物色日記−2008年2月

※頻出語句解説はこちら
  2月28−29日
収穫はなし。あっうるう年だ。うるう年なんて久々ですね、いつ以来でしょうか、4年振りですいつでも。

【本日のレビュー:SHY「UNFINISHED BUSINESS」】


最高、無敵、素晴らしい。"Emergency"で有名なイギリスのメロディアスハードロックバンドの2002年作。本格的な復活はここからだったようで、その一発目を、赤面ハードAOR史を塗り替える大名曲"Skydiving"で派手に飾ってくれました、いや最高。どこまでもJOURNEYサウンドですが、JOURNEY超えてます。次の曲、また次の曲と、ちゃんと雰囲気を変えながら一切の妥協なきクオリティが持続。





 王道を完璧に体現した作品に対して捧げる言葉などこれ以上要りませんですね、全員すぐ買ってください。

  2月27日
本日の収穫、アマゾンのマーケットプレイスから到着のSHY「UNFINISHED BUSINESS」。近頃めっぽう私的な出来事の日記が多くて、それなりに感動とかもしてるのになかなか伝わりにくいですね。今日の最も感動的なファインプレーは「風呂の脱衣場でメガネのフレームが突然分解し、頑張ってネジを探して組み立ててみたもののいまひとつグラグラと遊びができてしまって部品が足りてない様子で、べったりと地に這いつくばってタイルの床の上を捜索し直した結果、直径2mm・厚さ0.2〜3mmのチリみたいに小さいワッシャーを2つ見事に発見、メガネは無事完全復活した」です。探してる間に翌日以降起こるべきどれだけの面倒を覚悟したことか…。

【本日のレビュー:GRANADA「VALLE DEL PAS」】


欧州プログレのマイナー盤てのは、中身がどうあれその存在感だけでとにかく購買意欲をそそります。そうやって積もっていった全然聴かないCDを大処分して以来、その手のものを見かけても「ああきっと、聴いてもちょっと面白いだけなんだろう」と言い聞かせて購入を踏み止まってきましたが、これは結構ムチャクチャだったので買ってしまいました。スペインのグループの78年作。ピィヨヨォ〜〜と強烈なヴィブラートを効かせ過ぎたバカシンセの応酬に、クラムホルンっぽいプープーいう楽器やら、時に生オケまでもが節操なく立ち替わって、RUSHか?GRYPHONか?RETURN TO FOREVERか?と焦点の定まらないてんこ盛りインストが楽しめます。「プログレが好きです」と「シンセを手に入れました」が無抑制状態で暴走するとこうなるという。不安を煽るまでの激展開っぷりは、初期ゴシックデスや昨今の変態マスロックとも互角かと思うほど。PFMみたいなまっとうで品のあるドラマを求める向き以外にオススメの楽しい盤です。

  2月25−26日
26日の収穫、裏栄の聖地・ミュージックファーストにてGRANADA「VALLE DE PAS」、CITTA FRONTALE「EL TOR」(ex.OSANNA)。×:ロッチ→○:ロッテの要領で、ルイガノ(○:LOUIS GARNEAU)に似て非なるロゴが入った自転車を街中でよく見かけますが、今日はジョークの効いた新種を発見、ルイ14世(×:LOUIS QUARTORZE)でした。CHROMING ROSEファンなら是非乗っておきたいところ。もういないか、CHROMING ROSEのファン…。

【本日のレビュー:CHROMING ROSE「LOUIS XIV」】


ここですかさずこれをご紹介するのが当サイトの仕事でしょう。90年にEMI(ドイツの?)からリリースされている1st。ツーバス大好き系の、非常〜にオーソドックスないわゆるメロ(ディック)スピ(ードメタル)。この手の人達はこの時代から何も変化してないのですね、恐ろしいことです…。いや、いいんだけど、ここまで同じだともはや期待の新星も何もないよなという意味で。ドイツ特有の軍隊の行進曲風ないかつさはさほど感じさせず、敢えてジャーマンメタルと呼ばなくてもいいようなユニバーサル・スタイルを体現。まだこういう様式が確立されて間もない頃の作品なだけあって、EDGUYやHAMMERFALL以降みたいな新しい世代よりもっと初期衝動やリアリティを感じる気がします、個人的に。無論新しいものの方が燃焼効率は俄然高いんですがね…。あとこのバンドはどうも、リズムギターがやたらに鋭いところが気になります。随所でスラッシュメタルばりのガシガシッという刻みを(無駄に)アピール。それこそ表題曲"Louis XIV"のイントロリフでそれをやる場面は、ANTHRAXの"Indians"にインスパイアされてるフシが丸見えですな。間違ってもオリジネイターや何かの類いではないので、メタラー以外がわざわざ選んで聴く必要はまったくありませんが、スペインの、イタリアの、アルゼンチンの…と世界中の新人メロスピバンドに踊らされて困っている向きにとっては、通るべき古典の域に入る盤です。

▼さて続きなんですが、読む人が少なそうな話なのでこの位置にもってきました。スルー推奨。昨晩から今日にかけてまた新しいエフェクタを買ってしまいそうになりまして…、1)ルックスが良く、2)勿論使える音で、3)天の邪鬼好きする知名度のメーカーで、4)国内定価より大幅に安く海外通販できてしまう場合、「Place Order」をポチッといくまでものの1分もかからぬ私です。今回はひと晩踏ん張ったのち、手持ちの機材のセッティングを再吟味することで何とか回避。ちなみに買いそうになったのはBARBER ELECTRONICSの「SMALL FRY」です。非常にギターらしいアナログな響きのオーヴァードライブ。ブースターに使うことにしたMI AUDIO「TUBE ZONE」の歪みのカラーがちょっと人工的か?と前回のスタジオで思って、代打を探していたのです。

 落ち着いて再度MI AUDIOのサイトをよく見てみたところ、Presenceと称する内部トリマーが実はローカット的な働きをすることを知り、しかも回す向きと効き目の関係が今まで思っていたのと逆だったことも判明、加えて「18Vアダプタでも可」だと思っていたものが「25Vまで可」だったりして(多分これはちゃんと知ってたんだけど時間が経つうちに記憶が違ってしまっていた)、それらを踏まえて再びちゃんと音作りをし直すことに。

 低音をかなり切り、トレブルも絞り、高め寄りのミドルを上げたものをアンプの歪みに送りますと、ズドーンという重みはないが、コードの響きが潰れず、ブリッジミュートの余韻もさっぱりと切れ上がり、音程感のわかりやすい帯域からパッと立ち上がるためスピード感が非常に良好になります(電源を24Vにしたのもこの部分に貢献しているはず)。なるほど「ジャキジャキ」という感触はこういう要領で作られるわけですな。ジャキジャキといえばとにかく高音でしょう、と間違って、歪みの前段からトップエンドごとツンツンと立たせ過ぎると、どちらかというと「ビンテージ風のツイードトーン」調に近付いてしまい、ハイゲインにしたときにアタックが汚くなってしまうようです。クリアに抜けるハイゲイン、しかも文字通りハイゲインですという嫌味な飽和感は出さず、実際はそんなに歪んでないけど上手くカドだけ立つというような音作りをどうしたらよいものか、思案し続けていたのですが、TUBE ZONEで上手くいきそうです。ただの歪みにするには余りに複雑な操作性をもつこのペダル、実はブースター向きなのかも知れんですね。

 と、いかにして無駄買いを回避したか、その達成感と心の平和をどうにかして開陳したいだけでした。お疲れ様です。

  2月24日
本日の収穫、バナナレコード・大須コメ兵前出張ブースにて220 VOLT「MIND OVER MUSCLE」。レジ番をしていた元ポップクラブの店長にこれを差し出せたのが感慨深かった。ポップクラブとはバナナ・パルコ店ができる前に隣のビルにひっそり入っていた、メタルコーナーだけが北欧、ドイツ、デス、スラッシュ、などと細かく分類されていたという同店の幻のメタル偏重店舗のことです。確か大学受験が受かった春休みくらいに初めて足を踏み入れ、忘れられない買い物をいくつもしたものです。で件の店長氏はその後岡崎店への異動を経て、現在は大須店2階のDVDフロアで鳴りを潜めておられるはずで、一日も早い店長職復帰が待たれます。

▼なんとなく更新を頻繁にしてみてます、DOIMOIオフィシャルページ。ライブ情報ともどもチェックお願いします。年間5K弱程度で広告なし・独自ドメインでの運営が可能なようですが、やったとしたらやる意味あるでしょうか?スタジオ練習2回分と思えばまあ手頃な額なのでちょっと考え中。

【本日のレビュー:220 VOLT「MIND OVER MUSCLE」】


これは噂に違わぬ名盤です。EUROPEやTNT、PRETTY MAIDSらと並ぶ北欧メタル第一世代のスウェーデン産バンドの85年発表3作目。リッチーの影響なのかプチ中近東フレーズをけっこう随所で強調しつつ、叙情的で透明感があり、重厚すぎず程よく軽い、ハードロックから脱皮してきたばかりという足取りの初期型メロディックメタル。ジョーイ・テンペスト(EUROPE)とクラウス・マイネ(SCORPIONS)の中間のような張りのあるハイトーンも素晴らしくマッチ。これだけ書けばもう、分かる方なら即買いに走るに充分でしょうから、これ以上何を続けようかという感じですが、「高品質なのはわかるけど敢えて聴く必要あるのか?」という問題もあるのでそのあたりを詳しく。スタイル的にはJUDAS PRIESTやRAINBOWを下地とした非常にオーソドックスなものでありながら、ピンポイントで誰かの亜流という雰囲気はなくて、とにかく洗練されたトップクラスの叙情メタルを目指そうとするひたむきさが感じられます。アルバムを通して聴いても一本調子にならないフックの設け方は、安定して高い作曲能力の賜物でしょう。ややマイナーな存在ではありますが普通に定番として聴かれればいいと思います。わざわざVANDENBERGとかを掘り起こして「この曲とこの曲が名曲!」とやらなくても、こっちは普通に名曲オンパレードですので。

  2月23日
本日の収穫、大須グレイテストヒッツにて、2Fに新設されていたバーゲン品フロアからDOKKEN「SHADOW LIFE」、TOTO「TOTO」、FIGHT「MUTATIONS」(外盤に買い替え)、1Fの通常棚からRICHARD SINCLAIR「CARAVAN OF DREAMS」、LIFE OF AGONY「RIVER RUNS RED」。ジャンル分けが細かくなって非常に見やすくなりました。んでやたらプログレに手厚くなってたな。しばらく行ってないという人は久し振りに覗いてみては。

【本日のレビュー:RICHARD SINCLAIR「CARAVAN OF DREAMS」】


こういうのはたまに中古盤屋のリアル店舗に行ったりしないと買わない品物ですね〜。CARAVAN、HATFIELD & THE NORTH、CAMELなどを渡り歩いたカンタベリー界随一のジェントル声ベースヴォーカリストの92年作です。カンタ界隈の旧友を集めてプライヴェートノリで進められたプロジェクトのようで。やけにローファイな録音状態も相俟って、軽妙で爽やかなHF&N路線のカンタベリーポップがネオアコと一致団結してしまったかのような納得かつ意外な内容。古くて新しくていつまでも変わらない音楽とはこのこと。愛らしいメロディを優しく温かく歌い上げるリチャード・シンクレア、好きなシンガーは誰ですかと突然訊かれてもパッと名前が出て来ないけど、聴くとつい「あ〜この人が一番いいわ」と思ってしまいます。適度に大人らしい妙味をたたえたバンドの演奏もひたすら的確。これは名盤。リヴァーブ病はごく軽度だし、表ジャケ・裏ジャケ・全曲の歌詞に至るまで完全に手書きというブックレットのお陰で尚更、70年代にポツンと作られた盤のリイシューかのような趣があり、「昔活躍した人が完全に時代遅れになってから作ってきた新作って何だかな〜…」的な抵抗がある人にも安心して手に取っていただけます。HF&Nファンのみならず良心的な歌ものを愛好する全ての人に。

  2月22日
収穫はなし。ニーニーニーとはTHE DAMNEDの日ですな。とここでスンナリ「地獄に堕ちた野郎ども」のレビューに繋げられるほどウチにはパンクのCDがないのです。

 そういえば…今朝の「とくダネ!」で、東京の街で道行く外国人に「自国で使う携帯電話はどこのメーカーを選ぶか?」というアンケートをしましたという映像が流れて、最後に「ソニーエリクソン。」と言った眉の太い大和顔のおっさん、あれはスケジュール的にもちょうど来日中のはずの、我らがスティーヴ・ハリス(IRON MAIDEN)ではなかったか!?と思って調べてみたらやっぱり同じく気付いた人達の間でちょっとした騒ぎになってました。携帯とか使うんですねー。

【本日のレビュー:IRON MAIDEN「POWERSLAVE」】


メタル論評界では一周回って「"Aces High"はそんなに大した名曲ではない」などと言うのがオシャレみたいですが、そんなこたないと思いますよ。というIRON MAIDENの84年作。ブルース・ディッキンソンが加入して3作目、通算で5作目のスタジオアルバムでございます。パンクの加速感とプログレ由来のロマン志向が合体して何ともいえないユニークな名曲を生み出していた「THE NUMBER OF THE BEAST」、それに続く「PIECE OF MIND」は"The Trooper"以外どうにも決め手に欠く地味な内容で、なんだ煮え切らねーバンドになったな、これならポール・ディアノの方が良かったっての…と鬱憤をためていたオールドファンもいっぺんに納得させた(はずの)強烈な一撃です。JUDAS PRIESTのようなヴェテランからその他B〜D級バンドまでが入り混じって、まさに完成に近づけようとしていた80年代原初メタル・サウンドの雛形、圧倒的なスピード感と勇壮なメロディと伸びやかなハイトーンヴォーカルの最強コンボを、最もわかりやすく具現化した1曲として記憶されるべき。

 と、"Aces High"についてだけでアルバム1枚分くらいの文量になってしまってますが、まあ実際そういうバランスのアルバムなのです。冒頭からの慣性力を引き継ぐエイドリアン・スミス作の"2 Minutes To Midnight"以降は何とも締まらない。そう思い続けて生きてきたところを、実はそんなこともないんじゃないかと疑って、今日はよくよく検証してみることにします。

 3曲目にしてインストの"Losfer Words"、これは実にスティーヴ・ハリスらしい筋肉質でマニアックなリフが特徴的。ん、どこでコブシ揚げましょうか?という微妙すぎる展開性が何ともアングラメタルの佇まい。一見軽快だが謎多きメロディ運びの"Flash Of The Blade"はブルース作。後半のギターの大仰なオーケストレーションはイングヴェイみたいなネオクラ系に触発されたんでしょうか?ともあれHELLOWEENの"I Want Out"はこの曲のリフがヒントになっているに違いない。続く"The Duelists"、つい2曲前に聴きましたけど…という相変わらずの重厚シャッフル。しかも前作冒頭の"Where Eagles Dare"にも被る。これを豪腕ひとつで頑固に押し切るスティーヴ・ハリスの妄想パワーこそがIRON MAIDENの原動力の核心ですな。「一定の確率で飛びぬけた名曲を生み出し得るが、普通にやらせると何ともノリどころの掴めないマニアックな曲も書く」という困った首謀者です。それでいて彼なしでは成立しないという。さて次"Back In The Village"、マイケル・シェンカー触発系な開放弦混じりのトリッキーリフもうっかり見過ごすくらい普通のいわゆるファストチューン。個人的にエイドリアン・スミスが好みでないだけのようです。ラスト前の"Powerslave"は「冗長な駄曲」寄りの評価が多いですが、いや何を。いいじゃないですか、着想は完全にRAINBOWの"Gates Of Babylon"ですが。朗々と揺らす歌唱も心なしかロニーのヴァイブレーションが乗り移ってますね。インストのみで続く長い間奏はちゃんと終幕に向けて右肩上がりのボルテージを作り出しており、決して時間の無駄とは思いません。そしてラストの問題曲"Rime Of The Ancient Mariner"。13分超の大作ということでこれまた「ダレる」などともっぱら評判が芳しくない。だがしかし、2作前に"Hallowed Be Thy Name"の代わりにこれが入っていたとしたら、きっとライブじゃイントロで嬌声モノの人気曲になってたことでしょう。スティーヴ・ハリスのやることに大して変わりはないのです。よう似た奴、もう1曲もいらんわ…というファンの勝手な都合で評価に天地の差をつけられるなんてひどい。グーッと沈んでから焦燥感を伴って浮上していく展開、これもHELLOWEENにそのままパクられてますね。

 改めて意外だったのは、特にスティーヴ・ハリス作の曲で、極限までミュートを効かせた重々しいバッキングギターの響きが非常にモダンな感覚に通じていること。いわゆるメタルギターのズゴズゴ・ゴキゴキという感触はIRON MAIDENに端を発する部分がかなり大きいのではと再確認。マーティン・バーチによるクリア&タイト極まりない録音がまた絶好のマッチングです。こうしてメタル界の「それまで」「その時」「その後」が音の端々から見えてきたという点で、オーソドックスという単語から程遠い個性派の存在ではあったもののやっぱり、ヘヴィメタルの中心にいたバンドだったんだな〜ということが実感されます。80年代のマニアックなハイトーンパワーメタル、90年代のメロディックデス、現在のAVENGED云々のような半懐古エモメタルのどれを聴くにも、その下地にあるものとして触れるだけ触れてみるとよい気がします。

  2月21日
収穫はなし。相変わらず便利なmyspaceの「あなたのフレンドの最新更新情報」欄。ジョークでなければ、ANTHRAXのチャーリー・ベナンテ(ds.)がオリジナルブレンドのコーヒーを商品化しようとしてるそうな。そんな中、ほぼ誰にもチェックされていない更新情報をここでお知らせしないといけません、どうぞよろしく

【本日のレビュー:SEBADOH「WADE THROUGH THE BOGGS」】


先日の日記でご紹介した品。89〜93年頃の未発表音源詰め合わせです。アコギ弾き語りのデモやらライブやら、ただでさえローファイなのにもっとディープな、ファン以外は完全に用のない内容。ローファイって何だったんだろうと考えると、やっぱりパンクなんだなー、としみじみ思うこの質感。それにしてもSEBADOHって、やることが三人てんでバラバラです。エリック・ギャフニーがとにかく変態すぎ。ルー先生は昔からフォークマンで意外と変わってない。ジェイソン・ロウエンステインは普通にかっこいい。敢えて歩み寄るでもなく雑然と居合わせてるだけみたいな適当な感じが懐かしいですね。最近は何でも狙いすまされ過ぎているので。

  2月20日
▼結局のところ、「そんなもんに拘らなくてもどうにかなるよ」と言っていたものにも、取っ掛かりひとつであっさりのめりこんでしまうようです。考えなんて変わればいいのです、考えて変わるならば。ということで本日の収穫、アメリカの新興メーカー・LOPOLINEから到着の1×12エクステンションキャビネット!

 手持ちのコンボアンプ(MESA BOOGIE「50 CALIBER」のハードウッド仕様)と合わせたシブめカラー。中身はCELESTIONのVINTAGE30。横長の函ですが一発です。昨日の日記にも登場した「TINY TERROR」で試しに小さ〜く鳴らしてみましたが、相当な音量で鳴ってくれそうな気配でした。ちなみに値段は40K弱(内おおよそ本体6:送料4)。

 TINY TERRORは法外に小さいので、サイズ参照用にギターつきのショットで。コンボアンプのスピーカー増設用として買ったけど、何ならこれだけでライブできてしまいそうだなー。

▼由々しいことに更に続きが。ここ数日、更新が滞っていたのは、試行錯誤を重ねながら毎夜20時過ぎから深夜までこれを組み上げていたからなのです。

 何故この形になったのかの詳細な説明は割愛しますが、とにかくこれで理想の使い勝手が実現されたのです。手前右の謎の黒い筒は、センターマイナスの9V電源を12・18・24Vのいずれかに昇圧できるという、GODLYKEのアダプター「POWER ALL」の関連アクセサリで、日本に出回ってないので去年くらいにわざわざ海外から直買いしました。BELDEN8412に統一していたケーブルも、エフェクタ間のパッチだけ遂にGEORGE L'S(黒線+ニッケルプラグ、パーツで買って自作)に乗り換え。使い勝手を優先してしまいました。とはいえ中身の線材はBELDEN製らしいのです。音質の評判がいい一方で巻き癖や断線のことが言われがちですが、繋ぎっぱなしにする分には問題ないでしょう。

 でこのセット、特筆すべき点がいくつかありまして、まずは1点目。

向かって奥にくるペダルには傾斜をつけてあります。これによって奥のRATと手前のエレハモ「KNOCKOUT」の同時踏みが容易に。そしてもう1点、こちらはかなり革新的です。

 昨日の日記で優勝したMI AUDIO「TUBE ZONE」のVOLUMEツマミに、3個100円で買えるクリップが装着されています(上端に挟まれている方のツマミは形状安定用のダミー)。ボリュームペダルは繋ぎたくないけどボリュームペダル的な操作を足元でしたい、どうせブースターを出力最大で使ってるんだったらそれで調節すればよいのでは?というのが数ヶ月来の悩みどころでして、かなり色々試した結果、遂にこれでゴール。取っ手部分を足で回して使います。簡素なクリップを採用したことで、いざとなればパチッと外れるなり滑るなりしてしまうため、器械にかかる負担が少なく、ケースにしまうときはサッと取れて場所をとらず、装着するツマミを違うところにしたいときも至って楽。もう私はPICKBOYかキクタニに就職したらいいんじゃないのか。こっちのペダルにも一見不要な傾斜がついてますが、この傾斜がないと、ツマ先を出したときにカカトが連動して上がってしまい、重心がズレて体勢が不安定になり演奏に集中できなくなるのです!

 バンドマンはこんなことばかりしていないで曲を作ったり、演奏の練習をすべき。ずっとCARCASSの「屍体愛好癖」を聴きながら今日の日記を書いてましたが、最高のアルバムでした。

【本日のレビュー:THE MOB「THE MOB」】


一見するとひと昔前に流行ったラップメタル系かと思うジャケですが、これがレブ・ビーチ(WINGER)とダグ・ピニック(KING'S X、POUNDHOUND)とケリー・キーギー(NIGHT RANGER)の合体ユニットというとんでもない品なのです。しかもキップ・ウインガーがプロデュース&ベースで全面参加。リリースはイタリアのFRONTIERS RECORDSから。内容はというと、たまにダウンチューニングリフは入ってくるものの、基本的にはWINGERでこれをやれよという感じのストレートな80年代メロディアスハードロック。ピカピカしたハイトーンのヤサい色男が歌ってなんぼな楽曲にダグがいるのがどうにも違和感。野太いぜあんた…。極めてアーティスティックに作り込んできたWINGERの復活作と比べると、その前年にリリースされているこちらは「実践済みの得意分野を、肩肘張らずにやりました」という感じもちょっとあります。質に妥協はないものの。ダグがベースを弾かずヴォーカルのみの参加で、全ての作曲にキップのクレジットがあるあたり、これをWINGERの復活作にするはずが…みたいないきさつがあったりするんでしょうかね。もっぱらKING'S Xファンだという向きは無理して買わず、レブ・ビーチおよびWINGERが好きな人がどうぞ。ちなみにここまで一切触れてませんが、キーボードのティモシー・ドゥルーリーは、EAGLES〜ドン・ヘンリーのヘルプ歴があってごく最近のWHITESNAKEにも参加してる人だそうです。

nbsp; 2月17−19日
18日の収穫SEBADOH「WADE THROUGH THE BOGGS」。多分これ、LOOBIECOREでのメールオーダーまたはライブ会場でしか買えない限定品っぽく、届いた封筒には何とルー先生本人による宛名書きがされておりました!CDのケース(紙)にも小さくサインが入ってたし。いつもLOOBIECOREで見慣れた筆跡で自分の住所が書かれているというのはテンション上がります。ファンは今すぐ、直筆封筒欲しさに、PayPalのアカウント作ってオーダーしましょう。

▼さてここのところ、バンドメンバーが1名、欧州周遊に出掛けていて練習がなかったので、じゃ今のうちに…と機材の吟味に気力が向いていたのでした。それ、欧州とか関係なくいつもじゃん。とわざとっぽいツッコミを本秀康のキャラクターの誰かから欲しいところです。で配置の工夫などを色々考えたあとで、今使ってるブースターは本当にこれでいいのか?という疑念が浮上し、それならば、と3者くらいで比較してみました。よく検索で引っ掛かる機材日記風になって参りましたね。

 検証したかった品はJT PRODUCTS「ASSIST」。音質変化がないと評判のクリーンブースターです。比較参照用には、やや歪みが加わりウォームになると言われているMXR「MICRO AMP」(現行品、12V駆動で使用)と恐ろしく幅広い音作りが可能なディストーションペダルだがドライブ量最少でクリーンブースターにもなり得るというMI AUDIO「TUBE ZONE」(18V駆動)を用意。ORANGEの真空管ヘッド「TINY TERROR」をPALMERのスピーカーシミュレータ「PGA-04」で鳴らしたものをオーディオスピーカーでモニターしました。

・JT PRODUCTS「ASSIST」
 確かに偏った飽和感の一切ない、自然なフルレンジブースト。目盛り10でもえげつなさゼロ。トレブルまたはベースをブーストできるEQは、どちらもバンド幅が広めで、低音を上げるとドスーッとストーナー風に、高音を上げるとパリッとなるというより低域以外がメリメリくる感じ。このEQを使うかなと思ってこれを選んだんですが、あんまりいじる機会がなさそう。もともとのアンプの歪みをクリーントーンに毛が生えた程度にしている人には、リードギター用に効果を発揮するでしょう。

・MXR「MICRO AMP」
 現行品はオリジナルと比べ物にならないといいますが、ASSISTの後で改めて聴いてみると確かにそう言われるのも判る気がしました。レベルブーストに加えて後半は軽く歪むので、最大にしたときの持ち上がり量はかなり派手な分、飽和してパンパンに詰まったというより煮崩れたようになってしまって細部が不明瞭。本来9Vのところを12Vで使うことで(お試しの際は必ず安定化されたアダプタを使って下さい)アタックの鋭さやリリースの艶ときれいさは幾分か改善されますが、依然露呈するロープライス感は拭いきれず。

・MI AUDIO「TUBE ZONE」
 これはちょっと普通と違うTONEツマミがありまして、中低域を膨らませる(結果的に高音が沈む)か引っ込める(結果的にパリパリッと軽くなる)かをかなり極端な度合いまで調節できます。それ以外にもプレゼンスに相当するBRIGHTツマミ、そのまんまMIDDLE、DRIVEの前段で低域のブースト量を調整するCHARACTERがあり、それらを全てフラット、DRIVEはゼロにしてVOLUMEだけでブーストしても、このペダルの質感になってしまいました。チューブライクな好ましい音なので全然よいのですが。で今度はそれらのツマミを色々調整してみたところ、TONEツマミの使い方次第で、もへっとしたアンプの歪みをシャキッとモダンに整えるセッティングにできることを発見。ほんのりゲインブーストを加えると、ブリッジミュートで低音弦を刻むとズンー…‥、と心地よく足が出るメタリックな鳴りも可能になりました。アンプのEQをあれこれするより、歪んだギター然としたトーンを最小限の歪み量で実現できそうな感じです。

 ということで、ライブ時に実際使うアンプのキャラクターも考慮し、目的の用途に最も適したTUBE ZONEを使うことに決めました。ライヴでアンプを持ち込めない時にはこれをブースターじゃなくてメインの歪みにしてしまえばいいし、実にツブシがきく奴です。

▼エドはるみ、あの存在感は奇跡的なんだから、「グー」をやらなきゃ面白いのに。CMで流れている平井堅の新曲(でのヴォーカリゼイション)がいよいよ酷いですね、おのれはサウンドフォントかと。あんなに忌み嫌っていた小倉智昭、今や見かけると安心する自分がいます。

  2月15−16日
収穫はなし。この頃myspaceの使い勝手が日に日に向上してくれるので嬉しいです。まだ調整中みたいですが、遂に「あなたのフレンドの更新一覧」(日本語表示にするとどう訳されてるか知りませんが)が登場、これは画期的。あと新手の他サイトとの提携も発見。Bring RIDDLE OF STEEL to Nagoya!まだ名古屋は私一人でした。

【本日のレビュー:QUICKSILVER MESSENGER SERVICE「SHADY GROOVE」】


プログレっぽい雰囲気に惹かれて買ったUSオールドサイケグループの70年作3rd。きちっとしたロゴに格調高き英国アートロックへの憧れも伺わせつつ、ワイルドな緑の光景はまさにアメリカという、ジャケに現れる二者の折衷具合がそのまま音にも反映された素晴らしい内容です。平日夕方15〜16時くらいに再放送をやっている刑事ものサスペンスのようなリリシズムを醸し出すピアノ(元JEFF BECK GROUP)がかなり全体の印象を左右してますね。ドッシャドッシャとアメリカンに騒ぐ場面と物凄い対比をなして切り込んでくるPINK FLOYD〜KING CRIMSON("風に語りて"の線)そのまんまな風情がたまりません。ここまで自由奔放にやられるとDRAG CITY系の連中の立場もないですな〜。彼等それなりに創造的だと思ってたけど、こっちで充分。生ハープシコードに生チェレスタまで飛び出す何でもあり具合がいかにもロック黎明・細分化初期の趣で楽しいっす。この時期のサイケ特有のゾンビのようなだらしなさも存分に味わえるので、ブラックメタルとシューゲイザーとこれを線でつないでみるような聴き方も面白いでしょう。GANDALFほどズバリではないですが。これはいい買い物でした。しかも鍵盤がここまで頑張ってる作品はこれだけらしいので、無駄にコンプリートしないでよさそうなのも助かった。

  2月14日
本日の収穫、サウンドベイ上前津にてQUICKSILVER MESSENGER SERVICE「SHADY GROOVE」、STATUS QUO「PILEDRIVER」。金山の方も行って、聴いてみたいブツは他にも結構あったがグッと耐えた。

【本日のレビュー:ROBBY VALENTINE「THE MAGIC INFINITY」】


ここのところ連日90年代北欧HMできていたので、硬質系ではないですがひとまずこれでシメておきましょう。中古CD屋で見かける度に「持ってるけど全然聴いてないな〜、多分もう聴かんな〜」と思っていたこの品をつい最近聴いたらやっぱり最高だったのです。QUEENフレイヴァーが程よく入った大仰なダッチ・メロハーの決定盤ですね。ナヨナヨしくて線の細いヴォーカルはいかにも王子様といった感じですが、曲自体はVALENSIAほどフリフリゴージャスではなくて、目鼻立ちのよいストレートなポップスに仕上げてきているので、メルヘン過ぎるのが苦手な人でもまあ大丈夫です。そして(これまた中学時代に聴き込んだせいかも知れませんが)キラーチューンが多い。冒頭のタイトルトラックは言うに及ばず、きょうびのESCAPE MUSCやFRONTIERS RECORDS(今気付いたけどどっちもJOURNEYから拝借してたのか…)系を聴き漁っている向きは卒倒必至な大名曲が随所に待ち構えております。アコースティックバラード"Angel Of My Heart"でのデュエットでロビー様を凌駕するほどの素晴らしいヴォーカルを聴かせるアーサー・ポリーニなるメンバー(ベーシスト)、他に何かやってないか調べてみましたが特に何も出ず。残念。初期セバスチャン・バック似の張りがありつつもっとまっとうにソウルフルかつ少年的な声をした逸材なのです。ともあれ、この手のものが好きな人は当然必携ものの名盤でございました。

  2月13日
収穫はなし。100円ショップで買える品物+αを使った「チューナーをマイクスタンドにマウントするキット」の最終版が遂に完成しました。

 完成度高すぎ。実際に使用するとこんな感じになります。

 最高。写り込んでる後ろのCDが。

 そしてこちらは使い方が新発想のコンタクトマイク。もう曲間でヘッドにクリップつけて…などとはやらないのです。スタジオで試してみて上手く行ったら詳しく発表します!無駄に終わったら大人しくクリップ式のやつ買い直します。上がライブ用でだいたい5〜6m、下が普段の練習用の極短バージョン。長いのは昔の携帯の充電器のケーブルを切ってハンダ付けで合成までして作りました(練習用は余りパーツでついでにできたのです)。絶縁テープ巻いた上からハーネステープも巻いて、丁寧仕上げ。今日もクラフトマンだったなあ。

  2月11−12日
▼人前で発表できるほどになろうとは思ってませんが、たしなんでみたいジャズギター。ということで11日の収穫はまた書籍でJODY FISHER「COMPLETE JAZZ GUITAR METHOD -MASTERING CHORD/MELODY」。勿論和訳本で。この手の教則本の多くは、理論を言葉で説明してから雛形程度の譜例を紹介して突然応用曲が出てくるか、あるいはシチュエーション別リックみたいなのを列挙しまくるようなものがほとんどで、入り込みづらいなーと思ってパスし続けていたのでした。購入したものはというと、単音フレーズをコード進行に沿って和声化するバリエーションを譜面でドンドン書いてくれておりまして、「こういう感じあるよなー」という雰囲気の正体を耳先行で理解することによって的確なアドリブなり、それを避けた創造的なアプローチも可能になろうと考えていた私には非常にありがたい内容なのでした。で早速ちょっと練習してみましたが、ロックギターでは考えられないアクロバティックなコードフォームの連発に、聖飢魔IIのスコアを必死こいて拾っていた15年前を思い出す感じでちょっと面白いです。5弦〜2弦で3F・5F・7F ・4Fを一瞬で押さえないとダメですか?6弦〜1弦で6F・6F・5F・5F・6F・6Fということはまさか親指で下からバレーですか?と先生にツッコみたい疑問がいっぱい。多分「やれ」っちゅーことなんでしょうけども。道のり遠いなー。

【本日のレビュー:ELEGY「LOST」】


きっと全然需要がないであろう旬外れ北欧メタルシリーズを執拗に続行。こちらはELEGYの最高傑作3rdでございますね。イアン・パリーが加入してからは何だかシッカリし過ぎてしまって、(ハードロックの本拠地たる英米ではない僻地としての)北欧らしい線の細さや胡散臭さを前向きに楽しめないので、トニー・ハーネルが下品になったようなこのオリジナルシンガー時代の方が圧倒的に好きなのです。

 ELEGYといえば、NARITAやRENEGADEなど、ビクター、ゼロコーポレーション、テイチクあたりが積極的にフォローしていた90年代初頭の北欧メタルバンド量産ラッシュの一員として現れ、卓越したテクニックと高度なアレンジ力を持ちながら、盛り上がりそうなところで腰を折られるような煮え切らない(サビで気持ちよくアピールしてこない)楽曲ゆえになかなか第一線まで躍り出ることがなかった人達。この3rdではそういうストレスがようやく多少解消されて、法外なハイトーンで絶唱するサビが印象的な冒頭のタイトルトラックが過去最高のツカミを見せます。また95年といえば折しもDREAM THEATERの余波でプログレメタルが大ブームだった頃、もともとそっち寄りの資質もあった彼らのカラーも見事時流にマッチしていたのでした。後半の山場"Spirits"などはその好例。あとは名曲だらけというほどでもないですが、テンションや充実感だけで押し切るようなところがあってスイスイと聴けます。

 一応これをちゃんと書くために改めて旧作も聴いたんですが、このバンドはメジャーキーに強いこだわりがあるというのが珍しいですね。北欧メタルといえば泣きの美旋律、ハーモニックマイナーにディミニッシュ…というものが即座に連想されまた実際求められがちなところを、ELEGYの場合、フワッと浄化されるようなメジャーコードを要所要所で繰り出してくるのです。だから別にイングヴェイとかに似てるわけでもないし、気になる存在感のもとはそこにあるのかも知れません。近況を全然知りませんが、KAMELOTとどっちが売れてますか?ポテンシャルは同等だと思うので、もしこっちだけ忘れ去られているような状況なら、若いKAMELOTファンは一度聴いてみてください。

  2月9−10日
収穫はなし。相変わらず途絶えがちな更新ですが、ここのところは「VSTi」や「サウンドフォント」を探し回りながらの「DAWソフト」ベースの「DTM」に「余念がない」のです。ここで一箇所余分にカギカッコをつけた意図を自ら説明するようなくだりを加えるか、ただ謎とともにスルーされる危険も感じながら不粋さに負けて放置するか、悩んだりするうちにいつも26時くらいになってたりします。それにしてもフリーソフト、フリー音源、フリーその他って、どういう人が何考えて何のために作ってくれるんでしょうか、ありがたいですね〜。

【本日のレビュー:GLORY「CRISIS VS. CRISIS」】


TAD MOROSEに引き続き。大昔にもこの欄に登場した気がしますけども、誰も覚えてないだろうし検索で発見できなかったのでまあいいでしょう。こんなものまで取り上げると「要は駄盤扱いのものを持ち上げてツウぶろうとしているだけでは?」と言われそうですが、いえ普通に好きなのです、出た頃から。GLORYはヤン・グランウィックというギタリストを中心とするユニットで、初期2作ではかなり秀逸なメロハー系シンガーがいた(作曲のクレジットにも彼の名前があった)のですが、途中で元イングヴェイ・バンドのヨラン・エドマンに交代しています。手元にあるのは国内盤なのでライナーを読んでみたら、キーボードもイングヴェイゆかりのマッツ・オラウソンで、ドラムはザッパ親子と共演歴のあるモーガン・アグレンというスウェーデン人…てこれはMATS & MORGANのモーガン君ではないですか!意外。94年当時はまだそっちの名義でデビューしてない頃ですね。

 で内容的には、これが何とも説明しがたい、メタル界を見渡してもこのアルバム独特のもの。バシッと鋭角的でヘヴィだがダークではなく、イングヴェイが時々やるオシャレ転調の雰囲気を強調して充分メロディアスではあるけども美旋律系ではなく、プログレッシヴで躍動的で、Tシャツよりスーツがよく似合う、不思議な誇大妄想系サイバーメタル。途中もろKING'S Xな曲調も出てくるので、そのあたりにもあやかりつつ彼らなりに「メロディアス+ヘヴィ」を突き詰めてみた結果なんでしょうか。心なしかFAITH NO MORE色もあり。それに応じてヨラン・エドマン・オン・パレードとばかりに色々と雰囲気の違うヴォーカルのアプローチが試みられています。まっとうに歌うと心もとない人だけど意外に変態がハマるとは。極端にデッドなギターサウンドはややスティーヴ・ヴァイを意識したか?ピ〜とつんざくピッキングハーモニクスが強烈。ドラムのモルガン君は基本的に伴奏然とした演奏に徹していますが、時々スパークしますね。かっこいい。ということで久々にじっくり聴いてもやっぱりかっこよかったです。大名盤「2 FORGIVE IS 2 FORGET」とは別バンドと思って、これと両方とも是非聴いてみてください。

  2月7−8日
収穫はなし。何だかんだと文句を書きながらも最近、BURRN!のインタビュー部分のみをまとめて復刻した単行本「BACK FOR MORE」をちょくちょく読んでいます。今みたいにアルバムリリースにあわせて取材に飛んだりとかいう感じではなく、来日した人についでに喋っていってもらうだけみたいなノリで、チャラチャラはしてますがミュージシャンの生い立ちとかそういう話が沢山読めて非常に興味深い。ロブ(・ハルフォード)の妹とイアン・ヒル(ex.JUDAS PRIEST)が夫婦だとか全然知りませんでした。まだ84〜85年分を収録した第1巻の途中ですが、「パンクブームによる冷遇の時代を経て今こんなに盛り上がっているヘヴィメタルが無くなることなんてあり得ない」という浮つき感が誰のインタビューからも漂っているのが、恐怖映画で八つ裂きにされる前の平和そうなカップルみたいでどうにも哀しい。

【本日のレビュー:TAD MOROSE「PARADIGMA」】


昨日あたりから急に、「90年代初頭の硬質化した北欧メタル」が来てます。もともと美旋律バンドだったのに急にヘヴィになった連中も含む。TAROT、CONCEPTION、GLORY、MASQUERADE等々…。で久々に聴こうと思ったのがこのTAD MOROSEであります。秀逸なデビュー作はSAVATAGEミーツDREAM THEATERと評され、北欧のトニー・マーティンとでも呼ぶべきハスキーヴォイスを持ったシンガーはその後MEMENTO MORIとかに行ってた気がします。これはそのシンガーが在籍した最後のEPでリリースは多分95年。デビュー当初より重厚さやスケール感を増し、それこそ「THE ETERNAL IDOL」〜「DEHUMANIZER」の頃のBLACK SABBATHを思わせる雰囲気に。セミドゥーム・プログレッシヴ・ネオクラシカルといいますか。わかりやすい派手な興奮など求めるべくもなく、トゥルー・ビリーヴァーのための濃密な世界でございます。VENI DOMINEやABSTRACT ALGEBRAにも似ますが、極限まで攻撃的になったらNEVERMOREにかなり近そう。軽くCONFESSORっぽい瞬間があるのもポイント高め。シブ好みに大推薦。

  2月6日
収穫はなし。「BURRN!」(以下B!)ではないメタル雑誌が出現している!と思ったら、「ロッキンf」の改名新装版だったということを知りました、「WE ROCK」。古典メタルにも一定の敬意を払いつつ、ジャパメタとヴィジュアル系といわゆる最近のラウド系(いずれも現役バンド中心)を同列に扱うというコンセプトは、メタルっぽい最近の音楽から根っこを辿ってメタルそのものにも興味を持ったというような若〜い人にとってはB!よりとっつきやすいんではないかという気もしました、ノリも軽かったし。個人的には別に全然読みたくない雰囲気でしたが。B!はB!で時々ディープな企画をやってくれるのがいいけど、基本的に洗脳っぽいところがあるし、最新号の表紙が相変わらずジミー・ペイジ&ロバート・プラント(しかも大昔の写真)てのはいよいよどうなのかと思います。ともあれ選択肢があるというのはいいことだ。選ぶ雑誌があるという状態にまでメタルシーンが回復したことも。

 それにしても本当に、つい最近、明らかに軽くヴィジュアル系っぽい(場所的にMI JAPANの生徒だったかも知れない)風貌の10代少年3人くらいが楽器屋で、代わる代わる"Holy Wars"(MEGADETH)や"Master Of Puppets"(METALLICA)や"Crazy Train"(OZZY OSBOURNE)や"Crazy Doctor"(LOUDNESS)なんかを試奏しまくる場面に出くわすことがあって、まだちゃんとこういう若者いるんだなあと思う一方、どんな感覚で聴いてるんだろと不思議にもなったのでした。とりあえず全員徹底的にコピーが甘かったですけども。

【本日のレビュー:TOTO「IV」】


もう何ヶ月も前に買った品をようやくちゃんと聴いてます。本当に日本の便器から名前を取ったアメリカのスーパーバンドの82年作。これが思った以上に感銘を受けました。UK、STEELY DAN、GENESIS、KANSAS、JOURNEY、CHICAGO、RUSH他々、それぞれ歴史はあれど一時的に同心円上に並ぶことがあったバンド群の、その円の中心を何食わぬ顔で陣取ってしまったかのような内容でありますね。売れ線プログレポップスを基調にただひたすら一流の洗練を追求するといった感じで、もう芸術表現というより商業デザインの域にも思われますが。的確極まりない演奏のもと、多彩で屈曲性は高いが一切の無駄を排した楽曲。拍や小節の循環数の半端さや奔放な転調っぷりなど、芸が細かいとかいう問題ではなくてもはや「単純な曲を書けない病」です。SHUDDER TO THINKやSHINER、THE DIDMEMBERMENT PLANあたりのバンドへ潜在的に与えている影響はSTEELY DAN以上なのでは。ハードロッキンなリフをフィーチャーしながら4の倍数を微妙に外す"Afraid Of Love"や"We Made It"などは是非RIDDLE OF STEELのカヴァーバージョンで聴いてみたい変な曲。これはもっと古い作品も確認せねば。

  2月5日
▼たまにダイソーではない100円ショップに行くと、種類数では劣るがあまり見かけない品物があったりして面白いです。本日の収穫というべきか…とりあえずこまごまと買ってきました。大昔ELEGYのギタリストがやっていて真似したかった「ピックに輪ゴムを接着して親指にはめる」というのを実現すべく、ゲル状瞬間接着剤と、ゴムは出来るだけ薄い方が演奏に影響が出ないので指サックを小さく輪切りにして、上手くできました。だからって右手の指を何本も使うタッピングとかやりませんが。それと「壁に接着してモップなど棒状のものを何でもホールドするクリップ」みたいなのがあったので、それを逆向きに使って、チューナーをマイクスタンドにマウントするホルダーにしてやりました。これはかなり秀逸!以上2つの工作をやってたら深夜になってしまったので画像はありません。何だか知らないが夜遅くなってくるとクラフトマン魂が燃え上がるのです。

  2月4日
本日の収穫、また書籍でシンコーミュージックムック「アーカイヴ・シリーズVol.16 ザ・ポリス&スティング」。これはいいですよ、80年代当時のインタビューとかが年代順にドサドサ載っていて。THE POLICEみたいな人達が音楽産業の中で何を考えてああいう作品群を残したのか、非常に興味があります。

▼英作文で、こんな表現使うだろか、この名詞が何かにかかるときの前置詞はこれだろか、などと困ったときに使える便利技、" "で括ってそのまんまグーグル検索。最近は音楽機材の情報を得るために海外サイトのレビューをよく見るためか、「〜についての」と言いたいときのonとforとaboutの微妙な使い分けとかがちょっと上達してきました。こんなんだろうと打ってみてポチッとやって、たくさんヒットすると嬉しい。逆にドメインが.jpのばっかり引っ掛かるときは大抵間違いなのでガッカリ。ライブ終演後の来日アーティストに話しかけて間が持つくらいの英語力は欲しいところです。

【本日のレビュー:THE POLICE「SYNCHRONICITY」】


何かを言うには難しい作品ですが、そういえばちゃんと解釈するほど聴き込んでもいなかったので。1曲1曲がまるで無関係な方向に暴走するように見えて、全てが一本のライン上にあるような、ほとんどGENESISの「幻惑のブロードウェイ」にも近いような印象を受ける変なアルバムです。"見つめていたい"だけでこのバンドを知る善良洋楽ファンなどは、アンディ・サマーズが醜くわめき散らすだけの破綻系ポストパンクチューンが同じアルバムに収録されていようとは夢にも思うまい。

 前半がバンドアンサンブルを押し出したアグレッシヴな作風、後半はもっと歌ものっぽいメロウなスタイルにとカラーが分かれておりまして、ヒット曲はもっぱら後半に入ってますが、私のようなにわかリスナーは前半の方が「わーポリスだ〜」というつかまりどころがハッキリしていて楽しめます。パート1・2に分かれているタイトルトラックなどは3人化して間もない頃のGENESISや「SIGNALS」前後のRUSHにも匹敵するビックリプログレハード仕立て。それに挟まれた残り4曲は、メロディ主体のポップスとはかけ離れた、アンサンブルのアイディアを形にしただけのようなもので、あれよあれよと流れ去っていきます。このへんのやけにエクスペリメンタルな感じが作品全体の「何か凄いけどとにかく散漫」というイメージの主たる要因でしょう。

 でひと段落ついたところでアナログを裏返す(当時)と"Every Breath You Take"がガツーンと来るという、もはやさっきまでのA面はシングルヒットを狙えるB面曲を気持ちよく売るためだけの壮大な前奏曲かと思うような翻りぶり。マジョリティに訴える美しいポップソングを素直に歌うようになったスティングの裏ではしかし、工作人アンディ・サマーズによるニューウェイブ解体の手が緩みません。これといったポリシーもなく自分達のスタイルにしてきたレゲエ風アプローチをポストパンク文脈のダブにこじつけての音響実験などなど、好き放題。それらをシャキッと立たせるスチュアート・コープランドのリズム作りがまた見事。ここまで目立ちながら至極適切な仕事をできる人はそういない。あらゆるタイミング感がキレまくりでかっこいいですね〜この人は。これだけやってといて結局どういうアルバムだったんじゃ、という腑に落ちなさをはぐらかすかのような"Murder By Numbers"をラストにもってきて、ご丁寧に超まばら(たぶん3人分)な拍手でもってバンドの歴史ごと締め括るという、最後の最後まで全力で諧謔な人達でした。

  2月2−3日
本日の収穫本秀康「ワイルドマウンテン 第5巻」。漫画を新刊で買うのは「ファイブスター物語」とこれくらい。ヴィレ・ヴァンを何軒か回っても店頭になかったのに、近所にコソッとできた小さいイオン(なんと平屋)内の書店にありました。ところで最近猛烈にやっているのは、「アンプとキャビネットの抵抗の関係の勉強」と「CUBASE(LE)で音源作成に挑戦」です。DOIMOIの新作収録予定曲もひとしきり出揃ったところで、録音開始までの合間に久々に一人音源を作ろうかと。LEは本当にしょぼくて、(以下専門用語)VSTiが同時に最大2個しか読み込めないのでVSTiを使いたいトラックを一旦個別にWAVE書き出ししたものを改めてオーディオトラックとしてミックスしています、でもWAVEファイルを直接サンプルにしてドラムを打ち込めるようになったのはかなり画期的。(専門用語ここまで)ハァ〜本田くん(車)はかわいいなあ。

  2月1日
収穫はなし。アニヒラトー?答えは↓で!

【本日のレビュー:ANNIHILATOR「SET THE WORLD ON FIRE」】


先月末のEXTREME続きの流れからANNIHILATORです。EXTREMEのラスト作に颯爽と合流してクールなドラミングを残していったマイク・マンジーニのレコードデビューはこの盤なのでありました。マイクはその後スティーヴ・ヴァイのバックやジェイムズ・ラブリエのMULLMUZZLERへの参加など、実力者として出世しましたね〜。肝心の本体ANNIHILATOR(アナイアレイターと読む)は、その昔「カナダのMETALLICA」と呼ばれたスラッシュメタルバンドで、現在では中心人物ジェフ・ウォーターズ(G./Vo.)のソロユニットと化していますが、93年のこの3rdはまだ専任シンガーもいてバンドとしての体裁を保っていた頃のもの。別にそうMETALLICAと激似ということはなく、デビュー当初は、80年代後半のUSハイトーンスラッシュ風の緻密で神経質なスタイルを徹底的に先鋭化・高圧縮化したような感じでした。メランコリックなアルペジオを交えた緩急の激しい展開の多さゆえにそう言われていたのかも。

 でアルバムの内容。この前作にもひたすらキャッチーなシンガロングチューン"Stonewall"が収録されていたのですが、JUDAS PRIESTのオープニングアクトとして一緒にツアーを回って感化されまくった状態で作ったという本作は、突如としてキャッチーな歌もの方向に(曲によってはもはやポップスの域まで)ズルンと脱皮した、いわゆる「ブラックアルバム現象」や「PANTERA現象」とはまた異なる傾向を見せる作品になっています。久々に(それこそ5年・10年振りか?)聴いたけどここまでメロメロ親切だったとは。これは"Freewheel Burning"ですか、"Jawbreaker"ですか…というパワーメタルチューンもあり、一応時代にキャッチアップしてダウンチューニングの曲もあり、挙句オシャレな16シャッフルやメロウなバラードにまで挑戦。普通に名曲が多いわけですが、この異常にシャキッと切れるカッコ良さはマイク・マンジーニの貢献によるところも相当大きいようです。リフや歌メロと微妙にリンクする金物のアクセント使い、件のシャッフル"Snake In The Grass"での的確極まりないクオンタイズ、他々…。そこに職人気質のジェフのギターが絡んで生まれるグルーヴは死ぬ程シャープ。で散々ポップな曲が続いたところで突如雰囲気が一変、初期路線バリバリのサイコスラッシュチューン"Brain Dance"で意地悪くシメ。こういうファニー・ホラー・ファンタジーな描写はほんとジェフ独特のものです。日本盤は更にJUDAS PRIESTの"Hell Bent For Leather"の忠実極まりないコピーが追加されていてこれも楽しい。うーんANNIHILATORでこんなに長く書いてしまうとは思いませんでした。4枚目以降は一切チェックしてないんですが、自分が所持CD総数1桁台の頃に買って聴いたというのを差し引いてもこれは名盤でした。

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