▼昨日はあまりにアンユージュアルで面白い日だったので、もっぱら自分があとから思いだせるように、ライブ前・ライブ・ライブ後と事細かに書いていきます。
▼リハに入る前に短めの練習をしてから行くつもりだったのが、スタジオ予約時刻の昼12時になっても、車でメンバーとアンプを回収しに来るはずのベース篠田君が音信不通。練習のある休日に限って発揮される彼の寝過ごし能力は重々承知していて、大して動揺はしませんでしたが、今回の症状はかなりスケールがでかくて2時間の練習が20数分に圧縮される結果に。しかしこの時点で別に誰も怒ってないのは篠田君の日頃の行いの良さゆえでしょう。
といいつつ、ライブにつきものの「荷物を搬入してからリハの順番が回ってくるまでのファミレス」でこの大罪人を大蔵省に仕立て上げない手はなく、エビドリア、ハンバーグ、クレープとドリンクバー×3をたかる。しかしみんないざとなると優しいので、支払いの段になって結局500円ずつカンパ。戻ってさっくりリハを済ませ、再び持て余すことになった暇…を潰す絶好スポットが得三の真横に出来てたことを私は全然知りませんでしたよ。
7日の収穫、今池WILD HONEYにて
BAKER GURVITZ ARMY「ELYSIAN ENCOUNTER」、
DAVID LEE ROTH「YOUR FILTHY LITTLE MOUTH」、
DECORYAH「WISDOM FLOATS」(WITCHHUNT!)。掘り出した。店内には31KNOTSのメンバーもいたけど小心者ゆえ当然話しかけられず。
それでもやっぱり暇は余り、今池ユニーのフードコートに赴きソフトクリーム、クレープ、ころそば+かき揚げなどを各々消費。旅館の温泉のようなトイレに皆素直に感動し(今池ユニーのトイレ凄いっす、是非行ってみてください!)、買ったばかりのCDを開けながらジェイソン・ベッカーの悲しいエピソードを聞かせ、池下に行こうとして千種に行きかけた篠田君とも合流したところでいい時間になって会場にまた戻る。
▼ということでここからようやくライブの話です。一番手は地元からマルオト。随分前に見たときとかなり印象が違ってました。音楽なんかに追いすがったりしないよというクールさと、でも音楽ってこういうもんだったりするよねという的確さのバランスが非常に心地よい。まさに名古屋のover30ならではの温度感です。ステージ端でずっと聴いてたけど1曲30分ずーっと飽きなかった。
▼そのあと自分達。温かく迎え入れてもらって感謝であります。弦切れ・カウント読み間違い・曲順勘違い・チューニング崩壊…とひとしきり訪れたトラブルも、全てショウということにしてしのぎました。個人的なハイライトは、自分がしっかりチューニングしたあとで始めた曲が明らかにおかしくて、演奏中の篠田君の4弦ペグを目分量でグイッと回してやったらばっちり直ったことでした。あれはいい判断をした。
終わってからフロアに出たら、外国人の知らないお客さんから「Very cool gig tonight.」と言われたのは良かったなー。日本人風情がロックでアングロサクソンをうんと言わせられたらそんな満足なことはない。
▼で3番手HOSOME。BLOOD BROTHERSと昔のBOREDOMSが高速でフラッシュするかのような超圧縮型カットアップポップス。これ人間が手動でやれるってことになってたんでしたっけ、という領域の動作をタイト極まりなく完遂する末恐ろしい人達でした。ノリはまさに関西アヴァンギャルドの血脈ですなー。暴虐の限りの向こうにも伝統を見る。
▼そしてメインの31KNOTS。最近手頃なサイズの会場でこういう海外のバンドを見る機会がめっきり減って、忘れかけてたことなんですが、彼らの音楽への「体」の入り方は、やっぱり日本の常識では無理なレベルでした。楽器を持ってようが持ってまいが、ステージの上だろうが下だろうが、出すべき音に食らいつくようにして表現される音、というより提供される体験。どれだけ変態を演じようが変態に感じないというか、これが彼らの普通なんだと思えるまでに感受性の軸を強引に奪われる感覚というか。まるでリポートになってないですが、起こっていた全てが好き放題すぎて、それを逐一面白がって報告するのもアホらしいだけだと思えるのです。でかくてビシバシ突っ掛かってくる音をしこたま聴いた、しかもそれはいい曲だったりした。で充分なんじゃないでしょうか。全曲もれなく東欧風の哀愁和声一辺倒であっても、ライブに立ち会う分にはそんなことは些細なこと。しかし全員巧かったなー。二人とも恐ろしく高い位置でベースとギターを構えるのがクールだなー(特にベース)。ドラムのジェイはやっぱり時々日本人にしか見えなくなる。
個人的フェイヴァリットの"We Still Have Legs"はやらなかったけど、きっちりアンコール2曲もこなして終了。最後はもうどっちが前かわからない感じでした。でひとしきり片付いて、馴染みの面々とグダグダダラダラして、人もそろそろ捌けてきたな〜という感じになって、SS新川さん夫妻とマルオトのイケメン担当君としょーもない話にしぶとく花を咲かせていた24時過ぎ頃、衝撃の第2幕が。
▼飲み屋利用として得三店内に入ってきた一般客の中に、よく見た感じの金色のふわふわの人が。下半身はレザーパンツ、上半身は派手でタイトな柄シャツ、と細部を判別するまでもなく、その人影が誰なのか反射的にわかったはずなんですが、でもどうしてこの時間この場所に、筋肉少女帯の橘高文彦大先生が普通に酒飲みに来てるのか、伝説の黎明期ヴィジュアル系雑誌「プラム」増刊として発行された著書「魅惑のハードロックギター教本」でギターを学んだ私の前にその著者がふらーっと打ち上がりに来てる状況ってどういう意味なのか、しばらく完全に受け入れ不能状態に。
黒いマニキュアを見て絶対人違いじゃないことを確信したのち、トイレに席を立って戻ってくるときに一人になったスキを逃さず、私は師匠に駆け寄ってちゃんと声をかけに行きました。もの凄く気さくにガッチリと握手してくれて、バンドのCDを渡したんですがそれも「いいの?買わなくていいの?ありがとう」と受け取ってもらえました。「俺も前、ここでオーケンと出たんだけど…」て、そんなカジュアルに、しかもその重みで「オーケン」と言い放つ人が目の前にいる不条理さよ。一緒に写真に納まろうなどと考える余裕もなく、お会いできて嬉しいです!ありがとございます!と拝み倒してきました。
いやーあれはどういうことだったんだろう。"イワンのばか"や"詩人オウムの世界"のイントロを必死でコピーしたことも、"風車男ルリヲ"のダウンピッキングリフが未だにあんなに鮮やかに弾けないことも、"釈迦"より"大釈迦"の方が好きなことも、"夜歩くプラネタリウム人間"のソロみたいなのを人生で一度は弾けてみたいと思っていることも、水玉ペイントじゃないけど自分もランディVを所有していることも、嫁が枚方市のとなりの高槻市の出身であることも、迷惑がられながら全部話してみたかった。ああこれが縁でいつかX.Y.Z.→Aの前座になんていう展開に、なるわけないですが、願掛けとして書くだけ書いとこ。
▼という激展開を経たのち、味仙に挑みに向かうSS&ノッツご一行を見送って帰宅。一日経ってまだ全然社会復帰できてないっす。