物色日記−2007年11月

※頻出語句解説はこちら
  11月30日
本日の収穫、名駅69にてRUSH「SNAKES & ARROWS」、KISS「REVENGE」。

またUPSの貨物追跡を楽しみながら買ってしまいました、今度はELECTRO-HARMONIX「KNOCKOUT」。バッキング時に、歪みは減らしたくないが(主にピッキングハーモニクスが出なくなるため)メリハリをつけたい、どうしたものか…と長いこと悩んでいて、今までは結局ボリュームペダルに落ち着いてたんですが、まさに欲しかったのはこういうやつなのでした。ギターらしいトーンを保ったままガッツリ効くハイパス/ローパスの2バンドフィルタ(といいつつブーストもできる)で、さっき試したところ、メーカーの謳い文句どおり本当にレスポールが一瞬でストラトの音に。最近出ているこのエレハモの小っちゃいシリーズはだいたいトゥルーバイパスとのことなので、そのへんの"汚染問題"も安心です。うーんスタジオで鳴らすのが楽しみであります。使えそう。

 あと、パチッという円くて小さい機械スイッチには、100円ショップなどで売っている半球状の「オーディオ防振用ゴム足」みたいなやつを買ってきて、平面部分に彫刻刀か何かで円筒状のくり抜きを作ってハメてやると、かなり踏みやすいです!こういうパーツ、どっかのメーカーが製品化せんかね。「フミソコナワーズ」とかいって。

【本日のレビュー:RUSH「SNAKES & ARROWS」】


ファンながら遅まきに買いました。だって前作「VAPOR TRAILS」がイマイチだったので。で新作。暗くない「COUNTERPARTS」とでもいうような、良くも悪くも90年代以降のRUSH節でしかないという感じでしょうか。たまに作る名曲は凄くいいんだけど、つかみどころがない時はとことんない人達なので、まあこういうこともあります。過去の名曲は山ほどあるんだし3〜4枚に1枚くらい当たりの名盤を作ってくれりゃ文句はありません。それにしてもこの「何も残らなさ」は凄いな…。

  11月29日
収穫はなし。何故だか知らないがココイチことCoCo壱番屋は好きです。ノーリーズン。いや、多分「(店舗が)どこにでもある」くせに「(味が、良い悪いを超越して)ココイチでしかあり得ない」からでしょう。店の近くを通ってあっココイチのニオイだな、行きてーな、今度行こ、とつられて時々行っているうちに常習化してしまうのです。(惰性か?)ロースカツ、フィッシュフライ、イカ、etc.とその時々で「行ったらこれ」を変えてきましたけども、この前かなり完成度の高い新定番を開拓しました。チキンにこみ+半熟タマゴで勝手に親子カレー、どうですか。サイドオーダーのサラダは今までタマゴサラダにしてましたが、半熟がカレーに乗ったことでやさいサラダへ格下げし、計850円(300グラム・辛さ普通の場合)。かなり満足ですので試してみて下さい。

【本日のレビュー:GRAVE「HATING LIFE」】


デスメタラーは顔をしかめ、アングラ/マイナー好みのデスメタラーも顔をしかめ、デスメタラー以外には理解の範囲外という、誰が喜ぶんだという作品が私は好きです。こちらはスウェディッシュデスの古参・GRAVEの96年作。GRAVEといえば極初期は評価が高いものの、94年の「SOULLESS」で低速ヘイト路線に傾倒したことでイメージを下げ、CG然としたダメなジャケで出してきたその次作にあたるこのアルバムもきっと「だってもう、終わってるもんね」などといって相手にされてこなかったことでしょう。PANTERA〜HELMETあたりの鋭角感をスウェディッシュデス特有の岩石風テクスチャに溶け込ませ、更に一時期以降のENTOMBEDが提示したような「弾けた暴走ロック」的馬力もアピールした、最高に90年代な内容でイイじゃないですか。後期CARCASSとBARKMARKETの融合などと無茶も言ってみたい。生々しくて、存在するだけで説得力のある、裸のウルトラ・ヘヴィネスをとことん追求したこの時代の試行錯誤の成果は、もっと正当な評価を得てもいいのにな〜。ちなみにSUNLIGHT STUDIOレコーディング・CUTTING ROOMマスタリングというスウェディッシュデス良作の黄金律もきっちり押さえてます。普通に名盤。

  11月28日
▼今日はNHKビルの裏あたりにあるミュージックファーストという中古CD屋を初めて訪ねてみました。で本日の収穫GANDALF「GANDALF」、GRAVE「HATING LIFE」、DISHARMONIC ORCHESTRA「NOT TO BE UNDIMENSIONAL CONSCIOUS」、VITAL REMAINS「FOREVER UNDERGROUND」、JOHN COLTRANE「THE OLATUNJI CONCERT: THE LAST LIVE RECORDING」。これだけ買って3000円とは最高。

【本日のレビューその1:JOHN COLTRANE「THE OLATUNJI CONCERT: THE LAST LIVE RECORDING」】


帰ってからとりあえずこれを聴いてました。あまりの凄さに途中挿入。「EARTHBOUND」かよと思わせる音の悪さで、爆破目的の愉快犯や思い込みの過ぎるパンクスなどとは全く性質の異なる、求道者の祈祷たるカタストロフィック・ノイズが延々(30分×2)展開。2曲目はタイトルが"My Favorite Things"となってますがテーマを吹くのは一瞬でした。「人生一度はお伊勢さん」的な感じで、聖人の壮絶な最期を見ておくのもいいと思います。

 ということでミュージックファーストです。手狭は店内は適度に明るくてスッキリしていて、「雑居ビルの2階の中古CD屋」のいかにも薄暗いイメージとは無縁。基本的にはモダンジャズ定番の国内盤に強く、あとはほぼオールジャンルあって、プログレとサイケロックとソフトロックが別の仕切りになっているほど60〜70年代ロックにも手厚め。邦楽も少し古めの良質なところが充実してました。こりゃメタルは冷遇かな…と思いきやなかなかの量があり、今日私が買ったような腐れC級デスには容赦なく400円や500円という捨て値がついているのですが、それでも敢えて丁寧なコメント入り。店内のもの全てに愛と手間が行き届いている感じで感動。試聴が何枚でもOKというのも非常に嬉しい。

 「初めて来たけどいい品揃えですね、また来ます」的なコミュニケーションを図ろうと思って、精算のときにちょっと頑張って若い男性の店員氏に話しかけてみました。


筆者:「あ〜、メタルはかなり際どいの入ってましたけど、これ普通にお客さんが売りに来られるんですか?」
店員氏:「そそうですね」
筆者:「…」

終了。いつまでもこういうのは上手くやれません。しかしまた行こう。

【本日のレビューその2:GANDALF「GANDALF」】


68年、CAPITOLにこのアルバム1枚だけを残して消えたアメリカ産アートサイケバンドです。多分昔「ユーロロックプレス」で名前を見たのを覚えていて、試聴した結果購入。小さく囁きながら確実に繰り返して精神を0.1mmずつヤスリがけしてくるような鍵盤類、何のためにそんなにスペースを空けているのかわからない遠巻きなギターおよびリズム隊、そして深くディレイのかかったオブスキュアなヴォーカル。寒々しく粛々として救いのない悲哀。時として豹変したかのように牙を剥くファズギターの唸り。なーんだこれは、BURZUMじゃないですか。ヤバイですね。視点の定まらない植物メデューサ女のジャケも幻想的というより怖い。ほのぼのした曲調のレパートリーもありますが、それとて彼岸の極楽を思わせます。狙いすましてこれと似たことをやろうとする現代のポストロック/スローコアバンドもいるでしょうが、未だ覚醒しない時代に「とりあえずやってしまった」ようなこういう芸術を芯から再現するのは、同じ形態に留まろうとする限り死んでも不可能ですね。ということでこの盤に心底震え上がった人は、同年代の違うバンドをあたるか、BURZUMやULVERを聴いてください。逆もまた然り。

  11月27日
収穫はなし。「60バンド・グラフィック・イコライザー」に感動した話を書こうと思ってヤメました。フリーのVSTプラグインという奴(を作ってる人)は偉い。これぞ無償の愛。

▼それにしてもBELDENのRCAケーブル導入以来、CDを聴く悦びが確実に増してます。アンプがだめか?スピーカーか?とやる前にケーブルのグレードアップ、絶対おすすめです。

▼何か面白い話があったんですが忘れました。

【本日のレビュー:ENCHANT「A BLUEPRINT OF THE WORLD」】


売りCDを掘り起こしているときに部屋の地層深くから久々に現れて、そうそうこれと思って聴き返したらやっぱり素晴らしかったので晴れてレビュー行きです。DREAM THEATERショックでプログレメタルが沸き返っていた頃、RUSH直系のメカニカル変拍子とJOURNEY〜SURVIVORばりのグッドメロで爽やかに切り込んできたENCHANTの93年のデビュー作です。キーキーいう線の細いハイトーン(それこそスティーヴ・ペリーのなり損ないみたいな)もご愛嬌、とにかくこのバンドは曲がいい。特にこのアルバムは耳に残る名曲満載。強烈な胸キュン感は、同じアメリカなだけにCOPELANDその他の美メロエモの一群に匹敵します。そこに変拍子も絡むとくれば、美麗派ポストロッカーは90年代以降のFATES WARNINGあたりと併せてすぐに飛びつくべきでしょう。無論プログレメタラーは必須中の必須。RUSHテイストを我流に昇華しており「チッ、またワナビーバンドか…」というこの手にありがちなガッカリとは無縁です。昔から好きだったけど、歳とってから聴いてもこんなに喜べるアルバムだとは思わなんだ。推薦盤。

  11月23−26日
▼売りCDの処理その他諸々に追われてすっかり更新を怠っておりました。「ヨシ遂に死んだか?」と期待した方、すいません。さて何があったんだったか…

 そう24日に上前津ZIONにてINCANTATION見てきたのです。総勢8バンドというガッツの要るイベントだったため、半分過ぎくらいの時刻に会場着。名前はわからなかったがオールドスクールスラッシュなバンドが演奏中で、名古屋のエクストリームメタル系イベントにはよくいるブラジリアンモッシャーズが大騒ぎ。その次に多分SABBATが出てきて、ああVENOMとかMOTORHEADとかそこから向こう5年くらいのアングラメタルを愛し尽くして研究しきってるんだな…という感じで見る。ベースはMISANTHROPEの人みたいだった。ラストのINCANTATIONの前に、メンバーが被っているFUNERUS登場。BOLT THROWERのTシャツ着用の女性ベースヴォーカリストが頑張って煽るんだけど「お前ら寝てんのか?」みたいなことを言うので、こういう外人は嫌い。それに対してブラジリアンモッシャーが何やらへらへらとからかうようなジョークを返したりして更に雰囲気悪し。件のベーシスト女史が言った(曲名コールかMCなのか判らなかったですが)suckに「Suck you do.」などと応えたときは最悪だった。この人達、先日のEXTREME THE DOJOでも、SATYRICONに向かって「SAR-CO-FA-GO!」と叫んだり、CELTIC FROSTに「Go home!」と言ったり、かと思えば煽りにはきっちり応えたりもするし、ノリがつかめん。威勢はいいからまっとうに盛り上がってくれれば普通に助かるんだけどな〜…。

 でお目当てのINCANTATION。FUNERUSからそうだったけどギターが、2段積みのキャビの上に鎮座するメサ"鉄板"レクチファイヤーに直差し!で、あの野太い悪徳ディストーションはこういうことだったのかといたく感動。メタル系のライブでは滅多に見ない光景。で、ジワジワとして邪悪極まりない低速リフと、飛ばせども鈍いブラストの波状攻撃に、人生でかつてなかったほどメロイックサインを出し続けてしまいました。思わず。AUTOPSYあたりと同じく、ドゥーム/ストーナーとオールドスクールデスの共通の根源種ともいうべき超アナログ・サウンドがひたすら沁みる。しかしあろうことか、SABBAT目当てで来て帰った客もけっこういたらしく、フロアがやや寂しい状況に。それで多分テンションが落ちて、何だか短めのセットで帰ってしまいました。アンコールはやってくれたけど。凄く良かったのに何だかこれでは申し訳ないので、機材の片付けに出てくるのを待ってギターヴォーカルのジョン・マッケンティー氏に握手してもらいました。「Killer show!」と伝えたけど何だか複雑な表情をしてました。単純に発音が悪かっただけかいな。

▼22日の日記で書いたワイヤレスをスタジオで試してみましたが、やっぱり多少音の劣化は認められました。高域が雑になってワンランク低い歪みエフェクタを使ったような。でもマイクで拾って卓を通ってフロントスピーカーからグシャグシャと鳴るにあたって、差異が気になるほどかどうかは不明。感度調整のツマミをぐいっと上げれば太くはなるし。とりあえず気分的にかなり楽しかったのは間違いないです。

【本日のレビュー:INCANTATION「ONWARD TO GOLGOTHA」】


ということでこちらのデビュー作をいきましょう。92年、まだ全然スタイリッシュじゃなかった頃のRELAPSEリリース。いやー異質、「SLAYERその他の進化形」でも「NAPALM DEATHに触発された行き当たりばったり暴走系」でもない、臓物をズルズルを引き摺るような赤黒い醜悪呪詛メタル。スリルなきスピード、酩酊性なきヘヴィネス、あるのは100%ピュアな地獄の憎悪のみ。ひたすらコアでありながら、「あまりの何も起きなさ」で精神を追い詰める類いのネガティヴミュージックと違って、ドボドボゴブゴブと流れていってくれるので、何お前らの気難しい思い込みに付き合わんといかんの?みたいなストレスは全くなし。ああこの調性的着地点なき不穏なリフの数々はもはや神々しいわ。19世紀の近代クラシックの作曲家に聴かせたい。速くててきぱきしてて目一杯詰まってるデスメタルがかっこいいと思う人は一生手を出さない方がいいです。

  11月22日
収穫はなし。昨日届いたSAMSONのワイヤレスセットAP1/AG1を試してみました。まずは画像をご覧下さい。↓

送信機の小ささがとても良い。ジャックがボディ横にあるようなタイプのギターであればほとんど存在感はありません。受信機もMXRの一番小さいサイズのエフェクタ程度です。受信機はアダプタ駆動だと12Vのものを使うよう指定されています(専用のものが付属します)が、電池の場合だと9Vが1本入るだけになっています。ということは9Vアダプタでも動くのか?試してませんが、多分ちょっと歪んだりしそうです。ちなみに送信機は単4が1本。

 で肝心の使い勝手ですが、まずタイムラグ等のストレスに関しては皆無でした。よっぽど受信機から離れれば多少発生するかも知れませんが、その時は自分とアンプの距離も相当あるはずで、「遠くの音は遅く聞こえる」という心理に補われて結果的には問題にならない範囲内と思われます。ギターをクルクルとあらぬ向きにしながら弾いたり、どこまでも歩いていったりしても、離れたアンプから音が鳴っているというのはかなり面白い感覚。あれ音出てない?うわっシールド踏んでた!クソ!みたいなトラブルも無縁になりますね。

 音の方は、やはりシールド直と比べると劣るところがあって、若干レンジが狭くなるのと(特に低域が薄くなる)、音量変化のニュアンスもわずかに損なわれます(大きい音を出すと伸びきらずに歪み気味になる気がする)。しかし音のでかいロックバンドのライブでそんなことを細かく気にする人は誰もおりません、演奏が始まってしまえば、ステージ上の自分さえも。とにかくサイズ面での扱いやすさの問題を完璧にクリアしている一品ですので、音の満足度を1割弱だけ犠牲にする代わりに、場所と時間を費やして行うライブならではの「体験」を拡張・強化できるという点では、かなり有用な道具といえましょう。

 ちなみにチャンネル周波数は可変ではなく、個体ごとに固定された割り当てがあるという仕組みのため、購入する時点でバンドメンバーとカブらないようにするのが重要です。私は「B14ch」でした。

  11月21日
▼こんだけCD売っといて、物色日記もなにもないですね。「収穫なし」はよっぽどネタのないときとか語調を整えたいときとかに使おう。一応サウンドベイのバーゲン日程を確認しに上前津に行ったものの何も買わず。トレイ・ガンとパット・マステロットがデイヴ・ダグラスと一緒にやっているという珍盤を発見しましたが、試聴したらひどいもんでした。

▼それより今日は、注文してあったBELDEN8412のRCAケーブルと、録音物のミキシング作業のPC移行をにらんで買ったONKYOのサウンドボードと、中古で発見して即買いしたSAMSONのワイヤレス(!)が一度に届いてもうてんやわんやでした。まだワイヤレスは試せてないですが、とりあえずオーディオ周りをさっそく整備。RCAケーブルは今までオーテクのしょぼい赤白みたいなのを使っていたので、8412にして一気に「レプリカ」が「本物」になったくらいの改善が。でサウンドボードの方も予想以上に秀逸な品でありまして、ミニコン(CD・アンプ・スピーカーで当時7万程度でした)のCDプレイヤーよりもPCで再生した方が良くなってしまいました。それの取り付けのために函を開けたついでに冷却ファンの掃除もしたし、あとはこのどんどん原野に帰る部屋を何とか人間の棲み家へと立て直さねば。

【本日のレビュー:ANDREW HILL「POINT OF DEPARTURE」】


裁判で久々にちゃんと聴き返したら、こんなに変態だっけと驚いて株が上がったアンドリュー・ヒルです。これはRVGリマスターにも選ばれてるくらいなので代表作になるんでしょうか?64年録音の、ケニー・ドーハム、ジョー・ヘンダーソン、そしてエリック・ドルフィーを迎えての3管セクステット。この人は、特にテーマ部でですが、バックのリズムの細かさや周期に対して、乗せてくるフレーズの刻みかたが明らかにおかしいですね。ダサい(無論大変良い意味で)というか自由すぎというか…。そんな分裂症気味の曲調に、ぷりぷりブヒブヒと斬り込んでくるドルフィーは本当に活き活きとしてます。3曲目"Spectrum"、開始2分足らずでまさかのリズムチェンジに腰砕け。ここまでやると何やらミサントロピックな空気すら漂う。時としてモンクとオーネット・コールマンの中間かのようであったりもして、新主流派にありがちな「ボッサ、ラテン、ジャズロックを取り入れてクールでダンディにいくんだぜ」的ないわゆるカッコよさは全然なく、フレンチプログレすら思わせる迷惑感が最高。はみ出したジャズを聴いてみたいがどフリーまでいくとさすがに聴きどころが分からない、という人にはかなりピッタリでしょう。

  11月20日
収穫はなし。追加で売りCD裁判。はじめから、聴くものだけ買ってれば良かった!!と、当サイトでのこれまでの数年間を否定するような感想に至る。「そんなに買って、どうやって聴くの?」「1回だけしか聴いてないのとか一杯あるんじゃない?」「それ全部本当に好きで買ってるわけ?」などと、沢山の人に言われてきましたが、皆さんごもっともです。とりあえず今日はアンドリュー・ヒルの変態っぷりが身に染みました。ちなみに売りCDの山は更にこのようなことに。↓

【本日のレビュー:TORNIQUET「PSYCHO SURGERY」】


91年METAL BLADE、プロデュースはビル・メトイヤー!これだけで既にヤッターという感じです。内容はまさに期待通りの、パワーメタルへの再接近といい加減すぎるミクスチャーを同時に行うテクニカル畳み掛け系ハイトーンスラッシュ。これぞ隆盛を極め過ぎて飽和の頂点に達した「CRASH OF THE TITANS」の頃のスラッシュメタルのカガミ。半年前の奇跡的な買い物によってこのへんのツボは会得したので、もう大喜びでございます。技巧性の質が微妙にネオクラ崩れのシュラプネル風で、ギターのみならずドラムが鬼テクなのも良い。ヴォーカルは昔ANNIHILATORにいた人にちょっと似てますね。おおお、思いがけないタイミングでスクラッチとラップが入ってきた…ダサすぎるわこの恐れ知らずが。80年代スラッシュ再評価の流れと、普通に風化するのとのちょうど狭間にいる感じで、目をつけるなら今です。いずれ入手困難になって皆あたふたする前にバーゲン箱から救済してあげてください。

  11月19日
収穫はなし。もっと減らせないだろうかと考えています。ゆくゆくは半分以下にしたい。

 朝、日光で自然と目が覚めるように、夜カーテンを全開にして寝るということを、思い出すと時々やるんですが、昨日の画像のグレート・ウォールに遮られて今朝は失敗でした。

【本日のレビュー:ALEX SKOLNICK「LAST DAY IN PARADISE」】


いつの頃からか前髪がメッシュ。元TESTAMENTのギタリスト、アレックス・スコルニックが率いるジャズトリオ(!)の3作目であります。1作目2作目はともに、HM/HRのスタンダードを違和感なくジャズ化するというある種イロモノ的な試みを前面に出す内容になっていましたが、今回はオリジナルの楽曲が全10曲中7曲という比率になり、もっぱらそっちに力が入っている様子です。憂いのあるメロディで耳に残るものが確かに多い。がしかし大筋でメセニー〜フリーゼルあるいはキース・ジャレットの拓いたものからは脱しきれず、ポップステイストを安っぽくならずに導入した、今時の若手がやりそうな冷涼系フュージョンに落ち着いています。それよりやっぱりスタンダードの方が気になるわけでして、オリジナルが悪いわけではないのですが、こっちの料理の仕方が見事すぎなのです。ジム・ブラックTHE BAD PLUSばりにアグレッシヴに仕立てつつ、原曲に現れる全てのパートを余さず拾ったRUSHの"Tom Sawyer"、同じくリフや歌メロを忠実に再現しながら完璧なラテンヴァージョンに移植されてしまった古巣TESTAMENTの"Practice What You Preach"、CTI風の軟弱哀愁ダウンビートナンバーと化したオジーの"Revelation(Mother Earth)"と、いずれも思わず膝を打つ解釈。選曲のシブさも最高。有り物の料理ばかりやるのはアーティストとして不本意なのかも知れませんが、この人はそれで充分創造的だと思います。次は何やってくれるか楽しみ。

  11月18日
収穫はなし。過去最大規模の裁判を終え、CD棚が涼しくなりました。が、未だ彼らの身柄は私の部屋にあるわけで、このように枕元で積み上がってます。

 倒れてこないことを祈って寝ます。

(※後日註:右下に頂き物のCDが写ってますがこれは売り用のものではありません!POSEIDONさんすいません。)

  11月17日
収穫はなし。年末の大掃除に先駆けて、売りCD大裁判が決行されました。一時期熱中し過ぎたたあまり聴きもしないのに人脈やレーベルだけで収集してしまったインディロック/ポストロック系を中心に、あんなに好きだったあれも、このサイトで熱く勧めていたあれも、サッパリと身柄移送の山へ。全部同じ作風で全部一様なクオリティの高さをもつが絶対全部は聴かないウィル・オールダム関連作をどうやって絞るか悩んだり(結局ジェイソン・ロウエンステインとジョン・セオドアが参加している作品のみ残しました)、「好きだしライブすら見たけどこんなに沢山持ってる必要ない」みたいなのをいかに減らすか、今回はなかなか難しい裁定が多くありました。つまりもう持ってるCDはメタルだけでいいんじゃないのか?と行き過ぎた考えにもなりかけましたが、法廷に立たせてみると「やっぱりTHE FOR CARNATIONはオリジン(SLINT)の血なんだなー」とか「IDAは初期からポテンシャルの高さが出とるなー」とかいって踏みとどまることも多数。意外と凄く良かったのがGUIDED BY VOICESのTVT移籍後の作品でした。ブルース・スプリングスティーンを通ってから聴くと格段に泣ける。夕方に一旦出掛けて帰ってからは、ジャズとエレクトロニカを大量に公判待ちの身に。それらもあわせて仮に公判待ち全員が身柄移送決定になった場合、最大約700枚くらいの処分になります。これ全部売れたら大金です、もしかして私は貨幣をCDに換えて貯金していたのではとすら思います。

【本日のレビュー:GASTR DEL SOL「CROOKT, CRACKT OR FLY」】


これぞ「シカゴ音響派」幻想の元凶、まとめて売り飛ばしてやる!と思いつつ念の為一度聴いておいたら、そういやこの男BASTROだったもんな〜、あーちゃんと濃くて太いな〜、とすっかり見直してしまったGASTR DEL SOLです。反骨の屈折ポストハードコアの実践を通じて培った「不穏に沈むアンプラグド・コア」を刻み込むデイヴィッド・グラッブスと、ジョン・フェイヒィへの敬意を一本柱にしてアヴァン音響に野心を向けるジム・オルークとが折衷してこうなったというのが、今聴くとよく判ります。93年という録音時期を思うとことさら説得力が増す。この人達の仕事を「要はつかみどころのないアメリカっぽい雰囲気モノでいいってことね?」と早合点した学生達が、ポストロックを水で薄めていったんでしょう。源流は、いくら一見つかみどころがなくても、迷いやフラつきというものがありません。アコギ2本でも充分魅せますが、ジョン・マッケンタイアが参入してBASTROアゲインな展開になってくるとやっぱり燃えます。このアルバムはそういう曲が多めでよい。

  11月16日
収穫はなし。何でも「BELDENでアンプ直」が最もよろしい。ということで、しょぼいシステムながら、オーディオのRCAケーブルをBELDEN(8412)で注文しました。あとMOWの期間限定ホワイトチョコ味、彼は本物でした。両方とも是非お試しを。

【本日のレビュー:MADONNA「MUSIC」】


別に昔から好きだったわけでもなく、まあ唐突な買い物です。いい歳して未だ「攻めの現役」な姿勢があるのと、欧米商業音楽の最高峰たるものはどうなってるのかというところに興味をひかれて、250円だし買ってみたという品。前作「RAY OF LIGHT」からウィリアム・オービットとタッグを組み、今日的な感触のテクノ/ハウスを積極的に取り入れた作風になっています。ギー・シグスワースやマーク・"スパイク"・ステントなどビョークのリミックスで名前を見かけたような人達も参加。別段フックがどうとかどの曲が染みるとか、そういう感じではなくて、「クールに踊れてしかもイイ声」の最高型を追究したみたいなアルバムですね。生活の中でのポップスの聴かれ方の違いを反映しているような。英詞もわからんし、日本人がジロジロ対峙して聴き入るには余りに取っ掛かりに欠けるかも知れませんが、その時々の究極の上質を標榜する弱刺激性(ここ重要)のスムースさは、さすが一流の仕事だなという感があります。イマドキな仕事人にアウトソーシングするだけじゃなくてマドンナ本人の歌唱もちゃんとそこに乗っかって雰囲気を仕切ってます。ちょっと鬱な曲調に、独特の軽い鼻づまり感に加えておばさん的な低域の深さが乗った四十路マドンナのヴォーカリゼイションはよく合う。深夜の車での長距離移動中とか、歪んだ音がことごとく耳障りに思えるような状況には、こういう洗練されきったポップスが快いときもあります。500円以下で仕入れておいてここぞという時に流してみて下さい。

  11月15日
収穫はなし。3時間くらい働けば誰でも買える値段の、がっちりネジ留めしてあったライトを、わざわざプラスドライバーまで用意して他人の自転車から取り去っていくような卑小な賊は、その卑小さでいつか大きな恨みを呼び集めて、わざわざ用意された凶器で丹念に刺されるなり打たれるなりして、取るに足らない命を落とすがよいわ。などと言いたい日もあります。

【本日のレビュー:BUCKETHEAD「THE CUCKOO CLOCKS OF HELL」】


一昨日のBLOTTED SCIENCEとペアで取り上げたかった1枚です。メタルとファンクとアヴァン/エクスペリメンタルがクロスするところにいる孤高の変態バカテクギタリスト・バケットヘッド君の2004年作。ここ数年の録音の中では飛びぬけてヘヴィな作風になってるとのことで、おもむろに買ってみました。安易な足し算をしてみると、FANTOMAS+SYSTEM OF A DOWN+STRAPPING YOUNG LAD+ORTHRELM+PAINKILLER+GORGUTS+ALCHEMIST、て感じでしょう。全部わかったよという人は今すぐ注文した方がいいです。とにかく重い、変、性急、重い、分裂症気味、グネグネしすぎ、重すぎ、オエ〜ッ、てな強烈な出来です。バケットヘッド、こんな面白いことやってたとは。こうやって卓越したテクニックによって表現の天井を上げている人というのは、これは聴いたことねーなさすがに…という音を出してくるものですね。(そうじゃないご苦労様な奴等もゴマンといますが。)アホ系レコメンとしてCUNEIFORMや本家ReRから出ててもおかしくない捻れぶり。異形のヘヴィリフにグボグボと精神をえぐられて下さい。HELLAやOXES好きの人にも激しくオススメ。

  11月14日
本日の収穫、どこぞのブックオフにて全て250円でTESLA「MECHANICAL RESONANCE」、QUEENSRYCHE「TRIBE」。

【本日のレビュー:CHRIS CORNELL「CARRY ON」】


元SOUNDGARDEN、ひさびさのソロ。前作「EUPHORIA MORNING」はジェフ・バックリー系のやや鬱SSWものになっておりましたが、今回はバンド然とした勢いも部分的に復活。2曲目"Poison Eye"なんかはほとんどSOUNDGARDENそのまんまですね。しかしどうも全体的に、以前のようなハイトーンの艶が失われて、時によってはかなりガナり気味の枯れ声に変化しているのが気になるところ。グランジ界のデイヴィッド・カヴァデイルと呼ばれたのも今は昔です。と一旦イマイチ感を覚え始めると、そういや曲のほうも冒頭のワンツーパンチは効くものの、それ以降はただのヌルいバラードシンガー風だったり、シェリル・クロウみたいだったり、ストーンズですか??とのけぞらされたり、いまひとつオールドファンに優しくない内容に感じられます。良く言えばプライヴェートなリラックス感があり、悪く言えば毒にも薬にも…という。音楽性が変わるのは一概に責めるべきことではないんだけど、声が精細を欠く分、納得は行きにくい。これアメリカじゃどういう風に売れるんでしょうか。

  11月12−13日
収穫はなし。D12(愛用のKORGハードディスクレコーダー)に60GBのハードディスクを入れてフォーマットを開始したらいつまで経っても「01% Finished」なので完了までに何時間かかるのか怖い筆者です。

 ↑と書いて7時間経過した現在、45%まで終了。

▼オーディオ環境を(無知なりに)ちゃんとしよう熱が再び高まっております。とりあえずギター関係にも使えそうなオヤイデ 電磁波吸収テープを注文してやりました。エフェクターやアンプの電源まわりとかギターの内側とかに貼ってみよう。

【本日のレビュー:BLOTTED SCIENCE「THE MACHINATIONS OF DEMENTIA」】


既に一部では話題騒然になっているスーパープロジェクトのフルアルバムです。現代マスメタル界最強の呼び声も高いBEHOLD...THE ARCTOPUSのドラマーのチャーリー・ツェレニー、USテクニカルブルータルデスの大ヴェテラン・CANNIBAL CORPSEでひときわ存在感を放つ凄腕ベーシストのアレックス・ウェブスター、そしてミスター・マスメタル!WATCHTOWERを率いて80年代前半にこの道を拓いた変態中の変態ギタリスト、ロン・ジャーゾンベク!の三人が合流してしまったという、本当に信じられないユニットです。もうこれだけ書けば中身の説明はほとんど不要ですね。MESHUGGAH風のモダンなスタイルにもがっつりキャッチアップした、ブルータル&ミステリアスなテクテクテクテクテクニカルマスメタル全開で、当然最高。若手のこういうバンドだと、曲が分からなくなるほど複雑に仕立て上げてて自己満足に浸ったりしりがちですが、さすがこの人達はわかってます。それなりにツカミのよさを確保したカッコイイリフをちゃんと土台に敷いた上で、フュージョン的なセンスを踏まえた悪夢のようなリードプレイを上手く回していくことで目まぐるしさを演出。曲展開もただ唐突なのではなくて巧みなドラマ性を孕んでいます。「理論の実践」に陥らない(あ、THEORY IN PRACTICEを揶揄してる訳ではありません)あくまで「芸術作品」。不思議と安心して聴けるというか、お前らがゴチャゴチャゴチャゴチャやろうとしてんのコレだろ!?というオリジネイターからの完璧な模範解答というか。デビュー〜「DESTROY ERASE IMPROVE」までのMESHUGGAHが大好きで、HENRY COWでは飽き足らずTHE MUFFINSも5UU'SもTHE SCIENCE GROUPも愛してて、かつジェイソン・ベッカーなんか最高だよねーという人がいたら、これはあなたのために作られたアルバムです。MR. BUNGLEや初期DON CABALLEROやORTHRELMまで来てるのにまだメタルへの踏み出しどころを探り中という人には、この上ない玄関口となるでしょう。ヘヴィメタルの00年代の名盤として記録されるべき歴史的偉業。

  11月9−11日
▼10日はまた高円寺クラブライナーでライブやってきました。高円寺、というかクラブライナー周辺にはもう慣れて、早く着いたらジョナサン、リハ後に暇ができたらブックオフ、帰る前にパーキング横の中華料理屋に入ればよいということを覚えました。完璧。そのブックオフで10日の収穫、全て250円か500円でBODY COUNT「BODY COUNT」、HOUSE OF PAIN「HOUSE OF PAIN」、DOCTOR DRE & ED LOVER「BACK UP OFF ME!」、ICE CUBE「LETHAL INJECTION」、TOURNIQUET「PSYCHO SURGERY」「PATHOGENIC OCULAR DISSONANCE」、SLAUGHTER HOUSE「FACE REALITY」、MADONNA「RAY OF LIGHT」「MUSIC」。この日は2度目にご一緒した巨人ゆえにデカイが前回に増して壮烈な演奏でしたな〜。我々は「曲の途中でギターアンプの電源をまとめたコードが引っこ抜ける」という貴重なトラブル体験ができました。普通に乗り切ったので、これで次同じことがあっても大丈夫。

【本日のレビュー:BODY COUNT「BODY COUNT」】


こいつは久し振りに強烈な安レコでした。ラッパーのICE-Tがミクスチャーメタルに挑戦したバンドの92年デビュー作。順当にBIOHAZARDもどきのスタイルでマザファカマザファカと連呼するだけ、に留まらないんですね〜。メタルギターのセンスが全然シュッと洗練されてなくて、昔のSUICIDAL TENDENCIESをダッラダラにしたような締まらない演奏。物哀しいアルペジオや泣き泣きギターソロ(長い!!)も普通にやります。でグルーヴ系の曲はちょっとだけで、基本的にドッタッドドタッと安っぽいアップテンポのパンク調が主流を占め、ドラムが死ぬほどヘタ。SIREの恥といえるレベル!MCもやっぱりこれでは調子が狂うらしく、ロック風に拍を守って歌うべきか、ラップマナーでポンポンと吐き捨てるべきか、血迷っている様子が語尾などにモロに影響。こもる力みだけがムムムッと前のめってて大変です。収まりの悪い様子が曲によって微妙に違っているので、1曲で爆笑して終了ではなくてどんどん先を聴いてしまうという恐るべき求心力。とにかく何ともいえないワル〜い演出がクセになります。500円以上で買う価値は保証しかねますけども、500円以下でこんなに楽しめるブツはないでしょう。歴史に残る至上のヤンメタ。

  11月8日
収穫はなし。爪切りたい。爪はだいたい毎週土・日曜くらいに切るんですが先週は忘れてしまいました。忘れたーと思って水曜や木曜に切ると、インターバルがずれて次にいつ切っていいのか困る(そのすぐ次の土日ではまだ伸びが足りないし、一週間後の水・木は朝にそんな暇があるかわからない)ので、周期キープのためとりあえず一週間待つことにしています。昨日が人間の爪に近い新素材の話だったので今日は人間の爪の話題にしてみました。

 ↑のとおり、大して書くこともなかったので、説明過多のうっとうしい感じでいってみました。

【本日のレビューその1:TRUST「REPRESSION」】


ANTHRAXに二度もカヴァーされたことでその名を知られるフランスのバンドの80年作。"Antisocial"と"Sects"(ここでは"Les Sectes")を両方とも収録。歌詞はすべてフランス語。メロディをほとんど追わずに複雑な子音をガペガペガペ!とまくし立てる壮絶なヴォーカリゼイションに唖然とします。デジタルで音飛びをし続けるポール・ディアノというか。黎明期ヘヴィメタルの中途半端な硬度とパンクの焦燥感を併せ持ち、なおかつ妙に小慣れた商用アレンジも使いこなすという、何とも不思議な人達ですねー。ときどき急にツェッペリンぶるのも大いに謎。僻地ならではの思い込みパワー全開で楽しいです、ある意味「ピュアなイマジネーション」の極致。メタラーじゃなくても充分面白いと思います。しかしこの盤を手にするおおかたの人はやはり1曲目の"Antisocial"が目当てだと思いますが、ANTHRAXはディテールに至るまでかなり真面目にコピーしていたことがわかりました。ギターソロの入りとか特に。サビの歌の乗り方が全然違ったのが意外です。

【本日のレビューその2:ANTHRAX「PENIKUFESIN」】


ということでセットでこちらも。「STATE OF EUPHORIA」のツアーEPとして、89年に日本とヨーロッパ限定でリリースされた盤です。「STATE〜」にも収録されていた"Antisocial"のフランス語ヴァージョンが入っているのがウリで、しかも何とカヴァー元・TRUSTのシンガーのベルニ氏とのデュエットになっているという珍品。ジョーイのフランス語の発音は相当あやしい。その他"Now It's Dark"は「STATE〜」からのカット、KISSの"Parasite"、同じくTRUSTの"Sects"、THE VENTURES(!)の"Pipeline"の3曲は後に編集盤「ATTACK OF THE KILLER B'S」(PUBLIC ENEMYとの"Bring The Noise"もここ)に収録、残る"Friggin' In The Riggin'"(SEX PISTOLS)はここでしか聴けません。これは当時のANTHRAXのローディのことを歌った替え歌になっていて、EXODUS〜TESTAMENT〜WHITE ZOMBIE〜HELMETと渡り歩くことになるジョン・テンペスタの名前が入っていたりします。激タイト&ヘヴィな"Pipeline"なんかも面白い出来なので、マニア向けの1枚ながらファンでない人にも割とおすすめ。

  11月7日
▼さてようやくピックの話を。私、ピックはJIM DUNLOP「JAZZ III」赤の小さいやつと決めておりまして、違うのを試したこともあったけどやっぱりこれが一番でした。厚みと小振りなサイズとで、弦負けせず思い通りに振り抜くことができるのが何より魅力。赤と黒が存在しますが、黒はちょっと表面がサラサラしていて、ぺたっと吸い付く赤の方が演奏中にズレにくくて好みです。(手汗が激しめの人は逆かも知れません)

 でここへきてJIM DUNLOP、第3のJAZZ IIIを出してきたわけですわ。人間の爪に近い新素材として何やら革新的なブツらしいULTEX製の、黄色半透明バージョン!

 こいつは従来品と比べて明らかにアコースティックな(アコギ風という意味ではない)響きを持っています。プラスチックがカツカツと当たる感じが薄れ、もう少し丸みのあるトーンながら、まさに手で爪弾くような高域のサリッというこすれ感が加わったことで、ニュアンスもつけやすいし、ギターらしい色気がよく出るようになった気がします。この分だと多少すり減って丸くなってきても不快なスリップ感に悩まされることはなさそうです。表面の感触は一見すると同社のTORTEX素材と同様の粉吹き系に見えますが、サラッというよりキュキュッとしていて非常に指先のグリップ性が良い。本当に全然ズレなくて、今までの赤が使いづらく感じるほどです。あと重量もわずかに軽いそうです。

 世界中のあらゆるピックを試したことがあるわけではありませんが、これは一番だと思います。通常のティアドロップサイズ、オニギリタイプも出てるらしいので、お好みでどうぞ。半透明な上に柄のプリント等も全くないため、落とすと探しづらいというのが難点。

 ついでに赤との比較。右端は普通のティアドロップサイズです。ご覧の通り、メーカーロゴもこれまでの筆記体からブロック体になり、線と線のすきまが広くなって凹凸がやや深めになったのもグリップ性向上の一因っぽい。うーむ掘り下げるほどに理想的。9割以上満足しているのですがただ一点、スウィープピッキングをやろうとすると、摩擦と推進力のバランスが微妙に違ってしまったためにタイミングにも影響するので、ネオクラ速弾きイスト諸氏は慣れが必要です。

本日の収穫、CD UNIVERSEから到着のTRUST「TRUST」「REPRESSION」「MARCHE OU CREVE」、BLOTTED SCIENCE「THE MACHINATIONS OF DEMENTIA」、AMERICAN HERITAGE「MILLENARIAN」、BUCKETHEAD「THE CUCKOO CLOCKS OF HELL」、CHRIS CORNELL「CARRY ON」、ALEX SKOLNICK TRIO「LAST DAY IN PARADISE」。いい買い物!

【本日のレビュー:AMERICAN HERITAGE「MILLENARIAN」】


昔はTROUBLEMANにいたりしてただの変拍子バンドと思われていたがどっこい、限りなくデスメタルに近いところにいる激ブルータルな変則ニュースクールHC野郎のAMERICAN HERITAGEです。昨年リリースしていたフルアルバム。その前作は過去に紹介済みでした。さて今回も相変わらず極悪・ダーティエストな重低変拍子リフの砂煙を巻き起こしつつ、ヴォーカルパートの比重がより高くなって(昔はインストバンドでした)、全然フォロワーくさくないけど何だかMASTODONみたいになってますね。6弦をAまで(3音半)下げてグヨングヨンとのたうち回ります。最高。ほれほれ、こうやってやるとブルータルでクレイジーになるっしょ?という最近のバンドにありがちな軽薄さがなく、本気でケンカ強かったりしそうなところが信用できます。近頃のMASTODONはどうもエピックな方向に行き過ぎてて重たいわ、という人にはちょうど手頃にスカッとできて良いんじゃないでしょうか。デスメタルってやつは統率力の完璧さばかりに腐心してないでもっとエモーショナルになれんのか?と懐疑的な大人のデスメタラーにもオススメ。大変素晴らしい。

  11月6日
▼今日は今日で鶴舞KDハポンにCOSTA MUSIC(ex.L'ALTRA)を見に行ってきました。昨日も「ススッと」といっておきながら全然簡潔でなかったので、今日こそ手短に。

 1番手はスティーブジャクソン。いつもながら音と言葉をコトコトと静かに置いていくような調子で、「歌ものだよ〜ホラ聴けよー」とも「こんなもん聴くなよ、ハァ」ともならず「これが僕らのやることです、まあよろしく」という透明度をもって響く小唄の数々。ドラム不在でもアンサンブルの立体感を欠くことはなく、楽曲をよくよく踏まえてはいてもびったり寄り添いすぎたりしないシンセの絶妙な間合い感覚によって、ミニマム編成を活かした柔軟な膨らみを楽しませてくれました。

 続いては東京からasuna。サンプラーを主軸とし、テーブルいっぱいの小物を次々と使い捨てていく、やんわりカットアップ感のある音響ガラクタトロニカといった感じでしょうか。ほどよいタイミングでテーマを変えて持ち時間ノンストップで演奏。「今日は一番よく使う楽器を忘れてきた」のだそうで、一人多重演奏は忘れ物が一番こわいですよね〜、と心の中で勝手に共感しきりでした。

 最後にメインのCOSTA MUSIC。ギター/シンセ/ノートPC&歌のコスタさん(イケメン)ほか、サポートでドラムとギターを迎えた3人編成。ごく私的な解釈だとBJORK+SOUL ASYLUM+POPOL VUH?という感じ。リムが木製のスネアや穴をあけてピンみたいなのを通したシンバルが気になったドラマー氏はやたらと上手い人でした。ベース不在による足元定まらない感じが時々目立ったり、サイドギター氏が基本的にちょっと音量ありすぎだったりで、しっとりした歌ものとしての完成像をいまひとつ掴みかねたのはやや残念。アンコールではL'ALTRAの曲を弾き語りでやってくれました。

 ハポンといえば「トコナツカレー」、と思って到着早々注文しようとしたら仕込み中とのことで、代わりに「ガパオライス」を頼んだんですが、こらもやっぱりうまかったです。ほんと毎度毎度過ごしやすいKDハポン。ライブハウスってのはもっとこう、黒々しい燻製工場みたいなのじゃなくて、こういう風になっていってくれないですかね〜。

▼昨日予告した新しいピックの話は、きっと明日書くネタがないので明日に持ち越します。明日こそは。「このあと大物芸能人××登場!」とか20時47分くらいのCM前に振っておきながら、大物芸能人××が出演する次週の放送の宣伝ってだけだったというテレビのきたないやり口みたいになってしまってすみません。せめてヘッドラインだけ先に書いておきましょう、明日は「DUNLOP JAZZ IIIのULTEX版が素晴らしい件について」です。

【本日のレビュー:VICIOUS RUMORS「VICIOUS RUMORS」】


大変唐突ですがVICIOUS RUMORSです。セルフタイトルですがこれで3作目。リリースは90年。ちょいとヘヴィ、だが正統派、という彼らの基本路線が大成された代表作でしょう。限りなくパワーメタルに近いROADRUNNERあたりのマイナーメロディックスラッシャーどもと紙一重な感があります。どうにも一筋縄でいかない調性感は、ただのメロパワ(いやな言葉!)を聴きたいだけの人にはストレスでしかないでしょうが、シブ好みには大変ありがたい。マンニ時代のRAGEのようでもあります。しなやかな高域の伸びを持ちながらガッツィーにうなるカール・アルバートの声質とよくマッチしてますね。というか彼のような逸材なくしてATLANTICでの出世などなかったことでしょう。ああ何故こういう人間が早く死ぬ。ロニーばりに鬼気迫るアップテンポのキメ曲"Hellraiser"の絶唱に泣けます。

  11月3−5日
▼4日は久々に栄タイトロープに赴いて、BALLOONSレコ発見てきました。ススッと感想などを。

 1番手は我らがURTHONA。演奏が始まってすぐに異変に気付く。ん、ワイヤレス??と思うが早いか、平然と演奏を続けながら客席をただただ練り歩く弦楽器二人!ニヤニヤが止まらない観客。音は鳴っているのにステージを見てもドラマーしかいないというシュールな図。ワイヤレスって、音悪くなるんと違うんですか?と思ったりもしましたが(あとで御本人に伺ったところ「バッファ的なものが入ってるらしく、音が良くなった!」とのこと)、そんな100が95になるのを気にするよりライブはライブなんだから、と言われているかのようでまさに目からウロコでした。足元のペダルをちまちまやらなくても、歪ませ過ぎない音作りにしてあとは手元で全てを作り出せばいい、ライブであればこその体験というものを提供すべし、という、ロックバンドのライブにおける非常に王道的であるべき考えを、奇しくもワイヤレスという飛び道具(文字通りの)による演出から勝手に学んでしまいました。これはみんな変わらないとイカン、と思った衝撃の一幕でありました。ちなみに、人山を隔てての演奏でも、あの脱拍子ユニゾンは全て余裕でキマッていたことを記しておきます。

 2番手はKILLIE。KILLとLIEでキライなんですね。転換中SEには音楽の代わりに宗教絡みのあやしいインタビューや演説が延々流され、フロント4人(ツインギターに専任ヴォーカル、ベース)が後ろを向いた状態で不穏なフィードバックが徐々に高まり、んーーっと臨界に来たところで地獄の憎悪コアが一気に破裂。複雑なリズムに全員がビタッと追従して激音を叩きつける様には、ちょっと本気の恐怖を感じてしまいました。Zにも通じるような武士道的精神統一アンサンブル。容赦なく浴びせられるネガティヴィティの大波に、ほとんど苦しいような気分になりながら、もうだめだの限界寸前のところで最後まで見入ってしまったという感じでした。恐ろしや。

 3番手はBANDWAGON。中央のギターヴォーカル氏が演奏内容・パフォーマンス・ルックスともに外タレにしか見えない人で、とにかく目が離せず。ドラムはツインペダル!パーティでハイテンションな高圧縮ファンクパンクの応酬。こりゃ東京のライブハウス通いの音楽ファンはみんな絶対好きでしょう。KILLIEでのシリアスな空気から一変して、パン、パパン、と陽気な手拍子で盛り上がる。あそこまでボルテージを上げながら全く演奏が乱れないのはさすがヴェテラン世代。ギターヴォーカルの人は随所でアクションのために演奏を犠牲にしてましたが、抜きどころをわかっているという感じでした。

 そしてメインのBALLOONS。しなやかでコントラスト豊かなドラムはいつ見ても日本人離れしてます。チャキッと尖った左右のマーシャルとベースが絡んで形づくるアンサンブルの完成度などはもはやオーディオの域。アブストラクトな空間の埋め方が心なしかエレクトロニカ的でもあり、このへんのことをこうやって丁寧に練り上げるのは逆に日本人ならではの仕事という気がします。新しい曲は、別段どこかに媚を売るでもなく、「お前らなんかに分かんねーよ!」と偏屈ぶるでもなく、以前からの延長でじっくりとわが道を突き詰めているといった感じ。転調やリズムチェンジっぷりがどんどん自由になってて、ポストロックで例えるバンドがあんまりいなくなってきましたね。まったくの他人の空似ですが一時期のSIEGES EVENやFATES WARNINGみたいな穏やか系プログレメタル勢の方が近いくらい。

 といういずれ劣らぬ4バンドを堪能し、どさくさで打ち上げにも同行して深夜の帰宅となりました。充実充実。

▼今日5日は新しいピックの使用感リポートをする気まんまんだったんですが、うっかり遅くなってしまったので寝ます。また明日!

  11月2日
▼フランスで生まれた日本人が、幼いうちに日本に移り住んで、サッパリ覚えていないはずのフランス語を大人になってから改めて勉強したところ、担当のフランス人教師に「君はちょっと××(生まれた地方)訛りがあるね」と言われたという話を昔どこかで読みました。本日の収穫、サウンドベイ上前津にて全て525円でONYX「ALL WE GOT IZ US」、HOUSE OF PAIN「SAME AS IT EVER WAS」、COOLIO「GANGSTA'S PARADISE」。貪るようにMTVを見ていた93〜95年頃のヒップホップを聴いてみたら何か思うところがあるのかも?などと考えて突然まとめ買い。しかしこれは当然歌詞の内容(言語だけでなく歌われていることの背景なども含めて)がわからん人間には3分の1くらいしか楽しめん音楽でありましょう。アメリカ人に空手バカボンを聴かせたとして、心の底から感動するとこは想像できんもん。とはいっても3分の1はかなり楽しんでます。レビュー行きにはしませんが。

▼以上のとおり、ウェブ日記なるものを立ち上げて以来の継続的な悩みは「文章を展開させるときに逆接ばかり過剰に使ってしまう」です。そのことを意識し続けた結果、体得したのは「『ですが』をヤメて『とはいえ』『しかし』『それでも』『〜ながらも』にすり替える」のみ。本というものを少しは読まんといかんですね。

【本日のレビュー:RAGE AGAINST THE MACHINE「LIVE AT THE GRAND OLYMPIC AUDITORIUM」】


突如再結成・来日で沸き返っているRATMが2003年に残したライヴアルバムです。スタジオ録音からしてライヴ的な躍動感を上手く収めている彼らですので、万が一実際のライヴがそれよりショボかったらもうペテンなわけです。全然そんなことはなく、いやはや強烈ですね。ムチッと歪んだ極太ベースと威勢の良いオープンハット4分刻みのコンボに炸裂されるともうお手上げ。何てことのないペンタトニックのユニゾンリフひとつ、よくありそうな16ビートのドラムパターンひとつからして、気に入らない輩の脳髄に錆びたボルトを仏頂面のままグイグイと押し込んでやるかのような(?)冷徹で闘争的なグルーヴがビシバシと。「いわゆるグルーヴィな雰囲気のパターンを取り入れているからそれっぽく聴こえる」というだけのフォロワー群とはここに歴然たる差があるわけです。それにしてもこの和みゼロの暗澹としたモノトーン、彼らが最初に現れた92年のまま全然変わってなくて、そのへんの頑固さもまたよい。でシメが"Freedom"とくれば文句はないです。白熱しすぎて狂ったチューニングもそのままの好演盤でした。

  11月1日
収穫はなし。「犬の日」は何故11月11日ではないのか。

【本日のレビュー:URIAH HEEP「FALLEN ANGEL」】


DEEP PURPLEやBLACK SABBATHほどの存在ではないものの、その後のヘヴィメタルに直結する叙情ハードロックを古くからやっていたイギリスのバンドの通算12枚目となる78年作。大衆路線の曲がちょっとウケた後のアルバムらしく、ポップ方向に振り過ぎたことを慎重な口調で後悔するメンバー自身のコメントがブックレットに綴られております。でもそんなの関係…、だってジョン・ロートンが歌ってますから。マーク・ボールズや時にフレディ・マーキュリーを思わせる太くしたたかなハイトーンが非常に魅力的。どうしようもなくハードロックのエッヂを残しながらもきらびやかなコーラスワークなんかも導入して、上っ面だけAORぶってしまった中途半端な楽曲の数々は、時代性と自意識のズレからくる「間違い」を愛らしく思ってしまうリスナーにとってはただただ最高。うっすらフォークやディスコファンク(!)になびいてみてしまうハードロックなんてものは、NWOBHMが叫びをあげる前のこの時代にしか聴けないものです。そしてまだギアが「メタル」に入ってないのがまたいいです。風情。アナログサイズで見たいジャケも重厚な雰囲気でグレイト。わかっていただける方には理想的な1枚でしょう。

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