31 May,
2008
▼収穫はなし。昼は蕎麦、夜は焼き鮭と肉じゃが。
本日のレビュー:NEMESIS「THE DAY OF RETRIBUTION」
CANDLEMASSの前身バンドだそうで。知らなかった!82年に出していたEPです。後身のCANDLEMASSは、80年代ドゥームの開祖のひとつに挙げられるスウェーデンのバンドでございます。正円に近い顔から極度の天パーな髪がほぼ水平に生えるという衝撃的なルックスの巨漢シンガー、メサイア・マーコリンはまだおらず、ベーシストのリーフ・エドリングがヴォーカルも兼任。割とどうしようもないヘタさ加減ながら、オジーの影を勝手に重ねてやることによって普通に聴けるというマジック。でも曲はそこまでサバス直系ということもなくて、サバスの影響下にあったNWOBHMバンドを確実に一枚噛んでる感じ。大袈裟にしようとするあまりにかなり胡散臭くなってるあたりは、10年とんでデスメタルブームの中のドゥームメタル一派とも全然変わんないですね。いい、いい。むしろ10年後のオランダとかベルギーのマイナーバンドを漁りまくる前にこっちを踏まえておくべきでした。CANDLEMASSってもう少し後の時代のバンドだと思っていたから、実は同郷のMERCIFUL FATEやアメリカのSAVATAGEらと同時発生的にこういうニオイのする音を出していたというのは何ともロマンですねー。ちなみに全7曲中ラスト2曲は、CANDLEMASS名義のデモ音源ということになっていて、よりドゥーム・「メタル」としての硬度を増してて非常にかっこいい。ああ今後しばらくCANDLEMASS再評価。
30 May,
2008
▼うーん自己満足、CSSを少し書き直したらようやくDOCTYPE宣言を加えてもまともに表示されるようになりました。ついでに他にも細かな修正をいろいろと。FireFoxでご覧の方は、左のメニューボックスの大きさやレビュータイトルと本文を仕切る破線の長さが、ちゃんと収まりのいい感じになったと思います。
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本日の収穫、栄の名店ミュージックファーストにて
RAGE「REIGN OF FEAR」「EXECUTION GUARANTEED」「PERFECT MAN」、
JOE SATRIANI「SURFING WITH THE ALIEN」、
NEMESIS「THE DAY OF RETRIBUTION」(CANDLEMASS前身!82年METAL BLADE!)、
THREE MAN ARMY「TWO」、
V.A.「THE GUITARS THAT RULE THE WORLD」。むちゃくちゃ安かった。最高。
▼LOUDPARKにCARCASS!今年こそ行くべきなのか?
本日のレビュー:RAGE「PERFECT MAN」
初期RAGEはあんまり持ってなかったのです。まとめ買いできてよかった、ということでこちらは88年3rd。ジャーマンメタルの範疇で語られはするが相当異色な存在感がこの頃すでにバシバシ出てますね。マイナーB級バンドが陥りがちな「こうすればメタルソングが出来るんだな!」というナイーブな悦びの謳歌とは全くもって無縁で、とにかく歌メロも変だし、ブレイクの入れ方が異常だし、コードの外し方も尋常ではなく、バンドの往年の代表曲とされる7曲目"Don't Fear The Winter"などはコルトレーン・チェンジか?"Giant Steps"か?と思うほど。何だか謎のアーティスティックでオシャレな音楽をメタルアレンジでやるバンド、という不思議な温度感。それだけにAメロうんうん、Bメロおっ、サビでイエース
!!という健全なエキサイトメントなどは全然期待できません。変態とかいうよりシュールな天然ミュータントの佇まい。この数年後にTHE POLICEのカヴァーをやる(曲は"Truth Hits Everybody")と知っているせいか、どうもニューウェイブやビートパンクの匂いがする気がするんだな〜。こんなものがメタル界を何食わぬ顔して闊歩していたとは痛快。BPM200越えのアグレッシヴなバックに歌メロだけCARDIGANSみたいな9曲目"A Pilgrim's Path"とか、一体何事なんでしょうか。あんたらすごいよ。
28 May,
2008
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収穫はなし。レコーディング風景の写真って、見るだけで何だか非常に想像的な気分になります。最近myspaceで
SEPULTURAがかっこいい写真をばんばんアップしてくれてて、熱心にチェック中。あと
LOSTAGE日記も日々楽しみ。犬のいるスタジオで録音してみたい!
本日のレビュー:TALL STORIES「TALL STORIES」
90年代以降の復活JOURNEYで歌っているスティーヴ・オージェリーというシンガー、がやっていたバンドが91年にリリースした唯一のアルバム。JOURNEY加入前にTYKETTOにも参加してたみたいで、そうと知らずに聴いていた彼の参加作「SHINE」はけっこう好きでした。でこのアルバムですけども、80年代後半以降のFOREIGNERとBAD ENGLISHの2ndの中間みたいな、胸キュンには足りず、ソウルフルというにも人工的に飾りたて過ぎ…という中途半端なAORハードロックになっています。それでもなかなか聴けてしまうのはやっぱりヴォーカルの素晴らしさゆえ。高音でウアーッと張ればそのまんまスティーヴ・ペリー、中低域で艶っぽく歌うとグレン・ヒューズやポール・ロジャースの陰がよぎるという逸材さんです。もうちょい名曲に恵まれると良かったのに残念。断片的にオッ、バブリ〜!とテンション上がる箇所は点在していますけども。あとギターサウンドが、この時代のこの手の作品には珍しくストラトのナチュラルな歪みが生々しく伝わるものになっていて好感触。
27 May,
2008
▼収穫はなし。背中の肉が厚くなってきた気がするのでカロリー制限を考えています。
本日のレビュー:BLACK SABBATH「FORBIDDEN」
16日のレビューで投げっぱなしになっていたブツの始末をつけときます。大英帝国が誇るドゥームマスター・BLACK SABBATHが95年にリリースしたアルバム。悲運の助っ人トニー・マーティン(vo.)在籍時最後のアルバム、というか、これより後にまとまったスタジオ盤は作られてませんですね。
あのBODY COUNTのICE-Tとのデュエットで、脳みそがクラッと痺れるドゥームロックとヒップホップのくゆり感をリンクさせた冒頭曲からして最高。ヘヴィグルーヴでエキセントリックになろうという時代の気風ですね。これを「ダークなモダンロックに飲まれて云々…」と揶揄することのいかに見当違いなことよ。こんなに乗りこなしているのに。その後も2・3・4曲目と立て続けに、かなり往年のオジー時代を思い出させる体当たり系シンプルリフが冴え渡ります。ただジミー・ペイジあたりと張り合いながら実験的なクロスオーヴァーをいろいろ試みていた当時と違って、曲展開の美しさには80年代の成果が見える。ん、もしかして(もっぱら酷評しかない)このアルバム、サバス全時代の集大成なのか?そんな風格はまあ、ないですが…。
ヘヴィ系で押したそうなフシが強く出ているだけに、流れ上の都合ではさまっているとしか思えないフツ〜の泣きバラードには却って興ざめの感も。盛り込むだけ盛り込んだはいいがひたすらアンバランスなのがこの盤の損なとこでしょうか。入り込めるファンなら泣きどころ満載なのですが。いわゆる様式美三部作時代のセルフオマージュな"Guilty As Hell"やタイトルトラックなんかもポツンと入ってて、一応トニー・マーティンを立ててるアイオミ先生は優しい人だなあと涙を誘います。終盤の"Rusty Angels"は完全に「MOB RULES」時代のニオイで、ここではトニー(マ)も仕事のしかたを分かってる。コージー・パウエル(ds./R.I.P.)がところどころ粗いのが惜しいですね…。ちょっと細々しいドラムの音作りも好ましくない。これでは後味が悪いのでそのうちイングヴェイの「FACING THE ANIMAL」でも取り上げようと思います。
結局買いですかどうですかという話は、ここまで色々と思わせるのだからファンなら買い、としておきましょう。「三部作こそが神盤」とか「ロニー加入の時点で既にサバスは死んだ」とか「イアン・ギランこそが歴代ベストシンガー」などと偏った持論を固持しない、心の広いファン限定ではありますが。「ブラックサバスって『ビョ〜ン、ベ〜ン、ボヨボヨボヨボヨ〜ン…』(注:"Black Sabbath")と『ゲッホゲッホゲッホ!』(注:"Sweet Leaf")だけじゃなかったのね」と興味を持たれた方は、是非深入りしてみてください。このアルバム以外から。
26 May,
2008
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収穫はなし。今月の途中からのレビューに取り上げてるネタのマニアックさはひどいなー。反省の色のない口調。
▼バンドの音源を試聴できる所を増やしてみてます(→
audioleaf、
Diesel:U:Music)。Diesel:U:Musicの方はスタイリッシュすぎて非常に使いにくい。一般訪問者が見る状態のプレビューすらできないんですが、大丈夫なのか。あまりにも素っ気ない面構えなので、無意味なブログを1件書いときました。ちゃんとアメリカンな笑いになってますか。
本日のレビュー:LIFE OF AGONY「SOUL SEARCHING SUN」
グランジブームと渾然一体となって存在していた90年代ヘヴィロック界の寵児(≒水モノ代表格)的存在・LIFE OF AGONYの97年作です。こんな時期まで頑張っていたとは。内容は何故か軽くTOOL化していたり、QUICKSAND化していたり、STONE TEMPLE PILOTSとか風だったり、昔はあんなに
青筋立ててみっともなく絶叫していたのに随分シュッとなったものです。ただのぬるいバラードなんかも入れちゃって。初期作はもうちょっと、何だかこういうのが流行ってるらしいぜグオォォオ!という大雑把な勢いが感じられたのが、こういう人達が普通に利口になると実に普通だな。「エキセントリックになったつもりがただエキセントリックとされるものに食いついてみた」「ひと皮向けてよりコマーシャルなステージに進んだつもりがただ小ぢんまりしたポップスに接近した」という。まんまと時流に飲まれてるだけに、その時代の空気というものを強烈に意識させてもくれるわけで、こういう時代は私は好きなのでそんなに問題ないのですが。もしかしてRIVAL SCHOOLSが大好きな人にはど真ん中でツボだったりするかも。質自体は確かです。
25 May,
2008
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24日の収穫、メールマガジンにつられて行ったバナナレコード栄店にて
FRONTLINE「THE STATE OF ROCK」、
NOCTURNUS「THE KEY」、
TESLA「PSYCHOTIC SUPPER」、
PRIDE & GLORY「PRIDE &GLORY」(輸入盤に買い直し)、
LIFE OF AGONY「SOUL SEARCHING SUN」。エクストリームミュージック100枚以上激安大放出とかいって、そんなものの影もなかったわ。前も似たようなことがありました。もうこれからバナナはコメ兵の前にポップクラブの元店長氏が出張ブース出してるときだけ見ます。
▼そして迂闊にも
本日25日の収穫、名駅69にて
TALL STORIES「TALL STORIES」(TYKETTO〜JOURNEYに加入するスティーヴ・オージェリー在籍のバンド、91年)、
芸能山城組「SYMPHONIC SUITE AKIRA」。今月はよく買った。
▼おおっ今年のフジロックROOKIE A GO-GO出演者発表が今日でしたか。ここ数年は時間が経つのがめっきり早いと思っていましたけども、去年のこの日を基点に考えると、そこからは結構みっちりした一年だった気がします。フジロック前後で何かが変わったというより(無論ラジオ出演だとか珍しい経験もさせてもらいましたが)、余りに何も変わらなすぎたお陰で、根つめて多少なりとも体力をつけたという感じ。何かやってくれるだろうという期待込みで我々のような無名の存在を起用してくれたんだろうから、もらった梯子を片手にハナクソほじって呆けていてはいかんよな。ああ
悩ましき諸問題。
本日のレビュー:FRONTLINE「THE STATE OF ROCK」
感動しました。SHYやTWO FIRES以来の超大粒メロハー大名盤。94年発表で、当時もBURRN
!藤木が全曲名曲の勢いで大絶賛していた記憶があります。何となしに地味なバンド名に、そもそもドイツのメロハーはどんだけ頑張ってもちょっとイモさがなあ…と思って今まで気に留めずに生きてきました。大間違いだった
!!泣き咽ばんばかりの哀愁を爽やかコマーシャル仕立てにしてくるコーディネイト力は正に「EXCESS ALL AREAS」の頃のSHY。しかしキンキンいいすぎずハスキーでかっこいいヴォーカルのお陰で、マニアックにならず、アメリカのバンドにも通じる良い意味での軽さをもたせております。まーでも本質はそんなオマケじみたところではなくて、とにかくグガッとひっ掴まれるかのようなメロディの訴求力こそが凄まじい。80年代に10代を過ごした人なら(私はほとんど入れ違いですが)誰でもポッとなるはず。TAKARAやHARDLINEやそのあたりはもっと要領よくやってくれたらなあ…とお思いだったメロハー愛好者の方々は是非手にするべきです。この手のジャンルは、時代を経ても音楽的に変化していくわけではないので、名盤名盤と騒がれたからといって「その時々のリアルタイムリスナーの心に残る良作」どまりのものも多いですが、これは(近い年代の作品でいえば)MASQUERADEの1stやTHE STORMとも並ぶ永遠のマスターピースでしょう。どこに消えたんだろうと思って調べてみたら何とまだ
現役でした。頑張れ
!!
23 May,
2008
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収穫はなし。部屋のイスが壊れたので、去年フジロックに持っていった高さ25cmくらいの折り畳み携帯イスに座って生活しています。尻いたい。ここでイスを買おうとしてるわけですが、何を基準にいくらくらいのものを買ったら妥当なのか、イス
!?これを機に、いたずらにPCのまえでダラダラ安住できない生活を強いるのもありだな。
▼
モンテールの新作、今春はチーズものが冴えてますね。一方、ロピアと愛知牧場のコラボシリーズの猛追も凄いです。
本日のレビュー:IAN PARRY「SYMPHONY OF DREAMS」
VENGEANCEなるバンドを経て、ELEGYのフロントマンとして知られたオランダ人シンガーの93年ソロ。ディストリビューションは倒産済みのSEMAPHORE、リリースはNON-STOP PRODUCTIONSなる怪しいレーベルから、国内盤を出していたZERO CORPORATIONも随分前に閉鎖になり、八方塞がりでそろそろプレミアがつきそうな品でございます。ELEGYは
非常にマニアックな音楽性のバンドだったので、狂ったようなハイトーンを放つ前任者の方が私は断然好きで、この人の加入以降の作品には「なんかそんなにシッカリされてもな〜…」とあまり入り込めずにいました(まあそれ以前も別にファンってことはなかったですが)。
ならば普通に垢抜けたコマーシャル路線を歌えばバッチリはまるんじゃないか?と思って、彼にあんまり好印象を持っていなかったにも関わらずこの盤を買ってみたところ、大正解。AORにかなり接近した王道コマーシャル北欧HRを、ガッシリと歌いこなしてます。タイプは多少違えどマーク・ボールズみたいなどっしりした信頼感がよいですね。何やらルー・グラム(vo./FOREIGNER)とヴィヴィアン・キャンベル(g./DEF LEPPARD、ex.DIO)のSHADOW KINGなんかを思い出す。アクが強すぎず普通にソウルフルなスタイルの歌唱なので、メジャーの大舞台に出たとしても絵になる感じ。ダサすぎて救いようのないインチキファンクヒップホップやシャッフルブルーズが混じってるのもご愛嬌ということにしておこうじゃないですか。ギターソロ直前で放つ「カモンギター、メン!」に燃えた。何曲かは名曲。ファンは苦労して探して買っても後悔しないでしょう。
22 May,
2008
▼
本日の収穫、オークションにて購入の
BLACK SABBATH「FORBIDDEN」(95年)。明らかに最近、恵まれないCDばっかり好き。
▼小田和正の楽曲のCMや特番への起用のされかたが、ますます「いのち系シンガー」みたいな扱いになってきてるようで、そんな場面をみると私は少しニヤッとします(もちろん内心だけ)。でかい一発の効果(保険のCMのこと)てのはよほど絶大なんですな〜。カズマサさん素敵だわ、とコロッときたご婦人は是非、昔のソロや後期オフコースの作品を買ってドスケベな口説きにドン引きしてもらいたい。
本日のレビューその1:OXIPLEGATZ「WORLDS AND WORLDS」
初期AT THE GATES、および前身のGROTESQUEや
LIERS IN WAITにもいたというアルフ・スヴェンソンが、AT THE GATES脱退後にはじめたプロジェクトの2nd。妄想サイバーで思いっきりチープなアートワークに、これは何か強烈なものがありそうだと期待して聴いてみると、BAL-SAGOTHと一時期のDODHEIMSGARDの中間といってはホメ過ぎなローコスト・思い込みシンフォブラックみたいな内容でした。せめて生ドラムだったら良かったんだけど、ストリングスやブラスなども含めて(歌・ギター以外)全部打ち込み。壮麗なだけで大して変態でもありませんでした。AT THE GATESファンは無理に探すことないでしょう。あ、アルバムの前後半で全然プロダクションの質が違ってて、後半(フレドリック・ノルドストロムによる)はSOULGRINDみたいなものとして楽しめました。続く。
本日のレビューその2:SOULGRIND「KALMA」
フィンランドのSEPULTURAかCARCASSと個人的には呼びたい、老舗変態ヘヴィゴシックのSOULGRINDがHOLY RECORDS移籍第1弾として放った大名盤。リズムのレパートリーがやたらとガレージロッキンなのは、
XYSMAや
PAKENIみたいな、フィンランド独特のいわゆる"グラインドロック"の血脈ゆえなのか?ダウンチューニングで肉を骨ごと削るようなリフのセンスはまさに後期CARCASS。ヴォーカルのデス声がやけにアホで、道端のハトのふりをした変態男を締め上げてやったみたいな軽〜い(けどかなり必死な)高音わめきが、居直った感じの楽曲と抜群にマッチ。たまに入るゴシック風女声コーラスや大仰なシンセもそれとの対比で何だか笑える。もう10年近くも前の作品ですが、未だに「心に残るベストデスメタル10選」に入れたいくらい好きというか理想に近い。このアルバム以前は普通に素人を寄せ付けないカルト・アヴァン・ゴシックをやっていて、以降は何だか引っ掛かりに欠ける感じになっていくので、買うならこれです。
21 May,
2008
▼
収穫はなし。連載のCDレビューコーナーに混じらせていただいている
フリーマガジン「SCHOP」編集長のU原さんの紹介で、新聞の文化面にCLIMB THE MINDのライブ評を寄稿させていただきました。短くてストンとわかる文を書かねばならなくて、それ普段全然やってねーな〜と、この日記を省みるほどに痛感することしきり。
文章に限らず(むしろこの日記のことはさておいて)、世の中の全てがわかりやすくある必要は別にないですし、近寄りやすさとその物の価値とは必ずしも単純な比例関係にないとは思いますが、広く理解されればされただけ、そこに発生する何かの絶対量の合計が大きいものになるのは確か。孤高の変態スタイルを誇っていたミュージシャンがそのうち表向きだけ丸くなって、覗き込めば変わらぬ素顔が見えはするが、より大量の人間を手玉に取れるようなステージに進む…という変化(ないし勝負)を私はたいてい支持してます。わかりやすくなった頃には対峙するべきものが何も残っていない、という「退化的洗練」と見かけ上ほとんど紙一重だったりするから、表現行為が産業になる世界には良くないことが大変多い。
…以降、どうせ「要するに世の中(の大衆音楽は7割方)ろくでもない」という方向でグッタリ煮詰まって終わるだけなので、先に要約しときました。話の起点をすっかり忘れてお決まりの持論に引きずり込むとは、脳みそも曲がり角過ぎたか。
本日のレビュー:BARNEY KESSEL「EASY LIKE」
そんなに色々知らないなりに一番好きなジャズギタリスト、バーニー・ケッセルが56年に発表したアルバム。シェリー・マン(本作にも参加)&レイ・ブラウンとのPOLL WINNERSでの綱渡り系トリプルボケ・トリプルツッコミに見せる冴えがやっぱり好きですが、ピアノや管楽器を随時導入するこのアルバムでも、これぞという持ち味がしっかり詰めあわせになってます。弾けてないと言われても仕方ないんじゃないか?というくらいのタメ感(特に高速パッセージでの引っかけ具合は凄い)、伊達男のニヒルな笑いの如きチョーキング、一人にされると途端に張り切る鍵盤楽器/ビッグバンド風ヴォイシングの鮮やかな切り返しなどなど。親しみやすくてキメ込み過ぎないが時々キリッと底力を垣間見せる、「いなたい」と「ズッコケ」の間をいくような変なダンディ具合がいいです。ジャズに気疲れしたくない人はウエストコースト。
20 May,
2008
▼リニューアル後のこのインチキCSSレイアウトを何とか正しいものにしようと、ときどき手を入れてみるのですが(昨日も夜にそれやってて肝心の日記を更新しそびれました)、DOCTYPE宣言を書き入れた途端にスクロール不能になったり、文字が全部どこかに行ったりと、ひどい仕打ちに遭うので泣きそうです。
▼
本日の収穫、アマゾンマーケットプレイスにて入手した
MARSHALL LAW「MARSHALL LAW」。これは世界で結構なプレミアがついているオリジナルの西ドイツ盤でして、ディスクヘブン名古屋本店で奇跡的に新品のまま残っている在庫は4,800円で売っていたりします。eBayも探しましたが、上に書いたとおり日本のアマゾンで2,000円超で売りに出ていたので即ゲット。本当にありがとう。
本日のレビュー:MARSHALL LAW「MARSHALL LAW」
(日記本文からの続き)そんな入手困難な品をおすすめしても仕方なかろうと言われそうですが、2003年にジャケ違いでリイシューになっている上、国内盤中古ならまだ探しやすいと思いますので、続きを読んで気になった方は是非どうぞ。
さてこのMARSHALL LAWは、
以前も紹介しましたけども、大英帝国が生んだ正統派HMの隠れた救世主(ということは救えてないですが)。のちに若干スラッシーな雰囲気漂うUSパワーメタルスタイルに移行するんですが、89年のこのデビュー作はというとまた違った意味でイギリスらしくなくて、スカンジナヴィアの先っぽまでいかないオランダ〜デンマークあたりの北欧テイストがプンプンする非ネオクラ・哀愁直球メタルを展開。JUDAS PRIEST譲りのエンジンに
VANDENBERGやPRETTY MAIDSの泣きが注入されたかのような、旧型メロディックパワーメタルの理想形中の理想形で真っ向勝負に出ています。これに何もいわず胸を震わせられるメタラーでありたい。
マイク・ハウ(
METAL CHURCH)にどことなく北欧っぽい明るいハリを加えたようなシンガーの声質および歌唱も一流として申し分なく、印象的なフレーズをうまく前に出せるリードギターもかなり達者。スター性があるといえるくらい素晴らしいバンドなのに、どうしてもっと成功しなかったんでしょうか?こういう内容のものは、20年・30年経っても、イタリアンプログレのC級・D級バンドによくある「とりあえずレアだからプレミア」というのとはちゃんと区別されて、「希少性はさておいてもHM史上に名を刻むべき名盤」として守られていてほしい。
17 May,
2008
▼いけませんわ。
本日の収穫、岐阜の聖地・ざうるすにて
BLUUURGH...「IN MY EMBRACE」(WITCHHUNT
!!)、
CEREMONY「TYRANNY FROM ABOVE」(CYBER MUSIC
!!)、
ROSICRUCIAN「NO CAUSE FOR CELEBRATION」(pre-SLAPDASH
!!)、
IAN PARRY「SYMPHONY OF DREAMS」(ダッチHM名シンガー、93年作の超貴重なオリジナル盤
!!)、
TAJ MAHAL「MO' ROOTS」。感涙ものの買い物であった。以前の店舗から歩いて1分くらいのところに移転して、ちょうど昨日から営業を再開したところだったとのこと。店内でそのまま流すというかたちですが試聴もできるようになってました。古いものから新しいものまで、見飽きた感じのやつではないちょっとディープなレアメタルがボコボコと埋まってて、行く度に感動して帰ってくる(遠いので年に1回前後ですが…もっと行くべきだなと今日思いました)最高な店です。
ウェブ通販もやってますのでチェックしましょう。
本日のレビュー:FACE DOWN「MINDFIELD」
THE HAUNTEDからシンガーのピーター・ドルヴィングが抜けていた期間に代役を務めていたマルコ・アーロがもともと在籍していたスウェーデンのバンド。こちらは95年の作品です。なんとなくバンド名の響きやアートワークの雰囲気からして、PANTERAチルドレンみたいなところに属したそうな音を想像してたんですが、思ったより普通にスウェディッシュ・ロックンデスの王道を往く内容でした。「WOLVERINE BLUES」以降のENTOMBEDと「CHAOS A.D.」の頃のSEPULTURAを足してもうちょっと単純にしたような。いかつい咆哮声でメロディをなぞるスタイルはフィル・アンセルモというよりやっぱりマックス・カヴァレラ風。節回しにときどきジェイムズ・ヘットフィールドが匂うときもあるんですが、そういえばMARY BEATS JANE時代のピーター・ドルヴィングもジェイムズ激似系のヴォーカリゼイションで押してたことを思い出しました。THE HAUNTEDって意外と普通の歌唱力を重視した人選をしてたのかーとこんなところで知る。と、このバンドに関係ないことはさておき、スローダウン後のENTOMBEDやGRAVEやDESULTORYにこそロックを感じるというフェチにはばっちりおすすめ。逆にデスラッシュ大好きのTHE HAUNTEDファンみたいな人は、無理して聴いて「特に個性のない『モダン・ヘヴィ・サウンド』であった。」とか流布されては困ります。
16 May,
2008
▼「最近CD買ってない」、この言葉が脳内にのさばり始めるとマズイです。実際に何枚か買えば「最近CD買った」になるはずなんですが、買ってない気分が終了する時期は必ず現実の状況との大きな開きがある。ということで昨日から更に買い続けて
本日の収穫、サウンドベイ金山店にて
STUFF「STUFF」(フュージョンスーパーグループ、76年1st)、
MARTY FRIEDMAN「SCENES」(92年ソロ、喜多朗プロデュース
!!)、以下バーゲン品で
FACE DOWN「MINDFIELD」、
OXIPLEGATZ「WORLDS AND WORLDS」(ex.GROTESQUE〜AT THE GATES!)、
SIC VIKKI「KISS ME IN FRENCH」。
▼家族が北海道旅行から帰ってきて、不正発覚→再起以来はじめて「白い恋人」を食べたら、というか手に持ったら、分厚かった。中を見たらやっぱりチョコ部分も生地部分も厚くなってて、特に生地部分は表面のカリカリ度が増した仕上げになっていた。
本日のレビュー:BLACK SABBATH「CROSS PURPOSES」
昨日は「ヴォーカルが本人で、バックは限りなく本家」という哀愁盤をご紹介しましたので、今日は「バンドは本物だがヴォーカルは最善のレプリカ」という逆のケースを。ご存知BLACK SABBATHが94年にリリースした哀しき大名盤です。
今一度解説しておきますと、通常「サバスといえばオジー」というのが一般的な認識かと思いますが、その次にRAINBOWから移籍してきた稀代の名シンガー、ロニー・ジェイムス・ディオ時代がありました(その時期のラインナップでHEAVEN AND HELLとして復活中)。彼が抜けてからはイアン・ギランやらグレン・ヒューズやら、何故か引き続きリッチー(・ブラックモア/ex.RAINBOW、DEEP PURPLE)絡みの人材を一時的に借りる期間が続き、その後かなり長いこと在籍して80年代後期の「様式美サバス」を支えたのが
トニー・マーティンという男。本日の主役です。
80年代以降のBLACK SABBATHは、いわゆるドゥーム・サバスとはかなり違って、荘厳な美しさをアピールするような方向にシフトしています。ただ、90年をまたぐと、自らが遠い昔に撒いたヘヴィロックの波が世間をすっぽり呑み込んで自分達のもとに返って来ることになり、本家ならではの強みを自覚しながらどうやって時代の尻に敷かれないようにガツンとキメるか?というなかなか難しい局面を、このアルバムを含む3作(あとは「DEHUMANIZER」と「FORBIDDEN」)では鮮やかに乗り切ったと思っています。
基本的に往年のレパートリーのいくつかのテンプレートに忠実な曲を無難に配しながら、"Psychophobia"や"Virtual Death"などチャレンジングなヘヴィチューンの出来もちゃんと素晴らしい。そして若き逸材トニー・マーティンの歌唱…彼は節回しも声の作り方も、過不足なく(にやっぱり0.001の不足があるくらい)ロニーそのものなのです。そうそうこういうコブシ入れそう入れそう、うーん今のメロディは「ぽい」!と、彼の熱唱を聴けば聴くほど、ロニーが熱唱する「本当の完成形」に憧れてしまう。更に悪いことに、彼にはかなり優れたメロディセンスがあって、どんなに難しいリフが横たわっていても「これ(ロニーが歌ってたら)サバス史の中でも突出する名曲だ(ろう)な〜」と思わせるものに仕上げてしまうのです。いっそ誰にも似てなきゃ良かった。でもロニーそっくりの彼は素晴らしい。ちょっとハスキーな声もかっこいい。普通に若手バンドの実力派看板シンガーとして登場すれば良かったのにね。などとどこまでも哀しい考えが廻ってしまいます。若々しい声との対比でトニー・アイオミの味わい系ギターが必要以上にヨタって聞こえるのもあんまり良くないかも知れない。
それでもサバスファン、ならずともメタルファンなら一度は聴いていただきたい。名曲だらけのこの内容をスルーするのは勿体ない。HEAVEN AND HELLとしてまたロニーを戻して活動したり、そのうちオジーでオリジナルサバスもやると言ったりする一方で、トニー・マーティンだけは「彼と再び一緒にやる必要なんかない」みたいな発言をされているとしても。あっそろそろハンカチに手が伸びた人もいるでしょうか…。EMIはもういっぺんちゃんと再発しなさい。
15 May,
2008
▼あ、
14日の収穫は大須GREATEST HITSにて
BARNEY KESSEL「EASY LIKE」、
本日15日の収穫は植田のへんのブックオフにて
DAVID LEE ROTH「DLR BAND」、
BLACK SABBATH「CROSS PURPOSES」。今日は買い物についていろいろと言い訳をしたいです。
まずバーニー・ケッセルは日頃ファンだファンだと言っておきながら、「入門の1枚」扱いのこれを今まで買ってなかったのか?そんな奴はモグリだ!と罵るなら罵ってください。本当にすいません、なるべくないようにしたいと思いながらそういうのよくあります。でもPOLL WINNERSシリーズで満足だもんなー。
そしてサバスですが、中学2年か3年のお年玉で国内盤新品を買った思い出の一枚であったりします。その後収集が進むにつれ、結局これ以外全部輸入盤で揃ってしまって、棚の見栄えが悪いぜ…と思い続けて数年。いつの間にか海外リリース元のI.R.S.は廃業になり、この時期のシンガーのトニー・マーティンを割とどうでもいいというような発言を後になってメンバー自身がしていることもあり、瞬発的なリイシューはあってもほぼ廃盤状態が続き、そのあいだにアメリカのアマゾンでは中古品がおそろしく高騰し、日本で探せば日本盤ばかり…という八方塞がりな状況に。特にこれの次作の「FORBIDDEN」はもっと凄いです、当時の評判も良くなかったから恐らく出回ってる量も少ないと思います(持ってないから欲しい!外盤で)。まあ偶然見つけたらいつでも買おうと、気長に待つことを心に決めていたのでした。ありがとうブックオフ本当に。内容も素晴らしいのでそのうちレビュー行きにします。
でデイヴ・リー・ロスは本日のレビューで。
本日のレビュー:DAVID LEE ROTH「DLR BAND」
キング・オブ・ロックンロール・クラウン・オブ・ザ・ワールド、元VAN HALENのデイヴィッド・リー・ロスの98年作。前のアルバムから4年のインターバルを置いて発売されたこのアルバムは、何とインディリリース
!!ほとんど無名の新人を起用して、バンド形態をアピールしたいように見えるが曲によってパーソネルはまちまち。これは何たる事態だったのかと今になって驚いて、500円でゲット。
まっとうになファンにとっては聴く前から見送る要素満載なわけですが、内容はかなりいいです。ビリー・シーン&スティーヴ・ヴァイが離れてからはちょっとアダルティ〜な雰囲気も見せていきたいような感じをチラつかせていたのが、ここではバッサリ居直って初期VAN HALENの徹底再現づくし。エゴなき若手をバックに従えてるだけに、みんな素直にエディ・クローンを演じてくれます。そもそもデイヴ自身は当事者であるので、変に似ないように意識するよりもこの方がいっそ潔い。みんなエディのいろんなとこを見てるんだなあと感心します。他のパートもなかなか健闘。若返ったかのように派手なハイトーンをかますデイヴも楽しそう。ここまでやられると、何故か突発的に入るZEPごっこな曲(VAN HALENでもたまにあるものの、さすがに「ZEPをモノマネするVAN HALENのモノマネ」の域までは至らず)やSOUNDGARDENごっこな曲(意外に声が似てるのに気付きました)もただの謎現象の如く浮くかっこうになってますが、それぞれ意外で面白いのでよし。あっスティーヴ・ヴァイ時代のDLRバンドのモノマネもでてきた!この男、逆境でもとことんやるな〜…と感心するとともに、「オリジナルに限りなく近いレプリカ」にはどうしても拭いきれない哀しさもつきまとうものだということもいろんな角度から強く実感してしまいました。その上で敢えて初期VAN HALENファンには「買い」といいたい力作。
▼(
先月19日の続き)家に帰ると、差出人が「DAVID PAJO」の郵便物が届いている。シュールじゃないか。ということで
本日の収穫、
DEAD CHILDのオフィシャルサイト上で催された間違い探しゲームに優勝して獲得したTシャツ・ポスター・リストバンドセット
!!シブイ。いい。
本日のレビュー:SLINT「TWEEZ」
デイヴィッド・パホを振り返ろうということで、とりあえずSLINTです。90年代ポストコア/ポストロックのスイッチを踏んだ張本人バンド。録音の素晴らしさも込みで永遠の名作となっている2nd、の影ですっかり霞むこちらの1stはどうだったかな?ということで聴き返し。
まずアートワークがまんま往時のKILLDOZERとかっぽくて、ああ、もともとはTOUCH&GOのいち所属バンドだったんだというのを思い出しました。内容は、やっぱり時代錯誤なコーラスがダクダクに乗ったギターサウンドのせいで随分と近寄りづらい。ですが今回はそこでめげずに頑張って入り込むのが目的なのです。曲はそれぞれ方向性がまとまっていないなりに、いろんな形での自由を実践しようとしている感じでしょうか。単なる変則拍子とも違う脱拍子・拍子崩壊・拍子すり替えが頻繁に行われ、ギターはポストパンク/ニューウェイブ時代以上に持ち場放棄が著しく、ヴォーカルパートと呼べるほどの形もないスポークンワード。曲が勝手に分解してしまいそうなところをつなぎとめるのは意外にメロディアスなベース(このあたりの図式はTORTOISEにも受け継がれる)。アメリカーナな要素は多少見え隠れするもののまだまだ薄い。
総じて、80年代のポストパンク/ハードコアバンドたちがロックの定型を断ち切るべくめいめい行ってきた逸脱実験の、成果の部分だけをうまく統合して、偶然の産物と思われたものに新しい意味ないし方向性を持たせたというのが、このバンドがその後のポストロックシーンに対して果たした意義だったんではないかと思います。なので「ハードコア以降」とはいっても実際のハードコアとの断絶はかなり大きい。
ところで「2作目とそんなに何が違うのか」ということについては、のちにKING KONGを結成するイーザン・バックラーのユーモアセンスが結構影響してるようにも感じました(彼は本作限りで脱退)。何故か愉快げなリズムパターンが入ったりするのはきっとこの変態洞窟男の仕業です、KING KONGファンが察するに。KING KONG新作出てないかな。あと、DEAD CHILDに通じるメタル趣味の片鱗がないかと探したんですが、ダウンチューニングでいかついリフを走らせたり、ヴィブラートつきのピッキングハーモニクスをかましたりと、さほど顕著ではないもののそれらしい事象がボチボチ散見されました。結局のところアルバム最初から最後までビシッと空気が張りつめた次作「SPIDERLAND」の方がいいなあという感想に変わりはないものの、こっちも思ったよりちゃんと中身のあるアルバムでした。
12 May,
2008
▼収穫はなし。今日も特に、「鼻毛を抜いてすっきりしたぜ。」くらいしか。あ、久し振りにココイチに行ったら30円値上がりしていた…ですがガッカリしません。原料価格高騰にめげず頑張ってココイチ!イカフライカレーがほんといい。
本日のレビュー:31KNOTS「A WORD IS ALSO A PICTURE OF A WORD」
新作のリリース予定が今年夏頃で決まったというので、ひさびさに聴き返し。いわゆるポストロック/マスロックの範疇で語られるアメリカのズッコケトリオの2001年作。ブームもひと段落ついたというか、「おお新しい!」という盲目的な熱狂ではなくなった今になってじっくり冷静に聴くと、彼らが別にそういうカルチャーに乗っかって遊んでいたわけではないことがよく見えてきます。いささかねっとりした哀愁を常につきまとわせて、あくまで歌で曲をまとめる姿勢。ポストロックというと無機質な事象の羅列をそのまま楽しむものといったイメージがありますが、彼らの場合のポスト・ロック・アプローチの真髄は、そこではなくて「歌の拡張」にあったんじゃないでしょうか?演奏の変則性も、形ある楽曲というものに対する挑戦というか。無機質音響派とどちらがいいというものではないにせよ、こっちだとより多くの聴き手に向かって開放されているというのは確かでしょう。ライブを見てみても、珍妙な節回し(必ずしもヴォーカルパートのみによらない)の連発には誰もが微笑みます。何にせよ「伝えて、引っ掛かり続ける」ように手間や気力をちゃんと注いで作られたものってのはいいなあというのが近頃の気分です。
11 May,
2008
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収穫はなし。まさかのバージョン違いダメ押しで来ましたね、「俺ミラじゃねぇーし」。何となく続きが気になるあのシリーズ。2〜3年後に見てもきっと何だかわからないCMネタでした。
なんもない時は手抜きします。
本日のレビュー:TAROT「STIGMATA」
ロニー以降の様式美BLACK SABBATHを全力で再現するフィンランドの中堅TAROTの95年作。おもむろに。ベーシストをNIGHTWISHに絶賛貸出中ということで話題を集めたのか、旧作一挙リマスターなんてことにもなりましたね。このアルバムは芯の据わったヘヴィネスが魅力で、サバスでいえば正に「DEHUMANIZER」と「TYR」の中間路線。ミステリアスでどこか勇壮。キーボード奏者が正式メンバーとして在籍しているだけあって、ちょいとプログレメタル風な表情も。鉄壁の演奏力も頼もしいですが、
トニー・マーティンをハスキーじゃなくして太めのハリを加えたようなヴォーカルの良さがとにかく全体の印象を底上げしてます。かなり久し振りに聴いたけどいいアルバムですわ、サバス模写に励みながらも、ちゃんと自前のセンスの良さが手伝ってのこの曲のツブ立ちでしょう。これを面白くないと抜かす輩は、これを聴いて脳内にロニー(もしくはロニーになりきるトニー・マーティン)を投影できるだけのサバス愛を持ち合わせない輩だ。ということで普通の様式美を聴きたい人には多分ただ煮え切らない出来だと思いますよ。そういう物足りない具合も手伝って改めて好きだなあ。結局B級C級なら何でもいいのか?と言われちゃいそうですが、首尾よく完璧なだけのバンドって、(圧倒的なオリジネイター以外は)どこ聴いていいのかわかんなくてつまらないです。
10 May,
2008
▼収穫はなし。昼は焼きそば、夜はハンバーグ。
本日のレビュー:BANCO DEL MUTUO SOCCORSO「BANCO」
恐らくすべてのユーロロックファンを失望の淵に叩き落したであろう、イタリアンプログレの旗手バンコの83年作。一応
前振りらしきものがあったとはいえ、この転身ぶりは90125YESの比ではありません。バンドの前歴は忘れて爽快高揚系AORとして聴くしかない。というか、そうと開き直ってしまえばかなり出来のいい作品です。
GENESISミーツKANSASてな冒頭曲からかなり最高。ミュンミュンうなるデジタルシンセ。ジャコモおじさんも力まないときは非常に澄んだ美声を操る人なので、ここでも予想通りごくごく順当に気品あるAORシンガーとしての役を全うしておられます。ピアノバラードで朗々と頑張ったりするときはちょっとテノール歌手みたいになってまた素晴らしいですね。全体的には80年代ポップスの世界基準にキャッチアップしているんだけど、どこかツカミの鈍くさいフレーズやリズムが平気に出てきたりするあたりがイタリア産ならではなんでしょうか?売れ線に走っているのに歌詞を英語に切り替えてないのが偉い。「ほとんど高品質なんだけど何か疑問を拭いきれないイタリアンAOR」として好き者のDJに食い荒らされたりするもよし、プログレもプログレハードも産業ロックも全部好きだという心の広いマニアに涙を注がれるもよし。これより後の作品はもっとエレドラやキラキラシンセの比率が増えてるんだろうかと思うと、そっちまでチェックする気になりませんが、とりあえずこの一枚は非常に上手くやった充実盤ということでいいと思います。
9 May,
2008
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本日の収穫、今池P-CANで
BANCO DEL MUTUO SOCCORSO「BANCO」。でその後、CLIMB THE MINDのレコ発を祝いにハックフィンに行ってきました。
到着したらシークレットアクトのHELP MEが演奏中。変態展開ありのアングラハードコア。NICE VIEWみたいなバンドが牽引しているお陰か、名古屋で見るこの手のバンドは平均的に質が高いです。ALLieにも在籍しているドラマーのケンタロウ氏はいつ見ても壮絶。行かなかったEXTREME THE DOJOの代わりになりました。
続いては初めて見るツクモク。もの凄く乱雑に大別すればクラムボンをインディロック寄りにしたような感じといえるんでしょうが、何をやっても68〜72年アメリカの空気を絶対外さないという、若いのにシブい男女混成5人組。いつもピアノが鳴っているというのは凄くいいな。いきなり入るプログレ風の展開にグググッと来る。
3番手は京都からdOPPO。インドア文学肌と天然野生児肌が混在する、関西ならではの個性派。少ない音数が「トリオとは思えない音の広がりを…」みたいに周到に空間を埋めたりもしないこの感じは何なんだろうと不思議だったんですが、もしかしてこれはSEBADOHなのでは
!!と思いました、しかもジェイソン(・ロウエンステイン)の曲を演奏するときの。全然狙ってのことではないんでしょうけど、稀有な存在です。
そしてメインのCLIMB THE MIND。あれだけ素晴らしいアルバムを作り上げたせいか、長いキャリアの中で着実に愛されてきたからか、客席はもう初来日の外タレを待ち焦がれるようなムード。音楽性については
CDのレビューを参考にしていただくとして、音源化されるとどうやっても「頑張ってるヴォーカル」「緻密なドラミング」という風に切り取られて乾燥してしまう各種事象が、生命を得て目の前にある、ということに感じ入ってしまうだけの演奏の説得力というか、ザクッと訴求する強烈にシャープな指向性。感極まって泣いているのか?と思うような顔で歌い込む山内氏、たぶん本当に感極まっている状態と、バンドの曲を伝える時とで精神状態が変わらないんでしょう。
演奏体として良い状態にあるだけでなくて、イントロごとに歓声があがるほど名曲に恵まれているというのが何よりの力強さでもあります。この界隈のバンドに多い「何々が好きな人を喜ばせる感じの曲」もしくは「ただただ突飛」という域をとっくに卒業した、貫禄の独自性。やっぱりバンドは歳とってなんぼです。ただ現時点で食傷気味になるほどではないものの、この「荒立たないフォークギター+シカゴポストロック風ドラム+サブメロディを流し続けるベース」という図式は今回のアルバムでガッチリ完成を見ているので、この次に更に攻めの転身をかましてくれるかどうかを期待して見守りたいところ。99年結成以来(EPリリースはあったものの)初のフルアルバムだったということは次はBOSTONばりに9年後ですか?いや、来年か再来年くらいにまた静かなビンタみたいな傑作を送り出してください。
本日のレビュー:BOSTON「DON'T LOOK BACK」
日記本文からの流れと、今月3日から継続中の見出し元ネタシリーズのフィナーレが美しく同点着地してしまいました。ということで
過去ログページなのに振り返らないでと指図するこちらのアルバム。なんか相当前にもこの欄に登場したような?検索したけど発見できなかったので気にしない。アメリカが誇る寡作AORバンドの、唯一8年以下のインターバルで制作された2ndです。今まで気付いてなかったですがこのジャケ、宇宙船のしっぽにネックがついてて、よく見りゃギターを伏せた形をしてたんですね
!!見過ごしたのはCDサイズの弊害か。ブックレットにも「No Synthesizers Used / No Computers Used」と書いてあるとおり、爽やかなフリして実は隅から隅までギタリストのトム・ショルツの偏執性の賜物なバンドであるわけです。
JOURNEYやSURVIVORほど糸をひく哀愁はなく、FOREIGNERのようにシブくもなく、重厚なコーラスワークをとにかく強調するあたりも含めて高揚感の質はABBAに近いでしょうか?ABBAのハードロック版というか。商業化してきた頃のFLEETWOOD MACとかをポジティブに受け取れるような人には問題なくおすすめ。
ELOファンにもいいのかな。ストーンズを中途半端に親切にしただけのようないかにも聴き流し用の曲も半分くらいあるので、メタルに片足ついたいわゆるメロハー好きには少々薄味かも。まあしかしこのタイトル曲および前作冒頭の"More Than A Feeling"は、知ってるか知らないかで違うというくらいの教養的有名曲であるので、興味が40%くらいしかなくても手頃な値段で見かけたら買ってみていただきたいです。
8 May,
2008
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収穫はなし。宣言どおり、エフェクターを電池で動かすキットが完成してます。
完璧。細部にクローズアップしましょう。
まずは12V用から。単3×8本という仕様なのでロングライフが期待されます。白いケーブル留めは断線防止のため。何となくそれっぽかろうということで、露出している部分はねじりを加えてみました。
もう一つはこちら。24Vのものを作りたかったんですが、12V電池はそのへんで売ってないので、やむなく9V×2本で18V。電池同士を両面テープでくっつけて安定を図っています。こちらも断線防止の留め具つき。
そんなに電源ノイズとか気になってたっけ?などという疑問はもはや抱くまい。自己満足です。もうこれで「エフェクタ(の電源)用のタップってありますか?」とライブのときにPAさんに尋ねたりしなくてよいのだ。そんなにライブとか頻繁にやってたっけ?という疑問も忘れて下さい。とにかく手塩にかけたいのですよ。
▼あ、左のメニューを頑張って固定にしてみました。やり方を教えてと言われても分からないくらいゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャやっていたら急にできた。CSSとはもう少し友達になりたいです。
本日のレビュー:THIN LIZZY「JOHNNY THE FOX」
見出し元ネタシリーズ続行中。本日は「
頻出語句解説」ページに曲名および歌詞の一部があるこのアルバムを。「JAILBREAK」と「BAD REPUTATION」という大名盤に挟まれた77年作。THIN LIZZYの曲が実は全部同じだということに気付いたのは最近です。試しに"Jailbreak"と"Boys Are Back In Town"を両方、歌メロだけ思い出してみて下さい。つまりは心に残る歌メロなんてものがポップスの全てであるはずはないということです。THIN LIZZYは何故こんなに誰からも愛されるのか?そこをグダグダ考証するのはやめときます。
このアルバムはそれこそベスト盤の常連"Don't Believe A Word"以外、あんまりピンで取り沙汰されるような曲が入ってないですが、うっすら地味ながら全然素晴らしいです。
ジョー・ジャクソンばりにビートロッキンな冒頭曲のどこまでもシャープなことよ。他にHM/HR界のどこからもこんなグルーヴは出てきません、ブライアン・ダウニー(ds.)は神様。フィル(・ライノット、vo./b.)が黒人だからというわけではないんでしょうがナチュラルなR&Bテイストがキマる"Johnny The Fox Meets Jimmy The Weed"、"Southbound"系の優しさに泣ける"Old Flame"、ヘヴィこの上ないツーバス16ビートが次作冒頭曲につながる"Boogie Woogie Dance"などなど良曲多数。
曲は全部同じと最初に書いたばかりですが、どこか漂う温厚なアイリッシュテイストを背景に、顔になるギターのフレーズとリズムの組み合わせ次第でかなり意外なところまで自在に攻めこみ、そこを不動のフィル節でグッと締めるというのが彼らのゴールデンルール。とにかくフィルの存在感がでかいわけです。名曲もなにも、どの曲が覚えやすいといった程度のことで、基本的には全部最高。もうレビューの体をなしておりません。THIN LIZZYはみんなの故郷。
5 May,
2008
▼収穫はなし。断続的なひどい雨がどうしようもなく、しかも姉夫婦が子供連れて遊びに来るし、諸々あきらめて大人しく在宅。キャビを買ったあたりから機材に金使ってないな〜、そういえば結局ゴテゴテに防磁武装したACアダプタが使いづらいよな〜、と思ってしまったが最後、電源周りの手入れをグダグダと思案し、最終的に電池駆動のパワーサプライみたいなのないかなというところから「じゃ、電池でいいじゃん」ということになって、しかし24Vで動かしているブースターは9Vじゃ嫌だし、電池交換のたびに裏蓋あけるの面倒くさいし、この際ほかのも12V駆動でいこうということで、明日バッテリースナップと電池ケースと熱収縮チューブを買ってきて工作することに決めました。ダメだこの人。
▼遂に独自ドメイン有効化しました。といっても紛らわしいマニュアルを誤解していたらしく早くも他社に移管することになって、ただのURL転送にしかなりませんでしたけども。さあ皆様
www.inurokuon.com/scsidnikufesin
をアドレスバーに貼り付けてみてください。バンドのHPへのリンクも今後
www.inurokuon.com/doimoi
でお願いします!
本日のレビュー:HAMPTON HAWES TRIO「VOL.1」
続々タネ明かしシリーズ。
サイト内検索の実行ボタンがこっそり「恋とは何でしょう(原題:What Is This Thing Called Love)」です。ビル・エヴァンスとかもやってるけどCONTEMPORARY好きなのでこっちを。日中に聴いた記憶だけで書きます(もう寝たいので)、ヤンヤヤンヤと賑わせながらもちゃっかり気立てのよいウエストコースト・ビバップのカガミ的内容で非常に楽しかったはず。馬さんことハンプトン・ホーズ(pf.)は特別何かを閃くようなタイプの弾き手でもなく、軽くもつれ気味になったりもしますが、時代の語り部としてサイコーなのでいいのです。むしろムサムサねっとりと濃厚多湿なマジバップより聴きやすいくらいですね。ジャズはどうしても緊張して対峙せねばならんのか?プレイヤーの気持ちになって一挙手一投足を吟味して「うむ、今のブロウは…」とか言えねばダメか?と懐疑的な向きにはうってつけ。
4 May,
2008
▼収穫はなし。TESTAMENTがアレックス・スコルニックを戻して新作を出したなんて知らなかった!!以上です。
本日のレビュー:METALLICA「KILL 'EM ALL」
昨日に引き続きタネ明かしシリーズで、本日は
サイト内検索ページに収録曲のタイトルを使っているこちら。知名度ゆえにこれまた難易度低めでしょうか。こういう「最初に×××をやった」的な作品は、その後の歴史如何ではリリース当初のショック性が霞むこともあるし、体験した人それぞれの思い入れだけで語られればいい気もしますが、何がそんなにショッキングだったんだろうと今一度じっくり掘り下げてみようかと。
スラッシュメタル(METALLICAのメンバーは当時からこう呼ばれることを嫌っていたそうですが)登場の布石になっていたのはMOTORHEADやVENOM、その他の
NWOBHMバンドとされています。で、NWOBHMマニアのラーズ・ウルリッヒ、比類なき完璧主義者のデイヴ・ムスティン(現リードギタリストのカーク・ハメットは当時
EXODUSに在籍)、和声理論にも精通していたというクリフ・バートン(R.I.P.)、そして今では信じられないが「やせっぽち(bone)」というあだ名のついていたジェイムズ・ヘットフィールドの4人が、それまでの通念を圧倒するスピードとそのコントロールを標榜して作り上げたのがこのスタイルであり、よりアグレッシヴな方向に進もうとしていたメタル界にタイムリーな衝撃を与えた、というのがMETALLICA登場に関する定説です。今となっては「恐るべき攻撃性を非人間的なテクニックと整合性で表現するのがヘヴィメタル」という概念が普通に定着しているだけに、私を含む後追いの若い人には、実際聴いてみてもやや実感を持ちづらい部分がありますね。
要するにその「コントロール」というのは、「深いブリッジミュートを駆使したクリアなバッキングギター」に集約してしまえばよいのではないか?と思います。METALLICAの一段階前のバンド群を聴くと往々にして、新世代の荒々しさを身につけてはいるが、グワシャーッとひろげっぱなしで掻き鳴らされるバッキングギターにどことなくパンク色が見えたりもするもの。METALLICAはその点、速くてもあらゆるリズムをシャープに刻み、それゆえに達成可能となった新次元のズンズン感・ビシビシ感の描写によって一線を画したのではと。しかもそれはある種のクールさをも孕むわけですね。"Whiplash"や"The Four Horsemen"のメインリフ然り。一人称的な歌心のほとばしりあいで熱くなるビバップ時代を、周到なアレンジその他によって「作品」としての高みに落ち着けたマイルス登場のようなものか。
あと1点考慮すべきは、83年にこのアルバムがPHONOGRAMからリリースされた頃は既に、彼らをとりまく盛り上がりがメジャーレーベルにとって無視できないほどの規模になった後なんであって、実際にはアンダーグラウンドシーンをあっと言わせた最初のデモカセット「NO LIFE 'TIL LEATHER」はその1年前に世に広まっていたということ。メジャー契約のバンド達も83年にはけっこう硬質感のある作風に染まっていたりしますが、その1年前と考えると少しは凄味がわかりやすいと思います。更にはその後も先鋭的なサウンドメイキング、メタルの枠を押し広げる芸術路線、そこからのスマートな脱却といったことを誰よりも早く成し遂げ続けたからこそ、本物中の本物の座に就くことができたのだと思います。ある時期以降はいささか太りすぎな気もしますけど。まだ動けるのかいな。
3 May,
2008
▼鶴舞公園内奏楽堂前にて今年も開催された「鶴ロックフェスティバル」一日目に、今年は設営補助・見物・出演・同窓会・即売会・飲食・片付け補助とフルで参加してきました。あとは野外フェスらしく惰眠とかがあってもよかったけど、今年は素早い転換でスイスイ快適に見れたので寝る暇なしでしたな。ああ充実した。嘘つき外国人ネタでポカーンとならなくて本当に良かった。今年でもう11回目とあって、観客の有効年齢層(よくわからずたまたま座って休憩してるご老人とかはとりあえず別枠として)の上限が順繰りに上がっているせいか、年々ベイビー率が高まっていきますね〜。
の続きに何書いてシメようと思ってたら朝になりました、掛け布団の上からドサッとうつ伏せになったまま。皆さんお疲れ様です。
本日のレビュー:KILLING JOKE「WHAT'S THIS FOR...!」
昨日の宣言どおり、各ページの見出しの元ネタシリーズその1です。まずは「
当サイトに関して」ページの、アルバムタイトルそのまんまで難易度低めなこちら。暗黒ミニマルニューウェイブの孤高の存在・KILLING JOKEの81年1stです。「メタルファンには大昔METALLICAがカヴァーしたことでその存在をよく知られている」という意外な事実を非メタラーの皆さんはご存知だろうか(ちなみに曲は1st収録の"The Wait")。
デビュー当初はGANG OF FOURばりの鋭角ポストパンクにあやしいシンセが乗ったという感じでしたが、次作となるこの盤ではより、メタ・トライバルなリズムの反復が催す酩酊性という部分がクローズアップされています。質感を変えてはいますがLUNGFISHの頑固さも少なからずこの人達の影響でしょう。フラぁ〜っとした曖昧なギターにこれまた浮ついたような歌メロが乗る図式と雰囲気は
J. ロビンスがJAWBOX時代から度々オマージュするところでもあるし。
これを聴いても別にメタリックだと思える要素がそうあるわけではないのに、独特のドッシリしたヘヴィネスは何なんでしょうね〜。90年代にはMINISTRY風のインダストリアルメタルに、更にデイヴ・グロールが助っ人参戦した近年の復活作では完全に「最近のヘヴィロック」になったりするわけですが、何となしに納得できる一貫性を感じてしまいます。METALLICAにカヴァーされた俺達という自負ゆえ?タムでバスバスと重くキメるリズムパターンが多いから?ロック自由化を謳歌して好きなだけ堕落とダンスを楽しむというニューウェイブのよくある感じとはやや異なる、強烈にドロドロした偏執性こそ本質か。
2 May,
2008
▼うわ、移転二日目から怠慢してます。収穫はなし。各ページの背景が青いマスに書いてある言葉が全部元ネタありなので、その元ネタを一日1枚紹介していくつもりでしたが明日以降に持ち越しですな。バラす前に全部当てて下さった方には何か進呈します、的な宣言をして実際に投稿があったためしがないので別に言ってるだけです。明日の昼は鶴舞公園でお会いしましょう。
1 May,
2008
▼ども、引っ越しました。取得した独自ドメインがなかなか有効にならないですがとりあえず公開。
本日の収穫、4周年祝いに行ってきた
STIFF SLACKにて
CLIMB THE MIND「よく晴れた朝は地下を探索しに出かけよう」。
至近距離で見たEUPHONEに「アメリカ人って…」と初めて衝撃を受け、フロント二人がギターとベースをぽいぽいと持ち替えてステージを進める31KNOTSを見てバンドって3人いればできるんじゃんと腰を上げ、生TRAINDODGEの爆音をKDハポンで浴び、THE LIFE AND TIMESのオープニングという最高の体験をさせてもらい…と、STIFF SLACKはちょいちょい私のバンド人生のスイッチになってきたのであります。
そんな新川さんにおやつセットを差し入れてきたんですが、袋にレシートを入れっぱなしにしてきた気が…ツメ甘し…。
本日のレビュー:CLIMB THE MIND「よく晴れた朝は地下を探索しに出かけよう」
名古屋のベテラントリオCLIMB THE MINDが遂に地元大手(!)STIFF SLACKからリリースした初のフルアルバムです。普段あんまり国内インディバンドの音源を買う機会がない(というかめっきり好みのシブメタルしか買ってない)私ですが、近頃のライブで演奏する曲がどれも良いのでこればかりは普通に購入。
以前はBRAID感化型の激情6拍子エモで押している感じだったのが、つまびくフォークギターを変則手数ドラムと終始オブリ的なベース(ルート感はギターが担当しているので)が濃密にバックアップするというようなスタイルに移行し、独特の柔らかい激しさを身につけるとともに一気に力強くなったのです。基本スキマありきでここぞという要所だけメラッと攻めるバランスの取り方は、結果的にSHIPPING NEWSみたいな音にも近いでしょうか。ガーッとやればドーッとなる「普通のロックギター」を封印したことで、自ずと全身全霊を賭けて表現される昂ぶりというものが、非常に伝わります。
しかしメインはあくまで、エモっぽいというのもはばかられるくらい実直で日本的な歌心。楽器全パートと同じくらいの音量で歌が聞こえてくるというミックスにもそういう姿勢が表れてるんでしょう。曲が曲たろうとする意思がビシッと存在してるというか、まじめに対峙するのにちょっと照れるほどの「込もってる」具合に背筋が伸びる。全然何かっぽくないけど普通に素晴らしいというのはやっぱり、若手(ま充分若いですけど…)からはなかなか出てこない味わいなんじゃないですかなあ。名古屋のインディシーンが熱いなどといって真っ先に取り上げるべきはこういう人達です。