30 Jun,
2008
▼収穫はなし。夜ヒゲを剃って朝ゆっくりするという企みを実行したところ、「今朝は(既にヒゲを剃ってあるから)いつもより5分くらい余裕があるはず」と寝起きの脳がしたたかな計算をして、それだけ余分に寝て、結局いつもと変わらない慌しい朝になりました。
本日のレビュー:WHITESNAKE「SAINTS & SINNERS」
復活作がえらいことになっていて最近気になるWHITESNAKE。WHITESNAKEといえば"Fool For Your Loving"みたいな湿り系ソング…とばかり思っていた数年前はあんまり良い印象を持っていなかった82年作をご紹介します。昨日のJOURNEY同様、ひさびさに聴いたら非常に良かった。開放的でノリノリな雰囲気の曲がとにかく前半を固めていて、ビッグなロックでハッピーになれよというごくオーソドックスな楽しみ方ができる内容です。ひと時代明けた感じのグイグイくる推進力を得つつ、楽曲の種になっているものはまだ全然シンプルでオーソドックスな前時代のもの、というのがいいですね。哀愁度を欠く上にそういう風なので「ただ単に直線的なだけでひねりも風情もないのは如何なものか、『SLIDE IT IN』以降のバブル時代への橋渡しに過ぎんのではないか」という不満もありそうなものですが、どっちにも振れないこの「途中の温度感」に惹かれるんであります。
などと平和なことを書いてましたが、ほんの数年後にリメイクされて大ヒットをキメる"Crying In The Rain"と"Here I Go Again"のオリジナルバージョンを収めているのはこのアルバムだったということを忘れてました。普通に重要盤です。ハモンドで始まる"Here I Go Again"はいいですな〜。サビにゴスペルっぽい空気があるのも、リメイクバージョンではほとんど消えてしまっているものです。そういう「ハードロックにうっすら絡む黒っぽさ」こそ初期WHITESNAKEのいいところで、ラスト前の"Dancing Girls"で炸裂するジョン・ロードのファンキーなクラヴィなんぞも最高。「ハードロックを一生懸命掘り下げる気はないけどTHIN LIZZYはギリギリ共感できる」くらいの感覚をお持ちの方ならイケるはずです。さーどうぞ。
29 Jun,
2008
▼
収穫はなし。御器所ディスクヘブンに行って、何も買わずに帰って来たんですが、物色中の店内でずっとJOURNEYのライブDVDが流れていたのが最高でした。やっぱ名曲多いです。ジョナサン・ケインそしてスティーヴ・ペリーは偉いよ。
近頃は、ふとした時に頭を去来するのが、どういうわけかJOURNEYとかVAN HALENとか、HM/HR系の中でもどメジャーなやつばっかりなのです。アリーナが沸き返るウワーッて感じはいいなあと、夏が近付くにつれフェスの幻影とシンクロしてきてるんでしょうか。本当はフジロックに行きたいのか?いや、25日は用事があるので。
7月25日(金)
名古屋 鶴舞 KD JAPON
「俺ロックフェスティバル」
タケ(のうしんとう) / 杉山明弘(DOIMOI) / 大畑美季(リツコ) / 神谷俊明(ジョンのサン) / 平出まさみ / 石原理人
19:00開場 / 19:30開演
前売 1,500円 / 当日 1,800円
ついでにあと一週間ちょいになったこっちも。
7月9日(水)
名古屋 新栄 アポロシアター
中部ぴあPresents「SOUNDS FROM NEIGHBORHOOD」
GUIRO / 24 / DOIMOI / MUDY ON THE 昨晩
19:00開場 / 19:30開演
前売 1,800円(別途1D)
でもP.U.S.A.とスティーヴ・マルクマスは見たいなー。
本日のレビュー:JOURNEY「ESCAPE」
THE BABYSからジョナサン・ケイン(Key.)を引っ張ってきての81年作。「極力コマーシャルな大人ロック」からググッと甘みが増して「親切ポップス」へと振り切った記念碑的作品にして大名作です。"Separate Ways"〜"Send Her My Love"の哀愁2連発で誰でも落ちる必殺盤の次作「FRONTIERS」の方を以前はもっぱら好んでおりましたが、高揚感溢れる"Don't Stop Believin'"に始まり大らかな愛いっぱいの"Open Arms"で終わるこっちも、良さがわかるようになってきました。シケシケしたのに喜ぶ年頃はもう過ぎたのか。前向きであることを微塵も恐れないこの感じ、いいじゃないですか。何ていうか、皆さんこれが名盤だと知ってるだろうから、ゴタゴタと細かい話はどうでもいいですよね。いわゆる「小っ恥ずかしい80年代サウンド」が本格的にあり得ないものになる前の、かなりアナログな感覚の作品ですから、「ハードロックを一生懸命掘り下げる気はないけどAC/DCはかっこいいと思う」くらいの感覚をお持ちの方ならイケるはずです。皆さんにおすすめ。
ところでシンガーの
スティーヴ・ペリーと
なだぎ武はよく似ています。鋭いとこ気付いたな〜といい気になりかけたんですが、既に
同志が大勢いるようで。
28 Jun,
2008
▼
収穫はなし。バンドの練習そしてミキシング。良い感じになるだろうなと思って作った曲が、演奏を練習する段では何だかとんでもないことになって、またわかってもらえない曲を作ってしまった…という気持ちになって、ようやく歌を乗せてみると「ほれ見、いいじゃん」と印象が翻ったきというのは、人生の中でも特筆したい「最も達成感を感じる瞬間」のひとつです。次のライブでやります。
そして、金出してそろえた機材で満を持して録った音源が、「これは録りが良かったからこうできたんだよな」と思えるミックスになった時も上に同じです。まだドラム数曲分だけですが非常にいい感じ。
最近遠方でやってないので、東京〜神戸くらいまでの範囲内で土日のオファーあると嬉しいです
!!
▼「すき家」のトマトバジル牛丼/豚丼が傑作ですよね。
本日のレビュー:FRANK ZAPPA「SLEEP DIRT」
いきなりですがザッパです。多感な頃に「理解は後だ」とばかりにとりあえず買い揃えて、その後棚の肥やしとして長年静かに眠ってもらっていたんですが、そろそろ聴きどきみたいです。これは79年作。フュージョンコーナーでよく名前を見るジョージ・デューク、変態テリー・ボジオ、アラン・ホールズワースの御供をすることになるチャド・ワッカーマンなどが参加してます。
内容はほぼ全編に渡って、真顔が笑える系のフェイク・ソウル。どぅあ〜っとタメ&ドスの効いた女性ヴォーカルと凄まじいコードチェンジは、中古盤屋でニット帽被ってブラックミュージックのアナログコーナーをストストストスト…と見てるような人達にも「いや俺、ザッパは好きでさあ〜」とサラッと言わせられそうなレベル。一方でアンサンブルは溶けたアイスの如く困った感じに崩壊。アホみたいなシロフォンが意味ありげに登場してただ通り過ぎていったり、HENRY COWがハリウッドに飼い慣らされてしまったかのようなブラスセクションが鳴り響いたりという悪フザケを、ウッカリすると普通に聴こえかねない感じにコッソリ(しかもしこたま)やる、いやーこれはひどい音楽です。狂気をロマンで包んでケロッと平静を装うのは
ユゼフ・ラティーフや
CHEER-ACCIDENTあたりもやってるわけですが、ザッパの場合はそのロマンも大嘘だし狂気というほどの根詰めた狂気でもないし、ただただ「してやられて終わり」のやり口なのです。
と思っているとラストの大曲ではもの凄く楽しそうにギタリスト冥利を追求してらっしゃるではないですか。激変拍子&変則展開で。今ではもっぱらコンポーザー/コンセプチュアリストとしての名声の方が大きいですが、あくまでギタリストだぜとこういうところで主張しとくわけですね。かわいげ。
あー、今流行ってる「変態系」ってのは何なんでしょうか、変態ってのは枠組みじゃなくて、1次元上がった視点から見るところの「枠組みがねじ曲がること」自体を言うはず。なのでザッパのアルバムはどれもこれも中身が違う。やっぱりオリジンこそ偉大ということのようです。今更再評価もクソもないですが、もっと基本として尊敬されるべき。
27 Jun,
2008
▼収穫はなし。酒飲んだ。胃縮小計画の効果を実感できたのでよかった。うぉえ。なんかライブがたくさん(自社比)決まってきてますよ。
本日のレビュー:SAVATAGE「HANDFUL OF RAIN」
アレックス・スコルニックが出戻った再結成TESTAMENTの音源をチラッと耳にすることがあって、アレックスといえばこれだったなーと数日前に思い出したブツを今じっくり聴いております。元ヴォーカリスト/キーボーディストのジョン・オリヴァともども兄弟でバンドの中心人物だったギタリストのクリス・オリヴァの事故死を乗り越えてリリースされた94年作。もともとオカルティックでダークな雰囲気をもつバンドのこの時期の作品ということで、当時最高潮だったサバス礼賛ムードに乗っていくかといえばそういうことはせず、前作・前々作の流れを汲んでピアノをフィーチャーした美+パワー系(QUEENリバイバルと合致して結構派手)が半分と、残りはどういうわけかBADLANDSその他のような「90年代≒リアリティ&レイドバック(アンプラグドブーム含む)≒ちょっと鬱なフォーク/ブルーズ回帰路線」に手を出してます。SAVATAGEにそうされてもな〜、という気もしますが、クリスを欠いたことで滅入った精神状態にぴったり来たのでしょう、彼らもアメリカ人ですし。
しかし叩きつけるような冒頭曲はヘヴィでいいよなと思ってブックレットをよく見たら、フロリダはMORRISOUNDにてジム・モリス録音という、USデスメタルの鉄板コースじゃないですか。そうと思えば確かにそんな音。ギターは確か全てクリスの機材を使ってレコーディングされたとかいう話だった気がしますが、あのフラつくようで鋭くダイナミックな一種の「危なさ」みたいなものまで再現されているかというと、アレックスなら適任かと思いきややっぱりちょっと違う。「THE NEW ORDER」の頃の感じならよかったんですが、とにかくフレージングが寂しい。あーSAVATAGEだな〜としみじみ思うのは、スネアのリムだったかシェルだったかを叩き割ったことがあるというくらい豪腕なスティーヴ・ワコルズの無駄な激打ドラムですね。
リリース当初の評価は「とにかく地味で暗い」というものでしたが、ピンポイントで入っている名曲群は、過去のもの以上にいいところがギュッとコンパクトにまとまっていて、素晴らしいと思います。"Castles Burning"はダーク系様式美メタル史の5本の指に残したい。リマスター盤には、クリスに捧げたバラード"Alone You Breathe"をジョン一人がピアノで弾き語るアコースティックバージョンが収録されていまして、例のドブ声を完全封印するとトッド・ラングレンみたいなナイーブな響きのイイ声してんだなと今更再認識しました。それにしても事故からもう15年も経とうという頃ですか…2001年あたりから活動が停止してしまっているようで残念ですが、メンバー各人の現在の音楽はクリスの遺志とともにあると思いたいです。合掌。
26 Jun,
2008
▼
本日の収穫、オフィシャルサイトから購入の
Y&T「EARTHSHAKER」「BLACK TIGER」「MEAN STREAK」「IN ROCK WE TRUST」。初期作の輸入盤はひととおりの大手ネットCDショップを探しても見当たらず、諦めてたんですが、あってよかった。リマスターです。
▼今日は久し振りに「とくダネ!」を見れました。小倉智昭からの大雑把なフリに対して的確かつ周到な回答をしすぎて逆にサラッと流されそうになる岩上安身は相変わらずよかった。眞鍋かをりもまあいいんじゃないでしょうか、山崎バニラに比べれば俄然…。木曜の「とくダネ!」は録画して毎朝の身支度の時間(「めざましテレビ」がやってる時)に見たいくらいです。あと『三面刑事』ね。
本日のレビュー:Y&T「IN ROCK WE TRUST」
欧州的な哀愁と昔気質の熱いリードギターを、当時旬のハードロックにドップリ導入して人気を博した西海岸の名物バンド・Y&Tです。今日届いた4枚からどれを紹介しようかと思って、名盤であることが明らかな「BLACK TIGER」とかを「かくかくしかじかのとおり名盤です」と説明するのも何なので、当サイト的にはこれでしょうという選をしました。ということで「大衆路線に日和ってきてイマイチ」といわれがちな84年リリースのこちら。
ここでいつもなら「コマーシャル路線なりに良くできてるんだから、面白くないとか内容がないということは全然ない」という擁護に走るんですが、アリーナでのコール&レスポンスのためだけに作られたような冒頭曲ではさすがに立ち上がりが悪い。しかも2曲目以降は微妙にどこかから借りてきた感じのネタが多く、素材提供元はFOREIGNERやJUDAS PRIESTであったり、DIOであったり、VAN HALENのシャッフルにアイオミ(BLACK SABBATH)のリフをくっつけたみたいだったりと、なんとな〜く複雑な心情がよぎりつつも「借り物とはいえここまでやれば名曲」といえる曲がひとまず並んでいます。後期RAINBOW似≒結果的にDOKKEN風な"I'll Keep On Believin'"(ツインリード最高)、極初期BON JOVIをGRAND PRIXばりの浮ついた赤面系B級ポップメタルと化したような"Don't Stop Runnin"とかは普通に秀逸。他人に感化されながら時々ハッとする名曲を産み落とすタイプの人達ということなんでしょう。
うーむこれなら、まだ情報量の少なさゆえ純粋だった頃の「EARTHSHAKER」とかを取り上げておいた方が、バンドを紹介するうえでは中身のあるレビューになったかも知れないですね…。ともかくこれは「聴くには全然悪くないアルバム」です。それが本当に己の声か否かというところまで気にして選ぶなら他の作品。何にせよ、ジャケだけは本当にどこまでも最悪です。
25 Jun,
2008
▼そういえば昨日の「めざましテレビ」に、テーマ曲を提供している小田和正が出演してました(VTRで)。還暦を迎えてもどうやってラブソングを作ることができるのか、どういうときに出てくるのか?という問いに対して、へらっと笑いながら「依頼があったときですね」と答えた瞬間にシビレました。この人はそう答えると思った。
▼
本日の収穫、栄ミュージックファーストにて
NOVEMBRE「WISH I COULD DREAM IT AGAIN」、
RAGE「SECRETS IN A WEIRD WORLD」。いつ行ってもいい店だ。
本日のレビュー:NOVEMBRE「WISH I COULD DREAM IT AGAIN」
ニッチすぎて伝わらないアングラデスメタルシリーズ。同名異バンドが世界に50個くらいいそうなイタリアのバンドの、94年1st。基本こういうCGジャケは敬遠するんですが、POLYPHEMUSなる聴き慣れないレーベルの通し番号001の盤のようで、こういう地下レーベルの第1弾はそれなりに「これをリリースするために…」という重みがあることが多いので、試聴の末購入。
で中身は相当イカレてました。別に変態系というわけでもないんですが、もの凄くナチュラルに4AD系のゴシック〜シューゲイザーテイストをデス/ゴシックメタルに溶かし込んでいるのです。一時期以降のPARADISE LOSTよりも遥かに深みがある。かつアグレッシヴな表現にも強いこだわりがあり、
BEYND DAWNにも匹敵する個性派度。曲によってはNEVERMORE+ALCESTという感じのものも。演奏のドタバタ具合が何とも青々しくありつつ、ドラマーだけはなぜか超絶テクニシャンです。そのあたりのアンバランス具合も聴感上かなり変で、アングラ好きのツボにはグッと来ます。
その後どうなってるのかと思って探してみたら、
myspace発見。KATATONIA+COPELAND?な路線で順当に洗練されて、今はPEACEVILLE所属で頑張ってるみたいです。叙情性の質と幅が確かなので、垢抜けた後もつまんなくなってないですね。こりゃお気に入りバンドが一つ増えました。他のアルバムも頑張って探そ。
24 Jun,
2008
▼
収穫はなし。日曜にバンドのレコーディング(まずドラム)をちょっとやってきたので、持ち帰った素材のミキシングに明け暮れています、いや明かすことはあっても暮らせてはいないな…帰宅して夕飯を済ませたあとに夜な夜な作業してます。
レコーディング中、基本的に私は機材のオペレーションをするだけなので、ドラマーのレーイチ君が1曲叩き始めるごとにスタジオの後ろの方に引っ込んで、腹筋と腕立てをしてました。筋肉痛はちゃんと昨日の夜来たから良かった。もう一日遅いと凹む。
▼今日挑戦してみたのは「仕事中、脳内再生でアルバム一枚通して聴く」です。人力iPod行為。今日の素材はTHUNDERHEADの「KILLING WITH STYLE」にしまして、これは初めて自分の小遣いで買った洋楽のアルバムなのでギターソロの隅々まで覚えてます。後半ちょっと収録順が危うくなったら軽くググッてすぐに補正。"Down In Desperation"びっくりするくらい泣けたな〜。明日はANTHRAXの「PERSISTENCE OF TIME」いこうと思います。
21 Jun,
2008
▼先日行ってみた中華料理屋が、中華にしては珍しくオープンキッチンみたいになっていて(凄く殺風景でただ見えてるだけという感じでしたが)、厨房の奥に見慣れた赤と緑の缶、「アースジェット」が置いてあるのが見えました。解釈はいろいろ。
本日のレビュー:FIFTH ANGEL「TIME WILL TELL」
Y&Tの曲はサビでタイトルを叫ばせるのが多いなあ…と思って、このFIFTH ANGELの存在を思い出したのです。BURRN
!の藤木だったか誰だったかが「これぞ様式美の名盤である、こんなのが廃盤なんて信じられない」みたいなことを再三書いてたら本当にリプレスされたというUSメロディックメタルバンドの89年2nd。様式美というほど脂っこいクラシカル味はなく、それこそY&TやMSGやSCORPIONSを思い起こさせる、哀愁オリエンテッドながらサッパリしたハードロックをやってると思います。「キャプテン翼」のオープニング系の。メタルだと思うのはひとえにバッキングギターのピッキングハーモニクスゆえなんじゃないでしょうか。で、どの曲も本当に、サビ頭で曲名をちゃっかり叫ぶコーラスが入っていて(しかも大抵は一度のサビでそれを4回繰り返す)、耳に残るどころか逆にどれをどこに差し替えても変わらない気がします。
あ〜忘れてた、中盤にUFOの"Lights Out"のカヴァーが入ってるのです、これがもう最高の出来
!!こんなん完成度は高くても激賞するほどではないじゃんとかうっかり書いてしまうところでしたが、このカヴァー目当てで買っても後悔せんでしょう。
20 Jun,
2008
▼今日は大須ELLの1階にて、「東のTHE RODS、西のY&T」で有名なY&Tを見てきました。(一応ひとくちで説明しておきますと、Y&Tは「主に80年代前半にアメリカで活躍し、ソウルフルなヴォーカルとリードギターで人気を博した、ヘヴィメタルになりきらない哀愁ハードロックバンド」です。)80年代のスターもザラに三十周年を迎えてしまう今や、実物が生きているうちに生演奏を見てその時代とつながっておきたいのと、ロニー(・ジェイムス・ディオ)みたいに歳をとってますます表現者として見事なものになるケースもあるので、それでいくとデイヴ・メニケッティは是非とも間近で拝みたいひとの一人であったのです。
で内容は想像通りに最高。実はあんまり曲とか覚えてないので(旬過ぎのアルバムとベスト盤しか持ってないのです)細かいリポートはできませんが、曲はどうあれデイヴの一挙手一投足に痺れてきたという感じです。あれは「ハードロックに完全対応したブルーズギタリスト」ですわ。ストラトのクランチでのリードに武家の商法的なアホさは皆無で、歪ませれば(曲によって愛器のレスポールとよく持ち替えたりもしていました)歪ませただけちゃんとフレージングにも粘りや照りが増す。仮にも泣きのギターといわれるものを弾きたいと思う輩は、この人くらいステージ上で平気でクッシャクシャの顔をできなきゃダメだなと思わされるほど、全身でギターを弾く人でした。焦げるようなレクチの図太いトーンも最高だった。どういうわけかキャビひとつにヘッド2段積み(片方はダミー)というセッティングでしたが。
ヴォーカルもまったく衰えておらず、例の熱いハイトーンを全盛期さながらに聴かせてくれました。本当に凄い人は歳とって見てもこういう風ですな。あとのメンバー3人も過不足なく健闘。特にベースのおっさんが完全に酔ってて、いい味出してました。曲はあんまり覚えてないなりに"Mean Streak"とか"Hurricane"とか代表曲っぽいものを前半からドカドカやって、個人的に好きな"Summertime Girl"もやって、そして"Forever"はアンコールじゃなくて本編ラストに炸裂。このときが確実に一番盛り上がってたなー。私ももっぱらその瞬間に立ち合いに行ったようなもんですし。
ちなみにちょっと心配だった集客の方は全然問題なく、昔ながらの「演奏中はジッと熱心に聴き入り、合いの手的なパートではきっかりと乗り、曲が終われば盛大に拍手を贈る、礼儀正しい日本人客」みたいな人がいっぱいで、雰囲気は良かったと思います。やっぱり何曲聴いてもデイヴが凄いので拍手も自ずと長くなり、し〜んとなってバンドに申し訳ない気分がするような場面はありませんでした。
ともあれ素晴らしいものを見た。こんな連中が群雄割拠していた80年代に10〜20代を謳歌した人は羨ましい…というべきか、80年代から生き残って現役でやってるようなバンドの円熟した姿は素晴らしいというべきか。ま両方なんでしょう。見れるうちに見れるだけ見たい。RATTは別によかったけどWINGER見逃したのが今になって悔やまれます。
18 Jun,
2008
▼
収穫はなし。おおお今月はほとんど買い物をしてない。
▼一人音源のミックスを進めるにあたり、フリーVSTエフェクトのありがたさがますます身に染みます。あとはCUBASEの上位版とそれ専用のノートPCとオーディオインターフェイスがとっても欲しいので、天から降ってきてください。
▼myspaceがちょいちょいマイナーチェンジしてますね。他人のプロフィールページを閲覧する分には大差ないけど、自分のログイン画面がかなり変貌して使いやすくなりました、というかどんどんmixi化していく。
本日のレビュー:SKYCLAD「JONAH'S ARK」
いきなりですがSAYCLADです。英国スラッシャー・SABBATのフロントマンだったマーティン・ウォルキーアが90年代に入って立ち上げたバンドのこれは93年作。いや〜偉大なフォークロアメタルの元祖ですね。それまでにもHM/HR界では、THIN LIZZYがアイリッシュトラッド風味をロックに導入するくらいのことはありましたが、このバンドはフィドルまで入れて古楽との融合を本気で試み、いきなり成功しています。メタル化した
GRYPHONかというくらい(クラムホルンまでは鳴ってないですが)完成度が高い。そしてやがてデスメタル方面から「メタル+○○○○の思いがけないクロスオーヴァー」が広まったおかげで、同様に古楽+メタルの体現に挑戦しようとするバンドがどんどん後に続いてくるのですが、彼らの大半はどこかおちゃらけているというか、メタル成分・古楽成分が微妙に乖離したまま強引にひとつに押し込んだような感がありました。その点このSKYCLADは、ヘヴィメタルとして直球で聴くに堪えるというか、「普通にイイ」といえるところが素晴らしい。
海外では未だにフェスに現れたりと人気が高いのですが、日本においては「ヴォーカルがヘタ」という不当すぎる評価を受け続けたために、一部の好き者の耳に留まる程度で済まされてしまっているという悲しい現状があります。力んだアスリートみたいな搾り出し&吐き捨てヴォイスは別に、MANOWARのエリック・アダムスあたりとそう変わるものでもないと思うのですが…。リズムのキレが非常に良く、表現力は高いです。SAVATAGEのザッカリー・スティーブンスにしろ、妙に目を付けられて悪く言われ続けた人達はほんと可哀想。さておき、革新的なクロスオーヴァーを非常に高い完成度でしかも天然にやってしまったバンドということで、時期的にもKINGSTON WALLあたりと並べて伝説呼ばわりしていく感じでいいんじゃないでしょうか。皆さんも崇めましょう。
17 Jun,
2008
▼収穫はなし。短い食事どきでも有意義なものにしようと、よくケーブルテレビの音楽チャンネルを見ようとするんですが、いま売れてるものに本当に全然ついていけてないっす。楽しめる要素を見つけられない。ビョークの"Human Behaviour"やジェフ・バックリーの"Grace"に度肝を抜かれ、SOUL ASYLUMの"Runaway Train"に和んだ時代が未だに懐かしい(このくだり何べんも書いてますなこの日記で…)。どれだけ感受性を拡げたつもりでも結局、思春期というか中学生時代のトラウマ消化としてその後の人生はあるものなのですね。そして一度伝えたことを初めて伝えるかの如く繰り返すようになったらおっさんだ。
只今のBGM:CACOPHONY「SPEEDMETAL SYMPHONY」
みっちりレビューを書いてられないときも多くなりそうなので、たまにこの「只今のBGM」枠を復活させます。本当にただCDを聴きながらする心の中の囁きを文字化するだけのものになります。詳細なバイオは省略、過去にレビューされた盤の再登場も多くなることでしょう。
でCACOPHONY。ニュアンス&エスニズムのマーティ・フリードマンと、崩壊模様をロマンティックに魅せるジェイソン・ベッカーとは実に名コンビでしたな。そして今でこそ自由気ままなスケールアウトおよびユルすぎる喋りで「この人適当
!!」という評価になりつつあるマーティは、実は高度なキメフレーズをがっちり弾けたりもする人だったということを思い出しました。ああジェイソン、元気かと言っても元気じゃないに決まってますが、幸せであってほしい人だ。
16 Jun,
2008
▼
本日の収穫、石橋楽器ウェブショップにて中古で購入したBOSSの大昔のオシレーターつきチューナー「TU-120」。もちろんオシレーター機能だけを演奏に使います。クロマチック×3オクターブ分という代物で(12段階のダイヤル+3段階のスライドスイッチ)、ランダムに高速切り替えをし続けるだけでHELLAのようになるという楽しい機械でした。
▼やっぱりどうしてもココイチの「イカカレー」が最高でした今日もそしていつまでも。最近のココイチはスプーンがおしゃれ。
本日のレビュー:Z「SHAMPOOHORN」
フランク・ザッパの息子、ドゥイージル・ザッパとアーメット・ザッパの兄弟によるバンドの唯一のアルバム。94年リリース。もの凄い久し振りに聴いてますが、棚で寝かせておいたうちに熟成してくれたクチです、こんなに良かったとは…。スティーヴ・ヴァイ(の変態フレーズ&変則拍子)とEXTREME(のヤワ声コーラスワーク+ファンクネス)とDREAM THEATER(のDIXIE DREGSっぽい部分)をひとまとめにひっ掴んで、アメリカンアニメ調に高速回転する扇風機に顔面から押し付けてズガガガガと大根おろし状態にしてやったような冒頭曲から最高のひとこと。基本ドゥイージルはEXTREME大好きなので、フックには乏しいがイノヴェイティヴな小技が効いたEXTREMEの1stみたいな曲が全体的には多く、しかしたまに初期VAN HALENにあったようなファストチューンのノリを変な角度から再現してみたり、TOTOをエスニックにしたみたいなファッショナブル&ソフィスティケイテッド路線(?)も真顔でかじってみたりと、その時期の流行をなんでも食い物にするフットワークはやっぱり親父譲りです。オリジナリティよりEXTREME色が勝ってるあたりはまだまだな感ですが。音色に影響するようなリヴァーブを極力控えたプロダクションで非メタラーにも聴きやすいはずの一枚です、31KNOTSが80年代ハードロックに目覚めてしまったとでも思って、中古で見かけたら拾ってください。
15 Jun,
2008
▼バンドの練習後、鶴舞KDハポンのPA・星さん発案で編集されようとしているコンピレーションに提供する音源その他のヴォーカル録りのために、名古屋市東部の星さん宅にお邪魔して作業してきました。制作用スペースをがっちり確保した部屋構成でかなり羨ましい。PCをお借りして一人で作業を進める最中、ミステイクを出したりすると「ッス〜ッ…」「ないなーこれはないな〜…」「シッ(ト)…」とかなりの量の独り言・異音の類いが出る性質は自宅そのままにしてきました。その途中、たまたまクチビルと呼吸の都合で「ブッ」とまるでオナラっぽい音が2度ほど出て(もちろん口から)、「あっ今のオナラじゃないですよ」とその場で積極的にことわるのも変なので特に何事もなかったようにしてきたんですが、杉山くん僕のイスでおならしてったなあと思われたままだとしたらいたたまれないので、ここで弁明しておきました。
13 Jun,
2008
▼収穫はなし。あんまり立ち歩かない仕事になってから、危険を感じて軽く食事制限をしています。社会人になってから10キロ以上太った男が二人いるバンドで自分まで同じ路線をいくわけにはいくまい。
本日のレビュー:DARK TRANQUILLITY「SKYDANCER」
まだ続く懐かしいシリーズ。スウェディッシュメロデスの大御所になったDARK TRANQUILLITYの1st(93年)です。間違いなく10年近く振りに聴いてますが、整ったメタルこそ素晴らしいと信じていた高校生当時ではわからなかった面白さ満載の内容を今ものすごく楽しんでおります。とにかく単音リフしか出てこないのが凄いですね。デスメタルがスラッシュメタルから離陸したのは確かに、ギターリフがパワーコードから単音16分刻み主体に移行したお陰で更なる調性の自由とスピード感を得たという点が大きいわけで、その前者に注目して「てことは実は、どんなメロディでも自由自在ではないですか?」と調子に乗り過ぎたのがこのアルバムなんじゃないでしょうか。ドラマとか流れとか煽情性とか、そういうものは二の次にして、矢継ぎ早な転調とともに雪崩れ込むハーモニーハーモニーまたハーモニー。ギター×2とベースが全員単線で絡むから、詰め込み具合は凄いけど厚みとしてはスカスカ。それをバタバタしたドラムが後ろから蹴り転がしていくというかなり壮絶な図式。せわしないなぁ〜と思って聴いていると時々、まぐれ的に名曲の風格漂うリフが現れたりもして、「磨けば光る」という感じは確実に漂っています。ここからひと時代が始まったと思うと感慨深い。初期メロデス諸作の中でもブッちぎりで勢いとリアリティを感じる1枚でした。
12 Jun,
2008
▼収穫はなし。OSのトラブル解決のためにアップデートを入れたら、ついでにブラウザまでバージョンアップされて、英字フォントに片っ端からアンチエイリアスがかかるので、近視がひどくなったのかと思いました。あなたはそれで満足かも知れないけど、ハッキリ言って…迷惑だわ。妙な独自路線はもうやめて、ビル(・ゲイツ)。
本日のレビュー:OPETH「ORCHID」
昨日のAMORPHISを棚にしまったとき近くに収まっていたこれを。スウェーデンの元祖重厚長大メロデスバンドの95年1st。当時輸入盤が紹介されてかなり騒がれてましたが、バンド名すらプリントされていないこのジャケからして凡百の新興メロデスバンド達とは一線を画しておりました。当時としてはステイタスだった「UNISOUND STUDIOにてダン・スウォノ録音」というのもきっちり押さえていて、メジャー感のあるサウンドプロダクションも好評の一因だったでしょうか。
つなぎの小曲を除いて軒並み10分以上という、頑固なばかりの大作主義が実践されていますが、そのうち5分間は物音とかそういうサイケなことはせず、基本的には「『MASTER OF PUPPETS』(METALLICA)のドラマティックな部分の拡大解釈」+「
"Rime Of The Ancient Mariner"の思い出し描きばっかりやるIN FLAMES」という感じに聴こえます、この時点では。実はこういう壮大系ってあんまりよくわからんのです…今すごく世界的に成功してるみたいなので、そんな風になるとは思ってなくて今でもビックリしてます。そんな世の中なら「IRON MAIDENの3大名曲は"Hallowed Be Thy Name""Rime Of The Ancient Mariner"そして"Alexander The Great"だ」と息巻く人々で溢れていてもいいのに。
2ndもメロデス史に残るいいジャケでした。
11 Jun,
2008
▼
収穫はなし。帰宅途中の円頓寺商店街で、生演奏っぽい音がしてくる店があるのでちょいと立ち止まる。半分オープンなカフェ/レストランみたいなところで、鍵盤奏者とシンガーがジャズのミニライブをやっるとこでした。早く夕飯を食べたかったのですぐ帰りましたが、ああいう「ライブハウスではないところで、ライブハウスではないなりの楽器編成と音量で行うライブ」てのはやっぱり好きです。色々と物が置いてある狭い空間で演奏するときの音響もいいし、基本くつろぎながらだけど誰も物音を立てないようにはするくらいの緊張感、ハレでもありケでもある感じというか「ハレとして見るケ」の良さというか、などなど。タバコに燻されて家に帰って23時半、あ〜あ…というようなお決まりの疲労感もない。もっと普通にそのへんで、オフィス街で昼に開けてる店とかで普通に誰かが演奏してたり、誰でも演奏できたりすれば、不毛なライブハウス・エンクロージャー、バンドマン・パーガトリーよりよっぽどたのしい連結が生まれるだろうに。と最近よく行くカレー屋の入り口に何故か転がっているギターとサックスを見てたまに思います。
▼そのまた先の帰り道の途中で、いつ働いているかわからない系のちゃらっとした20代男性が電話で会話。「(註:おそらく『きのこの山』や『きこりの切り株』より)絶対『たけのこの里』が一番ウマイからさぁ〜…」と、しばらく普通に「たけのこの里」の美点を語るので、電話してまで今そのことを伝えたい相手が何者なのか少し気になりました。
▼以上、普段外界からの刺激がほとんどないので、たまに何かあった時くらいは、なけなしのネタを全部書き記しておきます。
本日のレビュー:AMORPHIS「TALES FROM THE THOUSAND LAKES」
連日このあたりのチョイスが続きます。デスメタルが変調をきたした頃の大事な部分にフォーカスしたい気分ということで。こちらのAMORPHIS、94年のこのアルバムで一躍有名になりましたが、91年のデビューEPはINCANTATIONとのスプリットでリリースしていたという、由緒正しい人達なのでした。
よく「デビュー当時は普通のデスメタルだったが」と言われるのを見ますが、実際はそうでもなく「ある程度のメロディを頼りにしないと曲が作れない」という感じで、最初からそれなりにメロディックなスタイルから始まっていました。やっぱり北欧だと見本がDISMEMBERとかになるんでしょうか。で、このアルバムも基本はその線の延長で作られている気がします。大きかったのは、専任キーボーディストを加えたお陰で自ずと「メロディをメロディとして意識した」というところでしょう。とりあえずキーボードを入れたからそういうことになったのか、そこに行こうとしてキーボードを入れたくなったのか、何でもありの当時のデスメタル界の状況を思うとどうとも察しようがないですが。とにかく狙ったというより「成り行きで目覚めてしまった」感です。
しかもそこで、おおかたのいわゆる「メロデス」の典型のようにIRON MAIDEN型の正統派メタルに歩み寄るのではなく、グラインドロックの本場フィンランドならではの気風ゆえか、土臭い70年代サイケ〜プログレ方向に大きくアプローチしたのがなんといっても個性的な点でした。「物悲しいフレーズに泣ける」とかいう以前に「無骨すぎ」「アナログすぎ」「アンバランス」といったところに凄味が存在する気がします。ヘヴィ派C級D級ブリティッシュハードを熱心に聴き漁るようなおっさんやオヤジギャルにこそ聴いていただきたい。チルボドとかが大好きな若いメタラーに「元祖メロデスっていうけどダセーし全然わかんなかったよ!」とか言われようとも当人達は本望のはずです。
ちなみにこのアルバム、デス声とクリーン声の本格的なデュエットがいち早く行われたという点でも騒がれました。その後ヴィレ・トゥオミという普通声担当のシンガーが活躍してないかなーと思って調べてみましたが、大したものは出ませんでした。
10 Jun,
2008
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収穫はなし。一ヶ月を切ってるので宣伝します。
7月9日(水)
名古屋 新栄 アポロシアター
中部ぴあPresents「SOUNDS FROM NEIGHBORHOOD」
GUIRO / 24 / DOIMOI / MUDY ON THE 昨晩
19:00開場 / 19:30開演
前売 1,800円(別途1D)
便乗告知。一人でもやります。今回は軽装備を心掛けます。
7月25日(金)
名古屋 鶴舞 KD JAPON
「俺ロックフェスティバル」
タケ(のうしんとう) / 杉山明弘(DOIMOI) / 大畑美季(リツコ) / 神谷俊明(ジョンのサン) / 平出まさみ / 石原理人
19:00開場 / 19:30開演
前売 1,500円 / 当日 1,800円
どっちも微妙に開演が遅いので安心しました。「平日のライブはなるべく避けたい」としきりに言うバンドメンバーの気持ちがようやくわかった20代後半です。
本日のレビュー:NOCTURNUS「THE KEY」
シンセ入りデスメタルバンドということで話題になったフロリダのバンドの90年リリース1st。EARACHEクラシックスですな。「デスメタルが拡張した」というより、スラッシュ色の濃いアングラUSメタルにデス声が乗ったという具合でむしろ「デスメタルに至る手前」な趣きです。分解すればSLAYER+WATCHTOWER(またはATHEIST)+MANOWAR。思い込みひとつで命知らずな体当たりをかましてくるあたりがMANOWARです、アメリカンメタルの3割くらいはこれだ。
演奏はかなりバタバタしていて、手が込んでる割に「いかにもテクニカル」という感じがほとんどせず。しかもシンセが入ったからといってメロディックということもなくて、ギターリフの背景付け的なユニゾンや和音添えに留まっているのですが、チープなりに不思議な荘厳さを醸し出しております。のちのBAL-SAGOTHあたりのヒントにもなったんでしょうか。聴きようによってはTHE LOCUST風と言える箇所もなくはない。
総体的なクオリティで考えると、デスメタル史でよほど重要な意義をもった存在のひとつとして数えるのは少々ためらわれもしますが、それでもまあこのやり方(シンセ導入)が世界中のD級デスメタラー達に「ヨッシャ何でもありだ」と思わせたであろうという点で(ファンクラブの本拠地がなぜかオランダだったりするあたりからも察せられます)、そう記憶され続けるのはまあいいことなのかなとも思います。マニアはこれを血眼で探し回る前にCADAVERとCONFESSORが先です。
9 Jun,
2008
▼収穫はなし。相変わらずテレ東はいい。
本日のレビュー:MY DYING BRIDE「SYMPHONAIRE INFERNUS ET SPERA EMPYRIUM」
90年代初頭の異形ドゥーム/ゴシック・ムーヴメントを知る上で必要不可欠な1枚。先日MISANTHROPEを久々に聴き返して以来、気分はこのへんなのです。このMY DYING BRIDEはイギリスのバンドで、メタル界のサッドコアとでも評すべき問題作2nd「TURN LOOSE THE SWANS」で一気に知名度を上げたドゥーム/ゴシックの代表格中の代表格であります。
その彼らが91年にリリースしたデビューEPがこちら。悲壮な室内楽風イントロから奈落の底へ落ちたが最後、11分にも渡って嘆きの地獄絵図を見せられる冒頭のタイトル曲。メタルがメタルにしかないパワーの振れ幅を最大まで駆使してこれほどのドラマを描いたのは、METALLICAの「MASTER OF PUPPETS」やCELTIC FROSTの「INTO THE PANDEMONIUM」以来ではあるまいか?と思ってしまうほどの衝撃が、当時のアングラデスメタルシーンを間違いなく貫いたことでしょう。劇的だとかいうよりひたすら醜く異様なわけですが(2・3曲目はかなりデスメタリック)、だからこそのものと感じられるこの退廃した耽美性。素晴らしい。
彼らに影響を受けた数多のアングラバンド達は、「崩壊するってアートだよね、何でもやりゃいいよね
!!」とばかりに、かなり大雑把な実験的変態デスメタルを思い思いにでっち上げることになるのですが、本家本元を久し振りに聴いたら、もっと底冷えする恐怖を抱かせるようなシャープさがありました。全3曲すべて名曲、時代を作った盤ですな。
8 Jun,
2008
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7日の収穫、今池ピーカンにて
JETHRO TULL「STAND UP」「BENEFIT」。そして学生時代に所属していたバンドサークルを訪ねて母校の大学の学祭へ。ちょうど聖飢魔IIのコピーバンドが出るところだったのでそれを見て、あとはひたすら会場の建物の屋根に出てグダグダグダグダと過ごす。年に一度の贅沢な自堕落も、そろそろ知ってる顔が少なくなってきたなー。
▼今日(8日)は今日で、ひき続けている軽い風邪がノドから鼻〜頭にのぼってきたので一人でグダグダとよく寝て過ごす。
本日のレビュー:JETHRO TULL「BENEFIT」
「AQUALUNG」で有名なイギリスのJETHRO TULLの70年作。シンガーのイアン・アンダーソンがフルートも(結構な割合で)兼任するというユニークな編成で、サイケロック、フォーク/トラッド、ブルーズが「3本立て状態」ではなくマーブル状にクロスオーヴァーするバンドです。ひたすらに「サイケ的、フォーク/トラッド的、ブルーズ的なモワモワした何か」だったところに多少整理がついて、曲ごとのツブ立ちが向上した結果、アルバム全体の奥行きもより深いものになった感。プログレの域に達するほどの作り込み方はしておらず、あくまでロックとして素朴で自由、といった印象です。ズバンと叩きつけるような勢いはないがどこをとっても上質という。フォーク然とした字余り変拍子をそのまんま歪んだギターでバンドアンサンブル化してしまったというような曲がときどきあって、ツェッペリンの不意打ち足払い系変拍子トリックともまた違うさりげなさが非常に良い感じ。「AQUALUNG」も聴き返さねば。
6 Jun,
2008
▼6月6日か。
本日の収穫、サウンドベイ上前津で
THE GROUNDHOGS「LIVE AT LEEDS '71」、
BRUCE COCKBURN「IN THE FALLING DARK」。2006年の今日はちゃんとIRON MAIDENの「魔力の刻印」でも取り上げていただろうか、と思って
振り返って見てみたら、もっとドンピシャなやつを引っ張ってきてて、自分で「なるほどな〜」と感心してしまったというか、そんなCDを持ってること自体忘れてました。今日はどこの悪魔にご登場願いましょうかねえ。
本日のレビューその1:MISANTHROPE「1666... THEATRE BIZARRE」
結局安直にタイトルだけで選んでしまいました。このバンドは非常に思い出深いです。CELTIC FROSTを激展開つきで混乱させたようなデスメタルをいち早く確立したのはイギリスのMY DYING BRIDEでしたが、このMISANTHROPEは、フランス産ならではの不条理エロティックアートの血脈でそれを解釈し、誰もそこまでやれって言ってないんじゃないというド変態中のド変態スタイルに到達してしまった人達です。やろうとしていることをやれてないのがまた凄い結果になっているという点もプラス評価に加味して、未だにこの世でもっとも変態なロックアルバムはこのバンドの1st・2ndであると信じて疑いません。
で今回ご紹介するこれは95年リリースの通算3枚目にあたります。この頃は、まっとうにシンフォニックかつ迫力のあるスタイルに移行したい素振りを見せつつも、テクニックやまとめ力が全然追いついていないという時期(ドラムが打ち込みで音質もひどい)で、まだまだ相当凄惨な内容が聴けます。クラシックと山岳フォークの中間点みたいな妙なメランコリックさを持つシンセオケが常時バンドアンサンブルに被さっているものの、泣けもしないし奮い立ちもしない不親切さ(バンド名からして「人間嫌い」ですから)。バスバスバスバス!と高速ブラストが入っていたと思えば突然32分の1くらいに減速して、あり得ないオカマが雨に打たれながら彼氏との別れを嘆くような気持ち悪すぎるヴォーカルがあよ〜んあよ〜んと唸る(勿論フランス語で!)。アルバムタイトルトラックで堂々とBLACK SABBATHの大ネタ"Heaven And Hell"をパクる度胸。中盤に"Aphrodite Marine"というタイトルでリゾート会社のCMみたいなドリーミーな小曲を入れてしまえる神経。嗚呼、欧州大陸の不思議よ…。
最近のいわゆる変態系バンドみたいに「これをやるとどこまで変態になれるか」というところを計算しきれている感じが匂って来ず、ただただゾッとします。多感な時期をこのバンドの音とともに過ごしたお陰か、その後「変態ですヨロシク」と自ら宣言してくるみたいなバンドにはビクともしない体になりました。絶句してみたい一心ででもいいから一度聴いてみていただきたいです。
本日のレビュー:SEPTIC FLESH「OPHIDIAN WHEEL」
先程のMISANTHROPEのギタリストはHOLY RECORDSというレーベルを主宰する人でして、懐かしいのでHOLY続きでレーベルメイトのこのバンドも。ギリシャの泣きはクセがないのにじっとり染みる、ということをこのバンドで知りました。ちなみにこれも明らかにドラム打ち込みです、このへんのシーンは低予算ですね…。
ですが内容はなかなかに素晴らしいのです、まずジャケのイラストが美しい。音楽はさほど変態ということもなく、「INTO THE PANDEMONIUM」の頃のCELTIC FROSTを自然体のまま正統派メロディックメタルに近づけたみたいな雰囲気です。いかつい男性デス声に女性ソプラノが絡む手法はもはやこの頃(97年)のこの界隈では常套手段の感ありですが。雨降りのIRON MAIDENとでもいうべき、独特の深く柔らかい泣きが非常に響いてきます。やっぱりギリシャってのはユーラシア大陸の文明のルーツということで、何か根源的なものがあるんでしょうか?多少メロディックであっても曲ごとの区別をつけづらいデスメタル界にあって、珍しく「名曲多数」といえる出来だと思います。「メロ」+「デス」がすんなり普通に聴かれる今だからこそ再度の評価を得てもらいたい1枚。おーラストの"Heaven Below"泣けるなぁ〜。
4 Jun,
2008
▼収穫はなし。軽く風邪をひく。
本日のレビュー:THREE MAN ARMY「TWO」
ようやくコンプリート。B級ブリティッシュハードのお宝バンドTHREE MAN ARMYの2ndです。前身の
GUNからこのバンドの
1stにかけては、10年早いヘヴィメタルというべき超硬質スタイルで押してくれていたのですが、当時なりの「ハードロックの何たるか」が世間で定まってくるにつれて自らは徐々にユニークさを失い、
少々つかみどころに困る感じになって解散してしまうその途中の作品。ややサイケでやんわりした描写が増えていて、初期YESミーツ初期URIAH HEEPか?というまた微妙な線を突いてます。ドラムはツーバス。引っ掛かりに欠けるようでいて全然まともじゃない。自由だねあんたらの時代は。YESの"燃える朝焼け"をDEERHOOFがカヴァーしたみたいな5曲目が壮絶ですな〜。続くバラードはCHICAGOかEAGLESかと。結局のところ、最高だと思えるネタ元を聴く側がいろいろ踏まえていてこそかなり面白い、みたいな部分が大きいんでしょうかね。そうであっても何だか肩を持ちたい気になるバンドではあります。ロックをロックらしくやってくれるのが好きなんですな。現役だったら間違いなく
ASCETIC所属。
3 Jun,
2008
▼収穫はなし。「めざましテレビ」を好きになれない。「とくダネ!」見たい。デーブよ前忠よ笠井君よ元気ですか。違和感違和感また違和感。
本日のレビュー:筋肉少女帯「断罪!断罪!また断罪!」
やるせない世の中には筋少があるじゃないですか。ということで筋少が最も無心に成功路線に乗れていた91年リリースの6曲入りミニアルバム。冒頭曲"おまけの一日"からもう「泣ける」しか書くことないですが、あーこれはレビューにならないな。ジャケの謎の鉄仮面もよく見りゃ泣いている(購入以来10年以上経って初めて気付いた
!!)。
橘高のギターはズバ抜けて上手い("何処へでも行ける切手"アウトロ壮絶…)。内田雄一郎はやっぱりメランコリックなプログレが好きらしい。そんな末梢の事柄をリポートしても、大槻ケンヂの歌と詞世界が楽曲性と不可分なので、音楽的なレビューは無理っす。この人の詞にはとにかく「若くして死ぬ人(かなり小さい子供も含む)」「この世をあきらめて生きる人(隠遁者もしくは妄想狂)」が大量に出てくるんですが、なぜか体感上の絶望度は軽く、「救われない結末を歌ってやるぜ」といういやらしさもない。不運にもブレイクスルーしていかない人間の思念が壁に当たって折り返すときのただただ無駄なエネルギーを、虚無の叫びに代えるのが、この頃のオーケンの作風なんではないでしょうか。癒されます。
筋少ファンにとって、筋少を聴いたことがあるかないかは、「三国志読んだことある?」的な問題であるので、聴くなら是非全作品聴いてください。
2 Jun,
2008
▼収穫はなし。期限が迫って締め切りが近付かないと燃えない性格の「期限が迫って締め切りが近付くと燃える」性質をささやかに発動中。今年ももう半分過ぎたけど、残りは攻めていくのです。心置きなく焼肉を食える晩を迎えねば。
本日のレビュー:エルマロ「NOFACE BUTT 2EYES」
昨日ご本人にいただいた盤をありがたくレビューさせていただきます。アルバムタイトルとジャケの見事というか粋すぎる呼応でまず一本(この画像だと判別不能ですが、ちゃんと髪の中に2EYESがあります)。内容は非常にアップトゥデイトなものになっていて、ドッシャンドッシャンと荒れる演奏をドライな音響に閉じ込めるプロダクションなどからは、BECKを通り越してQUEENS OF THE STONE AGEにあたりに通じるフットワークを感じます。かつポップ。そこはオマケではなくちゃんとポップ。加えて、バンド名のなんとなくラテン風な響きにもリンクする多湿でスモーキーな熱気。いかがわしいです。「ヒップホップとロックが融合してる」なんて二元化してしまうといかにも薄いものに見えてしまっていけないですが、パラダイムとしてのヒップホップ/クラブミュージックの中にロック的な現象が鋭く刺さってるというような仕上がりといいましょうか。メンバー両氏が濃密なコンタクトのもと作り上げたんだろうな…と思いきや、それぞれがほとんど単独で仕上げた曲を交互に入れているのだとか。教えられなければ全然そうとは思わない組み合いっぷりです。久々すぎて二人とも妄想上の相方と仕事をしてしまったんですね。個々のパーソナリティをよく知っているファンならニヤニヤと、そうでない人もビックリ・はてな・やがてニヤリで楽しめる会心の奇盤です。
1 Jun,
2008
▼いきなりですが、バンドで何度かご一緒させてもらったことのある曾田"アイゴン"茂一さん、がサポートで手伝っている木村カエラ、の名古屋公演!を見に、メンバー4人でセンチュリーホールまで行って参りました。ホールクラスの会場で日本人アーティストを見るのはスピッツ以来人生二度目。内容は、素晴らしいものでした。
どメジャーな人(達)なのでもう「演奏がいかに安定していたか」とか「曲がどれだけスコーンと抜けてくるか」みたいなことをわざわざ書き記す必要はないでしょう。(ちなみに歌はそのままライブ盤として発売できるくらいに上手かったです。)何というか、「スター」が「ポジティブ」な「エネルギー」を「分け与え」る「ショウ」ってこのことかと、初めて理解できたという心地です。
アホみたいなことを真面目に書きますが、音楽って神や真理への捧げものだと思っていて、「芸術の音楽」と「娯楽(ないし共感)の音楽」は完全に乖離したもの、という認識をここ数年どんどん強固にしていたのですが、今日のは「誰にでも開かれているからこその賑やかな祭り・神事」とでもいうような、上のくだらんケース分けのどっちにもはまらないものでした。巨大な声援と好意を一身に受けて、その何倍ものなにかを目の前の数千人に授け返せてしまうパワーのある人はかっこいい。カエラさんは誠実な表現者で、観客はそれを享受するのが幸せといった様子でした。「音楽好きの人々に対して鋭いアプローチで訴求する」のは思った以上に狭い中で完結できてしまうことで、「人間に音楽で何かをする」ところまでもっていって初めて、ステージがひとつ大きいものになるのだな、と実感した次第です。これは自分の中で新しい意識。
だからといって、細かいシチュエーションをあざとく歌いこんでニッチな安い共感を誘うティーンズ恋愛小説的聴覚汚染ポップスの類いが一日も早く駆逐されてもらいたいことに変わりはないわけです。今日見たのはそういうものではなかった。「大きい心」そして「(万物への)愛」、でかくて普遍的すぎるテーマではあります。柔らかくなればよいというものでもないし、悟ったふうにするのはたぶん間違い。これを自然体で放出できる人こそが「スター」ですわ。「スター」すげーです。
というようなことも考えながらの、非常に楽しい時間でした。今のタイミングで見れて本当によかった。