物色日記−2007年6月

※頻出語句解説はこちら
  6月29−30日
本日の収穫、HMVから到着したLOU BARLOW「MIRROR THE EYE」、WOLF「THE BLACK FLAME」、二重購入でないことを確認して4日振りのサウンドベイ金山でIRON MAIDEN「KILLERS」「PIECE OF MIND」、JUDAS PRIEST「DEFENDERS OF THE FAITH」いずれもリマスター買い替え。こんなとき、行き慣れた店でこんなド定番だけ買って帰るのは少々恥ずかしいな、と無駄な心配をせずにはいられません。それとも実際あの店員はメタルの定番をわかってる人だったりしただろうか。にしても、プリーストのリマスターはサッパリ良くないですね。「ラウド」を誤解した過重コンプの改悪です。赤文字の旧盤に買い直さねば…バカバカし過ぎる…。

▼遅れ馳せながらHMV通販でCDと一緒に、本秀康「ワイルドマウンテン」の4巻も買いました。男の中の男だよ町長さん。

【本日のレビュー:WOLF「THE BLACK FLAME」】


出ましたスウェーデンの天才オールドスクーラーの4作目!出ましたというか去年出てました。当サイトでも再三プッシュしているバンドです。今回はとうとうSTUDIO FREDMANにてフレドリック・ノルドストローム録音。出世したもんです。内容的にはデビュー当初の、笑撃の残像メイデン!な佇まいはすっかり消え、「WELCOME TO THE BALL」の頃のVICIOUS RUMORSやら、デイヴィッド・ウェイン(ex.METAL CHURCH)のREVEREND、もしくはFIGHT(!)あたりを思わせる、ダーク&ガッツィーな90年代間際スタイルへと移行しています。本当にこのバンド、正統派メタルが生誕以来辿っていった紆余曲折を見事なまでにトレースしてます。凄いセンス。進む洗練と反比例して印象に残る楽曲が減っていくあたりも忠実。もはやここに求めるべきは、その場限りの「名曲」なんかじゃございません。ヘヴィメタルに起こったすべてをこれからもどこまでも愛してくれ、そしていつまでもニンマリさせておくれ、という望みあるのみ。次はグランジにかぶれるのか?PANTERA化か?しかし今現在、既にHALFORDっぽくなってるような気もするので、暗黒時代はスッ飛ばして現在形正面突破に取り組むのでしょうか。いずれにしても楽しみだ。あっラスト前で来ました、バイクのエンジン音SEイントロ!続く"Metal Meltdown"系のキラーチューン!やるな〜。

  6月28日
収穫はなし。年末年始にいきなり内耳に液体がたまって以来、細々と通院して観察を続けていたアデノイド肥大の件、先々週にやったダメ押しの血液検査の結果「まあもともと人より大きい上に慢性の炎症か何かを起こしているんでしょう」ということで決着がついたみたいです。ひとまず安心という流れになったところで、医師てのは思いがけない隠し玉を明かしてくるもの。悪くても癌だろうと思っていたら「一番恐れていた悪性リンパ腫を疑うような要素も出なかったし」とのたまう。いやーやめて下さい。とりあえずフジロックまでに病死することはなさそうなのでよかった(人知れず普通に心配してました)。

【本日のレビュー:BROKEN HOPE「REPULSIVE CONCEPTION」】


シカゴ・デスメタル・シーンの第一人者BROKEN HOPEの95年作です。通算3作目でしょうか。臓物のつまったタンクをスコップでズモズモとやるような、ダウンビート一辺倒の非常にえぐい内容。時々ブラストも挿入されますが飾り程度。草くさいドゥーム/ストーナーではなく、あくまで冷血非人間ブルータルスタイルでのっしりのっしり攻めてくるというのはなかなか異色なんではないでしょうか?テンポを落としてもこれだけ間が持つということで、リフのセンスの良さが際立ちます。ロウ&ディープなガテラル声も強烈。下水道ゴアグラインドを凌ぐ嘔吐感に酩酊しましょう。オススメ隠れ名盤。

  6月27日
▼DOIMOIで、1年以上ご無沙汰の鶴舞KDハポンにて演奏して参りました。ライブをする度に「うーん今回もKYの糧になったね」と言ってばかりな気がします。ともかく今日はURTHONAと葉っぱの裏側シスターズという最高の共演者に恵まれたので幸福でした。客として。ヴォーカル二村はたぶんチューニングの狂いにくいギターを買うと思います。私はメガネをさりげなく頭の後ろでつないだりして固定できるバンドのようなものを探しています。

【言葉にできない名盤シリーズ:TWISTED SISTER「YOU CAN'T STOP ROCK'N'ROLL】

  6月26日
本日の収穫、金山サウンドベイにてEMBRYO「SURFIN'」(リマスター、74年)、BERNARD SZAJNER「SOME DEATHS TAKE FOREVER」(ベルナール・パガノッティ&クラウス・ブラスキス参加!80年)、STYX「KILROY WAS HERE」、COUNT RAVEN「STORM WARNING」、SAINT VITUS「C.O.D.」。そして夏のバーゲン情報ゲットです。ここ数年の傾向どおり海の日終わりで3日間、7月14日(土)〜16日(月・祝)でした。さあさあ遠方からもどうぞ。

 にしても、一度コンプリートしたものを順次リマスターで買い直しているものとか、店頭でヤッタ〜といって発見しても、いまいちどれを持っていたか不安になって買えずじまいになってしまうことがよくあります。今日迷って念の為やめといた2枚はやっぱり両方買ってくれば良かった。こんなとき家族と趣味を共有してたら便利だなと思います。電話かけて、「ブリティッシュメタルの棚のさー、××××の『×××』ってリマスターで持ってたか見てみてくれる?」などとカロヤカに確認できたらどれだけ助かることか。

【本日のレビュー:EMBRYO「SURFIN'」】


暑い夏にはEMBRYIO。マル・ウォルドロン・トリオ〜AMON DUUL IIに端を発し、サイケ/多国籍音楽をその時々の気まぐれで大量投入してくる危険なジャーマン・ジャズロック・グループです。これは74年の作品、マイルス「GET UP WITH IT」と同年。これの2枚前「WE KEEP ON」は聴いたのですが、それより随分とファンク寄りに移行するとともに、東欧〜中東風味を絶妙に連れ込んでいるというか、安易な「結着」「合体」ではない完全な「同化」の域でエスノ・サイケをツッパリ・フュージョンにしてしまっている、猛烈にひょうきんなアルバムです。しかしながら「額に入った完成品」というほどの圧倒的な重みを放つことはなく、ドイツらしい「やってみました」がポンポンと積まれているような気楽さがまたいいですね。プログレともジャムバンドともつかないこういういかがわしい系グルーヴ・ユニット、最近けっこう人気があるような気配ですので、そういうの好きな人はEMBRYO是非ともいっといて下さい。

  6月25日
▼(23日の続き)と思ったら姉の方が気に入ったのか、今日も普通に親子で聴き流してました。う〜んシュール。収穫はなし

【本日のレビュー:CANNIBAL CORPSE「THE BLEEDING」】


悪名高きUSブルータルテクニカルデス名バンドです。これは初代シンガーのクリス・バーンズ在籍時ラストとなった94年のアルバム。それまでは本当に本当に見るも無残な屍体イラストのジャケで通してきたのに、突如このシンプルな血しぶき画(実は内ジャケを見るとこれが死屍累々の地獄絵図の一部分であることがわかります)に一変、アルバムタイトルもやけに簡潔になり、そしてクリアすぎるほどクリアなプロダクション。まさか「コマーシャルな成功」を狙っていたんでしょうか?デスメタルなのに!まあデスメタルもPANTERA系と渾然一体になってもしかして売れちゃうかもという空気が確かにこの頃はありました。

 で音楽的内容の方も、いつになく聴こえのいいリフづくしで端正にまとまっており、リスナーの新規開拓も念頭に置いたとっておきのヨソ行きバージョンとしてしっかり洗練されております。とはいえ無論いつもどおりの「不穏な高速短3度トリル」「我慢して我慢して急にピョーッ!と吐いたかのようなピッキングハーモニクス」「デジタル早送りを思わせる無謀なリズムチェンジ」等は健在。持続するスピード感で一気に気持ちよくしてくれる場面を作らず、次は鉄パイプ、今度はチェーン、と終わらないリンチを受けるような不快感はやっぱり独特です。この不条理なびっくりアイディアの数々をデスメタル界だけに囲っておくのは勿体ないなー絶対。実際これが売れて世の中変わってくれてたら良かったんだけど、本性(内ジャケ)がこれじゃやっぱり売れませんわな…。↓

  6月24日
収穫はなし。昨日の日記をズルして今朝書いたのにアップロードし忘れていたことが今日一番のショックです。

【本日のレビュー:GENESIS「DUKE」】


CD購入量が落ちるとこうしておもむろに昔聴き込んだのを取り上げていくしかないですね。ロックな変拍子+ドリーミーな歌心+緻密なアンサンブル、と並べると「それはポスト・ロックですか?」と訊ねられそうですが、それはGENESISです。時代がようやく追いついた感のある最高のバンドですよいやーいやー。古いものはとにかく名盤が多いですが、アルバム単位で一番好きなのを挙げるとすれば、5人が4人、4人が3人と徐々にメンバーが減り、フィル・コリンズのヴォーカルを大黒柱とするポップス・ユニットとして生まれ変わっての第2弾となる80年リリースのこれになります。

 かつてはアナログの片面を丸々使って重厚長大な大曲をやっていたとは信じられないほど、5分台前後のコンパクトでポップな曲が並ぶ構成になっておりますが、皮の下に忍ばせたプログレ然たる屈折性、依然止まらぬアナログシンセの洪水、どこかで天上と繋がっているかのような幻想&気品のコードワーク、更に時代柄フュージョンソウルやバラードものAORみたいな色も混ざりあい、まー何とも言えない作風になっているわけです。ウエストコースト化したクラムボンのLPの針が飛びまくったかのような変則ポップス"Turn It On Again"ほか、今だからこそ再発見していただきたい名曲多数。そして「ハゲオヤジ・フィル・コリンズはドラムがとても上手い」ということも是非知って下さい。

  6月23日
収穫はなし。片田舎からフジロックにいきなり出場となると、まだごく少ないですが、地元媒体の方にインタビューなんぞをして頂くこともあるようです。今日は丸の内「名古屋タイムズ」にお邪魔して舌っ足らずを披露して参りました。あくまで音楽誌ではない一般紙なので、かなり本質的な事項を、専門的でない語彙を使ってひとくちで説明すべき局面がけっこうあり、なるほどこういう対策が必要か…と勉強に。

姉の赤ん坊に、レイモンド・スコットの「赤ちゃんのための電子音楽」を聴かせてみました。結果は、「影響したのかどうか不明」でした。

【本日のレビュー:SOLSTICE「SOLSTICE」】


大好きなアルバムをブックオフで見かけたので聴き返しております。これは確かドラマーが一時期MALEVOLENT CREATIONに参加していたはずのフロリダ産でスラッシュバンド。デスラッシュも何も、92年にはこれがただの「デスメタル」だったわけですが。VIO-LENCEEXHORDERを更にインテンスにしたような高機能野獣系サウンドがとにかく快い。内ジャケでもKREATORのTシャツ着てる人がいます。で件のドラマーはやっぱりかなり上手い人で、器用でキレてパワフルな逸材。サンクスリストの後にある「影響を受けた人達リスト」の一番最初にいきなりピート・サンドヴァルが来てるあたりからして気合のほどが伺えます。音楽的にはもうほとんどこれ以上の説明は要らないっすね。オールドスクールの隠れた名盤なので聴いて下さいとだけ。エド・レプカによるジャケもグレイト!!

  6月22日
▼今日は久し振りに肉焼いてきました。不幸なほど満腹になるのを楽しむ余裕があったのも4・5年前まで、その頃の不幸閾値に全然達しないくらいのごくごく適正な量でおなか一杯に。というか、店主の勧めによって最初に頼んだホルモン3人前のお陰でその後の牛や鶏を思うように堪能できなかったのが無念。確かにホルモンうまかった、久保さんご馳走様でした。

▼肉の前にP-CAN FUDGE、グレイテストヒッツと寄るも収穫はなし

▼たまに物凄く集中して何かの作業をすると、集中して頑張る予定だけ立ててそれをまったく実行できない普段の自分との落差にびっくりします。今日はこの前録ってきたドラムトラック5曲分に、ギターパート全般(バッキングLRおよびリード類)と歌録り用の仮ベースを録り遂げました。こういうサラリーマンだったら喜んでやるなー。月給制で在宅ギター録り。

【言葉にできない名盤シリーズ:SIEGES EVEN「SOPHISTICATED」】
あろうことか今日今池ピーカンで見ました。レーベル倒産済みなので、あるうちに買ってください!どアクロバット変拍子発奮フュージョンメタルバンド。

  6月21日
収穫はなし。暑くなってくると、部屋の窓をあけて過ごす家庭が増えるので、静かな夜道ではドメスティックな音声がよく聞こえちゃいます。強圧的な沈黙を効かせながらお母さんが「…んだったら…なさいッ!」と小学生くらいの子供をきつく叱咤中の家の横を自転車でスーと通り過ぎ、タイミング良くクロスフェイドしてきた「ウェウ、ウェウ!…ゥ〜ウェウ!」と吠えるイヌの声が(トーン、間合いともに)先のお母さんのそれとあまりに似ていて、人間、不用意に激昂するもんじゃないなと教訓になりました。

 あーあきっとこんないやらしい厭世的な日記はアクセス数を下げるに違いない。今日は姉の赤ん坊を一時的に泣き止ませるのが得意であることが判りましたよ。

▼何と昨日の文中にリンクしたWNIの週間天気、最新版をいま見たら「(※予報が変化する可能性があるので、こまめに予報を確認するのがオススメ。)」との一文が現れていました。アクセス解析かシンクロニシティか。いや、けっこう頼りにしてますから、悪いのは天気の方ですから、スターキャットで見れなくなってちょっと寂しくなってるくらいですから、これからも頑張って予報してください。

【本日のレビュー:CELESTIAL SEASON「FOREVER SCARLET PASSION」】


THE GATHERINGを輩出したアングラゴシックデス大国・オランダ産の中堅バンドCELESTIAL SEASONのデビュー作。93年にフランスのADIPOCEREから出てます。一時期以降は没個性なオールドロッキン暴れストーナー化してあんまり面白みを感じないのですが、この頃は全然洗練されてなくてイイっすね。ANATHEMAとCATHEDRALがチャンポンになりながらも隠しきれないIRON MAIDEN、てな冒頭曲から破綻しまくってます。初期ORPHANAGE(これも同郷オランダ)のような整然としない古楽風のあやしい調性感もまたよし。意味不明の激展開はMISANTHROPEの影響か!?XYSMAよろしく突如軽妙に切り込んでくるカウベルとか、CELTIC FROSTのトムを明らかに意識したつぶやき普通声とか、ムダにリフとユニゾンするヴァイオリンとか、まさに変態ゴシック愛好家のツボをズドドドと撃ち込んできます。なんだ最高じゃないですか。きっと廃盤なので発見次第買いです。プログレッシャーやスカムジャンク好きにもオススメ。

  6月20日
収穫はなし。ブックマークに入れているWNIのピンポイント週間天気、毎日見るたびに変化します。いっそ「いつ降られても文句ないように用心して下さい」とだけ書いておけばよいのに。昨日の日記が狭すぎたので、今日はお天気の話題でバランスをとってみました。「とくダネ!」で天達君の後ろにヤンヤヤンヤ、映ってるぜぇ〜!と騒ぐ人々が現れると、目に余るので本当に画面から顔をそむけてしまいますが、いつかこっそり「後ろに『バカ』を展示しております」とかテロップ出してくれないかなと思っています。

【本日のレビュー:MAD SEASON「ABOVE」】


ALICE IN CHAINSのレイン・ステイリー、PEARL JAMのギタリスト、SCREAMING TREESのドラマーなどがやっていたユニットの1枚きりのフルアルバムです。95年COLUMBIA。AICつながりで大昔にとりあえず買って、中身の印象がまったくないまま今日に至っていたことを思い出してウン年振りに回転しております。CDは回転させんといかんですな。改めて聴くとなかなか面食らう内容で、メランコリック&サイケな1曲目は何故か60年代後半の様相。各メンバーの出自もそれなりに匂ってくるものの、基本的には、オルタナブームの大きな柱であった「MTV時代以前への回帰」が高じてオールド・ユルユル・サイケ・フォーク&ブルーズ・ロックを標榜してしまったような感じです。ああ…、雰囲気に浸りすぎてフックというものが一切見当たらない。こういう音楽はまあこんなもんでしょうか。かなりコアに突き詰めてる分、あーグランジだなーという古臭さは少ない気がします。現在はSUBPOPでシブ枯れSSWとして活躍しているSCREAMING TREEのマーク・ラネガンもちょっと参加。

  6月19日
収穫はなし。何ヶ月も前からこのために少しずつ買って備えていたSENNHEISERのMD421が、BEHRINGERのあやしいマイクプリが、BELDEN8412のキャノンケーブルが、ようやく日の目を見て感無量。バンドの新作用の録音はじめました。自給自足派貧乏なので、普通の練習スタジオに数年来愛用のKORG D-12をかついで乗り込み、まずはドラム録り。リムに直接マウントするマイクホルダ使用でスネアはほんとバッチリ、途中でスタンドが下がってきたみたいなよくあるトラブルは一切回避。でケーブルをちゃんとすると、録ったあとの化粧ノリがいいというか、EQやエキサイターがきれいに効いてくれます。そしてドラムはドラマーが叩くべきですね〜。ヘタ隠し用の極端なコンプが要らないってのは素晴らしい。自分で叩いてたときはミックスの段になってどんだけ手を加えたことか…。年末年始頃に急に整備したオーディオ環境(モニタースピーカーの定番YAMAHA NS-10M導入)のお陰でミックス作業自体も非常にやりやすく、あとはORANGEのTINY TERRORをPALMER PGA-04にブチ込んでのんびりギター録りですよ。歌録りになったら三角形のメタルポップガードが威力を発揮するはず。

 いやー、「録音用」と称してどれだけ散財してきたのか列挙して確認してみました。あと書いてないけど使ったものはAKG C3000BとSURE57。ヘッドホンはAUDIO-TECHNICAのさほど立派ではない品。エンジニア道をドラクエIIIで表現するなら「くさりがま」「かわのよろい」「せいどうのたて」「かわのぼうし」がようやく揃ったところでしょうか。以上、録音機材に興味がない人には完全に無意味な日記でした。ドラクエIIIか〜、たまにやりたくなりますなー。

【言葉にできない名盤シリーズ:HEROIC DOSES「HEROIC DOSES」】

  6月18日
収穫はなし。"Rookie A Go-Go"の一次通過にエントリーされていたデンマークのバンドから、myspace経由で「僕ら日本語わかんないんだけど、アフターパーティーってどうなってんの?今日投票締め切りみたいだけど僕ら通ったの??」という質問を猛烈に(英語で)受けておりまして、オンライン辞書とメッセージ入力画面を行き来しながら状況を要約・英作文・返答するのが大変です。己の英語力のなさを呪う。通るといいね!あとデンマークといえば、PRETTY MAIDSとかMERCIFUL FATEいるでしょ?それ俺のフェイヴァリットよ(注:別にそうでもない)!などとついでに書いてみたものの、スルーされました。やっぱりそんなに有名じゃないのね、キング・ダイアモンド…。

【本日のレビュー:PRETTY MAIDS「SIN-DECADE」】


デンマークといえばPRETTY MAIDS。ヒット作となったこの92年作、"Please Don't Leave Me"が入っているからというわけでなくとも名盤です。叙情性の質がオランダとかに近いストレートなもので、マッチョ過ぎず、爽やかすぎず、正統派メタルとしてちょうど好ましい塩梅。コマーシャル化も随分と進んで、いかにもアメリカ市場狙いました、てな曲ではFIREHOUSEやSLAUGHTERと比べてもまったく遜色なし。そんでメイデン・イズムを新鮮な色彩で体現したタイトルトラックなんかは名曲ですなー。80年代後半以降、JUDAS PRIESTやSCORPIONSその他が実現しようとしてきた「ポップスとして親しみやすい王道HM」探求の諸成果を優れたバランスで統合したのがこのアルバムなのではと思います。フレミング・ラスムッセンによる大仰ながら締まったプロダクションも、まさにお手本的メタルサウンドでいい感じ。「SONATA ARCTICAから入りました」みたいな若いメタラーはもうこんなのわざわざ買ってなかったりするんでしょうか?90年代のおすすめ名盤ですよ。

  6月17日
収穫はなし。ここのところ「AKIRA」と「風の谷のナウシカ」の原作をひたすら読み入っていたので、ときどき心の中の言葉が漫画調になっていることに気付きます。急に出てきた車に「チッ、邪魔な…」とか。この2作品、どちらもポスト・カタストロフの世界が舞台で、その破綻を引き起こした謎を突き止めるために主人公たちは動き、話中での破綻の再来を避けることができず、最終的には当面の災厄が去って新しい人類の未来の方向を見るところで完結する、という大筋は酷似しながら、「ナウシカ」は生命倫理と神性の問題が繰り返し提示されるのに対し、「AKIRA」は色んなテーマにカスっていきながら結局青春SFアクション破壊物語に徹するという、全然違う話なんですねー。と関心して今晩に至ります。

【本日のレビュー:BLUETIP「JOIN US」】


以前よりは疎くなってきたこの手のジャンルですが、大切にしたい名盤は今でもいくつかあります。その中のひとつがこれ。DCパンクの屈折性と小気味よさを最良のバランスで配合してターッと走らせたような、アダルトになってからでも聴けるアドレセント・ロックであります。とにかく身のこなしが軽くてスパスパと潔い。しかし安っぽい「疾走感」とは違う。言うなれば「Tシャツ・短パンなのに何故かセンスよく見える身体の締まったおっさん」みたいです。きわどい調性でフラつくギターワークにはポストパンク以降のひしゃげた歌心が確実に宿っていて、かつて誰もやったことがないリズム感覚(突飛な変拍子とかいう意味ではなくて)でそれをブン投げる。ライブはさぞ強力だったんでしょうな〜、RETISONICでいいから来んかなー。

  6月16日
本日の収穫、ブックオフ熱田一号店にてBOLT THROWER「...FOR VICTORY」。Wikipediaって何にでも頑張るなー

【本日のレビュー:BOLT THROWER「...FOR VICTORY」】


最もシブいUKデスメタラーは?というアンケートをとったら、きっと1位に輝くであろうバンドがこのBOLT THROWER。これはEARACHE以前の幻の1stを含めると通算5枚目となる94年リリースのアルバムです。いや〜〜シブイ。いわゆるデスメタルにお約束の「高速ブラスト」「現代音楽寸前の無調リフ」等がほとんどフィーチャーされず、特にこのアルバムはデスメタル全体にちょっとメジャー感が出始めた時期ということもあって、後期CARCASSや3rdの頃のENTOMBED、時としてMANOWARすら思わせるストレートアヘッドで骨太なロービット・スタイルになっています。ズバッと腕っぷしが強く、かつ甘さはない。どの曲も、戦いと血にひたすら固執する呪いの如きイマジネーションで彩られておりまして、近寄り難いようなコアさが漂うのが何とも魅力。なんとなくグズグズしたリズム感まで含めていい味出してます。ハードコア好きの人にもおすすめできます。愛ある激音家は是非ともチェックしていただきたいバンドですね。

  6月15日
収穫はなし。「チョコモナカジャンボ」と「ハーゲンダッツ クリスピーサンド」を同時に食べる機会がありました。高いものは確かに、素材の持ち味が響きあうようにして作られている。という事実を目の当たりにしすぎて少し凹みました。一方で、飲んだ後で近くの友人宅に上がり込むに際して、スッとコンビニに寄って携えたいのはチョコモナカジャンボの方に違いない。「極上に洗練されていること」に「(極上ではないが)その状況に最も望ましいようにチューンされていること」が勝つ場合もありましょう。でも大抵の場合は「洗練されていれば何とかなる」ことが多いことも学びました。何を言いたいかというと、アンプでも買うかということです。

【本日のレビュー:SOUNDGARDEN「DOWN ON THE UPSIDE」】


クリス・コーネルのソロ新作が出たということで、そっちはまだ買ってないので代わりに昔を振り返ってみます。"Spoonman""Blackhole Sun"など数多くのスマッシュヒットを放った大名盤「SUPERUNKNOWN」のフォローアップにしてラストアルバムにもなった96年作。とにかくツカミが良くて多彩だった前作と比べると、格段に地味というか内向的というか、「みんなの歌」であることを忘れてひたすら「オールドロックの今日的ずらし術」にハマッてしまったような印象ですかねー。改めて聴き返してもやっぱりウン年前の購入当初とあまりイメージが変わりません。センスだけで完成させてしまったアルバムというか。とりとめなくドロンドロンとまどろむメロウチューンの数々はその後のクリス・コーネルのソロにも相通じるような、BLACK CROWESがやっていればハマッていたかも知れないような。いつまでも"Jesus Christ Pose"のような燃えたぎり系の曲ばかり求めて勝手に歯痒くなっている私も悪いんでしょう。そんな中にも"Never The Machine Forever"や"Never Named"のような強烈な最後っ屁が仕込んであって、このへんには文句なしでノックアウトされます。とりあえずこのバンド、どのアルバムも収録曲数が多過ぎる気がしませんか??もうちょっと少数精鋭の構成にしてくれれば、各曲の目鼻立ちというものに注意が向く余裕もあっただろうに、16曲分も元気を持続させるのはかなりタフです。よく聴きゃ終盤収録の"Switch Opens"とかも佳曲なのに構成上完全に埋没。

 あーこんなに文句ばっかり書くつもりじゃなかったのになー。少なくとも、思うがままにやり切ってくれた点で清々しいし、前作と寸分違わないスタイルで攻めるよりはこうやって変わってくれた方が嬉しかったし、つまるところ「SOUNDGARDENのアルバムであった」といってまとめることに何のためらいも要らない出来ではあります。うーむ、何だかんだで大きな存在でありましたこのバンド。

  6月14日
収穫はなし。誰にも頼まれないのに、自主的に交通整理的なことをしている(変な)おっさん、時々いますよね。「ワタシが誘導したとおりの道を行くんだね。いいよいいよ」といった様子の満足そうなうなずきと怪しげな手旗信号で、ただまっすぐ通過しようとしていた道を「ガイド」されると、無性に腹が立って何かフェイントをかけてみたくなります。「子どもに腹を立てる奴は子ども」というロジックでいくと私は「変なおっさん」ですね。まあそうだな。

【本日のレビュー:SHIHAD「KILLJOY」】


随分前にセルフタイトルの大名盤を紹介済みのバンドの94年2nd。この頃はまだグランジ /オルタナブームの中で独自色を出しきれていない様子で、HELMET、NINE INCH NAILS、RAGE AGAINST THE MACHINE、ALICE IN CHAINSなどのおいしいとこ取りの習作にとどまっているといった印象。しかしながらセンスは抜群に良く、STONE TEMPLE PILOTSのような狭苦しさもありません。さまざまに行われる音響面での試行錯誤の中、時々さながらBARKMARKETやTHE LIFE AND TIMESのようになったりする場面も。「ヘヴィネスの中のメロディ」というものに独自のこだわりがあったんでしょうね。ニュージーランドから偶然にも5年後・10年後のDESOTO〜ASCETIC路線に呼応しまうとは、本当に奇跡のバンドです。裏90年代フリークはチェック必須でしょう。

  6月13日
収穫はなし。ここ数日めっきりHARMONY CENTRALで英語漬け。auのCMソングにVAN HALENの"Jump"、どうも違和感。ハードロックで常夏気分を醸し出したいならY&Tの"Summertime Girl"にしてよ。

【本日のレビュー:VAN HALEN「1984」】


当然最高、"Jump"大好きです。ネタにするなんて許せない。序曲となる"1984"から通して聴くとやっぱり締まりますねー。何せ「レンタル屋で借りてきた生涯最初の洋楽CD」であるので、まさに言葉にできない名盤なわけですが、今日は時間がしこたまあるのでレビューにします。

 いやしかし最初に聴いたVAN HALENがこれだったのと、その次が「5150」や「F.U.C.K.」だったりしたのとで、私は長いこと彼らを誤解していました。ひとしきりのバックカタログを網羅した上でこのアルバムを振り返ると、軟弱化の第一歩であったと同時に、デイヴ時代の集大成でもあったわけだなーと感じられます。解析不能の特殊奏法でブッ飛ばす"Top Jimmy"や専売特許の高速シャッフルの最高形"Hot For Teacher"なんぞは1・2枚前のアルバムに入っててもおかしくありません。そしてそこに見出されるのは、彼らが影響を与えたはずのRATTやMOTLEY CRUEのようなケバケバロックとは全く違って、カントリーギターやオールド・アメ・ロックのエッセンスを惜しみなく表出させた、意外にアダルトな味わいのもの。"Jump"や"Panama"とて、随所にこっそり忍ばせてあるトリッキーな拍子遊びのセンスなどはツェッペリンの進化型ともいえましょう。("Drop Dead Legs"の鈍重な千鳥足もまさにZEP色濃厚!)うまく売れ線のフリして、これほどの奥行きと洒落心をもってロックを語らってしまうとは、やはりエディ只者ではありません。

 前半3分の2に有名曲が集中して、終盤はやや地味な印象ですが、生身のハードロックバンドとしてのエンジン性能が一番実感できるのは実はこのあたりである気がします。インタープレイとすら呼びたい濃密なコンタクトで70年代のバンドのように跳ね回る"Girl Gone Bad"、ダブルキックと巧妙なシンバルワークで16ビートの新感覚を開発した"House Of Pain"のような曲は、カヴァーバンドがあったら是非選んで頂きたいVAN HALEN印の隠れ名曲。

 ということで実は隅々までムダなしの大名盤なのでありました。ロックの教科書だなんて笑わせるぜ、などと言わず買ってください。

  6月12日
収穫はなし。STIFF SLACKに立ち寄りSCHOP最新号ゲット。そして置いてきたチラシに記載されていた内容は以下のとおりです。

・6月27日 (水)
「タイニーバンパク」
会場:名古屋 鶴舞KDハポン
時間:19:00開場 / 19:30開演
出演:URTHONA / 葉っぱの裏側シスターズ / DOIMOI
チケット:前売り・当日とも 1,500円

どうぞよろしくお願いします。

▼スッと寝たい日にはこんな秘策に出てみよう。↓

【言葉にできない名盤シリーズ:SANCTUARY「REFUGE DENIED」】

  6月11日
収穫はなし。部屋がきたないなー、組成は90%CDだなー本当に。どれくらいきたないかというと、もはや見世物レベルだから写真に撮ってアップしようかと一瞬考えて、イヤやっぱり恥とか尊厳とかあるよなあ…と思いとどまるくらいきたないです。もう収蔵はヤメだ。

【本日のレビュー:MIKE RUTHERFORD「SMALLCREEP'S DAY」】


GENESISのベーシスト、およびMIKE & THE MECHANICSの人として地味に知られるマイク・ラザフォードの80年発表ソロ作。GENESISメンバーのソロワークは過去にスティーヴ・ハケットアンソニー・フィリップストニー・バンクスとご紹介しております。さてこのアルバム、客演にはかつての盟友アンソニー・フィリップスと、職人タコドラマー・サイモン・フィリップスなどが参加。で内容的には、意外に他の人達のとあんまり違いのない、かなりGENESISライクなポスト・シンフォプログレ・ポップスをやってます。長く同じバンドをやってるうちに趣向まで似てしまったのか、もともとが近いもの同士だったのか、これは絶対トニー・バンクスの色だと思っていたようなのがここで聴けたりして少々混乱しております。ともあれ出来は素晴らしい。凡百の茶番ポンプロックバンドにはあり得ない薫り高さと通りのよさ。さすがこういうのはいいとこの出がやるもんだ。"Back In NYC"風あり、"Los Endos"風あり、脱ピーガブ後・3人化前のシンフォ黄金時代なGENESISにまだ隠れた録音があった!というくらいの喜びです。GENESISファン、シンフォプログレファン、80年代初頭のシンセミュージックファン、ALOHAファンはすべからく聴いて下さい。ついでにサイモン・フィリップスのファンも。この男やりすぎです。

  6月9−10日
収穫はなし。昨日は大学時代のバンドサークルの学祭ライブをちょっと見物、主に後輩の渾身のHEAVEN & HELLコピーを堪能し、のちOB飲み。今日はココイチ東海地区限定「ゲソフライカレー」が良かったです。いま1回だけ「もしもボックス」を使っていいなら、「あまねく全てのJC-120のパワーアンプ部を真空管駆動にして下さい」と頼みます。

【本日のレビュー:WINGER「IV」】


80年代ヘアメタル最後の巨星WINGER。とにかくオシャレで完璧でした。ドラムは無駄に元DIXIE DREGSのロッド・モーゲンステイン。デビュー作がとにかく大名盤で、その剥製のような気の抜けた2作目で失速、グランジ気運に染まろうとして消化不良の習作に終わった3作目「PULL」を最後にオーヴァーグラウンドからは久しく消えておりました。各メンバーのソロワークや外部ユニット/バンドへの参加を経て何と昨年リユニオン、いつの間にか完成させてしまったのがこのアルバムです。

 最近になって復活するようなこの筋の人達は大抵、上手く行かなかったグランジ化に見切りをつけ、ファンに求められるキラキラしたメロハー路線へと立ち戻ってくれるのが常ですが、WINGERは真逆を行きやがりました。「PULL」をムダ盤とは言わせないとばかりに、あのダーク&ちょいプログレッシヴ路線を更に突き詰め、見事それなりの成果を実らせたのだから大したモンです。ベタなるものには死んでも着地しまいとする独特のコードワークをフル活用し、CONCEPTIONATOMIC OPERA、WATES WARNING、トニー・マーティン時代のBLACK SABBATH等に近いエッセンスがカラフルに撹拌された、「新時代のハードロック」を描ききってくれているではないですか。偉い、偉いよ。こういうものをHM/HRファンが求めているかは別として。A PERFECT CIRCLEとかが好きな人が聴きやすいように仕立てていれば(ついでにバンドがWINGERでなければ)普通にそっち方面で売れてたことでしょう。うーむ最強の3人、現代のTHE POLICEなのか(多分違う)。とにかく、誰に勧めたらいいかわかりませんが、基本的にハードロックに理解があってその進展性を容認する方、て思いっきり狭い限定ですけど、ためしに買ってみると面白いですよ。

  6月8日
本日の収穫、サウンドベイ上前津にてWINGER「IV」、MIKE RUTHERFORD「SMALLCREEP'S DAY」。この前(といっても4月)今池で上映されていたのを見逃したフレッド・フリスの映画「STEP ACROSS THE BORDER」、WINTER&WINTERからDVDで出ているのを今日知りました。ご親切に各国語の字幕が入ってるようなので外盤買っても大丈夫っぽいのが嬉しい。さて〜いつポチッといきますかな…

【本日のレビュー:PRAYING MANTIS「NOWHERE TO HIDE」】


思えば長らく正統派叙情メタルなるものを聴いていなかったではないか。今日はメタル評論調のお堅い文体でいくのである。このPRAYING MANTISは、NWOBHMの最中にイギリスから颯爽と登場したバンドで、初期叙情派メタルの決定盤となったデビュー作で早くも伝説と化し、長い休止期間を経て復活した後の作品でもその圧倒的な質は揺るぎなく、しかしシンガーにゲイリー・バーデンを迎えてしまうなど90年代中盤には少々血迷う時期もあった。そこから心機一転、トニー・オホーラなる新人ヴォーカリストを迎えた2000年リリースのこのアルバムは、正に起死回生の一撃と相成った。

 メランコリーの雲海の如き多重リードギター、そして艶っぽいタメを効かせた勇壮で優美なヴォーカルライン。化石と果てることを恐れない20年前のリズムネタのオンパレード。誰かの借り物ではない独特のメロディセンスを確たる軸としているので、いくら音楽的に進歩のないものであろうと虚しくならない。随分後ろ向きな褒め方かも知れないが、昔ながらを身上とする現役メタルのほとんどは虚しく響いて仕方がないという現状を踏まえると、何の疑念もなくストレートに燃えられる古典スタイル・メタルの新作というものは今やそれだけで貴重な存在なのだ。ほとんどの曲がキメ曲といえる完成度を誇る中、特に5曲目"Future Of The World"の完璧さには舌を巻く。ヴェテラン現役にしか成しえない、円熟の極致にある芳醇な「泣きメタル」を、心行くまで堪能しようではないか。

 とか真面目に書くバカが未だにいるのでメタル評論界は困ったもんです。しかしレビュー内容自体は本当ですよ。やーマンティス最高。

  6月7日
本日の収穫、名駅69にてPRAYING MANTIS「NOWHERE TO HIDE」。

【本日のレビュー:INFECTIOUS GROOVES「GROOVE FAMILY CYCO」】


SUICIDAL TENDENCIESの別働隊であったミクスチャーファンクバンド・INFECTIOUS GROOVESの94年リリース3作目です。ベースのロバート・トゥルジロは未だにMETALLICAのメンバーなのでしょうか?勿体ないですね!時に鮮やかにポポポポ…と高速指弾きをかまし、時に超カロヤカなスラップをキメまくる、ハードコア畑が誇るファンク大魔人ですのに彼は。本家スイサイダルの方でも解散前末期は随分とバネの効いたリズムを強調させていましたが、その路線をより思う存分やっているのがこちら。スラッシュリフとファンクなカッティングがガチ対決してしまう冒頭曲にはMR. BUNGLEばりに脳みそシャッフルされます。レッチリもMINUTEMENも見えなくなるムチャっぷり。一歩間違えばただの馬鹿馬鹿しい茶番になりかねないところを、「イエーイ、馬鹿馬鹿しい茶番です!」と宣言すること自体を娯楽として成立させてしまうような天才的バランス感に脱帽・一礼しましょう。加えてこのアルバムは、過去2作に比べて、個々の楽曲の目鼻立ちがハッキリしていて、(作り手の方法論先行ではない)「聴くための音楽」としての味わいに長けた出来となっております。まだ安値でゴロゴロしてる今のうちに是非ゲットを。

  6月6日
収穫はなし。未だ咳責めに遭っています。時々このまま死ぬんか?吐くんか?という勢いで(吐くのを我慢して死にそうになってるだけですが)むせ返ることがあって困ります。あと、地面から生えてるかの如くリラックスして丸まっちゃってるハトって時々いますよね。

【本日のレビュー:ROLLINS BAND「WEIGHT」】


先月登場したWARTIMEにつられて久々に聴いてみました。ヘンリー・ロリンズ率いるROLLINS BANDの94年作。いっやー、思っていた以上にレッチリ模倣の度が過ぎて唖然。陰鬱なレッチリもしくは締まらないBIOHAZARDてな曲がとにかく大半を占めてます。ベースリフが奇跡的にかっこよかったWARTIMEに比べて、非常にベタベタというか凡庸な手癖みたいなフレーズで埋まってしまっており、スポン!と情念が突き抜ける場面が一度もない感じ。もはやそこが個性か。シングルヒットを放った"Liar"は90年代SUICIDAL TENDENCIESのちNIRVANAてな都合のよいダブルクリームシュー構造(?)で、この頃ならそりゃ売れるわと納得。アップテンポ&エキセントリックな3曲目や不協+変拍子の8曲目みたいな引き出しもあるならこっち方面で頑張ってもらいたかったなー。このへんの時代の「それなりに大物のはずが臆面もなくポスト・レッチリ現象」はなかなか興味深いので、次はINFECTIOUS GROOVESにつないでもらおうと思います。多分そこで完結しますけども。

  6月5日
収穫はなし。あんまり咳がひどいので神様仏様グーグル様にお伺いを立てたところ、「イネや雑草の花粉によってである」「黄砂の影響である」「『感冒後咳嗽』ないし『咳喘息』である」「心臓病体質の者は肺に血がたまって咳が出るのである」等々、親切極まりない数のお導きを与えて下さったため、何の参考にもなりませんでした。ごォっふぇごっふぇッ。

【本日のレビュー:KILLERS「MURDER ONE」】


IRON MAIDENの初代シンガーであり、ブルース・ディッキンソン加入後のあの成功がありながら意外に評判もいいポール・ディアノが、90年代前半にちょっとだけ頑張っていたバンドのデビュー作。悲惨な2ndは以前に紹介しました。こちらはおおかたの評判どおり、何故かバーチャルJUDAS PRIESTの様相。1曲目から「〜er」のタイトルで"Freewheel Burning"よろしくスッ飛ばしてくれます。聴き進んでも印象は全く揺るがず、4曲目に至っては"Painkiller"のドラムパターンがパクられてしまっています。合掌。これ以上「いかにプリーストか」を検証しても建設的ではないのでヤメるとして、ポールの歌唱に焦点を移しましょう。全くもって器用な人ではないので、例によってあの「グリグリ系パワー歌い」のほぼ一点張りで通している訳ですが、餅は餅屋という説得力でなかなか良いです。曲が変に小洒落てるのがいかんな。(「QUEENSRYCHEにちょっと感化されたJUDAS PRIEST」みたいなところまで忠実にモデリングしている。)やっぱりこの人、初期メイデンのパンキッシュな開放感に乗っかってこそ活きる素材です。曲の出来自体は決して悪くないのに、そういう考えなしには聴けないというところで、ディアノ以外のメンバーは報われない努力をしてしまったなーと痛み入る次第です。15年を経た今、丁重に弔ってあげようじゃないですか。

  6月3−4日
収穫はなし。風邪なかなか治らんな〜、咳止まらんな〜と思っているうちに別の風邪を拾っていたようです。ブドウの一粒か?と思うほど確かな噛み応えのある痰。寝ても覚めても痰。熱は何とか一日半で平常どおりに戻ったので今日はレビューが書けます。

【本日のレビュー:PARADISE「LIGHT THE FIRE」】


このジャケ、このバンド名で、しかもそのバンド名をタイトルに冠した曲を冒頭にもってきてしまうという暴挙に出た挙句、一番盛り上がるところでペルダ〜イス、ペルダ〜イス!と連呼してしまうという壮絶なセンスの持ち主。何と2001年リリースですね。懐古メロハーの巣窟ESCAPE MUSICから、元LOVERBOYの人がやってるバンドだそうです。TWO FIRESばりのを期待して買ってみたわけですが、かゆいところを微妙に外されてるような要領の得なさに、どうも乗りきれず。小っ恥ずかしいだけでキュンキュン来ないとは何事だ。いや、多分これを場違いな中古CD屋の店内BGMで聴けば「何でこんなの流れてんの?最高!」と跳び上がって喜ぶんだろうけど。この手のメロハーを楽曲の良し悪しではなく「シンセのキラキラ度合い」「ピッキングハーモニクスの派手さ」などといった要素に従って判断するヘヴィリスナーには何の文句もなくオススメします。バッキングギターをセンター一本に定位させるという乱暴なプロデュースと、それによってモロバレになる打ち込みドラムの薄っぺらさで、真面目なヘッドフォンリスニングには堪えてくれません。あーあ、絶賛するつもりでとっといたのにな〜。

  6月2日
収穫はなし。ユニクロのECMコラボシリーズにとうとう、RETURN TO FOREVERの1stが出ちゃいましたね。カモメ。つい買うか否か悩みかけてしまいました(買いませんでした)。キース・ジャレットやらチック・コリアやら着にくいのばっかりなんで(テリエ・リピダルもあったけどよく売れ残っていた)、次はエグベルト・ジスモンチでも出すか、ESPに鞍替えして下さい。黒々と。

【本日のレビュー:SHELLAC「EXCELLENT ITALIAN GREYHOUND」】


出るとはビックリ、奇跡の新作。BIG BLACK〜RAPEMANと世界一ヅッキヅキに尖ったギターを鳴らし続けてきた喧嘩腰ギタリストにして、NIRVANAからPAGE & PLANTまで手掛けてきた敏腕録音技師でもある御大スティーヴ・アルビニの本丸バンド・SHELLACが7年振りにリリースしてしまった4枚目のフルアルバムです。久し振り過ぎて新機軸とかそういうのがあるのかないのかもはや判りませんが、そんなことには構わず鮮烈で研ぎ澄まされきった音が鳴ってます。楽器演奏を音響現象として冷徹にコントロールし、空間に無限大の質量を込めて聴き手を睨みつける、超ソリッドなスケルトン・パンク。もしくはファイティング・ブルーズ。なるほど、聴き進むほどに、過去の作品に比べて「楽曲」離れが進んでいるような気がしてきました。バンドとは必要最少数の演奏者と楽器を収めた部屋と時間そのものである。と御大が仰せられるかどうかは判りませんが。ベテランにして価値ある新作です。前進。あと個人的には犬だらけのアートワークが隅々まで最高です。「犬アルバム史」というものがあるのなら間違いなくそこに名を刻むことでしょう。あっラストの曲が何だか空手バカボンみたいだなー!

  6月1日
収穫はなし。姉の赤ん坊が退院してきて今ウチにいます。生後約一週間、小っちゃい人間!!て感じです。

【本日のレビュー:URTHONA「RANTING TEETH IN SPACIOUS NON」】


名古屋が何年も隠し持っていた不世出のグレイト・マスロック・アウトフィット、URTHONAです。遂に地元STIFF SLACKから正式音源リリースとなりました…しかもデジパックで。いや感慨深いですね。ペラペラペラ〜、ピョーーン!とスッ飛びまくる軽妙でユーモラスな宇宙系ギターをフィーチャーした、サンディエゴスタイルの屈折変拍子インストなんですが、この脱力具合と妙な執拗さは相当オリジナル。ところどころ変にマッチョなゾル状生物が半笑いで想像するSWEEP THE LEG JOHNNY(シカゴですけど)というか、エイドリアン・ブリューにあらかじめ取り憑かれてしまった超パンクな第3期クリムゾンというか、大概こんな無茶な形容ないわな。と思いつつそう書かざるを得ない内容。高圧縮すぎず、濃厚な歌心があります。アンサンブルを一気に鋭角的かつドライヴィンに仕立ててくれるベースの存在も特記すべき点でしょう。ポーカーフェイスなようで案外燃えてるドラムとの三つ巴で、ライブ見たさを確実に煽ります。生だといっそう「オイオイこの曲どこ行くのー!」感がアップしますので、機会があれば是非見ていただきたい。ちなみにこの盤、一般流通はまだ先で、現在はSTIFF SLACKからの直販のみで入手可能です。オーダーナウ!

▼そして何とURTHONAのライブが今月末に!

・6月27日 (水)
会場:名古屋 鶴舞KDハポン
時間:19:00開場 / 19:30開演
出演:URTHONA / 葉っぱの裏側シスターズ / DOIMOI
チケット:前売り・当日とも 1,500円

ハイ、ちゃっかり手前味噌でした。よろしくお願いします。

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