物色日記−2007年12月

※頻出語句解説はこちら
  12月30−31日
▼30日は大学のサークルの同期の結婚式二次会に行って参りました。2・3時間のうちにバンドが6つ出てくるというほとんどライブイベント状態。懐かしい人満載の100人規模の会で、楽しかったですな〜。皆どんどん年貢を納めていくぜしかし。

▼本日31日、帰宅するとCD CONNECTIONからの荷物が。てことで本日の収穫SIEGES EVEN「PARAMOUNT」、ENCHANT「TUG OF WAR」、EXCITER「LONG LIVE THE LOUD」、NASTY SAVAGE「INDULGENCE/ABSTRACT REALITY」、TRIUMPH「THE SPORT OF KINGS」。

【本日のレビュー:SIEGES EVEN「PARAMOUNT」】


かのWATCHTOWERにも影響を与えてしまったドイツの元祖変拍子バンドSIEGES EVENの復活第2弾となる7th。前作に引き続き、名盤3rd「THE SENSE OF CHANGE」まで在籍していたギタリストが戻ってのしっとり路線をダメ押し。4・5作目のアクロバット路線の頃とはすっかり別バンドになってしまってますが、出来は非常にヨロシイです。過去最もマトモなヴォーカルが入ってくれているお陰で、COPELAND〜JIMMY EAT WORLDあたりの商用エモみたいな安心感が生まれ、かつ持ち前の変拍子センスやプログレッシヴな構築性はTOE系の美麗ポストロックリスナーにもアピールするし、時々入るヘヴィなディストーションギターはいまどきの叙情&ラウドなメタリックエモ?にも近い質感だしで、要は物凄く時代性にキャッチアップしてるのです。これがINSIDE OUT(ドイツ拠点のプログレメタル専門レーベル)じゃなくてTRUSTKILLとかFERRETとか(どっちもまだあるのか知りませんが…)から出てたらえらいことになってるでしょうに。RUSHかぶれの応用発展でよくぞここまで。もちろん美メロ好きのメタラーにもオススメです。

  12月29日
▼今日はALLieのタピ君主催の愛工大部室ライブに出演するため長久手まで行って参りました。アメリカのインディバンドをyoutubeで検索するとよく出てくるような、「普通の部屋に楽器を運び入れて演奏するバンドと、マイクスタンドぎりぎりまで立ち並んで見守る観客」というまさにあの光景が再現されるナイスな演奏空間。楽しく演奏させていただきました、皆さんありがとうございます。活動休止明けひさびさのTHE ACT WE ACTを見るのも楽しみだったんですが、ドラムセットを中心点として放射線状に配置したメンバー一同が、各々勝手な音を投げつけあっているように見えてくっきり一つの眺めを形成するという、何だかスピリチュアルジャズみたいなグルーヴ感を醸し出していて非常に感銘を受けました。あと9月以来に見たCLIMB THE MINDも最高。最近の作風はほんとに素晴らしいです。STIFF SLACKからのフルアルバムがリリースされたあとのリアクションが今から楽しみ。

▼運転者の都合で途中で帰ることになり、地下鉄の最寄り駅を下りてから一人寄った書店でたまたま手に取った「ヤングギター」の今月のDVDがなんとジェフ・ルーミス(NEVERMORE)、即購入。実に12年振り!誌面構成とか全然変わってないのですね。紙は上等になった気が。トニー・アイオミのインタビューなんかも読めて、思った以上に充実でした。やっぱりたまにミュージシャンのインタビューをちゃんと読むのは健康に良い。「BURRN!」のインタビュー部分のみを単行本化した「BACK FOR MORE」も買わねばならんですかな。昔のBURRN!は訳語の文体や質問内容が何かムカついたりしますけど…。

【本日のレビュー:THREE MAN ARMY「MAHESHA」】


その後ジンジャー・ベイカーと合流してBAKER GURVITZ ARMYへと発展するグループが、MAY BLITZのドラマーを迎え入れて74年に発表したラスト作です。前身のGUNの頃から、ハードロック黎明時代にいきなりヘヴィメタル同然のことをやっていたというハイカラ筋肉質な連中だったんですが、ここへきてGRAND FUNKみたいなノリのいいブルーズロックへの接近を図り、ブックレットのバイオグラフィを見るとこのアルバムのことは「ライブパフォーマンスの評価に比べてレコードでの商業的成功は芳しいものがなく、結局74年の『MAHESHA』もほとんど注目を集めないままチャートに送り込めずじまいだった」というような記述のうちに片付けられています。確かにこりゃブルーズロックにしちゃ無骨すぎます。ハードロックには早過ぎたし。しかし何も悪くない。そこに何か並外れた質量のものが存在していたことを物語るスキマ感、青スジ・力こぶのその後を思わせるダラダラ感、ワイルドなようでやたら的確なコントロール感…これはRIDDLE OF STEELの最新作と同じ感想ではないか。玄人好みですがオススメです、玄人な方に。あとこのシルバーのジャケをちゃんとシルバーで印刷してくれたREPERTOIREはやっぱり音盤愛に溢れたレーベルです。

  12月28日
収穫はなし。依然あとを引いていた頭のフラつきも夕方頃にはようやく収まり、ほぼ全快。年末は珍しく予定らしい予定があって楽しみが多いです。おっと年賀状、今年も2枚だけ書かねば!!

【本日のレビュー:WIDOWMAKER「STAND BY FOR PAIN」】


"We're Not Gonna Take It"で有名なTWISTED SISTERのシンガー、ディー・スナイダーがバンド解散後に結成した短命ユニットの2nd。何の変哲もない1stは依然紹介済みでした。問題作となったこちらで敢行されているのはズバリお決まりの「ヘヴィ化」。とりあえずノーメイクのディーはDESTRUCTIONのシュミーアにそっくりですね。で彼は元々ダーティなハイトーンの持ち主なので、この音楽性にむちゃくちゃハマッてます。こんなに上手い人だったとは。楽曲はグリグリと押しが効いてほどよくメロディも残る、SKID ROWの3作目とSKUNKWORKS時代のブルース・ディッキンソンの中間のような感じ。ALICE IN CHAINSやPANTERAをわざわざ持ち出さずとも、普通に硬質なメタルとして非常に優れた作品と評していいでしょう。うわー最高だな〜、ATOMIC OPERA級の大穴ではないか。アル・ピトレリはどこへでも現れて1・2枚だけ仕事してス〜ッと去っていくのであんまり良いイメージがないギタリストですが、ここではかなりいい仕事してます。おおお聴き進むほどに名盤…今までこんなん放置してたとはアホだ。SHIHAD、KING'S X、CROWBAR、ジョン・コラビのいたMOTLEY CRUE、「POWERTRIPPIN'」以降のTHE ALMIGHTY、トレイシー・Gが絡んでた頃のDIO、FIGHT、などなどが好きという人…これ全部好きであろう人を約一名知ってますが、そんなTHE UNDERCURRENTの師匠をはじめ「正しい肉体美を体現する90年代辛口マッシヴ・メタル」を愛する向き全員に全力で大推薦。

  12月26−27日
収穫はなし。先週とはまた別の風邪で伏せってました。ダサいなー。40度近くまで上がったせいか、平熱に戻った今も起きているのが気持ち悪い。うええ。

【本日のレビュー:AMERICAN MUSIC CLUB「LOVE SONGS FOR PATRIOTS」】


MERGEのCDなんて買うのいつ以来でしょうか。というか大ベテランのこの人達がMERGEに行っていたことも少々驚きです。インディポップ/スローコアフォークの元祖の2004年作。94年の「SAN FRANCICSO」以来久々のリリースだったようですね。ブルース・スプリングスティーンのメロウサイドを根暗めに抽出したかのようなスタイルは相変わらず不変ながら、以前は感じられたメジャー然とした妙なアゲアゲ感が消え、わかりやすくなったというか収まりどころが明確になった気がします。テレテレとしたヘタかわいさでアピールするインディポップ特有のアマチュアリズムにピクリとも反応しなくなってしまった私ですが、この人達は芯がしっかりしていて大人のシブさをたたえているので好きです。ピアノ・アコギ・エレクトロニクス各種を織り交ぜてのカラフルなアレンジはSNAILHOUSE的ともいえましょうか。音の端々まで確信に満ちているがゆえの突き抜け感が心地よい。良心的な歌ものをお探しの方にはオススメです。

  12月25日
本日の収穫はこれ。↓

【本日のレビュー:RIDDLE OF STEEL「1985」】


来年3月頃の発売を楽しみにしていたのに、ASCETICのサイト上のみで11月から先行販売をしていたことを遅れて知り、勢い余ってフライングで直買いしてしまいました。決済にPayPalしか使えないというのが少々不便ですので、STIFF SLACKがガッツリ仕入れてくれるのを待って皆さん買って下さい!

 さて前作「GOT THIS FEELIN'」が超のつく名盤で、今回も思わせ振りなアルバムタイトルを冠してきたということで、並々ならぬ期待とともに初聴き中です。内容はというと、前作のダメ押しなんて死んでもやらねーぞというまさかの路線転換。TRAINDODGEのロブ(ds.)獲得で身につけた「バカでかくてラウドなリズム」だけをそのままに、ユルいSTOOGES、だらしなくてやたら足音の大きいKISS、もしくはオリンピア臭漂う90年代RUSHとでもいうような雰囲気へと化けております。意外。しかもこれが、メジャーキーとマイナーキーが裏返りながら溶け合うような彼ら独特のメロディ感覚とベストマッチ。ぐぇんぐぇんと低く彫り込むダウンチューニングギターも随所で健在だし、これはもう何ともいえない孤高の域ですね。パワーの極みに到達したあとにこういうアルバムを作りたくなる気持ちは確かに分かるような。筋力のキャパ上限の法外な高さを伺わせつつレイドバックしてみるという匙加減がブラント・ビョーク(ex.KYUSS)のソロにも通じます。シックリ来るまでに時間がかかりそうだが明らかに失敗作の類いではないだろうという第一印象は大抵、するめ名盤の予感なのです。何事かを投げかける人(バンド)は応援したい。

  12月24日
▼本日の収穫…

【本日のレビュー:WARRANT「ULTRAPHOBIC」】


「いけないチェリーパイ」で有名な代表的イケイケヘアメタルバンド・WARRANTの95年作です。彼らのこの時期の作品を敢えて買い求める人間も今やますます少ないことでしょう。当時はざっくり簡単に「ヘヴィで鬱になった」と切り捨てられていただけだったように記憶していますが、いやいや何も悪くない。決まりきった80年代イディオムの重装備を解いて、大胆で意外性のあるフックを求め、しかしメロディを原動力とするキャッチーさは引き続き生かした、非常にコシのある内容の力作なのであります。むしろ今流行ってるようなメタリックポップエモみたいな連中の質感にすら近いではないですか。かつKING'S Xも思わせる。いやーこの時期の商業メタル迷走の中には、ハードロックの真理がきっちり洗い出されていましたよ。肉体美と芸の理想的な均衡。本当にいい時代だった。

  12月23日
収穫はなし。近頃のソフトバンクの「お父さん」はやりすぎだ。犬なんて、かわいいに決まってるじゃないか…。などとやってるうちに、参入当初の「え〜(今までカッコイイ外資系の響きのボーダフォンだったのに)ヤフー?IT?オタクくさ〜」というイメージはまんまと払拭されてしまった感がありますねえ。イメージCM恐るべし。いや、先入観恐るべしなのか?とにかく世の中の全ての「意味」は不安定で個人的な「価値(観)」のまとまりでしかないということをきっと何百年も前にどこかの偉人が言ってるんでしょうけど、日々それを実感する次第です。

▼やっぱりなかなか見かけない「ワイルドマウンテン」第5巻。ネットで買おうにも、送料無料にこぎつけるには何かもう1品一緒に買わないといけないし、もっと本秀康は普通に売れて、そして売られてください。銀造も犬くらいかわいいじゃないですか。

【本日のレビュー:WOLFMOTHER「WOLFMOTHER」】


さて今更WOLFMOTHERといきます。なんかこういうのがスタイリッシュに流行ってしまっているところに乗っかるのは気が引けるな〜と思い続け、だけどデイヴ・サーディ録音だしなーということでようやく踏ん切りがついて購入。オーストラリアのレトロハードロックトリオの華々しいデビュー作。方々からの指摘のとおりサバスでありツェッペリンであります。王道中の王道に若干のデフォルメを加えるというスタンスは、昨日のWITCHCRAFTとパッと聴き似ているようでいて少々違う。ブルーズロックから地続きのコンテクスト性まみれだった70年代当時のオリジナルのハードロックから、あらゆるしがらみを断ち切って宙吊りにして、フィジカルな圧倒力のみを抽出する形で完成されている気がします。(対するWITCHCRAFTはクモの巣にくるまったかのように数多の亡霊へと繋がる音でした。)一番顕著なのは、ヴォーカルの熱唱っぷりがソウルより虚無を想起させる点。これは現代っ子の体温です。かといってSOUNDGARDENほど我流の域には至らず。若干複雑な思いもありながら、しかしどういう形であれ真っ向勝負のハードロックが人気を得るのは嬉しいところ。ここから頑張って2・3歩踏み込んで、彼らに感銘を受けた高校生がMOUNTAINやURIAH HEEPあたりまで聴いてくれたりすると、少しは将来が楽しみになるというものです。とりあえず完成度には申し分なし。

  12月22日
▼あまりに何もなさすぎて途方に暮れる日もあれば、数本立てで何かある日もあります。焦らず時系列順でいこう。まずサウンドベイのバーゲンには間に合いました。ほぼ開店直後の到着で本日の収穫、まず金山でBUDGIE「IF I WERE BRITTANIA I'D WAIVE THE RULES」「NIGHTFLIGHT」、WITCHCRAFT「WOTCHCRAFT」、WOLFMOTHER「WOLFMOTHER」、WIDOWMAKER「STAND BY FOR PAIN」、以下300〜500円のセール品でLIMBOMANIACS「STINKY GROOVES」、WARRANT「ULTRAPHOBIC」。続いて上前津でTHREE MAN ARMY「MAHESHA」、AMERICAN MUSIC CLUB「LOVE SONGS FOR PATRIOTS」、GEORGE RUSSELL「NEW YORK, N.Y.」、GRIEF「TORSO」。近頃の趣向を如実に反映した買い方になりました。手堅く満足。たかだか諭吉様×0.8で「うわ〜買い過ぎた…」と軽く引くようになるとは、随分と人間らしくなったものです。サウンドベイは、WOLFMOTHERを早速(800円→)600円で出してしまうあたり、愛があるんだかないんだか、「CDなんてこんなもんだろ」という適切な温度感が心地よいこの頃です。

 店内で、7〜8年振りくらいに大学のサークルのメタルな先輩に遭遇して、当時から大概ディープなCD買い集めていたはずなのに、この期に及んでまだRATTのベスト盤を手に取っていて胸を打たれました。メタラーってのはそれだけで特別な同窓生のような連帯感があって、こういう時非常に幸せだなあと思います。

▼その後なか卯で昼食にカレーを選んだことを後悔し、バンドの練習をして、夜はこれまた大学時代に純正統派メタルバンドを一緒にやっていた先輩の結婚式二次会に出席。今日はこのためにWINGERのTシャツで正装していったのです。メタル色/バンド色をほぼ排除した演出が物足りませんでしたよT島さん!!しかし圧倒的大多数が一般人(?)の方々だったようなのでそれもやむなしと思い、隅の窓際でどアウェイな孤島を形成していたサークル関係の人々と庶民の安らぎ場「山ちゃん」へ。安くあげて大人しく退散、今に至ります。

【本日のレビュー:WITCHCRAFT「WITCHCRAFT」】


高級プラグメーカーのSWITCHCRAFTではありません。随分前にAQUARIUS RECORDSで試聴して気になっていたスウェーデンの4人組の04年作。よくあるといえばよくある70年代サイケ/ドゥーム転生ロックですが、気合の入り方が格別で耳に残りました。サバス臭を持ち出し過ぎずに体現するヴィンテージB〜C級ロックのカビ臭さは実に見事で、徹底してレトロなサウンドプロダクションも拍手モノ。ここまできても曲がつまらなければガッカリしてオシマイになるところを、彼らはなかなかやるのです。若気の至り的な妄想パワーではなく、愛と熱意と努力に裏打ちされたなりすまし行為。ドゥーム仕様のツボをピンポイントで磨き上げながら、70年代に存在したとしても決して不自然にならないバランスをキープすることでつつましく「オールド・イズ・ニュー」を主張するあたり、凡百の「オールドロック風モダンロック」とは一線を画します。欽八先生のマネをする山田邦子のマネみたいなCATHEDRAL風ドゥームバンドに飽き飽きした皆さんには大いにおすすめ。

  12月19−21日
収穫はなし。19日の夜から突然の胃腸カゼでくたばってました。喉・鼻とくる普通の風邪ならとにかく寝てればいいけど、どっちを向いても胃のあたりが常に不快で全然寝付けず、立ち歩けば吐きそうになるし、テレビは特番ばっかりで面白くないし、いい大人のUFO談義に失笑する余裕すらなし。今日はかなり回復して、今更「PCでのMIDI打ち込み」に挑戦…のはずが、マシンの限界が来て完成寸前で強制終了するわ、よくよく調べればソフトのバージョン自体も相当非力であることが判明するわ、そんなこんなで病み上がりのくせに深夜になってしまい、明日のバーゲンにちゃんと起きられるか心配です。

【本日のレビュー:BLACK SABBATH「THE DIO YEARS」】


HEAVEN AND HELL始動にあわせてリリースされたベスト盤。ロニー参加の旧作3枚「HEAVEN AND HELL」「MOB RULES」「DEHUMANIZER」からの曲に加え、なんと新録3曲まで収録してしまうという現役っぷり。96年のものとは異なるリマスターがされているようで、モコモコボコボコ感が薄まった分、ちょっと風通しが良くなり過ぎて寂しいくらい。あとやっぱりアルバム3曲目に出てきてしまう"Heaven And Hell"なんて奴は貫禄半減ですね。新たに興味を持ったという人も必ずオリジナルアルバムを入手しましょう。でオールドファンには気になる新曲。これが意外と、懲りずに「CROSS PURPOSES」以来のモダン≒ドゥーミー路線でゴリ押し。しかしここで毛嫌いしてはBURRN!編集部。オジーでは絶対出ない妖しい美がムンムンと溢れているではないですか。美メロの有り無しだけではなくて、ヴァイブレーションの問題です。まあそこは、貫禄云々はさておいて、トニー・マーティンの方がもっと上手かった気もしますが…。ともあれ、「LIVE EVIL」からの"Children Of The Sea"の次という収録順で聴いて、誰がこの間に25年のブランクがあると思うでしょうか。不滅の男ロニー・ジェイムズ・ディオ恐るべし。なんか手持ちの盤、ディスクのエラーで最後の曲が終わりまで聴けなかった!!同じ症状の方いらっしゃいますでしょうか?

  12月18日
収穫はなし。何故か特定の楽曲ないしアーティストが一日中アタマを支配する時ってないですか、ある前提で話は進むわけですが、今日はJOURNEYの"Don't Stop Believin'"にずーっと居座られました。なのでたまらず自室に入るなり聴き始めたのがこれ。↓

【本日のレビューその1:TWO FIRES「TWO FIRES」】


購入当初もこの欄に登場させましたが改めて。ケヴィン・チャルファントなる男のスティーヴ・ペリーっぷりは本当に凄いです。楽曲のセンスも含めて、そうそうこれ、と何の違和感もなくJOURNEYそのものとして聴いてしまう。クローンもここまで堂に入るとリアルさとかそういったものが備わるもので、普通に感動的。というかとにかくクオリティが高いからよいのです。エモい美メロの極致として、JIMMY EAT WORLDとかと同じ線上で若い人が聴けばいい。

▼で関係ない話題で続けてレビューも「その2」まで書こうと思ってたけど、特に続けるべき話題もないことに気付き頓挫です。CUBASEの勉強をするのです。

  12月17日
▼思えば、クリスマスにただ「もらう」側からわざわざ「する」立場になったあたりで、別にモチベーション上がる理由ないしこんなん無くても…と思い始めたような気がします。小っちゃい頃はやっぱり、普段なかなか買ってもらえないような物が、朝起きたら枕元に置いてあるというのは大喜びでした。しかもその箱はデカければデカいほどいい。

 というのを今日、これ見て思い出しました!

 愛用のKORG D12(ハードディスクMTR)の一番よく使うENTERボタンの、気温が寒くなると全然効かなくなるという習性が悪化し、とうとうシャットダウンもままならなくなったため、PCとのリンクが容易で入力チャンネル数も多い巨大な彼にバトンタッチなのです。


 サイズは2.5倍ほど。自転車や徒歩での持ち運びはギリギリ可能(専用ソフトケース同時購入しました)。外観はほとんどミキサーのような感じですね。無駄にサンプラー的な機能がついてるわりにクリックを好きなように使いづらかったり、2行しか表示できないディスプレイに想像力を強要されたり、複数トラック同時録音をするときはパンチイン/アウトができないなどというフザケた仕様だったりもしますが、ともかくUSBでPCに接続するとドライバ不要で「ただの外付けハードディスク」と認識されて録音データの受け渡しを楽々行えるのが魅力です。Cubase LEもバンドルされてるし。


 ということで犬録音スタジオのコンソールルーム(?)はこのようになりました。頑張って使いこなそう。

  12月15−16日
本日の収穫、今池P-CANにてTERRY RILEY「IN C」。15日は遂に、大学時代のバンドサークルの後輩を家に招いて、不要CD買い取り大会を催行。お陰でぼちぼち量が減って、枕元に朝日が届くようになりました。これは嬉しい。こんな開けた部屋は何年ぶりに見ただろうか…。その後駅前まで飲みに行って、更に参加者の中の一人の部屋に上がりこんで、バンドの将来のプランを向こう2年分立てるつもりが、先にYOUTUBE観賞を始めてしまったばっかりに、じきに眠くなって1時間そこそこで全員就寝。ひさびさの学生ノリな夕べでした。

▼で翌日、帰りの地下鉄で、あ〜背中が疲れてるなーと気付く。重ねて使う一人用の敷布団2枚を横に並べて敷き、掛け布団と毛布もセパレートにし、それらを男4人でシェアするという手法をとったために、確かに安眠といえる体勢は確保できづらかったわけですが、眠くなればどこでも寝れると思っていた昔の私は、そんな寝姿勢がどうなんて考えもしてなかったから、「6時間途中で起きずに寝れたなー、ああよく寝て元気」で済ませてたのにとふと思う。まさに「馬鹿は風邪ひかない」理論。それならもしかして馬鹿のほうが幸せに生きていけるのではないか?と悩ましくなりました。幸せの重みと深みを知らないのと、一切の苦を苦と気付かないのと、どっちがどうなんでしょうねえ。少なくとも後者は(他人の苦にも気付かないために)他人に迷惑をかける可能性があるのでやっぱり総体的には好ましくないですね。会社勤めの積もるつらみの話なども聞くにつけ、大人らしく程よく生きるバランスとはこれ難題ですなー。

▼などと今日もクソの足しにもならんことを書いてる間に夜遅くなってしまった。小学生よろしく、帰宅してから寝るまでの行動の時間割でも作成した方がいいですな。

【本日のレビュー:ZZ TOP「AFTERBURNER」】


非常に多くのロック好きに「ヒゲが異常な3人組」としてのみ記憶されているであろうZZ TOPの85年作です。70年のデビュー時から既にスリル度ゼロの牧歌的なブルーズロック風ロックを標榜し、一貫して大袈裟なリヴァーブでめかしこんだ80年代的サウンドプロダクションに拘る、実際どうにもつかみどころのない人達ではあります。AC/DCと同じパターンでド田舎のハイウェイで聴くと「これしかねー」となるんでしょうかね。でMTV全盛時代に産み落とされたこの作品、シンセやエレドラを積極導入し、チャラチャラもいいとこなBOSTONといった感じのどうしようもないアーバン・ポップスに仕立てられておりまして、これが非常によい。100%ダサいともはや「うわダッセエなあ」と突っ掛かる気も起こらず、「よくぞここまで…」と褒め称えたくなります。ギターソロだけはやたら手馴れた風なソウルフル・スタイルでまっとうな鑑賞に堪え得てしまうのがまた憎い。わざわざZZ TOPがこんなことをやってるのを聴かなくても、ちゃんとJOURNEYやSURVIVORで感動していただければいいと思いますが、時代の醍醐味はとにかく十二分に味わえる品です。特定方向の完成度は非常に高いのでクオリティは備わっているというべきでしょう。

  12月14日
本日の収穫、岩塚のブックオフですべて250円にてRED HARVEST「THERE'S BEAUTY IN THE PURITY OF SADNESS」、VEN DOMINE「FALL BABYLON FALL」、FIGHT「A SMALL DEADLY SPACE」(外盤に買い替え)。安いCDに安心します。「普通の平日でした。」が便利すぎて(昨日の日記参照)クセになりそうな予感。それにしても、今日買ったCDも全部ひと昔前のジャンクメタルです。最近本当にこういうのばっかりしか買う気が起きないので、毎日何をレビューに取り上げようか悩みます。あんまりついていけないものばっかり続くと(80年代テクニカルギタリスト系とか産業ロックとか…)本当にアクセス数落ちるし、んなもん「金返せ」とか言われるわけでもないんだから好きなようにやりゃいいとも思うし、しかし一時期熱心に追っていたマスメタル/マスロック境界組やHOOVER関連、SKIN GRAFT関連のレビューを参考にしていただけたという話をライブ会場で初めて会った方から聞くこともあるし、出来れば皆さんに満足していただけたいと思ってますからね(これでも!!)。ずっと前から同じ問答を繰り返しては「こんなもんで寝不足になるのも馬鹿らしいので、好きにやります」と宣言し続けてる気がしますが、読者が自分しかいなそうな文章を垂れ流すのも実際むなしいもので…。でもまあ、ある程度完結したものに書き足すことももうないし、しばらく「中学高校時代に指くわえて見てたBURRN!の白黒ページの輸入盤専門店の広告やレビューページにあった謎めいたB級C級〜Z級盤の発掘」が続くと思います。多感な時期のトラウマというのは強力だなとひしひし感じます。

 あと、改行が上手くなりたいです。

 間を空けて区切れたところで更に続けます。なんで90年代、90年代とうるさいのか、敢えて「ちょい古・ちょいダサ」=「一周してカッコイイ」みたいなクソ下らんことを主張したいのではなく、前の10年の全てがご破算になって足元のゆるむ中で誰もがにわかに「妄想でヘヴィ」「妄想でダーク」「妄想でリアリスティック」になってしまった、まっとうな洗練にねじれの位置で素通りする闇雲な錬金術が横行したあの気風は、ニューウェイブ/ポストパンク以来の一大ルネサンスだったと思うんですね。誰が一番大胆になれるか我先に競っていたはずが、96年くらいになるといつの間にかその中から、洗練の道筋を見つけ出した者が勝ち組になっていて、今では全ての細分化した末梢が周到に磨き上げられていて「これこれこういう人にどうぞ」と言ってくる。「変態」「ムチャクチャ」すらそのいちオプションになり下がり。そういう変態のどこにハッとしていいか分かりません。だから大雑把な「これ、ええかな??」で攻めてくる90年代(前半)が好きだった。「あらかじめ誰かに求められにくいもの」こそ輝くと思います。

【本日のレビュー:DISHARMONIC ORCHESTRA「NOT TO BE UNDIMENSIONAL CONSCIOUS」】


92年NUCLEAR BLASTからのデビュー作。デスメタルらしからぬ秀逸なジャケです。さぞえげつない流動体エクストリーム地獄シンフォニーを聴かせてくれるかと思いきや、名前負けしちゃってるパターンで、VOIVODその他の影響下で妙なリフは作ってみるが展開や拍子の面で並みのセオリーを脱しきらなかった、何とも素人くさく不完全燃焼な内容。だがしかしこの仰々しい名前を冠した気合だけは漲っているようで、録音がもう少しわかりやすければ「HUMAN」の頃のDEATHをダメにしたくらいにはなったのではないかと思います。(現状では「全然いききらないCARBONIZED」といったところ。)トマス・スコッグスベルグが録ってますが、低音の出過ぎたギターに更に過剰なコンプがかかり、ファズみたいにブッ潰れてしまって、刻み込むアタック感がまったくないのがもどかしい。あっ時々思わぬタイミングでカウベルがポコっといったり、突如ラップ(笑撃的!)が入るなど、わずかながらあり得ない踏み外し方をしてくれるのはポイント高いですね。裏ジャケでは長髪の男三人(割とイケメンだったりする)が各々ヌイグルミを抱いてよくわからない表情をしており、何故かかわいいゴリラの人形がDESEACEDのキャップを被っている。あほだ。以上、D級フェチ諸氏は当然「全員買い」と読んで下さい。

  12月10-13日
▼あーあーあー、長いことタメてしまった。一日ずつ振り返ります。

▼まず10日は新栄クラブロックンロールでライブがありました。ドラムに"レイチェル"レーイチくんが参加してくれての初ステージ!!CYNIC好きのマツイさん率いるG-FIGHTERとようやく共演もでき、なんだか雰囲気もよかったし、充実してました。

▼11日はごく普通の平日でした。

▼12日は大阪Shangri-Laにて、MARS EURYTHMICS(ex.HUSKING BEE)の前座をやってきました。怒涛のダウンピッキングと思わぬタッピングをかますベーシストの方が案の定メタラーだったり、転換時BGMが何故かずっとモトリーの「DR. FEELGOOD」だったりして楽しかったですな〜。

▼で本日13日もまた普通の平日でした。大阪は深夜の直帰だった割に案外普通に寝れて、今の方が夜更かししてるくらいです。だがしかしこれだけサボってたからには、今日までレビュー書かずに寝るわけにはいくまい。何の義務感なんだろうこれは。

【本日のレビュー:VITAL REMAINS「FOREVER UNDERGROUND」】


もの凄いタイトルついてますが、USデスメタラーの97年作です。全6曲ながら9分、7分、9分、小曲、7分、8分という構成なのでフルアルバムになるんでしょう。彼らは確かデビューからしてPEACEVILLEかどこかだったし、この盤もフランスのOSMOSEリリースということで、いつになってもカルト臭を忘れない人達であります。今更"Hellion"風かよ?というイントロに導かれ、回転が速くなったCELTIC FROST(もしくはAUTOPSY)てな感じでシブ〜く攻める。おおむね展開豊富なほうで曲によってはテクニカル系っぽいリフもちらほら。パワフルなブラストもこなすドラムが全体に活力を与えていますですね。貧乏くさい録音状態なだけに、却って人間の四肢が動く生々しい感じがグングン伝わります。垢抜けているようないないようなという絶妙な中ツブ(大粒でも小粒でもなく…)具合はマニアに好かれることでしょう。おすすめです。

  12月9日
収穫はなし。自販機でスッとキットカットが買えるのはいいですね。今日もバンドの練習前に1個購入しました。そして現在、(キットカットと関係ないですが)CD大量処分のお陰でできた棚や引き出しの空きに、長いこと外に溢れていた分のCDが全て収まり、平積みの山が部屋から完全に消えるという数年振りの快挙に感動しています。これからは整理整頓して暮らそう。

【本日のレビュー:FLOTSAM AND JETSAM「DOOMSDAY FOR THE DECEIVER」】


何年前に買ったかも忘れましたが、買って「ヨシ買った〜」と満足してまだ聴いてなかったことは覚えています。のちにMETALLICAに引き抜かれるも結局あまり存在感を発揮することができず、脱退してVOIVODへと加入する、ベーシストのジェイソン・ニューステッドが在籍していたバンドのデビュー作です。METAL BLADEリリースで録音はビル・メトイヤー。なかなか垢抜けたマッドなハイトーンシンガーを擁する、どちらかというとスピードメタル寄りのメロディックなスタイルで、HEATHENとかONSLAUGHTのラスト作やHELSTARなんかを思い出しますね。さほど屈折性はないものの、どこまでもメタル純正培養な感じと、それでいて最近のバンドみたいに要領良くはなりきれないあたりが、何ともマニアックな香りを漂わせます。ベースは何か突出して目立つことをやっているというより、音が良くて存在感があるといったところでしょう。やっぱりMETALLICAより活き活きとやってます(そもそもMETALLICAではベースの音自体あんまり聞こえないミックスになってますが…)。あ、今日の昼間にWOLFの最新作を聴いてたんですが、全体の雰囲気はかなり近いです。聴き手を選ぶシブいヴィンテージメタルとして、廃盤にならずに受け継がれていってもらいたい好作でありました。

  12月7−8日
収穫はなし。6日の日記で書いたようなブツを、アメリカのamazonだったら捨て値で落ちてないかな〜と思っていろいろ探してみたんですが、思わぬ品に既に何十ドルものプレミアがついていたりして、ビックリします。BAD MOON RISINGがレアアイテム扱いとは…。WOUNDED BIRDにゃますます頑張ってもらわないといけません。(ロゴが好きじゃないですが)

 で、マーケットプレイスを漁っていて発見したこの店で何枚か安物を直接購入。まともなコンディションで送られてくることを祈る。

【本日のレビューその1:TAI PHONG「TAI PHONG」】


つたない第二・第三世代ユーロプログレは、先日の売りCD裁判で所有数を相当減らしたはずなのに、中古で見つけて反射的に買ってしまいました。まあよろしいでしょう。これは70年代中頃に活動した、ベトナム系メンバーを擁するフレンチプログレバンドのデビュー作です。はい緩急、はいクラシカル、はいジャズロック〜ッ、という単純な奴らは「あ、そうでしたか。」と済ませるだけにすることにしたんですが、このバンドの場合は思い込み激しい系ながら薫りの強い叙情性があり、そうなるとクラッときてしまいます。YESと初期RUSHが揃ってメロメロの泣き落としを仕掛けてくるかのような冒頭曲は微笑ましくも燃えてしまいますですね。シングルヒットになったという2曲目"Sister Jane"はそこまで優秀なフックがあるとは思わないですが、ウエストコースト風バラードからクリムゾンばりのアグレッシヴなプログレ調に急落する"For Years And Years"、GENESISよろしく淡々と柔らかいメロディを敷きのばしていくラスト2曲と、普通の拍子を守った歌ものとしての良さをプログレ的な演出とともに(メロトロン、大仰なコーラスワーク等々)堪能できるというあたりがいいです。名ジャケに助けられてる感もありますが、若干バタバタしたCAMELという感じで楽しんでいただけるのではないでしょうか。

【本日のレビューその2:PAVLOV'S DOG「PREPARED MENTAL」】


TAI PHONGとセットで思い出したい盤といえばこれでしょう。同じくゲディ・リー似のヘタウマ(普通にヘタだが…)過剰ヴィブラート・ハイトーンシンガーを擁する、こちらはアメリカのバンドの76年1stです。プログレ然とした複雑怪奇さはほとんどなく、プログレブームの気風がOKにした「あらゆる手段で徹底的に泣く(ハード・)ロック」といったところですね。イディオムは70年代のものながら、その後のメタル界を探してもなかなかここまでは…というくらいのシケ具合で、このタイミングでしかあり得ない感じがなんとも風情であります。サバス風の鈍い足取りにRIOTみたいなクサメロが乗りまくる3曲目"Song Dance"強烈ですね。お年寄りの痙攣の如く震え過ぎる高音ヴィブラートの気持ち悪さも際立ちます。楽曲が美麗なだけにこのヴォーカルが本当に、ゲディ・リー(RUSH)を踏まえた上で聴くでもしないと耐え難いくらいの変わり者なので、普通の人は注意が必要です。逆に個性派やりすぎシンガー・フェチの人は黙って見過ごしていてはいけない逸材でしょう。この敷居をクリアした者だけが甘美なる名曲群を堪能できるという、激辛料理的な1枚。それにしてもこのジャケの犬はかわいくないな〜。ブックブクに太って描かれているのは、条件反射の実験のために醜い体躯にされてしまった犠牲者として、何か批判的なメタファーにでもなってるんでしょうかね。

  12月6日
▼長年の勘によってピンポイントで予定を空けておいたのが見事的中しまして、今年のサウンドベイの年末バーゲンは12月22日(土)スタートだそうです。ということで本日の収穫、金山店にてTAI PHONG「TAI PHONG」、BLACK SABBATH「THE DIO YEARS」(新曲収録ベスト!)、バーゲン品でSKIN「SKIN」。いま無性に、オルタナ/グランジに感化されて消化不良に終わった、あるいはそこそこ成功した、もとはメジャーでハデハデイケイケだったハードロックバンドの92〜95年頃の「問題作」を求めています。とにかく今日はTESLAの"Solution"が延々頭から離れない。このあたりは再評価する人もなく、現在まさに底値で中古市場を徘徊しているはずなので、ガンガン刈り取りたいのです。「問題作」っていいですよね。

  12月5日
収穫はなし。師走らしく部屋の大掃除をしました。完了直後はいつも、このキレイな部屋がどうやってあんな風に荒廃するのだろう、と不思議に思うのですが、毎年毎年同じように荒れるんですねー。住まいかた、生活のしかた自体の抜本的改善が望まれるところです。

 …それにしても、あれだけ張り切って何でも捨てたのに、あんまり床面積が広がって見えない。これはひとえに売却が決定したCD達の山脈が未だ居座っているおかげに他ならないのです。早く新しい優しい主人にもらわれておくれ君達。数日前にFOLK IMPLOSIONが無性に聴きたくなったのですが、下の写真で赤く示した引き出しに入っているので諦めざるを得ませんでした。

【本日のレビュー:ROY HARPER「LIFEMASK」】


ジミー・ペイジとの親交で知られる英国フォークメンの73年6th。随分前に新品叩き売りワゴンに混じっているところを捕獲しました。ベース・ドラムが聴こえそうで(時々しか)聴こえない妙なサイケミニマル調の冒頭曲がいきなり名曲ですね。音楽が商業になるのを嫌悪していた人らしく、間違いなくこの時代ならではのリアリティはあるのに当時の何にも迎合せず、俺のツボのためだけにやっているという感じでなんともディープ。おおむね歌(険しいグレッグ・レイクといった感じの声質)とギターだけを芯としながら、誰に語りかけるとも知れず、曖昧にどこまでも拡散するような空間感覚が独特すぎます。PINK FLOYDやPOPOL VUHといい勝負。「プログレフォークって何だろう」といって聴きにいってはいけませんね、この人は孤高の人です。言うなれば、採算度外視で「究極のしめじ」に生涯をかけている栽培農家の主人というか…彼のしめじを食うことは、単なる食事を超越して、彼自身の生涯と向き合うことになるという。20分以上を費やしてグニョングニョンと垂れ広がっていくラストの大曲を聴き終える頃には、男一人の内側を見せられすぎて体臭が移ったかと思うくらいの後味になってます。そうそう毎日は聴けませんが、芸術とはかくあるべきと思わされもする1枚。ZEPファンもどうぞ。

  12月4日
収穫はなし。流行語大賞が発表になりました、というニュースで見たノミネート語の一覧が、どれもそれなりにシックリくる気がしたのは、いつも「とくダネ!」を見ていて「メディアが流布するキーワード」を欠かさず仕入れているからなのか、何なんだろう。と考えてみましたが、メディアによるキーワードの流布が以前よりも積極的かつ極端に行われるようになったせいではないか?とちょっと思いました。何でもとにかくツカミのいい枠組みをでっちあげて、人の記憶に残るところから商売を始めるという手法なのではと。確かにそのやり方は結果を生むと思いますけども、産業のために人間の行動原理が研究され尽くし、どんどんフール・プルーフな世の中になっていくのはすなわち、直感だけで生活を成り立たせてしまう脳みそスタンバイ状態人間の量産行為に等しいのであって、それはとても危ないですよね〜。

 というようなことを時々、さも初めて言うかのように繰り返し書いてる気がするので、「お前が脳みそ停電してるのでは?」と冷たく言ってあげてください。すいません。

【本日のレビュー:DOKKEN「BACK FOR THE ATTACK」】


昨日登場の盤でジョージ・リンチの上手さを改めて見直したので、今日はこれ。言わずと知れたDOKKENの87年ラスト作です。VAN HALENがアメリカンハードロックに斬新極まりない突風を吹かせた勢いと、イギリスからのヘヴィメタルムーヴメントが重なって、MOTLEY CRUEやらRATTやらといった有名どころからもっとマイナーなB級C級バンドまで、ムクムクと元気よく声を上げた80年代初頭。明るくてツカミのよいパーティ志向のいわゆる「ヘア・メタル」よりもっと湿っぽさをアピールしていたDOKKENは、デビュー前に何故かドイツへ売り込みに行っていたというのが面白い話です。その後めでたく本国アメリカでも成功を収め、大ヒット"In My Dreams"を含む85年の「UNDER LOCK AND KEY」に続くダメ押しとしてリリースされたのがこの4作目。

 楽曲はおおむねミッドテンポ主体で重厚な雰囲気を漂わせるメロディアスなものながら、アメリカ受けのよい単純さでまとめ上げたようなスタイル。このアルバムはややガッチリ堅い辛口めの作風に寄っています。グループ名にも姓を貸しているヴォーカルのドン・ドッケンは「非力」「線が細い」「ノンヴィブラート」とこき下ろされることが多くて、もっぱらのスターはエキセントリック筋肉男、ギターのジョージ・リンチなのです。♭5を効果的に強調する特有のクセがあり、スケールに溺れず必要以上に弾き倒しもしない自然なメロディ運びと、まさに縦横無尽という揺らし具合・飛び具合が圧巻で、表情がありながらトーンは安定し、タイミング感も鋭い。ソリッドで暴れのない音作りがまた気持ちよいですねー。本作では特にアグレッシヴ&アクロバティックな速弾きが目立っておりまして、なんといっても極めつけは、MSGの"Into The Arena"にも並ぼうかというギターインスト永遠のアンセム"Mr. Scary"。鬼気迫るとはこのことかと。

 また何故か彼は「自分はギターに徹してコーラスは絶対とらない」という信条の持ち主で、その代わりドン・ドッケンがバッキングギターを弾きたいといってもそれを許さず、確執の末に解散、再結成後もジョージだけは戻っていないという顛末があります(後日注:戻った後で再度離脱でした)。何だか「メタル知識おすそわけコーナー」みたいになっちゃってますが、このへんで。アルバムの評価としては、「曲で聴くなら前作、ギターはこっち」という感じです。

  12月3日
収穫はなし。今日の東海地方は午前中に久し振りのまとまった降水がございました。無理して自転車で行こうかな〜、地下鉄にしようかな〜と悩むところなんですが、フジロック用に購入したモンベルのアウトドア用ポンチョは本当、たまに使うと、「結構よく降ってるけど大丈夫か?まあ大丈夫だ」という過信にもばっちり応える実力者なのです。サイドのボタンで前後のすその長さを調整可能なので、目一杯前寄りにして、ハンドルをつかむ両腕ごと上から覆うと、脚までスッポリその下に入って全然濡れない。よっぽど大雨でも問題なし。あとはツバつきの帽子で顔面を保護すれば完璧です。しかもリュック風に背負うタイプのギターケースまで収まってしまう、余裕のキャパシティ。私は何なんでしょうか、昨日はエレハモの、今日はモンベルの回し者みたいですけど、別にアフィリエイトで小銭もらったりとかしてませんので。

▼この日記が退屈でないなどと言う気はさらさらないですが、ギターのことばかり書くと興味ない人にはなおさら退屈なのでタメておいたネタをひとつご紹介。先月末の日記の下のほうで触れている、勝手に命名「フミソコナワーズ」の件です。

↑ダイソーなどで4個1組で売っている「オーディオ防振用ゴム足」の平らな面を彫刻刀か何かでくり抜きまして…

↑スイッチの頭にオン!

 なるべくジャストサイズで、そして深くまっすぐにくり抜くのがポイントです。これによって踏むときの表面積が増えるとともに、多少アングルが甘くてもOKになるため、踏み損ない率が抜群に低下、しかも底の薄い靴でも(なんなら裸足でも)痛くない。無論音質への影響もゼロ。おカタい機械スイッチを丸く収めるこの「フミソコナワーズ」、絶対飛ぶように売れますよ、PICKBOYさんやキクタニさんよ。その際は正直に「貴殿の日記を拝見し製品化に至りました。つきましてはアイディア料として…」というメールをくれ。

【本日のレビュー:V.A.「L.A. BLUES AUTHORITY」】


ヘヴィメタルとブルーズギター、これは大いに関係します。80年代ヘヴィメタルの商業的成功の土壌となったのがアメリカだったということと、やっぱりブルーズロック→ハードロック→ヘヴィメタルと順を踏んで進化してきているという経緯、更にそこにGUNS N' ROSESが叩きつけたブルーズロック回帰宣言も加担し。といっても60〜70年代のヴァイブレーションからは程遠いものがほとんどで、要は「ペンタゴリ押し」「すかさずブルーノート」「粘っこくチョーキング」を強調すればあっ今のブルージーだねということになる約束事のようなもの。そんな気風が全開だった90年代初頭、速弾きマシーン発掘レーベルとして(悪)名高いSHRAPNELレーベルが送り出したのがこのコンピレーション。当の本人もブルーズギタリストとしては怪しいものがあるゲイリー・ムーアに「あんな喧しいのはブルーズではない」と揶揄された1枚でございます。

 しかし参加メンツが超のつく豪華さなので、メタラーなら興味本位で聴いてみたい内容ではあるのです。ここから完全メタラー向けの文章になります、お疲れ様でした。まずのっけからザック・ワイルドが後のPRIDE AND GLORYのベーシストになるジェイムズ・ロメンゾと共演。ここでパートナーシップを深めたのかと思うと感慨深い顔合わせです。暑苦しいサザンブルーズ調でサクサク飛ばしてカッコイイ。ソロではやっぱりオジーバンド同様の巨大ヴィブラート炸裂、うるさくはあるがちゃんと歌心の人ですね。うっすらオジー絡みで続くブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)は地味で堅実なハードロックソロに徹し、特に見せ場なしかと思いきやアウトロでちゃっかり派手なアーミング一発出ました。3曲目、リッチー・コッツェン(POISON, MR. BIG)がなんとヴォーカルのみで参加し、ギター担当はスティーヴ・ルカサー(TOTO)。意外に誰よりもフラッシーに弾きまくってて騒々しいです。うるさー。お次はグレン・ヒューズとパット・スロールのHUGHES & THRALLコンビ。更にスチュアート・ハム(b./STEVE VAI, JOE SATRIANI)、グレッグ・ビソネット(DAVID LEE ROTH BAND)がバッテリーを組むというプチ豪華なメンツです。グレン・ヒューズはやっぱり上手いのか大袈裟でうるさいだけなのかよくわからんな〜。パット・スロールは地味だがファンキーに頑張ってます。続いてリッチー・コッツェンが今度はギターで登場。歌っているのはつい最近急逝が報じられたケヴィン・ダブロウ(QUIET RIOT)…。ロバート・プラントがキン肉マンになったみたいな熱唱はなかなか貴重なテイクなのでは?ギターはやっぱりミスター・ヴァイブレーションです。つんざくテレで猛烈なタッピングを繰り出しながら、それでもブルージーという奇跡の業。孤高。

 ここで折り返しまして6曲目、ジョージ・リンチ(DOKKEN, LYNCH MOB)がビリー・シーン(TALAS, MR. BIG, NIACIN)と共演。DLRバンドのよしみでまたもやグレッグ・ビソネットが叩いており、完全に「ブルーズ風ハードロック」のノリ。ジョージのソロはいつもの調子を変えようという意思すら感じません。でもやっぱり上手いなー。ハーモニカと熱いソロバトルを繰り広げており、なかなか面白い。ビリーはあんまり目立ちませんでした。次はケヴィン・ラッセル…誰?と思ったら、この企画の発起人であるようで、しかも彼が全曲のバッキングギターを弾いていたようです。不遜にも自前のオリジナル曲で参加、あーそう。という感じ。これの後が凄いですね、ジェフ・マーティン(vo./RACER X)、ジェフ・ワトソン(NIGHT RANGER, MOTHERS ARMY)、トニー・マカパイン(MARS)、ビリー・シーン、そしてスコット・トラヴィス(ds./RACER X, JUDAS PRIEST, FIGHT, HALFORD)!ギター二人はまったくもってブルーズフィーリングなし。しかも得意芸の速弾きも粗いし、冴えずじまいです。終わりも近付く9曲目はポール・ギルバート(RACER X, MR. BIG)。何とCINDERELLAのドラマーのフレッド・コーリーがリードヴォーカルをとっています。これは完全にヘヴィロック仕様で、GIT出身者らしく変なスケールで光速ソロをかましてます。昔のポールはこういう空気読まない感じでしたねえ。ソロをLRに振って一人ギターバトルを楽しんでます。最後はついに出ました、レーベルオーナーのマイク・ヴァーニー。再びトニー・マカパイン&ジョージ・リンチが登場し、ヴォーカルは意外なジェフ・ピルソン(b./DOKKEN, DIO)。ジョージの邪悪なまでの押しの強さに、品の良いマカパインが押される形で終了。

 と参加メンツを詳細に書き記してきましたが、他にもKINGDOM COMEのジェイムズ・コタック(ds.)、WHITE LIONのグレッグ・ダンジェロ(ds.)、GAMMAのデイヴィー・パティソン(vo.)、オジーバンドに一瞬いたフィル・スーザン(b.)、名もなきセッションハーモニカイストのリトル・ジョン・クリスリーらが参加していました。ということで、80年代メタラーが聴いてあれこれ言うためだけの1枚でしたね。酒宴の席にあるといい感じだと思います。

  12月1−2日
収穫はなし先月末の日記で触れたELECTRO-HARMONIX「KNOCKOUT」をスタジオで使って参りました。これは最高!!

何の変哲もないハムバッカーからあのジョキジョキが!今までまともなシングルコイルのギターを所有したことがなかっただけに(ダンエレ59DCはまあ、愛してますが…)非常に新鮮。というか、改めてまともなシングルコイルのギターなど所有する必要はもうないというくらい自然かつ分かりやすい効き。カット方向でも使えるし、ブーストにして低域の厚みはそのままに高域を明るくする、といった使い方もできます。バンドではツインギターの片割れがムスタングなので、曲の中で部分的に「もうちょっと2本の音色が混じるといいのに」という箇所が時々あるんですが、これでキレイに解決です。

 これを使って行うライブは以下のとおり!!

■12月10日 (Mon.)
名古屋 新栄クラブロックンロール
18:30開場 / 19:00開演
w/ABOUT TESS、G-FIGHTER、SCHOOL FOOD PUNISHMENT、不完全密室殺人
前売り 1,800円 / 当日 2,000円(別途1D)

■12月12日 (Wed.)
大阪 梅田SHANGRI-LA
18:30開場 / 19:00開演
w/MARS EURYTHMICS(ex.HUSKING BEE)、HA-GAKURE
前売り 3,000円 / 当日 3,300円

1月20日 (Sun.)
名古屋 鶴舞KD JAPON
TBA

 バンドのウェブサイトにも書きましたが、研究室の手伝いと修士論文とに忙殺されているうえ来春の就職も控えるドラマー曽我部に代わって、10月のEGOISTIC 4 LEAVES代打出演でお世話になり、DOIMOI初回ライブ(2005年6月KDハポン)でも共演していて、実は大学のサークル時代(私は「ガニオテ」彼は「3058」)からの付き合いでもある林礼一君が今回からサポート参加してくれます。SAME PLACE EMPTYやEGOISTIC 4 LEAVESで、またはASANAのサポートで、彼の勇姿を拝んで「スゲ〜」と感嘆したことがある人も多いことでしょう。現在、作曲者以外のメンバーがしばしばかかる「ウラ拍が全部オモテだと思って半拍ズレのまま曲を覚えてしまった病」と闘病しながら、初本番に向けてかなり良い感じで調整中です。ううむ楽しみ。

【本日のレビュー:KISS「REVENGE」】


メタラーではない人にも、あのKISSがメイクを落としていた時代があったことはそこそこ知られているでしょうが、90年代型ダークリフ+ヘヴィグルーヴ路線に行きかけて惨敗していたことまで知る人はそう多くないでしょう。これがその問題作、92年の「REVENGE」です。パーソネルはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ブルース・キューリック・エリック・シンガー。銃で打ち抜かれた鉄の扉にしたたる赤ペンキで殴り書きされたREVENGEの文字、なるほど物騒げなジャケ。そして衝撃の冒頭曲"Unholy"。これは当時ビデオクリップがMTVでオンエアされてましたですね。タイトルのとおり不吉な単音リフが全編を重苦しく彩る、KISSとしては異色な1曲です。が、親切なシンガロングパートが設けられたサビといい、体質からの改革までには至らず。更にそこから先は実にノーマルなハードロックチューンが並ぶのみです。ドライなサウンドプロダクションのお陰でソリッド&ヘヴィに聴こえるだけ。別段駄曲だらけということもなく、かといって突出した名曲もなく、結局のところ一番KISSらしくない"Unholy"が最も印象に残るという珍現象に終わっています。いっそ手加減しないでもっとデロンデロンに重く攻めてくれりゃ、10年後になって「KISSなのに重くて暗い変なアルバム」として穿った興味の対象になったであろうものを。むしろ「重くて暗いのにKISS」と押し切って納得させるだけの器なんだからそれくらいやってもらいたかった。

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