物色日記−2007年8月

※頻出語句解説はこちら
  8月31日
▼お、8月31日だ。収穫はなし。以前一度、直営ウェブショップで買い物をしたことがあるRELAPSEから、わざわざ国際郵便で、TシャツおよびCDのカタログと所属アーティストのニュースやちょっとしたインタビューが載った小冊子が勝手に送られてきました。こりゃ粋なサービスですね。巻頭はCEPHALIC CARNAGE。

【本日のレビュー:VOODOOCULT「JESUS KILLING MACHINE」】


そういやこんなんあったな〜と突然思い出して、聴いています。SLAYER脱退後のデイヴ・ロンバードに、KREATORのミレ、DESPAIRのウォルデマー・ゾリクタ、DEATHのチャック・シュルディナーもちょっと参加しているということでかなり話題になった、謎多き豪華ユニットの1st。中心人物のフィリップ・ボアなる人物は、80年代中盤から活動するドイツのニューウェイブ/インダストリアル系クリエイターのようで、今でもPHILLIP BOA & VOODOO CLUBというグループを率いて活動中の模様。このVOODOOCULT名義では2ndまで作ってたはずですが、そっちではここにいるメンツは全然参加せず、別の固定メンバーに入れ替わってます。んでデイヴ・ロンバードとウォルデマー・ゾリクタの組み合わせは後のGRIP INC.へと発展。

 さて内容ですが、簡単にいえばサイバーなスラッシュメタルとでもいうんでしょうか?すべて人力演奏ながら軽くインダストリアル風の質感を醸し出すような。ウォルデマーのペンによる曲はもろGRIP INC.、ミレのはそのまんま(「RENEWAL」の頃の)KREATORに聴こえます。ただこのヴォーカルをとっている首謀者フィリップ・ボアというのが、ニューウェイブくずれの普通声アジテイトタイプ(ほんのりトレント・レズナー似?)の歌い方で、別にそうハクがあるわけでもなく、メタル然としたエキサイトメントにむしろ水を差す感じなので、いまひとつ「で、何の集まりっすか?」という違和感が拭えず。恐らくは、インダストリアル路線を生業にしてきたボア氏が、NINやMINISTRY、PITCHSHIFTERその他のハード・エッヂな(?)連中の登場に触発されて、それならということで既に名の知れた実力者達を引っ張ってきてみました、というのが実体のプロジェクトだったのでしょう。メタル作品としては楽しみきれないものの、ウォルデマーがかなりの比重で作曲に関わっているのでGRIP INC.(やDESPAIR)ファンにはお勧め。レアアイテム化してるそうですがまだ中古でたまに見かけます。

  8月30日
収穫はなし。いきなりですが、「オタク」という単語が突如オーヴァーグラウンドで市民権を得て、普通の時間帯のテレビやなんかで跋扈し始めた頃のことを割とよく覚えています。当時のイメージはまさに「森高人形の脚をつかんだ宅八郎」でしたねえ。「いい意味でオタク」なんてあり得ないみたいな空気だったと思いますが、今はオタクが幸せな時代になったものです。要約すると「中川翔子って偉いなー」でした。

▼昨日サウンドベイの店頭で、現物を見て初めて、DINOSAUR JR.がルー先生つきのオリジナルラインナップで新作を出していたことを知りました。リユニオン事業は儲かるんだろうな〜。そんなサウンドベイは9月22日(土)〜25日(火)がバーゲンみたいです。最近は朝から並んでもあんまり知人友人に会わないので寂しい限り。いつも会うのは大学の後輩バンド「C.W.N.」のTK橋君だけだ。

【本日のレビュー:FREE DESIGN「ONE BY ONE」】


人の車でたまたま聴いて、これはいいなと思ったので先日中古(厳密には新品値下げ品でしたが)で発見したのを捕獲してみました。アメリカの兄弟コーラスグループの71年5thです。最近になってマッドリブやSTEREOLABら参加のリミックスなんてのも出てるような人達なんですね。以下、バンドのバイオにはまったく詳しくない上に、普段聴く音楽とは完全に畑違いなので、居直って畑違いの視点から、音だけ聴いて思うごくごく単純な感想だけ書いていきます。

 まず何でこれを、ちょっと気に入ったでは済まず購入するまでに至ったかといえば、柔らかくてポア〜ッと拡がりのあるコーラスワークが、初期3枚までのYESみたいだったから(しかもどっちかといえばYESが後追いであろうから)です。変拍子を絡めて爽やかに昇天していく2曲目なんてそのまま「TIME AND A WORD」に入ってても違和感なし。牧歌的なブラスや生ストリングスもいい味出してて、何といいましょうか、全体的に「60〜70年代だから許されるストレートで潔白な温かさ」に満ち満ちているのが素晴らしいと思います。それ以降の時代ではどうやっても「何かを経たことによる影」がさしてしまうので。キャロル・キングやCHICAGOその他のような風情を漂わすこともあれば、"Light My Fire"(もちろんDOORS)の秀逸カヴァーではTHE HIGH LLAMASに引退を考えさせ兼ねない洒落を効かせ、何かこうやって説明したりするのもやめようと思うようなピュアさに普通に心打たれます。ビリー・コブハムやランディ・ブレッカーらの参加はそこにちょっとした緊張感をもたらしてて、また良い感じなんではないでしょうか。紛うことなきオールタイム・グッド・ミュージック。なので基本的には全員にオススメできますが、メロディ派・重厚コーラス好み・スティーヴィー・ワンダーくらいまで出張してもOK、というプログレッシャーにもかなりピッタリです。リマスターに伴って追加されたオーケストラと共演するライヴ音源がまた、I POOHとかの世界に迫る出来で最高。

  8月29日
▼ハードオフの店内BGMを完全耳コピするつもりでしばらく居座ってみましたが、意外と展開が多くて挫折しました。本日の収穫、サウンドベイ金山にてRICKY WARWICK「TATTOOS & ALIBIS」。あとFM愛知の番組の収録いってきました。いやーまるでラジオみたいだったな〜。今回分の放送は9月7日(金)28時30分から、愛知県にお住まいの方はタイマー録音で聴いてやってください。

【本日のレビュー:RICKY WARWICK「TATTOOS & ALIBIS」】


いいバンドでしたTHE ALMIGHTY。そこのフロントマンのリッキーが、いつの間にかソロデビューしてたんですね。2003年リリースのこちらのアルバム、何とプロデュースにDEF LEPPARDのジョー・エリオットの名前があるというオマケつき。内容的には、うっすらエモっぽい「刺青イケメンのオフ日」的な優しさ漂う、穏やかでメロディアスな私服ロックになってます。JIMMY EAT WORLDやスローダウン後のTHE GET UP KIDSあたりの線に酷似。あるいはブライアン・アダムスまでいってしまうかも。DEF LEPPARDの「SLANG」が成功していたとしてその後はこうだっただろう、という仮想をジョー・エリオットが具現化させているようでもあります(ついでにバッキングヴォーカルにもガンガン参加)。これはマット・ラング・イズムとアコースティックエモポップの時間を越えた結婚なのか…などと見当違いな考察をかましたくなるくらい、THE ALMIGHTYの影ひとつもよぎりませんが、「あのリッキーが」と思って聴いて楽しむことは全然可能。叫ばなくても歌上手い人ですね。ゆっくりした6拍子の曲になると「お、"Jesus Loves You... But I Don't"か!?」と思ってしまったりしますが。大野奈鷹美はこれ絶賛だったろうなー。あと、同じダブリンのよしみでTHIN LIZZYのスコット・ゴーハムがけっこう何曲もリードギターで参加してます。実際にケルト風のメロディが入る曲も。いやいやいや、これは久々に心温まりました。勿論若いエモキッズにもですが、たくさんの退役メタラーに愛されてもらいたい1枚。

  8月28日
本日の収穫、サウンドベイ上前津にてFREE DESIGN「ONE BY ONE」、UPSILON ACRUX「GALAPAGOS MOMENTUM」、MIKE + THE MECHANICS「LIVING YEARS」。間違いない、CD買うのはやっぱり趣味です。聴いてみたくて買うわけだし買ったら聴くんだけど、見つけて買う段階までが完結した趣味。中古CD屋行かなきゃ行かないで済むようになった現在は、「飲みの席くらいはもらいタバコもする脱煙者」な感じでしょうか。既に肺(CD棚)は真っ黒ですが。

【本日のレビュー:MIKE + THE MECHANICS「LIVING YEARS」】


(日記本文からの続き)そんな半退役CDバイヤーに優しいのが「500円商品」。こちらは安売りワゴンの定番・MIKE + THE MECHANICSの88年2ndです。GENESISファンなので以前から存在は気にしていたものの、もっと前に作っていたソロが素晴らしかったのでようやく買う踏ん切りがつきました。で中身は超高品質な80年代後半のキラキラ・サイバーAOR。無駄にカクカクしたシンセやエレドラの類は今やシャレでしかないですが、そこに深く埋まってしまったグッドメロにググッと目を向けようじゃないですか。さすがプログレ時代に長大なドラマで魅了してきた人なだけあって、コンパクトになってもおいしいところをモリッと強調するメリハリづけはお手のもの。小田和正が憧れたような一流感がここにありますよ。曲によっちゃ一時期以降のEUROPEやNIGHT RANGERなど、恥ずかしメロハーの中でもシュッとアーバンな部類(?)が好きなメタラーにアピールするようなものもあります。あるいは「ABACAB」以降のGENESISが好きだなんて立派な人がいたら当然、「INVISIBLE TOUCH」の連作としてチェック必須。何より名曲がたくさんあるというのが強い。

  8月27日
本日の収穫、ブックオフ池下にてFOREIGNER「FOREIGNER」、JANE'S ADDICTION「JANE'S ADDICTION」。

【本日のレビュー:FOREIGNER「FOREIGNER」】


ヴィヴィアン・キャンベルとのSHADOW KINGも最高だった名シンガー、ルー・グラムが率いる英国のシブ系産業ロックバンドFOREIGNERのデビュー作です。77年リリース。KING CRIMSON立ち上げに関わったイアン・マクドナルドがメンバーだったりも。まだ初期ということで胸キュンな甘さはほとんどなく(全盛期でも割と辛口寄りですが)、BAD COMPANYとBOSTONの中間のような、メインストリーム・ロックとしか言いようがないスタイルですね。単純に「最高にソウルフルなヴォーカリストが歌うオールドロック」として、「あ〜、ジャーニーとかの仲間だよね…」とかいって敬遠しないで(その前にJOURNEYを敬遠しないでほしいですが)、GRAND FUNK RAILROADとか初期ブルース・スプリングスティーンとかそれこそBAD COMPANYなんかと同列のつもりで聴いていただければよいです。王道な感じを比較的ダラーッと堅守する前半A面よりも、緩急つけながら名曲責めでテンションを上げていく後半B面で燃えますな。あとジャケが最高、これは名画。

  8月25−26日
▼25日はアポロシアターにてライブ。いつもながら、ライブって、リハーサルが済んでからの待ち時間が長いです。出演時刻まで約3時間、外をうろつくには酷な暑さであったので、喫茶店で暇を潰しました。ドラマー曽我部はスティックを買いに出掛けがてら風邪気味だったため自宅へ寝に戻り(!)、残りの3名は「暇を潰すとはこれか」という勢いで黙って雑誌。こういうとき、せっかく持て余す長大な時間をかけて、本番に向けてじわじわとテンションが上がるような優れた暇潰しはないものでしょうか?知ってるバンドマンがいたら教えて下さい。

 ライブの出来のほうは多分いつもどおり(の冴えな〜い感じ)だったと思います。毎回真剣にやってるんですが。ヤング・フィーメルがやたら多めな客層を前に、構わず首は振ってきました。メガネずれず、ズレロック最高。現在髪が長めなので首への負担が大きいです。トム・アラヤもとうとうそれで引退だそうで…お疲れさんです。(後日註:これは不確かな情報であったそうで、あとから本人が「その予定はない」とのコメントを出しています)

▼本日はこれ大丈夫か?という感じの新曲のデモを作り、欠員ありで中途半端にバンド練習、スタジオ内で熟睡(イビキをかいたらしい)、家に着いたら姉が赤ん坊を連れて帰ってきていて、見るごとに赤ん坊はむくむくと巨大化している。出来事があった日くらい普通に日記を書こう、という休日でした。

【本日のレビュー:SLAYER「DIVINE INTERVENTION」】


メタルを聴きだしてからリアルタイムで出た初めてのSLAYERのアルバムということで、何となしに思い入れのある94年作です。ドラマーがポール・ボスタフに交代していたのと、これというキメ曲に欠くという見方をされていたこともあって、多分SLAYERの歴史の中では大した重みもないかのように語られている1枚ですが、「SOUTH OF HEAVEN」からこのアルバムにかけて、脱・アグレッション一辺倒を図る一方で、リフの歌心がどんどんハイレベルなものに磨かれていたことを評価する人は少ない気がします。チューニングを落として若いバンドのようなキャッチーなグルーヴを導入した「DIABLOS IN MUSICA」以降とはまた違う、神経をヤスリがけされるような張り詰めた緊張感が何とも魅力じゃないですか。折しもサイコ・マーダーものが流行っていたタイミングに実にピッタリきてたと思います。冒頭曲"Killing Fields"の変拍子展開なんぞは「RUST IN PEACE」の頃のMEGADETHみたいだし、微妙な調性感をコントロールして異常性を醸し出す単音リフのセンスはDEATHや「NECROTICISM」期のCARCASSにも迫る。シングルカットされた"Dittohead"や"Serenity In Murder"、いずれも名曲です。「若気の至りの破壊衝動音楽」のパイオニアだったからこそ、それがやがて行き詰まるべきものであることを察知して、その先を「深みと奥行きの表現」を堅実に見据えていたという部分をもっとBURRN!編集部が冷静に評価できていればねえ。デイヴ・ロンバード不在でいまひとつ神通力に欠くところは確かにあるけれども。普通に皆さんに買ってもらいたい良いアルバムです。

  8月24日
収穫はなしライブ前日なのでズレロックを仕込みました(やっぱり微妙に疲れるので毎日はつけてません)。久々につけるとやっぱりピタッと見やすいところにメガネが定まって、いいなあ。ということなので普段用にズレロックミニを買おう。いや、今買いました。

【本日のレビュー:BILLY COBHAM「SPECTRUM」】


4日前に登場のアル・ディメオラで思い出したヤン・ハマー、が全面参加しているビリー・コブハムの73年作。ビリー・コブハムはマイルス〜MAHAVISHNU ORCHESTRAでの仕事が代表的なフュージョンドラマーでありますね。ヤン・ハマーもマハヴィシュヌの出で、70年代ジェフ・ベックのおいしい時期をサポートしたのちも細々と自身のリーダー作を作り続けているシンセ弾き。そこに呼ばれた意外なギタリストが、リッチー・ブラックモア最初の脱退の折にDEEP PURPLEに電撃加入したものの、オーヴァードースでで夭逝してしまうトミー・ボーリン(元ZEPHYR〜JAMES GANG)。ベースはリンダ・ロンシュタットから最近のSANTANAまで幅広くこなしているリー・スクラーなる人物。こういうアルバムを取り上げると素性の紹介だけでとんでもなく行数食いますね〜…。

 で内容なのですが、ヤン・ハマー。誰と組まされても容赦なくオレ色に染めきってしまう人なので、このアルバムでも全編うるさいくらいにビヨビヨ〜とエレキギターみたいなシンセリードが畳み掛けてきます。まあしかし未だに「ロック・バンドのシンセソロ」といえば誰がやってもこんな感じな気がするので、その手のパイオニアとしては偉いといえましょう。ビリー・コブハムは常人離れした激手数を歌心の域まで昇華する凄まじいドラミング。同じ技術屋にしか理解できない技術博覧会という感じにならず、単純にウオッすげーと思える派手さと収まりのよさで魅せてくれます。それでこの、「ロック趣味なノリのジャムだけど空間の埋まり方が確実にフュージョン」なアンサンブルの中で、非常に的確かつシブかっこいいニュアンス表現を光らせている、富墓林こと我らがトミー・ボーリンですよ。時に大仰すぎない程度のタメを効かせ、時にヒュルヒュルッと忍者のように泳ぎ去り、エフェクトの類も実にあっさり乗り捨てる、抱かれたいリードギターNo.1。彼の担当するソロパートの割合があまり多くないのも、逆にありがたみが増しております。裏「WIRED」と言ってしまうと言い過ぎですが、そんなつもりで手に取っていただきたい1枚でございます。

  8月22−23日
収穫はなし。有線で流れる「最新ヒット曲」(および「資本注入による強制露出であたかもヒットしてるようになってる曲」)の数々についてですが、どんなシットリした曲でも2番のサビの後には必ずギュイーン!ウォ〜ン!と派手な前時代的ギターソロが入る不思議。ハードロック的なものが小馬鹿にされ虐げられているはずの現在にあって、あれってのは、やっていいもんなんでしょうかね。テレビの歌番組とかで特に、よしソロ、俺の番!とばかりに髪を振り乱して熱いソロを弾き始めるバックバンドのギタリストほど、「スター気取りで頑張ってるけど誰にも気に留められてない人」ってのはいないよなと思います。勿論ヘヴィメタルに激しいリードギターは今でも必須なわけですけども、J-POPでのあれは往々にして、曲調全体との乖離が凄まじすぎて、日本全国で求職中のスタジオギタリストへのベネフィットか何かに思えてなりません。とYUIの新曲を聴いて思いました。

 (YUIで落としたのに更に続けますが)しかしそんな疑念も、恐らくは狭い世間の中だけでのもので、「ああいうハードロックみたいなギターソロをかっこいいと思っている音楽ファンよりも、そういうのはダサいと思っている音楽ファンの方が多い」という空気の外側に、「そんなことにはまったくお構いなしで、音楽という形態をとるマス・エンターテインメントをニコニコと消費する市民」が圧倒多数で存在している、ということを忘れそうになってるだけですね。関ジャニは大阪城ホールで4日公演やるらしいと今日知りました。市場で消費される音楽全体に対する「音楽ファンの音楽」の割合は多分、「人間の趣味全般」の中の「盆栽」くらいのもんなんだろうな〜。物事なんでも小宇宙。

【本日のレビュー:DOWN「NORA」】


スラッジがまだBURRN!誌上で全く評価されていなかった頃、PANTERAのフィルほかCROWBAR、EYEHATEGOD、C.O.C.のメンバーらが集まったスーパープロジェクトとしてポツッと登場したものの、「陰鬱、退屈、無駄」的な扱いで(当時の)メタラーのお口には合いませんというレッテルとともに500円コーナーへと葬り去られてしまったこのDOWN。その後なんとかこの手の「激ロック」をサポートする雰囲気が日本でも出来上がって、いつの間にかBEAST FEASTに呼ばれたりするまでになってたみたいです。で本日のこちらは95年のデビュー作。確かにそれぞれの本業バンドに比べると、擬似オールドロック風なノリを謳歌しているだけでフックには乏しく、根の詰まった気合感みたいなものが希薄か。まーしかしフィル・アンセルモは普通の歌も上手いですね。こんだけ叫べてここまで歌える人もなかなかいないでしょう。スクリーモ全盛(もう過ぎてるか)の今こそ改めてヒーローです。うーんもっと全体的に激賞するつもりで聴き始めたのに、他に取り沙汰すべき点があんまり見当たらない。オールドロックのシブいところの手荒な再生術ならC.O.C.を、真性ワルな巨肉ハードコアならCROWBARを、ずちょずちょのドラッギースラッジならEYEHATEGODを、フィルの絶唱ならPANTERAを聴けば事足りました。もともと遊び半分のお友達プロジェクトとしてスタートしたというアングラな存在のはずなのに、ブックレットのページ数がやたら多くてしかもEAST WESTリリースだったりするあたりも何だかノリきれない。

  8月21日
収穫はなし。今日街中で見かけた、ワルぶりたげな服装をした高校生くらいの男子の、着ていた黒いTシャツに思いっきり「Zildjian」と書いてあったのが印象的でした。君はPA業者か。ところでユニクロは夏のTシャツの売れ残りをガンガンさばきにかかってるみたいで(500円で投げ売り)、ECMコラボシリーズがかなり犠牲になってたことに胸を痛めました。ドン・チェリーやガトー・バルビエリに謝れよ!

【本日のレビュー:DON CHERRY「MU」】


随分前に買ってチラッと聴いて以来、長いこと寝かせてました。オーネット・コールマンの盟友ドン・チェリーが、同じくオーネットのバンドで叩いていたエド・ブラックウェルとデュオで録った69年作です。フリージャズの大定番であるので、一応ブックレットのライナーから大雑把な作品の経緯を引用させていただきますと、「ベトナム戦争云々でアメリカに嫌気が差してヨーロッパに移住するついでにインドや南アフリカなどを旅したチェリーが、モロッコから戻ったブラックウェルとパリのスタジオで行ったセッションがこの作品」ということでした。

 全体がパート1と2に分けられていて、トランペットやフルート主体のパート1の方は、インドのラーガやバリのガムランにもインスパイアされてますよと言われて聴けば確かにそんな感じ。もはやアメリカンニグロのブルーズフィーリングやスウィング感などはほぼ皆無。ただ先述の題材は演奏のアイディアに大きく影響しているものの、表現を限定してしまっているようなフシはなく、とかく動物らしい生命力を自由に謳歌しているような様子です。一方ピアノがフィーチャーされるパート2では、野蛮な風景を西洋式に切り取るような文法も現れ、更に何だかよくわからないものに。抑制の効いたピアノとその音色になだめられるように騒ぎ出すのをこらえるドラム、というデュオのインタープレイはかなり濃密かつギリギリです。チェリーの奇声タイムはさながらデメトリオ・ストラトスの趣きか。総じて、音階楽器とドラムスという最小単位でどこまで虚実を超えた世界の拡がりを表現できるかに挑んでいるという点では、ライナーにもあるとおりコルトレーン&アリの「INTERSTELLAR SPACE」と比較されることにもなろうし、あれと対になると言ってもいいくらいの充実度はありそう。とんでもないジャケも含めて、脱臼音楽(?)の歴史上かなり重要な1枚なんじゃないでしょうか。

  8月20日
収穫はなし。そういえば最近のカルピスって、飲んだ後ノドにンニョッとした半固体が絡まなくなりましたよね。技術の進歩か。あとはチョコベビーをうっかり昼間の車内に放置しても、中身が合体して巨大な一粒にならないようになってくれたら、テクノロジー凄えな、と感服しますよ。あれはもはやベビーじゃなかったですね、赤いフタを外してスプーンで削ってみたりしたのち、パカパカと容器から叩き出してかじりつきましたが、微妙にエアインチョコ状態と化していて「ぬーぼー」を思い出させました。(田代…。)以上、途中から「そういえば忘れていたフジロックこぼれ話」でした。

【本日のレビュー:AL DI MEOLA「ELECTRIC RENDEZVOUS」】


最近中古盤屋でまとめ売りされているのを見て、家にもあったけどちゃんと聴いてないな〜と思っていたアル・ディメオラ。言わずと知れたRETURN TO FOREVER卒業生のフュージョンギタリストです。今日はほとんどRTFな初期作ではなく、ヤン・ハマーの仕業でガテン系アセクサ・ハッスル路線に傾倒してしまっているこの82年作を。古き良き80年代、では済まされないダサさにびっくり。バンダナ野郎が感極まって口をパッカ!と開きながら熱演する様が目に浮かびます。「ノリがよい」「景気がいい」を超えて「そのガツガツぶりはどこから?」という暑さ。これがヤン・ハマーの見極めた「新時代の音」だったのか。SPECTRUMやジェフ・ベックの頃は最高の仕事してたのに…。しかしクリーミー&パッショネイトな御大アルのギターは、やはり万人を酔わす味わいがございます。演歌かよというくらい危なげないですが。冒頭曲でのシンセとのユニゾン合戦やソロ対決はさながらイングヴェイ対イェンス・ヨハンソンですね。というかイングヴェイはかなりここから影響受けてると思います。ギターインストもののルーツを探りたいメタラーには最適といえますが、いわゆる良識ある音楽リスナーさんはもう少し古い時代のを当たってみるとよいでしょう。

  8月19日
収穫はなし。昨日載せたTHE HAUNTEDの1stを今日聴いたらえらいカッコよかったです。パトリック・ヤンセンはヒーロー。という流れで今日はSEANCEいきました。↓

▼去年の24時間テレビのTシャツは酷いデザインでしたけども、今年は今年で何故唐突にラスタ風なのか。疑問が残ります。タッキーはどんどん顔がゴツゴツしてきますなー。

【本日のレビュー:SEANCE「FOREVER LAID TO REST」】


血塗れデスラッシュを任せたら右に出る者はいないカリスマリフマスター、パトリック・ヤンセン(現THE HAUNTED / WITCHERY)が在籍したバンドの92年1stです。リリースはBLACK MARK。薪を割るようなヘタウマバキバキ豪腕バンドが多いスウェーデンのデスメタル界にあって、調性を破棄したリフ作りと性急な曲展開でSUFFOCATIONのような本格アメリカンスタイルを標榜した珍しい人達でした。ヴォーカルはENTOMBEDやDISMEMBERその他のような「おーッ!ドーッ!」と叫び倒す感じではない王道ガテラル系で、ブラストもなかなかの気合の入りよう。THE HAUNTEDのようなスパスパと快走していく作風とはかなり異なりますが、ときどき独特の血生臭いメロディセンスがツンと鋭く二オってくる場面はあります。2ndはややストレート化が敢行されてガッツリ垢抜けておりまして、そちらの方にやはり軍配が上がるか。デスメタルファンは是非両方。

  8月18日
収穫はなし。昔同じ所にいた人々と、互いに不在だったその後の各々の時間を開陳しあうというのは、なかなか代わるもののない大人の娯楽ですわね。急な呼び出しを受けて、大学時代のバンドサークルのかなり久々な人達の集まりに行ってきたのでした。学生時代の知り合いと脱・学生後に会うと特に、「誰がしは×××になった」というのがハッキリしてるので面白いものです。

 さて今日は普通らしい日記が書けたので満足。

【言葉にできない名盤シリーズ:THE HAUNTED「THE HAUNTED」】
メタル史上でも1・2を争う立派な「ファック!!」が聞けます。最近やたら口をついて出そうなこの言葉。

  8月17日
収穫はなし。自宅での練習用に重宝していたダンエレ59DCちゃんのネックが、しばらく使わないうちに軽く順反りしていたことに、ちょいと前に気付きました。でチューニングを3音くらい落として、床と壁とギターで三角形を作る感じでネックを壁に向けて立て掛けておいたところ、連日の暑さのせいか一発で直ったので、ここに記します。59DC、重量が軽くて生音が大きいからちょっとした練習には本当に最適なんですけど、ハイフレットに急速に移動しようとするごとに、ネックとボディの継ぎ目の段差に手刀が激突することだけが難。いや、そんな「高速横移動スウィープ」とかの練習しなけりゃ問題ないのですが。

▼二日続きで「音楽好き(の中でも特定の嗜好に共感する人)以外には全然興味の沸かない日記」しか書けてないことに、己の器の小ささを痛感している次第ですが、そもそも「音楽好き以外」に対する心配をこのサイトでする必要もないのではないかと思って終わり。

【本日のレビュー:CAMEL「MOONMADNESS」】


いきなり何の脈絡もないチョイスで。まあ酷暑に似合う動物といえばラクダです。イギリスの叙情プログレグループの、これは76年作。行き当たりばったり的な変則拍子・変則展開の類には極力頼らず、風景写真のような淡ーいサッパリした詩情を強調する作風が特徴のバンドであります。その傾向は脱プログレ〜ニューエイジ(?)接近を果たす80年代以降特に顕著になるのですが、本作はそういうスタイルとプログレ然として入り組んだ演奏とが絶妙なグラデーションをなす、どうにもいい塩梅の盤なのです。80年代を間近に控えたうら明るいフュージョンポップスアレンジなども端々でさりげなく導入し、ヘタなクラシックよりよほど上品で奥行きのある泣きをスーッと敷く、一歩間違えば古い刑事ものドラマのエンディング音楽になりそうな渋い風情が素晴らしいじゃないですか。アンサンブルの質感としてはGENESISの同時期作「WIND & WUTHERING」が近いでしょう。で、全ての肝となるアンディ・ラティマーのリードギターは、ブルーノートを使わないブルーズギターとでも呼びたくなるような深い色。全7曲の収録曲はいずれもツブ揃いで、それぞれ異なる表情で魅せてきたあとにインストで火花を散らす"Lunar Sea"で豪勢にシメ、「名盤だった…」と大満足なエンディングです。ハッタリも妄想パワーもない、ただ慎ましくて美しいプログレをお探しの向きは是非。

  8月16日
収穫はなし。雑誌とかをちゃんと読まないとやっぱり、色んな情報を取り漏らしてます。サマソニにSUICIDAL TENDINCIESが出てたとは知らなんだ。セットリスト調べましたが、80年代の作品からの選曲が多いのですね。「SUICIDAL FOR LIFE」好きだったのに。いろんなバンドのライブ予定のみならず新作情報とかも多分全然わかってないので、積極的に教えて下さい。今のところ定期的に頼りにしている媒体といえばここの「TOPICS」欄くらいです。

▼二日続きで「夏が暑いこと」を書くのは非常に癪ですが、今日はさすがにタンパク質の危機を感じました。もうすぐ赤身が白く固まってくるのではないかと。

【本日のレビュー:SUICIDAL TENDENCIES「SUICIDAL FOR LIFE」】


解散前ラストの94年作。これの前作は以前に紹介してました。分身INFECTIOUS GROOVESで実験的に追究したシニカル・ファンク・スラッシュを本家にも持ち帰って、スラッシュメタルがこぞってスローダウン&キャッチー化した流れと、レッチリやFAITH NO MORE他が盛り上げたミクスチャー気運の両方に鮮やかに飛び乗った秀逸作です。ザクザク尖ったメタルリフを肉感的な16ビート(これが全然ダサくない)に被せ、ネガティヴな単語をぺらぺらとジャイヴする軽薄なヴォーカルが放送倫理協会(?)とPTAにツバを吐きまくる、強烈にストリート臭のする元祖ヘヴィミクスチャー。R&Bや初期ハードコアともリンクして数限りないバリエーションの卑語を備えているという点で、単なる「ラップ+メタル=ラップメタル」とはもう次元違い、別宇宙。でそういうイノヴェイティヴ云々の話を抜きにしても、1曲1曲の彫りが異常に深く、単純に「名曲の集まった名盤」として見て相当なレベルの高さにいっている気がします。きっと一生メタルファンにはならないと思うけど「メタル的なるもの」を全くスルーしたままでいてもいけない気がする、という人には是非勧めたい1枚。

 ちなみに自分でも意外な偶然の話ですが、昨日ご紹介したY&Tのアルバムで叩いていたジミー・デグラッソが、このアルバムにも全面参加している(スイサイダルではこの1枚限り)ことに、書いてる途中で気付きました。かなりいい仕事しててカッコイイです。MEGADETHに行ったあとは何してんでしょうかね。

  8月15日
収穫はなし。私がこの時季絶対言わない単語それは「暑い」です。ゆうたろうを前にして「この人、石原裕次郎に似てるよね」と誰かに言って聞かせる必要がないように。しかし今日はわざわざこのことを書いて説明したくなるくらい寝苦しそうなので、考えものです。

【本日のレビュー:Y&T「CONTAGIOUS」】


80年代初頭、メタル幕開けの時代に、敢えてそこまでガチガチにならない叙情ハードロックで人気を博した、アメリカの良心Y&T(YESTERDAY & TODAYから改名したためこのような名前になっています)の、とっくに盛りを過ぎた87年作。ビッグヒットを放つようになってからはだんだん普通のメインストリームロック寄りになってファンの失望を買ったと言われていますが、デイヴ・メニケッティ(G./Vo.)のソウルフルなパフォーマンスにはいつでも信用が置けるので、むしろ最初からHARDLINEその他の「ブルーズ回帰趣味+ワイルド志向がまったく産業ハードロックの枠内だけで完結してしまっている80年代後半のMCA系バンド」の音を期待すれば、その極上の部類が聴けるのではないか?と睨んで購入してみたところ、大正解。FIREHOUSEやDANGER DANGERといった、この世代の主役たちと比べても全くひけを取らない、それどころか持ち前の哀愁も随所で生きていてシッカリ泣かせてくれる、上質のソフィスティケイテッド・アリーナ・ハードロックが展開されております。ただ曲によってBON JOVIやVAN HALENを意識したフシがあからさまに判ってしまうのは別の意味で泣けますが。同じくかつては熱くたぎる原始叙情メタルをやっていたSCORPIONSが、売れていくとともに攻撃性をひそめ、アリーナ仕様に転身して順当に成功したことを思えば、Y&Tの場合も決して「みすぼらしい身売り」と揶揄されるほどのことではないと思うのですが…。何故失速したんでしょうね。これ良いアルバムです。

  8月14日
収穫はなし。VAN HALENリユニオン→ワールドツアー話が復活してるようで、めでたい限りです。日本来ますか?ドームはやめてね!!

【本日のレビューその1:VON ZAMLA「ZAMLARANAMMA」】


スウェーデン・バカ・レコメンの旗手SAMLA MAMMAS MANNA解散後にその残党のラーシュ・ホルメルとエイノ・ハーパラが立ち上げた後継ユニットがVON ZAMLA。こちらは82年発表の1stで、フレンチ・ザッパの異名をもつアルベール・マルクールのバックメンバーを迎えての4人編成です。サムラ時代はコミカルによじれたエスノ・ジャズロック〜フュージョン的プログレサウンドを聴かせておりましたが、ここではいわゆるロック・ドラムを真ん中にフィーチャーせず、管弦楽器やアコーディオン、各種アナログシンセを変拍子で重層にしたエキセントリック・チェンバー・トラッドてな感じに移行しています。ドラムに頼らないだけにアンサンブル全体で動きを作るグルーヴ表現がかなり強烈。不穏さとアホ感が混在する空気づくりは独特としか言いようがありません。後世の世界中のバカ系レコメンバンドの数々や、とりわけ吉田達也などには本当に影響大だなーと痛感します(彼は今や復活サムラのメンバーになってしまいましたが)。再発感ありすぎるアートワークがやや難ですが、中身は特にリミックス等の改変のない正真正銘ヴィンテージですのでご安心を。

【本日のレビューその2:ALUSA FALLAX「INTORNO ALLA MIA CATTIVA EDUCAZIONE」】


にわかにプログレづいてその2までいってしまいましょう。こちらは「キャリアは長かったがアルバム1枚のみで解散したイタリアンロックグループの、74年にリリースした唯一の音源のMELLOW RECORDSからのリイシュー」です。素性としては実によくある感じですね〜。70年代イタリアはこういうバイオで音楽的にもそれなりに出来の良いバンドというのが多過ぎて、ある線以降は追うのを諦めてしまうんですが、ジャケの良さにつられて試聴したらかなり良かったので買ってしまいました。情緒ある生楽器とブッ飛んだシンセを両方操ってのクラシカルな演出は、PFMほど「クラシカル・ロック」として最適化されない荒削り感があり、かといってLATTE E MIELEみたいなハリボテ学芸会的ハッタリ感もなし。ネイティヴなクラシック・フィーリングとロックならではの馬力感のいいところ同士がマッチした、ちょっとした天才の野生児という印象です。気品あるフレージングにおーおーと喜んでいると次の瞬間には平気でミヨ!ビヨ!とエグめのシンセが切り込んできて、そういう場面の派手さはOSANNAに勝るとも劣らず。1〜4分台の曲をズラッと行列させるアルバム構成も流れが良くて聴きやすい。マニアは勿論、そうでない人がうっかりいきなり買ってしまっても大丈夫な好盤です。

  8月13日
▼また本日の収穫、バナナ名駅店にてYES「90125」(リマスター)、SLAPDASH「240.25 "ACTUAL REALITY"」、ALUSA FALLAX「INTORNO ALLA MIA CATTIVA EDUCAZIONE」。PCの前でふとギターが弾きたくなったとき、チューニングが狂ってる!そんなことはありませんか?何で通販口調なのかわかりませんが、こんなん見つけました。合わせたい音名をクリックしてサッとチューニング。これは便利!

【本日のレビュー:SLAPDASH「240.25 "ACTUAL REALITY"」】


90年代前半のメタルシーンに雨後の筍の如くボコボコ現れていた「脱スラッシュ・ポストPANTERA組」の中でも真打ち的な1枚として、輸入盤専門店でよく売れていたアルバムです。「スネアがほとんどヤカンの音」ということでも軽く語り草になっていた気が。バンドはスウェーデンの5人組で、NUCLEAR BLASTからのリリース。ヘヴィ&クランチーな"モダン"(当時)リフと青筋系シャウトヴォーカルのみならず、変態度高めのテクニカルなリードギターも配し、ゴシック的夢語り性を薄めたNEVERMOREか(息のつまるヘヴィネスの応酬において)、「NONE」路線のまま目一杯親切になってしまったMESHUGGAHか(屈折するリズムの引き出しの豊かさにおいて)、鋼鉄一辺倒になり果てたジョン・ブッシュ時代のANTHRAXか(こざっぱりした威勢のよさにおいて)という感じに充実しております。もっぱら流行に追従していたにせよ、ポテンシャルを秘めたスジの良いフォロワーだったといえましょう。このセンスを活かして独自の深化を果たすことも可能だったろうに、メンバー達は今なにやってるんでしょうか。気になって調べてみたところ、ギタリストのラーズ・リンデンは結構な仕事人らしく、このバンド以前からプロデュース/エンジニアリング業に精を出す傍ら、現在はCARNAL FORGEのメンバーになっているようでした。なるほど。ちなみにこの人達、前身がROSICRUCIANというデスメタルバンドであることもわかりました。やぱズブの新人じゃなかったんですね〜。割と中古盤屋で簡単に見つかる気がするので、見かけたらちょっとお情けをかけてやって下さい。

  8月12日
▼ガ〜ン、昨日も日記書いてたのにアップロードし忘れました。昨日のレビューは1349の超強力盤ですので是非ご覧下さい。本日の収穫は今池P-CAN FUDGEにてKILLING FLOOR「OUT OF URANUS」。あとバンド名を忘れましたがCUNEIFORMからリリースされていたフランスの4人組の作品も試聴して、「うわ〜MAGMAやクリムゾンやCHEVAL DE FRISEみたいでカッコいいなあー」と思ったので買うのをヤメました。「新しいバンド」の使命ってほんと難しいですね。と思いきやスティーヴ・マルクマスみたいな人は、大概ベテランのくせして、誰もが普通に目にしてきたはずのものをこういうやり口で切り取った人はいないんじゃない?という新鮮さを常に欠かさないし、やっぱり天才とそれ以外の違いか…と思うと切なくなります。

【本日のレビュー:KILLING FLOOR「OUT OF URANUS」】


REPERTOIRE再発もの。ホワイトブルーズ進化型の原始ハードロックを聴かせるイギリスのバンドの71年2ndのようです。別段飛びぬけた名曲・名演・大発見といったものは見当たらず、大筋でジミヘンを安請け合いしたような線に落ち着いていながら、まだロックの何もかもがやり尽くされていなかった時代ゆえの「乱暴に思いついたひとネタ」の数々が愉快だったのと、生々しいギターの音が凄く良かったのとで買ってしまいました。あとジャケもいいし。生ぬるいサイケ感は割とサッパリ抜けてて、なかなか男臭いところが好みです。この世代の人達はやっぱりブルーズフィーリングが確かですねー。先人のケーススタディを散々やって、理論として最適化された「いわゆるブルーズ・ギター」に何とか人間らしいエモーションも乗っけました…!という後世の必死な若手と違って、ためらいなく「こうやろ?」とやってのけてしまうダイレクト感が頼もしいというか。小粒は小粒でも、ロックにこういう時代は二度と来ないということを考えると、今いる中途半端に出来のいい小粒バンドよりは何かがある気がして買ってしまうREPERTOIREマジック。気長に集めたい。

  8月11日
収穫はなし。たまに自販機で売ってるキットカットありますよね。あれの意味が(何故自販機でキットカットを売ろうとするのかが)全く判らなかったのですが、「もしかして、自販機から出てくるってことは、冷えてるのでは?」ということに今日ふと気付き、バンド練習で行ったスタジオの外にあったのを買いました。ちゃんとよく冷えた、パキパキのが出てきました。これは新鮮。夏の街頭でおもむろに冷えたチョコが食えるというのはなかなかの不思議体験であります。

 そして今日も飲んでしまった。

 日差しがきついのでRELAPSEの帽子を被っています。

【本日のレビュー:1349「HELLFIRE」】


SATYRICONのドラマーのフロストが参加しているブラックメタルバンドの、以前紹介済みの2004年作の翌年に出ているアルバム。これはけっこう名盤の誉れ高いブツだそうです。ブラストパートの合間にストレスにならない程度の割合でノーマルなリズムを配し、リフにもどこか初期アングラスラッシュっぽいキャッチーさを漂わせていて、究極にコアな音楽たるブラックメタルの本質は損なわないまま排他的になり過ぎてないのが凄い。何から何まで粒が大きい。名手フロストの強力な後押しによる演奏も申し分のない迫力。大仰なコードワークも相俟って、このスケール感はほんとオーケストラ的です。つくづくブラックメタルは芸術だなー。

  8月8−10日
▼無意味に更新を怠っていましたが、死亡しておりません。本日10日の収穫、サウンドベイ金山にて1349「HELLFIRE」、VON ZAMLA「ZAMLARANAMMA」、ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA「DISCOVERY」とDOWN「NORA」は500円。同・上前津店にてY&T「CONTAGIOUS」。久々にCD屋行ってテンション上がるかなーと思ったけど、やや時間に追われていたこともあってか「CD屋ってのは、CDばっかりあるなー。何なんだろなー」という妙に醒めた気持ちも沸きながらの物色でした。ほんと世の中にはたくさんのCDがありますね〜。そこに自ら新たな1枚を作り足そうなんてとんでもないぜ。と思いながらも曲作りしてます。

【本日のレビュー:ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA「DISCOVERY」】


CHICAGO同様、プログレハードのギリギリの隣人ということで、メタラーにはちょっと気になる存在のELOです。この79年作を500円で見つけたので買ってみましたが、当たりでしたね。バンドの素性についてはWikipediaにガツンと美しくまとまっているのでそちらをご参照いただくとして、内容。まず超ハイテンションなゴダイゴみたいな冒頭曲でさっそく底ヌケです。アシッドなボコーダーが炸裂するJELLYFISH直結系ビートルズポップスやら、エンヴェロープフィルターのミヨミヨと優雅な生ストリングスが交錯してしまうディスコビーツやら、ウエストコーストみたいな風情が優しいバラードやら、元気のいいときに作った傑作!というテンションが漲るツブ揃いな曲の数々。90年代以降の「エディット世代」的なある種のいやらしさとは全く違う、学生街のめし屋が調子に乗りすぎて作ってしまったアボカド寿司のトリプルベリーパルフェ、とでもいうべき微笑ましさと生々しさです。トッド・ラングレンやKORGISのようなハートウォーム・ビザールポップスがお好きな向きは是非とも避けて通らずに。という感じでしょう。やっぱりこのへんの、「これからの華々しい時代ってこんな感じ?」と妄想するかのように板につかない派手さを装う、80年代リアルバブル寸前のメインストリームポップスの空気は好きだなー。

  8月7日
収穫はなしSCHOP次号のディスクレビューを入稿。選に漏れたものを今日のレビュー行きにします。↓

▼あ、ザ・プレミアム カルピス飲んでみました。感想は「丁寧に作られた、(味が)ちょっとヨーグルトみたいなカルピス」でした。いわゆるところのカルピスの醍醐味とは違うところに行き着いている気がしますが、値が張るなりの出来にはなっていると思います。

【本日のレビュー:ALICE IN CHAINS「JAR OF FLIES」】


グランジムーヴメントのガッツィー路線を開拓した大名盤2nd「DIRT」で押しも押されぬトップバンドとなった彼らが、当時流行っていた「MTV UNPLUGGED」を明らかに想定して作ってきたアコースティック・アルバム(その前にも似たような趣旨の「SAP」というEPを出していますが)。彼らの病的にまどろんだ重声ヴォーカルは、ディストーションのない所でもよく映えます。むしろより陰惨さを増すくらい。当時ヘヴィーローテーションだった"I Stay Away"や"No Excuses"をはじめ、楽曲のツブ立ちも抜群でありますね。ものによってはグロテスクなスローコアとも言えそうな。とにかく音楽的には孤立するほど個性的なバンドであったので、今日に至るメインストリーム・ミュージックの系譜において改めて存在の重要性が強調される機会はあまりないかも知れませんが、余裕のある人はレイン・ステイリーの強烈なRの発音に巻かれちゃって下さい。

  8月6日
収穫はなし。今日は愛するココイチの話をさせて下さい。復活した「オクラ豆腐」は、オクラの切り方が以前より大きくなりましたね。以上です。「ホクホクコロッケ」は消えましたか?残念です。

▼昨日、あのようなことを書きつつ、そろそろCD買いたいです。

【本日のレビュー:CARPATHIAN FULL MOON「SERENADES IN BLOOD MINOR」】


UNHOLYからKATATONIAまで、ユーロゴシックのディープなところをリリースし続けるイタリアの中堅レーベル・AVANTGARDE MUSICの初期リリースです。一応ブラックメタルの本場ノルウェー出身で、これは94年作。のっけからやけにクリアで定位のハッキリしたドラムサウンドに、あ、打ち込みか…とガックリきますが(アングラデスメタル界では貧乏な録音環境のためにドラムだけを打ち込みで済ませるケースが今も昔もけっこうあります)、煮え切らないにも程があるドゥーム化IRON MAIDENっぷりが何とも懐かしく、「そうそうデスメタルってこういう『思い込みの怨念』あってこそだよな〜」としみじみしてしまいます。言うなれば地味なCEREMONIAL OATH。そんなん聴きたい人多分今はどこにもいませんですね。いや、アレやってコレやってこうしときゃOKっしょ!とまるでプラモデルのようにデスメタルを組み上げて喜ぶ近頃の人畜無害野郎共は、こういう過去の試行錯誤の痕跡から学ぶがいい。

  8月5日
収穫はなし。部屋の片付けをやり遂げるに足りる集中力もなくしてしまったのか、集中して片付けきるには部屋が荒れすぎていたのか?答えは「CDが多過ぎる」です。こんな沢山のCDに責任もてません、かわいそうに(CD達が)。

【本日のレビュー:TANGERINE DREAM「ATEM」】


キャリアが長すぎてメンバーの息子がメンバーになってしまったりするジャーマン音響の名物ユニットTANGERINE DREAM。シンセミュージック然としたアンビエントな作風(「PHAEDRA」以降)に変化する前の最後のアルバムとなった73年作です。この頃も一応シンセ主体ではあるわけですが、特定のフレーズやそのループを奏でるようなことはほぼなくて、非常に漫然としたインプロヴィゼーションがひたすら続くのみ。たまにドラムや人声も入る。割と耳に快くないようなダークな和音を用いることが多く、「スペース・ミュージック」なんて評されることもあるとおり、宇宙の虚空を描写するような感じです。もっと極初期の混沌ノイズ時代と比べると、宇宙が見えてきただけポイントがはっきりしてきたといえましょう。それとリンクしたアートワークも秀逸。電子音の扱いくらいどうとでもなる今となっては誰でもできそうな音楽にも思えますけども、こうして10分や20分かけてじわじわと異世界を語るというのは、根気というか信念というか、ある種病的な偏執性がないと途端にショボいものになってしまうもの。年輪のせいもあってか、やはりタンジェリンという説得力が感じられます。あー薄いレビューだなー。なにぶん、とことんシンプルなアイディアをどこまでも引き伸ばしてアルバム1枚にしてしまうというのがジャーマンロックの常なので、言葉をつないでそれを語るというのは難しいっすね。

  8月4日
収穫はなし。姉夫婦が赤子を連れて夕食に来たので、1ヶ月振りに赤子と遊ぶ。絶対私好かれてます。

▼新商品はまだかい、モンテールよ!ミルクレープを仕入れろマックスバリュー!!

【本日のレビュー:PETER GABRIEL「PETER GABRIEL」】


GENESISは大好きで、フィル・コリンズのソロはそもそもGENESISを知る前に聴いていたので普通に好きなのですが、それじゃコッチも…と思ってこの元スリッパ怪人のソロ初期3枚も高校時代(だったか大学入りたてだったか)に買い集めてみたところ、当時純なメタラー/プログレッシャーだった私にはサッパリわけが分からず、そのまま棚で凍結されてました。おもむろに聴き返す気になったのでまずは1作目をピックアップ。メインストリームポップス全般をそこはかとなく意識しながら、エヘヘ俺変態と宣言せずにはいられない、「幻惑のブロードウェイ」で発露させきったピーガブ・イズムが見事100%主役になった音ではないですか。何でピンと来なかったんだろなー昔。売れたいのか?嫌がらせか?とにかく気持ち悪いよ、キマッてるけど…。などと矛盾した言葉を投げかけたくなるような中途半端な脱プログレ具合が何とも、「イルでドープ」(死語か?使います?)で不敵ですね。ときどき普通に感動的だったりするあたりも。ほとんどティム・キンセラばりの混沌具合というか、今どこかのインディレーベルから新人としてこの音が出てきたら「宇宙志向のオーケストラル・ビザール・ポップス!激ヤバです!」などと紹介されても不思議ではない。77年にこの衝撃。歌もので路頭に迷いたい人は聴いてみてください。ちなみにトニー・レヴィン&ロバート・フリップ参加。

  8月2−3日
収穫はなし。テレビの天気予報なんて見てない間に、東海地方は梅雨明けしてたんですね。いま梅雨明けしてるか否かというのを、リアルタイムで報道を見聞きする以外にどうやって知る手立てがあるんだろうと思って試しに検索してみたところ、気象庁サイト内に懇切丁寧なページを発見しました。まあ、他にどこで発見するんだって話ですが。ありがとうございました。

 にしても暑い。またスポーツ刈りか。

【言葉にできない名盤シリーズ:UK「UK」】

  8月1日
収穫はなし。年末年始のアデノイド激肥大騒動と、先週末あたりから実はできている鼻の腫れものおよびその他の兆候が気になって、フジ帰還後ずっと、思い当たる病気についてもの凄い勢いで調べ倒していたのですが、6月の血液検査の結果の紙を取り出してよく見たら、疑っていた病気のマーカーには全然引っ掛かってないことが確認でき、ちょいと安心しているところです。ホッとして書かずにはおれんので垂れ流しておきました。ほんと、病人といっても骨折れたとかそういうのはまだ幸せです。中から来る奴は不安がでかいですよ〜。

 そういえば、苗場で見かけた意外なバンドTシャツを列挙するのを忘れていました。

・IRON MAIDEN(いかにもメタルな長髪男性でした)
・SOILENT GREEN
・BATHORY(何故か帽子はスイサイダル)
・NAPALM DEATH

 そういう私もUNSANE、DARKTHRONE、「HEADBANGERS BALL」、HIGH ON FIREで3日間を過ごしてきました。ところ天国で買った犬のイラストの隠れオフィシャルTが最高です。Tシャツはいいなー。生涯Tシャツでいきたい。

【本日のレビュー:SOILENT GREEN「PUSSYSOUL」】


こういうカオティック・スラッジ・グラインドみたいなのって、90年代末から本格的に流行り始めたように記憶してますが、この人達早いですね。このデビュー作が94年リリースです。EXIT-13その他の自由闊達な笑撃系グラインド・ロックの気風を下地に、より本気でいかつい南部スラッジ的アプローチをメインにもってきて、笑い飛ばすだけではない豪腕病的地下音楽を模索しております。何でそこだけ?というタイミングで切り込むブラスト、いまひとつ貧乏くさいプロダクション、微妙に弱っちそうなデス声と、微笑ましさ満載。スピードや汚さを突き詰めすぎてしまった結果、ここまで極端にやるならもう何でもありだもんね、といってみんな無闇にエクスペリメンタルになってしまっていた、デス/グラインド黎明期に近い世代ならではの「とりあえずやり過ぎる美学」を堪能できて実に良い。ここにある要素を効率的に項目化していって緻密に組み立ててしまったような昨今の「マニュアル型変態」どもとの間には超えられない壁が。逆にそっちに慣れている人にとっては「要領わる〜」ということになるんでしょうか。土のついたぐねぐねのイモの野蛮な味こそリアル、という方に。

最新に戻る 他の月の分を見る
 
トップページ サイト入り口へ
情報と音源公開 制作活動
管理人のことなども このサイトに関して
リンク 冒険
いつも独り言 掲示板(hosted by Rocket BBS)
サイト内検索(google) 不完全
since 07/04/2002    copyright (c) Sugiyama
inserted by FC2 system