そうではなくてプログレメタルは、「『プログレ』と括られる音楽のごく一部の要素(変拍子に乗る機械的なフレーズ、シンセを多用するアンサンブル等)を導入したメタル」となります。

2.プログレメタルの出自

 90年代に入って派手派手なLAロッカー達は消え、METALLICAやMEGADETHなどがHELMETやPANTERAみたいなバンドと一緒に大売れして、未知なる屈折性とそこから来る意外なパンチ力といったものがとかく求められた頃、DREAM THEATERが92年にATLANTIC傘下ATCOから2nd「IMAGES AND WORDS」をリリース。プログレ崩れのフュージョン趣味とかつてない激展開、複雑に組み合うアレンジ、ヘヴィ方向のモダンなアプローチの積極採用、等々といった内容で思いがけない成功を収め、これから世に出ようというメタルミュージシャン達に「なるほどメタルという資源はまだ、バカテクに依存する組み換え実験によって発展の余地がある、知性をアピールすることで今の音楽としての活路がある」と思わせてしまったのが、この手の音楽がアングラメタルシーンにたちまち伝播するきっかけになったと考えています。
 かくして世界中から有象無象のプログレメタルバンド達が現れるわけですが、DREAM THEATER級の成功を収めた後続者は結局のところ現れず。(せいぜいスウェーデンのPAIN OF SALVATIONがちょっといい線かというくらいか。)

3.プログレメタル現象の底

 彼らに共通していたのは、誰もが必ず「RUSH」「QUEENSRYCHE」「DREAM THEATER」の3項に分解出来てしまった、ということでした。

 RUSHはカナダの長寿バンドで、LED ZEPPELINの失敗版から始まってYESのような重厚長大プログレに憧れる時期を経て、その技巧性をコンパクトなポップス枠にカットアウトすることに成功した80年代以降、北アメリカでは定番大物バンドとして君臨し続けている存在です。
 QUEENSRYCHEは80年代中頃、パワーやエネルギーといったものが礼賛されていたヘヴィメタルに、音楽面においてはクールさや複雑さ、歌詞においては社会批判や哲学思想などを盛り込んで、インテレクチュアル・メタルの道をほぼ最初に拓いたシアトルのバンド。
 そしてDREAM THEATERは前述のとおり。

 この時期にプログレメタルを標榜したバンドというのはそもそも、聴くのも演るのもメタル純正培養な環境にいた連中しかいなかったため、組み換え作業にあたって参考にするといっても、素材として持ち出してこれるのは上記3バンドくらいのもので(WATCHTOWERとかもいたけど誰も模倣できなかった様子)、実らぬ錬金術の堂々巡りの末に「みんなQUEENSRYCHEかDREAM THEATERかRUSHじゃん」との裁定が下り、共倒れに終わってしまったのではないか、と今にして思います。

4.私とプログレメタルと現在

 そんな哀しき宿命も知らず、それっぽいバンドにガンガンそそられていた当時の私ですが、今現在手元に残ってるのは「声がいいバンド」か「曲が良くてイモくさいバンド」のどちらかになっています。前者はSANVOISENやIVANHOE、後者はENCHANTやEQUINOX(!)など。「上手くQUEENSRYCHEになれたバンド」は、残ってないというか、やっぱり買うときに試聴したりして「ちょっと面白くないなあ〜」とハジいていたのか、もともとそんなに買ってなかったみたいです。

 叙情ニュースクールハードコア方面からの奇跡の心臓マッサージによって、どういうわけか正統派メタルOKの風潮になった今や、すっかり過去の遺物感が漂ってしまってますが、テクニックと結びつくアレンジの豊かさというものが徹底的に試されていた音楽でもあるので、良いものを発掘すればそれこそマスロック的な興奮に出会えることもあります。キラキラするデジタルシンセや海より深いリヴァーブにめげず、好き者諸兄は探し歩いて頂きたいところ。

【本日のレビューその1:DIVINE REGALE「OCEAN MIND」】


ということでようやくこのCD。97年という微妙なタイミングに、QUEENSRYCHEの初期曲のタイトルをバンド名に冠してしまっているあたり完全にダメだなと思って長らくスルーしてたんですが、METAL BLADEというお家柄に望みを託して試聴してみたら結構良かったのです。ジェフ・テイトになり損なったヴォーカルはまあ「あっそう?」と流すとして、SANCTUARYやFATES WARNINGに近い、芯の通った叙情性のまわりに妙なヒネリを施すセンスの良さがなかなか好感。ゾリッとした感触のリフと複雑なリズムアプローチとのタッグが、時々ほかで聴いたことのない感じだったりもして、「敢えて長所に目をつけだすと少々侮れなくも思える」といったところか。何てマニア然とした聴き方なんだろうと自分が情けなくもなりますが、昔BURRN!の輸入盤レビューページで見て気になっていた1枚でもあるので、元マニアとしていい記念品にしておきます。全編デス声だったら絶対普通に名盤だったのになー。あっラストの長尺曲が名曲。

【本日のレビューその2:IVANHOE「POLARIZED」】


90年代プログレメタルの一連の作品で、私が未だにありがたく思っている数少ない1枚がこれです。ドイツのバンド(読みは「アイヴァンホウ」)の97年3rd。デビュー当初からDREAM THEATERへの傾倒を露にする人達でしたが、このアルバムでは本家が95年の「AWAKE」で敢行したヘヴィ&オーガニック路線への路線変更にまんまと倣うと同時に、「極端の域までブンと振り抜く」という原理までちゃんとコピーしていて、「AWAKE」の単なる模写に陥らずしてそれに近いインパクトを持つ力作にしてきているのです。しかもメロディが良くて曲が比較的単純なので、とにかく聴きやすい。加えて録音がやたら良好、シンガーの力量も最高。このアンディ・B・フランクという男、その後SYMPHORCEというバンドに移りますが、かのチャック・シュルディナーにCONTROL DENIEDのフロントマンとして引き抜かれそうになったこともある逸材です。いやー物凄い久々に聴いたけどやっぱり気のせいではなく名盤だ。10分の7は地雷というD級プログレメタル専門レーベル・MUSIC IS INTELLIGENCEからのリリースというのが信じられない。正統派好きの人も、ちょっとオシャレなKAMELOTと思って是非聴いてみて下さい。

 …それにしてもこの2枚、一見にして同じジャンルの作品とわかる、天体をモチーフにした青っぽいジャケの並びが笑えますな〜。

  3月12日
▼(昨日の続き)かといって何も特記事項のない日は収穫はなしでもないと締まらねーなぁ〜と軽く後悔しています。

【本日のレビュー:DEMENTED TED「PROMISES IMPURE」】


先日紹介したBEYONDの前身バンドです。リリースは93年にPAVEMENT MUSICから。プロデュースがあのATHEISTのマーク・ピンスケです。内容としても末期ATHEISTやらPESTILENCEやらにちょっと似たところがあって、テンポを落として複雑な単音リフを絡ませるシブ・味わい系テクニカルデスメタルをやってます。あるいはごく最近のNEVERMOREから徹底的にメロディを排除したような。適度に高速2ビートにもつれ込む部分もあり、いいバランスなんじゃないでしょうか。こりゃ分かる人には分かっていただける隠れ名盤ですわ。おーカッコイイ、デスラッシュ風にやる時は物凄いキレの鋭さです。パトリック・ヤンセンやみたいだったりする。日本じゃ全然知られてない名前だけど、こんなのが眠ってたとなれば、この頃のテクニカルデスシーンの裾野は広かったんですな〜。

  3月10−11日
▼日曜のテレビで一番楽しみにしているのは、「サンデーモーニング」のスポーツコーナーです。

関口宏:「次はカナダから『氷上の新競技』ということで…(激しくうねった氷のトラックを4人の走者がスケートで走るという競技を紹介するVTRを見ながら)こんな風に転んだりぶつかったりしてもいいんですねえ…おーー危ない…。で最後はこうやって(うつ伏せの状態で腹から)滑り込んでゴールと…。あー、どんどん2位以下の人が(既にゴールしてうつ伏せのままになっている先着走者の)上に重なっちゃってますね〜…」
(VTR終了、スタジオの画に戻る)
関口宏:「はい。」
張本勲:「喝だァッッ!!

 理由は「危ないから」とのこと。「観客にも喝」「審判に喝」「球団に喝」等、いつも物凄く意外なところを攻めてくるので参考になります。

午後は売りたいCDを大学のサークルの後輩に買っていってもらいまくるという在宅即売会を決行。それなりの量が減ったはずなのに、ビフォーとアフターで部屋の様子が全然変わってません。もっと減らさないと。売るばかりで収穫はなし。むむ、近頃の購入ペースならもう、何も買わなかった日にいちいちこれを明記する必要ないですな。いいライブ見て帰ってきた後とかに「収穫はなし」て書くのも嫌だなーと思ったりしていたので。ということで明日からなくなります。

【本日のレビュー:RIVERDOGS「BONE」】


近頃再三の激賞が止まらないロブ・ラモスがやっていたバンド。3年前ブックオフで適当に買ってみて最高だったデビュー作のみで消えていたと思っていたのですが、何とドイツだけでリリースされたこの幻の2ndがあることを最近知り、eBayデビューしてまでゲットした品です。93年、DREAM CIRCLEなる聞き慣れないレーベルから。結成当初にいたヴィヴィアン・キャンベルはこの頃DEF LEPPARDに加入するために抜けております。しかし作風はほとんど変わらず、BAD COMPANYやWHITESNAKEのアメリカ版みたいな、軽くアーシーでほどよい落ち着きと哀愁のあるハードロックをやってます。あー最高だ。ブルーズっぽいものを志向しながら、ギターの細かいイディオムがどうしても80年代HRの血統を引いてしまっているあたり、結局古典にも寛容なハードロックリスナーに聴かれるしか道がないのが勿体なくもありますが、ロブの恐ろしく艶やかなトーンの震えっぷりは、畑違いの人が聴いてもそれなりに感じるところがあることでしょう。と勧めたところでこの盤はなかなかそこらに落ちていたりしないので、1stもしくはロブ(綴りはRob Lamotheです!)のソロを発見された際には是非是非捕獲してあげて下さい。

  3月9日
収穫はなし。近頃CDを買う量が激減したどころか、既に所有している分もバンバン売りたいと思うようになって感じたことは、「欲に逆らえずついつい何々を集めてしまう」という行動の原動力って、その半分くらいは、累積した収集物に日々まみれるうちに負ってしまう「自分はこれを集める人だ」という使命感から自動的に与えられる助走、ないし単に惰性・習慣と呼ぶべきものの仕業でしかないなあということです。難しいことですが、「夢中」の中身はよく点検しないとやばいですねえ。夢中のうちに幸せに死んでいけるならいいですけども。

【本日のレビュー:ALLAN HOLDSWORTH「HARD HAT AREA」】


94年リリース。ベースにPACHORAYEAH NO他のスクーリ・スヴェリソンが参加しとります。ロックならばダークであるなんて論法が通りそうな時期の作品なだけに、超絶ダーク&プログレッシヴなのを期待しましたが、半分当たり。意外にバブルの名残を伝える軽薄なノリもありつつ、さすがに80年代前半のネアカ・モードからは卒業済みのようで、より危険なテンションのコードを多用。ゴーストノートが氾濫する煙のようなドラムと例の脱調高速レガートとが組み合うと、たちまちMESHUGGAHのギターソロパートにしか聞こえない。フュージョン然とした美麗な調性感をフィーチャーした曲でも赤面度が明らかに減り、フワフワと派手なシンセをアコースティックピアノに置き換えればそのまま、バークリー出の最近の若手がやるようなポップスでダシを取った非トンガリ現代ジャズになりそう。というかこのお方の進歩的なコードワークが研究されたおかげで今日の若手があるのではという気もします。トータル約40分と程よいボリューム、ポッと買ってみるのにいい1枚なんじゃないでしょうか。

  3月8日
本日の収穫、近所のブックオフでALLAN HOLDSWORTH「HARD HAT AREA」(94年、スクーリ・スヴェリソン参加)、MADONNA「THE IMMACULATE COLLECTION」(90年までのベスト)、ZZ TOP「AFTERBURNER」。アメリカのアマゾンは衣類も扱ってるのですね。先日のDOJOでケヴィン・シャープが着ていたHEADBANGERS BALLのTシャツがあったので注文しました。CDは買って聴かないと「聴くためのものなのに…」と非難の対象になってしまいますが、Tシャツは何となく堂々と「コレクションです」と言えそうな空気がイイです。

【本日のレビュー:CRYPTOPSY「NONE SO VILE」】


久々に聴き返してみました。やはり大名盤。後からCENTURY MEDIAが再発したりしてますが、手元にあるのは96年オリジナルのもので、WRONG AGAINからのスウェーデン盤。これ、まずジャケがデスメタル界屈指の名ジャケだと思います。やたら乾ききったサウンドプロダクションが昔は物足りなく思えて(多分メタルの典型っぽくないからでしょう)、1st「BLASPHEMY MADE FLESH」の方を推してたんですが、今ちゃんと聴くと全然こっちの方が迫力あります。もう少しコンプでガチッと成形されてた方が良さそうな感じもありつつ、レンジがきっちり広がってて分離がよく、細部まで聴き取りやすい。

 そんなことより内容ですわな。(まあデスメタルは半分音響モノなので、プロダクションもかなり重要な問題ではあるのですが。)獣の長い雄叫び、男の囁き、そしてコロロッ、ダーーッ!!と阿鼻叫喚に真っ逆さまなこの冒頭、タイマーで目覚ましに使ったら毎日寿命が縮むこと請け合いです。未だかつて存在したことのない超高解像度・激々々テクドラムの機銃掃射、ややブチョブチョと潰れ気味の刻みが却ってグロテスクな感触を煽るギターリフ、そして歌詞カードをどう読んでも全部「ユブゥブィーブュー」と言っているようにしか聞こえない"蟲王"ロード・ワームの腐乱臭ヴォイスの強烈さよ。デスメタルのレコードではフィーチャーされるどころかまともに聴き取れることすら少ないベースも、おいしい周波数帯をガキガキ鳴らしながらタイトに追従している様子が非常にクリアに収められております。

 で壮烈な演奏のみならず、激しく展開しながら聴き手の集中力を弄ぶフックを上手く設ける曲作りのセンスも非常に卓越したもの。リフそのものにも味わい(?)といえるものがあるし、疑問符の嵐を呼び起こす唐突なクリーントーンやら、普通ならこう来るだろうという予想の倍速で突っ込むあり得ないブラストの数々(4曲目"Dead And Dripping"強烈!)やら、ショック・エンターテインメントの極みであります。とにかくドラマーのフロ・モーニエは「デスメタルドラムの『あったらいいな』をカタチにしました」みたいな人ですね〜。で全8曲中6曲目というかなりおいしいポジションに、ピアノのイントロに導かれて始まる泣き泣き&キャッチーな大名曲"Phobophile"を配してしまう要領のよさ。作ってる当人達も絶対「これはとんでもないスゲー名盤が出来た」と途中で思ったことでしょう。その後演奏の上手い若手バンドならどんどん現れましたが、ここまで超高圧縮かつ芸術性の高い作品はなかなか出てきていないように思います。「マニア道に入門する気はないが、ものの試しに一番スゴイのを買ってみたい」という人にはこれしかないでしょう。

  3月7日
本日の収穫、eBayで購入したRIVERDOGS「BONE」。二日続きで長文だったので、今日は少し和んでいって下さい。

「この大河に比べたら俺らハトなんて…」

 ちなみに彼はこの後、コクコクと水を飲んでました。

【本日のレビュー:SLAPP HAPPY / HENRY COW「DESPERATE STRAIGHTS」】


歌ものレコメンの最高峰、SLAPP HAPPYとHENRY COWの合体企画第2弾。ちなみに第1弾はこちら。商業音楽に本気でケンカを売る猛者共を従えて、現代音楽、前衛オペラ、気楽なサイケポップやパブミュージックなどをシャッフルしたものを、史上最強の素っ頓狂おばさんダグマー・クラウゼがひょろひょろと歌い繋ぐ、DEERHOOFやPIT ER PATの直系の祖先に他ならないグレイトな内容です。無調変拍子は当たり前、しかしヴォーカルラインはあくまで歌として機能。ほんのりメランコリックだったりもします。余分なリヴァーブなどを一切付加しないプロダクションで、管楽器やピアノなどの各種生楽器を自由にコラージュするようなアンサンブル構築も全部、非っ常に今日的でありますな。裏の裏をかいて思わぬ角度からドパシャッ!とツッコミを入れてくるクリス・カトラーの肉感的なドラミングもかっこよすぎ。THE DISMEMBERMENT PLANとか31KNOTSとかがお好きな方にも大推薦します。あるいは渋谷系変態派の方々、プログレには興味あるけどKING CRIMSONとかGENTLE GIANTとか掘り下げるのだりーっすという人にも。

  3月6日
▼サウンドベイ春のバーゲンはやっぱり今月21日(水・祝)から5日間でした。ということで本日の収穫、金山サウンドベイにてSLAPP HAPPY「DESPERATE STRAIGHTS」(単体&リマスターで再発)。

▼で夜はEXTREME THE DOJO Vol.17行ってきました。いやー。出来るだけ手短に書きたいと思います。(後日註:無理でした。)

▼1番手はカナダのCRYPTOPSY。ブルータル・テクニカル・デスメタル界において、常人超え度が最も甚だしいと目される怪物バンドです。もう全ての音が速過ぎて、ほとんど曲として認識してる暇がありませんでした。あれは変速する波動だった。ともかくフロ(・モーニエ/ds.)の凄まじいドラミングにばかり目が行きました。モーラーシステムにのっとった全身連動型ユルユル打法で、ゼンマイ動力のオモチャのねじを回すときのチチチチ…という音と同じくらいの速さのブラストビート。ギター二人はクラシカルなフレージングのギターソロがとても上手い。ベーシストもずっと指弾きで、これくらい上手い人こそ使うのが許されるんだろうなという感じの高そうなベースを使ってました。ピックガードのような銀の装飾プレートに雲みたいなインレイの入った凄そうなやつ。

 ヴォーカルは初代のロード・ワームが出戻っていましたが、「NONE SO VILE」の頃のような全部倍音に聞こえる史上最醜ロー・ヴォイスではありませんでした。だがしかし存在感はあったなあ。曲展開などを含めて全体的には、まっとうなスリルというより、オエッとなるサプライズやら、来るの?来るの?来たーー!!みたいなホラー映画的揺さぶりやらといったダイナミクスの連続で主に成り立っている音楽なのだと強く感じました。なので別に名曲どうのと考えなくても「変速する波動だなー」でよかったんですね。終演後の拍手はしみじみと何度も起こり、会場の誰もが「凄いもの見たよ、ありがとう」てな気持ちになっている様子でありました。

▼続いてはポーランドの野獣VADER。肉食VADER。そういえばこのバンドは、2作目「DE PROFUNDIS」が輸入盤でバカ売れしていた頃、しきりにそのケダモノ度の高さを言われていたんだった。ということを今日のステージを見て思い出しました。MORBID ANGELから勿体つけるような気高さを取り去ってひたすら血に飢えまくった獣にしたような音楽性で、速度感が残る上限ギリギリのスピードでのブラストが常時炸裂。しかも腱鞘炎必至の超高速16分オルタネイトリフが凄まじく正確で驚きました。それを弾きながら一人はヴォーカルまでこなしていたわけで、ベテランデスメタラーのアスリート的能力の高さにはひたすら恐れ入ります。

 彼らはあまり激しいリズムチェンジなどを使わず、ちゃんとリフを聴けるように曲が組み立てられているので、CRYPTOPSYとは違ってわかりやすいスラッシュメタル的興奮も多く含みます。ライブの良し悪しをノレる・ノレないで判断するとすれば、今日一番ノレたのは間違いなくVADERだったはず。ダイブの量も半端ではなかった。また既に来日経験があるだけあって終始非常にフレンドリーで、「アリガト、ドーモアリガト。」などと慣れた様子で日本語を使ってくれていたのがちょっと嬉しくもありました。

▼そして最後にBRUTAL TRUTH。今回のリユニオンは、ハリケーン被害でえらい目に遭っているニューオーリンズのEYEHATEGODのベネフィットのためでもあるらしく、そのせいかはじめから「キラーなショウでお前らをアッと言わせてやる」的な様子がなくて若干リラックスした雰囲気が漂っていました。とりあえずメンバー全員、Tシャツ選びからヒゲの手入れ具合まで、それぞれに佇まいがかっこよすぎ。エクストリームミュージックをライフスタイルにして生活している人だなーという。

 で演奏スタート。まず気になったのは、リッチ・ホーク(ds.)!良い子のはずの一人息子が知らない娘を自室に連れ込んでセックスしている現場を見てしまったアメリカン・マザーみたいな、おおよそドラムの達人らしくない変な表情をしながら(それが途中で千葉真一のマネをする関根勤にクロスフェイドしたりもする)、首をすくめ、斜め後ろにのけぞり、腕は高く構えて手首もしくは指先のみでポポポポ…とブラストを繰り出すというド変態。そしてケヴィン・シャープの雄叫びがまた凄まじい。曲とか音楽とかといったことを忘れてしまうような野生の絶叫。小節のアタマが合わないなんて当たり前というノリで繰り広げられる体当たり的演奏に正直、先に出た2組より圧倒的にヘタじゃないか…などと最初のうちは思いました。

 しかしそれは音圧の慣れの問題。多分ですが、今日出演の3組でBRUTAL TRUTHだけが、バスドラにトリガー(ビーターのヒットを感知してあらかじめ用意された音源を鳴らす装置)を使っていなかったのです。違和感がなくなってくると次第にバンドの(広義の)グルーヴというものがありありと見えてくるようになりました。不可視だが確実に存在する「音の中心」をとりまいて各々の演奏が繋がっているような感覚。ヘタウマでも何でも問題なし。ダイブの嵐の代わりにモッシュピットがどんどん拡大し、本編ラストではケヴィン自らその中へ身を沈めるという男らしい展開に。アンコールの要求が起こるとダン(・リルカ/b.)が「もう一回"Walking Corpse"聴きたいの?」などと散々それらしい振りをした挙句、ズドドドドッと全5拍くらいの短い曲だけをやってまた去っていきました。さすがだ。

▼ということで芸のCRYPTOPSY、曲とパワーのVADER、熟成グルーヴのBRUTAL TRUTHと三者三様で、まあBRUTAL TRUTHはもっと普通に上手ければ感動もひとしおだったかも知れませんが、充分に得るところのあるイベントでありました。そしてこの手のバンドはやっぱり、ちゃんと見るなら一度に3組くらいが限度だなとも思いました。全員メインアクト級のバンドで演奏時間もそれ相応の長さをやっていただけに、最後は少々グッタリ気味になりました。前列に出ると自動的にステージを見上げ続けなきゃいけなくて首が痛くなるのもしんどい。クアトロじゃなくて他にどこかないですかねえ…。ないな。

  3月5日
収穫はなし。明日はBRUTAL TRUTHとCRYPTOPSYとVADERがいっぺんに拝めます。信じられねー。ありがとうEXTREME THE DOJO。開場までに中途半端なヒマが出来る予定なのですが、CD屋を見に行く以外に出先でのヒマの潰し方を知らないので、こういうときは毎回困りものです。コーヒーでも飲んだらいいですか?散歩の犬を貸してくれるサービスとか、既にあるらしいけどもっと普及しませんかね。

▼予習のために現在BRUTAL TRUTHの過去のリリースを聴きまくっているので、今日はレビューは割愛して代わりにBRUTAL TRUTHについて漫然と書いてみようかと思います。

 デスメタル/グラインドコアが世界規模でまさにグングン盛り上がっていた92年に放った衝撃のデビュー作のタイトルが「EXTREME CONDITIONS DEMANDS EXTREME RESPONSES」。1行にEXTREMEが2度も入るアルバムタイトルをかつて誰がつけたでしょうか。邦題は簡単に『激昂たれ』とされていましたが、忠実に直訳すれば「極限の状況は究極の応答を要する」となります。それでジャケは世界各地の虐殺現場や工業都市、装束を着た人種差別集団の姿、核の雲などの雑然としたコラージュ。本当にどうしようもなくなると人間はどこまで行くか、その前人未到の極限性というものを突き詰めようという姿勢はこの時既にハッキリと表明されていたようです。また彼らは相当ハードなドラッグ常用者であることを公言しており、それゆえか「良識のリミッター」を棄て去って行う求道行為には一切の妥協がありませんでした。

 グラインドの王道を築いたと言われながらも、スラッジやインダストリアルなど、己の病性を体現するものなら何でも貪欲・奔放に乗りこなし、94年にリリースした2ndフル「NEED TO CONTROL」ではパイオニアの貫禄と筋力をしかと見せつけました。このアルバムで聴かれる変態サイコ・サウンドは、そのまま今日のRELAPSEサウンドの礎になっている気がします。そして更に病みきった「KILL TREND SUICIDE」EPを経て、不倒の金字塔「SOUND OF ANIMAL KINGDOM」に至り解散。何とパーフェクトな生涯だったことか。

 グラインド界においては未だ並ぶ者のない存在でありますが、パッと聴いてBRUTAL TRUTHに相当するような戦慄を覚える音楽ならば他にもちらほらある気がします。妥協なく突き抜けたことをやりきった成果物というのは往々にして、一瞬逃げ出したくなるような鋭さをこちらに向けてくるもの。というのをわかりやすく一言で語った「芸術は爆発だ」という有名な言葉がございます。「BRUTAL TRUTHみたいかどうか」というのが価値判断のひとつの基準になるなあと今更ながらに思ったりしました。岡本太郎に聴かせていたらウンと言ったかどうか。

  3月4日
収穫はなし。高校の頃に買って長らく行方不明だった、ANTHRAXのキャップが突如発掘されました。

 どうやって普段着に組み込んだらいいか教えて下さい。

 あとラジオ番組のプレゼントで当たった、「背中に『VH』の燃えるロゴが踊るVAN HALENのスタジャン」も実はあります。

【本日のレビュー:THE POLICE「OUTLANDOS D'AMOUR」】


78年、物凄く軽薄なやり方でレゲエを借用したニセパンクをやっているこのデビュー作、世を忍ぶ仮の姿と分かってはいても、たまにそのへんで流れてると「カッコイイなあ〜」と聴き入ってしまいます。しかもよく聴きゃ既に各人、その後の作品とも負けず劣らず、けっこう好き勝手やってますね。細かいハイハットワークとタイト極まりないタイム感に耳を奪われるが実はハクチ系パワーヒッターであるスチュアート・コープランドの、容赦なくボスボス決まる一打一打の重みにはとにかく圧殺されそう。アンディ・サマーズの狙いすましたバッキング構築の手法は、パンクバンドのギタリスト達より俄然ロバート・フリップ寄り。(ラストの"Masoko Tanga"なんぞはディシプリン先取りのド変態アプローチ!)スティングの歌はまだ上手いんだか下手なんだかわからん感じもありながら、皮肉で批判的なノリは何となく漂います。ラブソングを囁くようになってからとは大違いだな〜。レゲエを導入したのは「休符が多いから、歌いながらベースを弾くのが楽」なんて理由もあったそうですが、意外に凝ったパターンで頑張ってる場面もあります。普通に達者。うーむ聴くほどに「何つー3人が集まったんじゃ…」と信じられんバンドです。まっすぐな信念も情熱も込められていないこの音に、全くもって「感動」することはないですが、そんなことには関係なくコーフンします。何の問題もない。

  3月3日
▼今日は機材日記で。先日オークションで大枚はたいて買った、エディも愛用のスピーカーシミュレータ・PALMER社「PGA-04」を、ここ2・3日でようやくちゃんと使用してるんですが、非常に良いのでそのリポートといきます。どういう機能を備えた品かというのは日本の販売代理店の紹介ページを見ていただくとして(写真は中段の斜めに写ってるやつです)、使い勝手と効果のほどを。

 もともとチューブアンプなどのスピーカーアウトから直接繋いでレコーディングに使えてしまうというものなので、アンプリファイされていないライン信号だと、使えるには使えますが非常に出力が小さくなってしまいます。なので私は、VOXの格安ミニアンプ「PATHDFINDER10」(名前のとおり10W)のヘッドホンアウトからボリューム最大で出したものを、更に某B社のしょぼいチューブプリアンプでレベルアップしてMTRに送っています。写真。↓

おっと…

これです。(チューブプリは写ってません。)

 そしてトレブルとベースにあたるツマミで音を作るわけですが、そのエフェクト音のみだと相当ダメで(なので簡易版のPDI-09はオススメしません!!)、ドライ音を適宜ミックスして使います。ドライ音のチャンネルは6kHz以上をカットするスイッチがついておりまして、これだけでもなかなかイケてしまいますが、上手い具合にエフェクト音を絡めていきますと、なるほどいい塩梅。

 ・オーディオサンプル1(ダンエレ59DC使用 / バッキング)
 ・オーディオサンプル2(レスポール使用 / 単音弾き)

 歪みはいずれもミニアンプ直です。エフェクト音は更に「BROWN」もしくは「LITE」のカラーが選べて、レコーディングで左右のバッキングの音色を微妙に変えたいという状況にも便利。

▼以上、ただの真面目なリポートでした。どうぞお役に立てて下さい。収穫はなし

【本日のレビュー:THIN LIZZY「JAILBREAK」】


聴き込んだ者には「名盤です。」としか言えない永遠の名盤。アイルランドはダブリン出身の長身ベースヴォーカリスト、フィリップ・ライノットが率いたハードロックグループの76年作。THE CLASHみたいなツカミのいいパンクにも通じるような優しいアイリッシュ・フィーリングと、微妙にオシャレなパブロック風のノリなどを、ツインギターでハードロッキンに響かせるという、後にも先にも同類といえる存在のないバンドでした。歌詞は大抵「ワルい女がどうの」とか「脱獄で大騒ぎでこうの」といったものばかりなのに、家に帰ったような温かみに溢れてるのが何とも独特。このアルバムは特にそういう雰囲気が強く、まあとにかく最高なんですわ。イギリス人としては異例の歯切れとバネのよさで軽妙にカッ飛ばすドラマー、ブライアン・ダウニーがいい仕事をしてるのも見逃せません。フィル・ライノット以外のメンバーチェンジが常に激しかったこのバンドにおいて、結成以来ただ一人の不動なる仕事人が彼なのでした。そして名物のツインギターはこの時はスコット・ゴーハム&ブライアン・ロバートソン。特別目立つことはしないが堅実な屋台骨コンビです。ヨラテンのジェイムズからC.O.C.まで広く愛されるバンドです、ハードロックに興味が無くても是非一度。

  3月2日
収穫はなし。ココイチことカレーハウスCoCo壱番屋のファンとしては非常に気になる、名古屋名物・あんかけスパ専門の姉妹店「パスタ・デ・ココ」に今日初めて足を運びました。…薄々判っていたことですが、あんかけスパがあまり理解できない者にとってはやはり結構イマイチ。あの「香りはトマト、味はコショウ」なソースがもし、ココイチのカレー同様に麻薬的魅力を秘めていたのなら、5回目くらいで「これしかない」に転じるかも知れませんけども。サイドメニューでガーリックトーストなどに混じって、これまた名古屋名物・小倉トーストもあったので、県外から遊びに来た人に名古屋の何たるかを知らしめるには適当でしょう。朝コメダ、昼ここ、間食にすがきや、夜は適当な激盛り系の有名店に行けばよい。ライブで遠征にやって来るバンドマンの方々も是非、名古屋ネイティブの日常食ではない「ひつまぶし」や「手羽先」、食べてみればかなり普通な「味噌カツ」などに踊らされず賢いチョイスを。本当に食べてほしい名物は「天むす」です。

【本日のレビューその1:CASTLE「CASTLE」】


随分前に買ったオランダのしょぼしょぼゴシックドゥーム。リリースは初期SOULGRINDなども出していたMALODOROUS MANGLED INNARDSから。中世風の線描と回路図記号みたいなのが重なったジャケが非常に謎めいてます。CELTIC FROSTや大昔のTIAMATが失敗したみたいな激シブD級サウンドがなかなか愛くるしい。カシオトーンかよというチープなキーボードを堂々と「ピアノ役」「ストリングス役」として投下してくるのが何だか斬新。真面目な学芸会というか。切り込んでくるギターソロが何故かことごとくリッチー・サンボラ風なのも不条理過ぎて泣ける。今となっては穿ったマニア向けの品でしょうか。激シブ!

【本日のレビューその2:EARTHCORPSE「BORN BLEEDING」】


ベルギーのSHIVER RECORDSから。イギリスのバンドで、95年なのにデビューしたてのMY DYING BRIDEやANATHEMAそっくりの音楽性をやっています。含みのある湿ったフレーズはそれなりに質が高いものの、それだけに却ってB級以下ならではの面白みはあんまりありません。イギリスの没個性バンドって大抵そういうまとまり方をしてしまっている気がする。わざわざ夜遅くまで起きてまるで専門誌のレビューページのような悪辣な批評を書くこともないといえばないんですが、今日は未聴CDの公開消化ということで。

【本日のレビューその3:MORDOR「ODES」】


内容が悪いというかもはや「音が悪い」というイメージのある世界有数のZ級メタルレーベル・WILD RAGSからリリースの、多分スイスのバンド。90〜91年に録音された4曲を収めた盤(恐らく唯一のリリース)です。スイスというと当然CELTIC FROSTの国なので期待が高まりますが、意外とそれに応えてくれるこのバンド。ディストーションギターかノイズかわからない汚い音に荒涼としたシンセ、チープさを厭わない打ち込みドラム、深いリヴァーブのかかったヴォーカルが織り成す超アトモスフェリックなノイズゴシック!ディープ!ABRUPTUMESOTERIC、BURZUMやULVERなどを彷彿とさせる…と書くと聞こえが良すぎるか。もはや一周してTEMPORARY RESIDENCEやNEUROTから出ててもおかしくない気合の入りよう。うわー途中からJACULA(イタリアンプログレ史屈指のオカルティックオルガンチェンバーユニット)みたいになって大変だ。やっぱりヨーロッパの山奥からは何が出てくるかわかりません。

  3月1日
収穫はなし。昨年の暮れに会った大学のサークルの後輩が、たまに日記見てます、熟読するときもあればス〜と流すときもあります、て話の中で「『とりあえず写真が載ってる』のっていいよね。」と言っていたので、人に頂いた2月のライブの写真でも載せておきます。↓

参考資料:エディのギター。↓

いいTシャツだった。また着よう。

【本日のレビュー:VAN HALEN「5150」】


デイヴ復帰で沸くVAN HALENですがここはひとつサミー・ヘイガー時代を省みようということで、加入一発目のこの86年作を。レンタルでカセットにダビングして聴いていた中学生時代は気付きませんでしたが、冒頭第一声のハローベイベは「加入したぜ!ヨロシク!」という意味合いもあったんですな。いきなり6弦をAまで下げたヘヴィ・ロックンロール・チューンで軽快に飛ばすものの、スネアと金物以外がエレドラになっている、ハイトーンをソウルフルに震わす売れ線野郎が歌っている、2曲目で早くも甘々ラブバラードが出てくる、等々、旧来のファンが拒絶する由々しき要素満載ではあります。

 しかしです、ポップス然とした楽曲に見事対応しきって仙人級のバッキングセンスを相変わらず発揮するエディは、やはりリスペクトせねばなりません。またラジオ・オリエンテッドな軟派ソングとしては"Jump"より数段完成度の高い"Dreams"のような曲を作ってきたということで、一時の気の迷いではなくこういう方向性でもやっていけるポテンシャルがあったことをきっちり提示しているではないですか。デイヴのようなカリスマが抜けたあとにデイヴのそっくりさんを入れても不毛なだけだし、"Jump"が当たった以上はそうならざるを得なかった行く末を最善の形で体現した力作だったのではと思います。

 失敗だったとするならやはり、いくら実力派とはいえサミー・ヘイガーがデイヴと比べると圧倒的に影の薄い人だったという点に尽きるんでしょう。「デイヴ・リー・ロスが歌っていた最高のバンドを思い出させてくれる、唯一の純正な、かつ非常にフラストレーションのたまる存在」という、ボン・スコット亡き後のAC/DCと同じ立ち位置で、よく長い間頑張ってくれたものです。悪くないはずなんですが何なんでしょうね、この3人の演奏はこの声のためにあるんじゃないという思いが拭えなくなるほどの、抗い難いマジックが初期にはあった、と言うしかありません。てことで結論はやっぱり「デイヴが出戻ってよかった」でした。と思ったら早々、契約のゴタゴタでベスト盤とツアーの延期が伝えられてます(しかも「無期限」との話も)。がっかり!

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