物色日記−2008年1月

※頻出語句解説はこちら
  1月31日
収穫はなし。明日はインターネットのプロバイダ(CATV)がモデム交換のために来て、ウチのPCで設定変更・接続確認をしていくらしいです。ということは、機材とCDだらけのこの部屋に、そうとは知らない赤の他人が上がりこむのか。きっとその作業しに来る人も、家に帰ったら、ここで見たことを「今日行った先がさ〜」などといって家族に話したりすることでしょう。

【本日のレビュー:EXTREME「III SIDES TO EVERY STORY」】


ということで昨日から続いてEXTREMEで。2枚目をスッ飛ばして92年の3rdいきましょう。89年にデビューして4年のうちに3枚リリースとはなかなか精力的なもんであります。ファンクなハードロックとして脚光を浴びたはずが、"More Than Words"のスマッシュヒットでアコースティックデュオと勘違いされるほど売れてしまって、そうなりゃもう何やってもいいだろうと思ったのかどうかは判りませんが、このアルバムでは全体を3部構成に分け、若干オルタナ風の感触(それこそ「BLOOD SUGAR SEX MAGIK」時のレッチリのような)をフィーチャーするとともにクイーン似のゴージャスなコード使いやコーラスワークを以前に増して強調(第二部以降特に顕著)。と同時に"Warheads"でのモノラルギターミックスや"Peacemaker Die"中間のクリーントーンなど、エディ・オマージュの小技にも磨きがかかってます。ほどよい長さごとに区切られているのと、カラフルでツブの大きい楽曲が多いのとで、通して聴いても求心力の衰えないアルバムであります。やはり冒頭のワンツーパンチが超強力。"Stop The World"や"Tragic Comic"あたりも上手くMTV映えします。八面六臂なヌーノのギターに比べると相変わらずゲイリー・シェローンは一本調子だし(ミックス的にも曲によってはギターに押され気味)、次作でのマイク・マンジーニの活躍を思うとオリジナルドラマーのパット・バジャーの「ただただラウドだが必要最小限」な演奏も物足りなく感じられるのが惜しいところ。オーケストラを交えたラストの大曲"Everything Under The Sun"での妄想爆発が何とかそのあたりを帳消しにして終わってくれるので良いですが。この次でいきなりツェッペリンに転ばずに、このまま妄想QUEEN路線を邁進していたらどうなっただろうかと考えるのも面白い。DRAMAGODSはどうなりましたかね。

  1月29−30日
29日の収穫、どこぞのブックオフにてEXTREME「EXTREME」、BLACK HAPPY「PEGHEAD」。ブックオフで長いこと滞在すると、BGMが必然的に「J-POP最新ヒッツ、あるいは今レコード会社が金積んで売りたい音源ショウケース」みたいなのになるからそこが苦痛です。iPodでも持ってりゃ良かったなと思う瞬間。一年以内のヒット曲の割と重要な部分をうっすらパクッてるのに気付いてないナイーブなアコースティックバラード青年、高校生バカップルの交換日記にも劣る低脳ライムを綴る甘々ヒップホッパー、元ちとせ似っぽいが明らかに音程がマズくて曲も全然冴えてない紛い物民謡系シンガーなど、心底酷いのばっかりで、店内のスピーカーというスピーカーに制振ゴムを塗りたくりたくなる惨状。唯一普通に聴いたのがアンジェラ・アキでした。相撲もポップスも純日本人じゃダメな時代か。酷い物とわかっててもそれをご大層にプロデュースして売り物に仕立てて消費社会の子羊から搾取してやればいいという頭しかない大人が悪い。芸術が腐ると世の中の人間が腐るからやめてくれ。

 そんな中、自称「クソの海の中に閃くオアシス」ASCETIC RECORDSのオフィシャルサイトを、新しいTシャツでも売り出さんかなーと思って以前から定期的にチェックしておりまして、そういえば覗いたことがなかった「Forum」のページはどうなってるのだろうと数日前に踏み入ってみたところ…、RIDDLE OF STEELのアンドリューとTRAINDODGEのジェイソンがひたすらお勧めの音楽を教えあっているだけでした。仲いいなーおい。

▼オカルティスト遂に極まる。防磁対策でケーブルに色々巻きすぎて不恰好になっていたギターのエフェクター用アダプターに、見た目を重厚にしたいというだけの理由で、メッシュチューブをかけてしまいました。いやあ満足。見た目重要。

【本日のレビューその1:EXTREME「EXTREME」】


そういや今まで持ってなくて、250円でゴロゴロしてたのでワンコピー(ルー大柴風)拾っときました。ヌーノ率いるあのEXTREMEの89年作。ファンクなハードロックということで一世を風靡したみたいな印象だったんですが、この時点では意外とそこまでビョンビョンしてなくて、というか大袈裟なだけで薄っぺらいゲイリー・シェローン(Vo.)に足を引っ張られて、VAN HALENに端を発する80年代後半のオーソドックスなハデハデスタイルをおおむね踏襲しているだけというようにも聴こえます。その中にあって、ありえないオブリガードや付け焼き刃ではないクラシック的和声感(QUEEN経由)をサラッと披露し、ソロパートではモココココッと正確無比な速弾きをこなすヌーノ・ベッテンコートの存在感は、やはり「何か出てきたか!?」と人々を振り返らせるに充分なもの。しかしこれが処女作ということで、下地にあるエディ節がまだ型崩れしないままありありと見えるのも微笑ましいところです。"Mutha (Don't Wanna Go To School Today)"でのなりきりっぷりは言うに及ばず、イントロのつんざくピッキングハーモニクスがモロな"Teacher's Pet"(歌が入ってからの執拗なユニゾンはいかにもEXTREMEという色を確立してますが)、サミー・ヘイガー加入後の作風のシブイところ("Why Can't This Be Love"あたり)を突いてくる"Big Boys Don't Cry"と続く5〜7曲目の流れが何ともディープ。続く「PORNOGRAFITTI」でこの路線を大成し、そこから一気に多彩さを増して最高傑作と思われた3作目の次に更なる大傑作を産み落として有終の美を飾った、いいバンドでしたEXTREME。

【本日のレビューその2:BLACK HAPPY「PEGHEAD」 / LIMBOMANIACS「STINKY GROOVES」】


 さて次はEXTREMEとの対比でまとめて2作品ご紹介です。世の中で最も恥ずべき音楽のひとつに「全然ファンキーじゃないファンク気取り」が挙げられることは必至かと思いますが、RED HOT CHILI PEPPERSやJANE'S ADDICTIONやFISHBONEみたいな音が注目された80年代後半〜90年代初頭は、メタル界でも「じゃ時代はファンクでミクスチャーじゃない?」みたいな安易すぎる流れが存在したのです。EXTREMEのような成功例はごくわずかで、残りは今になっても全くもって聴き所がなく、負の遺産として500円以下のコーナーに積もっています。こんだけダサいCDはそうそう聴いたことねーなという記念にその最もたる2枚を取り上げることにしました。

まずはこちら、BLACK HAPPY。微妙にSLAPP HAPPYをもじったのかと思わせるネーミング、意味深なジャケ、リリースは何とCAPRICORN、更にプロデュースがニール・カーノン(QUEENSRYCHE他を手掛ける)ということで、危険を感じながらも思わず250円コーナーから救出してしまったことをここまで後悔させるCDは他にないだろうというくらいの大変な内容です。意味もなくツインドラム、ご丁寧にトロンボーン×2とトランペットのホーンセクションまで擁し、ザクザクメタルリフとチャキチャキしたカッティングを入れ替えながらGUNS N' ROSESの"Paradise City"を可能な限り駄曲化したかのような最低な曲を延々演奏し続ける、MEAT PUPPETSとINFECTIOUS GROOVESの糞と痰を混ぜたようなクソミクスチャー。ただでさえファンクを誤解しているところに、もっと見当違いなガンズ幻想まで入ってくるともう手のつけようなし。何故か変に氷室風のかっこつけヴォーカルが更にイライラを誘う。マメに絡んでくるトロンボーンはやけに妖しい雰囲気を醸し出しているので、地の底まで間違ったBEYOND DAWNと思い込んで聴くことも可能か。いや、95年にこれはないだろうよ。

続いてはこちら、かなりよく見かけるLIMBOMANIACS。国内盤すら出ていたということを最近知りました。これもメタルギター入りダメカスファンクの類い。上のBLACK HAPPYよりは多少、ファンクミュージックへの造詣が見え隠れしますが、やはりダサい。"Butt Funkin'""Free Style"などと曲名レベルでダサめ。ヴォーカルはかなり頑張ってラップに挑戦してみているものの、せいぜいマーク・パンサー級。完全にモタモタしたダサさではなくて、変にシュッとしようとしてそれが勘違いのまま成就した結果の「トレンディ・ドラマ」的ありえなさなので、これないわー、以上の感想を持てません。ブックレットにあるフェイヴァリットリストにはジミヘンやマイルスなどに混じってDR. JOHNやらウィントン・マルサリスやらの名前まで挙げてダイハードっぷりをアピールしてるようですが、何がどうなってこのアウトプットに至るのか。しかしこういうの、日本の音楽学校の講師とかが片手間の趣味バンドとしてやってそうでもあります。というか数年前に見たな、無理のあるMCで不快な盛り上げ方をしようとする寒々しい中年バンドを。さておき、一番びっくりしたのはプロデュースがビル・ラズウェルであったことです。リリースは90年。悪い時期は本当に悪いですねこの人は…。メタルコーナーで見かけることが多いので「もしやこれは3周回って楽しめる俺好みのD級ダメメタルではないか?」と興味をそそられていた好き者な方々もおられるかも知れませんが、代わりにチロルチョコを1ダース買って下さい。

  1月28日
本日の収穫、今池P-CANにてMATT PENMAN「CATCH OF THE DAY」、THE MOB「THE MOB」。「夜デニセット」終了以来まったくお得感のないデニーズに代わって、最近イイのがココス。しばらく前に今池の広小路通沿いに出現していたものの、黄色い看板とこの屋号に「ココイチの中途半端な新規事業か?」と訝しんで立ち寄れずにいたのですが、入ってみればデニーズよりちょい安でクオリティは互角の良心的なファミレスでした。セルフのドリンクバーも利用しやすく、何より和民っぽくテーブルごとに細かく仕切られた店内レイアウトのお陰で、隣のうるせーOL二人と30cmしか離れてないテーブルに「こちらへどうぞ」ってことがなくて滞在が非常に快適。店員少なそうでいつもバタバタしてるので誰か働いてあげてください。

【本日のレビュー:MATT PENMAN「CATCH OF THE DAY」】


買って帰ってから気付いたんですが、このタイトル、まさに「本日の収穫」ではないですか。これは取り上げない訳にはいかんでしょうということで即レビュー行き。FRESH SOUND NEW TALENTリリースのNY若手もの・非アングラ系現代ジャズです。リーダーのマット君(イケメン)はベーシスト。試聴してパッと「お〜ええなー」と思って買ったんですが、サックスのシーマス・ブレイクは一時期ヘヴィローテだった同じくFSNTのこちらでも吹いてた人でしたね。これも帰宅後に判明。で内容は程よくトンガリ、割とポップ、しゃらくさくなくて、いい曲をスッスッと小気味良く演奏してるからには名盤だよね。という感じの良作でした。まあ今はバークリー出れば誰でもこのくらいのクオリティのことはやってしまう気もしますが、単純に好みの塩梅なので(意外とそういうの見つからないし)よいのです。相当無理矢理に例えますがGILGAMESHSNAILHOUSEの延長線の思いがけない交差点から鳴ってきそうな音楽性ともいえるもので、普段ジャズなんて全然という人にもお勧めです。私もこのところご無沙汰でしたがこれは当たりを引きました。けだしキャッチ・オブ・ザ・デイですな。

  1月23−27日
22日の収穫を書き忘れてました。東別院ブックオフにてTHE LOST「THE LOST」。長いこと更新を怠っていましたがその間、ギターのエフェクタ用のアダプタと分岐ケーブルを色んな物でシールドしようと試みたり(物凄くグロテスクな代物が仕上がってしまいました)、ちょっと高級な電源タップを物色したり(かなり中途半端なチョイスに落ち着きました)、等々、主にオカルティストとして過ごしていました。勉強をさっさと始めないといけないのにいつまでも机の片付けばかりしている受験生だなーこれでは。

【本日のレビュー:VAN HALEN「II」】


相変わらずRIDDLE OF STEELの最新作を毎日聴いているので(記憶で)、ご先祖も再検証せねばと手に取りました。我らがVAN HALENの79年2nd。今まで気にしてませんでしたが、昔のVAN HALENの音源って、ギターのバッキングが基本的に左チャンネルに1本しか入ってなくて、他の楽器はといえば全部センターにあって、ディレイ/リヴァーブ成分とちょっとした装飾パートを右寄りに置いて無理矢理バランスをとるという、恐ろしくエディ・オリエンテッドなミックスになってるんですね〜。そこいらのスタジオ盤ではありえないライヴ感はこのせいか。

 で肝心の内容。ギターサウンドはその後のHM/HRの手本となるハイゲインなものでありながら、押し引きが極端でピリピリフラフラとした人間臭さが強烈に漂うプレイスタイルで、まさに前時代ロックの王道を往くもの。異端中の異端扱いのエディもまっとうにツェッペリンとかが好きだったはずです。でジーン・シモンズを更にデフォルメして、大昔のジャイヴすら彷彿とさせるような突き抜ける陽気さをもったデイヴ・リー・ロスの歌唱、これがガチガチに熟成したハードロックに風穴を開けてパンク一色の時代にも爆弾投下成功となった大きな要因でしょう。曲調のことにほとんど触れてませんが、彼らの場合、特に初期は、曲の良さとパフォーマンスの素晴らしさがまったく不可分なのです。ポップな名曲"Dance The Night Away"も凡百のB級グラム野郎やモッズ野郎の手に掛かればただの浮かないヒット狙いになっただろうし。普通すぎる"Somebody Get Me A Doctor"のイントロリフをこれだけギャンギャンと叫ばせられるからこそVAN HALENは偉い。"Light Up The Sky"冒頭の異常なテンション感、"D.O.A."の4駆車かキャタピラ車さながらの馬力感、いつぞのファンタグレープのCMよろしく「シャッフルよりシャッフル味」とでも言いたくなる"Beautiful Girls"他々、非常に直感的な「ロックのかっこよさ」の原点の部分で誰にも勝って、その上前人未到のアイディアをボコボコと湧き出してくるのだからそりゃ最強です。非ハードロッカーでもAC/DCまでは聴くみたいですが、もう一歩踏み込んでVAN HALENもいっとかないと、彼らを聴いて育った(しかも表向き全然そのフシを見せてこない)アメリカ人の若手バンドにダマされたりする可能性がありますよ。

  1月22日
本日の収穫の中身をCD以外にも適用しようかと思います。今日はCUSTOM AUDIO JAPANの「CLEANSABLE」という接点浄化/保護オイルが到着しました。つい最近、新しいギターを衝動的に買いたくなって、それをガマンするために現在手持ちのギターを徹底的に手入れする方向にモチベーションを向けてみた一環として購入。こいつをとりあえず、普段使うエフェクターとシールド、パッチケーブル、アダプターのプラグなど、接点という接点に塗ってみて、ついでにオーディオ機器のRCA端子やスピーカー端子、ヘッドフォン端子、電源プラグにも使用、ついでにバラバラになっていた電源プラグのホットとコールドの向きをきちんと揃える。

 気休め程度のつもりだったんですが、さっそく効果が確認できました。まずオーディオ。高域の立ち上がりが明らかに向上して、全体的にも歪み(今までそんなにあるとは認識してませんでしたが)が軽減して見通しがスッキリし、意図された音場感どおりに再生される感じに。更にヘッドフォンを着用して音量を上げてみると、別世界が待ってました。ギターの方は、スタジオで鳴らしてみないと音のことは何とも言えませんが、とりあえずチューナー(地面に置くタイプのものにクリップマイクを差してヘッドで拾っています)がかつてない反応の速さを見せるようになりました。あとSWITCHCRAFTのプラグはキツキツに作ってあって抜き差しをしづらかったのが、オイルの皮膜で滑りが良くなり、セッティングが楽になりそうです。血迷ってPETERSONのストロボチューナーとかに手を出す前に、バカ高いケーブルやパワーサプライや内部配線の世界に足を踏み入れる前に、接点浄化。おすすめです。そしてこのようなウンチクばかり垂れて身のない機材虫になる前に、練習。

【本日のレビュー:DOKKEN「DYSFUNCTIONAL」】


昨日と同系でもう一発、今日はDOKKENで。彼らの歴史解説を含む解散前ラスト作「BACK FOR THE ATTACK」のレビューがこちらにありますので必要な方は参考にしてください。でこれは日本のみで94年にリリースされた復活第一弾アルバムをちょっと装い直して翌年に出した国際版。再結成早々、メンバー4人が別々のガラスの破片に映り込んだジャケで、タイトルが「機能不全」とは、どんだけ仲悪いねんお前ら…とニセ大阪弁をかましてみたくもなります。しかし内容的には、ドンのメロディアス志向と、ジョージ・リンチのアップトゥデイトなヘヴィ志向が「しゃーねえな」とばかりに折衷し、結果的にKING'S X似のものに辿り着いてしまったという、興味深い良作になってます。2曲目"Hole In My Head"ほか、この新機軸がうまくいった名曲・佳曲がけっこうポンポンと。ダウンチューニングでダークな雰囲気を強調しても、減5度で不穏さを醸し出すのはジョージの昔からの常套句だし、グランジにかぶれたか?と一瞬思わせる"Shadow Of Life"なんかも骨格を見れば"Unchain The Night"あたりと何ら変わりません。むしろただメロディックなだけのバラードとかの方がつまらない。あーこのへんの「踏み外したHM/HRバンド」はみんなこのまま進化してくれてれば今はいい時代だったのに。どこでも安値で見かけるうちに是非買っといてください。

  1月21日
収穫はなし。年末から今に至るまで脳内再生頻度ナンバーワンを誇るRIDDLE OF STEEL最新作。全曲コピーしたい。メンバー3人ともMYSPACEに個別でアカウントを持ってるようで、覗いてみたところ、ベーシストは「Who I'd like to meet: DIAMOND DAVE(注:VAN HALENのデイヴ・リー・ロスの愛称です)」と書いていて、ギタリストは「粋なフックとちょっとした冒険と、けたたましいドラムと良質なポップセンスが大好きだ」「『ノイズ・コア』なんて奴は99%がフリージャズであって進歩性のないフェイク」「田舎のエモキッズが利口にあつらえた品行方正ロックなんてのはどっかにやってくれ。俺は流行りものより廃れてるものの方によっぽど頭を使おうって気になる」などと豪快な持論を披露し、TRAINDODGEと兼任の(と思ってたらいつの間にかROMA79も手伝ってました)ドラマーはフェイヴァリット欄にRUSHはおろかMAGMAやNATIONAL HEALTHまで挙げる始末。そして3人ともVAN HALENとAC/DCとLED ZEPPELINが大好き。ああ全力で友達になりたい。

【本日のレビュー:TESLA「INTO THE NOW」】


何で去年のLOUDPARKで来日したんだろうと思ったら、再結成して活動してたんですね。という2003年作。折からのヘヴィ化ブームに感化されることによって持ち前のズレ・センスがとうとう満開になった解散前ラストの「BUST A NUT」(94年)は非常にディープな大名作で、私の去年の愛聴盤でした。こういうバンドが再結成すると、一時期の迷走はなかったことにして80年代の黄金期サウンドに戻っているケースと、そういう時代もう終わりましたけど…?と言いたくなるような相変わらずの陰鬱グランジメタルを追求し続けているWINGERみたいなケースとに分かれるわけですが、TESLAの場合は両者ほどよく折衷しつつ微妙に後者寄り。変拍子も交えたガッツリリフ、しかし隠しきれないアリーナロック的親切心、ただのカントリー風バラードも入り混じってヴォーカルはやっぱりナスティなハイトーンという、アピールせんとする対象がまったく読めない内容にしてきてくれました。これぞツボ、という人はきっと少ないと思いますが、このバンドを芯から愛する人が「老けたTESLAも歳相応で素敵よね」と言えるくらいの余地は全然あります。自分は大丈夫と思ったらどうぞ。

  1月20日
▼昨日書いたとおり今日はライブ出演者になる日でした。鶴舞KDハポンはいつでも最高なライブ会場です。よほど幻滅させるような悲惨な演奏でも始めない限り、静かに座り見モードであっても、どういう音楽が出てくるのかジッと楽しみにしてくれるような雰囲気が客席の隅々(スタッフ一同がいるカウンターの中さえも)から伝わってきて、純粋に演奏者と聴衆と音楽という関係の中にリラックスして身を置くことができるといいましょうか。そのお陰で、少なくとも落ち着いて喋ることができるので、無理に空気を作ろうと余計なMCをしてみるものの噛みまくって意味不明のまま終わったりするリスクが低くなるのもまた最高さの一端です。今回は腹ごしらえしてから赴いたのでトコナツカレーを食べ損ないました。

 今日も出演者は計3組。我々のほかにはお馴染みのスティーブジャクソンとGURAでした。スティーブジャクソンはいつの間にかドラマーの方が復帰していて、以前は数曲で漂わせていたうっすらファンクな色をもう完全に表には出さず、ポツネンポツネンと音をこぼしていくスローチューンにほぼ一本化。安っぽい酩酊感やショウケースに入ったような緊張感を慎重に避けながら、TEASIと54-71をつなぐ意外な裏道の途中でずっと前から人知れず作られていた秘密基地、てな孤高の佇まいに。マイナーチェンジを繰り返しつつどんどん練られていくので、最新バージョンはどんなんだろうと常に気になります。GURAはよく「〜、〜、〜など様々な要素が混在するポストロック」みたいに紹介されることが多いですが、最終的にポストロックを狙ったというより、むしろそこに括られがちな「〜、〜、〜など」の部分を直撃するバンドとの印象を改めて受けました。ガットギターを強調して変拍子で盛り上がるパートでは(恐らく他人の空似で)イタリアンプログレ、ボッサ調のリズムにフルートの清涼な旋律が乗るとスムースなフュージョンまで想起させ、創造者であるより編集者であることも多い若手のポストロックバンド達から二次的に音楽を学んだのではないという、足場の確かさと濃さがある人達です。

 という具合に出演者&客として大充実のうちに帰宅。3月〜4月はまたポツポツとライブができそうなので何卒よろしくお願いします。

【本日のレビュー:ORANGE 9MM「DRIVER NOT INCLUDED」】


REVELATIONからEPをリリースしたのちメジャーへの栄転第一弾となった95年の1stフル。デイヴ・サーディがプロデュースの次作は過去に登場済み。でこの頃はまだ、BARKMARKETとBIOHAZARDを同列で飲み込んでしまったような、安直といえば安直なグルーヴロッキン・グランジを標榜している感じです。白人がやるタメもスベリも何もないラップ(らしきもの)は、経年劣化したときにとてつもなくイモ臭いですね〜。とはいえバンドの音の端々に込められた強度感は充分BARKMARKET寄りで、ロックの大事な部分を然るべく解釈するセンスはあった人達なのでしょう。総体的には「カッコイイ」と言える出来になっています。REVELATIONの出なだけあってQUICKSANDなニオイを放つ場面もボチボチあり、時代の空気を色濃く有するヴィンテージとしての価値も感じられます。ヘヴィでソリッドでパンチのあるやつがどうも流行ってるらしいという認識が蔓延しつつも、これ一本という雛形が存在しなかった(グランジと一口でいってもNIRVANAとPEARL JAMとALICE IN CHAINSとSOUNDGARDENとSMASHING PUMPKINSが全く別物だったように)がために「じゃそれってこんな奴?」とみんなが想像上のヘヴィ・ソリッド・パンチを具象化せんとしていた90年代前半の気風、何べんも同じこと書いてますが、個人的にひときわ胸に迫るものがあるのです。手に入りやすい裏BARKMARKETということで中古で見かけたら拾ってみてください。

  1月19日
収穫はなし。例えば、

・1月20日(日)はバンドのライブがある
・今日は土曜だから明日は日曜
・今日は1月19日

 以上3点が頭の中にあっても、「よって明日はバンドのライブがある」という感覚がまったくない、ということはありませんか?私はあります。(明日がライブだと)気付いた時はそりゃビックリしました。てことで皆さんよろしくお願いします。↓

1月20日 (Sun.)
名古屋 鶴舞 KDハポン
18:30開場 / 19:00開演
w/スティーブジャクソン、gura
予約 1,500円 / 当日 2,000円(+1オーダー)

【本日のレビュー:REALM「ENDLESS WAR」】


去年買った大名盤2nd「SUICIETY」に心底感銘を受けたREALMの88年1stです。この頃はまだ切り返しの細かい変拍子やネオクラギターソロのフィーチャー度が低めながら、センスのあるハイトーンパワーメタルバンドが流行りのスラッシュを「やったれーオラ〜」とばかりに真似てみたダーク系80年代USメタル・サウンドの象徴的なスタイルを完成させております。ハードコアとクロスオーヴァーする様子が微塵もなく、HOLY TERRORばりにメタルをメタルのまま強引に加速させたような限界感が非常にカッコイイ。アラン・テッシオ(WATCHTOWER他)とロブ・ロック(IMPELLITTERI)の中間のようなヴォーカルも最高です。私はわざわざROADRUNNERのオリジナル盤を探して買いましたが、現在はポーランドのMETAL MINDがデジパックでリイシューしてくれたので、興味を持った方はとりあえずそっちを買ってみてください。

  1月17−18日
ここ2日の収穫、全てウェブ上で海外から直買いした中古品で、まずはプレミアもの2点、RIVERDOGS「ABSOLUTELY LIVE」、REALM「ENDLESS WAR」(METAL MINDリイシューではないROADRUNNERからのオリジナル!)、以下は破格でDOKKEN「DYSFUNCTIONAL」、TESLA「INTO THE NOW」(復活作!)、SOULMOTOR「REVOLUTION WHEEL」(TESLA解散中にメンバーがやっていた別バンド)、ORANGE 9MM「DRIVER」、BLINKER THE STAR「AUGUST EVERYWHERE」。そして本日18日は、新栄アポロシアターまで、以前FINE LINESと対バンして以来何かとお世話になっているテッキンさん(ex.HUSKING BEE)が今やっているBEYONDSのライブを見に行ってきました。ヴォーカルの谷口さんが再びギターを持つのをやめてパフォーマンスに徹するようになり、表現そのものが非常にソリッドになった感じで、80年代パンク/ハードコアの伝統を自由闊達に崩壊させながら各人の個性をふりまくというバンドの良さがググッと表出。すっかり魅了されて参りました。新曲と思しきものの中にはすわTZADIKかというような雰囲気の曲もあったりで、何にも媚びない頑固さがあると同時に進化を続けているというのが素晴らしい。で打ち上げにまでついていって深夜の帰宅です。

【本日のレビュー:BLINKER THE STAR「AUGUST EVERYWHERE」】


全然詳細を知らない人達ですが、何かの拍子で買っていたという1枚。たぶん試聴目的でamazon.comを徘徊しているときに「これを買った人はこんな商品も買っています」的な欄で発見して聴いてみたら良かったというクチです。で現在CDでちゃんと通して聴いてますが、ネットで試聴したときのイメージより更に数段素晴らしい。PERNICE BROTHERSやJIMMY EAT WORLD級にキャッチーな仕立てだが潜在的な歌心が完全にSHINER系という最高の内容です。というかプロデュースはケン・アンドリュースですか。時に壮大なスケール感のアレンジはSUNNY DAY REAL ESTATEファンにもアピールするかも。声がケヴィン・ムーア(CHROMA KEY)激似なので、私にはもうSHINER+CHROMA KEY+PERNICE BROTHERSにしか聴こえません。それって最高じゃんと思った人は今すぐ買いに走って正解です、さあどうぞ。リリースが変にDREAMWORKSとかなのでノーチェックの人も多いかも知れませんが、こりゃパンチのある穴盤でした。

  1月16日
収穫はなし。最新パソコン事情にはまったく疎い私ですが、今朝の「とくダネ!」で見たMacBook Airはまるでラングドシャみたいでビックリしました。あと英語もいつまで経ってもイマイチな私ですが、一念発起してmyspaceブログをたったこれだけ更新するのに2時間近くかかりました。(日本語で書き込もうとすると何故か絶対文字化けするのです。)語学堪能なお方がいたら冷た〜く添削してください。

  1月15日
収穫はなし。エレクトリックギター関連の機材に興味がある人で、かつハードロックやギターインストものに全く興味のない人なら、一度は思ったことがあるでしょう、「エリック・ジョンソンって誰?」と。「エリック・ジョンソンも唸らせるPROCELL乾電池」等々…。辛うじて以前CDを持ってたことはあるという程度の私も、遂にエリック・ジョンソンものに手を出す日が来ました。それは弦。今のバンドでは1〜5弦が常にレギュラー、6弦のみ1音または2音(まれに3音半)下げというチューニングなので、009〜046とかの「下3本が太めのセット」じゃなくて、ただ単に6弦が太いだけのセットが欲しかったのです。そこへきてエリック・ジョンソン。彼のシグネチャーもので、010・013・018・026・038・050というのがGHSから出てるのです。で本日購入。巻き弦3本が、完全なフラットまでいかないながらザラザラ感が残る程度に均された「セミ・フラット・ワウンド」になっているという点だけが引っ掛かっていたんですが、別段違和感なし。手触りはスルスルするかと思いきや接触面積が増えて普通よりキュッキュとします。太い弦を張ると和音が俄然シャキッとなりますね〜。ピッキングした途端に、弾いた弦全てがビシッと「気を付け」をする感じで気持ちが良い。ネックへの負担を考えてちょっと弦高を落とし、ついでにオクターブチューニングもやり直して調整完了。何だか新年の私は非常にギターマンだなあ。

 ギターマンついでに、近頃の地道なピッキング練習が実って以前にない感覚を得かけている話を、書くのをやめようかと思いましたがやっぱりひとまとめに書いてしまいましょう。単音弾きの場面で、「ピックが人差指に貼り付くように親指でアシストし、人差指主導で弾く」という意識でやってみると、鳴らしたいところを人差指でクルクルとなぞっていくような感覚でスムースにピッキングをこなせていく気がします。手首を振ってピックを上下させる→音が鳴る、という図式ではなくて、音のあるところに指が行くという、新しい身体感覚を会得しかけている感じ。80年代LAにゴマンといたような猛者どもにはまだまだかないませんが。とりあえずでも何でもひたすら練習を続けていると、ポンと一段階上がる日は何故か突然来るもんです。

【本日のレビュー:DWEEZIL ZAPPA「CONFESSIONS」】


本文からのギターオリエンテッドな流れで、フランク・ザッパの息子ドゥイージルの91年ソロです。ヌーノ・ベッテンコート全面プロデュース。ヌーノはギターやコーラスでもガンガン参加してます。で主役のドゥイージルは、エディ・ヴァン・ヘイレンやウォーレン・デ・マルティーニ(RATT)を敬愛しながら親父譲りの変態症もちょっと入っている人で、結果、初期EXTREME風のファンク風なノリにナチュラル変則拍子を強調するVAN HALENが割って入ったかのような、カラッと軽快なのに字余り字足らず頻出のビザール・コマーシャル・ハードロックになっています。あまりギターアルバム然とし過ぎず、楽曲を大切にしていて、本人による青〜い感じの美声ヴォーカル(ほぼ全曲歌ものです)もなかなかよし。勿論ソロパートではエキセントリックなプレイがちゃっかり冴え渡ります。佳曲揃いの中でも白眉は4曲目"The Kiss"ですな〜。小気味良いテンポに敢えてクリーントーンのギターとピアノを被せてきゅーっとエモく仕立てて、しかしずっと妙な変拍子という、MAKE BELIEVEミーツDEF LEPPARD(!)な大名曲。ヌーノのコーラスがまたバッチリはまる。うーむ久し振りに聴いたけどこれは名盤。初期EXTREMEにツボがあって赤面系80年代後半にも好意的な人なら絶対オススメです。

  1月13−14日
収穫はなし。人生で最も充実感を覚える瞬間のひとつは「途中出来のままウンともスンとも進まなかった曲にウルトラC級の回転技で思いがけない続きをくっつけられたとき」です。

▼カイツブリってピコピコ忙しそうに泳ぐのでかわいい。

▼「うまい棒」各種の中で「なっとう」だけは別格。

 以上、今日はちょっとキャッチーな話題でいってみました。

【本日のレビュー:RIDDLE OF STEEL「BURN」】


最新作が案の定ジワジワと効いてきている(そして入荷している)RIDDLE OF STEELの旧作を振り返ってみます。ちなみに1stフルはこちら、2ndはこちら。今回ご紹介のこれは2001年にASCETICからリリースの6曲入りデビューEPです。まだ現在ほど王道ハードロックへの接近ぶりをアピールしてはいないながら、ポストハードコアの範疇に収めるには明らかに筋骨隆々過ぎる、BLUETIPやJAWBOXがANTHRAX化したかのような、というかMOLLY McGUIRE一直線なパワーグランジ・スタイルを既に確立。どっちに振れるとも分からない微妙な調性感の合間を漂流するヴォーカルラインや複雑なキメ、最低弦をCまで落とすえぐいチューニングなども全てこの時点で健在ですね。最近よく歌う方の人ではない、音程が微妙(適当?)だが太さが魅力のもう一人のパートの比重がこの頃はけっこうあり、タイプの異なるツインヴォーカルで挟むように畳み掛けるスリルがまた面白い。スルッとポップには作ってないというだけで、最初から全然垢抜けてます。ドラムはまだTRAINDODGEのロブじゃないですが、最近の作品を聴いてスゲーと思った人は是非遡ってみて下さい。

  1月12日
収穫はなし。「わけもなく新しいギターが欲しい病」に激しく苛まれたため、そんなこと言わずに使い続ければいいはずのメインギターを手入れすることで乗り切りました。弦高やテイルピースの高さを大幅に変えて(弦高↑・テイルピース↓)、弦に近ければ近いほどいいと思っていたピックアップの高さもほどほどにしてみたところで、今は「ちょっと使ったことない弦でも張ってみるか病」に移行しています。予算7万円だったのが800円に。一過性の熱病とは本当に恐ろしいものです。

 で弦高上げめ・テイルピース下げめのセッティングは、随分と響きが変わって、楽器総体での完成度がより深いところまで発揮されるようになった感じです。HAMERの重い胴体がズドーンと鳴って良い感じ。しかし誰かネックスケールが25インチ強で、ちょっとヴィンテージ風の音がするムバッカーがリアに1発だけ載ってて、1ボリューム・ノートーン・コイルタップスイッチつきで、ボディはソリッドでドッカリと円くてダブルカッタウェイで、できればアーチトップの上品そうなギターを、作って与えて下さいませんかねー。

【本日のレビュー:GRIEF「TORSO」】


素性は全然知らないのですがNO-REMOSEでTシャツを見かけたことがあったので買ってみた1枚です。敢えて何も調べずにいってしまいましょう。とりあえずアメリカの4人組が98年にリリースした作品のようで、内容はスラッジ/ドゥームの正統的なもの。低速一辺倒のリズムに乗ってホギョーと吠えるコアなスタイルです。これといった新解釈はないながら、EYEHATEGODほどアグレッシヴに崩壊せず、最近多い極重音響ドゥームみたいなのよりはロックバンドらしい形があり、ほどよく凶悪・ほどよくサバス的なバランスにまとめています。この手のジャンルは、考古学サークルの一員かお前はというくらい「いま誰々風にやりました、あっこの展開は何々風です、よろしく!」みたいなあざとい奴が多いですが、このバンドは野生児風の佇まいが好感度高め。こういうのが好きな人には間違いなく受け容れられることでしょう。

  1月11日
▼ちょっと久し振りにディスクヘヴンを気合入れて見るも収穫はなし。店員のビルちゃんことビル・アンドリュース(ex.MASSACRE、DEATH)は年中短パンですなー。相変わらず英語8:日本語2のハイブリッド言語を話すし。

【本日のレビューその1:NARO「PRESS PLAY」】


カナダのメロディアスハードロックバンドの94年作。ヴォーカルが一時期TALASに参加していたことのある人物というのは割とどうでもいいとして、プロデュースがHAREM SCAREMのハリー・ヘスなんですね。ソリッドなギターサウンドからして「MOOD SWINGS」彷彿型。非常に堂々としたアリーナ・サウンドを展開しております。どちらかというとメロディのフック云々よりはノリ重視で、同郷のVON GROOVEあたりに近いものがあります。悪く言えば大した引っ掛かりはないというか…。モサモサと強調されたベースの変な低域が気になって、他の全部の音が相対的に遠く聴こえてしまって曲を堪能できないというサウンドプロダクション上の不具合もちょいとよろしくないですな〜。そこらのスーパーで買い物してる時に店内で流れてたら大喜びするんだろうけど、敢えて選ぶほどのもんではないかも知れません。ちなみにヨーロッパでのディストリビューションがLONG ISLANDだったようです。まあこのロゴに免じて持っていようかと。

【本日のレビューその2:DISTANT CRY「DISTANT CRY」】


LONG ISLANDでもう1枚。こちらもカナダのバンドです。ジャケが何だかモロに「白蛇の紋章」ですが、中身はWHITESNAKEというよりBAD COMPANYをケバくしたかのようなブルージー系ハードロック。このシンガー、声がジョーイ・テンペスト似でコブシ回しがポール・ロジャース風で、結果ほんのりグレン・ヒューズっぽい(中低域の太さと艶が特に)というなかなかの逸材です。EUROPEの「PRISONERS IN PARADISE」をY&Tがやったらこうなるかもという感じの、オーソドックスで地味ながらもじっくり楽しめる出来。時としてブリティッシュな粘りを演出しようとしつつ、同時にどこか親切げなカナディアン・フィーリングが絶妙な隠し味として効いております。こりゃBADLANDSの系譜で隠れ名バンドをいくらでも掘り起こしたいという向きには自信をもってオススメできます。逸材シンガーだけでも聴いていただきたい。あっ最後に"Hush"のカヴァー!

  1月9−10日
▼7日の日記で書いたCDプレイヤーとアンプが到着。CDプレイヤーはONKYOの今まで使っていたものと同型の限定バージョンというやつ(C-709 X)で、中の部品にオーディオ用のいいやつを使っていたりプラグが金メッキだったりするもの。薄皮一枚消えた感じ。でアンプもDENON(PMA-940)からONKYO(A-815GTR)になりまして、ほぼ同年代・同価格帯の品なんですが、中〜高域の音楽的な膨らみ・余韻のきれいさが増した分、ボトムの立体感のレンジがやや狭くなるような感じに。ロックには不向きか…という気もしつつ、不調と共生するよりは良かろうということで、あとは自分が慣れます。

 ついでに、自室のオーディオ一式はPCデスクをとりまくように設置されておりまして、電磁波の悪影響を受けることもあろうということで、オーディオ機器の電源ケーブル・スピーカーケーブルの、PC本体や各種通信ケーブルの近くを通る部分に、シールドとしてアルミ箔を巻いております。音のキャラクターまでは変わらないので一聴して分かりづらいかも知れませんが、世のオーディオ・オカルティストがのたまうところの「背景が黒くなる」という効果が実現される気がします。これはいっぺんやってみて下さい。

▼さてDOIMOIのライブが近いっす。よろしくお願いします。

1月20日 (Sun.)
名古屋 鶴舞 KDハポン
18:30開場 / 19:00開演
w/スティーブジャクソン、gura
予約 1,500円 / 当日 2,000円(+1オーダー)

【本日のレビュー:UK「DANGER MONEY」】


今、気分は猛烈に「ポップでコソコソした変拍子」なので、何聴こうかと見回した結果UKの2ndです。アラン・ホールズワースが抜け、エディ・ジョブソン&ジョン・ウェットンのASIAコンビとテリー・ボジオという3人になっての79年作。「ニューウェーブ時代のメインストリームポップスに迫らんとするプログレスーパーグループ」なんてものがマトモな音を出すはずはなく、ボコボコに足し引きされた奇数拍子と転調の嵐にキャッチーな歌メロやリフレインが奇跡的にへばりつくという、極度に型崩れしたシンセポップという具合のものになっています。KANSASのアグレッシヴ度とコンパクト度を同時に増大させたような、コマーシャルにしたいのか、全然その気がないのか、両極端のミックスぶりが「メロディック・デス」と同じくらいの矛盾な新(当時)感覚。しかし私はこの心意気は非常に好きです。ただただ通りの良いだけのポップスにもいい加減辟易して、複雑性を究めるあまりインパクト一発に偏って全然耳に残らないテクニカル・ミュージックにも乗り切れないし、山谷をめぐる旅の中に心に届くストーリーがあるというような、程よい深みの音楽こそがもっと主役でいいじゃないかと思います。もっぱら名盤扱いの1stと比べると、ホールズワース不在の影響でいくらか色合いは異なりますが、質が落ちるということはないといえましょう。THE DISMEMBERMENT PLANとかが好きな人にもオススメ。

  1月8日
収穫はなし。郵便局って奴は日本郵便のゆうちょ銀行になっても、他の銀行のATMからカードで振込できないし、用紙(これも普通に取れる所に常備してなくて係員に言ったら出てきた)使って窓口で払ったら、たかだか30円のお釣りを用意するのに「この番号でお待ち下さい」といって1分近くも待たせよる。やたら接客の愛想が良くなった気がするのは民営化にともなってのそういう指導の結果なのかも知れないが、それで「サービスの質が向上しました」と言われては困るぜ。こんなところで日本郵便の愚痴など並べても仕方ないですが。お客様サービス課みたいな部署があるんならそこの人は「日本郵便」「サービス」とかでぐぐって発見して役立ててくれ是非。

▼ということでヤフオクで物を買う(詳細は昨日の日記参照、付随する結果が今日の↑というわけです)と同時に色々、というか主にCDを、売ったりもしております。あれだけ気が狂ったように買い集めたCDを今やドンドン手放して換金することに喜びを感じている自分は何なのか、当然疑問も持ちます。これはつまり当時のバイト代を一時的に物質化することによって遠回しな貯金をしていたということなのではないか?という気になるくらい、1枚あたり500円強というのは大量にさばくとバカにならない額になるわけですが、金利が大幅マイナスとは何とも効率の悪い貯金であります。

 そのマイナスの部分は本当に純粋な損失なのかと考えると、手放すことになったとはいえ、少なくともそこに収録されている音楽情報に耳を通したわけですから、いくらかの利益になっていることは間違いありません。その音楽の内容自体が参考になったというより、アーティストないしクリエイターたるもの、およびその創作物についての観念の足しになったという感じでしょうか。数限りなく存在する音楽の「質」「意義」「(誰かにとっての)価値」がそれぞれ関連を持ちながらも全く違うものであること、これを非常にじっくり考えるようになりました。

 紛いものや自分に本当に必要ではないものに踊らされないための判断体系を拠り所にして自分の周りに置いておく音楽を選定するとは、娯楽を楽しむのにわざわざそんな後ろ向きな心構えで防衛しなくても…とちょっと哀れな気分にもなりますが、好奇心を野放しにしても物質的・経済的・時間的破綻が待つのみということがわかったので、それと拮抗する冷静さも鍛えないとマズイのです。ただ単に経済的問題等の制約によって無尽蔵なはずの好奇心が不完全にしか充足されないのと、冷静に厳選して買う量を絞るのと、結果的に同じ枚数を買うとしても、満足の硬さが異なるわけですわ。

 最も悲劇的なのは、その冷静さを鍛えるために、一度気が狂ったように好奇心を暴走させてみることこそが非常に有効な手段であるということであったりします。この日記をご覧の皆様には、同じ轍を踏まないためにも、日々のレビューを役立てていただければ幸いです。もう完全に着地点を見失っているのでとりあえずまとめたみたいにしておきました。何かあるかと思わせてただ長いだけの下らない文章によって貴重な時間を損じられた方々、本当にすいません。

【本日のレビュー:GEORGE RUSSELL「NEW YORK, N.Y.」】


年始から毎日HM/HRできたのでそろそろ脱線しましょう。こちらで代表作を紹介している白人ピアニスト、ジョージ・ラッセルの59年の作品です。ビッグバンド風の大所帯で録られており、何故かコルトレーンにビル・エヴァンス、アート・ファーマー、マックス・ローチなどのビッグネームが大量参加。で冒頭曲序盤のナレーションともスポークンワードともジャイヴともつかないおじさんとブラシスネアだけによるガチ・セッションにいきなり大興奮。まあそれはイントロだけで、ちゃんとマトモな展開に移行するわけですが、コンポーズされた部分では千鳥足にアウトする調性使いが何とも異様。しかも一見普通なようで変。その後も謎のナレーションが随所で絡みつつ、時にオーソドックス風な、時にシュールに脱調/テンポチェンジする軟体オーケストラが淡々と続けていく、この優しいような複雑で無機質なようなちょいとシャレ込んだような風景こそが、タイトルどおりのニューヨークってことなんでしょうか。各曲が漫然としてまとまらないままつながっていて、全体でひとつの大きなピースのようになっているあたりも含めて、ちょっとアーチー・シェップの「ATTICA BLUES」の空気を思い出す(実際の内容は全然違いますが)、渦巻くバイタリティ(あるいは妄想パワー)に妙に足元が落ち着かない心地になるような珍盤でした。

  1月7日
収穫はなし。音飛びしまくるCDプレイヤーの買い替えを遂に決意。大須のオーディオ屋に入ってみるも、明らかに敷居が高い。中古で(元値52,500円→)25,000円の品を勧められて、これでいいんじゃないか?と簡単に決めそうになるも、そこは理性を保って帰宅後ヤフオクを見てみると、ほとんど同じグレードのやつが10,000円台前半でボトボトと落ちている。危ない危ない。ついでにラウドネススイッチに変なガリがあって困っていたアンプもほぼ同級のものを見つけ、結局スピーカー以外ソックリ入れ替わることになりました。CDだけで聴ければいいなら立派なオーディオシステム(民生用レベルでの話)って意外と安上がりに揃うもんです。

【本日のレビュー:TRIUMPH「THE SPORT OF KINGS」】


キャリア的には音楽性・年代・変遷ともにY&Tあたりと被る感じのカナダ産ハードロックトリオの86年作。ガチガチメタルになり過ぎないなりにメタルムーブメントに乗っかったハード・ロック期を経て、ここではスローダウンしたキャッチーなアリーナロック路線に思いっきり傾倒しています。ファンからは賛否両論あるようですが、良質の産業ロックを聴くべく購入したので問題ございません。そもそもギターヴォーカルのリック・エメットはそういうことをやらせてこそ大変素晴らしい器なのです。で内容は当然最高。ちょいスティーヴ・ペリー似のハイトーンが映えますね〜。時にマーク・ボールズ風の太さも見せる。多少のシンセは入りますが、チャカチャカしたシーケンスに毒されることはなく、無骨なロックンロールバンド然としたエッヂもきちんと残るアンサンブル。DEF LEPPARDの「HIGH 'N' DRY」的なバランス感でしょうか。シンガロング一直線ではなくてちゃんとグッとくる哀愁が効いている。訳の分からない幻のD級マイナーAORみたいなのを血眼になって探し回る前に、こういう「大物ハードロックバンドが日和ったと言われていた時期に産み落としていたまっとうな名盤」に目を向けて、きちんとした角度から聴いてやるだけで、しっかり充実できます。心あるメタルリスナーと真の80年代愛好者に大推薦。おお〜終盤収録の"Play With The Fire"超名曲!!!

  1月5−6日
収穫はなし。図らずも更新がタメ気味になっているのは、サーバの不具合か何かでアップロードが上手くいかなかったせいで(もありま)す。いや、鍋大会のちYOUTUBE大会を楽しんで27時過ぎに帰宅しておいて、そんな逃げ口上も通るまい。楽しかったなー鍋。鍋とか焼肉とかそういうものは月に2・3回あってもいい。

【本日のレビュー:ENCHANT「TUG OF WAR」】


ちょっと前に思い出して聴いて激賞した秀逸USプログレメタラー、ENCHANTの2003年作です。DREAM THEATERに感化されて安易に染まってしまった一時期のヘヴィ&オーガニック・アプローチも随分と小慣れてきて、ドラマ性の一部としてさりげなく組み込み、あくまで産業ロックばりの美麗でキャッチーなメロディをガンガン前面に出してくる傑作に仕上がっています。必要以上に技巧面でアピールしようとせず、素直に曲がいいのがENCHANTの素晴らしいところ。キャリア10年目過ぎにしてこの勢いと充実度は大したものです。そこはかとなく時代の空気を踏まえているフシもちゃんとあって、日本人が叙情変拍子ポストロックをやろうとして軽くヴィジュアル系っぽくなってしまっているようなやつと紙一重な感じも。「プログレメタルは(潜在的に)東京で求められる」、これはここ数年の私の持論なんですが、聴き手と供給側がどうにかマッチしないものですかね。まあそんなことは置いておくとしても、いいアルバムなので皆さんに普通にお勧めです。COPELANDやJIMMY EAT WORLDファンにもいいんではないでしょうか。SIEGES EVENの最新作とあわせてどうぞ。

  1月3−4日
収穫はなし。最近は新年会とかをしています。

【本日のレビュー:MEGADETH「YOUTHANASIA」】


唐突ですがMEGADETHです。METALLICAのブラックアルバムにあわせてコンパクト化に成功した方向転換作「COUNTDOWN TO EXTINCTION」のフォローアップとなった94年作。独特の冷たい感触を残しながらよりメロディアスでヴォーカル・オリエンテッドに、リズムも更にキャッチーにしていった結果、「COUNTDOWN〜」ほどのトゲトゲした感じはなく、この後の「RISK」までもは開き直らない、変化の途中で止めたようなヌルい出来になっています。今になってブックレットをよくよく見ると、作曲のクレジットはほとんどデイヴ・ムスティン一人になっていて、別にマーティ・フリードマンがバンドの方向性にまで直接的に貢献していたわけではなかったというのが意外(無論彼がムスティンをインスパイアすることはあったでしょうが)。マーティのソロパートがかなり目立つところでフィーチャーされて両人の個性が野放しでぶつかっていた「RUST IN PEACE」からすると、チームワークが進んだかのように見えて、実は戦略的作曲家として賢さを増し続けていたムスティンが「よしわかった、後は俺がやる」と管理体制をますます強めていたのではないかという気がします。そんな息苦しさや煮詰まり感を今更にして改めて確認。意図が明確で単純ではあるので、最近の若いメタルファンはこれくらいの方が好きそうだけど、MEGADETHってもっと危なっかしいバンドだったよなあと前時代の人間は思ってしまいます。

  1月2日
収穫はなし。右手の各指でギターの指板上をピアノのようにタッピングする奏法の練習とかを無駄にやりまくるなど、緩んだ休みを過ごしています。あとはこれに左手の伴奏をつけたいところですが、センスの壁を感じています。

【本日のレビュー:VENI DOMINE「FALL BABYLON FALL」】


半年前に名盤2ndをご紹介したバンドのこちらはデビュー作です。ジェフ・テイト(もしくはマイケル・キスク)激似のシンガーが歌うドゥーム系様式美サウンド。冒頭曲だけはテンポ良く攻めており、なるほどこれだとパッと聴きこのヴォーカルのインパクトにもっぱら耳が行ってしまうのも納得。まさに「輸入盤屋で話題を呼ぶ大型新人」の佇まいそのものですな。しかし本性は非常に玄人ウケする怪しいクラシカルメタルであり、ストレートなものを好む一般メタラーには「曲が冴えない」と言われる可能性大。当時はSKYCLADとかみたいな「前例なき個性派」は過小評価されるのが常でしたからね〜。むしろゴシック&プログレッシヴな味付けが好まれるここ最近にリリースされていれば、これはスゴイと賞賛・歓迎の対象になったかも。かなり良く出来た作品だと思います。

  1月1日
▼新年おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。さて正月、暇は暇で困ったなという方のために、一肌脱ぎましたですよ。こんな時こそギターの基礎練習!

■1. 固定位置パターン

 まずは7F〜10Fの固定されたポジションでスケール(Gメジャー)に従って短いフレーズを少しずつ上昇/下降させていくパターンです。左手の指はそれぞれ人→7F、中→8F、薬→9F、小→10Fに必ず固定して行います。では早速いきましょう。

[ 1234 ]
基本形です。


[ 1213 ]
指が絡まりやすいその1。


[ 3213 ]
指が絡まりやすいその2。


[ 2211 ]
意外にキマらない同音連続。


[ 11123 ]
更にその奇数パターン。毎フレーズの頭で入れ替わるピッキングの表・裏に対応せねばなりません。


[ 13564 ]
弦移動が激しくてもオルタネイト堅持。


[ 53421 ]
更に厳しい運指で。

■2. 横移動パターン

 引き続きGメジャーです。今度は1本ないし2本の弦上でのフレーズをそのまま横移動のみで上昇/下降させます。

[ 5345 ](2弦使用)
薬指と中指を上手く使い分けて下さい。


[ 345123 ](2・3弦使用)
同上。2弦3音→3弦3音で移動です。


[ 34567876543 ](1・2弦使用)
長い奇数フレーズ。ついつい頭を毎回表ピッキングで入りたくなるのをこらえて、上手く切り替えて下さい。

■3. クロマチック

 人→1F、中→2F、薬→3F、小→4Fで固定して、6弦から1弦までのぼりきったら2〜5Fに移動してまた1弦から6弦へ、というやつです。運指練習のオーソドックスなスタイルですが、薬指・小指を酷使するように作ってあります。

[ 413 ]
それなりに言うことを聞くと思っていた小指が実は…。


[ 34231 ]
薬指がオロオロします。

 最後に以上のフレーズの早見表を書いておきます。

■位置固定(7F〜10F)

【基礎】
1234
1213
3213

【同音連続】
2211
11123

【3度+奇数】
13564
53421

■横移動(3F→19F)

5345(2弦使用)
345↓123(2・3弦使用)
345↑67876↓543(1・2弦使用)

■クロマチック

413
34231

 暇を持て余していると感じたときにこれを1セットか2セット続けていれば、あらぬところで薬指チョーキングを繰り出したりできる体になる可能性が高まります。是非ともどうぞ。今日はこんだけでした。

【本日のレビュー:NASTY SAVAGE「INDULGENCE/ABSTRACT REALITY」】


去年聴いたREALMやHELSTARですっかりUSメタルに惚れ直し、更に掘り下げようと購入してみたブツです。いかにもショボそうなバンド名(やジャケ)で今まで完全スルーでした。これは87年と88年の2nd・3rdをカップリングした2in1リイシュー。やたらと緊張感のある音選びのリフがクールで、パワー系吐き捨てに混じってハイトーンスクリームも飛び出す、ダークな屈折系スピードメタルという感じのスタイル。限りなくスラッシュメタルに肉薄しつつ、安易に2ビートには走らず、リズムやメロディの工夫でエキセントリック感を演出しておりまして、非常にインパクトがあってツブも大きい。こんな素晴らしい作品が80年代アメリカに転がっていたなんて、ああ私はまだメタルの何も知りませんでした。AGENT STEEL程度で喜んでる場合じゃなかった。NEVERMOREからSANCTUARYに遡ってさて次は、と思っている人なんかにも大推薦。

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